JP4984971B2 - 飲酒運転防止装置 - Google Patents

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Description

本発明は、運転者がアルコール検査を行なった結果に基づいて、飲酒運転を抑制するための動作を行なう飲酒運転防止装置に関する。
近年、安全運転の観点から、例えば運転者の呼気に含まれるアルコールを検査する(以下、唾液や血液等の検査も含め、この種の検査をアルコール検査と総称する)ための検査機器を運転席付近に配設し、当該機器を用いたアルコール検査により運転者が酒気帯び状態や飲酒状態でないことが確認された場合にのみ車両の走行を許可するような装置について研究が進められている。
こうした装置に関連するものとして、車両始動時等に車室内の空気中のアルコール反応を確認し、アルコール反応があった場合に運転者に呼気マウスに息を吹きかけるように指示し、運転者の息によりアルコール反応が認められた場合に走行不能とする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−206128号公報
しかしながら、上記従来の技術においては、車室内の空気中のアルコール反応が確認され、運転者に息を吹きかけるように指示し、運転者の息によりアルコール反応が認められなかった後に、再び車室内の空気中のアルコール反応が確認され、再び運転者に呼気マウスに息を吹きかけるように指示がなされるという堂々巡りが生じる場合がある。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、車室内の空気中のアルコール濃度を測定する手段と、運転者の呼気中のアルコール濃度を測定する手段と、の双方を適切に用いて、装置に対する受容性を高めることが可能な飲酒運転防止装置を提供することを、主たる目的とする。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、車室内の空気中のアルコール濃度を測定する車室内用アルコール濃度測定手段と、運転者の呼気中のアルコール濃度を測定する運転者用アルコール濃度測定手段と、車室内用アルコール濃度測定手段の測定結果に基づき、運転者用アルコール濃度測定手段の使用を運転者に促すための第1の動作を行ない、運転者用アルコール濃度測定手段の測定結果に基づき、飲酒運転を抑制するための第2の動作を行なう、飲酒運転防止動作手段と、を備え、飲酒運転防止動作手段は、運転者用アルコール濃度測定手段により所定濃度未満のアルコール濃度が測定された後の所定期間内は、第1の動作を抑制する手段である、飲酒運転防止装置である。
この本発明の一態様によれば、運転者用アルコール濃度測定手段により所定濃度未満のアルコール濃度が測定された後の所定期間内は、運転者用アルコール濃度測定手段の使用を運転者に促すための動作を行なわないため、過剰に運転者用アルコール濃度測定手段の使用を運転者に促されて運転者が煩わしさを感じることを抑制することができる。すなわち、装置に対する受容性を高めることができる。
本発明の一態様において、飲酒運転防止動作手段は、例えば、運転者用アルコール濃度測定手段により所定濃度未満のアルコール濃度が測定された後の所定期間内は、車室内用アルコール濃度測定手段を停止することにより、第1の動作を抑制する手段である。
また、本発明の一態様において、飲酒運転防止動作手段は、運転者用アルコール濃度測定手段により所定濃度未満のアルコール濃度が測定された後の所定期間内は、車室内用アルコール濃度測定手段の測定値に拘らず第1の動作を行なわないことにより、第1の動作を抑制する手段であってもよい。
また、本発明の一態様において、飲酒運転防止動作手段は、運転者用アルコール濃度測定手段により所定濃度未満のアルコール濃度が測定された後の所定期間内は、第1の動作を行なう基準となるアルコール濃度を高く変更することにより第1の動作を抑制する手段であってもよい。
また、本発明の一態様において、運転者用アルコール濃度測定手段は、車室内用アルコール濃度測定手段の作動状態に拘らず使用可能に構成されることを特徴とすることが好ましい。
また、本発明の一態様において、運転者用アルコール濃度測定手段は、運転者の呼気中のアルコール濃度を測定するものではなく、運転者の唾液中のアルコール濃度を測定するものであってもよい。
本発明によれば、車室内の空気中のアルコール濃度を測定する手段と、運転者の呼気中のアルコール濃度を測定する手段と、の双方を適切に用いて、装置に対する受容性を高めることが可能な飲酒運転防止装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
<第1実施例>
以下、本発明の第1実施例に係る飲酒運転防止装置1について説明する。飲酒運転防止装置1は、基本的には、車室内の空気中のアルコール濃度が規定値以上となった場合に、乗員の誰かが飲酒状態であると推定して運転者にアルコール検査を受けるよう促し、運転者がアルコール検査を受けて飲酒状態で無いことを示したときに、車両の走行を許可する装置である。
[構成]
図1は、飲酒運転防止装置1の全体構成の一例を示す図である。飲酒運転防止装置1は、主要な構成として、車室内用アルコール濃度測定装置10と、運転者用アルコール濃度測定装置20と、着席状態検出用機器30と、イグニッションスイッチ40と、HMI(Human Machine Interface)50と、エンジンコントロールコンピューター60と、飲酒運転防止装置用ECU(Electronic Control Unit)70と、を備える。
車室内用アルコール濃度測定装置10は、例えば、コンビネーションメータ周辺等、車室内の任意の位置に配設され、車室内の空気中のアルコール濃度を測定する。車室内用アルコール濃度測定装置10の測定値は、アナログ/デジタル変換器等を介して飲酒運転防止装置用ECU70に送信される。
運転者用アルコール濃度測定装置20は、例えば、運転者の呼気に含まれるアルコール濃度を検出可能な装置であり、呼気吹き込み口や検査用センサーを備える。呼気吹き込み口は、例えば、運転席が車両の右側に在る国産車においては、例えばインストルメントパネルにおけるステアリングコラムの右方部分など、運転席に着座しなければ検査を受けることが困難となる箇所に配設されることが望ましい。これにより、運転者が検査を受けたことの確からしさを高いものにすることができる。呼気吹き込み口に吹き込まれた運転者の呼気は、専用の流路により検査用センサーに供給される。検査用センサーは、例えば、携帯ポンプ等による送風でなく実際に人間の呼気が吹き込まれたことを確認するための圧力センサーや湿度センサー、及び呼気中のアルコール濃度を測定するアルコールガスセンサーを含む。検査用センサーの出力値は、アナログ/デジタル変換器等を介して飲酒運転防止装置用ECU70に送信される。なお、運転者用アルコール検査装置20は、呼気中のアルコール濃度を検出するものに限られず、唾液中アルコール濃度や血中アルコール濃度を検出するものであってもよい。以下、適宜、運転者用アルコール濃度測定装置20に呼気を吹き込んでアルコール濃度を測定することを、「アルコール検査を受ける」と表現する。
着席状態検出用機器30は、運転席に運転者が着座していることを確認するための機器であり、例えば、運転席の着座面に配設されたストレンゲージやロードセル、ダイアフラム、ベローズ等の圧力センサーが用いられる。この場合、運転者が運転席に着座することにより生じる圧力を、飲酒運転防止装置用ECU70に出力する。また、これに限られず、運転席側ドアの開閉状態を検出するカーテシランプスイッチやシートベルトバックルスイッチ、運転者の顔画像を撮像するカメラ等が用いられてもよい。
HMI50は、例えば、画像表示を行なうと共にタッチパネルとしてユーザーによる種々の入力操作を可能に構成されたディスプレイ装置や、音声入出力のためのマイク、スピーカー、ブザー等からなる。上記ディスプレイ装置の表示画面上に設定されたGUI(Graphical User Interface)スイッチになされたタッチ操作や、マイクに対して入力された音声は、GUIモジュールや音声認識モジュール等を経て、飲酒運転防止装置用ECU70に送信される。また、ディスプレイ装置の表示内容や、スピーカー及びブザーの出力内容は、飲酒運転防止装置用ECU70により決定される。
エンジンコントロールコンピューター60は、例えば、CPUを中心としてROMやRAM等がバスを介して相互に接続されたコンピューターユニットであり、その他、HDD(Hard Disc Drive)やDVD(Digital Versatile Disk)等の記憶媒体やI/Oポート、タイマー、カウンター等を備える。ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。エンジンコントロールコンピューター60は、スロットルモータやイグナイター、スタータモータ、変速機等の制御を一元的に行なっている。また、エンジンコントロールコンピューター60は、飲酒運転防止装置用ECU70からのエンジン始動信号を受信したときに、スタータモータを駆動してエンジンを始動する。
飲酒運転防止装置用ECU70は、例えば、エンジンコントロールコンピューター60と同様のハードウエア構成を有するコンピューターユニットである。飲酒運転防止装置用ECU70は、イグニッションスイッチ40からイグニッションオン信号を受信したときに、それまでの車室内用アルコール濃度測定装置10、及び運転者用アルコール濃度測定装置20の測定結果に応じて、エンジン始動信号をエンジンコントロールコンピューター60に送信したり、しなかったりする。また、飲酒運転防止装置用ECU70は上述した各構成要素に指示信号を送信し、以下に説明する本発明の特徴的な機能を実現する。
[動作]
図2は、飲酒運転防止装置用ECU70により実行される、特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。本フローは、車両始動時(例えば、ACCオン信号がイグニッションスイッチ40から送信された時)に開始される。
まず、飲酒運転防止装置用ECU70は、自己の状態を、イグニッションスイッチ40からイグニッションオン信号を受信しても、エンジンコントロールコンピューター60にエンジン始動信号を送信しない状態(以下、エンジン始動禁止状態という)とする(S100)。
続いて、運転者によりショートカット指示がなされたか否かを判定する(S102)。ここで、ショートカット指示とは、運転者が自発的に運転者用アルコール濃度測定装置20を使用して、後述するように走行許可を速やかに得られるようにするものである。具体的には、HMI50に対する入力操作であってもよいし、運転者が運転者用アルコール濃度測定装置20の呼気吹き込み口に息を吹き込んだこと(運転者用アルコール濃度測定装置20内の圧力センサーが所定値以上の圧力を検知したこと)をもってショートカット指示がなされたと判断してもよい。
運転者によりショートカット指示がなされなかった場合は、車室内用アルコール濃度測定装置10による測定を行ない(S104)、車室内用アルコール濃度測定装置10の測定値が閾値D1以上であるか否かを判定する(S106)。
車室内用アルコール濃度測定装置10の測定値が閾値D1未満である場合は、自己の状態を、イグニッションスイッチ40からイグニッションオン信号を受信すれば、エンジンコントロールコンピューター60にエンジン始動信号を送信する状態(以下、エンジン始動許可状態という)とする(S108)。
なお、フローチャートの表記の都合上、車室内の空気中のアルコール濃度測定に先立ってS102の判定を行なうものとして表現したが、S108においてエンジン始動許可状態となるまでの間は、いつでもショートカット指示を受け付けるものとしてよい。
続いて、測定済フラグが値0であるか値1であるかを判定する(S110)。ここで、測定済フラグとは、運転者用アルコール濃度測定装置20により測定が行なわれ、運転者が飲酒状態でないことが確認されたか否かを判別するためのものであり、後述する処理によって、運転者が飲酒状態でないことが確認された場合に値1が、そうでない場合に値0が、それぞれ設定される。なお、測定済フラグは、例えば飲酒運転防止装置用ECU70のRAM上の所定領域に格納される。
測定済フラグが値0である場合は、車室内用アルコール濃度測定装置10による測定を行ない(S112)、車室内用アルコール濃度測定装置10の測定値が閾値D1#以上であるか否かを判定する(S114)。車室内用アルコール濃度測定装置10の測定値が閾値D1#未満である場合は、着席状態検出用機器30の出力を参照して運転者が離席したか否かを判定する(S116)。
S116において運転者が離席していないと判定された場合は、S112に戻り、車室内用アルコール濃度測定装置10の測定値が閾値D1#以上となるか、運転者が離席したと判定されるまでの間、定期的に車室内用アルコール濃度測定装置10による測定、及び測定値についての判定、離席判定を繰り返し実行する(S112〜S116)。これにより、例えば、乗車から時間が経過して徐々に飲酒者の呼気に含まれるアルコールが車室内に充満したようなケースや、運転者が運転中に飲酒を行なったようなケースにおいて、運転者を含む乗員が飲酒状態にあるか否かを適切に監視することができる。なお、閾値D1#は、閾値D1以上の値とすることが妥当である。車両始動時にはアルコール検知の感度を上げて厳しくアルコール検知を行なうのが適切であり、後にアルコールが車室内に充満した場合には感度を若干下げてもアルコールが検知可能だからである。
この繰り返しの中で、S114において車室内用アルコール濃度測定装置10の測定値が閾値D1#以上であると判定された場合は、車両を徐々に停止させ(S118)、測定済フラグに値0を設定して(S120)、本フローの1ルーチンを終了する。ここで、「車両を徐々に停止させ」とは、例えば、HMI50によりエンジンを停止する旨をアナウンスし、車速上限を徐々に低下させる車速制限制御を行ない、上記アナウンスから十分な時間が経過した後にエンジンを停止に至らしめる、等の段階的な制御を行なうことを意味する。その後は、S100においてエンジン始動が禁止された状態から本フローを再度実行する。
また、上記の繰り返しの中で、S116において運転者が離席したと判定された場合は、測定済フラグに値0を設定して(S120)、本フローの1ルーチンを終了する。その後は、S100においてエンジン始動が禁止され、以降の処理が実行される(S102〜)。これにより、第三者がアルコール検査を行なった後に、飲酒状態の運転者が入れ替わりに運転を開始するという不正な使用を防止することができる。なお、離席判定が誤判定をすることを考慮し、運転者が離席したと判定された場合にもS118を経由して車両を徐々に停車させてもよい。
一方、S106において車室内用アルコール濃度測定装置10の測定値が閾値D1以上であると判定された場合は、運転者に運転者用アルコール濃度測定装置20を使用してアルコール検査を受けるように促し(S122)、呼気が吹き込まれるのを待って(S124)、運転者用アルコール濃度測定装置20の測定値が閾値D2以上であるか否かを判定する(S126)。乗員の誰かが飲酒状態であると推定されるからである。なお、閾値D1を閾値D1#以下に予め設定すれば、S114で車室内用アルコール濃度測定装置10の測定値が閾値D1#以上となった場合は、必然的にS106において車室内用アルコール濃度測定装置10の測定値が閾値D1#以上となるため、運転者にアルコール検査が課せられることとなる。
また、S102において運転者によりショートカット指示がなされた場合は、運転者が自分の意思で運転者用アルコール濃度測定装置20を使用することを選択したのであるからS122のアナウンスは行なわず、呼気が吹き込まれるのを待って(S124)、運転者用アルコール濃度測定装置20の測定値が閾値D2以上であるか否かを判定する(S126)。
運転者用アルコール濃度測定装置20の測定値が閾値D2以上である場合は、運転者が飲酒状態であると判断することができる。従って、何も処理を行なわず、本フローの1ルーチンを終了する。この結果、車両の走行が禁止されることとなる。
一方、運転者用アルコール濃度測定装置20の測定値が閾値D2未満である場合は、測定済フラグに値1を設定し(S128)、エンジン始動許可状態となる(S108)。その後、S110において測定済フラグが値1であるとの判定を得ることとなり、その結果、所定時間T1経過するのを待ってから(S130)、車室内用アルコール濃度測定装置10による測定が開始される(S112)。なお、S130の所定時間経過待ち処理の最中に、或いは本フローの実行中は継続的に、S116の離席判定を行なって、運転者の離席を検出した場合に本フローを終了させてもよい。
本実施例の飲酒運転防止装置1では、乗車の度に運転者用アルコール濃度測定装置20の使用を促すのではなく、車室内用アルコール濃度測定装置10の測定値が閾値以上となった場合にのみアルコール検査を促している。これにより、乗車の度にアルコール検査を行なわなければならないとした場合の煩わしさを軽減することができる。特に、車両により配達業務を行なう運転者等の場合、乗車と降車を頻繁に行なうため、乗車の度にアルコール検査を行なうのは現実的でないからである。
また、本実施例の飲酒運転防止装置1では、アルコール検査の結果、運転者が飲酒状態でないことの確認が得られた場合は、その後の所定時間内は車室内用アルコール濃度測定装置10による車室内の空気の監視を行なわないこととしている。従って、車室内の空気中のアルコール濃度が閾値以上となり、アルコール検査を指示して運転者が飲酒状態でないことの確認が得られた後に、再び車室内用アルコール濃度測定装置10により閾値以上のアルコール濃度が測定されて、またアルコール検査を指示してしまうような堂々巡りを抑制することができる。
また、運転者がショートカット指示をした場合は、S106の判定を待たずに運転者がアルコール検査を受けて速やかにエンジン始動許可を得ることができる。これにより、例えば、運転者以外の乗員が飲酒状態にあることが判っていて運転者自身は飲酒状態でない場合や、運転者用アルコール濃度測定装置20による測定が車室内用アルコール濃度測定装置10よりも短時間で済む場合に、車室内用アルコール濃度測定装置10の測定に要する筈の時間を省略(短縮)することができる。
従って、車室内用アルコール濃度測定装置10と運転者用アルコール濃度測定装置20との双方を適切に用いて装置に対する受容性を高める(煩わしさを軽減する)ことができる。
<第2実施例>
以下、本発明の第2実施例に係る飲酒運転防止装置2について説明する。飲酒運転防止装置2は、第1実施例に係る飲酒運転防止装置1と同様、基本的には、車室内の空気中のアルコール濃度が規定値以上となった場合に、乗員の誰かが飲酒状態であると推定して運転者にアルコール検査を受けるよう促し、運転者がアルコール検査を受けて飲酒状態で無いことを示したときに、車両の走行を許可する装置である。
[構成]
第2実施例の飲酒運転防止装置2は、第1実施例の飲酒運転防止装置1と同様のハードウエア構成を有するため、各構成要素について同一の符号を付し、説明を省略する。
[動作]
図3は、本実施例に係る飲酒運転防止装置用ECU70により実行される、特徴的な処理の流れを示すフローチャートの一部である。エンジン始動許可以前の処理については第1実施例と共通するため、説明を省略する。
本実施例では、測定済フラグが値1であると判定されると、エンジン始動許可を得てから所定時間T1経過するまでの間、閾値D1#以上の値である閾値D1*を用いて車室内の空気中のアルコール濃度を監視する(S132〜S138)。この結果、アルコール検査を経てエンジン始動許可を得てから所定時間T1経過するまでの間は、アルコール検査を経ずにエンジン始動許可を得た場合よりも車室内の空気中のアルコール濃度監視の感度を低下させることとなる。
この結果、車室内の空気中のアルコール濃度が閾値以上となり、アルコール検査を指示して運転者が飲酒状態でないことの確認が得られた後に、再び車室内用アルコール濃度測定装置10により閾値以上のアルコール濃度が測定されて、またアルコール検査を指示してしまうような堂々巡りを抑制することができる。
また、運転者がショートカット指示が可能であることにより、運転者以外の乗員が飲酒状態にあることが判っていて運転者自身は飲酒状態でない場合や、運転者用アルコール濃度測定装置20による測定が車室内用アルコール濃度測定装置10よりも短時間で済む場合に、車室内用アルコール濃度測定装置10の測定に要する時間を省略(短縮)することができる。
従って、車室内用アルコール濃度測定装置10と運転者用アルコール濃度測定装置20との双方を適切に用いて装置に対する受容性を高める(煩わしさを軽減する)ことができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、特許請求の範囲における「運転者用アルコール濃度測定手段により所定濃度未満のアルコール濃度が測定された後の所定期間」の一例として、エンジン始動許可を得てから所定時間T1経過するまでの間、を例示したが、これを、「エンジンが実際に始動するまでの間(イグニッションスイッチ40からIGオン信号を受信するまでの間と換言してもよい)」、「運転者の離席が検出されるまでの間」(図4参照)、「エンジンが停止するまでの間」(図5参照)等と置換してもよい。なお、図4及び図5においては、図3と同様に、エンジン始動許可を得るまでの処理について図示を省略している。
また、上記の如く、「エンジンが実際に始動するまでの間」、「運転者の離席が検出されるまでの間」、又は「エンジンが停止するまでの間」には車室内の空気中のアルコール濃度監視を行なわない、とするものに限らず、第2実施例の如く、これらの期間内にはより高い閾値を用いて車室内の空気中のアルコール濃度監視を行なう、としてもよいのは勿論である。
また、S116の離席判定はフローチャートに拘らず常時行なうものとし、運転者の離席を検出した度に、図2ないし図5のフローチャートの最初から処理を開始するものとしてもよい。
また、特許請求の範囲における「飲酒運転を抑制するための動作」の一例として、エンジン始動の禁止を行なうことを例示したが、パーキングブレーキを自動的に作動させてもよいし、シフト位置を強制的にP(パーキング)やN(ニュートラル)に変更することにより走行を不能にしてもよい。こうすれば、車両の走行は禁止するがエンジンの始動自体は許可することとなり、空調装置等を十分に作動させることができる。また、車両の走行を禁止するのではなく、車速を一定の車速に制限したり、車外への通報等を行なったりするものとしてもよい。
また、車室内の空気中のアルコール濃度測定と、車室内の空気中のアルコール濃度の測定値に基づく判定と、をセットで行なわれる制御例を例示したが、車室内の空気中のアルコール濃度測定(センシング)自体は常時行なっているものとしてもよい(第1実施例の変形例として示す図6を参照)。
また、運転者用アルコール濃度測定装置20の構成例として、マイクロホンとアルコールガスセンサーを組み合わせたものを用いてもよい。この場合、音声認識により運転者の同一性を確認できる。
また、運転者用アルコール濃度測定装置20は、運転者の呼気中のアルコール濃度を測定するものに限らず、運転者の唾液中のアルコール濃度を測定するものであってもよい。
本発明は、自動車製造業や自動車部品製造業等に利用可能である。
飲酒運転防止装置1の全体構成の一例を示す図である。 第1実施例に係る飲酒運転防止装置用ECU70により実行される、特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。 第2実施例に係る飲酒運転防止装置用ECU70により実行される、特徴的な処理の流れを示すフローチャートの一部である。 その他の実施例に係る飲酒運転防止装置用ECU70により実行される、特徴的な処理の流れを示すフローチャートの一部である。 その他の実施例に係る飲酒運転防止装置用ECU70により実行される、特徴的な処理の流れを示すフローチャートの一部である。 その他の実施例に係る飲酒運転防止装置用ECU70により実行される、特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1 飲酒運転防止装置
10 車室内用アルコール濃度測定装置
20 運転者用アルコール濃度測定装置
30 着席状態検出用機器
40 イグニッションスイッチ
50 HMI
60 エンジンコントロールコンピューター
70 飲酒運転防止装置用ECU

Claims (5)

  1. 車室内の空気中のアルコール濃度を測定する車室内用アルコール濃度測定手段と、
    運転者の呼気中のアルコール濃度を測定する運転者用アルコール濃度測定手段と、
    前記車室内用アルコール濃度測定手段の測定結果に基づき、前記運転者用アルコール濃度測定手段の使用を運転者に促すための第1の動作を行ない、前記運転者用アルコール濃度測定手段の測定結果に基づき、飲酒運転を抑制するための第2の動作を行なう、飲酒運転防止動作手段と、を備え、
    前記飲酒運転防止動作手段は、前記運転者用アルコール濃度測定手段により所定濃度未満のアルコール濃度が測定された後の所定期間内は、前記車室内用アルコール濃度測定手段を停止することにより、前記第1の動作を抑制する手段である、
    飲酒運転防止装置。
  2. 車室内の空気中のアルコール濃度を測定する車室内用アルコール濃度測定手段と、
    運転者の呼気中のアルコール濃度を測定する運転者用アルコール濃度測定手段と、
    前記車室内用アルコール濃度測定手段の測定結果に基づき、前記運転者用アルコール濃度測定手段の使用を運転者に促すための第1の動作を行ない、前記運転者用アルコール濃度測定手段の測定結果に基づき、飲酒運転を抑制するための第2の動作を行なう、飲酒運転防止動作手段と、を備え、
    前記飲酒運転防止動作手段は、前記運転者用アルコール濃度測定手段により所定濃度未満のアルコール濃度が測定された後の所定期間内は、前記第1の動作を行なう基準となるアルコール濃度を高く変更することにより、前記第1の動作を抑制する手段である、
    飲酒運転防止装置。
  3. 車室内の空気中のアルコール濃度を測定する車室内用アルコール濃度測定手段と、
    運転者の呼気中のアルコール濃度を測定する運転者用アルコール濃度測定手段と、
    前記車室内用アルコール濃度測定手段の測定結果に基づき、前記運転者用アルコール濃度測定手段の使用を運転者に促すための第1の動作を行ない、前記運転者用アルコール濃度測定手段の測定結果に基づき、飲酒運転を抑制するための第2の動作を行なう、飲酒運転防止動作手段と、を備え、
    前記飲酒運転防止動作手段は、前記運転者用アルコール濃度測定手段により所定濃度未満のアルコール濃度が測定された後の所定期間内は、前記第1の動作を抑制する手段であり、
    前記運転者用アルコール濃度測定手段は、前記車室内用アルコール濃度測定手段の作動状態に拘らず使用可能に構成され、前記運転者が自発的に前記運転者用アルコール濃度測定手段を使用することによって前記第1の動作を抑制させることを可能としたことを特徴とする、飲酒運転防止装置。
  4. 車室内の空気中のアルコール濃度を測定する車室内用アルコール濃度測定手段と、
    運転者の呼気中のアルコール濃度を測定する運転者用アルコール濃度測定手段と、
    前記車室内用アルコール濃度測定手段の測定結果に基づき、前記運転者用アルコール濃度測定手段の使用を運転者に促すための第1の動作を行ない、前記運転者用アルコール濃度測定手段の測定結果に基づき、飲酒運転を抑制するための第2の動作を行なう、飲酒運転防止動作手段と、を備え、
    前記飲酒運転防止動作手段は、前記運転者用アルコール濃度測定手段により所定濃度未満のアルコール濃度が測定された後の所定期間内は、前記第1の動作を抑制する手段であり、
    前記運転者用アルコール濃度測定手段は、前記車室内用アルコール濃度測定手段の測定結果に拘らず使用可能に構成され、前記運転者が自発的に前記運転者用アルコール濃度測定手段を使用することによって前記第1の動作を抑制させることを可能としたことを特徴とする、飲酒運転防止装置。
  5. 運転者の呼気中のアルコール濃度を測定する運転者用アルコール濃度測定手段に代えて、運転者の唾液中のアルコール濃度を測定する運転者用アルコール濃度測定手段を備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の飲酒運転防止装置。
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