JP4035067B2 - 運転操作における危険防止方法、および同装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲酒運転操作による危険を未然に防止する方法、及び同装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
飲酒して酩酊した者が自動車を運転操作することは、重大な交通事故の原因となるから、厳禁されなければならない。
従来の飲酒運転防止は、主として法的規制と、運転者本人の自覚とによっていた。しかし、飲酒運転に起因する人身事故は、なかなか跡を絶たない。
運転者の資格,条件を科学的に判定して、失格者が運転しようとしても当該自動車のエンジンが始動しないようにする技術として、特開2001〜331887号公報「車両管理装置及び携帯情報部材」が公知である。
この公知技術は、例えば危険物運搬車など特定の車両を運転する場合、該特定の車両を運転する資格を持たないドライバがその車両を運転できないようにするものである。具体的には、ドライバが携帯している資格カードを電磁的に読み取って、「資格有り」と判定したとき、自動的に運転可能な状態ならしめる。
この作動原理から明らかなように、この公知技術は「運転者が携帯している資格カードが有効であるか否か」を判定の対象とするものであって、該運転者の身体的状態や精神的状態を問わない。従って、該運転者が酩酊していても「資格有り」と判定してしまうことになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
飲酒運転の禁止規定(道路交通法第65条)の罰則を強化することも効なしとしない。しかし乍ら、酩酊状態で運転して人身事故を起こしてしまった犯人を厳罰に処したところで、失われた人命は二度と還ってこない。
そこで、事故を起こす前に、酩酊したドライバーによる運転を自動的に阻止する科学的な方法の開発が望まれる。これは正に社会的要請である。
前記の公知技術(特開2001−331887号公報)は、ドライバーの免許資格を記録した磁気カードによって運転の可否を判定するものであるが、この免許資格は永続的なものである。すなわち、一旦付与されると次回の更新時まで有効である。
【0004】
免許資格が永続的であるのに比して、酩酊・覚醒は身体の一時的現象であって、時間的経過に伴って変化する。
従って、ドライバーの酩酊状態を検知して運転の可否を自動的に判定することは、前記公知技術を適用しても達成できない。
本発明は上述の事情の鑑みて為されたものであって、酩酊したドライバーが自動車の運転席に坐ったとき、自動的に酩酊していることを検知して、自動的に運行を阻止する方法、および同装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の手段を説明するに先立って、本発明を創作する過程において案出した試案について、図2を参照して説明する。
すなわち、酩酊したドライバーが運転することを未然に防止するため、
自動車の車室内の運転席付近に、空気中のアルコール蒸気を検出する運転席アルコールセンサ1を設置して、その出力信号を自動制御装置ACUに入力させる。
上記自動制御装置は運転席アルコールセンサ1の出力信号に基づいて、もしくは客席アルコールセンサ2の出力信号と比較して、運転席に在る者が酩酊しているか否かを判定する。
酩酊していると判定すると「自動車の主要構成機構(詳細は後述)の内の何れかの作動を阻止させる指令信号(変速機中立位置ロック指令信号5,点火系統作動阻止指令信号7,操向系統作動阻止指令信号9,始動電動機作動阻止指令信号11または燃料供給遮断指令信号13)を発信して、当該自動車が発進できないように(少なくとも走行を継続できないように)する
【0006】
上述の試案(図2)をさらに改良して、請求項1に係る発明方法の構成は、
自動車の運転席近傍に、少なくとも2個のアルコール蒸気を検知するセンサを設置するとともに、該運転席の近傍に空気の流れを検出する風向センサを設置し、
これらセンサの検出信号を自動制御装置に入力せしめ、
運転席の風上側のアルコールセンサ検出値に比して、風下側のアルコールセンサの検出値が高い場合は、
前記自動制御装置から点火系統作動阻止指令信号を出力して、当該自動車に搭載されているエンジンの点火系統の作動を停止させ、
又は該自動制御装置から燃料供給遮断指令信号を出力して、当該自動車に搭載されているエンジンの燃料供給を遮断し、
又は該自動制御装置から始動電動機作動阻止指令信号を出力して、当該自動車に搭載されているエンジンの始動電動機の通電を遮断し、
又は該自動制御装置から操向系統作動阻止指令信号を出力して、当該自動車に装備さている操向機構をロックし、
又は該自動制御装置から変速機中立位置ロック指令信号を出力して、当該自動車に装備されている変速機を中立位置にロックすることを特徴とする。
以上に説明した請求項1の発明方法によると、酩酊運転を未然に防止することができる。すなわち、酒気を帯びた者が運転席に坐ると、その呼気中に含まれているアルコール蒸気がアルコールセンサによって検知され、比較回路、判定回路、および阻止信号発信回路からなる自動制御装置が作動して、自動車が走行できない状態になる。これにより、酒気を帯びた者は当該自動車を発進させることができず、酩酊運転が防止される。
【0007】
請求項2に係る発明装置の構成は、
自動車の運転席周辺に設置された2個のアルコールセンサと、
該運転席周辺の空気の流れを検知する風向センサと、
前記2個のアルコールセンサ相互の検出値の大小を比較する比較回路と、
前記風向検出センサの出力信号および比較回路の出力信号を入力されて、風下側のアルコールセンサの検出値が風上側のアルコールセンサの検出値よりも大きいか否かを判定する判定回路とを具備しており、
かつ、上記判定回路の出力信号が「風下側のアルコール濃度が風上側のアルコール濃度よりも大きいこと」を意味するものであるとき、この判定回路の出力信号を入力されて、点火系統作動阻止指令信号を出力して当該自動車に搭載されているエンジンの点火系統の作動を停止させる機能を有し、
又は燃料供給遮断指令信号を出力して当該自動車に搭載されているエンジンの燃料供給を遮断する機能を有し、
又は始動電動機作動阻止指令信号を出力して当該自動車に搭載されているエンジンの始動電動機の通電を遮断する機能を有し、
又は操向系統作動阻止指令信号を出力して当該自動車に装備さている操向機構をロックする機能を有し、
又は変速機中立位置ロック指令信号を出力して当該自動車に装備されている変速機を中立位置にロックする機能を有する阻止信号発信回路(19)を具備していることを特徴とする。
以上に説明した請求項2の発明装置によると、運転席に坐った者を特定して、この運転席に在る者その者が酒気を帯びているか否かを判定し、酒気を帯びている場合には当該自動車の発進を阻止して交通安全を図ることができる。
すなわち、例えば自動車の助手席や後部座席に酩酊者が乗っていても、運転者は該自動車を発進させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を説明するに先立って、本発明を実施する場合のアルコールセンサの構成全般について説明する。
【0018】
学術的には、酩酊は第1度から第4度までの4段階に分類されている。判定基準は血中アルコール濃度である。
なお一般に、単にアルコールと言えばエチルアルコールを指す場合が多いが、科学的にアルコールと言えばCOOH基を有するアルコール類全般を意味することが多く、その前後の記事との関連に留意しなければならない。
本発明においては、紛らわしくない場合に限ってエチルアルコールをアルコールと略称し、エチルアルコール以外のアルコールを含むときはアルコール類と呼んで区別する。
第1度酩酊:血中アルコール濃度0.5〜1.5mg/ml(ほろ酔い)
第2度酩酊:血中アルコール濃度1.5〜2.5mg/ml(御機嫌)
第3度酩酊:血中アルコール濃度2.5〜3.5mg/ml(深酔い)
第4度酩酊:血中アルコール濃度3.5〜4.5mg/ml(意識喪失)
【0019】
医学的に患者を診断する場合であれば、小量の血液を採取して血中アルコール濃度を測定することが可能であるが、例えば交通規制の場合には一々血液検査することは極めて困難である。
そこで道路交通法第65条や航空法第70条に基く規定により、被検者の呼気中に含まれているアルコール濃度を基準として、呼気1リットル中にアルコール0.15mg以上を含んでいてはならないと定めている。
この「呼気中アルコール濃度」は「血中アルコール濃度」と良く相関していて、この呼気中アルコール濃度0.15mg/lは酒気帯び運転に対応する(道路交通法施行令第44条の3)。
法的に処罰するための証拠としては高精度の計測を必要とするため、容疑者の呼気100mlを採取し、これを重クロム酸カリ(黄色)と接触させて、緑色に変化するか否かを検査する(化学的変化は難しいが、この検査方法は俗称風船方式として広く知られている)。
【0020】
本発明を達成するために必要な「アルコール検知性能」は、前記の呼気採取方式(風船方式)に比して次のように異なる。
a.公権力を以て容疑者を取調べるのではないから、披検者に対して「風船を膨らませる」といった行為を行なわせる必要の無いものであること、すなわち被検者の行動を制約することなく酩酊を検知できることが必要である。
b.アルコールの検知によって変色するといった比色検査方式は望ましくなく、なるべく直接的に電気信号を出力することが望ましい。
c.格別に高精度を要しない。すなわち、法的刑罰を与えるか否かの境界は厳正に明確でなければならないが、本発明に係る酩酊運転防止は別段の処罰ではないから、安全側に若干の誤差が有っても宥される。
d.さらに、酩酊の程度を4段階に区分して表示する必要は無く、運転可・否の2段階に判定すれば足りる。
こうした諸条件を勘案して、本実施形態ではアントラセン センサを用いた。
【0021】
アントラセンは有機半導体であって、ベンゼン環3個の縮合環を有する芳香族炭化水素である。分子式はC14H10であり、分子量178.3である。
コールタールに含まれているので、これから分離して精製される。純粋なものは板状に結晶し、紫色の蛍光性を有し、融点217〜218℃、沸点340℃、比重1.25の半導体物質である。
上記のアントラセンを用いたアルコールセンサのトランスジューサは、1対の電極の間に膜状のアントラセンが配置された構造である。本実施形態においては、基板の上に櫛歯状の1対の電極を対向せしめて配置し、これらの電極をアントラセンの薄膜で覆った構造である。
このように構成されたセンサのアントラセン膜の表面にアルコール蒸気が接触すると、該アルコール蒸気が有機半導体(アントラセン)膜の表面に化学吸着されて電荷授受が行なわれ、電気抵抗が減少する。これにより、前記1対の電極の間に交流電圧を与えて電流値を計測し、アルコール蒸気を検知することができる。直流でなく交流を印加するのは、分極現象の発生を防止するためである。
【0022】
以上に説明したアントラセン センサは、エチルアルコール以外のアルコール類、およびアルデヒト類を化学吸着しても電気抵抗が減少する。こうした性質は、本発明の目的を達成するために障害とはならない。すなわち、
イ.酩酊者の呼気中に含まれているアルコール類は、実際問題としては純粋にと言い得る程度に、エチルアルコールのみであって、例えばメチルアルコールやプチルアルコール,プロピルアルコール等は含まれていない。
従って、呼気に触れて電気抵抗が減少したとき、その呼気を吐き出した者が酩酊していると判定して間違い無い。
ロ.アントラセンはアルデヒト類にも感応する。エチルアルコールが消化管で吸収されて人体内に入ると、肝臓に運ばれて酸化され、アセトアルデヒトになる。アセトアルデヒトは分子式CH3CHOで、特異な刺激臭を有する。
運転者の呼気にアセトアルデヒトが混入していることは、該運転者が酩酊していることを意味するから、アントラセンがアセトアルデヒトに適応することは不都合を生じない。
【0023】
(図2参照)試案の装置においては、運転席アルコールセンサ1の検出信号および客席アルコールセンサ2の検出信号は、それぞれアルコール検出回路3Aおよびアルコール検出回路3Bに入力される。
上記双方の検出回路で検出された空気中のアルコール濃度(厳密にはアルコール類およびアルデヒト類の総合濃度、以下同様)は比較判定回路4に入力される。比較判定の結果、運転席アルコールセンサ1が空気中アルコールを検知していないか、または所定値以下であれば「運転者は酩酊していない」と判定し、別段の信号出力を行わない。
運転席アルコールセンサ1で検出した空気中アルコール濃度が所定値以上であれば、客席アルコールセンサ2による空気中アルコール濃度と比較し、運転席アルコールセンサ1の検出値の方が有意的に低ければ「運転者は酩酊していない」と判定する。また、運転席アルコールセンサ1の検出値が客席アルコールセンサ2の検出値と同程度以上であれば「運転者が酩酊している」と判定する。
【0024】
比較判定回路4が「運転者酩酊」と判定すると、次の段落0025で述べるようにして、当該自動車の運転を阻止する指令信号を出力する。
以上に述べた構造機能から明らかなように、例えばタクシーの客席に泥酔者を担ぎ入れた場合、該泥酔者の呼気が車室内に流れるので、運転席アルコールセンサ1も空気中アルコールを感知する。
しかし、運転席アルコールセンサ1よりも客席アルコールセンサ2の方が高濃度の空気中アルコールを検出するので、前記の比較判定回路4は「運転者が酩酊していない」と判定し、次の段落で述べる「運転を阻止する指令信号」を出力しない。このような機能は、公共的な交通機関のように不特定の者を同乗させる機会の多い自動車において特に実用価値が高い。
【0025】
比較判定回路4が「運転席アルコールセンサ1の出力信号の値が所定値以上であり、かつ、客席アルコールセンサ2の出力信号値よりも大きい」と判定したとき、次の指令信号5,7,9,11,13の内の少なくとも何れか一つを出力する。複数の指令信号を出力しても構わないが、通常は一つで足りる。
変速機中立位置ロック指令信号5は、トランスミッション6を、中立位置から動かせないようにロックして、エンジンから車輪に至る伝動系統を遮断する。
点火系統作動阻止指令信号7は、キースイッチ8の電気回路を開いて、ガソリンエンジン用点火プラグに高圧電気パルスが印加されないようにする(ただし、ガソリンエンジンにのみ適用される)。
操向系統作動阻止指令信号9は、パワーステアリング10、または、これに類似する機構部分が作動できないようにする。
始動電動機作動阻止指令信号11は、セルモータ12のリレースイッチ1次回路を開いて、エンジンを始動できないようにする。
燃料供給遮断指令信号13は、燃料系統の機器(例えば燃料ノズル14)の燃料送給を遮断して、エンジンが回転できないように、少なくとも回転を継続できないようにする。
上記5種類の指令信号の何れが出力されても、当該自動車の走行機能を分担している重要な機構が作動しなくなって、自動車は走行できなくなる。すなわち、運転者が酩酊していれば自動車の走行が阻止され、酩酊運転が防止される。
【0026】
次に、図2の試案の装置を簡略化した形態について、本図2を援用して述べる。
自動車の中には、乗車定員が1名のものもある。このような自動車においては客席アルコールセンサ2を設ける必要が無く、また設けることができない。
さらに、乗車定員が複数名であっても、運転者以外の同乗者が例えば誘導員であるとか、計測要員または監視要員であるとかいった場合は、同乗者の中に1名の酩酊者が有ることも許されない。
このような場合は、図2に示した運転席アルコールセンサ1と客席アルコールセンサ2とを区別せず、1個のアルコールセンサを設ければ足りる。
アルコールセンサが1個であれば、アルコール検出回路も1個で足り、比較判定回路4は比較機能を必要としない。従って、自動制御装置ACUの構成は図2の例よりも簡単なもので良い。
要するに、車室内に少なくとも1個のアルコールセンサを設けるとともに、
該アルコールセンサの検出信号を自動制御装置ACUに入力し、
上記自動制御装置ACUによって空気中アルコール濃度を算定し、
算出された空気中アルコール濃度が所定値以上であれば、該自動制御装置ACUが「自動車の走行を阻止する指令信号」(5,7,9,11,または12)を出力するように、予めプログラムを与えておけば良い。
【0027】
図1は、本発明の実施形態を描いた模式図である。前記の試案に比して、運転者を標的として、その酩酊状態を検知するように構成されている。
運転席の近傍に風向センサ15を設ける。風向センサは各種のものが公知であり、既に広く実用に供されているので、市販品の中から適宜に選定することができる。本実施形態においては、自動気象観測用の風向センサよりも敏感なものを用いることが望ましい。
上記風向センサ15の出力信号は風向検出回路17に入力される。該風向検出回路は、運転席付近の風向をプラス,マイナスで表して判定回路18に送る。
車室内にエアコンが有る場合は勿論、別段に換気していない場合であっても、人体に37℃の体温が有って車内温度に勾配を与えており、かつ、人は何らかの動きをするので、車室内の空気は流動し、風向センサ15がこれを検知する。
【0028】
前記の風向(本図2において、プラスの符号を付した矢印で表した)に関して、風上の側にアルコールセンサ1Rを、風下の側にアルコールセンサ1Lを配置する。これら2個のアルコールセンサで検知した空気中アルコール濃度を表す信号は、比較回路16に入力させる。
上記比較回路16は、風下のアルコールセンサ1Lの検出値から、風上のアルコールセンサ1Rの検出値を減算する。
減算した値がプラスであれば、「風が運転者付近を流動する間に、アルコール濃度が上昇したこと」を意味する。
比較回路16の出力信号は判定回路18に入力される。該比較回路18は、風向検出回路の出力値と比較回路16の出力値とを乗算する。
このように乗算する理由は次のとおりである。いま仮に、風向がマイナス(逆風)であり、空気中アルコール濃度の差し引き結果もマイナスである場合、判定回路18は、「マイナス掛けるマイナス=プラス」と演算して、運転者付近を流通した空気のアルコール濃度が増加したものと判定する。すなわち「酩酊」と判定する。
【0029】
前記判定回路18の出力は、プラスまたはマイナスで表され、阻止信号発信回路19に送出される。該阻止信号発信回路19は、マイナス信号を受けたときは信号を出力せず、プラス信号を受けると点火系統作動阻止指令信号7を出力し、点火系統23に入力させる。
該点火系統23が点火系統作動阻止指令信号7を受けると、キースイッチ8aに自動車キー8bを挿入して回しても点火用のスパーク放電を行なわなくなり、ガソリンエンジンを搭載した自動車の発進が阻止される。
ガソリンエンジン以外の機関を搭載している場合は、次のようにして操向系統,伝動系統,燃料系統,または始動系統に対して作動阻止指令信号を送信して発進を阻止する。 すなわち、上記と異なる実施形態として、前記阻止信号発信回路19から操向系統に対して操向系統作動阻止指令信号9を出力し、
又は伝動系統に対して変速機中立位置ロック指令信号5を出力し、
又は燃料系統に対して燃料供給遮断指令信号13を出力し、
又は始動系統に対して始動電動機作動阻止指令信号11を出力して、当該自動車が発進できないように(少なくとも走行を継続できないように)する。
【0039】
【発明の効果】
以上に本発明の実施の形態を挙げて、その構成および作用を明らかならしめたように、 請求項1の発明方法を適用すると、酩酊運転を自動的に、未然に防止して、社会的罪悪である交通事故の減少に貢献することができる。
すなわち、酒気を帯びた者が運転席に坐ると、該運転席に居る者を特定的に標的として、その呼気中に含まれているアルコール蒸気がアルコールセンサによって検知され、比較回路、判定回路、および阻止信号発信回路からなる自動制御装置が作動して自動車が走行できない状態になる。これにより、酒気を帯びた者は当該自動車を発進させることができず、酩酊運転が防止される。
【0042】
請求項2の発明装置によると、自動車に乗っている者の中から運転者を特定して、飲酒運転の防止を確実に行なうことができる。
すなわち、当該自動車の中に、運転者以外の酩酊者が乗っていても、運転席に乗っている者が酒気を帯びていないことを判定した場合には当該自動車の走行が可能となるので、不特定の乗客を乗せる営業用自動車に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態を示す模式図に作動系統を付記した図である。
【図2】本発明を創作する過程において案出した試案に係る装置を示す模式図に作動系統を付記した図である。
【符号の説明】
1,1R,1L・・・運転席アルコールセンサ、2・・・客席アルコールセンサ、3A,3B・・・アルコール検出回路、4・・・比較判定回路、5・・・変速機中立位置ロック信号、6・・・トランスミッション、7・・・点火系統作動阻止信号、8a・・・キースイッチ、8b・・・自動車キー、9・・・操向系統作動阻止信号、10・・・パワーステアリング、11・・・始動系統作動阻止信号、12・・・セルモータ、13・・・燃料系統遮断信号、14・・・燃料ノズル、15・・・風向センサ、16・・・比較回路、17・・・風向センサ、18・・・判定回路、19・・・阻止信号発信回路、
Claims (2)
- 自動車の運転席近傍に、少なくとも2個のアルコール蒸気を検知するセンサを設置するとともに、該運転席の近傍に空気の流れを検出する風向センサを設置し、
これらセンサの検出信号を自動制御装置に入力せしめ、
運転席の風上側のアルコールセンサ検出値に比して、風下側のアルコールセンサの検出値が高い場合は、
前記自動制御装置から点火系統作動阻止指令信号を出力して、当該自動車に搭載されているエンジンの点火系統の作動を停止させ、
又は該自動制御装置から燃料供給遮断指令信号を出力して、当該自動車に搭載されているエンジンの燃料供給を遮断し、
又は該自動制御装置から始動電動機作動阻止指令信号を出力して、当該自動車に搭載されているエンジンの始動電動機の通電を遮断し、
又は該自動制御装置から操向系統作動阻止指令信号を出力して、当該自動車に装備さている操向機構をロックし、
又は該自動制御装置から変速機中立位置ロック指令信号を出力して、当該自動車に装備されている変速機を中立位置にロックすることを特徴とする、運転操作における危険防止方法。 - 自動車の運転席周辺に設置された2個のアルコールセンサと、
該運転席周辺の空気の流れを検知する風向センサと、
前記2個のアルコールセンサ相互の検出値の大小を比較する比較回路と、
前記風向検出センサの出力信号および比較回路の出力信号を入力されて、風下側のアルコールセンサの検出値が風上側のアルコールセンサの検出値よりも大きいか否かを判定する判定回路とを具備しており、
かつ、上記判定回路の出力信号が「風下側のアルコール濃度が風上側のアルコール濃度よりも大きいこと」を意味するものであるとき、この判定回路の出力信号を入力されて、点火系統作動阻止指令信号を出力して当該自動車に搭載されているエンジンの点火系統の作動を停止させる機能を有し、
又は燃料供給遮断指令信号を出力して当該自動車に搭載されているエンジンの燃料供給を遮断する機能を有し、
又は始動電動機作動阻止指令信号を出力して当該自動車に搭載されているエンジンの始動電動機の通電を遮断する機能を有し、
又は操向系統作動阻止指令信号を出力して当該自動車に装備さている操向機構をロックする機能を有し、
又は変速機中立位置ロック指令信号を出力して当該自動車に装備されている変速機を中立位置にロックする機能を有する阻止信号発信回路(19)を具備していることを特徴とする、運転操作における危険防止装置。
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