以下、本発明の推定摂取量演算システム、及び、推定摂取量演算プログラムを適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態>
図1は、実施の形態の生体ガス測定装置100を示す図である。図1には、生体ガス測定装置100の断面構造を示す。生体ガス測定装置100は、実施の形態の推定摂取量演算システムに含まれる。生体ガス測定装置100は、被検者の生体ガスの中に含まれるアンモニアガス、アルコールガス、アセトアルデヒドを検出するセンサデバイスである。
ここで、生体とは被検者の体であり、生体内とは被検者の体内である。被検者とは、生体ガス測定装置100による生体ガスの測定対象者である。生体ガスとは、典型的には呼気であるが、呼気に限らず、皮膚から排出されるガス、排泄物から排出されるガス、及び屁を含む。
生体ガス測定装置100は、筐体110、逆止弁120A、120B、スイッチ130A、温度センサ130B、湿度センサ130C、ガスセンサ150A、150B、150C、抵抗測定回路160、変換回路165、測定処理部170、通信部180、ポンプ190A、及びフィルタ190Bを含む。
筐体110は、導入口111A、乾燥室111B、測定室111C、排気口111D、パージガス導入口111Eを有する。導入口111Aは、生体ガスを乾燥室111Bに導入する導入口であり、乾燥室111Bに導入された生体ガスは、乾燥室111Bで乾燥(除湿)されてから測定室111Cに導入される。典型的には、被検者は、導入口111Aに呼気を吹き込む。導入口111Aには、逆止弁120Aが設けられており、乾燥室111Bに導入されたガスの流出を抑制している。
乾燥室111Bは、筐体110の内部で測定室111Cの前に設けられた前室であり、測定室111Cに連通している。乾燥室111Bには、乾燥剤111B1が配置されている。乾燥室111Bに導入された生体ガスは、湿度50%程度まで乾燥(除湿)されてから測定室111Cに導入される。乾燥剤111B1は、一例として石灰を含む。なお、ここでは乾燥室111Bを設ける形態について説明するが、乾燥が不要な場合は乾燥室111Bと乾燥剤111B1を設けなくてよい。 測定室111Cは、筐体110の内部に設けられた空間(チャンバ)であり、導入口111A、排気口111D、及びパージガス導入口111Eを介して筐体110の外部空間に繋がっている。排気口111Dには、逆止弁120Bが設けられており、測定室111Cの外部からのガスの流入を抑制している。
パージガス導入口111Eには、パイプ112が接続されており、パイプ112にはポンプ190Aとフィルタ190Bが直列的に挿入されている。ポンプ190Aは、パージガスを測定室111C内に導入するために設けられているが、ガスセンサ150A、150B、150Cで測定を行うとき(測定時)には停止されており、停止状態ではパージガスはパージガス導入口111Eを介して測定室111C内に導入されない。
測定時に導入口111Aから生体ガスが測定室111C内に吹き込まれると、逆止弁120A、120Bによって測定室111C内には生体ガスが閉じ込められる。また、測定終了後にポンプ190Aを作動させると、パイプ112を介してパージガス導入口111Eから測定室111C内にパージガスが導入される。これにより測定室111C内の圧力が上昇し、逆止弁120Bを通過して生体ガスが排気口111Dから排出される。この結果、ガスセンサ150A、150B、150Cの表面から生体ガスが除去される。
測定室111Cの内部には、温度センサ130B、湿度センサ130C、及びガスセンサ150A、150B、150Cが設けられている。温度センサ130B及び湿度センサ130Cは、測定室111Cの上側の壁面に取り付けられており、ガスセンサ150A、150B、150Cは、測定室111Cの底面に取り付けられている。
温度センサ130Bは、測定室111Cの内部の温度を測るために設けられており、温度を表すデータを測定処理部170に出力する。湿度センサ130Cは、一例として、測定室111Cの内部の湿度を測るために設けられており、湿度を表すデータを測定処理部170に出力する。
ガスセンサ150A、150B、150Cは、一例として、測定室111Cの底面に配置されている。ガスセンサ150A、150B、150Cは、導入口111Aから排気口111Dに向かう測定室111C内の流路において、流路に沿ってこの順に配列されている。ガスセンサ150A、150B、150Cは、それぞれ異なるガスを検出するセンサである。
ガスセンサ150Aは、一例として、アンモニアガスを検出するセンサである。ガスセンサ150Aは、第3検出部の一例である。ガスセンサ150Aは、一例として、臭化第一銅(CuBr)膜を用いたセンサであり、測定室111Cに導入される生体ガスに含まれる可能性があるアンモニアを検出するために設けられている。臭化第一銅は、アンモニア(NH3)ガスを吸着するため、ガスセンサ150Aは、アンモニア雰囲気下で抵抗値が変化する。
ガスセンサ150Aは、支持基板151Aの上に、2つの電極152Aと、2つの電極152Aに跨る臭化第一銅膜153Aとを成膜したものである。支持基板151Aは、例えば、熱酸化膜が形成されたSiウェハであり、2つの電極152Aは、例えば、Au(金)/Pt(白金)/Ti(チタン)をそれぞれ50nm/50nm/10nmの厚さで積層した電極である。また、センサ膜としての臭化第一銅膜153Aの厚さは、例えば、500nmである。2つの電極152Aは、抵抗測定回路160に接続される。
抵抗測定回路160は、ガスセンサ150Aの臭化第一銅膜153Aに所定の電圧(例えば、2V)を印加し、臭化第一銅膜153Aに流れる電流値を検出する。電流値は、臭化第一銅膜153Aの抵抗値を表す。電流値を表すデータは、変換回路165に伝送される。
ガスセンサ150Aは、P型半導体である臭化第一銅膜153Aにアンモニア分子が可逆的に吸着・脱離する性質を利用し、臭化第一銅膜153Aの組成及び膜厚を最適化したセンサデバイスである。アンモニアの吸着で銅のキャリア濃度が変化することで、電極間の電気抵抗が変化する現象を利用している。ガスセンサ150Aは、呼気に多く含まれるガスの一つであるアセトンに対して、2500倍の感度差で、10ppbからアンモニアだけを区別した計測が可能である。
また、特にアンモニア以外の有機ガスに対して感度差をつけるために、臭化第一銅膜153Aの表面に有機薄膜を形成してもよい。この場合、相対的に感度を低下させるために、有機薄膜をなるべく薄く形成するようにする方が望ましい。例えば、臭化第一銅膜153Aの表面に金粒子を塗布し、高分子ガスに晒すことにより、有機薄膜の単分子層を形成してもよい。高分子ガスとしては、例えば、アミン系、チオール系、シラン系のカップリング材を含むガスを用いるとよい。
なお、ここでは、ガスセンサ150Aが第1ガス感応素子として臭化第一銅膜153Aを含む形態について説明するが、第1ガス感応素子の組成は、厳密に臭化第一銅ではなくてもよい。第1ガス感応素子の組成は、銅(Cu)又は銀(Ag)を主材料とするハロゲン化合物あるいはハロゲン酸化物であればよい。
ガスセンサ150Bは、一例として、アルコールガスを検出するセンサである。ガスセンサ150Bは、第1検出部の一例である。ガスセンサ150Bは、ヒータ155Bの上に配置されており、支持基板151Bの上に、2つの電極152Bと、2つの電極152Bに跨る酸化スズ膜153Bとを成膜したものである。支持基板151B及び電極152Bは、支持基板151A及び電極152Aと同様である。
ガスセンサ150Bは、ヒータ155Bで過熱した状態で、アルコールガスが酸化スズ膜153Bに付着すると、酸化スズ膜153Bの抵抗値が変化する。
抵抗測定回路160は、ガスセンサ150Bの酸化スズ膜153Bに所定の電圧を印加し、酸化スズ膜153Bに流れる電流値を検出する。電流値は、酸化スズ膜153Bの抵抗値を表す。電流値を表すデータは、変換回路165に伝送される。
酸化スズ膜153Bは、主体とする金属の種類、又は、ガス触媒作用を持つ貴金属を含有させた場合のヒータ155Bの加熱量によって、選択性を持たせることができる。選択性とは、ガス種による酸化スズ膜153Bの抵抗値の変化率の度合の差であり、ここでは、アルコールガスに対する抵抗値の変化率の度合と、アルコールガス以外のガスに対する抵抗値の変化率の度合との差である。
例えば、酸化スズ膜153Bに、貴金属であるパラジウム又は白金、アルミニウム、鉛等の添加金属を含有させることで、ガス種に対する選択性を調整することができる。具体的には、酸化スズ膜153Bは、アルコールガス以外にアセトンガスに対して感度を有する。このため、アセトンガスの選択性に対するアルコールガスの選択性は、10倍程度に設定することが望ましい。
なお、ガスセンサ150Bとしては、上述のような構成のものに限らず、アルコール(エタノール)に含まれる水素を水素イオンと電子に分離して電力を発生させることで、アルコールを検出するセンサを用いてもよく、さらに他の方式でアルコールを検出するセンサを用いてもよい。
ガスセンサ150Cは、一例として、アセトアルデヒドガスを検出するセンサである。ガスセンサ150Cは、第2検出部の一例である。ガスセンサ150Cは、ヒータ155Cの上に配置されており、支持基板151Cの上に、2つの電極152Cと、2つの電極152Cに跨るアセトアルデヒド検出膜153Cとを成膜したものである。支持基板151C及び電極152Cは、支持基板151A及び電極152Aと同様である。
アセトアルデヒド検出膜153Cは、Cu(銅)とハロゲン元素を含むベース膜に、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)[poly(3,4-ethylenedioxythiophene)]/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)を結合させた構成を有し、アセトアルデヒドを速い応答速度で、高感度で検出できる検出膜である。アセトアルデヒド検出膜153Cの詳細な構成については、図3を用いて後述する。
ガスセンサ150Cは、で、アセトアルデヒドガスがアセトアルデヒド検出膜153Cに付着すると、アセトアルデヒド検出膜153Cの抵抗値が変化する。なお、ガスセンサ150Cを再度利用する前にヒータ155Cで加熱すると、再度利用するまでの期間を短縮することができる。
抵抗測定回路160は、ガスセンサ150Cのアセトアルデヒド検出膜153Cに所定の電圧を印加し、アセトアルデヒド検出膜153Cに流れる電流値を検出する。電流値は、アセトアルデヒド検出膜153Cの抵抗値を表す。電流値を表すデータは、変換回路165に伝送される。
なお、ガスセンサ150Cとしては、上述のような構成のものに限らず、他の方式でアセトアルデヒドを検出するセンサを用いてもよい。
以上のように、ガスセンサ150A、150B、150Cについては、ガスセンサ150Aにはヒータが取り付けられておらず、ガスセンサ150B、150Cにはヒータ155B、155C、155Dが取り付けられている。
したがって、導入口111Aから排気口111Dに向かう測定室111C内の流路に沿って、ガスセンサ150A、150B、150Cをこの順に配列することにより、ガスセンサ150Aがガスセンサ150B及び150Cのヒータ155B及び155Cの熱の影響を受け難い構成にすることができる。
抵抗測定回路160は、ガスセンサ150A、150B、150Cに接続されており、ガスセンサ150A、150B、150Cに電圧を印加して電流値を測定し、電流値を表すデータを変換回路165に伝送する。ガスセンサ150A、150B、150Cに流れる電流値は、ガスセンサ150A、150B、150Cの抵抗値に反比例した値であり、測定室111Cに導入された空気中におけるアンモニアガス、アルコールガス、アセトアルデヒドガスの濃度を表す。
なお、一例として、ガスセンサ150Aの臭化第一銅膜153Aの抵抗値は、アンモニアガスの濃度が高いほど上昇し、低いほど低下する。ガスセンサ150Bの酸化スズ膜153Bの抵抗値は、アルコールガスの濃度が高いほど低下し、低いほど上昇する。ガスセンサ150Cのアセトアルデヒド検出膜153Cの抵抗値は、アセトアルデヒドガスの濃度が高いほど上昇し、低いほど低下する。
抵抗測定回路160は、ガスセンサ150A、150B、150Cの電流値を表すデータを識別可能な状態で変換回路165に伝送する。
変換回路165は、抵抗測定回路160から入力されるガスセンサ150A、150B、150Cの電流値を表すアナログデータを電圧を表すアナログデータに変換してから、所定のサンプリング周期でデジタル変換する。さらに、変換回路165は、電圧値を表すデジタルデータを抵抗値に変換する。サンプリング周期は、一例として、0.1秒である。
変換回路165は、電流値を表すデータを電圧値を表すデータに変換する抵抗器と、電圧値を表すアナログデータをデジタル変換するA/D(Analog to Digital)変換器とを有する。変換回路165は、抵抗値を表すデータ(抵抗値データ)を測定処理部170に伝送する。
変換回路165は、生体ガス中のアンモニア濃度、アルコール濃度、及びアセトアルデヒド濃度を表す抵抗値データを取得する取得部の一例である。
測定処理部170は、制御部171及びメモリ172を有する。測定処理部170は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。
制御部171は、測定処理部170が実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ172は、測定処理部170のメモリを機能的に表したものである。
測定処理部170には、スイッチ130A、温度センサ130B、湿度センサ130C、抵抗測定回路160、変換回路165、通信部180、及びポンプ190Aが接続されている。
制御部171は、スイッチ130Aへの操作入力の内容に応じて、測定処理の開始又は停止、及びポンプ190Aの作動制御等を行う。
また、制御部171は、温度センサ130B、湿度センサ130C、及び変換回路165からそれぞれ入力される温度データ、湿度データ、及び抵抗値データに、タイムスタンプを付与する。これらのデータは、すべてデジタルデータである。
制御部171は、温度データ、湿度データ、及び抵抗値データに、上述のようなタイムスタンプを付与してから、通信部180を介して後述する推定摂取量演算装置200に送信する。この場合に、制御部171は、同一時刻を表すタイムスタンプを有する温度データ、湿度データ、及び抵抗値データを後述する推定摂取量演算装置200に送信するようにしてもよい。
メモリ172は、制御部171が取得する上述のデータを一時的に格納するとともに、上述のデータを後述する推定摂取量演算装置200に送信するために用いるプログラム及びデータ等を格納する。
通信部180は、インターネットを通じて無線通信を行うモデムである。
ポンプ190Aは、パージガス導入口111Eに接続されたパイプ112に接続されており、筐体110の外部の空気をパージガスとして測定室111Cに導入する。ポンプ190Aとしては、測定室111Cの内部の空気を吸引できるものであれば、どのような形式のものであってもよい。
フィルタ190Bは、パージガス導入口111Eに接続されたパイプ112において、ポンプ190Aよりも上流側に接続されており、パージガスに含まれる塵埃等を除去する。
図2は、ガスセンサ150Cの構成を示す図である。図2に示すように、アセトアルデヒド検出膜153Cは、Cu(銅)とハロゲン元素を含むベース膜153C1と、ベース膜153C1に結合したポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)[poly(3,4-ethylenedioxythiophene)]/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)153C2とを含む。ベース膜153C1は、ハロゲン化銅膜であって、具体的には、臭化第一銅(CuBr)膜である。
このように、アセトアルデヒド検出膜153Cにガスが吸着する部分にPEDOT/PSS153C2を用い、ベース膜(ベース材料)153C1に応答が速く、高感度であるCuBr膜を用いることで、アセトアルデヒドを応答が速く、高感度で検出できるアセトアルデヒド検出膜153Cを実現できる。
PSS単体、PEDOT単体では導電性が低いが、PEDOT/PSS153C2となることで導電性が発生する。
ここで、PEDOT/PSS153C2は、3,4-エチレンジオキシチオフェン[3,4-ethylenedioxythiophene](EDOT)をPSS存在下で、水中で酸化重合させることで、微粒子の水分散体として得られるものである。PEDOT単体はπ共役系ポリマーで、PSSはドーパントと水分散剤の役割をしている。
しかしながら、PEDOT/PSS153C2は、ガスセンサに用いるには抵抗値が著しく高い。一方、ベース膜153C1は、導電性が高く、例えばアンモニアセンサのセンサデバイスに備えられる感応膜に用いられており、応答が速く、高感度であるといった極めて優れた特長を持っている。
そこで、ベース膜にベース膜153C1を用い、ベース膜153C1の上面のガスが吸着する部分にPEDOT/PSS153C2を用いることで、アセトアルデヒドに対する応答が速く、高感度で検出できるアセトアルデヒド検出膜153Cを実現している。
また、アセトアルデヒド検出膜が高抵抗の場合には、簡易な測定回路では測定不可能であり、大型の測定装置が必要となって現実的でないのに対し、アセトアルデヒド検出膜153Cを上述のように構成することで低抵抗化を図ることで、比較的簡易な方法で測定できるようになる。
図2に示すように、PEDOT/PSS153C2は、ベース膜としてのベース膜153C1を構成する結晶粒の粒界及び結晶粒の表面に結合している。すなわち、アセトアルデヒド検出膜153Cは、ベース膜としてのベース膜153C1を構成する結晶粒の粒界及び結晶粒の表面にPEDOT/PSS153C2を結合(吸着)させた膜である。
ここでは、アセトアルデヒド検出膜153Cは、複数の結晶粒(例えば大きさの異なる複数の結晶粒)が並置されたベース膜153C1と、ベース膜153C1を構成する複数の結晶粒に沿ってベース膜153C1と結合したPSSと、PSSに吸着したPEDOTとを備える。
この場合、PEDOT/PSS153C2をCu+が架橋する特性から、CuBr膜を構成する結晶粒の表面を覆うPEDOT/PSSが凹凸形状に沿って均一に結合し、アセトアルデヒドを吸着する表面積が大きくなる。
このように、アセトアルデヒドを吸着する面積が大きくなるため、アセトアルデヒド濃度あたりの電気抵抗値の変化を大きくすることができ、応答が速く、高感度でアセトアルデヒドを検出することが可能となる。
図3は、制御部171がタイムスタンプを付与したデータを示す図である。制御部171は、図3に示すように、温度データ、湿度データ、及び抵抗値データにタイムスタンプが関連付けられる。
図3では、一例として、タイムスタンプはT1であり、T1が表す同一時刻に検出された温度データ、湿度データ、及び抵抗値データを示す。
また、制御部171は、同一時刻を表すタイムスタンプを有する温度データ、湿度データ、及び抵抗値データを行列式の形式のデータとして、推定摂取量演算装置200に送信してもよい。
図4は、推定摂取量演算システム500を示す図である。推定摂取量演算システム500は、生体ガス測定装置100、推定摂取量演算装置200、及びタブレットコンピュータ300を含む。生体ガス測定装置100、推定摂取量演算装置200、及びタブレットコンピュータ300は、インターネット1で接続されている。
推定摂取量演算装置200の機能は、クラウド上のコンピュータの機能によって実現される。クラウド上のコンピュータの機能は、1又は複数のコンピュータシステムによって実現される。また、推定摂取量演算装置200は、サーバ等のコンピュータシステムであってもよい。
生体ガス測定装置100で測定されるアンモニアガス、アルコールガス、アセトアルデヒド濃度を表すデータは、推定摂取量演算装置200に送信される。推定摂取量演算装置200は、アンモニアガス、アルコールガス、アセトアルデヒド濃度を表すデータに基づいて、被検者のアルコールの摂取量の推定値等を演算し、演算結果をタブレットコンピュータ300に送信する。
タブレットコンピュータ300は、推定摂取量演算システム500で利用する専用のアプリケーションプログラムがインストールされており、推定摂取量演算装置200から受信する演算結果を表示する。
図5は、コンピュータシステム10を示すブロック図である。ここでは、クラウド上のコンピュータの機能を実現する1又は複数のコンピュータシステムのうちの1つであるコンピュータシステム10について説明する。
コンピュータシステム10は、バス20によって接続されたCPU21、RAM又はROM等を含むメモリ部22、及びハードディスクドライブ(HDD(Hard Disk Drive))23を含む。コンピュータシステム10は、CPU21、メモリ部22、及びハードディスクドライブ(HDD)23の他に、入力インターフェイス及び出力インターフェイス等を含む。コンピュータシステム10は、図5に示す構成のものに限定されず、各種周知の要素を付加してもよく、又は、各種周知の要素を代替的に用いてもよい。
図6は、推定摂取量演算装置200を示す図である。推定摂取量演算装置200は、主制御部201、ガス濃度判定部202、代謝量演算部203、推定摂取量演算部204、保有判定部205、通信部206、及びメモリ208を有する。
主制御部201、ガス濃度判定部202、代謝量演算部203、推定摂取量演算部204、保有判定部205、通信部206、推定摂取量演算装置200が実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ208は、推定摂取量演算装置200のメモリを機能的に表したものである。
主制御部201は、推定摂取量演算装置200の制御処理を統括する制御部である。主制御部201は、ガス濃度判定部202、代謝量演算部203、推定摂取量演算部204、保有判定部205、通信部206が行う処理以外の処理を実行する。
また、主制御部201は、抵抗値データを温度データ及び湿度データと後述する抵抗値補正テーブルとを用いて補正する処理と、補正した抵抗値データから基準抵抗値に対する抵抗値の変化量を演算する処理とを行う。
ガス濃度判定部202は、アンモニア濃度、アルコール濃度、アセトアルデヒド濃度を所定の閾値又は前回の測定値と比較する処理を行う。より具体的には、例えば、ガス濃度判定部202は、アルコール濃度が所定の閾値以上であるかどうかを判定する処理、アセトアルデヒド濃度が前回の測定値よりも増加しているかどうかを判定する処理、及び、アンモニア濃度が所定の閾値以下であるかどうかを判定する処理を行う。ガス濃度判定部202は、濃度判定部の一例である。
代謝量演算部203は、生体ガス測定装置100の変換回路165によって取得され、測定処理部170によって送信されるアセトアルデヒド濃度から被検者の体内でのアルコール代謝量を演算する。
推定摂取量演算部204は、生体ガス測定装置100の変換回路165によって取得され、測定処理部170によって送信されるアルコール濃度と、代謝量演算部203によって演算されるアルコール代謝量とに基づいて、生体のアルコール推定摂取量を演算する。アルコール推定摂取量とは、検出されるアルコール濃度及び/又はアセトアルデヒド濃度の要因となるアルコールを生体が摂取したと推定される量である。
保有判定部205は、複数のタイミングで生体から取得される生体ガス中のアルコール濃度とアセトアルデヒド濃度との変化量に基づき、被検者がアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH2)を保有するかどうかを判定する。
通信部206は、インターネット1を介して、生体ガス測定装置100及びタブレットコンピュータ300とデータ通信を行う。より具体的には、通信部206は、生体ガス測定装置100から温度データ、湿度データ、及び抵抗値データを受信し、タブレットコンピュータ300に演算結果を表すデータを送信する。
メモリ208は、生体ガス測定装置100から受信する温度データ、湿度データ、及び抵抗値データに基づいて、推定摂取量演算装置200の演算結果を表すデータを作成する際に用いるプログラム及びデータ等を格納する。
図7は、タブレットコンピュータ300を示す斜視図である。タブレットコンピュータ300は、実施の形態の推定摂取量演算システム500に含まれる電子機器の一例である。
タブレットコンピュータ300の筐体300Aには、正面側にタッチパネル301及びディスプレイパネル302が配設され、タッチパネル301の下側には、ホームボタン303とスイッチ304が配設される。タッチパネル301は、ディスプレイパネル302の表面側に設けられている。
また、筐体300Aの内部には、推定摂取量演算システム500で利用する専用のアプリケーションプログラムがインストールされる制御部310が設けられている。制御部310は、CPU、RAM、ROM、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。制御部310は、タッチパネル301、ホームボタン303、スイッチ304への入力ないように応じて演算処理及び制御処理等を実行し、ディスプレイパネル302の表示を制御する。
タブレットコンピュータ300は、推定摂取量演算装置200から演算結果を表すデータを受信すると、ディスプレイパネル302に演算結果を表示する。このような処理は、タブレットコンピュータ300にインストールされている推定摂取量演算システム500専用のアプリケーションプログラムによって実行される。
なお、推定摂取量演算システム500に含まれる電子機器は、タブレットコンピュータ300に限られず、スマートフォン端末機、PC(Personal Computer)等であってもよい。
図8は、抵抗値補正テーブルを示す図である。抵抗値補正テーブルは、推定摂取量演算装置200の主制御部201が温度及び湿度に基づいて抵抗値を補正する際に用いるテーブル形式のデータである。
抵抗値補正テーブルは、横軸が温度、縦軸が湿度であり、温度と湿度によって補正係数C00~C105の値が設定されている。温度は10℃刻みで0℃~50℃までの範囲であり、湿度は10%刻みで0%~100%までの範囲である。
ガスセンサ150A、150B、150Cの抵抗値は、温度と湿度によって変動するため、測定日時による温度及び湿度の変動分を除去して定性的な比較を可能にするために、抵抗値補正テーブルを利用する。
なお、補正係数C00~C105の各々の値は、シミュレーション又は実験等で予め決めておけばよい。また、抵抗値補正テーブルは、温度が10℃刻みで湿度が10%刻みであるため、抵抗値補正テーブルに含まれる値を補間して、測定時の温度及び湿度の値に応じた補正係数Cを求めればよい。
図9は、飲酒後の生体ガスに含まれるアンモニア濃度、アルコール濃度、アセトアルデヒド濃度の推移を示す図である。図9では横軸が時間(右方向が正)を表し、縦軸はアンモニア濃度、アルコール濃度、アセトアルデヒド濃度を表す。
このようなアンモニア濃度、アルコール濃度、アセトアルデヒド濃度の推移は、例えば、文献:D.Smith et al.,Physiol.Meas.23(2002)477、及び、文献:二階堂等、第30回におい・かおり環境学会(2017)81に記載されている。
アルコール脱水素酵素(ADH)とアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)を適度に保有する人間がアルコールを摂取(典型的には飲酒)すると、アルコールは体内でアセトアルデヒドに変換され、アセトアルデヒドは酢酸に変換され、酢酸は水と二酸化炭素に分解される。
時刻t0で飲酒した場合に、一点鎖線で示すアンモニア濃度は、飲酒直後に大幅に低下し、その後徐々に回復する傾向を示す。また、アルコール濃度は、飲酒後15分から20分程度してから増加し始め、最大値を取った後に徐々に低下する。また、アセトアルデヒド濃度は、飲酒後にアルコール濃度よりも遅れて増加し始め、最大値を取った後に徐々に低下する。アセトアルデヒド濃度の推移は、全体的にアルコール濃度よりも遅れている。
ここでは、便宜的に、飲酒後の期間を1期、2期、3期の3つの期間に分けて検討する。1期は、アルコール濃度が増加し、アンモニア濃度が急激に低下する期間である。2期は、アルコール濃度が最大値から低下し始め、アセトアルデヒド濃度が増加する期間である。なお、2期においてアンモニア濃度は(1期で最小値を取った後に)徐々に増加する。3期は、アルコール濃度とアセトアルデヒド濃度が低下する期間であり、アンモニア濃度は大きく変化せず略一定である。
推定摂取量演算装置200は、このような飲酒後の生体ガスに含まれるアンモニア濃度、アルコール濃度、アセトアルデヒド濃度の推移を利用して、アルコール推定摂取量等を演算する。
次に、2期におけるアルコール推定摂取量の求め方について説明する。図10は、2期におけるアルコール濃度とアセトアルデヒド濃度の推移を示す図である。図10に示すように、2期に含まれる時刻t1、t2(t2>t1)の間において、アルコール濃度は低下し、アセトアルデヒド濃度は増加する。
時刻t1、t2における生体ガスのアルコール濃度をそれぞれCACL1、CACL2とする。時刻t2は、時刻t1よりも後である。また、時刻t1、t2における生体ガスのアセトアルデヒド濃度をそれぞれCALD1、CALD2とする。
2期は、アルコール濃度の変化量ΔCACL=CACL2-CACL1<0となり、アセトアルデヒド濃度の変化量ΔCALD=CALD2-CALD1>0となる期間である。図10に示すように、2期ではアルコール濃度が低下し、アセトアルデヒド濃度が増加するからである。
生体内での代謝により、アルコールはアセトアルデヒドに変換されるので、生体内での代謝率α2は、次式(1)で表すことができる。
α2=ΔCACL/ΔCALD (1)
このため、被検者の体内でアルコールがアセトアルデヒドに変換される量が時間に対して線形的に推移すると考えると、被検者がアルコールを摂取した時刻t0から時刻t2までの間にアセトアルデヒドに変換されるアルコール量CACLXは、アルコール濃度で表すと、次式(2)のようになる。アルコール量CACLXは、アルコール代謝量である。
CACLX=α2×{CALD1+ΔCALD×(t1-t0)/(t2-t1)} (2)
したがって、時刻t0において被検者が摂取したと推定されるアルコール量であるアルコール推定摂取量CACLは、次式(3)で表すことができる。
CACL=CACL1+CACLX (3)
以上のように、被検者のアルコール推定摂取量CACLを求めることができる。
次に、3期におけるアルコール推定摂取量の求め方について説明する。ここでは、時刻t1、t2が3期に含まれるものとして説明する。
時刻t1、t2における生体ガスのアルコール濃度をそれぞれCACL1、CACL2とする。時刻t2は、時刻t1よりも後である。また、時刻t1、t2における生体ガスのアセトアルデヒド濃度をそれぞれCALD1、CALD2とする。
3期におけるアルコール濃度とアセトアルデヒド濃度の変化量は2期に比べると小さいため、3期ではアルコール濃度の減少分TALCと、アセトアルデヒド濃度の減少分とを対数で表す。
アルコール濃度の減少分TALCと、アセトアルデヒド濃度の減少分TALDとは、それぞれ、次式(4)、(5)で表すことができる。
TALC=logCACL1-logCACL2 (4)
TALD=logCALD1-logCALD2 (5)
また、生体内での代謝によってアルコールがアセトアルデヒドに変換される割合である代謝率α3は、アセトアルデヒド濃度の減少分TALDをアルコール濃度の減少分TALCで除算することで得られるため、次式(6)で表される。
α3=TALD/TALC (6)
ここで、ALDH2を保有する生体の場合、代謝率α3<2であることが実験等によって分かっている。このため、代謝率α3≧2であるかどうかを判定すれば、被検者がALDH2を保有しているかどうかを判定することができる。
また、被検者がアルコールを摂取した時刻t0から時刻t2までの間にアセトアルデヒドに変換されるアルコール量CACLXは、代謝率α3を用いてアルコール濃度で表すと、次式(7)のようになる。
log(CACLX)=(1/α3)×{CALD1+(-TALD)×(t1-t0)/(t2-t1)} (7)
なお、アセトアルデヒド濃度の減少分TALDに負の符号をつけているのは、アセトアルデヒド濃度の減少分TALDは、時刻t1から時刻t2までの減少分だからである。
したがって、時刻t0において被検者が摂取したと推定されるアルコール量であるアルコール推定摂取量CACLは、次式(8)で表すことができる。
CACL=CACL1+CACLX (8)
以上のように、3期においても被検者のアルコール推定摂取量CACLを求めることができる。なお、3期は2期よりも後の期間であるため、時刻t0で飲酒してからの経過時間は2期よりも長い。このため、時刻t0で摂取されたアルコールのうち、生体内で代謝されずに生体から汗等として直接的に排出されるアルコールも生じうる。
このため、直接的に排出されるアルコールの平均的な量を実験等で求め、3期で求めるアルコール推定摂取量CACLに対して、補正量として追加してもよい。
図11及び図12は、推定摂取量演算装置200が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
主制御部201は、処理を開始(スタート)すると、通信部206を介して生体ガス測定装置100から抵抗値データを受信したかどうかを判定する(ステップS1)。なお、主制御部201は、抵抗値データを受信するまでステップS1の処理を繰り返し実行する。
主制御部201は、生体ガス測定装置100から受信した抵抗値データを温度データ及び湿度データと抵抗値補正テーブルを用いて補正する(ステップS2)。抵抗値データの補正に用いる温度データ及び湿度データは、抵抗値データのタイムスタンプと等しい時刻のタイムスタンプを有する温度データ及び湿度データである。
主制御部201は、抵抗値データのタイムスタンプと等しい時刻のタイムスタンプを有する温度データ及び湿度データに基づいて、抵抗値補正テーブルから補正係数Cの補間値を求め、補間値を抵抗値に乗算することにより、抵抗値を補正する。
主制御部201は、ステップS2で補正された抵抗値データを用いて、基準抵抗値に対する抵抗値の変化量を演算する(ステップS3)。主制御部201は、ステップS3では、ガスセンサ150A、150B、150Cの各々の抵抗値について、基準抵抗値に対する抵抗値の変化量を演算する。
保有判定部205は、ステップS3で演算された抵抗値の変化量のうちのガスセンサ150Aの抵抗値の変化量に基づいて、アンモニア濃度が正常範囲内であるかどうかを判定する(ステップS4)。
正常範囲とは、健康な成人の生体ガス(呼気)に含まれる平均的なアンモニア濃度の範囲であり、一例として、250ppb~450ppbである。例えば、疲労が蓄積している人の呼気に含まれるアンモニア濃度は増加する。また、飲酒直後にはアンモニア濃度は低下する。正常な範囲の上限は、疲労が蓄積している人の呼気に含まれる平均的なアンモニア濃度よりも低く、下限は、飲酒直後に低下する平均的なアンモニア濃度よりも高い。
保有判定部205によってアンモニア濃度が正常範囲内にない(S4:NO)と判定されると、主制御部201は、疲労が蓄積している旨のメッセージをタブレットコンピュータ300に表示させる指令を通信部206を介してタブレットコンピュータ300に送信する(ステップS5)。主制御部201は、ステップS5の処理を終えると、フローをステップS6に進行させる。
疲労が蓄積すると、血中のアンモニア濃度が増加することが分かっている。また、ストレス等によって血中のアンモニア濃度が低下することが分かっている。このため、ステップS5では、アンモニア濃度が正常範囲内にない場合は、被検者に疲労が溜まっていると判定する。
一方、保有判定部205によってアンモニア濃度が正常範囲内である(S4:YES)と判定されると、ガス濃度判定部202は、ステップS3で演算された抵抗値の変化量のうちのガスセンサ150Bの抵抗値の変化量に基づいて、アルコール濃度が所定の閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS6)。所定の閾値は、一例として73ppmであり、0.15mg/lを換算した値である。0.15mg/lは、呼気1リットル中のアルコール量であり、日本国内での酒気帯び運転の判定基準である。
ガス濃度判定部202によってアルコール濃度が所定の閾値以上である(S6:YES)と判定されると、主制御部201は、30分後の再測定を求める旨のメッセージをタブレットコンピュータ300に表示させる指令を通信部206を介してタブレットコンピュータ300に送信する(ステップS7)。
主制御部201は、30分後に生体ガス測定装置100から抵抗値データを受信したかどうかを判定する(ステップS8)。なお、主制御部201は、抵抗値データを受信するまでステップS8の処理を繰り返し実行する。
主制御部201は、抵抗値データを受信した(S8:YES)と判定すると、生体ガス測定装置100から受信した抵抗値データを温度データ及び湿度データと抵抗値補正テーブルを用いて補正する(ステップS9)。ステップS9の処理は、ステップS2と同様である。
主制御部201は、ステップS9で補正された抵抗値データを用いて、基準抵抗値に対する抵抗値の変化量を演算する(ステップS10)。ステップS10の処理は、ステップS3と同様である。
ガス濃度判定部202は、ステップS3でガスセンサ150Cの抵抗値について演算された基準抵抗値に対する抵抗値の変化量と、ステップS10でガスセンサ150Cの抵抗値について演算された基準抵抗値に対する抵抗値の変化量とを比較し、アセトアルデヒド濃度が増加しているかどうかを判定する(ステップS11)。
ガス濃度判定部202によってアセトアルデヒド濃度が増加している(S11:YES)と判定されると、代謝量演算部203はアルコール代謝量を演算する(ステップS12A)。
ステップS3で得られる1回目のガスセンサ150Cの抵抗値の変化量に対して、ステップS10で得られる2回目のガスセンサ150Cの抵抗値の変化量が増大しており、アセトアルデヒド濃度が増加しているので、被検者の状態が図9における2期に含まれることが分かる。このため、ステップS12Aでは、2期におけるアルコール推定摂取量を求める。
具体的には、代謝量演算部203は、ステップS3で得られる1回目のガスセンサ150Cの抵抗値の変化量と、ステップS10で得られる2回目のガスセンサ150Cの抵抗値の変化量とに基づき、式(1)を用いて生体内での代謝率α2を演算する。
ここで、ステップS1で受信する抵抗値データが測定された時点を時刻t1として取扱い、ステップS8で受信する抵抗値データが測定された時点を時刻t2として取扱うことにより、時刻t1、t2におけるアルコール濃度CACL1、CACL2と、時刻t1、t2におけるアセトアルデヒド濃度をそれぞれCALD1、CALD2とを式(1)に代入すればよい。
また、代謝量演算部203は、式(2)を用いて、被検者がアルコールを摂取した時点(時刻t0)から2回目の測定時(時刻t2)までの間にアルデヒドに変換されるアルコール量CACLXを演算する。アルコール量CACLXは、生体内での代謝によってアセトアルデヒドに変換されるアルコール代謝量である。
次に、推定摂取量演算部204は、アルコール推定摂取量を演算する(ステップS12B)。具体的には、推定摂取量演算部204は、式(3)に基づいて、ステップS10でガスセンサ150Bの抵抗値について演算された基準抵抗値に対する抵抗値の変化量(アルコール濃度)と、代謝量演算部203によって演算されるアルコール代謝量(アルコール量CACLX)とに基づいて、生体のアルコール推定摂取量を演算する。なお、推定摂取量演算部204は、アルコール推定摂取量をmg/l単位の値で出力する。
以上のステップS12A及びS12Bにおける演算処理により、アルコール推定摂取量が演算される。
主制御部201は、ステップS12で求めたアルコール推定摂取量を表すデータと、飲酒していることを表すメッセージとを表示させる指令を通信部206を介してタブレットコンピュータ300に送信する(ステップS13)。
主制御部201は、ステップS13の処理を終えると、一連の処理を終了する(エンド)。
また、ステップS11でガス濃度判定部202によってアセトアルデヒド濃度が増加していない(S11:NO)と判定されると、主制御部201は、再測定を求める旨のメッセージをタブレットコンピュータ300に表示させる指令を通信部206を介してタブレットコンピュータ300に送信する(ステップS14)。
主制御部201は、生体ガス測定装置100から抵抗値データを受信したかどうかを判定する(ステップS15)。なお、主制御部201は、抵抗値データを受信するまでステップS15の処理を繰り返し実行する。
主制御部201は、抵抗値データを受信した(S15:YES)と判定すると、生体ガス測定装置100から受信した抵抗値データを温度データ及び湿度データと抵抗値補正テーブルを用いて補正する(ステップS16)。ステップS16の処理は、ステップS2と同様である。
主制御部201は、ステップS16で補正された抵抗値データを用いて、基準抵抗値に対する抵抗値の変化量を演算する(ステップS17)。ステップS17の処理は、ステップS3と同様である。
保有判定部205は、アルコール濃度の減少分TALCと、アセトアルデヒド濃度の減少分TALDとから代謝率α3を演算する(ステップS18A)。ここでは、ステップS8で受信する抵抗値データが測定された時点を時刻t1として取扱い、ステップS15で受信する抵抗値データが測定された時点を時刻t2として取扱えばよい。そして、時刻t1、t2におけるアルコール濃度CACL1、CACL2と、時刻t1、t2におけるアセトアルデヒド濃度をそれぞれCALD1、CALD2とを式(4)、(5)に代入して、アルコール濃度の減少分TALCと、アセトアルデヒド濃度の減少分TALDとを求めればよい。
そして、保有判定部205は、式(6)を用いて、アルコール濃度の減少分TALCと、アセトアルデヒド濃度の減少分TALDとから代謝率α3を求めればよい。
次に、代謝量演算部203はアルコール代謝量を演算する(ステップS18B)。ステップS3で得られる1回目のガスセンサ150Cの抵抗値の変化量に対して、ステップS10で得られる2回目のガスセンサ150Cの抵抗値の変化量が減少しており、アセトアルデヒド濃度が低下しているので、被検者の状態が図9における3期に含まれることが分かる。このため、ステップS18B及びS18Cでは、3期におけるアルコール推定摂取量を求める。
具体的には、代謝量演算部203は、式(7)を用いて、被検者がアルコールを摂取した時点(時刻t0)から3回目の測定時(時刻t2)までの間にアルデヒドに変換されるアルコール量CACLXを演算する。アルコール量CACLXは、生体内での代謝によってアセトアルデヒドに変換されるアルコール代謝量である。
次に、推定摂取量演算部204は、アルコール推定摂取量を演算する(ステップS18C)。具体的には、推定摂取量演算部204は、式(8)に基づいて、ステップS17でガスセンサ150Bの抵抗値について演算された基準抵抗値に対する抵抗値の変化量(アルコール濃度)と、代謝量演算部203によって演算されるアルコール代謝量(アルコール量CACLX)とに基づいて、生体のアルコール推定摂取量を演算する。なお、推定摂取量演算部204は、アルコール推定摂取量をmg/l単位の値で出力する。
以上のステップS18B及びS18Cにおける演算処理により、3期におけるアルコール推定摂取量が演算される。
保有判定部205は、ステップS18Aで求めた代謝率α3が、生体ガス測定装置100のガスセンサ150Cの計測精度の下限値に対応する値以上であるかどうかを判定する(ステップS19)。計測精度の下限値は、一例として10ppbであるため、計測精度の下限値に対応する代謝率α3の値を予め求めて設定しておけばよい。
保有判定部205は、ステップS19において計測精度の下限値以上の値である(S19:YES)と判定すると、代謝率α3が所定値以上であるかどうかを判定する(ステップS20)。所定値は、計測精度の下限値に対応する値よりも大きな値であり、一例として2である。
ステップS20は、被検者がALDH2を保有するかどうかを判定する処理である。ステップS7での測定とステップS14での測定との間には時間差があるため、時間差の分だけアルコールが減少してアセトアルデヒドが増加しているかどうかを判定することで、ALDH2の保有者であるかどうかを判定している。
主制御部201は、ステップS20において代謝率α3が所定値以上である(S20:YES)と判定すると、被検者が飲酒していることと、被検者がALDH2の保有者であることとアルコール推定摂取量とを表すメッセージをタブレットコンピュータ300に表示させる指令を通信部206を介してタブレットコンピュータ300に送信する(ステップS21)。主制御部201は、ステップS21の処理を終えると、一連の処理を終了する(エンド)。
また、主制御部201は、ステップS20において所定値以上ではない(S20:NO)と判定すると、被検者が飲酒していることと、被検者がALDH2の保有者ではないこととアルコール推定摂取量とを表すメッセージをタブレットコンピュータ300に表示させる指令を通信部206を介してタブレットコンピュータ300に送信する(ステップS22)。主制御部201は、ステップS21の処理を終えると、一連の処理を終了する(エンド)。
また、ステップS19において保有判定部205によって計測精度の下限値以上の値ではない(S19:NO)と判定されると、主制御部201は、再測定を求める旨のメッセージを通信部206を介してタブレットコンピュータ300に送信する(ステップS23)。主制御部201は、ステップS23の処理を終えると、フローをステップS15にリターンする。ステップS15乃至S18の処理を経て、再度ステップS19の判定処理を行うためである。
また、ガス濃度判定部202は、ステップS6においてアルコール濃度が所定の閾値以上ではない(S6:NO)と判定すると、アンモニア濃度が所定の閾値以下であるかどうかを判定する(ステップS24)。所定の閾値は、一例として250ppbであり、ステップS2の判定に用いる正常範囲の下限値と等しい。
ガス濃度判定部202によってアンモニア濃度が所定の閾値以下である(S24:YES)と判定されると、主制御部201は、30分後に再測定を求める旨のメッセージをタブレットコンピュータ300に表示させる指令を通信部206を介してタブレットコンピュータ300に送信する(ステップS25)。
主制御部201は、約30分後に生体ガス測定装置100から抵抗値データを受信したかどうかを判定する(ステップS26)。なお、主制御部201は、抵抗値データを受信するまでステップS8の処理を繰り返し実行する。
主制御部201は、抵抗値データを受信した(S26:YES)と判定すると、生体ガス測定装置100から受信した抵抗値データを温度データ及び湿度データと抵抗値補正テーブルを用いて補正する(ステップS27)。ステップS27の処理は、ステップS2と同様である。
主制御部201は、ステップS27で補正された抵抗値データを用いて、基準抵抗値に対する抵抗値の変化量を演算する(ステップS28)。ステップS28の処理は、ステップS3と同様である。
ガス濃度判定部202は、ステップS28で演算された抵抗値の変化量のうちのガスセンサ150Bの抵抗値の変化量に基づいて、アルコール濃度が所定の閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS29)。所定の閾値は、ステップS6と同様に、一例として73ppmであり、0.15mg/lを換算した値である。0.15mg/lは、呼気1リットル中のアルコール量であり、日本国内での酒気帯び運転の判定基準である。
ガス濃度判定部202によってアルコール濃度が所定の閾値以上である(S29:YES)と判定されると、主制御部201は、飲酒していることを表すメッセージを表示させる指令を通信部206を介してタブレットコンピュータ300に送信する(ステップS30)。
一方、ガス濃度判定部202によってアルコール濃度が所定の閾値以上ではない(S29:NO)と判定されると、主制御部201は、飲酒していないことと、疲労していることを表すメッセージを表示する指令を通信部206を介してタブレットコンピュータ300に送信する(ステップS31)。アルコール濃度が所定の閾値未満で、アンモニア濃度が所定の閾値未満である場合は、ストレス等によってアンモニア濃度が低下していると考えられるからである。
主制御部201は、ステップS30又はS31の処理を終えると、一連の処理を終了する(エンド)。
また、ステップS24において、ガス濃度判定部202によってアンモニア濃度が所定の閾値以下ではない(S24:NO)と判定されると、主制御部201は、飲酒していないことと、疲労しておらず体調良好であることを表すメッセージをタブレットコンピュータ300に表示させる指令を通信部206を介してタブレットコンピュータ300に送信する(ステップS32)。
主制御部201は、ステップS32の処理を終えると、一連の処理を終了する(エンド)。
図13は、タブレットコンピュータ300のメモリに格納されるメッセージデータを表すテーブル形式のデータである。図13には、図11におけるステップ番号とメッセージの内容を関連付けて示す。
タブレットコンピュータ300は、ステップS5の指令を受けると、ディスプレイパネル302に「疲労が蓄積しています」とのメッセージを表示する。同様に、タブレットコンピュータ300は、ステップS7、S13の指令を受けると、それぞれ、ディスプレイパネル302に「30分後に再測定してください」、「飲酒しています アルコール推定摂取量は○○mg/lです」とのメッセージを表示する。アルコール推定摂取量の数値は、推定摂取量演算装置200から受信したアルコール推定摂取量を表す数値が表示される。
また、タブレットコンピュータ300は、ステップS14の指令を受けると、ディスプレイパネル302に「再測定してください」とのメッセージを表示する。
また、タブレットコンピュータ300は、ステップS21、S22の指令を受けると、それぞれ、ディスプレイパネル302に「ALDH2の保有者です アルコール推定摂取量は○○mg/lです」、「ALDH2の保有者ではありません アルコール推定摂取量は○○mg/lです」とのメッセージを表示する。アルコール推定摂取量の数値は、推定摂取量演算装置200から受信したアルコール推定摂取量を表す数値が表示される。
また、タブレットコンピュータ300は、ステップS25、S30の指令を受けると、それぞれ、ディスプレイパネル302に「30分後に再測定してください」、「飲酒しています」とのメッセージを表示する。
また、タブレットコンピュータ300は、ステップS31、S32の指令を受けると、それぞれ、ディスプレイパネル302に「飲酒していません 疲労しています」、「飲酒していません 体調良好で疲労していません」とのメッセージを表示する。
図14は、タブレットコンピュータ300の制御部310がメッセージを表示する処理を表すフローチャートを示す図である。
制御部310は、推定摂取量演算システム500で利用する専用のアプリケーションプログラムが立ち上げられると処理を開始する(スタート)。
制御部310は、指令を受信したかどうかを判定する(ステップS101)。制御部310は、指令を受信するまでステップS101の処理を繰り返し実行する。
制御部310は、指令を受信した(S101:YES)と判定すると、受信した指令に関連付けられたメッセージをメッセージデータを表すテーブル形式のデータ(図13参照)から読み出し、ディスプレイパネル302に表示する(ステップS102)。
制御部310は、処理を終了するかどうかを判定する(ステップS103)。処理を終了するのは、アプリケーションがオフにされたときである。
制御部310は、処理を終了しない(S103:NO)と判定するとフローをステップS101にリターンする。
一方、制御部310は、処理を終了すると判定すると、一連の処理を終える(エンド)。制御部310は、アプリケーションがオフにされるまで、繰り返し処理を実行する。
以上のように、推定摂取量演算システム500によれば、生体ガスのアセトアルデヒド濃度から生体内でのアルコール代謝量を演算し、生体ガスのアルコール濃度と、演算したアルコール代謝量とに基づいて、被検者のアルコール推定摂取量を演算する。このため、被検者の体内で代謝等によって消費されたアルコール量を考慮して被検者のアルコール推定摂取量を求めることができる。
したがって、アルコール摂取量を推定できる、推定摂取量演算システム500、及び、推定摂取量演算方法を提供することができる。
また、推定摂取量演算システム500によれば、複数の時点で検出される複数のアルコール濃度の変化量と、複数のタイミングで検出される複数のアセトアルデヒド濃度の変化量とから、アルコールがアセトアルデヒドに変換される代謝率を求め、求めた代謝率を用いてアルコール代謝量を演算する。
したがって、被検者の体がアルコールをアルデヒドに変換する代謝率を用いてアルコール代謝量を求めることができ、被検者の体がアルコールをアルデヒドに変換する特性に応じて、アルコール代謝量を求めることができる。
また、推定摂取量演算システム500によれば、複数の時点で検出される複数のアルコール濃度の変化量と、複数のタイミングで検出される複数のアセトアルデヒド濃度の変化量とから、被検者がアルデヒドデヒドロゲナーゼ2を保有するかどうかを判定することができる。
したがって、したがって、アルコール摂取量を推定できるとともに、被検者がアルデヒドデヒドロゲナーゼ2の保有者であるかどうかを判定できる、推定摂取量演算システム500、及び、推定摂取量演算方法を提供することができる。
なお、以上では、生体ガス測定装置100がアンモニアガスを検出するガスセンサ150A、アルコールガスを検出するガスセンサ150B、アセトアルデヒドガスを検出するガスセンサ150Cを含む形態について説明した。
しかしながら、生体ガス測定装置100が含むガスセンサは、アンモニアガス、アルコールガス、アセトアルデヒドガスを別々に検出するセンサではなくてもよい。例えば、アンモニアガス、アルコールガス、アセトアルデヒドガスに対する抵抗値の変化(アンモニアガス、アルコールガス、アセトアルデヒドガスに対する感度)が異なる3つのガスセンサを用い、3つのガスセンサの検出値を連立方程式で解くことによって、アンモニアガス、アルコールガス、アセトアルデヒドガスの各々の濃度を求めるようにしてもよい。
この場合に、3つのガスセンサのうちの1つのガスセンサの検出値のアンモニアガス、アルコールガス、アセトアルデヒドガスに対する分布は、第1分布の一例である。残りの2つのガスセンサうちの1つのガスセンサの検出値のアンモニアガス、アルコールガス、アセトアルデヒドガスに対する分布は、第2分布の一例である。残りの1つのガスセンサの検出値のアンモニアガス、アルコールガス、アセトアルデヒドガスに対する分布は、第3分布の一例である。
また、以上では、ガスセンサ150A、150B、150Cの基準抵抗値に対する抵抗値の変化量を求め、抵抗値の変化量をアンモニアガス、アルコールガス、アセトアルデヒドガスの濃度として用いる形態について説明した。しかしながら、基準抵抗値に対する抵抗値の変化量ではなく、ガスセンサ150A、150B、150Cの抵抗値をアンモニアガス、アルコールガス、アセトアルデヒドガスの濃度として用いてもよい。
また、以上では、生体ガス測定装置100から送信される抵抗値データに基づいて、推定摂取量演算システム500がアルコール推定摂取量等を演算し、演算した結果をタブレットコンピュータ300に送信し、表示させる形態について説明した。
しかしながら、生体ガス測定装置100が演算部とディスプレイパネルを有し、アルコール推定摂取量等を演算し、ディスプレイパネルに演算結果等を表示するようにしてもよい。また、生体ガス測定装置100がディスプレイパネルを有し、推定摂取量演算システム500の演算結果等をディスプレイパネルに表示するようにしてもよい。
また、以上では、推定摂取量演算装置200と生体ガス測定装置100が無線通信で通信可能に接続される形態について説明したが、推定摂取量演算装置200がサーバのようなコンピュータである場合には、推定摂取量演算装置200と生体ガス測定装置100は、LAN(Local Area Network)ケーブルのようなケーブルによる有線通信で通信可能に接続されてもよい。同様に、生体ガス測定装置100とタブレットコンピュータ300は、LANケーブルのようなケーブルによる有線通信で通信可能に接続されてもよい。
また、以上では、ポンプ190Aを用いる形態について説明したが、ポンプ190Aの代わりにファンを用いてもよい。ファンとしては、例えば、軸流ファン又はシロッコファン等を用いればよい。
以上、本発明の例示的な実施の形態の推定摂取量演算システム、及び、推定摂取量演算プログラムについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
生体ガス測定装置と、
前記生体ガス測定装置とデータ通信可能に接続される、推定摂取量演算装置と
を含む、推定摂取量演算システムであって、
前記生体ガス測定装置は、
生体ガス中の成分の第1分布を検出する第1検出部と、
前記生体ガス中の成分の第2分布を検出する第2検出部と、
前記第1検出部及び前記第2検出部によってそれぞれ検出される第1分布及び第2分布に基づき、前記生体ガス中のアルコール濃度及びアセトアルデヒド濃度を取得する取得部と
を有し、
前記推定摂取量演算装置は、
前記取得部によって取得されるアセトアルデヒド濃度から前記生体内でのアルコール代謝量を演算する代謝量演算部と、
前記取得部によって取得されるアルコール濃度と、前記代謝量演算部によって演算されるアルコール代謝量とに基づいて、前記生体のアルコール推定摂取量を演算する推定摂取量演算部と
を有する、推定摂取量演算システム。
(付記2)
前記代謝量演算部は、
複数のタイミングで検出される複数の第1分布から前記取得部によって取得される複数のアルコール濃度の変化量と、前記複数のタイミングで検出される複数の第2分布に基づく複数のアセトアルデヒド濃度の変化量とから、前記生体内でアルコールがアセトアルデヒドに変換される代謝率を演算し、
前記取得部によって取得されるアセトアルデヒド濃度と、前記代謝率とから前記生体内でのアルコール代謝量を演算する、付記1記載の推定摂取量演算システム。
(付記3)
前記代謝量演算部は、時間経過に従って生体から取得される生体ガス中のアルコールの濃度が減少するとともにアセトアルデヒド濃度が増加する期間において、前記代謝率を演算する、付記2記載の推定摂取量演算システム。
(付記4)
前記推定摂取量演算部は、複数のタイミングで生体から取得される生体ガス中のアルコールの濃度とアセトアルデヒド濃度との変化量に基づき、当該生体がアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ2を保有するかどうかを判定する保有判定部をさらに有する、付記1ないし3のいずれか一項記載の推定摂取量演算システム。
(付記5)
前記保有判定部は、時間経過に従って生体から取得される生体ガス中のアルコールの濃度とアセトアルデヒド濃度とが減少する期間において複数のタイミングで生体から取得される生体ガス中のアルコールの濃度とアセトアルデヒド濃度との変化量に基づき、当該生体がアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ2を保有するかどうかを判定する、付記4記載の推定摂取量演算システム。
(付記6)
前記生体ガス測定装置は、前記生体ガス中の成分の第3分布を検出する第3検出部をさらに有し、
前記取得部は、前記第1検出部、前記第2検出部、及び前記第3検出部によってそれぞれ検出される第1分布、第2分布、及び第3分布に基づき、前記生体ガス中のアルコール濃度、アセトアルデヒド濃度、及びアンモニア濃度を取得し、
前記推定摂取量演算装置は、前記取得部によって取得されるアンモニア濃度が所定濃度以下であるかどうかを判定する濃度判定部をさらに有する、付記1乃至5のいずれか一項記載の推定摂取量演算システム。
(付記7)
前記濃度判定部は、前記取得部によって取得されるアルコール濃度が所定の閾値未満である場合に、前記取得部によって取得されるアンモニア濃度が所定濃度以下であるかどうかを判定する、付記6記載の推定摂取量演算システム。
(付記8)
前記第3検出部は、銅又は銀を主材料とするハロゲン化合物又は酸化物を感ガス材として含むガス検出部である、付記6または7記載の推定摂取量演算システム。
(付記9)
生体ガス中の成分の第1分布を検出する第1検出部と、
前記生体ガス中の成分の第2分布を検出する第2検出部と、
前記第1検出部及び前記第2検出部によってそれぞれ検出される第1分布及び第2分布に基づき、前記生体ガス中のアルコール濃度及びアセトアルデヒド濃度を取得する取得部と
を有する生体ガス測定装置とデータ通信可能に接続される、推定摂取量演算装置のコンピュータが実行する推定摂取量演算プログラムであって、
前記取得部によって取得されるアセトアルデヒド濃度から前記生体内でのアルコール代謝量を演算し、
前記取得部によって取得されるアルコール濃度と、前記演算されるアルコール代謝量とに基づいて、前記生体のアルコール推定摂取量を演算する、推定摂取量演算プログラム。