JP4497658B2 - ガス検知方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属酸化物半導体を主成分とするガス感応部を設けられ、被検知ガスと接触状態に配置されるガス検知素子を、そのガス検知素子の劣化要因を除去するためのパージ電圧をパルス印加して通電加熱した後、設定時間経過後に、前記ガス検知素子にパルス電圧を印加したときの出力から被検知ガスを検知する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述のように被検知ガスを検知する場合、検知対象ガス中の被検知ガスは、前記ガス検知素子に接触して、前記ガス感応部において前記金属酸化物半導体により酸化される。その酸化反応に伴う電子の授受に伴い前記ガス検知素子の抵抗値が定量的に変化する。そのため、前記ガス検知素子を備えたガス検知装置は、前記抵抗値の変化に基づく出力値からその検知対象ガス中の被検知ガスの濃度を求めることが出来るものである。この時、前記ガス感応部に被検知ガスが接触したときに、前記被検知ガスは前記ガス感応部を構成する酸化物半導体により触媒作用を受け、酸化されて前記ガス感応部に抵抗の変化を与えるため、測定用のパルス電圧を印加し出力が得られる。
【0003】
このような場合、前記ガス感応部における反応の速度は前記ガス検知素子の周囲(雰囲気)温度に依存するため、反応に伴う抵抗値の変化量に基づく出力値も温度依存性を有することになる。すると、雰囲気温度によって同じ被検知ガス濃度の検知対象ガスに対して異なる出力値が得られることになり、正確な濃度測定が困難になる場合が考えられる。
【0004】
そこで、前記雰囲気温度の変化による出力値の変動を、補正するために、雰囲気温度をサーミスタ等の温度測定手段により求め、標準温度における標準出力と、各雰囲気温度における出力との関係をあらかじめ求めておき、前記温度測定手段による温度出力と前記ガス出力比から測定出力を較正し、より正確な濃度測定を行うことが考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のように標準出力との出力比から測定出力を較正しようとする場合、得られた測定出力自体が小さな値になると、出力比は大きくなり、前記測定出力の小さな揺らぎ(誤差)も大きく増幅されることになり、濃度測定値の安定性、信頼性が十分であるとはいえなかった。たとえば、雰囲気温度が−10℃に達するような低温条件下でガス検知を行うと、ガス検知素子からの出力がほとんどなく、被検知ガスによる前記ガス検知素子の抵抗値変化に基づく出力としての被検知ガスの含まれていない標準ガスとの出力差(感度出力)がほとんどなく、感度出力の揺らぎが被検知ガスの濃度として換算される場合に大きな誤差となって表れることになっていた。
【0006】
従って、本発明の目的は、被検知ガス濃度に対応する出力を、雰囲気温度によらず安定させられるガス検知方法および装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の観点から前記雰囲気温度条件自体を一定に維持すれば、感度出力を安定させられるのではないかと考え、本発明に想到した。
【0008】
〔構成1〕
本発明のガス検知方法の特徴構成は、
金属酸化物半導体を主成分とするガス感応部を有するガス検知素子を、被検知ガスと接触状態にして、前記ガス検知素子にガス検知電圧をパルス印加したときの出力から被検知ガスを検知するガス検知方法であって、
前記ガス検知素子を所定温度に維持するための温度維持電圧を、前記被検知ガスを検知可能の状態になっている間、前記ガス検知素子に常時印加する点にあり、
前記ガス検知素子の周囲温度を検出した場合は、その検出温度に基づき、ガス検知素子温度を所定温度に維持するための温度維持電圧を決定し、前記ガス検知素子温度を所定温度に維持するための温度維持電圧を印加する点にある。
【0009】
〔作用効果1〕
つまり、上述の構成によれば、金属酸化物半導体を主成分とするガス感応部を有するガス検知素子を、被検知ガスと接触状態にして、前記ガス検知素子にガス検知電圧をパルス印加したときの出力から被検知ガスを検知すると、前記ガス検知素子が被検知ガスに晒されている状態であるから、直接的に被検知ガスの濃度を検知でき、また、ガス検知直前に前記ガス検知素子にガス検知電圧をパルス印加するため、前記ガス検知素子が適切な温度条件にある状態でガス検知を行うことが可能なガス検知方法となる。
ここで、ガス感応部における反応の速度は前記ガス検知素子の雰囲気温度に依存するため、反応に伴う抵抗値の変化量に基づく出力値も温度依存性を有することになる。すると、雰囲気温度によって同じ被検知ガス濃度の検知対象ガスに対して異なる出力値が得られることになる。つまり、雰囲気温度が標準温度より低い場合のガス感度は標準出力より低くなり、また、雰囲気温度が標準温度より高い場合のガス感度は標準出力より高くなる。そこで、定常状態の前記ガス検知素子に、雰囲気温度によらず所定温度に維持するための温度維持電圧を印加すると、雰囲気温度が変動してもガス検知素子温度は常に一定に保たれるため、被検知ガスの反応速度は一定に保たれ易くなる。このため、前記ガス感応部の反応に伴う抵抗値の変化量に基づく出力値も雰囲気温度によらず一定に保たれ易くなるため、安定したガス感度特性を持つガス検知方法となる。
ここで、前記ガス検知素子の周囲温度を検出すれば、季節の推移などに伴う雰囲気温度の変動を迅速に検出することができる。すると、前記ガス検知素子から雰囲気への放熱量は、その検出温度に対して定量的に変化することになるので、前記ガス検知素子にその放熱量に見合うジュール熱を発生させる温度維持電圧を求めることが出来る。従って、ガス検知素子温度を所定温度に維持するための温度維持電圧を即座に決定でき、ガス検知を効率的に行うことができる。
【0010】
〔構成2〕
本発明のガス検知装置の特徴構成は、
金属酸化物半導体を主成分とするガス感応部を有するガス検知素子と、前記ガス検知素子に電圧をパルス印加して前記ガス検知素子の抵抗値を測定可能なガス検知回路とを備え、前記ガス検知素子を被検知ガスと接触自在に設けたガス検知装置であって、
前記被検知ガスを検知可能の状態になっている間、前記ガス検知素子に温度維持電圧を常時印加して、そのガス検知素子を所定温度に維持可能にする温度維持機構を設け、前記ガス検知素子の抵抗値に基づき出力を得る出力部を設けた点にあり、
前記ガス検知装置において、
雰囲気温度の変動を検出する温度測定機構を備え、電圧を印加して前記ガス検知素子の温度変更を可能とする手段を備え、前記ガス検知素子の抵抗値に基づき出力を得る出力部を設けた点にある。
【0011】
〔作用効果2〕
つまり、上述の構成によれば、金属酸化物半導体を主成分とするガス感応部を有するガス検知素子と、前記ガス検知素子に電圧をパルス印加して前記ガス検知素子の抵抗値を測定可能なガス検知回路とを備え、前記ガス検知素子を被検知ガスと接触自在に設けてあれば、前記ガス検知素子が被検知ガスに晒された場合に前記ガス感応部に被検知ガスが触媒作用により酸化させられ、その酸化作用に伴い前記ガス検知素子に、前記被検知ガス量に対応する抵抗値変化を与えることができる。このガス検知素子の抵抗値を測定可能に構成するから、その抵抗値から前記被検知ガス濃度を求めることができる。
また、定常状態の前記ガス検知素子に温度維持電圧を印加して、そのガス検知素子を所定温度に維持可能にする温度維持機構を設け、前記ガス検知素子の抵抗値に基づき出力を得る出力部を設けることにより、雰囲気温度が変動してもガス検知素子温度は常に一定に保たれるため、雰囲気温度に依存しない安定したガス感度特性を維持することができ、そのガス感度特性を持つ前記ガス検知素子の抵抗値を測定するため、雰囲気温度に依存しない出力を常に得ることができるガス検知装置となる。
さらに、前記温度維持機構は、雰囲気温度の変動を検出する温度測定機構及び、前記ガス検知素子の温度を変更すべく前記ガス検知素子に印加される電圧を制御する電圧制御機構を備えているから、前記温度測定機構により前記ガス検知素子の雰囲気温度の変動を迅速に検出することができ、前記電圧制御機構により即座に前記ガス検知素子温度を所定温度に維持するための温度維持電圧を制御できる。
また、前記ガス検知素子の抵抗値に基づいた出力を得る出力部では、適切な所定温度に維持されることで前記ガス感応部の反応速度が雰囲気温度によらず一定に保たれ易くなった前記ガス検知素子からの抵抗値に基づいて出力を得るのであるから、誤差の少ない安定した出力値を得ることができるガス検知装置となる。
【0012】
尚、本発明において、ガス検知素子が定常状態にあるという場合には、前記ガス検知素子がパージの際に高温に晒され、その表面に付着する付着物等の揮散除去される状態になる場合のように、温度変化を伴う環境に晒されるようなことなく維持されている状態を指し、例えば、出力を得るために前記ガス検知素子にパルス電圧を印加したような場合であっても、前記ガス検知素子に実質的な温度変化を伴わないような時は定常状態に維持されているとみなすものとする。
また、所定温度とは、予想される設置場所の雰囲気温度の変動に対して前記ガス検知素子温度を一定の測定温度範囲に制御可能な温度である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明のガス検知装置は、図2に示すように、ガス検知素子1を、前記ガス検知素子1に電圧をパルス印加して前記ガス検知素子1の抵抗値を測定可能なガス検知回路4に組み込み、前記ガス検知素子1を被検知ガスと接触自在に設けて構成してある。前記ガス検知回路4は、前記ガス検知素子1を所定温度に維持可能な温度維持機構10と連接され、また、前記ガス検知素子1の抵抗値が変化した時に、その抵抗値に基づく電気信号を受け、警報装置5に警報出力を発する出力部6を連接してある。
【0014】
前記ガス検知素子1は、図1に示すように、白金、パラジウム、白金−パラジウム合金等の貴金属線2に酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を主成分とする金属酸化物半導体を塗布、乾燥後焼結成型してあるガス感応部3を備えた、いわゆる熱線型半導体式ガス検知素子を用いることができる。
【0015】
前記温度維持機構10は、前記ガス検知素子1の雰囲気温度を測定する温度測定機構7と、その温度測定機構7による測定温度に基き決定される温度維持電圧を、前記ガス検知素子1に印加する電圧制御機構8とを備える。また、前記電圧制御機構8は、前記ガス感応部3に付着した付着物を揮散させるパージを行うパージ電圧、及び、前記ガス検知素子1からの出力を得るための、ガス検知電圧をパルス印加可能に構成してあり、前記ガス検知素子1に前記パージ電圧を印加した後温度維持電圧を印加して、前記ガス検知素子1を所定時間にわたって所定温度に維持し、さらに、出力を得るべくガス検知電圧を印加する電圧制御を繰り返し行う。
【0016】
前記温度測定機構7としては、サーミスタ71を用いることが出来、さらにはガス検知素子1の雰囲気温度あるいは、ガス検知素子1の温度を測定可能な機能を有する温度測定装置であれば種々の構成を採用することが出来る。
【0017】
また、前記ガス検知素子1としては前記熱線型半導体式のものに限らず、基板型などの形態であってもよい。また、出力部についても、警報出力を発するものに替え、測定濃度値をデジタル表示するものであっても良いし、これらの複合的な出力であっても良い。
【0018】
前記ガス検知素子1は、被検知ガスとして一酸化炭素などの毒性ガスを検知して測定された抵抗値に基づいた出力値を生じる特性を有する。尚、この出力値は、前記ガス感応部3が被検知ガスの接触した時に被検知ガス濃度に応じて抵抗値を変化させることにより決定されるものであって、この出力値は被検知ガス濃度に換算することが出来るものである。
【0019】
前記ガス検知回路4への電圧供給について、ガス検知素子温度、印加電圧、センサ出力との相関を示したグラフを図3に示す。
前記ガス検知素子1の起動時には、前記ガス検知素子1にパージ電圧を印加してパージ温度域まで加熱するパージ工程を行うため、電圧制御機構8により、例えば2.0Vのパージ電圧を5秒間連続パルス印加する。パージにより活性化した前記ガス検知素子1は50℃まで降温させ温度維持電圧を印加して、その温度を維持する。前記温度維持電圧は、サーミスタ71により検出された雰囲気温度測定値に基づき決定する。前記ガス検知素子1の温度が安定すると、パージ終了後15秒経過後まで前記ガス検知素子1のガス感応部3に被検知ガスを吸着させて、被検知ガスを検知するためのガス検知電圧を電圧制御機構8によりパルス印加することにより前記ガス検知素子1から出力を得てガス検知を行う。この後、パージ工程を行い、以下同様のことを繰り返す。
【0020】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明する。
〔実施例1〕
熱線型半導体式ガス検知素子として、前記貴金属線に白金線コイルを、前記ガス感応部に酸化インジウム半導体を用いるとともに、前記ガス感応部の表面部にパラジウム触媒を添加してある一酸化炭素検知用の熱線型半導体式ガス検知素子を備えたガス検知装置を使用し、
パージ電圧を2.0V/5秒、パージ終了後15秒後にガス感度測定を行い、ガス検知電圧を2.0V/1m秒の条件で行った場合、
雰囲気温度条件が−10〜50℃の常温付近で、濃度200ppmの一酸化炭素(CO)を検知した場合の、雰囲気温度、ガス検知素子への印加電圧、ガス検知素子温度、ガス検知時雰囲気温度におけるガス検知素子の一酸化炭素に対する感度のそれぞれの相関を、従来のガス検知方法で駆動させた場合の結果を表1に、本発明のガス検知方法で駆動させた場合の結果を表2に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
表1より従来のガス検知方法により駆動させた場合、雰囲気温度の変動により変化したガス感度の補正は、サーミスタにより雰囲気温度を検出し、サーミスタの検出温度に基づいて演算処理を行い得られた値により行う。つまり、雰囲気温度条件にかかわらずガス検知素子には電圧をパルス印加しないため、雰囲気温度の変動に伴いガス検知素子温度も変化する。このため、濃度200ppmの一酸化炭素に対するセンサ感度は、−10℃では108mV、50℃では192mVとなり、センサ感度特性は雰囲気温度に依存し、雰囲気温度の変動と共に大きく変動しているため正確な測定を行うのが困難であることは明らかである。
一方、表2より本発明のガス検知方法により駆動させた場合には、定常状態のガス検知素子を、前記ガス検知素子の雰囲気温度によらずガス検知素子温度を所定温度に維持するための温度維持電圧を印加する、あるいは、前記ガス検知素子の雰囲気温度をサーミスタ等の温度測定機構により検出し、その検出温度に基づき、ガス検知素子温度を所定温度に維持するための温度維持電圧を決定することによりガス検知素子温度を50℃前後に保つように制御している。つまり、雰囲気温度によらずガス検知素子温度を50℃前後に維持した状態で一酸化炭素を検出していることになり、この時、濃度200ppmの一酸化炭素に対する感度は180〜192mVとなり、大きな変化はない。よって、センサ感度の雰囲気温度による変動は、従来のガス検知方法により駆動させた場合と比較すると極めて小さくなっており、本発明のガス検知方法による駆動で、ガス感度が良好に改善されたため、温度変化に伴うガス感度の変化を原因とする出力値の誤差を較正しなくても正確な値が得られる。
【0024】
表1〜2に示したようなガス感度特性を持つ熱線型半導体式ガス検知素子を備えたガス検知装置を使用して、雰囲気温度条件が−10〜50℃の常温付近で、ガス感度の一酸化炭素濃度依存特性を調べたところ図4のようになった。つまり、従来のガス検知方法により駆動させると、雰囲気温度によりガス感度は大きく変化するが、本発明のガス検知方法により駆動させると、雰囲気温度に依らずほぼ共通した出力結果を示すため、一酸化炭素濃度に依存しない安定した出力が得られたことが判る。
【0025】
〔実施例2〕
先の実施例1における熱線型半導体式ガス検知素子のガス感応部を酸化インジウムから酸化スズに変え、パージ終了後25秒後にガス感度測定を行う条件で、実施例1と同様に、雰囲気温度、ガス検知素子への印加電圧、ガス検知素子温度、ガス検知時雰囲気温度におけるガス検知素子の一酸化炭素に対する感度のそれぞれの相関を、従来のガス検知方法で駆動させた場合の結果を表3に、本発明のガス検知方法で駆動させた場合の結果を表4に示す。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
表3より従来のガス検知方法により駆動させた場合には、センサ感度は雰囲気温度条件に依存し、雰囲気温度の変動と共に大きく変動しているため正確な測定を行うのが困難であることは明らかである。
一方、表4より本発明のガス検知方法により駆動させた場合には、雰囲気温度によらずガス検知素子温度を50℃前後に維持した状態で一酸化炭素を検出しており、この時、濃度200ppmの一酸化炭素に対する感度は141〜170mVとなり、大きな変化はない。よって、センサ感度の雰囲気温度による変動は、従来のガス検知方法により駆動させた場合と比較すると極めて小さくなっており、本発明のガス検知方法による駆動で、ガス感度が良好に改善されたため、温度変化に伴うガス感度の変化を原因とする出力値の誤差を較正しなくても正確な値が得られる。
【0029】
表3〜4に示したようなガス感度特性を持つ熱線型半導体式ガス検知素子を備えたガス検知装置を使用して、雰囲気温度条件が−10〜50℃の常温付近で、ガス感度の一酸化炭素濃度依存特性を調べたところ図5のようになった。つまり、従来のガス検知方法により駆動させると、雰囲気温度によりガス感度は大きく変化するが、本発明のガス検知方法により駆動させると、雰囲気温度に依らずほぼ共通した出力結果を示すため、一酸化炭素濃度に依存しない安定した出力が得られたことが判る。また、図4〜5より、パージ終了後にガス感度測定を行うタイミングは15秒後付近が好ましい。
【0030】
〔実施例3〕
先の実施例1における熱線型半導体式ガス検知素子を基板形厚膜ガス検知素子に変え、
パージ電圧を3.5V/5秒、パージ終了後20秒後にガス感度測定を行い、ガス検知電圧を5.0V/1m秒の条件で行った場合、実施例1と同様に、雰囲気温度、ガス検知素子への印加電圧、ガス検知素子温度、ガス検知時雰囲気温度におけるガス検知素子の一酸化炭素に対する感度のそれぞれの相関を、従来のガス検知方法で駆動させた場合の結果を表5に、本発明のガス検知方法で駆動させた場合の結果を表6に示す。
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】
表5より従来のガス検知方法により駆動させた場合には、センサ感度は雰囲気温度条件に依存し、雰囲気温度の変動と共に大きく変動しているため正確な測定を行うのが困難であることは明らかである。
一方、表6より本発明のガス検知方法により駆動させた場合には、雰囲気温度によらずガス検知素子温度を50℃前後に維持した状態で一酸化炭素を検出していることになり、この時、濃度200ppmの一酸化炭素に対する感度は3.26〜3.58Vとなり、大きな変化はない。よって、センサ感度の雰囲気温度による変動は、従来のガス検知方法により駆動させた場合と比較すると極めて小さくなっており、本発明のガス検知方法による駆動で、ガス感度が良好に改善されたため、温度変化に伴うガス感度の変化を原因とする出力値の誤差を較正しなくても正確な値が得られる。
【0034】
表5〜6に示したようなガス感度特性を持つ基板形厚膜ガス検知素子を備えたガス検知装置を使用して、雰囲気温度条件が−10〜50℃の常温付近で、ガス感度の一酸化炭素濃度依存特性を調べたところ、図6のようになった。つまり、従来のガス検知方法により駆動させると、雰囲気温度によりガス感度は大きく変化するが、本発明のガス検知方法により駆動させると、雰囲気温度に依らずほぼ共通した出力結果を示すため、一酸化炭素濃度に依存しない安定した出力が得られたことが判る。
【0035】
つまり、実施例1〜3に示したように、本発明のガス検知方法および装置を使用して−10〜50℃のような常温で駆動させることにより、雰囲気温度、被検知ガス濃度に依存しないガス感度特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱線型半導体式ガス検知素子の概略図
【図2】ガス検知装置の概略を示すブロック図
【図3】加熱制御によるガス検知素子温度、電圧、センサ出力との相関グラフ
【図4】実施例1における雰囲気温度変動に伴う出力変化の一酸化炭素濃度依存特性グラフ
(a)従来駆動方法
(b)本発明駆動方法
【図5】実施例2における雰囲気温度変動に伴う出力変化の一酸化炭素濃度依存特性グラフ
(a)従来駆動方法
(b)本発明駆動方法
【図6】実施例3における雰囲気温度変動に伴う出力変化の一酸化炭素濃度依存特性グラフ
(a)従来駆動方法
(b)本発明駆動方法
【符号の説明】
1 ガス検知素子
2 貴金属線
3 ガス感応部
4 ガス検知回路
5 警報装置
6 出力部
7 温度測定機構
71 サーミスタ
8 電圧制御機構
10 温度維持機構
Claims (4)
- 金属酸化物半導体を主成分とするガス感応部を有し、被検知ガスと接触自在に設けられるガス検知素子に、ガス検知電圧をパルス印加したときの出力から被検知ガスを検知するガス検知方法であって、
前記ガス検知素子を周囲温度によらず所定温度に維持するための温度維持電圧を、前記被検知ガスを検知可能の状態になっている間、前記ガス検知素子に常時印加するガス検知方法。 - 前記ガス検知素子の周囲温度を検出し、その検出温度に基づき、ガス検知素子温度を所定温度に維持するための温度維持電圧を決定する請求項1記載のガス検知方法。
- 金属酸化物半導体を主成分とするガス感応部を有するガス検知素子と、前記ガス検知素子に電圧をパルス印加して前記ガス検知素子の抵抗値を測定可能なガス検知回路とを備え、前記ガス検知素子を被検知ガスと接触自在に設けたガス検知装置であって、
前記被検知ガスを検知可能の状態になっている間、前記ガス検知素子に温度維持電圧を常時印加して、そのガス検知素子を所定温度に維持可能にする温度維持機構を設け、
前記ガス検知素子の抵抗値に基づき出力を得る出力部を設けたガス検知装置。 - 前記温度維持機構が周囲温度の変動を検出する温度測定機構を備え、前記ガス検知素子の温度を変更すべく前記ガス検知素子に印加する電圧を制御する電圧制御機構を備えた請求項3記載のガス検知装置。
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