JP6300203B2 - ガス検知器 - Google Patents
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Description
接触燃焼式ガスセンサにおける補償素子は、基本的には、ガス検知素子と同一の構造とされていることから、発熱用の電力が必要となる。従って、このような省電力化が図られた接触燃焼式ガスセンサとしては、例えば、補償素子を有さず、ガス検知素子のみを具えた構成のものが提案されている(例えば特許文献1参照。)。
Air校正処理によるゼロ点調整にあっては、通常、安定した状態にあるセンサ出力値(例えば瞬時の出力電流値)がゼロ出力値として設定されるが、接触燃焼式ガスセンサのセンサ出力値は、通電が開始されてから所定時間の暖機期間が経過した後に安定するため、ゼロ点調整が行われて被検ガス濃度の測定を行うことができる状態が得られるまでに長い時間を要する、という問題がある。特に、補償素子を有さない接触燃焼式ガスセンサにおいては、長時間の暖機時間が必要となるため、例えば、電源投入直後から使用したいという要請を十分に満足することができないのが実情であった。
当該制御手段は、
当該ガス検知器の起動に伴って実行される当該ガスセンサの暖機処理期間中において、当該ガスセンサによって取得されるセンサ出力値が、当該ガスセンサについて設定されたゼロ出力値に対して設定された許容範囲内の大きさであることが検出されたときに、当該センサ出力値が取得された時点から始まる一定の単位時間範囲内におけるセンサ出力値の変化量が当該許容範囲内の大きさである場合に、当該単位時間範囲内において所定時間間隔毎に順次に取得される複数のセンサ出力値の統計量を新たなゼロ出力値として設定するゼロ出力値設定処理
を、前記単位時間の時間間隔毎に繰り返し実行するゼロ出力補正処理を行う機能を有することを特徴とする。
このガス検知器は、例えば電池により駆動される携帯型のものであって、ガス検知手段10と、制御手段20と、記憶手段30と、計時手段40と、表示手段50と、警報手段60とを備えている。
接触燃焼式ガスセンサの構成について具体的に説明すると、例えば図2に示すように、接触燃焼式ガスセンサ11は、ガス検知素子12と、電流検出用抵抗器16を備えた測定回路15とを備えている。この測定回路15において、電流検出用抵抗器16は、ガス検知素子12に対して直列に接続されている。
抵抗発熱体14は、例えば白金またはその合金よりなる金属素線がコイル状に巻回されてなるコイル部を有するヒータにより構成されている。
また、このガス検知器においては、例えば、0〜100%LELの濃度範囲の被検ガスを検出するための高濃度域用測定レンジと、例えば0〜10%LELの濃度範囲の被検ガスを検出するための低濃度域用測定レンジの2つの測定レンジが設定されている。
ゼロ出力補正処理に係る情報としては、例えば、ゼロ出力値設定処理が行われる時間間隔である単位時間に関する設定値、単位時間におけるセンサ出力値の経時的な変化量についての許容範囲に関する設定値、ゼロ出力補正処理が行われる期間についての時間情報または総出力調整量に関する設定値などを挙げることができる。
警報動作に係る情報としては、例えば濃度指示値についての瞬時値の警報点などを挙げることができる。このガス検知器においては、例えば第一警報点が10%LELに設定されている。
このガス検知器においては、電源が投入されると、接触燃焼式ガスセンサ11に対する通電が開始されて暖機処理が実行される。この暖機処理期間中においては、通常、接触燃焼式ガスセンサ11のセンサ出力値は、例えば一旦上昇してから経時的に徐々に減少していき、所定時間が経過した後、所定の値に安定した状態に至る傾向にあり、一方、センサ出力値に応じた濃度指示値は、一旦、マイナス側の値を示した後、経時的に徐々に増大していき、所定時間が経過した後、所定の値に安定した状態となる傾向にある。
而して、上記のガス検知器においては、接触燃焼式ガスセンサ11の暖機処理期間中において、接触燃焼式ガスセンサ11について設定されたゼロ出力値を補正するゼロ出力補正処理が行われる。
図3における曲線(A)は、センサ出力電流値の経時的変化を示す特性曲線であり、曲線(B)は、センサ出力電流値に応じた濃度指示値の経時的変化を示す特性曲線である。
このような理由から、許容範囲αの大きさは、例えば、50%LELの濃度の被検ガスについてのセンサ出力値が4.0mAとなるよう感度調整がなされた接触燃焼式ガスセンサにおいては、2%LELの濃度の被検ガスを判別して検知することのできる大きさである+0.05mAに設定することができる。
このような理由から、単位時間Tは、例えば5秒間に設定することができる。
ゼロ出力補正処理が実施される時間範囲(補正期間)は、接触燃焼式ガスセンサ11が安定するまでに要する時間より長い時間に設定されており、例えば300秒間に設定することができる。
また、センサ出力値の総出力調整量に係る閾値(補正範囲)は、例えば接触燃焼式ガスセンサ11が校正下限(例えば、50%LELの濃度の被検ガスについてのセンサ出力値が1.1mAとなる状態)で感度調整されている場合であっても、警報手段60について設定された第一警報点(例えば10%LEL)を超えない範囲内で設定されており、閾値は、例えば0.22mAに設定することができる。
その後、センサ出力値Iaが得られた時点taから始まる一定の単位時間Tの時間範囲内におけるセンサ出力値の変化量が、設定されたゼロ出力値に対して許容範囲α内にある場合に、当該単位時間T範囲内において所定時間間隔毎に順次に取得される複数のセンサ出力値の統計量を新たなゼロ出力値として設定するゼロ出力値設定処理が繰り返して行われる。このようなゼロ出力補正処理が暖機期間中(起動時)に行われた場合における、濃度指示値の経時的変化を示す特性曲線の一例を、図4において実線で示す。図4における破線で示す特性曲線は、接触燃焼式ガスセンサ11に対する通電が開始されてから所定時間が経過した時点taにおいてAir校正処理が行われた後、ゼロ出力補正処理が行われない場合における、濃度指示値の経時的変化を示しており、Air校正処理が単に暖機期間中に行われたのでは、被検ガスが存在していないにも拘わらず、濃度指示値が経時的に上昇してしまうことが理解される。
起動時にゼロガスが導入された場合(図4参照。)を例に挙げて具体的に説明すると、補償素子を有さない接触燃焼式ガスセンサにあっては、接触燃焼式ガスセンサ11に対する通電が開始されてから、センサ出力値が安定した状態(図4における時点tb)となるまでに、例えば60sec程度の時間を要し、センサ出力値が安定した後にゼロ点調整が行われてガス濃度測定を行うことのできる状態が得られるところ、本発明によれば、接触燃焼式ガスセンサ11に対する通電が開始されてから、例えば30secが経過するまでの時間(図4における時点ta)の間に、ガス濃度測定を行うことのできる状態を得ることができる。
また、暖機期間中においてゼロ出力補正処理が行われることにより、例えばAir校正処理によるゼロ点調整を行わなくても、ガス検知器の使用環境に起因するゼロ出力値のレベルの誤差を補償することができるので、測定結果に十分に高い信頼性を得ることができる。
例えば、本発明のガス検知器において実行されるガスセンサの起動時におけるゼロ出力補正処理は、接触燃焼式ガスセンサだけでなく、例えば、半導体式ガスセンサ、ニューセラミック式ガスセンサ、熱伝導式ガスセンサに適用されてもよい。
また、ゼロ出力補正処理において、ゼロ出力値と擬制される、単位時間範囲内において取得される複数のセンサ出力値の統計量は、算術平均値に限定されるものではない。
11 接触燃焼式ガスセンサ
12 ガス検知素子
13 ガス感応部
14 抵抗発熱体
15 測定回路
16 電流検出用抵抗器
18 電源
20 制御手段
25 電流検出手段
30 記憶手段
40 計時手段
50 表示手段
60 警報手段
70 ガス検知素子
71 ガス感応部
72 白金線コイル
75 補償素子
80 測定用回路
81a,81b 基準抵抗器
82 電源
83a,83b 可変抵抗器
84 スイッチ素子
85 電圧測定手段
Claims (4)
- 抵抗発熱体によって加熱された状態のガス感応部の表面に被検ガスが接触して当該ガス感応部の温度が上昇することに伴う当該抵抗発熱体の抵抗値変化に基づいて被検ガスの濃度を検出するガスセンサと、当該ガスセンサによって取得されるセンサ出力値に基づいて被検ガスの濃度を算出する機能を有する制御手段とを備えたガス検知器であって、
当該制御手段は、
当該ガス検知器の起動に伴って実行される当該ガスセンサの暖機処理期間中において、当該ガスセンサによって取得されるセンサ出力値が、当該ガスセンサについて設定されたゼロ出力値に対して設定された許容範囲内の大きさであることが検出されたときに、当該センサ出力値が取得された時点から始まる一定の単位時間範囲内におけるセンサ出力値の変化量が当該許容範囲内の大きさである場合に、当該単位時間範囲内において所定時間間隔毎に順次に取得される複数のセンサ出力値の統計量を新たなゼロ出力値として設定するゼロ出力値設定処理
を、前記単位時間の時間間隔毎に繰り返し実行するゼロ出力補正処理を行う機能を有することを特徴とするガス検知器。 - 前記ゼロ出力補正処理が、ガス検知器が起動されてから所定時間が経過するまでの時間の間、あるいは、前記ゼロ出力値設定処理によって調整されたセンサ出力値の総出力調整量が所定の大きさを超えるまでの時間の間、行われることを特徴とする請求項1に記載のガス検知器。
- 前記制御手段は、ガス検知器の起動に伴って実行されるガスセンサの暖機処理期間中においてゼロガスによる校正処理を行い、その後、前記ゼロ出力補正処理を行う機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス検知器。
- 前記ガスセンサが、被検ガスに対して不感応な補償素子を有さない接触燃焼式ガスセンサであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガス検知器。
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