JP3933216B2 - ガス検知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス検知装置に関し、具体的には、酸化スズ半導体部を、貴金属コイル線を覆って設けてある熱線型半導体式のガス検知素子を用いて被検知ガスを検知する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、酸化スズ半導体部を、貴金属コイル線を覆って設けてある熱線型半導体式のガス検知素子を備えたガス検知装置は知られており、例えば、前記ガス検知素子に電圧を印加し、前記貴金属コイル線によるジュール熱により、そのガス検知素子を200℃〜300℃の高温域に加熱した状態で、そのガス検知素子から、電圧の印加に基づく出力を得ることによって被検知ガスを検知することが行われている。
ところが、このようなガス検知装置は、常に前記ガス検知素子を高温域に加熱した状態に維持せねばならないため、消費電力が大きくなるので、高温域に加熱した状態に維持しなくても被検知ガスを検知することのできるガス検知素子が望まれている。
そこで、金、白金、パラジウムの少なくとも一種以上の貴金属を0.05mol%以上5mol%以下添加してある酸化スズ半導体部を有するガス検知素子が開発され、このようなガス検知素子は常温付近(たとえば60℃以下)で、種々のガス(例えば一酸化炭素ガス)に対して高いガス選択性を発揮することが見いだされている。そのため、前記ガス検知素子を高温に維持することなく、ほぼ常温の温度域に維持し、電圧の印加に基づく出力を得ることによって被検知ガスを検知することが可能になりつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した前記ガス検知素子を用いて、被検知ガスを検知するには、電圧の印加に基づく前記ガス検知素子からの出力を得るために、前記ガス検知素子がガスを吸着することによる抵抗値変化の情報を出力するのに加えて、前記ガス検知素子の温度を所定範囲に維持したり、前記ガス検知素子をパージしたりする温度制御を行う回路を必要とするという実情があり、被検知ガス検知に種々の回路を要して全体として複雑になるとともに、前記ガス検知素子の温度制御のためにヒーター等を設ける場合には、前記ガス検知素子自体の構造が複雑かつ大型になり、やはり、消費電力が大きくなるという欠点があった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、上記実情に鑑み、簡単な構造で、かつ、前記ガス検知素子の特性を有効に生かし、小電力でガスを検知することのできる技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
この目的を達成するための本発明のガス検知装置の特徴構成は、金、白金、パラジウムの少なくとも一種以上の貴金属を0.05mol%以上5mol%以下添加してある酸化スズ半導体からなるガス感応部を、約20μm径の太さの貴金属コイル線を覆って設けてある2端子型の熱線型半導体式のガス検知素子を備えるとともに、そのガス検知素子にパルス電圧を印加自在な電圧供給装置を備え、電圧供給装置によるパルス電圧供給を、前記ガス検知素子の温度を常温に維持し、前記ガス検知素子が発熱したとしても、前記ガス検知素子の温度の上昇幅を5℃以下に抑えて、前記パルス電圧の電圧印加停止(OFF)持続時間中に自然冷却できるように、前記パルス電圧の電圧印加(ON)持続時間を10ミリ秒以下に設定するとともに、前記パルス電圧の電圧印加(ON)持続時間と、前記パルス電圧の電圧印加停止(OFF)持続時間との作動時間比(ON/OFF)を1/100以下に設定してあることにあり、
前記パルス電圧の電圧印加(ON)持続時間を設定する第一規則と、作動時間比(ON/OFF)を設定する第二規則とを含む所定規則に従って、前記パルス電圧の電圧印加(ON)と、前記パルス電圧の電圧印加停止(OFF)とを、切り替え制御する制御機構を設けてあってもよく、
前記パルス電圧を、前記ガス検知素子に対する継続電圧印加によって、そのガス検知素子の最終到達温度を350℃〜450℃にできる電圧に設定してあってもよく、パルス電圧の電圧印加(ON)持続時間を、前記ガス検知素子の温度の上昇幅を5℃以下にする所定時間に設定してあってもよく、前記所定規則が、前記ガス検知素子を350℃〜450℃に加熱可能にするパージ時間を設定する第三規則を含むものであれば尚好ましい。
【0008】
〔作用効果〕
つまり、酸化スズ半導体部を、貴金属コイル線を覆って設けてある2端子型の熱線型半導体式のガス検知素子を用いて被検知ガスを検知するのであるから、前記貴金属コイル線の両端部に接続して、前記ガス検知素子に電圧を印加するとともに、前記ガス検知素子の温度を所定範囲に維持したり、前記ガス検知素子をパージしたりすることの出来る回路として用いることができ、簡単な構造の回路及びガス検知素子によって被検知ガスを検知することが可能となる。
そこで、通常このようなガス検知素子によって、ガスを検知するためには、前記ガス検知素子を高温に維持する必要があるものの、前記酸化スズ半導体部を、金、白金、パラジウムの少なくとも一種以上の貴金属を0.05mol%以上5mol%以下含む酸化スズ半導体により構成しておくから、前記ガス検知素子を高温に維持する必要がなくなる。
また、そのガス検知素子にパルス電圧を印加自在な電圧供給装置を備えてあれば、前記ガス検知素子にパルス電圧を印加して、その電圧の印加に基づくガス検知素子からの出力を得ることが出来るので、前記ガス検知素子に対するガスの吸着に伴う前記出力の変化を測定することによって、ガスを検出することが出来る。
このとき、金、白金、パラジウムの少なくとも一種以上の貴金属を0.05mol%以上5mol%以下添加してある酸化スズ半導体からなるガス感応部(3)を、約20μm径の太さの貴金属コイル線(2)を覆って設けてある熱線型半導体式のガス検知素子(1)に対する、電圧供給装置によるパルス電圧供給を、前記パルス電圧の電圧印加(ON)持続時間を10ミリ秒以下に設定してあれば、熱線型半導体式のガス検知素子は、ほとんど発熱しない状況に維持可能であり、前記パルス電圧の電圧印加(ON)持続時間と、前記パルス電圧の電圧印加停止(OFF)持続時間との作動時間比(ON/OFF)を1/100以下に設定してあれば、たとえ前記ガス検知素子が発熱したとしても、前記パルス電圧の電圧印加停止(OFF)持続時間中に自然冷却され、そのガス検知素子の温度は、ほぼ外気温(常温)に維持される。そして、前記パルス電圧の電圧印加(ON)持続時間及び作動時間比(ON/OFF)を上記の通り設定することにより、前記ガス検知素子の温度の上昇幅を5℃以下に抑えることができ、パルス電圧の電圧印加停止(OFF)時間を特に大きくとることなく、ガス検知素子の温度を常温に維持しやすいので、被検知ガスの検知を短い間隔で行え、ガス検知素子が常温に低下するまで被検知ガスの検知が出来なくなって、ガス検知遅れを生じるような不都合を防止できる。
尚、前記パルス電圧の印加を所定の制御機構を用いて行えば、前記ガス検知素子の温度を容易に常温に維持できる。そこで、前記制御機構としては、前記パルス電圧の電圧印加(ON)持続時間を設定する第一規則と、作動時間比(ON/OFF)を設定する第二規則とを含む所定規則に従って、前記パルス電圧の電圧印加(ON)と、前記パルス電圧の電圧印加停止(OFF)とを、切り替え制御するものとしておくことで、簡単な構成によって、ガス検知素子の温度を常温維持しやすい。
また、上述のガス検知素子といえども、長期使用によってガス検知特性が低下するおそれはある。そこで、前記制御機構は、前記ガス検知素子を一時的に短時間、高温に加熱するパージ操作を可能にする構成であることが望ましい。そこで、前記パルス電圧を、前記ガス検知素子に対する継続電圧印加によって、そのガス検知素子の最終到達温度を350℃〜450℃にできる電圧に設定してあれば、通常、ガス検知素子がほとんど加熱されない10ミリ秒以下の電圧印加によりガスを検知しながらも、パージ操作を必要とする場合には、電圧印加時間を長くして前記ガス検知素子の最終到達温度を350℃〜450℃にすれば、前記ガス検知素子に付着して被検知ガスを検知するのを妨害するような成分を、燃焼、あるいは、分解させて除去し、前記ガス検知素子の被検知ガス検知特性を高く回復させることができる。そのため、印加電圧を特に制御することなく被検知ガス検知操作及びパージ操作を容易に切り替えて利用することが可能になる。そこで、さらに、前記制御機構が作用するための所定規則として、前記ガス検知素子を350℃〜450℃に加熱可能にするパージ時間を設定する第三規則を含むものであれば、上述のガス検知素子を長期にわたって安定動作させることが出来るので有効である。
ところで、前記ガス検知素子に電圧を印加して、その電圧の印加に基づくガス検知素子からの出力を得ようとすると、前記白金コイル線が発熱するために、前記ガス検知素子を、前記酸化スズ半導体部が被検知ガスに対してガス選択性を発揮する温度域よりも高温に過熱してしまい、高感度に前記被検知ガスを検知することができなくなるのではないかと考えられる。しかし、本発明によれば、前記電圧の印加を、パルス電圧によって行い、かつ、その電圧の印加を、被検知ガスに対して前記ガス検知素子がガス選択性を発揮する最高温度以下に前記ガス検知素子の温度を維持可能に設定して行うので、前記ガス検知素子の温度を比較的低温(常温)に維持して小電力で被検知ガスの検知を継続して行うことができるのである。
そのため、家庭用ガス検知装置に適用するような場合に、ガス検知装置全体としての消費電力量を極めて少なく設定できるので、例えば、乾電池などでの作動も可能になるなど、ガス検知装置の小型化、電源からの配線の不要化などを実現でき、前記ガス検知装置に携帯性を付与したり、コンセント等の位置による設置位置の制約等を排除することが出来るなどガス検知装置の利用性を大きく向上させる事が出来る。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明のガス検知装置は、ガス検知素子1として約20μm径の太さの白金コイル線2を覆って酸化スズ半導体を0.5mm径に設けて、その酸化スズ半導体を600℃で1時間焼成してガス感応部3を形成し(図2参照)、前記ガス感応部3にパラジウムを0.05mol%添加してある、常温作動型で一酸化炭素ガス選択性の熱線型半導体式ガス検知素子を設け、図1に示すように、もし電圧印加を持続させ続ければそのガス検知素子1の最終到達温度を、350〜450℃にできる電圧を印加自在な電圧供給装置4を設け、これらを検知回路部5に接続して構成するとともに、前記電圧供給装置4には、制御規則に従って、前記パルス電圧の電圧印加(ON)と、前記パルス電圧の電圧印加停止(OFF)とを、切り替え制御する制御機構6を設け、前記検知回路部5には、前記パルス電圧の印加に基づくガス検知素子からの出力を被検知ガスの検知情報(警報音)として出力する出力装置(警報装置)7を設けて、全体としてガス検知装置に構成してある。
【0010】
前記ガス検知素子1は、常温で一酸化炭素ガスを検知して、通電によって、前記一酸化炭素ガスの濃度に対して出力を生じる特性を有するものであり、また、一酸化炭素ガスの接触により、その第一ガス検知素子1の抵抗値が一酸化炭素ガス濃度に対応して変化するものとなっている。
【0011】
前記制御規則は、以下の3規則によって構成してあり、マイコン制御される。
◎第一規則:電圧印加される状態の持続時間が(電圧印加(ON)持続時間)1ミリ秒に達したときに、その電圧印加を停止する。
◎第二規則:電圧印加を停止された状態の持続時間(電圧印加停止(OFF)持続時間)が前記電圧印加(ON)持続時間の10000倍(10秒間)に達したときに(作動時間比(ON/OFF)が1/10000になったときに)電圧印加を開始する。
◎第三規則:前記第一、第二規則に関わらず、3時間に一度、5秒間の電圧印加状態(パージ時間)を持続させる。
【0012】
つまり、第一、第二規則のみに従って制御すると、前記ガス検知素子1には、パルス電圧が印加されることになり、そのため、10秒あたり1ミリ秒通電する動作を繰り返すことによって、前記第一ガス検知素子1が発熱するのを防止しつつ、前記第一ガス検知素子1の抵抗値の変化に基づく出力を得ると、その第一ガス検知素子1に接触している一酸化炭素ガス濃度を測定することが出来る。
また、上述の制御による継続したガス検知によって、前記ガス検知素子1は次第に応答性が低下するなどガス検知性能が低下するおそれがあるものの、パージ時間を設定する第三規則に従って電圧印加を行えば、前記ガス検知素子1を一時的に350℃〜450℃に加熱可能にする事が出来、前記ガス検知素子1のガス検知性能を高く維持できる。
【0013】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0014】
〔ガス検知素子〕
所定濃度の塩化スズの水溶液に、所定割合で塩化アンチモンを添加した水溶液を調整しておく。この水溶液にアンモニア水を滴下して水酸化スズの沈殿物を得る。前記沈殿物を水洗、乾燥後、電気炉で焼成して、酸化スズを得る。前記酸化スズを粉砕して微粉末にし、水で練って酸化スズのペーストを得る。
【0015】
前記酸化スズのペーストを前記白金線(白金コイル)2の周囲を覆うように塗布し、乾燥後600℃で1時間焼成して、前記白金コイルを覆って酸化スズ半導体からなるガス感応部3を設けるとともに、塩化パラジウム水溶液を、前記ガス感応部3に含浸させて、前記ガス感応部3に対してパラジウムが0.05mol%担持させた状態にして第一ガス検知素子1を得る。
【0016】
〔ガス検知実験例〕
このガス検知素子1は、図3に示すように、常温で、水素ガスに対して高い一酸化炭素ガス選択性を有する事が分かり、さらに、このガス検知素子1のガス応答性を調べると、図4に示すようになり、50ppmの一酸化炭素ガスであっても約15分で正確な出力を得る事ができることがわかり、短時間で常温での一酸化炭素ガス濃度を把握するのに役立ち、実用に耐えることが分かる。
また、このようなガス検知素子1を上述のガス検知装置に用いてガス検知を行ったところ、図5に示すような出力結果が得られ、雰囲気の一酸化炭素ガス濃度を応答性高く検知していることがわかり、さらに、この時の消費電力は、前記ガス検知装置に常時電圧印加を行ってガス検知を行う場合に比べて極めて少なく設定されていることもわかった。
【0017】
〔別実施形態〕
以下に別実施形態を説明する。
前記ガス検知素子として、前記パラジウム、白金、金の少なくとも一種の貴金属の添加量を種々変更した第一ガス検知素子を比較検討したところ図6のようになった。尚、前記各貴金属の添加量における感度比は、前記ガス検知素子の100ppmの一酸化炭素ガスに対する感度が最も高くなった各貴金属の添加量を、感度=1としてそれに対する割合(感度比)で示してある。図6より、前記各貴金属の添加量は、0.5mol%以上1mol%以下が特に好ましいことがわかる。
【0018】
尚、特許請求の範囲の項に、図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス検知装置の概略図
【図2】ガス検知素子の一部断面斜視図
【図3】ガス検知素子の温度依存ガス検知特性図
【図4】ガス検知素子の応答特性図
【図5】ガス検知素子の作動制御を示す図
【図6】ガス検知素子の貴金属添加量依存ガス検知特性図
【符号の説明】
1 ガス検知素子
2 貴金属コイル線
3 ガス感応部
4 電圧供給装置
6 制御機構
Claims (1)
- 金、白金、パラジウムの少なくとも一種以上の貴金属を0.05mol%以上5mol%以下添加してある酸化スズ半導体からなるガス感応部(3)を、約20μm径の太さの貴金属コイル線(2)を覆って設けてある2端子型の熱線型半導体式のガス検知素子(1)を備えるとともに、そのガス検知素子(1)にパルス電圧を印加自在な電圧供給装置(4)を備え、電圧供給装置(4)によるパルス電圧供給を、前記ガス検知素子(1)の温度を常温に維持し、前記ガス検知素子(1)が発熱したとしても、前記ガス検知素子(1)の温度の上昇幅を5℃以下に抑えて、前記パルス電圧の電圧印加停止(OFF)持続時間中に自然冷却できるように、前記パルス電圧の電圧印加(ON)持続時間を10ミリ秒以下に設定するとともに、前記パルス電圧の電圧印加(ON)持続時間と、前記パルス電圧の電圧印加停止(OFF)持続時間との作動時間比(ON/OFF)を1/100以下に設定してあるガス検知装置。
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JP02885996A JP3933216B2 (ja) | 1996-02-16 | 1996-02-16 | ガス検知装置 |
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JP02885996A JP3933216B2 (ja) | 1996-02-16 | 1996-02-16 | ガス検知装置 |
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JPH09222407A JPH09222407A (ja) | 1997-08-26 |
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JP02885996A Expired - Lifetime JP3933216B2 (ja) | 1996-02-16 | 1996-02-16 | ガス検知装置 |
Country Status (1)
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1996
- 1996-02-16 JP JP02885996A patent/JP3933216B2/ja not_active Expired - Lifetime
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