JP5186764B2 - 閃光放射装置 - Google Patents
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Description
光加熱装置は、被処理物2を熱処理するためのものであり、雰囲気ガス導入口41を有するチャンバー4と、閃光放射装置1と、予備加熱手段3を備える。チャンバー4内は、不図示の支持台に被処理物2が置かれ、石英窓43から光が照射されて被処理物2を熱処理する。閃光放射装置1は、等間隔で平行に配列された複数の棒状の閃光放電ランプ10と、これらの閃光放電ランプ10に共通のリフレクタ11とを備える。予備加熱手段3は、等間隔で平行に配列された複数の棒状のハロゲンランプ31と、これらのハロゲンランプ31に共通のリフレクタ32とを備える。
このような光加熱装置は、予め、予備加熱手段3に対応するハロゲンランプ31を点灯し、被処理物2を導入されている不純物の熱拡散が生じない温度にまで予備加熱をする。その後、閃光放射装置1を作動させ、被処理物2に閃光を放射して熱処理が行われる。
一方、予備加熱温度から処理温度までの温度差を小さくして、閃光放射装置1から照射する閃光の不足分を補えるように、予備加熱手段3により被処理物2を従来よりも高温に予備加熱することも考えられる。しかし、被処理物2が従来よりも高い温度で維持されると、被処理物2に導入されている不純物の熱拡散が生じてしまう。したがって、可能な予備加熱温度の範囲内で、閃光放電ランプ10のパルス電流の時間幅をより短くして、被処理物2を熱処理することができなかった。
前記閃光照射装置は、第1の閃光放電ランプと、第2の閃光放電ランプとを有し、第2の閃光放電ランプの電流は、時間幅が第1の閃光放電ランプの電流の時間幅より小さく、第1の閃光放電ランプの電流がピーク値から減少して0となるまでの間に入力されること特徴とする。
光加熱装置は、被処理物2を熱処理するためのものである。被処理物2は、例えば不純物イオンを導入した半導体ウエハであり、極表面のみを加熱して熱処理されるものである。特に、被照射物2の裏面に耐熱性の低い材料で作られた回路や配線が形成されている場合の熱処理に有効である。具体的には、裏面に回路や配線が形成されているパワー半導体デバイスの熱処理、特にIGBTの熱処理がある。
光加熱装置は、雰囲気ガス導入口41と、被処理物出入口42とを有するチャンバー4と、チャンバー44内に配置される被処理物2を支持するための支持用台44とを備える。また、チャンバー4の天井面には、石英の平板よりなる第1石英窓43aが設けられ、また、チャンバー4の底面には、石英の平板よりなる第2石英窓43bが設けられる。そして、第2石英窓43bの下方には、予備加熱手段3が設けられ、第1石英窓43aの上方には、閃光放射装置1が加熱源として設けられている。ここでは、予備加熱手段3は、第2石英窓43bに沿って等間隔で平行に配列された複数の棒状のハロゲンランプ31と、これらのハロゲンランプ31に共通のリフレクタ32とを備え、各ハロゲンランプ31の動作を制御するためのハロゲンランプ点灯回路33を有している。また、閃光放射装置1は、第1石英窓43aに沿って等間隔で平行に配列された複数の棒状の閃光放電ランプ10と、これらの閃光放電ランプ10に共通のリフレクタ11とを備え、各閃光放電ランプ10の動作を制御するための閃光放電ランプ点灯回路12を有している。
このような光加熱装置では、予め、予備加熱手段3に対応するハロゲンランプ31のすべてを一斉に点灯状態とすることにより、被処理物2を、導入された不純物の熱拡散が生じない予備加熱温度にまで予備加熱した後、閃光放射装置1を動作させることによって閃光を放射し、これにより、熱処理が行われる。
このように予備加熱をすることによって、被処理物2の表面と裏面との温度差を小さくすることができ、被処理物2にかかる熱応力を緩和し、被処理物2の割れを防ぐことができる。具体的にいうと、被処理物2の表面が瞬間的に1000℃に達する場合、予備加熱をしなければ、被処理物2の裏面は室温(30℃)であり、被処理物2の表面と裏面との温度差は970℃となるが、予備加熱をして、例えば被処理物2を予め300℃に加熱すると、被処理物2の表面と裏面との温度差は700℃に抑えることができる。なお、予備加熱をせずに被処理物2を熱処理することもできる。
閃光放電ランプ10は、例えば、キセノンガスが封入され、両端が封止され、内部に放電空間を有する直管型の石英ガラスまたはサファイア製の放電容器13と、放電空間内において対向配置された電極14を備えるものである。
また、始動性改善のため放電容器13の外面に沿って管軸方向に伸びるよう配設されたトリガー線16が設けられている。トリガー線16は、外径が1mmのニッケルなどの金属線からなり、発光管の外壁に沿って、一方の電極14の近傍から他方の電極14の近傍にかけて軸線方向に配置され、トリガーバンド17により固定される。そして、このトリガー線16に例えば十数KVの高圧を印加すると、発光管の内壁に沿って軸線方向の電界が誘起され、これが引き金となって両電極間で放電して閃光発光する。なお、トリガー線16を設けず、閃光放電ランプ10の電極間に絶縁破壊電圧以上の高電圧を印加して、放電を開始させることもできる。
閃光放電ランプFLには、瞬間的に放電させるためのエネルギー源として、時間幅の短いパルス電流が入力される。図3(a)に示すように、閃光放電ランプFLの点灯回路は、コンデンサ、コイル、トリガー発生回路、昇圧トランスより構成される。パルス電流の時間幅とエネルギー量は、コンデンサの容量C、コイルのインダクタンスL、充電電圧Vの値により調整することができる。一般に、パルス電流の時間幅はコンデンサの容量CとコイルのインダクタンスLの値(LC)に依存し、パルス電流のエネルギー量はコンデンサの容量Cと充電電圧Vの値(CV2)に依存する。例えば、コイルのインダクタンスLと充電電圧Vを大きくすると、パルス電流の時間幅が長く、エネルギー量が大きい波形となり、コンデンサの容量Cを小さくすると、パルス電流の時間幅が短く、エネルギー量が小さい波形となる。パルス電流の波形は、配線長さ(抵抗)、閃光放電ランプFLの大きさや放射エネルギー(インピーダンス)にも左右される。状況に応じて、コンデンサの容量C、コイルのインダクタンスL、充電電圧Vを調整してパルス電流の波形を決める。また、放電回路の途中に半導体スイッチを入れて、点灯開始および点灯終了のタイミングを制御することもできる。任意の時間にスイッチにより、強制的に放電を終了させて、パルス電流の時間幅を調整する。
図3(b)に示すような複数の閃光放電ランプFLに対しては、それぞれの閃光放電ランプFLに図3(a)に示す点灯回路が接続され、充電電圧Vとして共通する充電器53が接続される。制御部51が充電器53と点灯信号発生部54を操作し、点灯信号発生部54により、共通の駆動信号が入力される。
微細化が要求される半導体集積回路の製造工程に対応するために、パルス電流Aの時間幅が1msec以下、好ましくは0.0001〜0.3msecの閃光放電ランプ10を用いて、被処理物2に閃光を照射することが望まれている。一般に、パルス電流の時間幅が短い閃光放電ランプ10の方が、被処理物2を瞬時に加熱し、被処理物2の熱拡散が生じにくいため、パルス電流による入力エネルギー量が減少しても、被処理物2の表面を所定温度まで加熱できる。しかしながら、閃光放電ランプ10の時間幅を1msec以下に短くしたパルス電流Aでは、被処理物2を所定温度まで加熱するエネルギー量を確保するためには、パルス電流Aのピーク値を極めて高くしなければならない。パルス電流Aのようにピーク値が高くなると、閃光放電ランプ10の放電容器13の内表面に熱負荷がかかり、数100回点灯させると、熱負荷に耐えられなくなり、放電容器13が劣化してしまう不具合が発生する。なお、パルス電流の時間幅とは、パルス電流のピーク値の半値以上の電流が加えられている時間の区間をいう。
時間幅の長いパルス電流Bは、被処理物2を所定の処理温度まで加熱できる入力エネルギー量を確保してもピーク値が大きくなりすぎないため、時間幅の長いパルス電流Bが入力された閃光放電ランプ10は放電容器13に対する熱負荷が比較的小さい。また、パルス電流Bの時間幅は予備加熱手段3に比べて短いものなので、被処理物2を予備加熱温度以上に加熱しても、被処理物2に導入された不純物の熱拡散は生じない。
また、被処理物2の表面温度T1は、パルス電流の波形Bに即応するものではなく、予備加熱手段3によって維持される予備加熱温度450℃から、パルス電流の波形Bにわずかに遅れて加熱されることがわかる。パルス電流Bのピーク値から減少して0となるまでの間が、被処理物2の表面温度T1が高いことがわかる。
そこで、上記したような、パルス電流の時間幅がより短い閃光放電ランプ10を用いて被処理物2を照射する問題点を解決するために、本発明では、時間幅の短いパルス電流Aが入力された閃光放電ランプ10による被処理物2の加熱不足分を、時間幅の長いパルス電流Bが入力された閃光放電ランプ10を点灯させて補うことが考えられる。つまり、時間幅の長いパルス電流Bが入力された第1の閃光放電ランプ10bにより、被処理物2の表面を処理温度近くまで上げ、時間幅の短いパルス電流Aが入力された第2の閃光放電ランプ10aにより、処理温度までに足りない分だけを短時間加熱をする。短時間だけ処理温度以上に被処理物2の表面を加熱できるとともに、時間幅の短いパルス電流Aの入力エネルギー量は小さくて済むので、時間幅の短いパルス電流Aのピーク値を下げ、放電容器13に対する熱負荷を抑えられ、閃光放電ランプ10の寿命を延ばすことができる。
時間幅の長いパルス電流Bが入力された第1の閃光放電ランプ10bにより、被処理物2の表面温度T2を処理温度T3近くまで上げ、時間幅の短いパルス電流Aが入力された第2の閃光放電ランプ10aにより、処理温度T3に足りない分だけ短時間加熱している。このように、被処理物2に閃光を2段階に分けて照射しても、短時間だけ処理温度T3以上に被処理物2を加熱するので、パルス電流Aだけで被処理物2を処理温度T3まで加熱できるエネルギー量が入力された閃光放電ランプ10により加熱される場合と同様に、短時間だけ処理温度T3以上に被処理物2の表面を加熱することができる。すなわち、0.2msecだけ被処理物3を処理温度T3(1100℃)以上に加熱でき、従来の処理時間である1msecを大幅に短時間化している。また、時間幅の長いパルス電流Bが入力された第1の閃光放電ランプ10bにより、被処理物2の表面温度T2を予め処理温度T3近くまで上げた状態から、被処理物2をさらに短時間加熱しているので、被処理物2の表面と裏面との温度差を緩和し、被処理物に発生する小さくすることができるので、被処理物2が割れることを防止することができる。
また、パルス電流Aの時間幅は、1msec以下であり、特に0.3msec以下にすると、従来技術に係る閃光放射装置では処理できなかった微細な回路を露光することができる。一方、閃光放電ランプ10が点灯を開始し、放電を発生させるには、少なくとも0.0001msec以上の時間が必要である。
以上より、時間幅の短いパルス電流Aの時間幅は、時間幅の長いパルス電流Bの時間幅の半分以下であり、0.0001msec以上で、1msec以下、好ましくは0.3msec以下としなければならない。
以上より、時間幅の長いパルス電流Bの時間幅は、0.3msec以上、好ましくは1msec以上で、500msec以下としなければならない。
なお、第2の閃光放電ランプ10aにより被処理物2の表面温度T2を急激に上昇させるため、第2の閃光放電ランプ10aに入力されるパルス電流Aのピーク値は、第2の閃光放電ランプ10bに入力されるパルス電流Bのピーク値より大きいことが好ましい。
図7は、パルス電流A1、A2、A3と、スイッチなどにより強制的に遮断されるパルス電流Bと、パルス電流Bが入力された閃光放電ランプ10により加熱された被処理物2の表面温度T1を示した図である。
パルス電流Bはピーク値に至る前に強制的に遮断されて0となるため、被処理物2の表面温度T1は、順調に加熱されてパルス電流Bがピーク値の時に最大温度となり、その後、急激に冷えていく。パルス電流Bの遮断時を境にして、被処理物2の表面温度T1は略対称の関係となる。そのため、被処理物2の表面温度T1が上昇している区間は、第1の閃光放電ランプ10bのパルス電流Bのピーク値近傍となり、その間に時間幅の短いパルス電流Aが入力された第2の閃光放電ランプ10aを点灯させて重畳させることが好ましい。パルス電流A1は、パルス電流Bの遮断時より十分前から入力が開始されるので、パルス電流Bが遮断される前にパルス電流A1のピーク値が存在する。パルス電流A2は、パルス電流Bの遮断時の近傍で入力が開始されるので、パルス電流Bのピーク値とパルス電流A2のピーク値のタイミングが一致する。パルス電流A3は、パルス電流Bの遮断時の直前から入力が開始されるので、パルス電流Bが遮断された後にパルス電流A3のピーク値が存在する。すなわち、第2の閃光放電ランプ10aのパルス電流Aは第1の閃光放電ランプ10bのパルス電流Bが0となる前に入力が開始されれば、被処理物2の表面温度が高いうちに第2の閃光放電ランプ10aを重畳させて、被処理物2の表面を処理温度まで上げることができる。本発明の閃光放射装置を使用すれば、被処理物2の裏面に形成されたゲート、エミッタ回路や配線に熱ダメージを与えること無く、表面を熱処理して、例えばコレクタ側に形成されたPN接合部の活性化処理が可能である。
第1の閃光放電ランプ10bは石英ガラス製の放電容器13より構成され、第2の閃光放電ランプ10aはサファイア製の放電容器13より構成される。石英ガラスは熱衝撃に強いという特徴があり、サファイアは耐熱性が高いという特徴があるからである。時間幅の長いパルス電流Bのように、閃光放電ランプ10への入力エネルギー量が大きい場合は、放電容器13に発生する熱衝撃が大きくなるため、石英ガラス製の放電容器13を用いることが好ましい。一方、時間幅の短いパルス電流Aのように、閃光放電ランプ10に入力されるパルス電流のピーク値が高い場合は、放電容器13の温度が高くなるので、サファイア製の放電容器13を用いることが好ましい。
図6に示される時間幅の長いパルス電流Bが入力された第1の閃光放電ランプ10bは、被処理物2と平行に平面状に複数配置され、被処理物2に均一に閃光放射し、被処理物2の表面を処理温度近くまで上げる。続いて、時間幅の短いパルス電流Aが入力された第2の閃光放電ランプ10aが、第1の閃光放電ランプ10bのパルス電流Bがピーク値から減少して0となるまでの間に点灯し、被処理物2の処理温度に足りない分だけ短時間加熱をする。第2の閃光放電ランプ10aは、閃光放電ランプ1本分離間して平行に平面状に複数配置されているので、被処理物2に対する照射エネルギーに斑が生じやすい。図9に示すように、第1の閃光放電ランプ10bと第2の閃光放電ランプ10aとを、交互に複数並行に配置した場合は、図8に示すような第1の閃光放電ランプ10bは被処理物2と平行に平面状に複数配置し、第1の閃光放電ランプ10bの被処理物2側に、第2の閃光放電ランプ10aは被処理物2と平行に平面状に複数配置した場合と比較すると、リップルが生じる照射エネルギー分布となる。
なお、以上の説明は、第1の閃光放電ランプ10bと第2の閃光放電ランプ10aにそれぞれ複数の閃光放電ランプ10を配置した場合を示すが、それぞれ一本ずつでも被処理物2を十分加熱できるときには、1本で第1の閃光放電ランプ10bを形成し、1本で第2の閃光放電ランプ10aを形成し、合計2本の閃光放電ランプ10で閃光放射装置1を構成することもできる。
第1の閃光放電ランプFLBは、時間幅の長いパルス電流Bを発生するパルス電流B発生回路52bにより点灯され、第2の閃光放電ランプFLAは、時間幅の短いパルス電流Aを発生するパルス電流A発生回路52aにより点灯される。コンデンサの容量CA、CB、コイルのインダクタンスLA、LB、充電器53の充電電圧VA、VB等を調整して、パルス電流Aとパルス電流Bの波形を決める。パルス電流Aは、時間幅0.001〜1msec、ピーク値の電流密度1200〜5100A/cm2とし、パルス電流Bは、時間幅0.3〜500msec、ピーク値の電流密度600〜5100A/cm2とすることが好ましい。ただし、ピーク値の電流密度とは、電流波形のピーク値を、放電方向と略垂直に放電容器13を切った放電容器13内部の断面積で割った値である。
また、点灯信号発生部54は、パルス電流A発生回路52aに接続されたトリガー線16にトリガー発生信号56bを送ると同時に、タイマー回路を始動させる。タイマー回路により、点灯遅れ時間TAB遅れて、パルス電流A発生回路52aに接続されたトリガー線16のそれぞれにトリガー発生信号56aを送り、第2の閃光放電ランプFLAを点灯させる。これにより、第1の閃光放電ランプFLBと第2の閃光放電ランプFLAとに分けて点灯し、短時間だけ処理温度以上に被処理物2の表面を加熱することができる。なお、第2の閃光放電ランプFLAの点灯遅れ時間TABは、パルス電流Aとパルス電流Bの波形から予め求めておき、その遅れ時間TABを実現するようにタイマー回路を調整する。
第1の閃光放電ランプFLBと第2の閃光放電ランプFLAの消灯後、制御部51により充電器A53a、充電器B53bに充電開始の信号が送られ、十分に充電された後、制御部51が充電の終了の信号を送る。充電器A53a、充電器B53bの充電完了後、制御部51は点灯信号発生部54に再び点灯指令信号を送ることによって、第1の閃光放電ランプFLBと第2の閃光放電ランプFLAを再度点灯することができる。
第1の閃光放電ランプFLBは、時間幅の長いパルス電流Bを発生するパルス電流B発生回路52bにより点灯され、第2の閃光放電ランプFLAは、時間幅の短いパルス電流Aを発生するパルス電流A発生回路52aにより点灯される。ここでは、パルス電流の時間幅を、スイッチのON/OFFにより制御している。コイルLA、LBと閃光放電ランプFLA、FLBの間に、スイッチ素子SA、SBをいれている。閃光放電ランプが点灯して所定時間経過後、スイッチ素子SA、SBをOFFにし、強制的に閃光放電ランプの放電を停止させ、パルス電流の時間幅を操作することができる。ここでは、パルス電流Bはピーク値に至る前に強制的に遮断されている。
また、点灯信号発生部54は、パルス電流B発生回路52bに接続されたトリガー線16にトリガー発生信号56bを送ると同時に、点灯信号発生部54の内部のタイマー回路を始動させる。さらに、放電制御部A55aに信号を送り、放電制御部A55aのタイマー回路を始動させる。放電制御部A55aのタイマー回路は、第2の閃光放電ランプFLAの点灯遅れ時間TABと第2の閃光放電ランプFLAの点灯から消灯までの時間TAEを合わせた時間TAB+TAEを測定する。点灯信号発生部54のタイマー回路により、TAB時間遅れて、パルス電流A発生回路52aに接続されたトリガー線16のそれぞれにトリガー発生信号56aを送り、第2の閃光放電ランプFLAを点灯させる。そして、放電制御部A55aにより、点灯時間TAE経過後、スイッチ素子SAをOFFにし、強制的に第2の閃光放電ランプFLAの放電を停止させ、パルス電流Aを所定の時間幅とする。
これにより、第1の閃光放電ランプFLBと第2の閃光放電ランプFLAとに分けて点灯し、短時間だけ処理温度以上に被処理物2の表面を加熱することができる。
第1の閃光放電ランプFLBは、時間幅の長いパルス電流Bを発生するパルス電流B発生回路52bにより点灯され、第2の閃光放電ランプFLAは、時間幅の短いパルス電流Aを発生するパルス電流A発生回路52aにより点灯される。シマー放電方式とは、非点灯時にも微弱な電流を流し、高速に点灯させることを可能にするものである。また、シマー放電方式では、スイッチ素子SA、SBで放電の開始と終了のタイミングを制御できる。
図12に示す点灯回路をシマー放電方式とするために、点灯信号発生部54からシマー回路SIA、SIBを介して、スイッチ素子SA、SBに接続する回路を増設している。制御部51から点灯信号発生部54が点灯指令信号を受けると、シマー回路SIA、SIBにシマー放電点灯信号を送る。シマー放電点灯信号を受けたシマー回路は、シマー放電を開始する。シマー放電開始後、スイッチ素子SA、SBをON状態にして主放電を開始し、OFF状態にして放電を終了させることができる。シマー放電は主放電中も継続され、スイッチ素子SA、SBをOFF状態にしたとき、シマー放電も終了する。なお、シマー放電を切らずに再度主放電を開始することもできる。
また、点灯信号発生部54は、パルス電流B発生回路52bの放電制御部B55bに主放電点灯信号58bを送ると同時に、点灯信号発生部54の内部のタイマー回路を始動させる。第2の閃光放電ランプFLAの点灯遅れ時間TAB経過前に、シマー回路SIBにシマー放電点灯信号57bが送られ、シマー放電を開始する。そして、第2の閃光放電ランプFLAの点灯遅れ時間TAB後に、点灯信号発生部54から放電制御部A55aに主放電点灯信号58aが送られ、放電制御部A55aは、スイッチ素子SAをON状態にして、第2の閃光放電ランプFLAを点灯させる。放電制御部A55aは、スイッチ素子SAをON状態にしたと同時にタイマー回路を始動させ、第2の閃光放電ランプFLAの点灯から消灯までの点灯時間TAEを測定する。放電制御部A55aは、点灯時間TAE経過後、スイッチ素子SAをOFFにし、強制的に第2の閃光放電ランプFLAの放電を停止させ、パルス電流Aを所定の時間幅とする。
これにより、第1の閃光放電ランプFLBと第2の閃光放電ランプFLAとに分けて点灯し、短時間だけ処理温度以上に被処理物2を加熱して、微細な回路を露光することができる。
〔実施例1〕
被処理物として、シリコンウエハを用いた場合を示す。
この閃光放射装置の構成を以下に示す。
(第1の閃光放電ランプ) 放電容器:内径10mm、発光長500mm、29本
(第2の閃光放電ランプ) 放電容器:内径10mm、発光長500mm、30本
第1の閃光放電ランプ29本を並行に配置し、その被処理物側に、第2の閃光放電ランプ30本を並行に配置した。被処理物を予備加熱手段により表面温度が500℃となるように予め加熱し、第1の閃光放電ランプのパルス電流の時間幅を0.7msecとし、第2の閃光放電ランプのパルス電流の時間幅を0.1msecとした。
このとき、第2の閃光放電ランプをどのようなタイミングで点灯開始させれば、パルス電流の時間幅が0.1msecの閃光放電ランプを59本配置して被処理物を活性化する場合よりも、ピーク値の小さいパルス電流で被処理物を活性化できるか確認した。ただし、被処理物が400Ω/□以下になることを活性化達成条件とした。これは、シリコン中に不純物を加速電圧40keVで5×1015cm−2の量を導入した12インチのシリコンウエハの活性化条件である。また、照射エネルギーは、カロリーメーターを用いて測定した。
この結果、第1の閃光放電ランプのパルス電流Bがピーク値から減少して0となるまでの間に、時間幅の短いパルス電流Aが入力された第2の閃光放電ランプを点灯させると、パルス電流の時間幅が0.1msecの閃光放電ランプのみで被処理物を活性化する場合よりも、ピーク値の小さいパルス電流で被処理物を活性化できた。第1の閃光放電ランプが被処理物の表面を処理温度近くまで上げ、第2の閃光放電ランプを点灯させて、被処理物の表面を処理温度まで上げるからである。特に、第1の閃光放電ランプのパルス電流Bのピーク値から減少し、ピーク値の60%になるまでに、すなわち電流入力から0.6〜0.9msecの間に、第2の閃光放電ランプを点灯させると、処理達成条件を満たすように数万回以上点灯させても、放電容器の劣化が生じず、閃光放電ランプの寿命を延ばすことができることが分かった。
実施例1の比較例として、単一のパルス電流が入力された閃光放電ランプにより被処理物を加熱した場合を示す。
この閃光放射装置の構成を以下に示す。
(閃光放電ランプ) 放電容器:内径10mm、発光長500mm、59本
閃光放電ランプを、時間幅が0.05、0.1、0.3、0.5、0.7、1.0、5.0、50msecの単一のパルス電流で同時点灯させた。その結果、パルス電流の時間幅が0.3msec以下で、処理達成条件を満たすように点灯させた場合、数百〜数千回点灯すると閃光放電ランプの放電容器の表面が著しく劣化し、照度が著しく低下した。単一のパルス電流が被処理物を所定温度まで加熱できるエネルギー量を確保すると、電流の時間幅が0.3msecのときは、パルス電流のピーク値の電流密度が5100A/cm2となり、パルス電流の時間幅が0.2msecのときは、パルス電流のピーク値の電流密度が5700A/cm2となり、パルス電流の時間幅が0.05msecのときは、パルス電流のピーク値の電流密度が8900A/cm2となる。パルス電流のピーク値の電流密度が5100A/cm2以上となるので、放電容器の温度が高くなりすぎて、耐熱温度を越えてしまい、表面が著しく劣化するからである。
実施例1と同じ閃光放射装置を使用し、第1の閃光放電ランプに1、1.5、2、3、5、10、20msecと異なる時間幅のパルス電流を入力し、第2の閃光放電ランプに1msecの時間幅のパルス電流を入力させた。第1の閃光放電ランプのパルス電流Bのピーク値から減少し、ピーク値の80%となるとき、入力からそれぞれ0.2、0.8、1.4、2.6、5,11,23msec後に、第2の閃光放電ランプのパルス電流Aがピーク値となるように点灯させた。この条件で100枚の被処理物を加熱し、被処理物が割れるかどうかを確認した。この実験結果を表1に示す。
なお、第1の閃光放電ランプに1msecの時間幅のパルス電流を入力し、第2の閃光放電ランプに1msec以下の時間幅のパルス電流を入力した場合、第1の閃光放電ランプと第2の閃光放電ランプの両方に時間幅が1msecパルス電流を入力したときと同程度、被処理物が割れる。従来の閃光放射装置と同程度の被処理物の割れ頻度であり、実用可能な閃光放射装置であることが確かめられた。
2 被処理物
3 予備加熱手段
4 チャンバー
10 閃光放電ランプ
13 放電容器
51 制御器
Claims (2)
- 複数の閃光放電ランプから放射される閃光を被処理物に照射する閃光放射装置において、
前記閃光照射装置は、第1の閃光放電ランプと第2の閃光放電ランプとを有し、第2の閃光放電ランプの電流は、時間幅が第1の閃光放電ランプの電流の時間幅より小さく、第1の閃光放電ランプの電流がピーク値から減少して0となるまでの間に入力されることを特徴とする閃光放射装置。 - 前記第1の閃光放電ランプは平面状に複数配置され、前記第2の閃光放電ランプは前記第1の閃光放電ランプと前記被処理物の間に平面状に複数配置されることを特徴とする請求項1に記載の閃光放射装置。
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