JP5182978B2 - 洗浄剤 - Google Patents

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本発明は新規な洗浄剤に関する。更に詳しくは、低起泡性で取扱いが容易であり、かつ広範囲の基材を洗浄する能力を有する洗浄剤に関する。
アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物や高級アルコールアルキレンオキサイド付加物などの非イオン系界面活性剤を含有する洗浄剤組成物は洗浄剤として広く用いられている。これら非イオン系界面活性剤としては、取り扱い性の点から、常温で液状のものが望まれているが、このような性能を満たす非イオン系界面活性剤は、従来、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物や高級二級アルコールアルキレンオキサイド付加物などの、限られた界面活性剤しか知られていなかった。
しかしながら、これらの界面活性剤は起泡性が高く、高い作業性やすすぎ性が求められる自動食器洗浄機等では使用できないという問題があった。また、電子部品の洗浄にはフロン系の洗浄剤が長く使用されてきたが、近年の脱フロンの流れを受けて界面活性剤系の洗浄剤への移行が進んでいるが、この場合も低起泡性であることが求められる。
この様な課題を解決するため使用例として、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルフェノールを洗浄剤の一成分として提案されているが(特許文献1〜3)、具体的に記載されている化合物はいずれも十分満足できるものではなかった。
特開平4−252299(特許請求の範囲) 特開平7−118698(特許請求の範囲) 特開平9−217087(特許請求の範囲)
本発明の課題は、液状で取扱いが容易であり、かつ低起泡性で広範囲の基材を洗浄する能力を有する非イオン系界面活性剤を有効成分として含有してなる洗浄剤を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意検討を行った結果、上記課題に最適な洗浄剤を見いだし、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される、アルケニルフェノールの1種または2種以上にアルキレンオキサイドを付加した化合物を含有することを特徴とする洗浄剤である。
Figure 0005182978
(式中、Rは炭素数13〜17のアルケニル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、nは1〜100の整数であって、n個のAOは同一であっても異なっていてもよい。)
本発明の好ましい態様として前記アルケニルフェノールの1種または2種以上がカルダノールである請求項1に記載の洗浄剤がある。
前記一般式(1)において、Rは炭素数13〜17のアルケニル基を表す。Rの構造には特に限定はないが、不飽和結合数は1以上であればよく、直鎖構造であってもまた分岐構造であってもよい。
前記一般式(1)で表される化合物はどのような方法で製造されたものであってもよい。通常は、アルケニルフェノールの1種又は2種以上に塩基性触媒下アルキレンオキサイドを付加する方法で得ることが出来る。
前記アルケニルフェノールには、工業的に製造された純品又は複数種の混合物のほか、植物等の天然物から抽出・精製された純品又は複数種の混合物として存在するものも含まれる。例えば上記カシューナッツ殻等から抽出され、カルダノールと総称される、3−[8(Z),11(Z),14−ペンタデカトリエニル]フェノール、3−[8(Z),11(Z)−ペンタデカジエニル]フェノール、3−[8(Z)−ペンタデセニル]フェノール、3−[11(Z)−ペンタデセニル]フェノールや、いちょうの種子および葉、ヌルデの葉等から抽出される3−[8(Z),11(Z),14(Z)−ヘプタデカトリエニル]フェノール、3−[8(Z),11(Z)−ヘプタデカジエニル]フェノール、3−[12(Z)−ヘプタデセニル]フェノール、3−[10(Z)−ヘプタデセニル]フェノール等が挙げられる。これらの中で、分解性が良好であるカルダノールが好適に使用できる。
※出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)ホームページ
前記一般式(1)において、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表すが、具体的にはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。nは1〜100の整数であって、アルキレンオキサイドの付加モル数を示す。本願に係る所望の性能を得る点でnは3〜50であれば好ましく、5〜30であればより好ましい。n個のAOは同一であっても異なっていてもよく、異なる場合はブロック付加、ランダム付加のいずれであってもよい。
本発明に係る洗浄剤には前記一般式(1)で表される化合物のみから構成される態様の他、添加剤が配合された状態、溶媒で希釈した状態で製品化されたものも含まれる。希釈する場合に使用する溶媒は通常水であるが、更に低級アルコール、グリコール等のような他の液体溶剤を含んでいてもよい。製品形態が水溶液である場合、本発明に係る化合物の洗浄剤中の含有量は洗浄対象にもよるが、洗浄剤中に0.1〜30質量%の範囲とするのが好ましく、特に好ましくは1〜15質量%の範囲である。使用態様に応じさらに水等の溶媒に希釈して使用することもある。
本発明の洗浄剤には、本発明の目的が損なわれない範囲で、通常の洗浄剤に慣用される添加成分の中から任意のものを選択して添加することができる。このような添加成分としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カルボキシベタイン型、イミダゾリニウム型あるいはスルホベタイン型の両性界面活性剤などの界面活性剤、カラギーナン、ローカストビーンガム、グアガム、タマリンドガム、アラビアガム、キサンタンガム、ペクチン、プルラン、カゼイン、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、大豆タンパク質、グルテンなどの天然増粘安定剤、メチルセルロース、カゼインナトリウム、ポリアクリル酸などの合成増粘安定剤、クエン酸などのキレート剤、無機塩などのビルダー、芳香族スルホン酸塩などのハイドロトロープ剤、粘度調整剤、香料、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、消炎剤、薬効成分、酵素などが挙げられる。
ここで、前記のアニオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基及びリン酸エステル基からなる群より選ばれる1種以上のアニオン性官能基を極性基として有するものが特に好ましい。具体的には、脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルアラニネートやアシルタウレート、N−アルキルイミノジカルボン酸に代表されるアミノ酸系アニオン界面活性剤又はその塩、α−スルホ脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸エステル塩などが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸セッケン、アシルタウレート、アルキルリン酸エステル塩等が特に好ましい。これらのアニオン性界面活性剤は、単独で又は適当な2種以上の組み合わせで配合可能である。アニオン性界面活性剤を配合する場合の配合量は、洗浄剤中に0.1〜30質量%の範囲とするのが好ましく、特に好ましくは1〜20質量%の範囲である。
また、前記のノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、プルロニック、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエステル、アルキルポリグリコシド、脂肪酸メチルグリコシドエステル、アルキルメチルグルカミド、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。これらの中でも、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノ、ジ脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの多価アルコールの脂肪酸エステルは、安全性が高く、食品添加物として認可されているのでより好ましい。これらのノニオン性界面活性剤は、単独で又は適当な2種以上の組み合わせで配合可能である。ノニオン性界面活性剤を配合する場合の配合量は、洗浄剤中に0.1〜30質量%の範囲とするのが好ましく、特に好ましくは1〜15質量%の範囲である。
本発明の洗浄剤は、食品、繊維、皮膚、毛髪、硬質表面などの洗浄に用いることができるが、とりわけ陶磁器製、ガラス製、金属製またはプラスチック製等の食器類、台所器具類およびバス・サニタリーの洗浄に好適である。また、本発明の洗浄剤は繊維加工工程における精練洗浄剤として有用である。さらに、金属工業においては金属表面の脱脂や酸化被膜除去のための洗浄が行われるが、本発明の洗浄剤は金属洗浄剤としても有用である。
次に実施例により本発明を更に詳しく説明する。
製造例1
カルダノール(3−[8(Z),11(Z),14−ペンタデカトリエニル]フェノール 31重量%、3−[8(Z),11(Z)−ペンタデカジエニル]フェノール 20重量%、3−[8(Z)−ペンタデセニル]フェノール 45重量%の混合物。商品名;Distilled
Cashew Nut Shell Liquid(インド、SATYA CASHEW CHEMICALS社製。以下同様)を1000mlオートクレーブに263g及び水酸化カリウム0.6gを仕込み、系内を窒素置換した後120℃に昇温し、次いで系内を50mmHgの減圧にして1時間減圧脱水した。減圧脱水終了後、系内を窒素により常圧に戻し、150℃に昇温した後、この温度を保ちながらエチレンオキサイド385gをゲージ圧力0.2〜0.4MPaの加圧下で2時間かけて反応系内に導入しカルダノールのエトキシ化反応を行った。エチレンオキサイド送入終了後、さらに同温度で1時間熟成を行い、冷却後酢酸0.38gで中和してカルダノールエチレンオキサイド付加物636gを得た。得られたカルダノールエチレンオキサイド付加物の、カルダノールに対するエチレンオキサイドの平均の付加モル数(以下、単にエチレンオキサイド付加モル数と略称する)は10.0である。
製造例2
製造例1においてエチレンオキサイドの代わりにエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(1/1モル比)混合物357gを反応させた以外は製造例1と同様に反応を行いカルダノールエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物610gを得た。エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド付加モル数はともに4.0であり、2種類のアルキレンオキサイドの付加の形態はランダム付加であった。
実施例1(洗浄試験)
洗濯化学協会製、湿式人工汚染布(反射率35±5%)を使用し、洗浄力試験機Terg−O−Tometerを用いて洗浄力を評価した。製造例1で合成したカルダノールエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数10.0)の0.25重量%水溶液に汚染布を入れ、30℃、120rpmで10分間洗浄した。洗浄終了後すすぎを30℃、120rpmで3分間を2回行った。試験布を風乾後アイロン掛けし、測色色差計を用いて布の表面反射率を測定し、次式によって洗浄効率(D)を求めた。ここでRw、Rs、Roはそれぞれ洗浄布、汚染布、原白布の表面反射率である。
D(%)=[1−(Ro−Rw)/(Ro−Rs)]×100
製造例2で合成したカルダノールエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加モル数ともに4.0)についても同様に洗浄試験を実施した。
洗浄効率はそれぞれ80%と78%であり良好な洗浄性能を示した。
比較例1
実施例1においてカルダノールエチレンオキサイド付加物の代わりにノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数10.0)を用いた以外はすべて実施例1と同様に洗浄力試験を行った。洗浄効率は78%であった。
実施例2(食器の洗浄試験)
これらの水溶液の洗浄力を、サラダ油を塗布した皿の洗浄状態で評価した。その結果を表1に示した。
〔洗浄力評価方法〕;西洋皿にサラダ油を0.5g/20cmの割合で塗布したものを予め調製しておき、これを試料水溶液(20℃)に15分間浸漬した。水溶液から皿を引き上げた直後の水のはじき具合を、肉眼で判定した。
判定基準:○‥‥サラダ油が完全に落ちている
△‥‥サラダ油がわずかに残っている
×‥‥サラダ油が大分残っている
供試洗剤はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、製造例で合成したカルダノールエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物、エタノール、水を16:3:6:75の重量比で混合したものを用い、この供試洗剤1.5gを使用水に溶かし1リットルにし、試料水溶液として洗浄試験に用いた。同様に比較例1のノニルフェノールエチレンオキサイド付加物についても試料水溶液を作製し洗浄試験を行った。
実施例3(起泡性試験)
本発明の洗浄剤について、下記の方法で起泡力試験を行った。結果を表1に示す。
試験法:JIS K 3362 ロスマイルス法
測定温度:40±2℃
活性剤濃度:0.25%
Figure 0005182978
本発明によれば、低起泡性で洗浄効果の高い洗浄剤が提供される。本発明の洗浄剤は繊維原毛の洗浄や各種繊維の洗浄および金属、食器類、住居材等の硬質材表面の洗浄など広範囲の基材の洗浄に有効である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物の1種または2種以上からなる洗浄剤。
    Figure 0005182978
    (式中、Rは8(Z),11(Z),14−ペンタデカトリエニル基、8(Z),11(Z)−ペンタデカジエニル基、8(Z)−ペンタデセニル基、11(Z)−ペンタデセニル基、8(Z),11(Z),14(Z)−ヘプタデカトリエニル基、8(Z),11(Z)−ヘプタデカジエニル基、12(Z)−ヘプタデセニル基または10(Z)−ヘプタデセニル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、nは30の整数であって、n個のAOは同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 前記一般式(1)で表される化合物の1種または2種以上がカルダノールのアルキレンオキサイド付加物である請求項1に記載の洗浄剤。
  3. 請求項1または2に記載の洗浄剤を水に溶解してなる液体洗浄剤。
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