電動ベッドは、土台フレームの上に昇降フレームを昇降自在に取り付け、昇降フレームを昇降駆動することによって、電動でベッドの高さ調節ができるようにしてある。またマットレスを敷くボトムを複数に分割して昇降フレームに取り付け、ベッドに寝る人の首から背中の部分に対応するボトムを上方へ回動させて斜めに立ち上げることによって、ベッドに寝ている人の背中を起こすことができ、またベッドに寝る人の脚の部分に対応するボトムを逆V字形になるように上方へ回動させることによって、脚を楽な姿勢に曲げることができるようにしてある。これらの昇降フレームの昇降駆動や、ボトムの回動駆動は、電動機によってリンク機構を作動させることによって、行なわれるようになっている。
ここで、電動ベッドは主として介護用に用いられるものであり、介護に必要な期間のみ使用されることが多いので、レンタル業者から家庭などにレンタルして使用されるのが一般的である。このようにレンタルの際の運搬に適するように、電動ベッドは組み立て・分解できるようになっている。例えば、土台フレームや昇降フレームは複数の枠部材を組み立てて形成することができるようにしてあり、またボトムは取付用の部材をリンク機構を形成する部材に組み付けるようにしてあり、容易に組み立て・分解ができるようになっている。
そして上記のような組み立て・分解ができる電動ベッドにおいて、電動ベッドを構成する各部材5の組み立てや分解を容易に行なうことができるように、軸ピン3とスナップピン6からなる結合用ピンAを用いて、各部材5の結合を行なうようにしている(例えば特許文献1等参照)。
図12はこのような結合用ピンAを示すものであり、軸ピン3は一端に頭部1を突設すると共に、他端部に軸を直径方向に貫通する一つの差込孔2を設けて形成してある。またスナップピン6は直線ピン部7と、係合ピン部8と、直線ピン部7と係合ピン部8との間の操作部9から形成してある。
一方、電動ベッドを構成する部材5の結合部分には結合孔4が穿設してある。そして電動ベッドを組み立てるために、例えば二つの部材5a,5bを結合するにあたっては、各部材5a,5bの結合孔4を合致させた状態で、部材5a,5bを重ね、この部材5a,5bの一連の結合孔4に軸ピン3を差し通して頭部1を部材5aの外面に係止させる。次に部材5bの結合孔4から突出した軸ピン3の端部の差込孔2にスナップピン6の直線ピン部7を差し込み、スナップピン6が部材5bの外面に係止して結合孔4から軸ピン3が抜けないようにすることによって、図13(a)(b)のようにして行なうことができるものである。
このように軸ピン3の差込孔2にスナップピン6の直線ピン部7を差し込むと、図12(b)に示すように、係合ピン部8の半円形に屈曲された係合部15が軸ピン3の外周面に弾性的に係合し、スナップピン6が軸ピン3から容易に抜けないようにしてある。また電動ベッドを分解するために部材5a,5bを分解するにあたっては、軸ピン3に対する係合ピン部8の係合を外しながら差込孔2から直線ピン部7を引き抜き、次いで部材5a,5bの結合孔4から軸ピン3を抜き外すことによって行なうことができる。
このようにして複数の部材5a,5bを結合用ピンAで結合するにあたって、例えば、電動ベッドの土台フレームや昇降フレームなどを構成する枠部材は、断面ロ字形のパイプ状の部材5a,5bから形成されることが多く、この場合には図13(a)のように部材5a,5bを合わせた幅寸法L1は大きい。一方、電動ベッドのリンク機構を形成するアームなどはコ字型材やL字型材の部材5a,5bで形成されることが多く、この場合には図13(b)のように部材5a,5bを合わせた幅寸法L2は小さくなる。
従って、上記の図12のような結合用ピンAを用いて部材5a,5bを結合するにあたって、図13(a)のように幅寸法L1が大きい部材5a,5bを結合するには、頭部1と差込孔2との間の距離Lが長い長寸法の軸ピン3を用いる必要があり、また図13(b)のように幅寸法L2が小さい部材5a,5bを結合するには、頭部1と差込孔2との間の距離Lが短い短寸法の軸ピン3を用いる必要がある。
このように、結合する部材5a,5bの合計幅寸法に応じて長さの異なる複数種の軸ピン3を用意する必要があり、部品コストのうえで問題となるものであった。また結合する部材5a,5bに応じた寸法の軸ピン3を選択して使い分ける必要があるため、組み立ての作業が煩雑になるという問題もあった。
また、軸ピン3の差込孔2に直線ピン部7を差し込んでスナップピン6を挿着する操作や、差込孔2から直線ピン部7を抜いてスナップピン6を軸ピン3から外す操作は、操作部9を指先で摘んで行なうことになる。しかし、差込孔2に差し込む際には同時に係合ピン部8の係合部15を軸ピン3の外周に係合させる必要があり、また差込孔2から抜く際には同時に係合部15の係合を外す必要があるため、所要の力が必要となるが、操作部9を指先で摘むことでは大きな力を作用させることは難しく、軸ピン3にスナップピン6を挿着したり、軸ピン3からスナップピン6を取り外したりする操作が困難であるという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、一種類の軸ピンで、軸ピンを使い分ける必要なく、異なる合計幅寸法の部材を結合することができる結合用ピンを提供することを目的とするものであり、また軸ピンへのスナップピンの挿着や取り外しの操作を容易に行なうことができる結合用ピンを提供することを目的とするものである。
本発明に係る結合用ピンは、一方の端部に頭部1が突設され、他方の端部に軸を直径方向に貫通する差込孔2が軸方向に沿った複数個所に設けられた軸ピン3と、それぞれ結合孔4を形成した複数の部材5を結合孔4同士を合致させて対向配置すると共に、この合致させた一連の結合孔4に軸ピン3を挿し通して一方の端部の部材5の外面に頭部1を当接したとき、他方の端部の部材5から突出する軸ピン3の端部において露出する差込孔2のうち、この他方の端部の部材5の外面に最も近い差込孔2に差し込まれるスナップピン6と、を備えて成ることを特徴とするものである。
このように、軸ピン3には軸方向の複数個所において差込孔2が設けてあるので、複数の部材5の合計幅寸法に応じた位置の差込孔2が部材5の結合孔4から突出するものであり、突出する差込孔2のうち部材5に最も近い差込孔2にスナップピン6を差し込むことによって、スナップピン6を結合孔4の開口縁に係止させて、複数の部材5を結合することができ、一種類の軸ピン3で、軸ピン3を使い分ける必要なく、異なる合計幅寸法の部材5を結合することができるものである。
また本発明において、上記スナップピン6は、軸ピン3の差込孔2に差し込まれる直線ピン部7と、差込孔2に直線ピン部7が差し込まれたときに軸ピン3の外周に係合される係合ピン部8と、直線ピン部7と係合ピン部8との間に設けられ、スナップピン6を抜き差し操作する操作部9とを備えて形成され、操作部9は、円形に曲げてループ形状に形成され、操作部9のループがなす面と直線ピン部7の延長線との間の角度が、30°〜80°の範囲で屈曲していることを特徴とするものである。
このようにスナップピン6の操作部9が直線ピン部7に対して屈曲しているので、軸ピン3の差込孔2に直線ピン部7を差し込んだり引き抜いたりする操作を、屈曲した操作部9を指で押したり、操作部9に指を引っ掛けて引いたりすることによって、容易に行なうことができるものである。
また本発明において、スナップピン6の操作部9はループ形状に形成されていることを特徴とするものである。
このように操作部9をループ形状に形成することによって、操作部9を指で押したり、指を引っ掛けて引いたりする際に、操作部9は広い範囲で指に接するものであり、操作部9を操作する際に指に感じる痛みを軽減することができるものである。
本発明によれば、軸ピン3には軸方向の複数個所において差込孔2が設けてあるので、複数の部材5の合計幅寸法に応じた位置の差込孔2が部材5の結合孔4から突出するものであり、突出する差込孔2のうち部材5に最も近い差込孔2にスナップピン6を差し込むことによって、スナップピン6を結合孔4の開口縁に係止させて、複数の部材5を結合することができ、一種類の軸ピン3で、軸ピン3を使い分ける必要なく、異なる合計幅寸法の部材5を結合することができるものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図2は本発明の結合用ピンAの一例を示すものであり、円柱状の軸ピン3とスナップピン6とから形成されるものである。軸ピン3の一方の端部には、軸ピン3より外径が大きい頭部1を張り出して形成してあり、軸ピン3の他方の端部には直径方向に貫通する差込孔2が穿設してある。この差込孔2は、軸ピン3の軸方向に沿った複数個所に設けられるものであり、図2の実施の形態では2箇所に差込孔2を設けるようにしてある。
スナップピン6は金属線材を屈曲加工して作製されるものであり、直線状の直線ピン部7と、直線ピン部7と概ね平行に配置される係合ピン部8と、直線ピン部7と係合ピン部8の対向する一端同士を一体に連結する操作部9とから形成してある。係合ピン部8の一部には直線ピン部7と反対側に凸湾曲する円弧状の係合部15が形成してあり、係合部15よりも先側の先端部は直線ピン部7と反対側に傾斜するガイド傾斜部16として形成してある。また操作部9は円形に曲げてループ形状に形成されるものであり、直線ピン部7に対して傾斜方向乃至直角方向に屈曲させてある。すなわち、操作部9のループがなす面が、直線ピン部7と平行でなく、直線ピン部7の長手方向に対して傾斜方向かあるいは直角方向に曲がっているものである。操作部9の折曲の角度は特に限定されるものではないが、操作部9のループがなす面と直線ピン部7の延長線との間の角度が、30°〜80°の範囲であることが好ましく、より好ましくは50°〜70°の範囲である。また操作部9のループの大きさは、特に限定されるものではないが、手の指の腹で操作する場合には、手の指の腹程度の大きさが好ましい。
次に、本発明に係る結合用ピンAを用いて複数の部材5を結合することによって組み立てを行なう一例として、電動ベッドを例に挙げて説明する。
電動ベッドは土台フレーム40と、土台フレーム40の上に配置される昇降フレーム41を備え、昇降フレーム41の上にボトム板30を取り付けて図5及び図6に示すように形成されるものである。ボトム板30は、ベッドに寝る人の身体のうち、主として頭部と背中の部分に対応する背ボトム板30aと、主として腰部に対応する腰ボトム板30bと、主として大腿部に対応する腿ボトム板30cと、主として臑部と足に対応する足ボトム板30dに分割してあり、図3及び図4のようにボトム板30の上にマットレス31を敷くようになっている。各ボトム板30は樹脂の中空成形品で軽量に形成してあり、背ボトム板30aと足ボトム板30dの両側端にはマットレス31のズレ防止用のストッパー20が一体に突設してある。ストッパー20には手を差し込むことのできる開口部21が形成してあり、背ボトム板30aや足ボトム板30dを持ち運ぶ際にストッパー20を把手として利用できるようにしてある。
土台フレーム40は図7に示すように、両端に設置脚42を設けた一対の側枠材43と、側枠材43間に架設した一対の連結枠材44から形成されるものであり、各連結枠材44上に一対のアーム支持体45が突設してある。この各アーム支持体45にはそれぞれ昇降アーム46の一端が上下回動自在に枢支してあり、それぞれの連結枠材44上の一対のアーム支持体45に枢支した昇降アーム46の他端間に昇降ロッド47が取り付けてある。昇降ロッド47と昇降アーム46とは固定されているものであり、昇降ロッド47の両端にはコロ48が回転自在に取り付けてある。また昇降ロッド47にはそれぞれ連結アーム49が突設してあり、連結ロッド50の両端をこの各連結アーム49の先端に上下回動自在に枢着することによって、一対の昇降ロッド47と連結ロッド50を連動するようにしてある。
昇降フレーム41は図8に示すように、連結枠材52で連結された一対の側枠材53と、側枠材53の両端にそれぞれ取り付けられる端部枠材54,55から形成されるものである。端部枠材54,55の両側の側部枠材58と側枠材53は、後述のように結合用ピンAを用いて連結結合されるものである。上記の一対の側枠材53には両端部にそれぞれ昇降脚56が下方へ突出して設けてあり、昇降脚56の下端に形成した半円形凹部57を上記の土台フレーム40の昇降ロッド47の両端のコロ48の上に載置することによって、土台フレーム40の上に昇降フレーム41を取り付けるようにしてある。
また昇降フレーム41の側枠材53間には、背ボトム板回動軸60aと腿ボトム板回動軸60bが取り付けてある。背ボトム板回動軸60aは軸61aで側枠材53に枢支連結して、軸61aを中心に上下回動自在にしてあり、腿ボトム板回動軸60bは軸61bで側枠材53に枢支連結して、軸61bを中心に上下回動自在にしてある。背ボトム板回動軸60aには回動アーム27aが図9(a)に示すように基端を固定して取り付けてあり、回動アーム27aは両側縁に側片62を垂下して断面形状を下向き開口コ字形に形成してある。そして回動アーム27aの一方の側片62の外面に前後一対の係止ピン28を突設してあり、両方の側片62に対向する位置で結合孔4が穿設してある。また腿ボトム板回動軸60bには回動アーム27bが図9(b)に示すように基端を固定して取り付けてあり、回動アーム27bは両側縁に側片62を垂下して断面形状を下向き開口コ字形に形成してある。そして回動アーム27bの一方の側片62の外面に前後一対の係止ピン28を突設してあり、両方の側片62に対向する位置で結合孔4が穿設してある。
上記の昇降フレーム41には、連結枠材52で支持して電動機65が取り付けてあり、この電動機65には、電動機65の回転運動を直進運動に変換して前進後退作動するアクチュエータ66が設けてある。このアクチュエータ66の先端は、上記の土台フレーム40の連結ロッド50に設けた連結受け具67に回動自在に枢支連結してある。そして電動機65を駆動してアクチュエータ66を前進作動させると、連結受け具67が図7のa矢印のように押され、昇降アーム46がb矢印のように上方へ回動すると共に昇降ロッド47がc矢印のように上昇する。このように昇降ロッド47が上昇することによって、昇降ロッド47のコロ48の上に載っている昇降フレーム41が上昇し、ベッドの高さを高くした状態にすることができるものである。このように昇降アーム46が上方へ回動してベッドを高くした状態を図6に鎖線で示す。また電動機65を逆転させてアクチュエータ6を後退させることによって、上記と逆の動きで昇降アーム46を下方へ回動させて昇降フレーム41を下降させ、ベッドの高さを低くすることができるものである。
昇降フレーム41にはさらに、側枠材53で支持して電動機69及び電動機70が取り付けてある。電動機69には、電動機69の回転運動を直進運動に変換して前進後退作動するアクチュエータ71が設けてあり、このアクチュエータ71はリンク機構を介して背ボトム板回動軸60aに連結してある。また電動機70には、電動機70の回転運動を直進運動に変換して前進後退作動するアクチュエータ72が設けてあり、このアクチュエータ72はリンク機構を介して腿ボトム板回動軸60bに連結してある。そして電動機69を駆動してアクチュエータ71を前進作動させると、背ボトム板回動軸60aが図8のd矢印のように回動され、この背ボトム板回動軸60aの回動に伴なって回動アーム27aはe矢印のように上方へ回動駆動されるようになっている。この電動機69を逆転してアクチュエータ71を後退作動させると、上記と逆の動きで回動アーム27aは下方へ回動する。また電動機70を駆動してアクチュエータ72を前進作動させると、腿ボトム板回動軸60bが図8のf矢印のように回動され、この腿ボトム板回動軸60bの回動に伴なって回動アーム27bはg矢印のように上方へ回動駆動されるようになっている。この電動機70を逆転してアクチュエータ72を後退作動させると、上記と逆の動きで回動アーム27bは下方へ回動する。
また各ボトム板30は背ボトム板30a、腰ボトム板30b、腿ボトム板30c、足ボトム板30dの順に一列に配置されるが、腿ボトム板30cと足ボトム板30dは蝶番32で上下方向に回動自在に連結してある。そして背ボトム板30aの下面には、図10(b)に示す取付金具23aを、図10(a)のようにビス止めで取り付けてある。また腿ボトム板30cの下面には、図11(b)に示す取付金具23bを、図11(a)のようにビス止めで取り付けてある。取付金具23a,23bの一側縁には結合片24が垂下して設けてあり、取付金具23a,23bの各結合片24には2箇所の係止凹部25と1箇所の結合孔4が形成してある。背ボトム板30aの取付金具23aに設けられる係止凹部25は、ベッドの後方(ベッドに寝る人の頭側を前、足側を後とする)へ開口するように形成してあり、また腿ボトム板30cの取付金具23bに設けられる係止凹部25は、前方へ開口するように形成してある。
そして昇降フレーム41へのボトム板30の取り付けは、背ボトム板30aについては、背ボトム板30aを背ボトム板回動軸60aの回動アーム27aの上に載置し、背ボトム板30aの下面の取付金具23aを回動アーム27aに連結結合することによって、行なうことができるものであり、腿ボトム板30c及び足ボトム板30dについては、腿ボトム板30cを腿ボトム板回動軸60bの回動アーム27bの上に載置し、腿ボトム板30cの下面の取付金具23bを回動アーム27bに連結結合することによって、行なうことができる。
背ボトム板30aを取り付けるにあたっては、回動アーム27aの上に背ボトム30aを載置して、まず取付金具23aの結合片24の係止凹部25に、回動アーム27aの側面に突出する係止ピン28を差し込み係止させる。このように係止凹部25に係止ピン28が差し込み係止される位置で、回動アーム27aの結合孔4と取付金具23aの結合孔4が合致するようになっている。そして後述のようにこの結合孔4に結合用ピンAを装着して、回動アーム27aに取付金具23aを連結結合することによって、背ボトム板回動軸60aを介して昇降フレーム41の上に取り付けることができるものである。また腿ボトム板30cと足ボトム板30dも、上記と同様にして、腿ボトム板30cの下面の取付金具23bを回動アーム27bに連結結合することによって、腿ボトム板回動軸60bを介して昇降フレーム41の上に取り付けることができるものである。さらにボトム板30のうち、腰ボトム板30bは昇降フレーム41の上に固定して取り付けられるものである。
そして上記したように、電動機69を作動させて背ボトム板回動軸60aを回動駆動し、回動アーム27aを図8のe矢印のように回動させると、この回動アーム27aに取り付けられた背ボトム板30aも上方へ回動され、図6に鎖線で示すように斜めに立ち上げられる。このように背ボトム板30aが斜めに立ち上げられると、マットレス1も図3のように斜めに立ち上がり、ベッドの上に寝る人の上半身を持ち上げて起し、ベッドの上でもたれ座りをした姿勢にすることができるものである。また電動機70を作動させて腿ボトム板回動軸60bを回動駆動し、回動アーム27bを図8のg矢印のように回動させると、この回動アーム27bに取り付けられた腿ボトム板30cも上方へ回動される。このように腿ボトム板30cを上方へ回動させて斜めに立ち上げると、腿ボトム板30cと蝶番32で連結されている足ボトム板30dも斜めに立ち上がって、図6に鎖線で示すように腿ボトム板30cと足ボトム板30dは逆V字形に屈曲されるものであり、マットレス31も図3のように逆V字形に屈曲され、ベッドに寝る人の腿と臑を曲げた、つまり脚を曲げた状態にすることができ、楽な姿勢でもたれ座りをすることができるものである。
次に、上記した、昇降フレーム41を構成する側枠材53と、端部枠材54,55の側部枠材58とを、連結結合する部材5a,5bとして用いて、本発明の結合用ピンAで連結結合する構成について説明する。側枠材53や側部枠材58はいずれも角パイプで形成される部材5a,5bであり、各部材5a,5bの両側面には対向した位置において結合孔4が穿設してある。そしてこの結合孔4が合致するように位置合せをした状態で、部材5a,5bを重ねて配置し、図1(a)に示すように部材5a,5bの一連の結合孔4に軸ピン3を挿し通す。そして部材5a,5bの一方、例えば部材5aの外面に軸ピン3の頭部1を当接させた状態で部材5a,5bの他方、例えば部材5bの結合孔4から軸ピン3の端部が突出するが、部材5a,5bはいずれも角パイプで形成されるために厚みがあり、部材5a,5bの合計の幅寸法L1は大きい。このため、軸ピン3に設けた2個の差込孔2のうち、頭部1に近い側の差込孔2は部材5b内に位置しており、部材5bの結合孔4から突出する軸ピン3には先端側の差込孔2のみが露出されている。従って、この露出している差込孔2にスナップピン6の直線ピン部7を差し込んで、図1(a)のように軸ピン3にスナップピン6を装着すると、スナップピン6が結合孔4の開口縁に係止されて軸ピン3の抜け止めとなるので、部材5aと部材5bを、すなわち側枠材53と側部枠材58を結合用ピンAで連結結合することができるものである。
また、上記した、昇降フレーム41の回動アーム27a,27bと、背ボトム板30aや腿ボトム板30cの取付金具23a,23bとを、連結結合する部材5a,5bとして用いて、本発明の結合用ピンAで連結結合する構成について説明する。上記のように回動アーム27a,27bは両側に側片62を設けた断面コ字形の部材5aであって、各側片62に結合孔4が形成されている。一方、取付金具23a,23bは結合片24を垂下した断面L字形に形成される部材5bであって、結合片24に結合孔4が設けてある。そして上記のように取付金具23a,23bの係止凹部25に回動アーム27a,27bの係止ピン28を差し込み係止させた状態で、取付金具23a,23bと回動アーム27a,27bの結合孔4は一致するようになっているので、図1(b)のように部材5a,5bの一連の結合孔4に軸ピン3を挿し通す。このとき、部材5a,5bの一方、例えば部材5aの外面に軸ピン3の頭部1を当接させた状態で部材5a,5bの他方、例えば部材5bの結合孔4から軸ピン3の端部が突出するが、部材5aは断面コ字形であるために厚みがあるが、部材5bの厚みは実質的に結合片24の厚みであって薄く、部材5a,5bの合計の幅寸法L2は小さい。このため、部材5bの結合孔4から突出する軸ピン3には2個の差込孔2の両方が露出されている。従って、露出している差込孔2のうち、部材5bの外面に近い側の差込孔2にスナップピン6の直線ピン部7を差し込んで、図1(b)のように軸ピン3にスナップピン6を装着すると、スナップピン6が結合孔4の開口縁に係止されて軸ピン3の抜け止めとなるので、部材5aと部材5bを、すなわち回動アーム27a,27bと取付金具23a,23bを結合用ピンAで連結結合することができるものである。
上記のように、軸ピン3にはその軸方向に沿った複数個所に差込孔2が設けてあるので、部材5a,5bの合計の幅寸法が異なっても、部材5a,5bの合計幅寸法に適合した差込孔2を選択してスナップピン6を装着することによって、一種類の軸ピン3で部材5a,5bの連結結合を行なうことができるものである。例えば電動ベッドにおいて、結合する部材5a,5bとして図1(a)(b)のように合計幅寸法がL1とL2のように2種類ある場合、軸ピン3として頭部1から差込孔2までの距離がL1とL2に適合する位置の2箇所に設けたものを用いることによって、1種類の軸ピン3だけで電動ベッドの組み立てが可能になるものである。勿論、結合する部材5a,5bとして合計幅寸法が3種類以上ある場合には、その合計幅寸法に適合した3箇所以上に差込孔2を設けた軸ピン3を用いるものである。そしてこのように1種類の軸ピン3で合計幅寸法が異なる部材5a,5bの連結結合ができる結果、電動ベッドを組み立てる際に、長さの異なる複数種の軸ピン3を使い分けるような煩雑さがなくなるものである。
ここで、上記のように軸ピン3の差込孔2にスナップピン6の直線ピン部7を差し込むと、係合ピン部8がその先端のガイド傾斜部16でガイドされて軸ピン3の外周に乗り上がり、図2(b)に示すように、係合ピン部8の係合部15が軸ピン3の外周に係合される。このように係合ピン部8が軸ピン3の外周に係合することによって、差込孔2に挿入された直線ピン部7が容易に抜けないようにすることができ、軸ピン3からスナップピン6が脱落することを防ぐことができるものである。
上記のように係合ピン部8を軸ピン3の外周に係合させることによってスナップピン6が脱落することを防ぐことができるが、軸ピン3にスナップピン6を装着するために差込孔2に直線ピン部7を差し込む際には、同時に軸ピン3の外周に係合ピン部8を係合させる必要があり、操作部9を操作して直線ピン部7を差込孔2に差し込むのに大きな力を要する。また軸ピン3からスナップピン6を外すために差込孔2から直線ピン部7を抜く際には、同時に軸ピン3の外周への係合ピン部8の係合を外す必要があり、このときも操作部9を操作して直線ピン部7を差込孔2から抜くのに大きな力を要する。図12の従来例では、操作部9を指で摘んで差込孔2に直線ピン部7を差し込んだり引き抜いたりする必要があるが、指で摘むことによっては大きな力を発揮するのが難しく、特に力の弱い女性などでは操作が難しくなる。
そこで、図2に示すように、直線ピン部7に対して操作部9を屈曲させてある。このように操作部9が屈曲していることによって、直線ピン部7を差込孔2に差し込む際には、図1(a)に矢印で示すように、手の指の腹で操作部9を押すことによって、強い力を作用させて差し込みの操作を行なうことができるものであり、また直線ピン部7を差込孔2から抜く際には、図1(b)に矢印で示すように、手の指の腹を操作部9に引っ掛けて引くことによって、強い力を作用させて抜き外しの操作を行なうことができるものである。
このように、操作部9を摘むような必要なく、操作部9を指で押したり、指を引っ掛けて引いたりすることによって、軸ピン3にスナップピン6を装着したり外したりする操作を容易に行なうことができるものである。しかも、操作部9はループ形状に形成してあるため、操作部9は指の腹に広い範囲で接触することになり、操作部9から指に作用する力を分散することができ、操作部9を操作する際に指に感じる痛みを軽減することができるものである。
尚、上記の実施の形態では、本発明を電動ベッドに適用する場合について説明したが、これにのみ限定されるものではなく、車椅子など任意の装置に適用することが可能である。