以下、この発明の一実施の形態を図1乃至図17を参照しながら説明する。
図1に示すベッド装置Bはベッドフレーム1を備えている。このベッドフレーム1は図2に示すように所定間隔で平行に離間対向して配置された一対の側部材2を有する。
前記側部材2の長手方向一端と他端とには、それぞれボード体3の下端部が連結固定されている。それによって、前記ベッドフレーム1は図2に示すように平面形状が矩形枠状をなしている。
前記ベッドフレーム1の枠内には、床板体6が前記側部材2の内面に所定間隔で突設された複数の受け部材7によって支持されている。前記床板体6の上面には図示しない寝具としてのマットレスが載置される。
前記床板体6は、図2に示すように横桟8が所定間隔で架設された5つの床部6a〜6eに分割されていて、これら床部6a〜6eは互いに回動可能に連結されている。つまり、長手方向の中央に位置する固定床部6aは前記ベッドフレーム1に固定されている。この固定床部6aの一側には腰床部6bと背床部6cが順次枢着され、他側には第1の脚床部6dと第2の脚床部6eが順次枢着されている。
前記ベッドフレーム1の両側内面の長手方向中央部には、同期して作動する一対の背上げ用駆動機構9が設けられている。この背上げ用駆動機構9は前記ベッドフレーム1の下面側に突出しない高さ寸法に構成されていて、前記背床部6cを前記腰床部6bとともに起上方向に駆動するととともに、前記第1の脚床部6dと第2の脚床部6eが山形状になるよう駆動するようになっている。
なお、前記背上げ用駆動機構9の具体例としては、通常、起上方向に回動駆動されるアームによって前記背床部6cや前記第1の脚床部6dを押し上げる構成が採用されるが、特許第4317129号公報や特許第3810687号公報に示される構造のものを用いるようにしてもよい。
前記床板体6の上面には図示しないマットレスが載置される。そして、このマットレスの上面に身体の不自由な老人や病人などの利用者が仰臥するようになっている。
図1に示すように、前記一対のボード体3は下横部材11を有する。この下横部材11は前記一対の側部材2とともに前記ベッドフレーム1を構成している。前記下横部材11は、偏平な角筒状の部材によって前記一対の側部材2の対向間隔とほぼ同等の長さ寸法を有している。
前記下横部材11の長手方向の両端には、下端が開放した筒状のガイド部材12が下端部を前記下横部材11に連結して上下方向に沿って設けられている。一対のガイド部材12の間にはボード板13が下端を前記下横部材11の上面に当接させて支持されている。このボード板13の上部の幅方向両端部には取付け具14が設けられ、これら取付け具14はそれぞれ前記ガイド部材12の内面に上下方向に沿って設けられた図示しない係合溝に取り外し可能に係合保持されている。
前記ガイド部材12の内部には、図3に示すように上端部に連結駒17が固着された脚部材18が図示しない部材にガイドされて移動可能に挿入され支持されている。それによって、前記脚部材18は前記ガイド部材12に対して相対的に上下方向に移動可能となっている。前記脚部材18の下端には前記ガイド部材12の下端開口よりも大きい円盤状の支持部材19が取付けられている。
図2に示すように、一方の前記ボード体3の前記下横部材11の内面には、前記ベッドフレーム1を前記脚部材18に沿って上下方向に駆動する駆動機構21を構成する駆動モータ22が設けられている。この駆動モータ22には出力ユニット23が連結されている。
前記出力ユニット23には、前記出力ユニット23を介して前記駆動モータ22により回転駆動される出力軸24の一端部が取り付けられている。この出力軸24は前記床板体6の下面側の幅方向一端部に、前記ベッドフレーム1の長手方向に沿って回転可能に支持されて配置されている。
前記出力軸24の一端は一方のボード体3の下横部材11の内部に突出させ、他端は他方のボード体3の下横部材11の内部に突出させて回転可能に支持されている。
前記出力軸24は前記ベッドフレーム1の下面側と同等或いはからわずかに下方へ突出する高さで設けられている。
図3に示すように、各下横部材11(一方の下横部材11のみ図示)の内部には、両端部が軸受ユニット25に回転可能に支持されたねじ軸26が長手方向に沿って設けられている。このねじ軸26にはナット体27が螺合されている。
前記ナット体27は前記ねじ軸26が回転駆動されたとき、このねじ軸26とともに回転することなく、前記下横部材11の内部を前記ねじ軸26の軸方向に沿って移動するよう、前記下横部材11の内部に設けられている。
前記ナット体27には第1のワイヤ28と第2のワイヤ29の一端が連結されている。前記ナット体27から導出された前記第1のワイヤ28は、第1の滑車31に係合して上方に方向変換され、その他端は前記ボード体3の幅方向一端側に位置する一方の脚部材18の上端部に設けられた前記連結駒17に連結されている。前記第1の滑車31は前記下横部材11の長手方向一端部内に固定された第1のブラケット30aに回転可能に取付けられている。
前記第2のワイヤ29は、前記第1の滑車31の近くで、前記第1のブラケット30aに回転可能に取付けられた第2に滑車32に係合して水平方向に方向変換され、前記下横部材11の長手方向の他端側に導かれている。
前記下横部材11の他端部には第2のブラケット30bが固定して設けられている。この第2のブラケット30bには上下方向に第3滑車33及び第4の滑車34が回転可能に取付けられている。前記第2の滑車32によって方向変換された前記第2のワイヤ29は前記第3、第4の滑車33,34に順次係合して垂直方向上方に方向変換されている。
そして、前記第2のワイヤ29の他端は前記ボード体3の幅方向他端側に位置する他方の脚部材18の上端部に設けられた前記連結駒17に連結されている。
各ボード体3の下横部材11の内部に突出した前記出力軸24と前記ねじ軸26は軸線を直交させて配置されている。前記出力軸24の一端部と他端部(図3では一端部のみを図示)にはそれぞれ第1の歯車36が嵌合されている。この第1の歯車36は、前記ねじ軸26の一方の端部に前記第1の歯車36と軸線を直交させて設けられた第2の歯車37に噛合している。
したがって、前記駆動モータ22が作動し、前記出力ユニット23を介して前記出力軸24が回転駆動されると、この出力軸24の回転に前記ねじ軸26が連動する。ねじ軸26が回転すると、このねじ軸26に螺合されたナット体27が前記ねじ軸26の回転方向に応じて前記下横部材11の内部を、前記ねじ軸26に沿って図3に示す矢印A或いは矢印Cで示す方向に沿って移動する。
前記ナット体27が、たとえば矢印Aで示す方向に移動すれば、前記第1のワイヤ28と第2のワイヤ29の一端部が前記下横部材11の内部に引き込まれる。それによって、前記下横部材11及びこの下横部材11と一体的に設けられたガイド部材12及び側部材2が前記脚部材18に対して相対的に上昇方向に駆動される。つまり、ベッドフレーム1が図1に示すように前記脚部材18に沿って上昇限まで上昇方向に駆動される。
逆に、前記ナット体27を矢印Cで示す方向に移動するよう前記ねじ軸26が回転駆動されれば、第1、第2のワイヤ28,29の前記下横部材11の内部に引き込まれた部分が前記下横部材11から繰り出されるから、これらワイヤ28,29が繰り出された長さに応じて前記ベッドフレーム1が自重によって図4に示すように下降限まで下降する。
すなわち、上述した駆動モータ22、出力ユニット23、出力軸24、ねじ軸26、第1、第2のワイヤ28,29、第1乃至第4の滑車31〜34などから構成された前記駆動機構21によれば、前記駆動モータ22が作動すると、前記出力軸24によって前後一対のボード体3にそれぞれ設けられたねじ軸26が同期して駆動される。
各ボード体3のねじ軸26が同期して駆動されると、前記ねじ軸26に螺合されたナット体27が前記ねじ軸26の回転方向に応じて図3に矢印A或いはCで示す方向に移動し、第1、第2のワイヤ28,29を矢印Aで示す引張方向或いは矢印Cで示す繰り出し方向に駆動する。
それによって、各ボード体3の両側に設けられたガイド部材12がそれぞれ脚部材18に沿って上昇或いは下降方向に移動するから、前記ガイド部材12と一体的である前記ベッドフレーム1の長手方向の一端側と他端側を、同時に同じ高さで上下方向に駆動することができる。つまり、前記ベッドフレーム1は水平な状態を維持して高さ調整することができる。
前記駆動機構21による前記ベッドフレーム1の駆動は、図示しないリモートコントローラによって同じく図示しない制御装置を介して制御及び設定することができるようになっている。前記リモートコントローラと制御装置は制御手段を構成している。
この実施の形態において、前記リモートコントローラによる前記ベッドフレームの駆動制御は、前記ベッドフレーム1を図4に示すように最も下降させた最下降の位置(下降限)、図1に示すように最も上昇させた最上昇の位置(上昇限)、及び最下降と最上昇の間で無段階に設定できるよう設定されている。
図5乃至図7に示すように、前記ベッドフレーム1の長手方向の一端部と他端部の下面側には前記出力軸24と干渉しない状態でそれぞれキャスタユニット41が設けられている。このキャスタユニット41は角パイプからなる固定部材42を有する。この固定部材42は前記ベッドフレーム1の幅方向に所定間隔で離間して配置された一対の側部材2の内面間の寸法とほぼ同じ長さ寸法を有し、その長手方向の両端面には前記固定部材42の幅寸法よりも大きな幅寸法を有するL字状の受け部材43が一辺を固定して設けられている。
前記キャスタユニット41は、図5と図6に示すように一対の前記受け部材43の他辺を一対の前記側部材2の下面に係合させ、前記一辺の幅方向両端部を前記側部材2の内面に図示せぬねじによって着脱可能に取付け固定される。つまり、前記キャスタユニット41は前記ベッドフレーム1に対して着脱可能に設けられている。
前記固定部材42の一側面側には、前記固定部材42の長手方向ほぼ全長にわたる長さの作動軸44が前記固定部材42の一側面と平行に離間して設けられている。前記作動軸44の両端部は、一対の前記受け部材43の一辺の幅方向の一端部にそれぞれ回転可能に支持されている。
図5と図6に示すように、前記固定部材42の一側面側には、前記作動軸44を介して前記固定部材42と同様の、角パイプからなる回動部材45が配置されている。この回動部材45の両端面の開口は長方形状の端板46によって閉塞されている。図10(a),(b)に示すように、前記端板46の長手方向の一端部には前記回動部材45の端面の長手方向に沿って長い長孔47が穿設され、他端部には係合軸48が突設されている。
図5に示すように、前記固定部材42の長手方向の両端部には平板状の一対のガイド部材49が前記回動部材45の長さ寸法よりもわずかに大きな間隔で一端部を固着して設けられている。一対のガイド部材49間には、前記回動部材45が以下に説明するよう回動可能に支持されている。
すなわち、前記固定部材42の長手方向の両端部に設けられた一対の前記ガイド部材49には、図9(b)に示すように約90度の範囲にわたる円弧状のガイド溝53が形成されている。前記ガイド溝53には、図11乃至図13に示すように前記回動部材45の端板46に設けられた前記係合軸48が移動可能に挿通されている。
前記ガイド溝53の先端部は前記ガイド部材49の一側端に開放し、後端部(末端)には円弧状の部分に対して鉤状に屈曲した係合部54が形成されている。
さらに、前記ガイド部材49の、前記ガイド溝53の後端部に対応する位置には、前記固定部材42の前記端板46に形成された前記長孔47に挿通支持される回転軸52が板面に垂直に突設されている。
それによって、前記キャスタユニット41の前記回動部材45は、前記固定部材42に対して前記長孔47に挿通支持された前記回転軸52を支点として回動可能に設けられている。前記回動部材45を前記固定部材42に対して回動させると、前記回動部材45の端板46に設けられた前記係合軸48が前記ガイド溝53に沿って移動する。
図5に示すように、前記回動部材45の長手方向両端部の一側面、つまり前記回動部材45の幅寸法の短い短辺側の側面にはそれぞれキャスタ56が取付けられている。前記キャスタ56はケース56aに回転可能に支持された車輪56bを有し、前記ケース56aに設けられた取付け部56cが前記回動部材45の一側面に着脱可能に取付け固定されている。
それによって、図5に示すように前記回動部材45が幅寸法の長い長辺側の側面を水平にした状態では、前記キャスタ56は水平方向に倒伏した状態(倒伏位置)にあり、その状態から図6に示すように前記回動部材45を90度回転させると、前記キャスタ56は垂直方向下方に向いた状態(垂下位置)となる。
前記キャスタ56が倒伏位置にあるとき、前記キャスタ56は前記ベッドフレーム1を下降限まで下降させることができるよう、図7に実線で示すように前記ベッドフレーム1の下面から下方へ大きく突出しないよう各部の寸法が設定されている。
なお、図7では前記キャスタ56は倒伏位置にあるとき、前記ベッドフレーム1の下面から下方へわずかに突出しているが、前記キャスタ56が前記ベッドフレーム1の下面よりも高い位置、つまり下面から下方へ全く突出しないよう前記キャスタ56の取り付け位置や前記回動部材45の高さ寸法などを設定してもよい。
図11に示すように、前記キャスタ56が倒伏位置にあるとき、前記回動部材45の前記端板46に設けられた前記係合軸48は、前記ガイド部材49の前記ガイド溝53の先端部に位置している。このとき、前記係合軸48は図14(b)に示すようにロック部材58の一端部に形成された凹状の係止部59に係合している。
前記ロック部材58は、図8(a)に示すように板材を断面コ字状に屈曲して形成されていて、その長手方向の中途部が図14(a),(b)に示すように前記ガイド部材49の他端部に支軸61によって枢支されている。そして、前記ロック部材58は、その一辺の長手方向の一端部に前記係止部59が形成されている。
図14(a)に示すように、前記支軸61には付勢部材としての捩りばね62の中途部が外嵌支持されている。この捩りばね62の一端は前記ロック部材58の一端部に設けられた第1の突起58aに係合させ、他端は前記ガイド部材49に形成された第2の突起58bに係合させて設けられている。
それによって、前記捩りばね62は前記ロック部材58を図14(b)に矢印で示す方向、つまり前記ロック部材58の係止部59が前記係合軸48に係合する方向に付勢されている。
図9に示すように、前記ガイド部材49の他端部には断面コ字状の折り返し部49aが形成されている。図8(a)に示すように、前記ロック部材58は前記係止部59が形成された一辺が前記ガイド部材49の前記折り返し部49a内に挿通され、他辺は前記折り返し部49aの外面側に位置している。
図14(a)に示すように、前記ロック部材58の他辺の一側には、くの字状のガイド面63が形成されている。このガイド面63には解除軸64が当接している。この解除軸64は、一端が前記作動軸44に連結固定された解除アーム65の他端に設けられている。図5に示すように、前記作動軸44の両端部にはそれぞれ操作レバー66の一端が連結固定されている。
図14(a),(b)に示すように、前記キャスタ56が倒伏した状態では、前記ガイド溝53の先端部に位置する前記係合軸48に前記ロック部材58の前記係止部59が係合し、前記係合軸48が前記ガイド溝53に対して移動不能に保持されている。つまり、前記キャスタ56は下方へ回動しないよう倒伏位置で保持(ロック)されている。
前記キャスタ56が倒伏位置でロックされているとき、図14(a)に示すように前記解除軸64は前記ガイド面63の中途部に当接している。
倒伏状態にある前記キャスタ56のロックを解除するには、図14(a),(b)に示す状態から、図15(a),(b)に示すように前記操作レバー66の少なくともどちらか一方を上昇方向へ回動させ、前記操作レバー66が連結された前記作動軸44を図15(a)に矢印で示す方向へ回動させる。
前記作動軸44が回動すると、図15(a)に示すように前記解除アーム65が前記作動軸44とともに回動するから、前記解除アーム65の他端に設けられた前記解除軸64が前記ロック部材58の一側面のガイド面63に沿って上昇する。
前記解除軸64が前記ガイド面63に沿って上昇すると、前記ロック部材58が前記捩りばね62の付勢力に抗して回動させられるから、前記ロック部材58の前記係止部59と、前記回動部材45の端板46に設けられた前記係合軸48との係合が外れる。
それによって、前記キャスタ56を倒伏位置に保持した前記回動部材45は、自重によって前記回転軸52を支点として回転する。つまり、前記係合軸48が前記ガイド部材49に形成された前記ガイド溝53の先端部から後端部に移動するから、前記回動部材45は約90度の角度で回転する。
それによって、図11に示すように倒伏位置に保持された前記キャスタ56は、図12に示すように垂下位置まで回動する。なお、倒伏位置に保持された前記キャスタ56を垂下位置まで回動させる場合、回動する前記キャスタ56が床面に当たらないよう、前記ベッドフレーム1を所定の高さまで上昇させておく。
図12に示すように、前記キャスタ56を垂下位置に回動させたならば、前記ベッドフレーム1を下降させ、図13に示すように前記キャスタ56を床面Fに押圧し、前記キャスタ56とともに前記回動部材45を前記固定部材42に対して上昇させる。
それによって、前記ガイド部材49に設けられた前記回転軸52が前記端板46に形成された長孔47を上端から下端へ相対的に移動するから、前記端板46に設けられた前記係合軸48は前記ガイド溝53の後端部で上方へ移動し、その後端部に形成された係合部54に係合する。
前記係合軸48が前記係合部54に係合すると、前記回転軸52を支点とする前記回動部材45の回動が阻止されるから、下方向に垂下位置にある前記キャスタ56が前後方向に振れるのが阻止される。
この実施の形態では、前記作動軸44、前記係合軸48、前記ガイド部材49、前記ロック部材58、前記解除アーム65、及び前記操作レバー66によって前記キャスタ56を水平に倒伏した倒伏位置で保持するとともに、その保持状態を解除して下方向に垂下した垂下位置で保持するロック機構68(図11〜13に示す)を構成している。
図13に示すように、前記ベッドフレーム1が下降して、前記キャスタ56が床面Fに押圧され、前記係合軸48が前記係合部54に係合して、前記回転軸52を支点とする前記回動部材45の回動が阻止された状態から、図12に示すように前記ベッドフレーム1を上昇させると、前記回転軸52が前記長孔47に沿って下方へスライドすることによって、前記キャスタ56が設けられた前記回動部材45が下降してしまう。
前記回動部材45が下降すると、前記係合軸48が前記係合部54から外れるから、前記キャスタ56が前記回動部材45とともに前後方向に振れ動くことになる。
そこで、図5と図6に示すように、前記固定部材42の長手方向の上面の中央部に後述するストッパ機構71を設けている。このストッパ機構71は、前記キャスタ56が図12の状態から床面Fに押圧されることで、図13に示すように前記回動部材45が前記固定部材42に対して上昇したとき、前記回動部材45を前記固定部材42に保持する。
それによって、図13の状態から、図12に示すように前記キャスタ56を前記回動部材45とともに上昇させたとき、前記キャスタが前記回動部材45とともに下降して前記係合軸48が前記ガイド溝53の係合部54から外れないようにしている。
前記ストッパ機構71は図16と図17に示すように構成されている。すなわち、前記固定部材42の長手方向の中央部の上面には取付け部材72が設けられている。この取付け部材72は板材の一端部を折曲して平面形状がL字状に形成されていて、前記固定部材42の幅方向に沿う一辺には頭付きの一対のガイドピン73が板面に対して垂直に設けられている。
前記ガイドピン73には、前記固定部材42の幅方向に沿って細長いガイド溝75を有する帯板状のストッパ部材74が、前記ガイドピン73を前記ガイド溝75に挿入することで、前記固定部材42の幅方向に沿って移動可能に支持されている。
図17に示すように、前記ストッパ部材74の先端部にはテーパ状の先端部74a、及びこの先端部の下方にL字状の段部74bが形成されている。前記固定部材42の後端と、前記ストッパ部材74の後端との間には、前記ストッパ部材74を図17に矢印で示す方向、つまり前記回動部材45の方向に付勢したコイル状のばね76が設けられている。
前記ストッパ部材74の前記段部74bには係止軸77が係合している。この係止軸77は、図16に示すように前記作動軸44に一端が固着されて立設された一対のアーム78の他端間に前記作動軸44と平行に架設されている。
前記固定部材42の前記ストッパ部材74の先端部74aと対向する側面には、図17に示すように係合孔42aが形成されている。前記ばね76によって矢印で示す前進方向に付勢された前記ストッパ部材74は、その先端部74aが前記係合孔42aに弾性的に係合する。
前記アーム78を図17に実線で示す位置から鎖線で示す位置へ回動させれば、前記ストッパ部材74を前記ばね76の付勢力に抗して後退させ、前記先端部74aと前記係合孔42aとの係合を外すことができるようになっている。前記アーム78の回動操作は、前記解除アーム65の回動操作と同様、前記作動軸44の両端部に設けられた前記操作レバー66を上方へ回動させることで行なえる。
前記ばね76によって前進方向に付勢された前記ストッパ部材74の先端部74aは、前記キャスタ56を図12に示す下方向に垂下させた状態で、図13に示すように前記ベッドフレーム1を下降させて前記キャスタ56を床面に圧接させ、このキャスタ56とともに前記回動部材45を上昇方向に変位させたとき、図17に示すように前記係合孔42aに弾性的に係合する。
前記ストッパ部材74の先端部74aが前記係合孔42aに係合した状態で、前記ベッドフレーム1を上昇させて、前記キャスタ56を前記回動部材45とともに上昇方向に変位させて前記キャスタ56を床面から離しても、前記キャスタ56が前記回動部材45とともに下降することがない。
それによって、図12に示すように前記回動部材45に設けられた前記係合軸48が前記ガイド溝53の係合部54から外れることがないから、前記キャスタ56はがた付くことなく、下方向に垂下した垂下位置が確実に維持されることになる。
前記ストッパ部材74による前記回動部材45の保持状態を解除するには、垂下した前記キャスタ56が床面Fから離れる高さまで前記ベッドフレーム1を上昇させたなら、前記作動軸44をその両端部に設けられた前記操作レバー66によって回動操作する。
それによって、前記アーム78が図17に実線で示す位置から鎖線で示す位置まで回動し、前記ストッパ部材74が前記ばね76の付勢力に抗して後退方向へスライドするから、その先端部74aが前記回動部材45の側面に形成された前記係合孔42aから外れる。
前記ストッパ部材74の先端部74aを前記係合孔42aから外したならば、垂下した状態にある前記キャスタ56を倒伏位置になるよう、前記回動部材45を回動させることができる。
前記回動部材45を回動させれば、前記ガイド部材49の前記ガイド溝53に設けられた前記係合軸48が、図14(a),(b)に示すように前記ロック部材58の前記係止部59に係合保持されることになるから、前記キャスタ56を倒伏位置で回動不能に保持することができる。
このように構成されたベッド装置Bによると、水平方向に倒伏した倒伏位置と、下方向に垂下した垂下位置とでそれぞれ保持することのできる一対のキャスタ56を有する一対のキャスタユニット41を、前記ベッドフレーム1の下面側の長手方向両端部にそれぞれ着脱可能に取付けることができるようにしている。
そのため、一対の前記キャスタユニット41の各一対の前記キャスタ56を水平方向に倒伏した倒伏位置に保持しておけば、前記ベッドフレーム1を、前記キャスタ56が邪魔になるようなことなく、十分に低い位置まで下降させることができる。
とくに、就寝時にベッド装置Bを使用する際、前記ベッドフレーム1を十分に低い位置まで下降させることができることで、前記ベッドフレーム1上から利用者が落下するようなことがあっても、安全性を確保することが可能となる。
ベッド装置Bを院内や室内へ搬入したり、院内や室内で移動させるような場合、以下に示す手順で水平位置に倒伏した前記キャスタ56を垂下位置まで回動させる。
最初に、前記ベッドフレーム1を所定の高さまで上昇させる。つまり、水平位置に保持された前記キャスタ56を垂下位置まで回動させることができる高さまで上昇させる。
水平位置に保持された前記キャスタ56は図14(a),(b)に示すように前記ガイド溝53の先端部に位置する前記係合軸48が前記ロック部材58の係止部59に係合保持されている。つまり、垂下方向に回動不能に保持されている。
ついで、前記作動軸44の両端部に設けられた前記操作レバー66を押し上げる方向に回動操作して、前記作動軸44を回動させる。それによって、図15(a),(b)に示すように前記作動軸44に一端が連結された前記解除アーム65が前記操作レバー66と同方向に回動するから、前記解除アーム65の他端に設けられた解除軸64が前記ロック部材58のガイド面63を押圧しながら上昇する。
それによって、前記ロック部材58が前記支軸61を支点として図15(a)に矢印で示す方向に回動し、図15(b)に示すように前記係合軸48が前記ロック部材58の係止部59から外れるから、一側面に前記キャスタ56が取付けられた前記回動部材45が前記キャスタ56とともに回動する。
前記キャスタ56の回動角度は、前記係合軸48が前記ガイド溝53の先端部から後端部に移動する範囲の角度、この実施の形態では90度となる。したがって、前記キャスタ56は図11に示す水平位置から、図12に示す垂下位置まで回動することになる。
前記キャスタ56を図12に示す垂下位置まで回動させたならば、前記ベッドフレーム1を下降させ、床面に前記キャスタ56を押圧する。
前記キャスタ56は、床面に押圧されることで、前記ベッドフレームに対して相対的に上昇する。そのため、図13に示すように前記固定部材42と一体的に設けられた前記回転軸52が前記回動部材45の端板46に形成された長孔47の上端から下端へ相対的に移動すると同時に、前記係合軸48が前記ガイド溝53の後端部で上昇し、その後端部に設けられた前記係合部54に係合する。
それによって、垂下位置に回動した前記キャスタ56は垂下した状態で前後方向にがた付くことがないよう保持されるから、ベッド装置Bの院内や室内への搬入や院内や室内での移動を容易に、しかも確実に行うことが可能となる。
つまり、前記ベッドフレーム1には前記キャスタユニット41が予め設けられている。そのため、前記ベッドフレーム1を搬入したり、移動させる際、従来のようにベッドフレーム1に対して前記キャスタ56を取付けたり、搬入後や移動後に前記ベッドフレーム1から前記キャスタ56を取外すなどのことをせずにすむから、前記ベッドフレーム1の搬入作業や移動作業を容易かつ迅速に行うことができる。
垂下位置に保持された前記キャスタ56を図11に示すように倒伏位置に戻すには、まず、前記ベッドフレーム1を前記キャスタ56が床面から離れる高さまで上昇させる。ついで、前記作動軸44の両端部に設けられた前記操作レバー66を操作して前記ストッパ機構71の前記作動軸44を回動させ、前記回動部材45の係合孔42aと、前記ストッパ部材74の先端部74aとの係合を外す。
それによって、図13に示す]ように上昇位置に保持された前記回動部材45が図12に示すように下降し、前記係合軸48が前記ガイド溝53の係合部54から外れる。ついで、前記回動部材45の両端部に設けられた前記キャスタ56に手を掛け、前記キャスタ56を垂下位置から倒伏位置となるまで、前記回動部材45を回動させる。
そうすると、前記係合軸48は図11に示すように前記ガイド溝53の後端部から前端部へ移動し、図14(b)に示すように前記ロック部材58を前記捩りばね62の付勢力に抗して弾性的に回動させて、前記ロック部材58の係止部59に係合するから、前記キャスタ56は倒伏位置で回動不能に保持されることになる。
つまり、上記構成によれば、ベッド装置Bを移動させるときには前記キャスタユニット41に設けられた前記キャスタ56を垂下位置にすればよく、所定の位置に移動させた前記ベッド装置Bを移動不能な状態で使用するときには前記キャスタ56を倒伏位置とすればよい。
したがって、ベッド装置Bを移動させたり、所定位置に移動不能に設置する場合、前記キャスタ56を前記ベッドフレーム1に対して取付けたり、取外すなどの作業を行わずに済むから、その作業を容易に行うことができて便利である。
前記キャスタ56が設けられた前記キャスタユニット41は、前記ベッドフレーム1に対して着脱可能となっている。そのため、前記キャスタユニット41の製作や組立てなどを、前記ベッドフレーム1とは別々に行うことができるから、そのことによって生産性の向上を図ることができる。
さらに、前記キャスタユニット41は前記ベッドフレーム1に対して着脱可能な構成となっている。そのため、既存のベッド装置であっても、ベッドフレームの大きさ、とくに幅寸法が前記キャスタユニット41を取付けることができる大きさであれば、そのベッド装置に前記キャスタユニット41を取付けて使用することができるということもある。
この発明は種々変形可能である。たとえば、脚部材に対してベッドフレームのガイド部材を上下方向に駆動する駆動機構としてねじ軸に設けられたナット体によってワイヤを押し引きする構造を採用した。
それに代わって、前記ガイド部材と前記脚部材をシリンダやリニアガイドの駆動手段によって連結し、前記脚部材に対して前記ガイド部材を上下方向に駆動する構成としてもよい。
また、キャスタは水平方向に倒伏した倒伏位置と、下方向に垂下した垂下位置とで保持できるようにした。つまり、実施の形態では、前記キャスタが垂下位置から90度の範囲で回動上昇した位置を倒伏位置とする例を挙げて説明したが、前記キャスタの倒伏位置は、前記垂下位置から90度以下、或いは90度以上の角度であってもよく、要はベッドフレームを下降限まで下降させることができる角度の範囲であればよい。