JP5179587B2 - 油入電気機器の診断方法、その診断方法を実施するための診断装置およびその診断装置を備えた油入電気機器 - Google Patents

油入電気機器の診断方法、その診断方法を実施するための診断装置およびその診断装置を備えた油入電気機器 Download PDF

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Description

本発明は、例えば変圧器などの絶縁紙が巻きつけられた銅部品から構成される油入電気機器の絶縁診断方法に関する。
油入変圧器などの油入電気機器では、通電媒体であるコイル銅には絶縁紙が巻きつけられており、隣り合うターン間でコイル銅が短絡しないような構造となっている。
一方、油入変圧器に用いられる鉱油には硫黄成分が含まれており、油中の銅部品と反応して導電性の硫化銅が絶縁紙表面に析出し、隣り合うターン間で導電路が形成され絶縁破壊を生じるなどの問題があることが知られている(例えば、CIGRE TF A2.31、「Copper sulphide in transformer insulation」、ELECTRA、2006年2月、No.224、p.20−23(非特許文献1))。
最近の研究により、絶縁油中にジ・ベンジル・ジ・スルフィド(以下、DBDSと称す)という特定の硫黄化合物が含まれていると、絶縁物表面へ硫化銅が析出することが明らかとなってきており(例えば、F. Scatiggio, V. Tumiatti, R. Maina, M. Tumiatti M. Pompilli and R. Bartnikas、「Corrosive Sulfur in Insulating Oils: Its Detection and Correlated Power Apparatus Failures」、IEEE Trans. Power Del.、2008年1月、Vol.23、p.508−509(非特許文献2))、DBDSを起点とした硫化銅の析出過程も明らかになってきた(例えば、S. Toyama, J. Tanimura, N. Yamada, E. Nagao and T. Amimoto, 「High sensitive detection method of dibenzyl disulfide and the elucidation of the mechanism of copper sulfide generation in insulating oil」、the 2008 Doble Client Conference, Boston, MA.、2008年(非特許文献3))。
また、DBDSを起点とした硫化銅の析出過程で生成される副生成物のビベンジル、ベンジルスルフィドおよびトルエンを検出することにより、硫化銅の析出量は絶縁油中の副生成物濃度に比例するので、副生成物濃度から硫化銅の析出量を求めることができ、油入電気機器の異常を診断できることが分かってきている。非特許文献3はコイルの銅表面に析出する硫化銅に関する実験結果について記述しているが、これは実験を150℃の高温で行なっているからである。変圧器の運転温度である60℃〜90℃では、ジベンジルジスルフィド(DBDS)が原因で析出する硫化銅はコイル銅線上ではなく、絶縁紙上に析出することが知られている。
しかし、油入電気機器内には温度分布があり、例えば、変圧器の場合、温度分布に20K程度の温度差が生じる場合もある。硫化銅の析出は温度依存性があり、高温部ほど析出が早いため、温度分布のある機器では硫化銅は一様に析出しない。絶縁油の成分分析で得られるビベンジル、トルエンなどの濃度は、機器内全体に析出した硫化銅の総量と比例関係にあるが、機器の異常は硫化銅が集中的に析出する高温部で生じるため、診断には機器内の温度分布を考慮しなければならない。従って、機器の異常と検出した副生成物との関係が明確でなく、実際の稼動中の機器の診断において、単に絶縁油中の副生成物濃度を測定する方法を適用しても、正確な油入電気機器の診断を行なうことができないといった問題点があった。
一方、上述の絶縁紙表面への硫化銅析出とは異なる現象として、金属表面に析出する硫化銅が古くから知られている。この場合、硫化銅の生成量が増えると、硫化銅が金属表面から剥離して、絶縁油中に浮遊して機器の絶縁性能を低下させることがある。この現象を予防保全する方法として、金属表面への硫化銅の生成を検出するために、別途、表面に金属の粒子が分散された検出部材を機器内に設置する方法がある(例えば、特開平04−176108号公報(特許文献1))。この方法では、検出部材の表面抵抗の低下により硫化銅の生成を検知して、機器の異常を診断することができる。
しかし、前記特許文献1に示された診断方法は、古くから知られている金属表面に析出する硫化銅に関するもので、絶縁紙表面への硫化銅析出とは異なる現象である。また、硫化銅の析出を検知するための検出部材を別途、機器内に設置しなければならないという問題点があった。
CIGRE TF A2.31、「Copper sulphide in transformer insulation」、ELECTRA、2006年2月、No.224、p.20−23 F. Scatiggio, V. Tumiatti, R. Maina, M. Tumiatti M. Pompilli and R. Bartnikas、「Corrosive Sulfur in Insulating Oils: Its Detection and Correlated Power Apparatus Failures」、IEEE Trans. Power Del.、2008年1月、Vol.23、p.508−509 S. Toyama, J. Tanimura, N. Yamada, E. Nagao and T. Amimoto, 「High sensitive detection method of dibenzyl disulfide and the elucidation of the mechanism of copper sulfide generation in insulating oil」、the 2008 Doble Client Conference, Boston, MA.、2008年 特開平04−176108号公報
本発明は、このような問題点を解消するためになされたものであり、油入電気機器内の温度分布が考慮され、実際の稼動中の機器の診断に適用しても正確な診断を行なうことのできる油入電気機器の診断方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、油入電気機器中の絶縁油の成分分析値から、そのような油入電気機器の診断を行なうことができる方法の提供を目的とする。
本発明は、絶縁油中に絶縁紙が巻きつけられた金属部品を有する油入電気機器において、該絶縁紙上で硫化金属が最も多く析出する最多析出部位の表面抵抗率が、あらかじめ設定した表面抵抗率管理値まで低下した時点を異常発生時と判断することを特徴とする油入電気機器の診断方法である。
本発明において、前記最多析出部位は、絶縁紙上の最も温度の高い部位である最高温度部であることが好ましい。
また、前記表面抵抗率管理値とは、油入電気機器内のコイルターン間の絶縁破壊が生じる前に機器の異常を判断できるように設定した表面抵抗率の基準値であり、通常、前記最多析出部位のコイルターン間で短絡が起こり絶縁破壊に至る表面抵抗率の閾値より大きい値であり、1×109Ω/□〜1×1012Ω/□の範囲内で設定されることが好ましい。
本発明における異常発生時の判断においては、あらかじめ前記異常発生時における前記最多析出部位での硫化金属析出量の推定値を最多析出量管理値(ρ0)として設定しておき、前記最多析出部位での硫化金属析出量が該最多析出量管理値に達した時点を、前記異常発生時と判断することが好ましい。
さらに、あらかじめ前記最多析出部位での硫化金属析出量が前記最多析出量管理値(ρ0)に達した時点における油入電気機器内全体の硫化金属総析出量の推定値を総析出量管理値(M0)として設定しておき、油入電気機器中の絶縁油の成分分析値から求めた油入電気機器内全体の硫化金属総析出量の推定値(MS)が該総析出量管理値に達した時点を、前記異常発生時と判断することが好ましい。
前記絶縁油の成分分析値は、硫化金属の生成と同時に生成される副生成物の絶縁油中の濃度であることが好ましく、該副生成物としては、ビベンジル、ベンジルスルフィドまたはトルエンが好適に例示される。
本発明は、前記金属部品または硫化金属における金属が銅であることが好ましい。
また、本発明は、上記記載の油入電気機器の診断方法を実施するための診断装置および該診断装置を備えた油入電気機器にも関する。
本発明の油入電気機器の診断方法は、絶縁紙上の硫化金属が最も多く析出する最多析出部位の表面抵抗率を基準として異常発生の有無を判断することにより、油入電気機器内における硫化金属析出量がばらつくような場合でも確実に異常発生を診断することが可能となる。特に、上記最多析出部位として最高温度部の表面抵抗率を基準とする場合、機器の内部温度分布および硫化銅析出の温度依存性による機器内の硫化金属析出量のばらつきが考慮されているため、実運転状態にある油入電気機器内部の絶縁性能を正確に診断することが可能である。
さらに、本発明において、油入電気機器中の絶縁油の成分分析値から求めた油入電気機器内全体の硫化金属総析出量の推定値(MS)が上記総析出量管理値に達した時点を、上記異常発生時と判断することにより、油入電気機器内部に別途表面抵抗率の測定装置を設けずとも、絶縁油の成分分析値から簡便に絶縁紙の表面抵抗率の劣化を検知し、油入電気機器の異常発生の有無を簡便な方法で診断することができる。
硫化銅の析出によるコイルターン間の絶縁破壊を示す概略図である。 硫化銅の析出量と絶縁紙の表面抵抗率との関係を示すグラフである。 外鉄形変圧器のコイル構造を示す概略図である。
符号の説明
1 コイル銅線、2 絶縁紙、3 絶縁油、4 硫化銅、5 コイルターン間を橋絡する導電路、11 コイル、12 ワッシャー、13 カルタ、14 スペーサ、15 絶縁油の流れ。
本発明の具体的な診断方法の一実施態様としては、
(i)あらかじめ、油入電気機器に用いられるコイルにおいて、コイルターン間で短絡が起こり絶縁破壊に至る表面抵抗率の閾値を測定または推定しておき、その表面抵抗率の閾値より大きく、硫化金属の析出がない絶縁紙の表面抵抗率よりも小さい範囲内で、一定の表面抵抗率管理値(R0)を設定するステップ、
(ii)機器の内部温度分布を分析し、油入電気機器内の絶縁紙上で最も温度の高い最高温度部(ヒートスポット部)を決定するステップ、
(iii)前記最高温度部の表面抵抗率が、あらかじめ設定した表面抵抗率管理値(R0)まで低下した時点(異常発生時)における最高温度部での硫化金属析出量の推定値を最多析出量管理値(ρ0)として設定するステップ、
(iv)前記最多析出部位での硫化金属析出量が前記最多析出量管理値(ρ0)に達した時点における油入電気機器内全体の硫化金属総析出量の推定値を総析出量管理値(M0)として設定するステップ、
(v)絶縁油中の副生成物濃度を測定し、その測定値から油入電気機器内全体の硫化金属総析出量の推定値(MS)を求めるステップ、および、
(vi)前期硫化金属総析出量の推定値(MS)と総析出量管理値(M0)の大小関係から、油入電気機器の内部異常発生の有無を診断するステップ
から構成される油入電気機器の診断方法が挙げられる。
以下、変圧器コイル(銅製)を例として、上記各ステップについての詳細を以下に説明する。
まず、診断方法の説明の前に、油入電気機器が絶縁破壊に至る過程について説明する。図1は、硫化銅の析出によるコイルターン間の絶縁破壊現象を示す概略図である。この図において、1はコイル銅線、2はこのコイル銅線に巻きつけられた絶縁紙、3は絶縁油、4は絶縁紙に析出した硫化銅、5はこの硫化銅で構成されたコイルターン間を橋絡する導電路である。DBDSを含んだ絶縁油中では、徐々に絶縁紙2の表面に硫化銅4が析出される。硫化銅4の析出が進展して、隣り合うコイルターン間を橋絡する導電路5が形成されると、正常であればコイル銅線を介してのみ流れる電流がこの導電路5を介して流れ、コイルターン間の短絡が起こり、絶縁破壊に至る。
次に、表面抵抗率管理値(R0)を設定するステップ(ステップ(i))について説明する。上記のようにコイルターン間を橋絡する導電路が形成されると、絶縁紙の表面を介して電流が流れることから、その前駆現象として絶縁紙の表面抵抗が低下する。図2は、硫化銅の析出量と絶縁紙の表面抵抗との関係を示すグラフである。硫化銅の析出量が一定値を超えると、絶縁紙の表面抵抗が急激に低下する。図2において、表面抵抗率の閾値とは、この抵抗率以下になるとコイルターン間で短絡が起こり絶縁破壊に至る閾値である。本発明において設定される表面抵抗率管理値は、コイルターン間の絶縁破壊が生じる前に機器の異常を判断できるように設定した表面抵抗率の基準値であり、通常、上記表面抵抗率の閾値よりも大きい値となる。
硫化銅が未析出の絶縁紙の表面抵抗率は1×1014Ω/□以上であり、硫化銅によるコイルターン間の絶縁破壊が生じたときの絶縁紙の表面抵抗率は1×107Ω/□〜1×109Ω/□であることから、上記表面抵抗率管理値は、1×109Ω/□〜1×1012Ω/□の範囲内の一定値として設定されることが好ましく、さらに好ましくは、1×1010Ω/□〜1×1011Ω/□の範囲内である。
次に、機器の内部温度分布を分析し、油入電気機器内の絶縁紙上で最も温度の高い最高温度部(ヒートスポット部)を決定するステップ(ステップ(ii))について説明する。まず、油入電気機器の内部温度分布について図3(外鉄形変圧器のコイル構造を示す概略図)を用いて説明する。図3において、11はコイル、12は隣り合うコイルを絶縁するワッシャー、13はコイル側のワッシャー表面に通油スペースを設けるために配置されたカルタ、14はワッシャー間に設けられたスペーサ、15は絶縁油の流れである。ここで、12〜14はプレスボードで構成され、絶縁紙と同じ素材であるセルロースから成る。硫化銅はコイル絶縁紙表面だけでなく、同じ素材のセルロースから成るプレスボード上(ワッシャー12、カルタ13およびスペーサ14上)にも析出する。
絶縁油はコイルの冷却媒体としても機能しており、コイル間を15に示すように流れていくにつれて油温が上昇するため、変圧器上面の油温は底面の油温よりも高くなる。従って、硫化銅が析出する絶縁紙およびプレスボード(ワッシャー12、カルタ13およびスペーサ14)の温度も変圧器上面に近い程高くなる。また、絶縁油の流れる方向や流路、流速なども変圧器内の温度分布に影響する。さらに、図1では2層のコイルを図示しているが、実際の変圧器では10層を超えるコイルが配置されており、コイルの配置も変圧器内の温度分布に影響する。一般的には、変圧器内の両端のコイルよりも中央に配置されたコイルの温度が高くなる。従って、硫化銅が析出する絶縁紙およびプレスボードの温度Tも3次元的に変化することになり、図3に示したx軸、y軸、z軸で表される3次元的位置に対する変数(T(x,y,z))となる。
このような温度分布を有する油入電気機器について、油入電気機器の設計書あるいはヒートラン試験結果から機器の内部温度分布を分析する。また、その分析結果から、油入電気機器内の最も高い温度となる部位(最高温度部)を決定する。
ここで、硫化銅の析出量は温度依存性があり、温度が10K高くなると析出速度が約2倍になることが知られている。上述のように、変圧器内部の温度分布は均一ではないため、硫化銅の析出量は変圧器内で一様ではなく、コイル銅線に巻かれた絶縁紙あるいはプレスボード上の硫化銅の析出量もT(x,y,z)に対応して3次元的に変化する変数ρ(x,y,z)となる。そして、油入電気機器内の温度が高い部位程、硫化銅の析出は早いため、T(x,y,z)が最大となる最高温度部は、ρ(x,y,z)が最大となる(硫化金属が最も多く析出する)最多析出部位に相当する。
最多析出量管理値(ρ0)を設定するステップ(ステップ(iii))を説明する。まず、最高温度部(最多析出部位)における絶縁紙の表面抵抗率が表面抵抗率管理値に達した時の該部位における硫化銅の析出量の推定値を、あらかじめモデル実験等によって求めておく。その推定値を最多析出量管理値(ρ0)として設定する。なお、ρ0は、絶縁紙上にρ0を超える量の硫化銅が析出したことをもって、異常が発生した(最多析出部位における絶縁紙の表面抵抗率が上記表面抵抗率管理値を越えた)ものと判断するための基準となる値である。
次に、総析出量管理値(M0)を設定するステップ(ステップ(iv))について説明する。ここでは、上記ステップ(ii)で行なった油入電気機器の内部温度分布の分析結果を基にして、上記最高温度部の硫化銅析出量(ρ)が最多析出量管理値(ρ0)に達した際の機器内全体の硫化銅総析出量の推定値を算出し、総析出量管理値(M0)として設定する。すなわち、硫化金属析出量が温度に完全に比例するものとしたときの、各部位の硫化金属析出量を最多析出量管理値(ρ0)および内部温度分布の分析結果を基にして求め、それらの総和を総析出量管理値(M0)とする。
油入電気機器内全体の硫化銅の総析出量(M0)は、変圧器内各部の硫化銅析出量(ρ(x,y,z))の総和であり、次の式(1)で表わされる。
Figure 0005179587
上記析出量管理値(ρ0)は、ρ(x,y,z)の最大値である。油入電気機器内の硫化銅は、コイル銅線上に巻かれた絶縁紙だけでなく、プレスボード(図3のワッシャー12、カルタ13およびスペーサ14)上にも析出するが、熱源であるコイル銅線に巻かれた絶縁紙の温度はプレスボードよりも高いため、該絶縁紙上の最高温度部における硫化銅析出量(ρ(x,y,z))がρ0となる。
次に、絶縁油中の副生成物濃度を測定し、その測定値から油入電気機器内全体の硫化金属総析出量の推定値(MS)を求めるステップ(ステップ(v))について説明する。油入電気機器内の硫化銅の総析出量は、絶縁油中の硫化銅生成に伴う副生成物(ビベンジルなど)の生成量に比例する。したがって、油入電気機器中の絶縁油の成分分析値から求めた油入電気機器内全体の硫化金属総析出量の推定値(MS)は次式から求めることができる。
S=K・C・W0
ここで、Kは比例定数、Cは絶縁油中の副生成物の濃度、W0は絶縁油の総重量である。すなわち、あらかじめモデル実験や計算等により比例定数Kを求めておけば、絶縁油中の副生成物の濃度から、油入電気機器中の絶縁油の成分分析値から求めた油入電気機器内全体の硫化金属総析出量の推定値(MS)を求めることができる。
なお、上記副生成物として、ビベンジル以外に、ベンジルスルフィド、トルエン等の他の副生成物を用いても、上記と同様にMsの値を求めることができる。
最後に、油入電気機器の内部異常発生の有無を診断するステップ(ステップ(vi))について説明する。上記のようにして求められた総析出量管理値(M0)と油入電気機器中の絶縁油の成分分析値から求めた油入電気機器内全体の硫化金属総析出量の推定値(MS)との大小関係から、
S<M0ならば、機器は正常
S≧M0ならば、機器は異常
との診断結果が得られる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (9)

  1. 絶縁油中に絶縁紙が巻きつけられた金属部品を有する油入電気機器において、該絶縁紙上で硫化金属が最も多く析出する最多析出部位の表面抵抗率が、あらかじめ設定した表面抵抗率管理値まで低下した時点を異常発生時と判断することを特徴とする油入電気機器の診断方法であって、
    あらかじめ前記異常発生時における前記最多析出部位での硫化金属析出量の推定値を最多析出量管理値として設定しておき、前記最多析出部位での硫化金属析出量が該最多析出量管理値に達した時点を、前記異常発生時とみなし、
    あらかじめ前記最多析出部位での硫化金属析出量が前記最多析出量管理値に達した時点における油入電気機器内全体の硫化金属総析出量の推定値を総析出量管理値として設定しておき、油入電気機器中の絶縁油の成分分析値から求めた油入電気機器内全体の硫化金属総析出量の推定値が該総析出量管理値に達した時点を、前記最多析出部位での硫化金属析出量が該最多析出量管理値に達した時点とみなす、油入電気機器の診断方法
  2. 前記最多析出部位が、絶縁紙上の最高温度部である、請求1に記載の油入電気機器の診断方法。
  3. 前記表面抵抗率管理値が、前記最多析出部位のコイルターン間で短絡が起こり絶縁破壊に至る表面抵抗率の閾値より大きい値である、請求1に記載の油入電気機器の診断方法。
  4. 前記表面抵抗率管理値が1×10Ω/□〜1×1012Ω/□の範囲内の値である、請求1に記載の油入電気機器の診断方法。
  5. 前記絶縁油の成分分析値が、硫化金属の生成と同時に生成される副生成物の絶縁油中の濃度である、請求1に記載の油入電気機器の診断方法。
  6. 前記副生成物がビベンジル、ベンジルスルフィドまたはトルエンである、請求項5に記載の油入電気機器の診断方法。
  7. 前記金属が銅である、請求1に記載の油入電気機器の診断方法。
  8. 請求1に記載の油入電気機器の診断方法を実施するための診断装置。
  9. 請求項8に記載の診断装置を備えた油入電気機器。
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