JP2005259785A - 油入電気機器 - Google Patents

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剛 網本
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成光 岡部
Masanori Komasa
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Abstract

【課題】 流動帯電現象に関連するデータが油入電気機器の据え付け位置でタイムリーに簡単に把握できる油入電気機器を構成する。
【解決手段】 タンク内に鉄心および巻線が収容され、巻線は導体表面に絶縁紙等の固体絶縁物で絶縁され、タンク内には絶縁油が充填され、タンクの外部には冷却器が配置され、タンクと冷却器の間に絶縁油循環路を形成し、タンク内部の鉄心および巻線と冷却器との間を強制的に絶縁油を循環させる油入電気機器の構成を、絶縁油循環路に接続され、運転中の状態の絶縁油を試料油として採油し、試料油中の酸素濃度、体積抵抗率、誘電正接および絶縁油の帯電度が測定できる流動帯電評価装置を装備した構成としたものである。
【選択図】 図1

Description

この発明は、絶縁油が充填された油入電気機器に関するものである。
油入変圧器や油入リアクトル等の油入電気機器は、タンク内に巻線および鉄心が収容され、巻線部分は導体表面を絶縁紙等の固体絶縁物で絶縁された構成であり、タンク内には絶縁耐力の確保と巻線および鉄心の冷却を目的とした絶縁油が充填され、タンク内部の発熱源である巻線および鉄心と冷却器との間を強制的に絶縁油を循環させて冷却し、各部の温度が規定の範囲内に抑えられる構成となっている。
このような構成の油入電気機器においては、巻線の表面を絶縁油が流れることにより、固体絶縁物と絶縁油との界面に流動帯電現象が発生し、固体絶縁物の表面に負電荷が蓄積し、その部位の直流電位が上昇し、電位が限界を超えると部分放電が発生し、これがトリガとなって、機器内部において交流絶縁破壊に至る危険性がある。
このようなことから油入電気機器においては、流動帯電現象が発生しないように内部を循環する絶縁油の流速を低速に設定して流動帯電現象の発生が抑制された構成となっている。油入電気機器の流動帯電現象に関しては、例えば非特許文献1の第III編〔流動帯電に関する保守管理〕に示されている。
流動帯電現象は、非特許文献1の71頁の第2−1−1図の流動帯電メカニズムの概念図に示されているように、電荷移動、電荷分離、電荷緩和の3つの基本過程から成り立っている。
電荷移動過程においては、絶縁油(液体)と絶縁紙(固体絶縁物)とが接していると絶縁紙に正負イオンの内一方のイオン(負イオン)が選択的に吸着され、他方のイオン(正イオン)がその近傍の絶縁油内に分布して電気二重層を形成する。
電荷分離過程においては、電荷移動した状態で、絶縁油が流動すると、絶縁紙近傍の絶縁油中に分布している正イオンは、負イオンから分離されて絶縁油とともに運び去られ、絶縁油中の正負イオンがアンバランス状態になる。
電荷緩和過程においては、絶縁紙に吸着されていた負イオンおよび流れ去った正イオンは互いに束縛から開放され、通電路もしくは絶縁油中において緩和し、帯電イオンは次第に電気的に中和し消滅する。
油入電気機器の内部において、絶縁紙と絶縁油との間の帯電現象は、非特許文献1の71頁の第2−1−2図に示されているように、絶縁紙(セルロース)表面に水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)等の極性基が存在し、その中の酸素は電気陰性度が大きく水素の電子を引きつけて表面の水素が正に分極し、油中の負イオンを選択的に吸着することにより、絶縁紙が負、絶縁油が正に帯電する。
油入電気機器内において発生した流動帯電現象による電荷は、上記の3つの基本過程の起こりやすさと関連しており、3つの基本過程のすべてを含んで総合的に油入電気機器内の流動帯電性の大小を表す尺度として中性点巻線漏れ電流(以下巻線漏れ電流という)が挙げられる。すなわち、巻線漏れ電流が静電気放電の発生限界と関連するために油入電気機器内での静電気放電の危険性を判断する基準値として用いられる。非特許文献1の73頁の第2−2−5図に静電気放電発生下限流量の温度特性が示されている。この図における流量は、放電が発生する下限流量を1puとして示したものであり、放電発生の下限流量および巻線漏れ電流は温度依存性がある。
このことは巻線漏れ電流を計測することにより、流動帯電現象による油入電気機器内の放電現象を予知することが可能であることを示すものである。
しかし、実際の油入電気機器において、巻線漏れ電流の測定を運転状態で測定することは、電流値が小さく、周囲のノイズが影響して測定することは困難であり油入電気機器を停止しなければ測定することができないという問題点がある。
実際の油入電気機器において、停止しなくても流動帯電性が把握できる方法として、絶縁油の帯電度を測定することが行われている。巻線漏れ電流と絶縁油の帯電度の関係は非特許文献1の72〜73頁の2−2−2〔中性点巻線漏れ電流と流動帯電との関係〕に示されている。
絶縁油の帯電度の測定方法は、非特許文献1の133頁の第III編第7章〔測定技術〕の7−2−1〔帯電度測定方法〕に示されている。帯電度測定装置としては、国内外において各種が開発され、機器製造者毎に異なった評価方法が採られており、まだ統一された方法で行われていないが、その中で非特許文献1の133頁の第7−2−5図に示されたミニ静電テスタが比較的多くの機関で使用されている。このミニ静電テスタは、ジェット燃料の帯電度を測定するために考案されたものであり、油入電気機器に対しては静電気発生部のフィルタを紙フィルタに変えたものであり、油入電気機器(変圧器)における流動帯電を捉えることができるものであり、装置の製作が簡便な上、再現性に優れているので広く使用されている。
油入電気機器(変圧器)の流動帯電に影響する因子として、巻線に印加される交流電界の大きさや温度、絶縁油の体積抵抗率、誘電正接、油中水分量、絶縁油内に含まれる不純物の含有量などがあげられ、それらの要因と帯電度に対する影響は、非特許文献1の74頁〜86頁に説明されている。
油入電気機器の流動帯電現象の抑制方法として、非特許文献1の80頁に、絶縁油に1,2,3−ベンゾトリアゾール(以下BTAという)を添加することで流動帯電が抑制されることが記載されている。BTAを添加すると、添加量5ppmから帯電度が低下するデータが示されている。また、添加量が30ppm以下であれば絶縁油の体積抵抗率、絶縁破壊電圧および油浸コイルモデルの絶縁耐力も低下しないことが示されている。
また、実変圧器においてもBTAを添加した効果を示した例として、油中のBTAは徐々に絶縁物あるいは金属銅等に吸着され、経時的に減少するが、油の帯電度および誘電正接の増大が小さくなったデータが示されている。
以上のように、油入電気機器(変圧器)の流動帯電現象およびその対策に対する背景技術の状況にあって、油入電気機器では、銅の絶縁油中への溶解を抑制するためにBTAを0.5〜30mg/l(リットル)を添加すること、および酸化劣化防止剤として2.6ジターシャリーブチルパラクレゾール(以下DBPCという)を添加することが特許文献1に示されている。
また、油入電気機器の流動帯電現象の発生状態を常時監視し、静電気障害が発生するおそれがあるときに静電気の発生量を抑制する構成が特許文献2に示されている。
この特許文献2の構成は、特許文献2の図1に示されているように、流動帯電発生部とその下流に設けた静電気検出部から構成される静電気監視装置を静止誘導電器(油入電気機器)のタンクの上部に近接して配置し、静電気監視装置の流動帯電発生部はタンク内に使用されているものと同じ絶縁材料でカバーされ、かつ交流電界が印加された電極間には静止誘導電器のタンク上部から流入する絶縁性液体(絶縁油)を流動させるようにし、さらに絶縁性液体の温度と流速を計測する手段を設け、これらと流動帯電発生部の交流電界の大きさから定まる許容静電気発生量と、静電気監視装置の静電気検出部で測定された静電気発生量を比較し、前者より後者の値が大きいときに警告を発する比較判定部を備え、警告が発生したとき、絶縁性液体の冷却循環回路の途中に高濃度な帯電抑制物質を含有する絶縁性液体を注入する機構を備えているものである。
特許文献2の構成では、静止誘導電器の内部に近い条件、すなわち、流速、温度、交流電界の大きさを考慮して流動帯電を起こさせ、その静電気発生量を静電気検出部で調整する構成であり、静止誘導電器の流動帯電が正確に推定され、比較判定部で静電気障害発生のおそれがあるか否かを判断することができ、静電気障害発生の恐れがあると判断された場合に帯電抑制物質が添加された絶縁性液体を注入するので、静止誘導電器の内部での静電気が抑えられ電荷蓄積による静電気放電あるいはこれに起因する絶縁破壊事故が未然に防止できるというものである。
従来の油入電気機器の流動帯電に対する対策は、上記のような状況にあり、機器設計段階では、絶縁油の流速を適度に抑え、流路に局部的な流れの乱れがなくなるように配慮し、コンサベータを隔膜式として使用中の酸素浸入の抑制と、使用絶縁材料の厳選等が行われ、絶縁油に対しては、油中水分量、体積抵抗率、誘電正接等の適正管理が行われ、経年的に帯電度が増加することに対してはBTAの添加などが行われている。
電気協同研究・第54巻・第5号・(その1)「油入変圧器の保守管理」 特開平6−76635号公報 特開平7−161534号公報
従来の油入電気機器の流動帯電現象に対する対策は上記のような状況にあり、製作段階の管理は厳密に行われていると想定される。
しかし、実際の油入電気機器では非特許文献1に示されているように、新しく設置された油入電気機器が実使用状態になると、使用経過とともに流動帯電が増加することが示されており、経年的な流動帯電の変化は、定期的な巻線漏れ電流の測定、絶縁油の帯電度の測定、絶縁油の油中水分量、体積抵抗率、誘電正接の測定等によって把握されている。
しかし、従来の流動帯電現象を把握する方法は、巻線漏れ電流を測定する方法では、油入電気機器を停止して測定する必要があり、絶縁油の帯電度の測定、油中水分量の測定、体積固有抵抗、誘電正接の測定などは、油入電気機器内の絶縁油を試料油として採油し、測定可能な場所に運んで測定することが行われている。また、試料油を採油する場合には大気が侵入することがあり、侵入した空気中の酸素の影響、塵埃混入等により特性が変化することがあり、測定精度が低下する問題点がある。また、測定結果が出る迄に時間を要する問題点がある。
この発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、流動帯電現象の発生状況が据え付け位置でタイムリーに簡単に把握できるように構成した油入電気機器を提供することを目的とするものである。
タンク内に鉄心および巻線が収容され、巻線は導体表面に絶縁紙等の固体絶縁物で絶縁され、タンク内には絶縁油が充填され、タンクの外部には冷却器が配置され、タンクと冷却器の間に絶縁油循環路を形成し、タンク内部の鉄心および巻線と冷却器との間を強制的に絶縁油を循環させる油入電気機器において、絶縁油循環路に接続され、運転中の状態の絶縁油を試料油として採油し、試料油中の酸素濃度、体積抵抗率、誘電正接および絶縁油の帯電度が測定できる流動帯電評価装置を装備した構成としたものである。
油入電気機器を、その絶縁油循環路に接続された流動帯電評価装置を装備した構成としたことにより、油入電気機器を停止することなく、試料油が大気にふれることもなく採油できるようになり、油入電気機器の流動帯電現象が現地において精度良く評価でき、短時間で評価結果を得ることができる。
実施の形態1.
実施の形態1は、油入電気機器の実際の運転段階における流動帯電現象の発生状況が、運転を停止しないで採油時の大気の侵入の心配がない状態で、流動帯電性評価の指標項目についてタイムリーに精度良く測定できる油入電気機器を構成するものである。
図1は実施の形態1の油入電気機器の構成図である。図1の構成は、タンク内に巻線、鉄心が収容され、内部に絶縁油が充填された油入電気機器1と、油入電気機器1の外部に配置された冷却器2と、油入電気機器1のタンク上部と冷却器2の上部は配管4a、油入電気機器1のタンク下部と冷却器2の下部は配管4bにより送油ポンプ3を介して接続され、油入電気機器1内部の巻線および鉄心部分と冷却器2の間は送油ポンプ3により絶縁油が強制的に循環する循環路が形成されている。油入電気機器1の上部には、充填された絶縁油の温度変化による体積変化に対して所定の内圧に保持するコンサベータ5、高圧側および低圧側のブッシング6a、6bが取り付けられている。冷却器2は冷却制御盤8により制御される。流動帯電評価装置10は、油入電気機器1から容易に採油できるように配置され、絶縁油循環路の配管4bにT分岐して接続され、流動帯電評価装置制御盤11により制御できるように構成している。
図2は流動帯電評価装置の構成図である。この流動帯電評価装置は、流動帯電の指標となる次に示す測定項目について一定期間毎に測定できるように構成したものである。
《測定項目》
・体積抵抗率
・誘電正接
・油中酸素濃度
・絶縁油の帯電度
流動帯電評価装置の構成は、油入電気機器1から試料油を採油する注油口12a、試料油の温度が調整できる加熱手段12hを備えた試料油を貯留する容器12と、蓋13と、容器12と蓋13の間を密封するOリング14とで密閉状態を形成し、体積固有抵抗および誘電正接を測定する第1の循環路と、採取された試料油の採取直後の帯電度を検出する第2の循環路と、試料油の帯電度を検出する第3の循環路とが形成できるように構成されている。
容器12内の試料油中に配置され、試料油の体積固有抵抗および誘電正接を測定する測定端子21Aを備えた測定電極21、容器12の内部から外部に導出する配管22、容器12の外部に配置された第1の三方弁23、酸素濃度計24、試料油を循環させるポンプ24、第2の三方弁25を経由して容器12内に導入する配管26が接続された流路と、容器12の内部から外部に導出する配管31、帯電度を検出する第1の静電気発生部32、配管33により、第1の三方弁23に接続された流路と、第2の三方弁26に第2の静電気発生部34を接続し、配管35により容器12内に導入する流路とを形成し、容器12内の温度は温度センサ37a、第1の静電気発生部32の温度は温度センサ37b、第2の静電気発生部34の温度は温度センサ37cでそれぞれ計測されるように構成され、蓋13には容器12内に酸素ガスあるいは窒素ガスを注入する注入口41が設けられている。第1の静電気発生部32は、上部フィルタホルダ32aと下部フィルタホルダ32bの間の内側にステンレスメッシュ32dと紙フィルタ32cを重ねた状態で流れ方向の直角方向に配置した構成である。
第1の循環路は、容器12内、測定電極21、第1の三方弁23、酸素濃度計24、循環ポンプ25、第2の三方弁26を経由して容器12内に通ずる流路で形成される。
第2の循環路は、容器12内、第1の静電気発生部32、第1の三方弁23、酸素濃度計24、循環ポンプ25、第2の三方弁26を経由して容器12内に通ずる流路で形成される。
第3の循環路は、容器12内、第1の静電気発生部32、第1の三方弁23、酸素濃度計24、循環ポンプ25、第2の三方弁26、第2の静電気発生部34を経由して容器12内に通ずる流路で形成される。
図2の流動帯電評価装置10による各項目の測定は次の手順により行う。
1.誘電正接、体積固有抵抗および酸素濃度の測定
(1)油入電気機器からバルブ12bを開いて所定量の試料油を容器12内に採油する。
(2)第1の三方弁23、第2の三方弁26を操作して第1の循環路を形成する。
(3)ポンプ25を運転し試料油を第1の循環路に循環させ、測定端子21Aから誘電正接、および体積抵抗率を測定する。
(4)酸素濃度計24により油中酸素濃度を測定する。
2.採油直後の試料油の帯電度の測定
(1)油入電気機器からバルブ12bを開いて所定量の試料油を容器12内に採油する。
(2)第1の三方弁23、第2の三方弁26を操作して第2の循環路を形成する。
(3)ポンプ25を運転し試料油を第2の循環路に循環させ、静電気発生部32により採油時の帯電量を測定する。
3.循環後の試料油の帯電度の測定
〈2.において帯電度を測定した後に一定時間循環させて帯電度の測定を行う。〉
(1)第1の三方弁23、第2の三方弁26を操作して第3の循環路を形成する。
(2)ポンプ25を運転し試料油を第3の循環路に循環させ、静電気発生部34により循環後の帯電量を測定する。
《帯電度の測定について》
採油直後の帯電度は、油入電気機器内部における含有成分を含み、濾紙が絶縁油中の成分を吸着して静電気検出能力が変化していることが想定され、絶縁油の帯電度発生能力が変化している可能性がある。しかし、実際の油入電気機器内部の帯電度を示していると想定される。
循環後の帯電度は、第3の循環路が形成された第1の静電気発生部32を経由して第2の静電気発生部34に流入するので、第2の静電気発生部34で検出された帯電度は絶縁油の帯電度を示すものである。
検出した各試験項目の結果の評価は次のようにして行う。
《体積抵抗率》
非特許文献1の78頁の〔(2)絶縁油の帯電度〕の項の〔(b)油中水分、油中粒子および油処理の影響〕の項に説明されているように、油中水分量を知ることにより、油入電気機器内部の帯電度が予測できる。
(関連図:非特許文献1の第2−3−20図、第2−3−21図)
《誘電正接》
非特許文献1の81頁の〔(2)絶縁油の誘電正接〕の項に示されているように、誘電正接を測定することにより、油入電気機器内の帯電度の状況を知ることができる。
(関連図:非特許文献1の第2−3−34図、第2−3−35図)
《油中酸素濃度》
絶縁油中の酸素は、絶縁油中に含有する硫黄成分を酸化させることにより、高帯電度物質に変化させ、油入電気機器の帯電度を増加させるものであるが、油入電気機器では、初期段階に含まれる微量の空気成分(酸素や窒素)が絶縁油および油中に含まれる硫黄成分の酸化により消費されるので、経年とともに少なくなるものである。しかし、コンサベータ等において密閉度がよくないと、空気が油入電気機器に侵入して、油入電気機器内の帯電度が継続して増加することとなるので、油中酸素濃度の検出は、油入電気機器の爾後の帯電度の変化を予測するのに重要なデータとなる。
《絶縁油の帯電度》
充填された絶縁油の帯電度が経年的に変化を知るデータとなり、増加すると絶縁破壊の危険性判断の情報となる。
油入電気機器の流動帯電現象は、運転初期段階では、制作時に微量の空気成分(酸素および窒素)があり、この空気成分により絶縁油の硫黄成分等が酸化して高帯電度物質に変化させる反応があり、帯電度が増加する傾向がみられるものであるから、密閉度が完全であり、充填された絶縁油も低硫黄のものが使用されていると、帯電度の増加も初期段階のみの現象としてよいが、密閉度が完全でない場合には、空気が呼吸作用により油入電気機器内に侵入することが予測され、帯電度の増加傾向を監視することが重要である。
油入電気機器を安定運転を継続するには、帯電度に関係する項目について一定期間毎に測定して記録し、経年的な変化を監視し、検出されたデータに変化がみられたときに状況に応じて対策を行う必要がある。
指標項目の管理値は、油入電気機器の電圧階級、構造などにより適正値に差があり、一元的に設定することはできないので、油入電気機器の構成に応じて個別に設定することが必要である。
図1に示すように、油入電気機器に流動帯電評価装置を装備した構成としたことにより、運転を停止することなく一定期間毎に指標測定項目の一定期間毎に計測できるものであり、計測したデータを蓄積し、その変化状況によって対策を検討するように監理すると、流動帯電現象に対して、タイムリーに適切に対策することができるようになる。
実施の形態1の油入電気機器の構成図である。 油入電気機器に装備した流動帯電評価装置の構成図である。
符号の説明
1 油入電気機器、2 冷却器、10 流動帯電評価装置、12 容器、13 蓋、
21 測定電極、22 配管、23 第1の三方弁、24 酸素濃度計、
25 循環ポンプ、26 第2の三方弁、27 配管、31 配管、
32 第1の静電気発生部、33 配管、34 第2の静電気発生部、35 配管、
37a,37b,37c 温度計測センサ。

Claims (3)

  1. タンク内に鉄心および巻線が収容され、上記巻線は導体表面に絶縁紙等の固体絶縁物で絶縁され、上記タンク内には絶縁油が充填され、上記タンクの外部には冷却器が配置され、上記タンクと上記冷却器の間に絶縁油循環路を形成し、上記タンク内部の鉄心および巻線と冷却器との間を強制的に絶縁油を循環させる油入電気機器において、上記絶縁油循環路に接続され、絶縁油中の酸素濃度、体積抵抗率、誘電正接および絶縁油の帯電度が測定できる流動帯電評価装置が装備されていることを特徴とする油入電気機器。
  2. 上記流動帯電評価装置は、試料油の注入口および所定の温度に加熱できる加熱手段を備えた試料油を貯留する容器と、体積抵抗率および誘電正接を測定する測定電極と、絶縁油中の酸素濃度を測定する酸素濃度計と、上記容器内に貯留された試料油の帯電度を測定する第1の静電気発生部、第2の静電気発生部と、試料油を循環させるポンプと、循環流路を切り換える第1の三方弁、第2の三方弁とを備え、上記容器内の試料油が、上記容器内部から上記測定電極、上記第1の三方弁、上記酸素濃度計、上記ポンプ、上記第2の三方弁を経由して上記容器内に流通する第1の循環流路と、上記容器内部から上記第1の静電気発生部、上記第2の三方弁、上記酸素濃度計、上記ポンプ、上記第2の三方弁を経由して上記容器内に流通する第2の循環流路と、上記第2の三方弁、上記第2の静電気発生部を経由して上記容器内に流通する第3の循環流路とが、上記第1の三方弁および第2の三方弁の切り換えにより形成できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の油入電気機器。
  3. 油入電気機器は、設定した一定期間毎に上記流動帯電評価装置に絶縁油を採り入れ、油入電気機器の帯電度を評価する絶縁油の体積抵抗率、誘電正接、酸素濃度および帯電度を測定して記録し、記録された測定結果により油入電気機器の帯電度の変化状態を評価することを特徴とする請求項1または請求項2記載の油入電気機器。
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