JP5516818B2 - 油入電気機器における硫化銅生成量の推定方法、異常発生の診断方法、絶縁油中のジベンジルジスルフィド初期濃度の推定方法、および、異常発生の可能性の診断方法 - Google Patents
油入電気機器における硫化銅生成量の推定方法、異常発生の診断方法、絶縁油中のジベンジルジスルフィド初期濃度の推定方法、および、異常発生の可能性の診断方法 Download PDFInfo
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Description
(第1段階) ジベンジルジスルフィドが銅板に配位(吸着)する反応。
(第2段階) ジベンジルジスルフィドが銅と反応し、ジベンジルジスルフィド−Cu錯体を生成する反応。
(第3段階) ジベンジルジスルフィド−Cu錯体が、熱分解などにより、硫化銅と、ベンジルラジカルおよびベンジルスルフェニルラジカルとに分解される反応。
(1) 前記油入電気機器から採取した絶縁油中に含まれる特定の生成物の濃度を測定する工程、および、
(2) 前記特定の生成物の濃度に基づいて、前記硫化銅の生成量を推定する工程を含み、
前記特定の生成物は、ジベンジルスルホキシドである方法に関するものである。
<硫化銅生成量の推定>
本実施形態においては、
(1) 油入電気機器から採取した絶縁油中に含まれる1種以上の特定の生成物として、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、安息香酸およびジベンジルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物のみの濃度が測定され、
(2) この特定の生成物の濃度に基づいて、油入電気機器における硫化銅の生成量が推定される。
絶縁油中に含まれる特定の生成物の濃度は、種々公知の方法を用いて測定することができ、例えば、ガスクロマトグラフ/質量分析器(GC/MS)を用いて測定することができる。
上記特定の生成物の濃度に基づいて、油入電気機器における硫化銅の生成量を推定する方法としては、あらかじめ、上記特定の生成物の濃度と硫化銅生成量との相関関係を示す検量線を作成する方法が挙げられる。かかる検量線は、例えば、上記特定の生成物および硫化銅の初期濃度が既知の絶縁油を油入電気機器のモデルに充填し、所定の各条件下で、上記特定の生成物の増加濃度と硫化銅の増加濃度を測定することにより作成できる。
さらに、本実施形態において推定された硫化銅の生成量を特定の基準値(閾値)と比較することで、油入電気機器における異常発生を診断することができる。
<硫化銅生成量の推定>
本実施形態においては、
(1) 油入電気機器から採取した絶縁油中に含まれる1種以上の特定の生成物として、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、安息香酸およびジベンジルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物に加えて、さらにビベンジルおよび/またはジベンジルスルフィドの濃度が測定され、
(2) この特定の生成物の濃度に基づいて、油入電気機器における硫化銅の生成量が推定される。
絶縁油中に含まれる特定の生成物の濃度は、種々公知の方法を用いて測定することができ、例えば、ガスクロマトグラフ/質量分析器(GC/MS)を用いて測定することができる。
本実施形態では、上記の絶縁油中に含まれる特定の生成物を測定し、各成分の濃度をベンゼン環のモル濃度に変換し、それらを合計した総モル濃度(N)に基づいて、硫化銅の生成量を推定する。具体的に、総モル濃度(N)は各成分の濃度から下記式(1):
N(μmol/g)=n1+n2+n3+2×n4+2×n5+2×n6 ・・・(1)
を用いて算出される。
さらに、本実施形態において推定された硫化銅の生成量を、実施形態1と同様にして、特定の基準値(閾値)と比較することで、油入電気機器における異常発生を診断することができる。
<ジベンジルジスルフィド初期濃度の推定>
本実施形態においては、
(1) 油入電気機器から採取した絶縁油中に含まれる1種以上の特定の生成物として、実施形態2と同様の特定の生成物の濃度が測定され、さらにジベンジルジスルフィド(以下、DBDSと略す。)の濃度が測定され、
(2) この特定の生成物の各濃度およびDBDSの濃度に基づいて、油入電気機器における絶縁油中のDBDSの初期濃度が推定される。
(1) 特定の生成物およびDBDSの濃度測定
絶縁油中に含まれる特定の生成物の濃度は、種々公知の方法を用いて測定することができ、例えば、ガスクロマトグラフ/質量分析器(GC/MS)を用いて測定することができる。
本実施形態におけるDBDS初期濃度の推定方法は、
上記特定の生成物の各濃度をベンゼン環のモル濃度に変換し、それらを合計した総モル濃度(N)を算出する工程、
上記総モル濃度(N)から、あらかじめ作成した検量線を用いてジベンジルジスルフィドの減少量を算出する工程、および、
上記DBDSの濃度と上記DBDSの減少量とから、DBDSの初期濃度を算出する工程を含む。
「DBDSの初期濃度」=「DBDSの濃度」+「DBDSの減少量」 ・・・(2)
から算出される。
以上のようにして推定されたDBDSの初期濃度を、特定の基準値(閾値)と比較することで、油入電気機器における異常発生の可能性を診断することができる。
まず、ASTM D 1275Bで腐食性の硫黄を含まないことを確認済みの変圧器油(絶縁油)を準備した。次に、この変圧器油にDBDSを300ppmの濃度となるように添加した。この変圧器油4グラムと銅板を10ccの内容積を持つ瓶に封入し、ゴム栓を施した後に165℃で所定の時間(1、2、3、5、7,9h)加熱した。ゴム栓には内径が数ミリメートルのステンレス管を貫通せしめ、油が自由に空気と接触できるようにした。
実施例1と同じ実験を行い、加熱後の変圧器油に含まれる安息香酸、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒドおよびジベンジルスルホキシド、ならびに、ビベンジルおよびジベンジルスルフィドの濃度を、ガスクロマトグラフ/質量分析器(GC/MS)で測定した。これらの濃度を上記式(1)に代入することにより、総モル濃度(N)を求めた。
本実施例において、空気雰囲気下および窒素雰囲気下で各所定の時間加熱した場合の総モル濃度(N)と硫化銅生成量との関係を図3に示す。なお、硫化銅生成量は油1gあたりの銅板重量変化を硫黄の分子量で除した値を示している。図3に示したようにNと硫化銅量との間には良好な相関性があり、Nを求めることによりその温度における硫化銅生成量を推定できることが分かる。
実施例2と同様の実験を行ない、Nを実施の形態2と同じ方法で求め、さらに、各所定の加熱時間における絶縁油中のDBDSの濃度を、ガスクロマトグラフ/質量分析器(GC/MS)を用いて測定した。そして、DBDSの添加濃度(300ppm)からDBDSの減少量(μmol/g)を算出した。得られたNとDBDSの減少量との関係を図4に示す。
Claims (6)
- 銅を含むコイルと該コイルを絶縁する絶縁紙とを有する油入電気機器における硫化銅の生成量を推定する方法であって、
(1) 前記油入電気機器から採取した絶縁油中に含まれる特定の生成物の濃度を測定する工程、および、
(2) 前記特定の生成物の濃度に基づいて、前記硫化銅の生成量を推定する工程を含み、
前記特定の生成物は、ジベンジルスルホキシドである方法。 - 前記特定の生成物は、さらにベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、安息香酸、ビベンジルおよびジベンジルスルフィドからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記工程(2)は、
前記特定の生成物の各濃度をベンゼン環のモル濃度に変換し、それらを合計した総モル濃度を算出する工程、および、
前記総モル濃度に基づいて、前記硫化銅の生成量を推定する工程
を含む、請求項1または請求項2のいずれかに記載の方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法を用いて推定された硫化銅の生成量に基づいて、前記油入電気機器の異常発生を診断する方法。
- 銅を含むコイルと該コイルを絶縁する絶縁紙とを有する油入電気機器における絶縁油中のジベンジルジスルフィドの初期濃度を推定する方法で
あって、
(1) 前記油入電気機器から採取した絶縁油中に含まれる特定の生成物の濃度を測定
する工程、および、
(2) 前記特定の生成物の濃度に基づいて、前記ジベンジルジスルフィドの初期濃度
を推定する工程を含み、
前記特定の生成物は、ジベンジルスルホキシド、または、ジベンジルスルホキシドとベンジルアルコール、ベンズアルデヒドおよび安息香酸からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物、ならびに、ビベンジルおよび/またはジベンジルスルフィドを含み、
前記工程(2)は、
前記特定の生成物の各濃度をベンゼン環のモル濃度に変換し、それらを合計した総モル濃度を算出する工程、
前記総モル濃度から、あらかじめ作成した検量線を用いてジベンジルジスルフィドの減少量を算出する工程、および、
前記ジベンジルジスルフィドの濃度と前記ジベンジルジスルフィドの減少量とから、前記ジベンジルジスルフィドの初期濃度を算出する工程を含む方法。 - 請求項5に記載の方法を用いて推定された前記ジベンジルジスルフィドの初期濃度に基づいて、前記油入電気機器の異常発生の可能性を診断する方法。
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