JP5174977B1 - 飲料又は調味料の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】収率を落さずに飲料又は調味料の味を改善する飲料又は調味料の処理方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る飲料又は調味料の処理方法は、日本酒、ワイン、焼酎、みりん、ジュース、食酢及び醤油のうちのいずれか一つ、若しくはこれらの混合物、希釈物又は濃縮物から選択される飲料又は調味料を処理する飲料又は調味料の処理方法であって、前記飲料又は調味料を冷却して、水分を主体とした氷と、前記水分が除かれて水分以外の成分が濃縮された濃縮液と、を含んでなる固液混合体を生成する固液混合体生成工程S11と、前記固液混合体を前記氷と前記濃縮液とに固液分離する固液分離工程S12と、前記固液分離した氷と前記固液分離した濃縮液を同じ容器に回収する回収工程S13と、を含んでいる。
【選択図】図1

Description

本発明は、日本酒、ワイン、焼酎、みりん、ジュース、食酢及び醤油のうちのいずれか一つ、若しくはこれらの混合物、希釈物又は濃縮物から選択される飲料又は調味料を処理する飲料又は調味料の処理方法に関する。
飲料や調味料として、日本酒、ワイン、焼酎、みりん、ジュース、食酢、醤油、これらの混合物、希釈物や濃縮物などが市販されている。
これらの飲料や調味料を代表して日本酒について説明すると、日本酒は、米と水を用い、任意に添加される麹や酵母から産生される酵素によってアルコール発酵させて製造している。具体的には、日本酒は、米を米麹(麹菌)によって単糖に分解しつつ、分解された単糖を酵母の産生する酵素によってアルコール発酵を行う並行複発酵と呼ばれる形式で醸造される。そのため、特に味や香りに関与する成分が多く生成され、製造工程の相違、製造条件や熟成条件の相違、原料や麹菌、酵母の種類によって味や香りなどが大きく異なったものとなる。
日本酒の味を表現する用語としては、辛口、甘口、旨口(うまくち)、端麗、芳醇、濃醇、ピン、荒い、吟味(ぎんあじ)、ふくらみ、押し味、コシ、どっしりなどがある。後味がすっきりして軽快な場合は「キレがある」、「サバケがよい」などと表現される。また、日本酒の香りを表現する用語としては、吟醸香、りんご香、バナナ香、熟成香、古酒香などがある。
造り手は、製造条件や熟成条件を調整したり、原料や麹菌、酵母の種類を変えたりして味や香りの異なる色々なタイプの日本酒を醸造している。
また、近年は、特定の味や香りを安定して得るための手法が種々開発されている。
例えば、特許文献1には、アルコール飲料を周波数20〜100kc(キロサイクル)の超音波振動により撹拌することにより、アルコール飲料中のアルコール分子会合体を一個ずつのアルコール分子に分離させ、個々のアルコール分子が水分子に取り囲まれた状態に調整することを特徴とするアルコール飲料の味改良方法が記載されている。
例えば、特許文献2には、玄武岩、安山岩、磁鉄鉱から選ばれる鉱物性無機物質に5〜25気圧の圧力に加圧された水を接触通過させる工程と、この工程を経た水を前記圧力未満の雰囲気下に曝気する工程を交互に繰り返して製造された活性化鉱水をガラスの原材料に添加し、この原材料を溶融成形してガラス質の粒体を成形し、このガラス質の粒体に酒類を接触通過させることからなる酒類の味の改良方法が記載されている。
また、例えば、特許文献3には、清酒粕を60℃以上80℃以下で加熱したのち、この加熱済み清酒粕に清酒を添加して、その風味を移行させた後に、固形物を除去することを特徴とする古酒風味酒類の製造法が記載されている。
特開平11−9257号公報 特開2000−157252号公報 特開2002−136282号公報
前記した飲料や調味料の中でも、日本酒の味や香りに対する嗜好は、人や時代、あわせる料理によって異なり多様である。例えば、日本酒の味に関して言えば、近年は舌触りがまろやかでアルコールの刺激が少なく、キレがあるものが特に好まれる傾向にある。また、酔い方が穏やかなものが好まれる傾向にある。
日本酒のキレは、辛・甘・旨の味のバランス、日本酒度、酸度、甘辛度、濃淡度、アミノ酸度のバランスによって織り成される。キレがある日本酒の醸造は、造り手の経験や勘に基づいて製造条件や熟成条件を適切に調整し、適切な原料や麹菌、酵母を用いる必要があるが、毎年同じようにキレがある日本酒を醸造するのは非常に困難である。
特許文献1に記載の発明によれば、アルコール飲料の味をまろやかにすることができる旨が記載されており、特許文献2に記載の発明によれば、喉ごしの味と呼ばれる味の改良を行うことができる旨が記載されており、特許文献3に記載の発明によれば、古酒風味酒類を効率的に製造すること、及び酒粕を有効利用することができる旨が記載されている。しかしながら、いずれの手法によっても舌触りがまろやかでアルコールの刺激が少なく、キレがあり、酔い方が穏やかなアルコール飲料や液体調味料を得ることはできない(なお、アルコールの刺激について言及するときは、アルコール飲料及びアルコールを含む液体調味料を対象とし、酔い方について言及するときは、アルコール飲料のみを対象とする。以下同じ。)。
本発明はこのような状況の下になされたものであり、収率を落さずに飲料又は調味料の味を改善する飲料又は調味料の処理方法を提供することを課題とする。
本発明者らは前記した課題を解決するため鋭意研究した結果、以下の構成とすることによって前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)前記課題を解決した本発明は、日本酒、ワイン、焼酎、みりん、ジュース、食酢及び醤油のうちのいずれか一つ、若しくはこれらの混合物、希釈物又は濃縮物から選択される飲料又は調味料を処理する飲料又は調味料の処理方法であって、前記飲料又は調味料を冷却して、水分を主体とした氷と、前記水分が除かれて水分以外の成分が濃縮された濃縮液と、を含んでなる固液混合体を生成する固液混合体生成工程と、前記固液混合体を前記氷と前記濃縮液とに固液分離する固液分離工程と、前記固液分離した氷と前記固液分離した濃縮液を同じ容器に回収する回収工程と、を含むことを特徴としている。
(2)本発明においては、前記固液分離工程における前記雰囲気温度を前記飲料又は調味料の凍結温度以上0℃以下とするのが好ましい。
本発明によれば、収率を落さずに飲料又は調味料の味を改善する飲料又は調味料の処理方法を提供することができる。
第1実施形態に係る飲料又は調味料の処理方法のフローを示すフローチャートである。 (a)は、第1実施形態で用いられる砕氷装置の側方断面図であり、(b)は、(a)回転軸棒21についての矢視A図である。 第1実施形態で用いられる固液分離装置の一例を示す縦断面図である。 第1実施形態で用いられる固液分離装置の他の一例を示す縦断面図である。 第1実施形態で用いられる固液分離装置の他の一例を示す縦断面図である。 第2実施形態に係る飲料又は調味料の処理方法のフローを示すフローチャートである。 第2実施形態で用いることのできる粉砕装置の一例を示す縦断面図である。 第2実施形態で用いることのできるチョッパー式粉砕装置の断面図である。 20℃から−50℃に降温した際のDSCの測定結果を示すグラフである。 −50℃から20℃に昇温した際のDSCの測定結果を示すグラフである。 表4に記載したNo.2の平均値とNo.1の平均値とをグラフ化して、血中アルコール濃度の経時変化を示した図である。
以下、本発明に係る飲料又は調味料の処理方法、及びこれによって処理された飲料又は調味料を実施するための形態(実施形態)について、適宜図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
本発明は、日本酒、ワイン、焼酎、みりん、ジュース、食酢及び醤油のうちのいずれか一つ、若しくはこれらの混合物、希釈物又は濃縮物から選択される飲料又は調味料を処理する、飲料又は調味料の処理方法に関する。
本発明の第1実施形態に係る飲料又は調味料の処理方法は、図1のフローチャートに示すように、固液混合体生成工程S11と、固液分離工程S12と、回収工程S13とを含み、これらの工程をこの手順で行うものである。以下、各工程について順に説明する。
(固液混合体生成工程S11)
固液混合体生成工程S11は、前記した飲料又は調味料(以下、説明の便宜上単に「飲料等」ということがある。)を冷却して、水分を主体とした氷と、水分が氷となって除かれ、水分以外の成分が濃縮され、高濃度となった濃縮液と、を含んでなる固液混合体を生成する工程である。この固液混合体は、固体と液体の両者を含有するものであるから、シャーベット状に凍結している。
ここで、水分を主体とした氷とは、凍結前の飲料等は水分とともに多様な成分を含んでいるため、これを凍結させると水分以外の成分を若干含んだ氷となっていることを意味している。つまり、かかる工程によって生成された固液混合体(シャーベット状の氷)は、巨視的には単なる氷であるが、微視的には、水分が凍ってできた多孔質状の氷の空隙に前記した濃縮液が含まれた状態となっている。そのため、遠心力等を作用させると氷の空隙から濃縮液を抜き出すようにして分離させることができる。
飲料等の冷却は、ほぼ全体が凍結する温度、すなわち凍結し始める温度よりも十分低い温度にて、静置して凍結させるのが好ましい。具体的には、凍り始める温度よりも15〜20℃低い温度にて、静置して凍結させるのが好ましい。日本酒を例に具体的に説明すると、凍結させるときの温度条件は、例えば、−20〜−60℃とするのが好ましく、−25〜−40℃とするのがより好ましい。なお、飲料等の凍結し始める温度とは、本発明においては、凍結前の高い温度から徐々に温度を下げていったときに飲料等が凍結を始める温度をいう。飲料等の凍結し始める温度は、飲料等によって異なる。一般的には、アルコール度18%の日本酒の場合は約マイナス(−)11℃、アルコール度13.5%のワインの場合は約−15〜−25℃、アルコール度25%の焼酎の場合は約−14℃、みりんの場合は約−23℃、食酢として例えば黒酢の場合は約−3℃、濃い口醤油の場合は約−26.5℃、薄口醤油の場合は約−23.5℃である。従って、前記したほぼ全体が凍結する温度は、処理を行う飲料等に応じて適宜に設定するのがよい。凍結時間は、飲料等の量及び凍結温度によっても異なるが、例えば、1〜20時間などとするとよい。凍結させる条件は処理する飲料等によって異なるが、なるべく硬く凍結、つまり、なるべく低い温度で凍結するのが好ましい。
凍結温度が、飲料等のほぼ全体が凍結する温度(例えば、日本酒の場合で−20℃)より高い場合または凍結時間が1時間よりも短い場合は、飲料等を十分に硬い状態で凍結できないおそれがある。
他方、凍結温度が−60℃よりも低い場合または凍結時間が20時間よりも長い場合は、飲料等を十分に硬い状態で凍結できるものの、生産効率や生産コストの点で不利となるため好ましくない。
(固液分離工程S12)
次いで行う固液分離工程S12は、前記固液混合体を、水分を主体とした氷と、濃縮液とに固液分離する工程である。
氷と濃縮液の固液分離は、例えば、遠心力を利用して行うと、簡便かつ確実に実施できるので好適である。遠心力は、本発明者らの実験結果からすると、飲料等の種類、外ドラム33、43、53(それぞれ図3、図4、図5参照)の径によっても異なるが、概ね300〜600×g程度あれば良い結果が得られている。
固液分離工程S12における雰囲気温度は、飲料等の凍結する温度以上0℃以下とすることができる。雰囲気温度をこの温度範囲とすると、水分をより多く凍結させることができ、氷(水分)と濃縮液とをより確実に固液分離することができるようになる。そのため、より高い飲料等の味の改善効果が見込める。固液分離工程S12での雰囲気温度を低くするほど、より高い効果が望めるが、例えば−40℃や−50℃など、飲料等が全体的に凍結する凍結温度よりも低い温度にすると、濃縮液の粘度が高くなり過ぎてしまい、固液分離することができなくなってしまう。かかる雰囲気温度は前記した範囲で任意に設定することができ、例えば、図3に示す固液分離装置30の場合は−4℃などとすることができる。これは、固液分離工程S2と回収工程S3を行う一回の処理を計5〜7分で行う場合に、氷を融解でき且つ品質を高く維持することのできる温度である。また、例えば、図4、図5示す固液分離装置40、50の場合は−28℃などとすることができる。これは、濃縮液である濃縮酒を製造する装置(例えば、特許第4326526号公報)をそのままの仕様および設定で使用することができるため、装置や条件を変更しなくてもよく、実施が容易であるという利点がある。
固液分離を行う前に、固液混合体を予め5mm3程度の大きさに砕氷したり、またはそれよりも細かく粉砕したりするのが好ましい。このようにすると、固液分離を迅速に行うことができる。また、次工程である回収工程S13において、氷の融解を迅速に行うことができる。なお、複数の区画を有するトレイを用いて固液混合体を凍結した場合であって、凍結させた固液混合体が固液分離を行うのに差し支えのない大きさである場合は、砕氷することは必ずしも必要ではない。
(回収工程S13)
回収工程S13は、固液分離した氷と固液分離した濃縮液を同じ容器に回収する工程である。同じ容器に回収されたこれらは混ざり合い、製品としての飲料等を生成する。
なお、氷は、濃縮液と混合する前に融解してもよいし、濃縮液に混合して融解するようにしてもよい。また、氷を融解しつつ濃縮液と混合するようにしてもよい。
回収した製品としての飲料等は、品質劣化防止のため約4℃で保存するのが好ましい。
以上に説明した固液混合体生成工程S11、固液分離工程S12、回収工程S13を行うと、飲料等の味を改善することができる。飲料等の味が改善される理由は完全に解明されているわけではないが、次の(1)、(2)のようなものと推測される。
(1)安定化効果
本発明の処理方法で処理すると、例えば、アルコール、有機酸などの強い刺激を与える分子が、水分子や、水分子が水素結合で結びついてできる水クラスターなどに強く束縛されると考えられる。つまり、強い刺激を与える分子が水分子や水クラスターなどの間に入り込み、より安定な状態になると考えられる(本明細書において「安定化効果」という。)。安定化効果の一つの現象としては、水とアルコールを混ぜたときの体積の変化にも表れる。例えば、水10mLに水5mLを加えると15mLになるが、水10mLにエタノール5mLを加えても、摂氏25℃で14.6mLにしかならない。また、ウイスキー、ブランデー、焼酎などの蒸留酒を数年寝かせると、体積の減少とともにアルコール特有のツンツンした刺激が少なくなり、味に丸みが出てくる。これは、水分子のすき間にアルコール分子が入り込んで、水に包み込まれた形になるためであると言われている。そのため、酒の熟成とは、水分子とアルコール分子の会合度合い(アルコール分子が水分子のすき間に入り込む率)を高くすることであるといえる。水分子とアルコール分子の会合度合いが高くなるということは、密度が高くなるということである。なお、水分子とアルコール分子との会合の度合いが最も高いのはアルコール濃度が60%(60度)のときとされ、アルコールを安定に保つ濃度は40%のときとされている。
本発明では、飲料等を固液混合体生成工程S11で固液混合体とすることによって固体(氷)と液体(濃縮液)とに分離させている。従って、一旦分離した氷(水分)と濃縮液(アルコール分子などの強い刺激を与える分子を含む液)を再び一つに戻した際に、これらの会合度合いを人為的に高めることができると考えられる。すなわち、これらの工程を経ることで安定化効果を得、あたかも長期熟成させたかのような味の改善を図ることができると考えられる。
(2)表面融解と類似の現象
また、固液分離工程S12で用いる装置の内壁に氷が衝突した後、当該氷が内壁(第1実施形態に係る場合は、外ドラム33、43、53の内壁(それぞれ図3、図4、図5参照))を擦りながら、内包される濃縮液を抜き出すようにして分離される過程で表面融解と類似の現象が発生し、水分子、エタノール分子、有機酸分子などのネットワークが水素結合の強い形に変化すること推測される。
前記(1)の安定化効果や(2)の表面融解と類似した現象により、本発明の処理方法によって処理された飲料等は、強い刺激が軽減されるため、舌触りがまろやかになり、味が改善される。また、当該飲料等は、安定な状態が形成されるため、アルコールを含む場合はアルコールの吸収が抑制されるとともに、吸収されたアルコールの代謝が促進され、酔い方が穏やかになると考えられる。なお、固液分離した氷と濃縮液を同じ容器に回収して製品とするので、収率が落ちることもない。
また、本発明の処理方法で日本酒を処理した場合、当該日本酒は調理材料に対する浸透力が強くなるという効果も得られる。例えば、本発明の処理方法で処理した日本酒にブリの切り身を浸漬しておくと、身が柔らかくなり、旨みが増す。また、エビを10分ほど浸漬しておいてから湯通しすると、ふっくらとして縮まない。また、果実を漬けると果実のエキス分の抽出量が多くなる。いずれの場合も処理していない日本酒の場合と比較して高い効果を得ることができる。これらの効果は、日本酒中の水のクラスターが本発明の処理方法で処理することによって小さくなるために得られるものと推測される。前記したように、また、後記するように、本発明の処理方法で処理した飲料等の密度が高くなるのは、水のクラスターが小さくなることも関係していると考えられる。
なお、安定化効果が得られたか否かを知る目安として密度が挙げられる。前記したように、本発明の処理方法で処理して安定化効果が得られた飲料等は、強い刺激を与える分子が水分子や水クラスターなどの間に入り込んだり、包み込まれたりしていると考えられる。そのため、本発明の処理を行ったものは、処理前と比較して密度が高くなり、日本酒の場合にあっては日本酒度が低くなる。密度と日本酒度の関係は、次の式で表すことができる。
SM=1443/S−1443
(ただし、前記式においてSMは日本酒度を示し、Sは密度(g/cm3)を示す。)
〔各工程で使用される装置〕
次に、固液混合体生成工程S11、固液分離工程S12、回収工程S13の各工程で使用される装置について説明する。
(固液混合体生成装置)
固液混合体生成工程S11で使用される固液混合体生成装置としては、凍結温度や凍結速度を任意に設定することのできる凍結機(図示省略)や、一般的に使用される冷凍庫(図示省略)などを挙げることができる。
固液混合体の生成は、飲料等を熱伝導性の良い金属製のトレイ内に5〜40mmの厚さとなるように注ぎ入れてから凍結するのが好ましい。このようにすれば、全体を均質に凍結させることが可能となる。なお、かかるトレイは予め凍結温度にて冷やしておくと飲料等をスムーズに凍結させることができる。
また、図5に示す固液分離装置50を用いる場合は、外ドラムと内ドラムのすき間に飲料等を注入して冷却することで固液混合体を生成することができる。
(砕氷装置)
固液分離工程S12に先立って固液混合体を5mm3程度の大きさに砕氷する砕氷装置としては、図2(a)、(b)に示す砕氷装置20を挙げることができる。なお、図2(a)は、本発明で用いることのできる砕氷装置20を、これが備える回転軸棒21に対して垂直に切断した側方断面図であり、図2(b)は、図2(a)回転軸棒21についての矢視A図である。
図2(a)、(b)に示す砕氷装置20は、固液混合体Iが載せられたトレイ22の下に、モータなどの駆動手段(図示せず)によって回転する回転軸棒21に対して垂直に複数本設けられた回転串棒23と、この回転串棒23と歯合するように設けられた固定串棒24と、を備えている。
回転串棒23を設けた回転軸棒21は、例えば、10回転/分で回転させることにより、横400mm、縦250mm、厚さ6mmのサイズの固液混合体Iを、5mm3程度の大きさに砕氷することができる。砕氷された固液混合体Iは、回転軸棒21の下に設けられた回収ホッパー25にて回収され、任意に、ベルトコンベアなどの搬送手段(図示せず)によって他の装置まで搬送させたり、回収容器(図示せず)に回収させたりして、次工程に移行させることができる。
(固液分離装置)
固液分離工程S12で使用される固液分離装置は、固液混合体Iを固体と液体に固液分離させることができればよく、特に限定されない。固液分離装置としては、図3〜5に示す複数の形態が挙げられる。
(固液分離装置30)
図3に示す固液分離装置30は、格納容器31内に内ドラム32と外ドラム33を備えている。内ドラム32は、外ドラム33内に内包されるように設けられている。これらはいずれもステンレス等の金属によって有底筒状に形成されている。格納容器31の底部には、格納容器31の内外を連通する略L字状の配管31aが設けられている。内ドラム32の周壁32aには、全面に渡ってφ20〜30mm程度の大きさの穴部32bが多数設けられている。また、内ドラム32の周壁32aの外周面には、当該外周面に対して垂直な螺旋コンベア32cがスパイラル状に設けられている。そして、この固液分離装置30では、外ドラム33の周壁33aの上方において、同じ高さ位置にφ12mm程度の大きさの穴部33bが等間隔に8つ設けられている。なお、穴部33bの大きさや形成個数はこれに限定されるものではない。
内ドラム32は、底部中心位置にて回転伝達軸34bの一端部によって回転自在に軸支されている。また、外ドラム33は、底部中心位置にて回転伝達軸35bの一端部によって回転自在に軸支されている。
回転伝達軸34bは、中実管または中空管にて形成されている。回転伝達軸35bは、回転伝達軸34bの外径よりも内径の大きい中空管にて形成されている。そのため、図3に示すように、回転伝達軸35b内に回転伝達軸34bが収められ、個別に回転できるようになっている。
回転伝達軸34bの他端部にはプーリP1が設けられている。プーリP1は、ベルトV1を介してプーリP2と接続されており、プーリP2はモータM1と接続されている。すなわち、モータM1、プーリP2、ベルトV1、プーリP1、回転伝達軸34bはこの順で有機的に接続され、回転伝達機構34を構成している。かかる構成により、モータM1が駆動すると、その回転力を内ドラム32に伝達することができ、内ドラム32を回転させることができる。
同様に、回転伝達軸35bの他端部にはプーリP3が設けられている。プーリP3は、ベルトV2を介してプーリP4と接続されており、プーリP4はモータM2と接続されている。すなわち、モータM2、プーリP4、ベルトV2、プーリP3、回転伝達軸35bはこの順で有機的に接続され、回転伝達機構35を構成している。かかる構成により、モータM2が駆動すると、その回転力を外ドラム33に伝達することができ、外ドラム33を回転させることができる。
なお、格納容器31とモータM1、M2は基台36に固定されている。また、格納容器31の上端には容器蓋31bが取り付けられている。この容器蓋31bの中央部分には開口部が設けられており、ここに固液混合体Iを内ドラム32内に投入する投入部37が取り付けられている。投入部37の下端には、内ドラム32の底部に向けて開口する開口部37aが設けられている。
以上に説明した固液分離装置30は、モータM1を駆動させてプーリP2、ベルトV1、プーリP1及び回転伝達軸34bによって内ドラム32を回転させ、モータM2を駆動させてプーリP4、ベルトV2、プーリP3及び回転伝達軸35bによって外ドラム33を回転させる。内ドラム32と外ドラム33の回転数を同じにして(同速回転させて)固液混合体Iを投入部37に投入すると、固液混合体Iは内ドラム32の穴部32bを通過して外ドラム33の内壁(周壁33a)に固液混合体Iの層が形成される。そして、この固液混合体Iから遠心力によって濃縮液が飛び出して内壁側に付着し、しかる後に首振り運動によって上方へ移動して穴部33bを通過して格納容器31内に排出される。このとき、固液分離装置30の温度が−4℃程度と、凍結温度よりかなり高いので氷に閉じ込められていた水以外の成分が融解して同様に排出されていく。出て行く濃縮液の濃度は最初が高く、段々濃度が低くなっていく。例えば、1800rpmで1分間固液分離すると、アルコール度は38%となり、2分間で22%となる。そのため、例えば、2分間固液分離したら氷を排出する動作に切り替えるとよい。このため、螺旋コンベア32cによって排出される固体の量は、後記する固液分離装置40、50と比較すると、かなり少ない。
このように処理すると、濃縮液が固液混合体Iから抜け出る際に表面融解と類似の現象が発生し、水分子、エタノール分子、有機酸分子などのネットワークが水素結合の強い形に変化すると考えられる。
格納容器31内に排出された濃縮液は、重力により降下し、配管31aを通過して格納容器31外に排出され、回収容器38に回収される。
固液分離された氷は、内ドラム32と外ドラム33の回転数を異ならせる(差速回転させる)ことによって、螺旋コンベア32cにより外ドラム33の上端開口部33cから格納容器31内に排出することができる。なお、内ドラム32と外ドラム33の回転数は螺旋コンベアの巻き方向(左巻き、右巻き)と、両ドラムの回転方向で決まる。例えば、内ドラム32に設けられた螺旋が右巻きで、回転方向が上から見て左回転の場合には、外ドラム33の方が高速となる。前記したように、固液分離のときは同速が望ましい。
特に限定されるものではないが、固液分離時は内ドラム32と外ドラム33を1500〜1800rpmで回転させると好適に固液分離することができる。なお、本発明者らの実験結果では、−32℃で凍結させた日本酒を、外ドラム33の半径100mm、外ドラム33の回転数1600rpmにて処理した場合に日本酒の密度が最も高くなった(日本酒度は0.76)。実験では、日本酒の密度は、これに次いで1500rpmが高く(日本酒度は1.04)、次に1700rpmが高く(日本酒度は2.05)、その次に1800rpmが高い(日本酒度は2.5)結果となった。遠心加速度によって処理後の飲料等の密度に差が出てくる可能性があるが、対象が嗜好品なので密度と官能検査によって最適な遠心加速度を決定するとよい。
外ドラム33の内壁に残った氷を排出する際は、内ドラム32の回転数を290rpmなどとし、外ドラム33の回転数を300rpmなどとするとよい。
格納容器31内に排出された氷は、格納容器31の外周面に設けられたヒータHによって融解され、液体となる。液体となった氷は、濃縮液とともに配管31aを通過して格納容器31外に排出され、回収容器38に回収される。
なお、内ドラム32の底部には、固液混合体Iを細かく粉砕する回転子32eが設けられていてもよい。なお、回転子32eは、棒状体、断面視略M字状、剣山状体、羽根状体又は板状体などとすることができる。このようにすると、回転子32eによって固液混合体Iをさらに細かくすることができるので、速やかに固液分離することが可能となる。また、氷が小さくなるため、固液分離後、速やかにこれを融解することができる。このような回転子32eを設ける場合、回転子32eの直上に前記した投入部37の開口部37aが配置されるようにすると、固液混合体Iが回転子32eによってより確実に粉砕されるようになるので好ましい。なお、回転子32eは内ドラム32の底部に固定しておくとよい。簡易な構成で内ドラム32と同じ回転速度で回転させることができる。
(固液分離装置40)
次に、図4を参照して固液分離装置40について説明する。なお、固液分離装置30と同様の構成は同一の名称とし、詳細な説明を省略する。
図4に示す固液分離装置40の外ドラム43は、周壁43a全体に直径φ0.05〜1mm程度の大きさの穴部43dが無数に設けられている。また、内ドラム42の上端開口部42dに氷排出羽根42fが設けられている。氷排出羽根42fは外ドラム43の上端開口部43cまで運ばれてきた氷を外側に押出す役目を果たす。そして、外ドラム43の上端開口部43c外周面と格納容器41の内周面との間に円環状のスペーサ43eが設けられている。また、氷排出羽根42f及びスペーサ43eと同じ高さに、氷を格納容器41外へ排出するための氷排出口41cが設けられている。従って、氷排出羽根42fによって外側に押出された氷は、氷排出口41cから格納容器41外へ排出されることになる。
かかる構成の固液分離装置40の場合、モータM1、M2を駆動させて内ドラム42と外ドラム43を前記したように、例えば1500〜1800rpmで同速回転させ、投入部37に固液混合体Iを投入すると、投入部47に投入された固液混合体Iは、内ドラム42によって、より好ましくは回転子42eによって粉砕される。粉砕された固液混合体Iは、内ドラム42の穴部42bを通過して外ドラム43の周壁43aに衝突し、遠心力によって当該周壁43aに押し付けられる。すると、固液混合体Iに含まれている濃縮液が氷から抜け出して固液分離される。つまり、格納容器41内で遠心分離の脱水作用を利用して、固体と液体に固液分離される。
固液分離装置40の外ドラム43の外周面と格納容器41の内周面との間には、前記したように、スペーサ43eが設けられている。このスペーサ43eは、螺旋コンベア42cによって上方向に運ばれてきた氷が格納容器41内に侵入するのを防止する。そして、固液分離装置40の外ドラム43の穴部43dは、前記したように固液分離装置30の外ドラム33の穴部33bよりも小さく、かつ周壁43a全体に無数に設けられている。そのため、固液分離装置40では、遠心力によって濃縮液が外ドラム43の周壁43a全体に設けられた穴部43dを通過し、格納容器41の内周面に向けて排出される。このとき、外ドラム43の内周面に粉砕された氷の壁ができるので、この壁がフィルター作用(いわゆる「ケーキ濾過」)をすると考えられる。
格納容器41の内周面に向けて排出された濃縮液は、重力により下方へ流下し、配管41aを通って回収容器48に回収される。
一方、内ドラム42と外ドラム43の間に残った氷は、前記したように、例えば290rpmで内ドラム42を回転させ、例えば300rpmで外ドラム43を回転させることによって、螺旋コンベア42cにより格納容器41内上部に運ばれる。格納容器41内上部に運ばれた氷は、氷排出口41cから格納容器41外へ排出される。このようにして排出された氷も回収容器48に回収される。
なお、図4に示す符号44b、45b、44、45、46、P1〜4、V1、V2、M1、M2で示される構成要素(部材)は、それぞれ図3に示す回転伝達軸34b、回転伝達軸35b、回転伝達機構34、回転伝達機構35、基台36、プーリP1〜4、ベルトV1、ベルトV2、モータM1、モータM2と同様のものであり、同様に作動する。
回収容器48には約4℃に調整されたヒータHが設けられているので、これにより氷が融解されるとともに、品質低下を防止している(本発明者らの実験によれば、このような態様で処理した日本酒の日本酒度は3.6程度となった。)。
なお、固液分離装置40に関する具体的な説明が特許第4326526号公報に記載されている。
なお、氷は融解できればよく、氷の融解にあたって、回収容器48にヒータHを設けてこれを融解する態様に限定されるものではない。回収容器48にヒータHを設けず、代わりに格納容器41の外周面にヒータ(図4において図示せず)を設けて氷を融解するようにしてもよい。つまり、図3に示すように、格納容器31の外周面にヒータHを設けるようにしてもよい。この場合、図4に示す固液分離装置40からスペーサ43eを取り外し、氷排出口41cを塞ぐようにするとよい。このように装置を変更すると、螺旋コンベア42cにより格納容器41内上部に運ばれ、外ドラム43の上端の開口部から排出された氷は全て格納容器41内に留まることになる。つまり、外ドラム43の上端の開口部から排出された氷は、外ドラム43の外周面と格納容器41の内周面との間を落下して格納容器41の下部に貯まる。この状態でかかる氷はヒータによって加熱され、融解される。この態様の場合、濃縮液(濃縮酒)のみを取り出すことができる固液分離装置40への変更や、必要に応じて固液分離装置30への変更が容易であるという利点がある。また、この態様の場合、前記したように、図4に示す固液分離装置40では、濃縮酒を製造する装置をそのままの仕様および設定で使用するため、−28℃で固液分離するのが好ましい旨説明した(本発明者らの実験によれば、このような態様で処理した日本酒の日本酒度は3.8程度となった。)が、−4℃で固液分離することもできる(本発明者らの実験によれば、このような態様で処理した日本酒の日本酒度は4.1程度となった。)。このようにすると、省エネルギー化を図ることができるという利点がある。ここに記載した各態様で日本酒度が高くなったのは、ヒータを用いて加熱したり、固液分離時の温度が高くなったためであると考えられる。
(固液分離装置50)
次に、図5を参照して固液分離装置50について説明する。なお、固液分離装置30、40と同様の構成は同一の名称とし、詳細な説明を省略する。
図5に示す固液分離装置50は、同一の軸心Xに沿った回転伝達軸54b及び回転伝達軸55bを有している。回転伝達軸54bは固液分離装置50の上方に配置され、回転伝達軸55bは固液分離装置50の下方に配置されている。回転伝達軸54bの一端にはモータM1が接続されており、回転伝達機構54を構成している。この回転伝達軸54bの他端には内ドラム52が固定されている。また、回転伝達軸55bの一端にはモータM2が接続されており、回転伝達機構55を構成している。この回転伝達軸55bの他端には、内ドラム52を内包する外ドラム53が固定されている。この固液分離装置50においては、内ドラム52の外周面と外ドラム53の内周面との隙間Cが例えば約8mmとなるように内ドラム52と外ドラム53が設けられている。なお、内ドラム52には穴部は形成されていない。
外ドラム53は、その内周面から約1mm程度離間させて(隙間C1)、スクリーン筒56が固定されている。このスクリーン筒56は、外ドラム53と同様に筒状をなし、外ドラム53と一体に回転する。このスクリーン筒56にはその内周面から外周面にかけて貫通する貫通孔56aが無数に設けられている。貫通孔56aは、例えば直径φ0.4〜1mm程度とし、開口率を20%程度とすることができる。なお、貫通孔56aの直径や開口率が前記したものに限定されないことは言うまでもない。
また、外ドラム53の上部には遠心力によって固液分離された濃縮液を外ドラム53内から格納容器51内に排出させる濃縮液排出孔53aを1つ以上設けている。かかる濃縮液排出孔53aは濃縮液を外ドラム53内から格納容器51内に排出できればよく、大きさ等は特に限定されないが、例えば、直径φ10mm程度あればよい。濃縮液排出孔53aの上部にはフランジ部53bが設けられている。フランジ部53bは、氷排出孔51cに氷を導く役割を担う。従って、外ドラム53の上端開口部53cまで運ばれてきた氷は、フランジ部53b上を通って氷排出孔51cから格納容器51外へ排出される。
なお、この固液分離装置50では、内ドラム52と外ドラム53の隙間Cに飲料等を注入する注入口57が設けられている。つまり、この固液分離装置50では、内ドラム52内に固液混合体Iが投入されるのではなく、飲料等が液体の状態で注入される点で前記した固液分離装置30、40と異なる。
固液分離装置50では、液体状態の飲料等を隙間Cに注入した後、冷却手段58を用いて固液分離装置50全体を含む冷却可能範囲58aを冷却し、飲料等を凍結させて固液混合体Iを生成する(固液混合体生成工程S11)。
冷却手段58は、例えば蒸気圧縮冷凍機などを用いた冷凍機であり、冷却可能範囲58aは、例えば断熱構造を有する冷凍庫内である。冷却手段58は冷却可能範囲58a内を、例えば−32℃などとすればよい。
固液混合体Iを生成した後、内ドラム52と外ドラム53を例えば1500rpmで同速回転させると、固液混合体I中の濃縮液が氷から抜き出すようにして分離され、スクリーン筒56の貫通孔56aを通り、外ドラム53の内周面に向かって移動する。このとき、外ドラム53は、下方から回転伝達軸55bのみによって接続されているので、片持ち構造となっている。そのため、前記したように高速で回転させると微小角度をもって若干の首振り運動をしており、外ドラム53の内周面に集まった濃縮液は外ドラム53の上方へ移動し、濃縮液排出孔53aから格納容器51内に排出される(固液分離工程S12)。外ドラム53から格納容器51内に排出された濃縮液は、重力によって格納容器51の下方へ流下し、配管51aを通って格納容器51外に排出され、図5において図示しない回収容器(図3、4の回収容器38参照)に回収される(回収工程S13)。
そして、固液分離が終了した後、前記と同様、内ドラム52と外ドラム53を差速回転させ、内ドラム52の螺旋コンベア52cによって外ドラム53の内周面に付着している氷を剥離させる。このようにして剥離させた氷は、螺旋コンベア52cによって外ドラム53の上端開口部53c及びフランジ部53bを経由し、氷排出羽根52fによって押出されて氷排出口51cから格納容器51外に排出される。格納容器51外に排出された氷は、濃縮液と同様、図5において図示しない回収容器(図3、4の回収容器38参照)に回収される(回収工程S13)。回収容器にはヒータH(図5において図示せず)が設けられ、約4℃に保たれており、これにより氷が融解されるとともに、品質低下を防止している。
固液分離装置50は、以上に説明した構成を有するので、固液混合体生成工程S11から回収工程S13までをバッチ処理することになる。従って、固液分離装置50を用いて固液混合体生成工程S11と固液分離工程S12を行う場合、これらの温度条件をあまり変更しないようにすると温度調整の時間を省くことができ、生産効率が向上するので好ましい。また、回収工程S13において格納容器51内の温度が低く、内ドラム52と外ドラム53の間に氷が残存してしまうような場合は、図5において図示しないヒータ(図示せず)を格納容器51に取り付け、回収工程S13を行うときに格納容器51の温度を高くすることによって、比較的迅速に氷を融解し、回収することができる。この場合のヒータの温度は、例えば4〜10℃などとすることができる。
なお、固液分離装置50に関する具体的な説明が特許第4764127号公報に記載されている。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本発明の第2実施形態に係る飲料又は調味料の処理方法は、図6のフローチャートに示すように、固液混合体生成工程S21と、粉砕工程S22と、回収工程S23とを含み、これらの工程をこの手順で行うものである。以下、各工程について順に説明する。
第2実施形態の説明においては、固液混合体生成工程S21及び回収工程S23は第1実施形態で説明した固液混合体生成工程S11及び回収工程S13と全く同じである。従って、ここではこれらの説明については省略し、粉砕工程S22について説明する。
(粉砕工程)
粉砕工程S22は、スパイラル状に羽根を設けた羽根付き回転軸を筒状体内で回転させ、当該筒状体内に前記固液混合体を供給してこれを粉砕するか、又は、チョッパー式粉砕装置を用いてこれを粉砕する工程である。
このような処理を行うことにより、固液分離工程S12で説明したのと同様に安定化効果を得ることができたり、後記する粉砕装置の筒状体から押出される際に、当該筒状体の内壁を擦りながら液体が外側に飛び出していく過程で表面融解と類似の現象が発生し、水分子、エタノール分子、有機酸分子などのネットワークが水素結合の強い形に変化したりすることが推測される。
安定化効果や表面融解と類似した現象が得られた飲料等は、強い刺激が軽減されるため、舌触りがまろやかになり、味が改善される。また、当該飲料等は、安定な状態が形成されるため、アルコールを含む場合はアルコールの吸収が抑制されるとともに、吸収されたアルコールの代謝が促進され、酔い方が穏やかになると考えられる。なお、固液分離した氷と濃縮液を同じ容器に回収して製品とするので、収率が落ちることもない。
〔粉砕工程で使用される装置〕
粉砕工程S22で使用される装置について説明する。
粉砕工程S22における前者の態様で使用される粉砕装置としては、例えば、図7に示す粉砕装置70を挙げることができる。
(粉砕装置70)
図7に示す粉砕装置70は、容器71の上に筒状体72が設けられ、当該筒状体72内にスパイラル状に羽根を設けた羽根付き回転軸73が軸回りに回転できるように設けられている。なお、筒状体72の上端部は端部に向かって拡径したテーパ部72aとなっている。そのため、固液混合体Iを供給し易くなっている。また、筒状体72の下端部は端部に向かって縮径したテーパ部72bとなっている。このようにすると、テーパ部72bで固液混合体Iが滞留するので、羽根付き回転軸73による粉砕がより多く確実に実施される。
かかる装置70では、図示しないモータなどの駆動手段によって羽根付き回転軸73が1000〜2500回転/分程度で回転する。そのため、当該筒状体72内に供給された固液混合体Iは、筒状体72内での動きが抑制されつつ下方に移動し、テーパ部72bから排出される間に細かく粉砕される。そして、粉砕時および/または粉砕後の固液混合体Iが筒状体72の内壁を擦りながら移動するときに表面融解と類似の現象が発生し、水分子、エタノール分子、有機酸分子などのネットワークが水素結合の強い形に変化すると考えられる。その結果、強い刺激が軽減されるため、舌触りがまろやかになり、味が改善される。また、当該飲料等は、安定な状態が形成されるため、アルコールを含む場合はアルコールの吸収が抑制されるとともに、吸収されたアルコールの代謝が促進され、酔い方が穏やかになると考えられる。なお、固液分離した氷と濃縮液を同じ容器に回収して製品とするので、収率が落ちることもない。
粉砕された固液混合体Iは容器71内に回収される。この容器71には約4℃に調温されたヒータHが設けられているので、これにより氷が融解されるとともに、品質低下を防止している。ここまでの全ての処理が施され、氷が融解された飲料等は配管74を通過して図示しない更に別の容器に収容され、保存される。
(粉砕装置80)
粉砕工程S22における後者の態様で使用される粉砕装置としては、例えば、図8に示すチョッパー式粉砕装置80を挙げることができる。
図8に示すチョッパー式粉砕装置80は、当該装置80の上部に設けられた投入ホッパー81から投入された固液混合体Iを、モータなどの駆動手段82によってスクリュー型のシャフト83で前面に押し出し、出口84とその手前にあるカッター85によって細かく粉砕する。細かく粉砕された固液混合体Iは、出口84に設けられた小さい穴の開いたプレート86から押し出され、容器87内に納められる。
なお、図8に示すチョッパー式粉砕装置80では、出口84に向かうほどスクリューの形成ピッチが狭く形成されている。これにより、粉砕に加えてシャフト83による押し出し圧力を高めることができ、筒状体89の内壁への圧力も高まる。その結果、固液混合体Iが筒状体89の内壁を擦りながら移動するときに表面融解と類似の現象が発生し、水分子、エタノール分子、有機酸分子などのネットワークが水素結合の強い形に変化すると考えられる。その結果、強い刺激が軽減されるため、舌触りがまろやかになり、味が改善される。また、当該飲料等は、安定な状態が形成されるため、アルコールを含む場合はアルコールの吸収が抑制されるとともに、吸収されたアルコールの代謝が促進され、酔い方が穏やかになると考えられる。なお、固液分離した氷と濃縮液を同じ容器に回収して製品とするので、収率が落ちることもない。なお、スクリューの形成ピッチを等間隔としてもよいことはいうまでもない。
粉砕された固液混合体Iは容器87内に回収される。この容器87には約4℃に調温されたヒータHが設けられているので、これにより氷が融解されるとともに、品質低下を防止している。ここまでの全ての処理が施され、氷が融解された飲料等は配管88を通過して図示しない更に別の容器に収容され、保存される。
次に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。
〔A〕日本酒に対する処理
〔A〕では、飲料又は調味料の一例として日本酒を用いた場合について説明する。
原料となる日本酒は、無濾過で火入れをしていない日本酒である醇(信州銘醸社製)を用いた。
まず、用意した日本酒を金属製のトレイ内に厚さ6mmとなるように注ぎ入れた後、表1のNo.2〜6に示すように約−20.0〜−32.0℃に調整された冷凍庫内に90分間入れ、シャーベット状に凍結させた。シャーベット状に凍結させた日本酒の氷(固液混合体I)のサイズは横400mm、縦250mm、厚さ6mmであった。なお、No.1はコントロールであり、凍結も処理も行わなかった。
次いで、No.2〜6については、表1に示すように、図2に示す砕氷装置20、図3に示す固液分離装置30、及び図7に示す粉砕装置70、図8に示す粉砕装置80のうちの少なくとも1つの装置を用いて処理を行った。
前記したように、凍結した固液混合体のサイズが大きいので、No.2〜4では、固液分離装置30で固液分離を行うのに先立ち、図2に示す砕氷装置20で日本酒の氷を5mm角程度の大きさに砕氷した(なお、複数の区画を有するトレイを用いて固液混合体Iを凍結し、凍結させた固液混合体が固液分離を行うのに差し支えのない大きさである場合は、砕氷することは必ずしも必要ではない。)。砕氷装置20は、約10回転/分の回転速度で回転軸棒21を回転させた。砕氷装置20で砕氷した固液混合体Iを固液分離装置30の内ドラム32内に供給し、約−4℃の温度条件下、当該内ドラム32及び外ドラム33をともに1800回転/分の回転速度で自転させ固液分離を行った。
図7に示す粉砕装置70による処理と図8に示すチョッパー式粉砕装置80による処理も同様に約−4℃にて行った。
No.1〜6に係る日本酒について、官能評価と密度の測定を行った。なお、No.2〜6を行った日本酒の収率はどれも96%前後であった。
官能評価は、10名のパネラーにより、下記基準に則って1〜5点で採点した。
1点:味が非常にまろやかで刺激が全く無い。
2点:味がややまろやかで刺激は殆ど無い。
3点:味は穏やかだが刺激が少しある。
4点:味がやや強く刺激も少しある。
5点:味が強く刺激がある。
密度は、振動式密度計DA−155(京都電子工業株式会社製)を用いて測定した。なお、当該密度計の密度精度は0.0001である。
表1に、凍結温度(℃)、使用した装置、密度とともに各パネラーの官能評価とその平均値を示す。また、表1には、測定した密度から下記式に基づいて算出される日本酒度(SM)も併せて示す。
SM=1443/S−1443
(ただし、前記式においてSは密度(g/cm3)を示す。)
表1に示すように、官能評価では、何も処理していないNo.1と比較して、No.2〜6では官能評価の平均点(表1において「平均」と表示)が低くなった。つまり、味がまろやかになり、刺激も少なくなった。また、これと呼応するように密度が高くなり、これから算出される日本酒度は低くなった。
なお、凍結温度が最も低く、図2の砕氷装置20と図3の固液分離装置30により処理したNo.2は特に好ましい評価となった。
さらに、表1に示す密度の測定値は、固液分離装置で処理した直後のものであるが、6ヶ月経過後も変化はみられなかった。
〔A−1〕日本酒の性質と内容成分について
No.1、2に係る日本酒の性質として、アルコール度、酸度、及びアミノ酸度を測定した。なお、アルコール度、酸度、及びアミノ酸度は、国税庁所定分析法に規定された方法に準拠して測定した。No.1、2に係る日本酒の性質を下記表2に示す。なお、前記した信州銘醸社製の醇を中国甕に入れて3ヶ月間熟成させたものを参考例とし、その測定値も表2に併せて示した。
また、No.1、2に係る日本酒と、参考例に係る日本酒中の遊離アミノ酸の含有量を、長野県工業技術総合センター食品技術部門加工食品部に依頼して測定して頂いた。遊離アミノ酸の測定は、日立ハイテクノロジーズ製アミノ酸分析装置L−8800を用い、ニンヒドリン発色法により行った。
No.1、2に係る日本酒と、参考例に係る日本酒中の遊離アミノ酸の含有量を下記表3に示す。表3中の遊離アミノ酸の含有量は、日本酒100mL中における量(mg/100mL)である。
ここで、表3中のAspはアスパラギン、Thrはスレオニン、Serはセリン、Gluはグルタミン酸、Glyはグリシン、Alaはアラニン、Cysはシステイン、Valはバリン、Metはメチオニン、Ileはイソロイシン、Leuはロイシン、Tyrはチロシン、Pheはフェニルアラニン、GABAはγ−アミノ酪酸、Ornはオルニチン、Lysはリシン、Hisはヒスチジン、Argはアルギニン、Proはプロリンをそれぞれ表す。
さらに、No.1、2に係る日本酒と、参考例に係る日本酒中の有機酸の含有量を、長野県工業技術総合センター食品技術部門加工食品部に依頼して測定して頂いた。有機酸の測定は、島津製作所製有機酸分析装置(高速液体クロマトグラフ)LC−10ADを用いて、イオン排除クロマトグラフィーにて分離後、ポストカラムpH緩衝液−電気伝導度検出法により測定した。
No.1、2に係る日本酒と、参考例に係る日本酒中の有機酸の含有量を下記表4に示す。表4中の有機酸の含有量は、日本酒1L中における量(mg/L)である。
表1に示したように、No.1に係る日本酒とNo.2に係る日本酒とは、官能試験において大きく評価が分かれているが、表2〜4に示すように、No.1、2に係る日本酒と、参考例に係る日本酒は、日本酒の性質(アルコール度、酸度、及びアミノ酸度)、遊離アミノ酸の含有量、及び有機酸の含有量はあまり変化していない。これは、No.2に係る日本酒が薄められたりして味が改善された(味がまろやかになり、刺激も少なくなった)ものではないことを示している。
〔A−2〕示唆走査熱量(DSC)の測定
No.1、2に係る日本酒のDSCを、株式会社アグネ技術センターに依頼して測定して頂いた。DSCの測定は、パーキン・エルマー社製DSC−7型を用いて、20℃→−50℃→20℃の熱履歴で、降温速度を1℃/min、昇温速度を2℃/minで行った。DSCの測定結果を図9、図10及び下記表5に示す。図9は、20℃から−50℃に降温した際のDSCの測定結果を示すグラフであり、図10は、−50℃から20℃に昇温した際のDSCの測定結果を示すグラフである。図9、図10中の横軸はTemperature[℃](温度[℃])を表し、縦軸はHeat Flow Endo Up[mW](熱流[mW])を表している。なお、図9、図10のDSC測定は、空容器の材質、すなわち、アロジン処理したアルミニウム製パンをリファレンスとして測定したものである。また、図9、図10中、No.2に係る日本酒を「熟成酒」と表示し、No.1に係る日本酒を「原酒」と表示している。
図9、図10、表5に示すように、DSCの測定値は、No.2に係る日本酒の融解熱及び凝固熱が、No.1に係る日本酒の融解熱及び凝固熱よりも低くなっていた。これは、赤星亮一らの論文(Nippon Nougeikagaku Kaishi Vol.59, No.1, pp.1-9, 1985「熟成蒸留酒の融解潜熱について」)に記載された実験結果とよく合致することから、当該論文に記載されている蒸留酒と同じように、No.2に係る日本酒のエタノール分子が水分子に強く束縛され、安定な状態になっていると考えられる。そして、そのためにエタノール特有の刺激が減少し、舌触りがまろやかになるとともに、アルコールの吸収が抑制されるものと考えられる。また、安定な状態となることによって、吸収されたアルコールの代謝が促進され、後記するように酔い方が穏やかになると考えられる。
〔A−3〕血中アルコール濃度の経時変化
血中アルコール濃度の経時変化は、被験者1名について体重1kgあたり純アルコール0.5g相当量を飲用して30分又は1時間ごとに血中アルコールを測定することにより行った。
血中アルコール濃度の測定は、Drugtec Systems,Inc.製(カナダ)Q.E.DA150を用いて測定した。この測定キットは、唾液中のアルコール濃度を測定するものである。唾液中のアルコール濃度は血中アルコール濃度の1.07倍であり、これらの相関係数は0.98である。
血中アルコール濃度の測定は、前記No.2に係る日本酒(アルコール度18%)と、比較対象として、前記した醇(つまり、No.1に係る日本酒)をアルコール度18%に調整したものを用い、食事時間、食事内容などを同一にして同一時間経過後に測定することにより行った。血中アルコール濃度の測定は、No.2に係る日本酒とNo.1に係る日本酒とについてそれぞれ2回行った。測定結果を、2回測定した平均値とともに表6に示す。また、図11に、表6に記載したNo.2の平均値とNo.1の平均値とをグラフ化して、血中アルコール濃度の経時変化を示した図を示す。なお、同図中、横軸は時間(分)を表し、縦軸は血中アルコール濃度(mg/dL)を表す。
表6及び図11に示すように、No.1に係る日本酒は、摂取後直ぐに血中アルコール濃度が急上昇し、摂取後30分の段階で70mg/dLに達した。これに対し、No.2に係る日本酒は摂取後30分の段階ではわずか53.5mg/dL程度であった。
No.1に係る日本酒及びNo.2に係る日本酒ともに摂取後60分で血中アルコール濃度の最大値を示した。No.1に係る日本酒を摂取した場合における血中アルコール濃度の最大値は71.5mg/dL程度となり、No.2に係る日本酒を摂取した場合における血中アルコール濃度の最大値は59mg/dL程度となった。
その後も、No.1に係る日本酒は、摂取後150分までNo.2に係る日本酒よりも高い血中アルコール濃度を示した。
かかる結果から、本発明の処理方法で処理したNo.2に係る日本酒は、本発明の処理方法で処理していないNo.1に係る日本酒よりも酔い方が穏やかであることが確認された。
〔A−4〕その他に確認された効果
また、No.2に係る日本酒をアイスクリームにかけて食したところ、アイスクリームの味が上品になったのに対し、No.1に係る日本酒をアイスクリームにかけて食したところ、苦味が感じられた。
No.2に係る日本酒を飲みつつブルーチーズを食したところ、ブルーチーズの臭みが薄くなって旨みが口中に広がったが、No.1に係る日本酒では、No.2に係る日本酒ほどブルーチーズの臭みが薄くならず、旨みも広がらなかった。
生魚を扱った手にNo.2に係る日本酒を少量かけてこすり合わせて水で流すと臭みが消えた。
〔A−5〕固液分離装置30と固液分離装置50で処理した日本酒の性質
下記表7に示す温度で前記した醇を凍結し、図3に示した固液分離装置30のみ又は図5に示した固液分離装置50のみを用いて固液分離し、回収し、混合したNo.7〜12に係る日本酒の日本酒度及び密度(g/cm3)を測定した。その結果を表7に示す。なお、何も処理をしていない醇の日本酒度は6.2であり、密度は0.9957g/cm3であった。
表7に示すとおり、No.7〜12は何れも、何も処理をしていない醇と比較して日本酒度は低くなり、密度は高くなった。凍結温度が低いほど、その傾向は強いことが確認された。また、表7には示していないが、これらの官能評価はいずれも、何も処理をしていない醇と比較して味がまろやかになり、刺激も少なくなった。
〔B〕日本酒以外の飲料又は調味料
日本酒以外の飲料又は調味料として、ワイン、麦焼酎(アルコール度数25度)、玄米黒酢、濃い口醤油、みりんについて、No.2の条件で処理してパネラーによる官能評価を行ったところ、次のような評価が得られた。
ワインについては、刺激が少なくまろやかになる、フルボディがハーフボディのようになる、といった評価が得られた。また、前記したパネラーではないが、ソムリエの有資格者に試飲して頂いたところ、カベルネ・ソーヴィニヨンを原料とするワインがメルローを原料とするワインに変化したという印象を受けたとのことであった。
麦焼酎もアルコールの刺激が少なくなり、舌触りがまろやかになったという評価が得られた。
玄米黒酢については、酸味が弱く感じられ、全体的に丸味を帯びた味になったという評価が得られた。
濃い口醤油については、甘く感じられたという評価が得られた。
みりんについては、味がまろやかになったという評価が得られた。また、本発明の処理方法で処理したみりんを使用して料理をしたところ、料理がよりおいしくなったというコメントがあった。これは、本発明の処理方法で処理したみりんが料理に吸収され易くなったためと考えられる。
〔B−1〕日本酒以外の飲料又は調味料の密度について
下記表8に示す温度でワイン、芋焼酎、玄米黒酢、濃い口醤油を凍結し、図3に示した固液分離装置30のみを用いて固液分離し、回収し、混合して、その密度(g/cm3)を測定した。その結果を処理前の密度とともに表8に示す。
表8に示すように、ワイン、芋焼酎、玄米黒酢、濃い口醤油のいずれにおいても、処理前と比較して処理後の密度が高くなっていた。また、表8には示していないが、処理後の官能評価はいずれも、処理前のものと比較して味がまろやかになり、刺激も少なくなった。
S11 固液混合体生成工程
S12 固液分離工程
S13 回収工程
S21 固液混合体生成工程
S22 粉砕工程
S23 回収工程

Claims (2)

  1. 日本酒、ワイン、焼酎、みりん、ジュース、食酢及び醤油のうちのいずれか一つ、若しくはこれらの混合物、希釈物又は濃縮物から選択される飲料又は調味料を処理する飲料又は調味料の処理方法であって、
    前記飲料又は調味料を冷却して、水分を主体とした氷と、前記水分が除かれて水分以外の成分が濃縮された濃縮液と、を含んでなる固液混合体を生成する固液混合体生成工程と、
    前記固液混合体を前記氷と前記濃縮液とに固液分離する固液分離工程と、
    前記固液分離した氷と前記固液分離した濃縮液を同じ容器に回収する回収工程と、を含む
    ことを特徴とする飲料又は調味料の処理方法。
  2. 前記固液分離工程における雰囲気温度を前記飲料又は調味料の凍結温度以上0℃以下とすることを特徴とする請求項1に記載の飲料又は調味料の処理方法。
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