JP2005296006A - 多種濃度アルコール飲料の製造方法及び装置 - Google Patents

多種濃度アルコール飲料の製造方法及び装置 Download PDF

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Kazunori Yoshida
和則 吉田
Satoshi Tsuji
聡 辻
Hiroyasu Ohira
浩康 大平
Takanori Yoshiura
貴紀 吉浦
Shunichi Matsumoto
俊一 松本
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  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Abstract

【課題】 簡単でかつ低コストで以って、複数種類の濃度のアルコール飲料を同時に製造することができ、また香味成分のバランスがとれた高品質のアルコール飲料を製造することが可能な多種濃度アルコール飲料の製造方法及び該装置を提供する。
【解決手段】 ブライン35からの冷熱を受ける伝熱面12aを有し該伝熱面に沿って循環流動する原酒を収容する内管12と、該内管と同心状に設けられブライン35を循環させる外管1A3とを有する2重管式凍結装置11と、前記伝熱面12aに形成される濃度勾配を有する氷層31、32の成長に伴い濃縮された循環溶液30が所望の濃度に達したら該循環溶液を引き抜く濃縮酒回収手段と、前記氷層31、32の少なくとも一部を融解して希薄酒を得る希薄酒回収手段と、を備え、濃度の異なるアルコール溶液を製造する構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、清酒、果実酒、ビール等のアルコール飲料を凍結濃縮させて製造する方法及び装置に関し、特に複数種類の濃度のアルコール飲料を同時に製造し、さらには所望のアルコール濃度のアルコール飲料を製造することを可能とした多種濃度アルコール飲料の製造方法及び装置に関する。
近年、味、香り、アルコール濃度等の嗜好の幅が広がり、多様な種類のアルコール飲料が流通している。特に、従来より需要の高い高アルコール飲料から健康を考慮した低アルコール飲料まで、様々な濃度のアルコール飲料のニーズが増してきた。
従来よりアルコール濃度を調整する方法の一つとして、アルコール飲料中の水分を凍らせて除去することにより濃縮する方法がある。
例えば、特許文献1(特開平10−248550号公報)では、ワインを冷凍氷結してシャーベット状となし、遠心分離して氷を分離し、アルコール濃度の高いワインを製造する方法を提案している。また、特許文献2(特開平9−275968号公報)又は特許文献3(特開平5−84049号公報)では、氷核活性細菌を含有したアルコール飲料を凍結させ、生成した氷を除去することにより濃縮酒を得る製造方法を開示している。これらの方法では、生成した氷を遠心分離又はフィルタリングにより分離除去している。
このように、水溶液中の水分を凍結させ、生成した氷を取り除くことによって溶質の濃度を高める凍結濃縮法がアルコール飲料の濃縮にも採用されている。凍結濃縮法は、従来より用いられている蒸留法のように加熱や減圧等の処理を行わないため、熱に不安定な成分を失活させることなく温存することができ、濃縮過程での化学反応を抑制し、香味成分の揮発による損失が生じない等の利点を有している。
凍結濃縮法では、原酒をその含有水の融点より低い氷点下温度まで冷却した後、撹拌しながら植氷し、生成した氷を遠心分離やフィルタリングにより分離除去する方法が主に用いられてきた。
また、凍結濃縮法を利用した清酒の濃縮法として、特許文献4(特開昭55−40038号公報)には、多数の子孔を有する筒状体を熱伝導性容器内に立設し、該容器内に清酒をいれて該容器毎冷凍し、該筒状体内部の液体が凍結した後に筒状体内部に残留する濃縮した清酒を回収する方法が開示されている。これにより、極めて簡単に濃縮度の高い清酒を得ることを可能としている。
一方、低濃度のアルコール飲料を製造する方法も特許文献5(特開平5−153953号公報)等にて提案されている。これは、特許文献1乃至3に記載されるごとくアルコール飲料を凍結させて氷結晶を析出させ、これを分離除去して濃縮アルコールを得るとともに、前記氷結晶を融解することにより同時に希薄アルコール飲料を回収することを可能としている。
特開平10−248550号公報 特開平9−275968号公報 特開平5−84049号公報 特開昭55−40038号公報 特開平5−153953号公報
上記したように、凍結濃縮法を利用したアルコール飲料の濃度調整においては、特許文献1乃至3及び5に記載されるように氷結晶を多数生成する懸濁結晶法を利用し、氷結晶を除去することにより濃縮アルコール飲料を回収し、一方前記氷結晶を融解することにより希薄アルコール飲料を回収していた。しかし、かかる方法では濃縮アルコール飲料のみ、若しくは濃縮アルコール飲料と希薄アルコール飲料の2種類しか製造することができなかった。また、このような方法ではアルコール飲料を所望の濃度に調整することは困難であった。
さらに、懸濁結晶法を利用する方法はコストが高く、また生成した懸濁結晶を分離するための膜分離、遠心分離等の装置が必要となり設備が大型化するとともに作業の煩雑化が避けられなかった。
特許文献4の方法では、比較的簡単に濃縮アルコール飲料を製造することができるが、やはり濃度調整が困難であり、また複数種類の濃度のアルコール飲料を同時に回収することはできない。また、かかる方法ではアルコール飲料を滞留させて静止凍結しているため、凍結の際にアルコール飲料中の成分が偏って分離され、味や香りの質が落ちてしまう。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、簡単でかつ低コストで以って、複数種類の濃度のアルコール飲料を同時に製造することができ、また香味成分のバランスがとれた高品質のアルコール飲料を製造することが可能な多種濃度アルコール飲料の製造方法及び該装置を提供することを目的とする。
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、
凍結容器の外部から冷熱を供給し、該容器内面の伝熱面に沿って原酒を循環流動させ、該伝熱面に濃度勾配を有する氷層を形成させるとともに、循環溶液が濃縮されて所望の濃度に達したら該循環溶液を引き抜き濃縮酒を得る工程と、前記氷層の少なくとも一部を融解して希薄酒を得る工程と、を有し、濃度の異なるアルコール溶液を製造することを特徴とする。
本発明は、冷熱伝熱面より氷結晶を成長させて液相の濃縮を行う界面前進凍結濃縮法を利用している。この方法を利用し、本発明では前記凍結容器内に一個の氷結晶しか生成しないため、固液分離が極めて容易となり、かつ装置を単純化できコストを大幅に低減することができる。
また、本発明では原酒を循環流動させながら氷層を形成して分離しているため、濃縮酒、希薄酒中には酸、アミノ酸、グルコース等の旨み成分、酢酸イソアミル、イソアミルアルコール、カプロン酸エチル等の香成分がアルコール濃度に比例して含まれ、濃縮酒、希薄酒の何れにおいても成分バランスが良好となり、高品質のアルコール飲料を製造することができる。
このとき、前記循環溶液の循環速度、循環時間、及び前記凍結容器に供給する冷熱温度からなる制御因子のうち少なくとも何れか一を制御することにより前記アルコール溶液の濃度を調整することが好適であり、これにより、簡単にかつ高精度でアルコール飲料を所望の濃度に調整することができる。
また、前記希薄酒を得る工程が複数段に分割されており、氷層の厚み方向に融解して高濃度から低濃度に移行する融解溶液を多段分離し、濃度の異なる希薄酒を製造するようにしたことを特徴とする。これにより、所望の濃度の希薄酒を複数製造することができ、社会的ニーズに応じたアルコール飲料の製造が可能となる。
さらに、前記凍結容器内に原酒を導入する前に、該凍結容器内に水を導入して緩慢凍結させ、該容器内壁に種氷層を生成させることを特徴とする。
また、種氷層を生成する別の方法として、前記原酒を循環流動させる前に、前記凍結容器内に原酒を滞留させた状態で緩慢凍結せさ、該容器内壁に種氷層を生成させることを特徴とする。
このように、予め前記伝熱面に氷晶核の役割を担う種氷層を生成させておくことにより、原酒を循環流動させた時に氷層の形成が促進され、処理時間を短縮化することができる。
さらに、前記原酒のアルコール濃度と凝固点降下の関係に基づき、所望のアルコール濃度に対応する凝固点降下を求め、該凝固点降下に対応する凍結温度となるように前記循環溶液の温度を設定することを特徴とする。
本発明によれば、前記原酒のアルコール濃度、即ちエタノール水溶液のアルコール濃度と凝固点降下の関係を利用し、これに基づき所望のアルコール濃度に相当する凝固点降下を求め、該凝固点降下に対応する凍結温度となるまで、前記循環溶液を冷却する。これにより、所望のアルコール濃度まで循環溶液が濃縮されるため、簡単に所望のアルコール濃度のアルコール飲料を製造することが可能となる。このとき、前記循環溶液の温度は、前記制御因子により制御されることが好ましい。
また、上記した発明を好適に実施する装置の発明として、ブラインからの冷熱を受ける伝熱面を有し該伝熱面に沿って循環流動する原酒を収容する内管と、該内管と同心状に設けられブラインを循環させる外管とを有する2重管式凍結手段と、
前記伝熱面に形成される濃度勾配を有する氷層の成長に伴い濃縮された循環溶液が所望の濃度に達したら該循環溶液を引き抜く濃縮酒回収手段と、
前記氷層の少なくとも一部を融解して希薄酒を得る希薄酒回収手段と、を備え、
濃度の異なるアルコール溶液を製造することを特徴とする。
このとき、前記循環溶液の循環速度、循環時間、及び前記凍結容器に供給する冷熱温度からなる制御因子のうち少なくとも何れか一を制御する制御手段を設け、該制御手段によりアルコール溶液の濃度を調整することが好適である。
さらに、前記氷層形成前に前記伝熱面に種氷層を生成する手段を設け、該種氷層が水若しくは前記原酒の静止凍結により生成されるようにしたことを特徴とする。
さらにまた、前記制御手段が、前記原酒のアルコール濃度と凝固点降下の関係に基づき、所望のアルコール濃度に対応する凝固点降下を求め、該凝固点降下に対応する凍結温度となるように前記制御因子を制御して前記循環溶液の温度を調整することを特徴とする。
以上のように本発明によれば、前記凍結容器内に一個の氷結晶しか生成しない界面前進凍結濃縮法を利用しているため、氷層と循環溶液との固液分離が極めて容易となり、かつ装置を単純化でき、コストを大幅に低減することができる。
また、本発明では原酒を循環流動させながら氷層を形成して分離しているため、酸、アミノ酸、グルコース等の旨み成分、酢酸イソアミル、イソアミルアルコール、カプロン酸エチル等の香成分がアルコール濃度に比例して含まれた濃縮酒、希薄酒を製造することができる。従って、濃縮酒、希薄酒の何れにおいても成分バランスが良好となり、高品質のアルコール飲料とすることが可能となる。
さらに、予め伝熱面に氷晶核の役割を担う種氷層を生成させておくことにより、原酒を循環流動させた時に氷層の形成が促進され、処理時間を短縮化することができる。
さらにまた、アルコール濃度と凝固点降下の関係に基づき、前記循環溶液の温度を調整することにより、所望のアルコール濃度のアルコール飲料を簡単に製造することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施例に係る多種濃度アルコール飲料製造装置の概略構成図、図2は本実施例1に係る装置にて製造された日本酒に含まれる各種成分比率を示す表、図3は本実施例1に係る装置の運転条件を示すグラフ、図4は図2とは酒類が異なる日本酒に含まれる各種成分比率を示す表、図5はエタノール濃度と凝固点降下の関係を示す表、図6は図5に示したエタノール濃度と凝固点降下の関係を示すグラフである。
本実施例が適用できるアルコール飲料には、清酒(日本酒)、果実酒、ビール等の醸造酒が挙げられる。本実施例は、界面前進凍結濃縮法を利用して、アルコール飲料の原酒を所望の濃度に分離して複数の異なる濃度のアルコール飲料を製造し、さらに所望のアルコール濃度のアルコール飲料を製造するものである。
図1に示すように、本実施例1に係る多種濃度アルコール飲料製造装置10は、原酒を循環流動させながら凍結し、アルコール飲料を濃度毎に分離する2重管式凍結装置11と、該凍結装置11に原酒を供給する原酒タンク14と、同様に前記凍結装置11にブライン35を供給するブラインタンク15と、該ブラインタンク15のブライン35の温度調整を行なうブラインクーラ16と、前記凍結装置11により製造した濃縮酒を回収する濃縮酒タンク17と、同様に高濃度希薄酒を回収する高濃度希薄酒タンク18、低濃度希薄酒を回収する低濃度希薄酒タンク19と、を備えている。
前記2重管式凍結装置11は縦型円筒形状を有し、上端部に液供給口11a、下端部に液排出口11bを備えるとともに、ブライン35からの冷熱供給を受ける伝熱面12aを有し、該伝熱面12aに沿って循環流動する原酒を収容する円筒形状の内管12と、ブライン35を循環させる円筒形状の外管13とを備えている。前記伝熱面12aは熱伝導性の高い材料で形成される。
また、前記液排出口11bから排出された循環溶液30を循環ポンプ21により前記液供給口11aに返送する循環ライン24が設けられている。該循環ライン24上には、三方バルブ23が配置され、循環溶液が所望濃度となった時に前記タンク17、18、19に夫々導かれるようになっている。
前記ブラインクーラ16は、例えば圧縮機、凝縮器等を含み、アンモニアガス等を作動媒体として作動する冷凍サイクル又はヒートポンプサイクルから構成され、氷層形成/濃縮酒製造時にはブラインを冷却して冷ブラインを前記ブラインタンク15に供給し、一方脱氷/希薄酒製造時にはブラインを加熱して温ブラインを前記ブラインタンク15に供給する。該ブラインクーラ16の制御はアルコール濃度に基づき行なわれ、所望のアルコール濃度が得られるブライン温度に調整する必要がある。前記ブラインタンク15に貯留されたブライン35は、ブラインポンプ22により所定速度で前記外管13内を循環される。
また、前記原酒タンク14に貯留された原酒は、原酒ポンプ20により所定量だけ前記液供給口11aに供給される。
前記多種濃度アルコール飲料製造装置10を利用した処理フローは、まず原酒タンク14に貯留した原酒を前記原酒ポンプ20により前記2重管式凍結装置11に導入し、内管12に充填する。
尚、好適には、前記内管12に原酒を充填した後に滞留状態で緩慢冷却し、前記伝熱面12aに氷晶核となる種氷層を生成すると良い。また別の方法として、前記原酒を充填する前に、前記内管12に水を導入して緩慢凍結させ、前記伝熱面12aに種氷層を生成しても良い。このように、予め種氷層を生成することにより、氷層の形成が促進され、処理時間の短縮化が図れる。
前記充填された原酒は、前記循環ポンプ21により前記循環ライン24を介して内管12内に循環させる。
一方、前記ブラインタンク15には前記ブラインクーラ16により冷熱を与えられた冷ブラインが貯留されており、該ブライン35をブラインポンプ22により外管13に導入し、循環させる。該ブライン35の循環により前記伝熱面12aは冷熱を受け、前記内管12内を循環する循環溶液30は該伝熱面12aに沿って層状に凍結を開始し、濃度勾配を有する氷層31、32が形成される。該氷層は、外周側から低濃度の下氷層32、高濃度の上氷層31となる。
そして、循環溶液30が所望の濃度に達したら、前記循環ポンプ21を停止し、前記三方バルブ23により循環ライン24を閉とし、前記濃縮酒タンク17に循環溶液30を抜き出す。
次に、前記ブラインクーラ16により前記ブライン35に温熱を与え、温ブラインとしてブラインタンク15に貯留し、該ブライン35を前記外管13に導入し、ブラインポンプ22により循環させる。該ブライン35の循環により前記伝熱面12aは温熱を受け、前記氷層のうち上氷層31から融解する。融解した液は前記液排出口11bより前記高濃度希薄酒タンク18に回収する。所望の濃度の希薄酒が得られたら前記高濃度希薄酒タンク18への融解液の導入を停止する。
さらに、前記温ブライン35を循環させることにより、前記した下氷層32の融解を開始する。該融解液は前記液排出口11bより排出し、前記低濃度希薄酒タンク19に回収する。前記濃縮酒30の濃度調整には、前記循環ポンプ21の周波数、運転時間、及び前記冷ブラインの冷熱温度からなる制御因子のうち少なくとも何れか一を制御し、所望のアルコール濃度が得られるようにする。
また、前記高濃度希薄酒31、低濃度希薄酒32の濃度調整は、氷層の厚み方向に融解することにより高濃度から低濃度に移行する融解溶液を多段分離し、所望の濃度のアルコール飲料を得るようにする。
ここで、図3に本実施例1に係る装置の運転条件を示す。図3(a)は原酒温度変化、(b)は循環ポンプ出力値、(c)は循環ポンプデータを夫々表すグラフである。図3(a)から明らかなように、原酒を2重管式凍結装置11内に滞留させた直後(時間0分)に、循環ポンプ21を作動させずに原酒を緩慢凍結させている。そして、循環ポンプ21を作動を開始した直後から急激に原酒温度を低下させる。前記緩慢凍結により種氷層が生成され易くなる。
また、図3(b)は循環ポンプ21の周波数(Hz)と電流値(A)を示すが、このグラフから明らかなように、循環ポンプ21の周波数、電流値ともP点にて変化させている。これは、P点までは濃縮酒製造工程でありP点以降は希薄酒製造工程であるため、運転条件を変更したためである。このように、製造するアルコール飲料により運転条件を適宜変更させることが好ましい。
尚、図3(c)において、LP圧力(MPa)Lは循環ポンプ21の吸入圧、LP圧力(MPa)Rは吐出圧を示す。ここから、時間の経過とともに循環溶液中に微細氷が形成され、圧損が生じたためと考えられる。
本実施例では、前記運転条件を変更させることにより、前記希薄酒を一種類のみ、即ち一の濃縮酒と一の希薄酒の二種類を製造するようにしても良いし、希薄酒を二種類以上に多段分離して一の濃縮酒と複数の希薄酒を製造するようにしても良い。
本実施例によれば、前記伝熱面12aに一個の氷結晶しか生成しないため、固液分離が極めて容易となり、かつ装置を単純化できコストを大幅に低減することができる。
図2に前記多種濃度アルコール飲料製造装置10にて製造した日本酒(原酒15.95Vol%)の各種成分比率を示す。図2では、26.05Vol%の濃縮酒、11.60Vol%の高濃度希薄酒、6.45Vol%の低濃度希薄酒の三種類を製造した場合の夫々の測定結果である。原酒との濃度比を参照すると、酸、アミノ酸、グルコース等の旨み成分、酢酸イソアミル、イソアミルアルコール、カプロン酸エチル等の香成分は、アルコール濃度に比例して含まれている。これは、原酒を循環流動させながら氷層を形成して分離しているためであると考えられる。
また、図4に、図2とは酒類の異なる日本酒(原酒19.5Vol%)から22.4Vol%の濃縮酒と8.2Vol%の希薄酒を製造した場合の夫々の成分比率を示す。ここからも上記と同様に各成分がアルコール濃度に比例して含まれていることがわかる。
従って本実施例によれば、原酒を循環流動させながら氷層を形成させるため、濃縮酒、希薄酒の何れにおいても成分バランスが良好となり、高品質のアルコール飲料とすることが可能となる。
さらに、実際にテースティングした結果、原酒の角のある味に比較して、濃縮酒は丸みがつき柔らかい味となり、希薄酒は爽やかな柔らかい味となることがわかった。
次に、所望のアルコール濃度のアルコール飲料を製造する方法につき図5及び図6を参照して説明する。図5はエタノール濃度と凝固点降下の関係を示す表、図6は図5に示したエタノール濃度と凝固点降下の関係を示すグラフである。
エタノール(エチルアルコール)水溶液の濃度と凝固点降下の関係は図5及び図6の関係で表される。このとき、図6に示されるように、エタノール濃度(Vol%)と凝固点降下(℃)は下記式に表される曲線となる。
Figure 2005296006
このエタノール濃度(Vol%)と凝固点降下(℃)の相関関係に基づき、所望のアルコール濃度に対応する凝固点降下を求め、該凝固点降下に対応する凍結温度となるまで、前記循環溶液30を冷却する。例えば、所望のアルコール濃度が25.0Vol%である時、これに相当する凝固点降下は11.3℃となり、循環溶液の元の凍結温度から前記凝固点降下を差し引いた温度を、求める凍結温度とし、前記循環溶液が該凍結温度となるようにアルコール飲料製造装置10を運転する。
このとき、前記循環溶液30の温度は、前記循環ポンプ21の周波数、運転時間、及び前記冷ブラインの冷熱温度からなる制御因子のうち少なくとも何れか一を制御することにより前記循環溶液30の温度を調整すると良い。
これにより、所望のアルコール濃度まで濃縮されたアルコール飲料を製造することが可能となる。このように、エタノール濃度と凝固点降下の関係に基づき、循環溶液の温度を制御することにより、簡単に所望のアルコール濃度のアルコール飲料を製造することが可能となる。
本発明の実施例に係る多種濃度アルコール飲料製造装置の概略構成図である。 本実施例1に係る装置にて製造されたアルコール飲料に含まれる各種成分比率を示す表である。 本実施例1に係る装置の運転条件を示し、原酒温度変化(a)循環ポンプ出力値(b)、循環ポンプデータ(c)を夫々表すグラフである。 図2とは酒類が異なるアルコール飲料に含まれる各種成分比率を示す表である。 エタノール濃度と凝固点降下の関係を示す表である。 図5に示したエタノール濃度と凝固点降下の関係を示すグラフである。
符号の説明
10 多種濃度アルコール飲料製造装置
11 2重管式凍結装置
12 内管
12a 伝熱面
13 外管
14 原酒タンク
15 ブラインタンク
16 ブラインクーラ
17 濃縮酒タンク
18 高濃度希薄酒タンク
19 低濃度希薄酒タンク
20 原酒ポンプ
21 循環ポンプ
22 ブラインポンプ
23 三方バルブ
30 循環溶液(濃縮酒)
31 上氷層(高濃度希薄酒)
32 下氷層(低濃度希薄酒)
35 ブライン

Claims (10)

  1. 凍結容器の外部から冷熱を供給し、該容器内面の伝熱面に沿って原酒を循環流動させ、該伝熱面に濃度勾配を有する氷層を形成させるとともに、循環溶液が濃縮されて所望の濃度に達したら該循環溶液を引き抜き濃縮酒を得る工程と、前記氷層の少なくとも一部を融解して希薄酒を得る工程と、を有し、濃度の異なるアルコール溶液を製造することを特徴とする多種濃度アルコール溶液の製造方法。
  2. 前記循環溶液の循環速度、循環時間、及び前記凍結容器に供給する冷熱温度からなる制御因子のうち少なくとも何れか一を制御することにより前記アルコール溶液の濃度を調整することを特徴とする請求項1記載の多種濃度アルコール溶液の製造方法。
  3. 前記希薄酒を得る工程が複数段に分割されており、氷層の厚み方向に融解して高濃度から低濃度に移行する融解溶液を多段分離し、濃度の異なる希薄酒を製造するようにしたことを特徴とする請求項1記載の多種濃度アルコール溶液の製造方法。
  4. 前記凍結容器内に原酒を導入する前に、該凍結容器内に水を導入して緩慢凍結させ、該容器内壁に種氷層を生成させることを特徴とする請求項1記載の多種濃度アルコール溶液の製造方法。
  5. 前記原酒を循環流動させる前に、前記凍結容器内に原酒を滞留させた状態で緩慢凍結せさ、該容器内壁に種氷層を生成させることを特徴とする請求項1記載の多種濃度アルコール溶液の製造方法。
  6. アルコール濃度と凝固点降下の関係に基づき、所望のアルコール濃度に対応する凝固点降下を求め、該凝固点降下に対応する凍結温度となるように前記循環溶液の温度を設定することを特徴とする請求項1記載の多種濃度アルコール溶液の製造方法。
  7. ブラインからの冷熱を受ける伝熱面を有し該伝熱面に沿って循環流動する原酒を収容する内管と、該内管と同心状に設けられブラインを循環させる外管とを有する2重管式凍結手段と、
    前記伝熱面に形成される濃度勾配を有する氷層の成長に伴い濃縮された循環溶液が所望の濃度に達したら該循環溶液を引き抜く濃縮酒回収手段と、
    前記氷層の少なくとも一部を融解して希薄酒を得る希薄酒回収手段と、を備え、
    濃度の異なるアルコール溶液を製造することを特徴とする多種濃度アルコール溶液の製造装置。
  8. 前記循環溶液の循環速度、循環時間、及び前記凍結容器に供給する冷熱温度からなる制御因子のうち少なくとも何れか一を制御する制御手段を設け、該制御手段によりアルコール溶液の濃度を調整するようにしたことを特徴とする請求項7記載の多種濃度アルコール溶液の製造装置。
  9. 前記氷層形成前に前記伝熱面に種氷層を生成する手段を設け、該種氷層が水若しくは前記原酒の緩慢凍結により生成されるようにしたことを特徴とする請求項7記載の多種濃度アルコール溶液の製造装置。
  10. 前記制御手段が、アルコール濃度と凝固点降下の関係に基づき、所望のアルコール濃度に対応する凝固点降下を求め、該凝固点降下に対応する凍結温度となるように前記制御因子を制御して前記循環溶液の温度を調整することを特徴とする請求項8記載の多種濃度アルコール溶液の製造装置。
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