JP2724313B2 - 氷結晶の製造方法 - Google Patents
氷結晶の製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は食品、発酵、製薬、各種
廃水処理、汚水の浄化、海水の淡水化等の分野で利用さ
れる凍結濃縮(または凍結脱水)方法に有用な氷結晶の
製造方法に関するものである。
廃水処理、汚水の浄化、海水の淡水化等の分野で利用さ
れる凍結濃縮(または凍結脱水)方法に有用な氷結晶の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】凍結濃縮方法(または凍結脱水方法)
は、例えばコーヒー抽出液、果汁などの液状食品を0℃
以下の低温領域で凍結させてこの液状食品の水分を氷の
結晶として分離することにより濃縮(または脱水)する
方法である。前記凍結濃縮方法は溶液から水分を氷結晶
として取り除くことから気液間の物質移動がないため、
香り成分を保持したまま溶液より水分を取り除くことが
できる。また、氷の融解潜熱は水の蒸発潜熱の1/7で
あるため、前記凍結濃縮は蒸発濃縮よりも省エネルギー
な溶液の濃縮方法である。更に、操作が低温で行われる
ため、熱に不安定な物質や雑菌汚染を受けやすい物質の
濃縮に適している。
は、例えばコーヒー抽出液、果汁などの液状食品を0℃
以下の低温領域で凍結させてこの液状食品の水分を氷の
結晶として分離することにより濃縮(または脱水)する
方法である。前記凍結濃縮方法は溶液から水分を氷結晶
として取り除くことから気液間の物質移動がないため、
香り成分を保持したまま溶液より水分を取り除くことが
できる。また、氷の融解潜熱は水の蒸発潜熱の1/7で
あるため、前記凍結濃縮は蒸発濃縮よりも省エネルギー
な溶液の濃縮方法である。更に、操作が低温で行われる
ため、熱に不安定な物質や雑菌汚染を受けやすい物質の
濃縮に適している。
【0003】しかしながら、前記凍結濃縮方法におい
て、溶液を凍結させて生成した氷結晶表面には溶液が付
着するため、濃縮溶液から前記氷結晶を分離する際に溶
質が氷結晶と共に持ち出されて溶液中の溶質の回収率が
低減するという問題点があった。また、海水の淡水化の
ように生成した氷結晶の方を利用する場合には、前記氷
結晶表面の溶液がその融解により塩分として混入するた
め、飲料水や農業用水として不適切であるという問題点
があった。溶質の氷結晶表面への付着を低減させて氷結
晶の純度を向上させるには、溶質の付着が氷結晶の比表
面積の大きさに比例して多くなるため、氷結晶の比表面
積が小さい大粒径の氷結晶を生成させる必要がある。
て、溶液を凍結させて生成した氷結晶表面には溶液が付
着するため、濃縮溶液から前記氷結晶を分離する際に溶
質が氷結晶と共に持ち出されて溶液中の溶質の回収率が
低減するという問題点があった。また、海水の淡水化の
ように生成した氷結晶の方を利用する場合には、前記氷
結晶表面の溶液がその融解により塩分として混入するた
め、飲料水や農業用水として不適切であるという問題点
があった。溶質の氷結晶表面への付着を低減させて氷結
晶の純度を向上させるには、溶質の付着が氷結晶の比表
面積の大きさに比例して多くなるため、氷結晶の比表面
積が小さい大粒径の氷結晶を生成させる必要がある。
【0004】また、前記凍結濃縮方法においては、生成
した氷結晶の分離を簡単にするために、粒径が揃った氷
結晶を生成させる必要がある。
した氷結晶の分離を簡単にするために、粒径が揃った氷
結晶を生成させる必要がある。
【0005】ところで、前記凍結濃縮方法としては従来
より、晶析槽において微細氷を生成させた後、熟成槽に
おいて前記微細氷をオストワルドのライプニング効果を
利用して直径1mmの大粒径の氷結晶に成長させる方法
が知られている。氷結晶の氷点は氷結晶の大きさに依存
し、小さい氷結晶は大きな曲率を維持しなければならな
いので、その氷点は大きな氷結晶よりも低くなる。その
結果、熟成槽中に大きな氷結晶と小さな氷結晶が共存す
ると、この熟成槽の溶液の氷点はこれらの氷結晶の氷点
の中間の温度になるため、小さな氷結晶が融解する。こ
の時、大きな氷結晶と小さな氷結晶の大きさに十分な差
があれば、融解潜熱は大きな氷結晶の成長に利用されて
大粒径の氷結晶が製造される。
より、晶析槽において微細氷を生成させた後、熟成槽に
おいて前記微細氷をオストワルドのライプニング効果を
利用して直径1mmの大粒径の氷結晶に成長させる方法
が知られている。氷結晶の氷点は氷結晶の大きさに依存
し、小さい氷結晶は大きな曲率を維持しなければならな
いので、その氷点は大きな氷結晶よりも低くなる。その
結果、熟成槽中に大きな氷結晶と小さな氷結晶が共存す
ると、この熟成槽の溶液の氷点はこれらの氷結晶の氷点
の中間の温度になるため、小さな氷結晶が融解する。こ
の時、大きな氷結晶と小さな氷結晶の大きさに十分な差
があれば、融解潜熱は大きな氷結晶の成長に利用されて
大粒径の氷結晶が製造される。
【0006】しかしながら、製造の初期段階では前記熟
成槽中の微細氷は大小の差が小さいため、小さな氷の融
解潜熱は大きな氷結晶の成長に寄与しない。小さな氷結
晶の融解が進行して大きな氷結晶との大きさの差が十分
に開くまで、つまりスタートアップが完了するまでの時
間が十数時間と極めて長いという問題点があった。ま
た、製造装置が複雑であるために装置の制御や管理方法
が繁雑になり、製造コストが高くなるという問題点があ
った。
成槽中の微細氷は大小の差が小さいため、小さな氷の融
解潜熱は大きな氷結晶の成長に寄与しない。小さな氷結
晶の融解が進行して大きな氷結晶との大きさの差が十分
に開くまで、つまりスタートアップが完了するまでの時
間が十数時間と極めて長いという問題点があった。ま
た、製造装置が複雑であるために装置の制御や管理方法
が繁雑になり、製造コストが高くなるという問題点があ
った。
【0007】このようなことから本発明者らは、Agr
ic.Biol.Chem.,51(9),2359〜
2366,1987のMechanism of Ic
eGrowth in a Batch Crysta
llizer withan External Co
oler for Freeze Concentra
tionにおいて氷結晶の製造方法を発表した。この方
法によれば、10%のラクトース溶液をこの溶液の氷点
よりも0.5℃高い温度まで晶析槽の外部に設けられた
冷却器によって冷却した後、この溶液を晶析槽に移し、
10μgの種氷結晶1個(溶液重量に対して0.06重
量%)を投入することにより粒径が1〜3mmと大き
く、かつ粒径が比較的揃った氷結晶を製造することが可
能である。この方法による大粒径の氷結晶生成のメカニ
ズムは次のように考えられる。まず、種氷結晶の表面か
ら氷片が剥離し、氷結晶に成長する。その後はこの氷結
晶よりも小さい氷結晶が生成するが、前記晶析槽内の溶
液の氷点が前記小さい氷結晶の氷点と最初に生成した氷
結晶の氷点との中間になるため、前記小さい氷結晶の大
部分は成長することなく融解する。前記小さい氷結晶と
前記最初に生成した氷結晶との大きさの差が十分に大き
いため、この融解潜熱により前記最初に生成した氷結晶
が大粒径の氷結晶に成長したり、あるいは偶然に融解せ
ずに残存した氷結晶と前記最初に生成した氷結晶とが凝
集されることにより大粒径の氷結晶が製造される。
ic.Biol.Chem.,51(9),2359〜
2366,1987のMechanism of Ic
eGrowth in a Batch Crysta
llizer withan External Co
oler for Freeze Concentra
tionにおいて氷結晶の製造方法を発表した。この方
法によれば、10%のラクトース溶液をこの溶液の氷点
よりも0.5℃高い温度まで晶析槽の外部に設けられた
冷却器によって冷却した後、この溶液を晶析槽に移し、
10μgの種氷結晶1個(溶液重量に対して0.06重
量%)を投入することにより粒径が1〜3mmと大き
く、かつ粒径が比較的揃った氷結晶を製造することが可
能である。この方法による大粒径の氷結晶生成のメカニ
ズムは次のように考えられる。まず、種氷結晶の表面か
ら氷片が剥離し、氷結晶に成長する。その後はこの氷結
晶よりも小さい氷結晶が生成するが、前記晶析槽内の溶
液の氷点が前記小さい氷結晶の氷点と最初に生成した氷
結晶の氷点との中間になるため、前記小さい氷結晶の大
部分は成長することなく融解する。前記小さい氷結晶と
前記最初に生成した氷結晶との大きさの差が十分に大き
いため、この融解潜熱により前記最初に生成した氷結晶
が大粒径の氷結晶に成長したり、あるいは偶然に融解せ
ずに残存した氷結晶と前記最初に生成した氷結晶とが凝
集されることにより大粒径の氷結晶が製造される。
【0008】前記種氷結晶を投入する方法は、前記種氷
結晶から剥離した氷片が氷結晶に成長するまでの時間が
短く、かつその後はこの氷結晶よりも極めて小さい氷結
晶が生成するため、前述した熟成槽中にて微細氷を大粒
径に成長させる方法に比べてスタートアップが完了する
までの時間が短縮される。
結晶から剥離した氷片が氷結晶に成長するまでの時間が
短く、かつその後はこの氷結晶よりも極めて小さい氷結
晶が生成するため、前述した熟成槽中にて微細氷を大粒
径に成長させる方法に比べてスタートアップが完了する
までの時間が短縮される。
【0009】しかしながら、前記種氷結晶を投入する方
法は、10%を越えるグルコース溶液や15%を越える
ラクトース溶液などの濃度が0.4mol/l以上の高
濃度になると、大粒径の氷結晶を生成することが困難に
なる。
法は、10%を越えるグルコース溶液や15%を越える
ラクトース溶液などの濃度が0.4mol/l以上の高
濃度になると、大粒径の氷結晶を生成することが困難に
なる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来の問題を
解決するためになされたもので、0.4mol/l以上
の高濃度の溶液において粒径が揃った大粒径の氷結晶を
製造することが可能な氷結晶の製造方法を提供しようと
するものである。
解決するためになされたもので、0.4mol/l以上
の高濃度の溶液において粒径が揃った大粒径の氷結晶を
製造することが可能な氷結晶の製造方法を提供しようと
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、濃度が0.4
モル/l〜0.56モル/lの溶液を所望の温度まで冷
却した後、溶液重量に対して5重量%以上の種氷結晶を
投入することを特徴とする氷結晶の製造方法である。
モル/l〜0.56モル/lの溶液を所望の温度まで冷
却した後、溶液重量に対して5重量%以上の種氷結晶を
投入することを特徴とする氷結晶の製造方法である。
【0012】前記種氷結晶の平均粒径は、500μm以
上にすることが望ましい。前記平均粒径が500μm未
満になると、大粒径の氷結晶を製造することが困難にな
る恐れがある。
上にすることが望ましい。前記平均粒径が500μm未
満になると、大粒径の氷結晶を製造することが困難にな
る恐れがある。
【0013】本発明の製造方法では図1に示す氷結晶製
造装置を用いる。
造装置を用いる。
【0014】アクリル樹脂製の晶析槽1は内面に冷媒が
循環される中空有底容器2を有する。前記容器2の冷媒
供給口3及び冷媒排出口4には図示しない熱電対がそれ
ぞれ取り付けられている。サーミスター5は、前記晶析
槽1内の処理液6中に挿入されている。記録計7は、前
記サーミスター5にブリッジ回路8を通して接続されて
いる。第1の攪拌器9の攪拌羽根10は前記晶析槽1内
の処理液6中に挿入されている。冷媒であるエチレング
リコール溶液11が収容された冷媒タンク12は、前記
晶析槽1に隣接して設置されている。前記冷媒タンク1
2はバルブ13が取り付けられた冷媒排出口14と、冷
媒還流口15とを有する。循環手段としてのポンプ16
は、一端が第1の供給管17を介して前記バルブ13に
連接され、他端が第2の供給管18を介して前記容器2
の冷媒供給口3に連接されている。配管19は、一端が
前記容器2の冷媒排出口4に接続され、かつ他端が前記
冷媒タンク8の冷媒還流口15に接続されている。前記
バルブ13を開放し、前記ポンプ16を駆動すると、前
記冷媒タンク12内のエチレングリコール溶液11は前
記冷媒排出口14から前記供給管17、前記供給管18
を通して前記容器2内に導入され、前記冷媒排出口4か
ら前記配管19、前記冷媒還流口15を通して前記冷媒
タンク12内に還流される。
循環される中空有底容器2を有する。前記容器2の冷媒
供給口3及び冷媒排出口4には図示しない熱電対がそれ
ぞれ取り付けられている。サーミスター5は、前記晶析
槽1内の処理液6中に挿入されている。記録計7は、前
記サーミスター5にブリッジ回路8を通して接続されて
いる。第1の攪拌器9の攪拌羽根10は前記晶析槽1内
の処理液6中に挿入されている。冷媒であるエチレング
リコール溶液11が収容された冷媒タンク12は、前記
晶析槽1に隣接して設置されている。前記冷媒タンク1
2はバルブ13が取り付けられた冷媒排出口14と、冷
媒還流口15とを有する。循環手段としてのポンプ16
は、一端が第1の供給管17を介して前記バルブ13に
連接され、他端が第2の供給管18を介して前記容器2
の冷媒供給口3に連接されている。配管19は、一端が
前記容器2の冷媒排出口4に接続され、かつ他端が前記
冷媒タンク8の冷媒還流口15に接続されている。前記
バルブ13を開放し、前記ポンプ16を駆動すると、前
記冷媒タンク12内のエチレングリコール溶液11は前
記冷媒排出口14から前記供給管17、前記供給管18
を通して前記容器2内に導入され、前記冷媒排出口4か
ら前記配管19、前記冷媒還流口15を通して前記冷媒
タンク12内に還流される。
【0015】第2の攪拌器20の攪拌羽根21は前記冷
媒タンク12内のエチレングリコール溶液11に挿入さ
れている。複数の冷却器22はその下端が前記冷媒タン
ク12内のエチレングリコール溶液11に浸漬されてい
る。ベックマン温度計23はその下端が前記冷媒タンク
12内のエチレングリコール溶液11に浸漬されてい
る。温度調節器24はその下端が前記冷媒タンク12内
のエチレングリコール溶液11に浸漬されている。
媒タンク12内のエチレングリコール溶液11に挿入さ
れている。複数の冷却器22はその下端が前記冷媒タン
ク12内のエチレングリコール溶液11に浸漬されてい
る。ベックマン温度計23はその下端が前記冷媒タンク
12内のエチレングリコール溶液11に浸漬されてい
る。温度調節器24はその下端が前記冷媒タンク12内
のエチレングリコール溶液11に浸漬されている。
【0016】
【作用】本発明の氷結晶の製造方法によれば、濃度が
0.4mol/l〜0.56mol/lの溶液を所望の
温度まで冷却した後、溶液重量に対して5重量%以上の
種氷結晶を投入することによって、短時間でスタートア
ップを完了することができると共に平均粒径が1.5m
m以上と大きく、かつ粒径が揃った氷結晶を製造するこ
とができる。
0.4mol/l〜0.56mol/lの溶液を所望の
温度まで冷却した後、溶液重量に対して5重量%以上の
種氷結晶を投入することによって、短時間でスタートア
ップを完了することができると共に平均粒径が1.5m
m以上と大きく、かつ粒径が揃った氷結晶を製造するこ
とができる。
【0017】また、本発明の製造方法によると、前述し
た図1に示す簡単な構造を有する汎用の氷結晶製造装置
を利用することができる。
た図1に示す簡単な構造を有する汎用の氷結晶製造装置
を利用することができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を前述した図1を参照
して詳細に説明する。 実施例1 まず、処理液6としての10%のグルコース溶液450
g(モル濃度は0.56モル/l)を晶析槽1に収容し
た。バルブ13を開放し、ポンプ16を駆動することに
より予め前記処理液の氷点よりも2〜3℃低い温度まで
冷却されたエチレングリコール溶液11を容器2内に導
入し、前記処理液6を攪拌器9で攪拌しながら前記容器
2内を循環されるエチレングリコール溶液11によって
冷却した。前記処理液6が氷点よりも0.1℃高い温度
に達したとき、平均粒径が1880μmで、溶液重量に
対して12重量%(54g)の種氷結晶を投入し、2時
間放置することにより氷結晶を製造した。なお、初期過
冷却度は0.21℃であった。 実施例2 平均粒径が1910μmで、溶液重量に対して6.2重
量%(28g)の種氷結晶を用いたこと以外、実施例1
と同様な方法によって実施例1と同様な処理液中に氷結
晶を製造した。なお、初期過冷却度は0℃であった。 実施例3 処理液6として15%のラクトース溶液450g(モル
濃度は0.44モル/l)を用い、かつ平均粒径が12
69μmで、溶液重量に対して約12重量%(52g)
の種氷結晶を用いたこと以外、実施例1と同様な方法に
より氷結晶を製造した。なお、初期過冷却度は0℃であ
った。 比較例1 処理液である10%のグルコース溶液170g(モル濃
度は0.56モル/l)を晶析槽の外部に設けられた冷
却器により前記処理液の氷点よりも0.5℃高い温度ま
で冷却した後、この溶液を晶析槽に収容し、攪拌器によ
り攪拌しながら粒径が2.6mmで、溶液重量に対して
0.06重量%(10μg)の種氷結晶を投入し、2時
間放置することにより氷結晶を製造した。なお、初期過
冷却度は0.14℃であった。 比較例2 処理液として15%のラクトース溶液170g(モル濃
度は0.44モル/l)を用いた以外、比較例2と同様
な方法により氷結晶を製造した。なお、初期過冷却度は
0.16℃であった。
して詳細に説明する。 実施例1 まず、処理液6としての10%のグルコース溶液450
g(モル濃度は0.56モル/l)を晶析槽1に収容し
た。バルブ13を開放し、ポンプ16を駆動することに
より予め前記処理液の氷点よりも2〜3℃低い温度まで
冷却されたエチレングリコール溶液11を容器2内に導
入し、前記処理液6を攪拌器9で攪拌しながら前記容器
2内を循環されるエチレングリコール溶液11によって
冷却した。前記処理液6が氷点よりも0.1℃高い温度
に達したとき、平均粒径が1880μmで、溶液重量に
対して12重量%(54g)の種氷結晶を投入し、2時
間放置することにより氷結晶を製造した。なお、初期過
冷却度は0.21℃であった。 実施例2 平均粒径が1910μmで、溶液重量に対して6.2重
量%(28g)の種氷結晶を用いたこと以外、実施例1
と同様な方法によって実施例1と同様な処理液中に氷結
晶を製造した。なお、初期過冷却度は0℃であった。 実施例3 処理液6として15%のラクトース溶液450g(モル
濃度は0.44モル/l)を用い、かつ平均粒径が12
69μmで、溶液重量に対して約12重量%(52g)
の種氷結晶を用いたこと以外、実施例1と同様な方法に
より氷結晶を製造した。なお、初期過冷却度は0℃であ
った。 比較例1 処理液である10%のグルコース溶液170g(モル濃
度は0.56モル/l)を晶析槽の外部に設けられた冷
却器により前記処理液の氷点よりも0.5℃高い温度ま
で冷却した後、この溶液を晶析槽に収容し、攪拌器によ
り攪拌しながら粒径が2.6mmで、溶液重量に対して
0.06重量%(10μg)の種氷結晶を投入し、2時
間放置することにより氷結晶を製造した。なお、初期過
冷却度は0.14℃であった。 比較例2 処理液として15%のラクトース溶液170g(モル濃
度は0.44モル/l)を用いた以外、比較例2と同様
な方法により氷結晶を製造した。なお、初期過冷却度は
0.16℃であった。
【0019】得られた実施例1〜3及び比較例1,2の
氷結晶の直径の分布図をそれぞれ図2、図4、図6、図
8、図9に示す。各分布図から氷結晶の平均粒径及び標
準偏差を求め、その結果を下記表1に示す。また、実施
例1〜3の氷結晶を顕微鏡写真で撮影した写真(15
倍)をそれぞれ図3、図5、図7に示す。
氷結晶の直径の分布図をそれぞれ図2、図4、図6、図
8、図9に示す。各分布図から氷結晶の平均粒径及び標
準偏差を求め、その結果を下記表1に示す。また、実施
例1〜3の氷結晶を顕微鏡写真で撮影した写真(15
倍)をそれぞれ図3、図5、図7に示す。
【0020】 表1 平均粒径(mm) 標準偏差(mm) 実施例1 2.4 0.7 実施例2 1.5 1.0 実施例3 2.5 0.5 比較例1 0.7 0.1 比較例2 0.8 0.1 表1及び図3、図5、図7から明らかなように、0.4
モル/l〜0.56モル/lの溶液に溶液重量に対して
5重量%以上の種氷結晶を投入することにより製造され
た実施例1〜3の氷結晶は、粒径が比較的揃い、かつ平
均粒径が1.5mm以上と極めて大きいことがわかる。
これに対して、溶液重量に対して0.06重量%の種氷
結晶を投入することにより製造された比較例1〜2の氷
結晶は、粒径は比較的揃っているものの平均粒径が0.
7〜0.8mmと小さいことがわかる。
モル/l〜0.56モル/lの溶液に溶液重量に対して
5重量%以上の種氷結晶を投入することにより製造され
た実施例1〜3の氷結晶は、粒径が比較的揃い、かつ平
均粒径が1.5mm以上と極めて大きいことがわかる。
これに対して、溶液重量に対して0.06重量%の種氷
結晶を投入することにより製造された比較例1〜2の氷
結晶は、粒径は比較的揃っているものの平均粒径が0.
7〜0.8mmと小さいことがわかる。
【0021】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の氷結晶の製
造方法によれば、短時間でスタートアップを完了するこ
とができ、かつ粒径の揃った大粒径の氷を製造すること
ができ、インスタントコーヒーの製造、濃縮ジュースの
製造、粉ミルクの製造、チーズホエーの処理、酵素の濃
縮、パルプ廃液の脱水、海水の淡水化処理などのための
凍結濃縮方法(または凍結脱水方法)に有効に利用でき
る等顕著な効果を奏する。
造方法によれば、短時間でスタートアップを完了するこ
とができ、かつ粒径の揃った大粒径の氷を製造すること
ができ、インスタントコーヒーの製造、濃縮ジュースの
製造、粉ミルクの製造、チーズホエーの処理、酵素の濃
縮、パルプ廃液の脱水、海水の淡水化処理などのための
凍結濃縮方法(または凍結脱水方法)に有効に利用でき
る等顕著な効果を奏する。
【図1】本発明の実施例で用いられる氷結晶製造装置を
示す概略断面図。
示す概略断面図。
【図2】本発明の実施例1の氷結晶の直径分布を示す特
性図。
性図。
【図3】本発明の実施例1の氷結晶を顕微鏡写真で撮影
した氷結晶の粒子構造を示す写真。
した氷結晶の粒子構造を示す写真。
【図4】本発明の実施例2の氷結晶の直径分布を示す特
性図。
性図。
【図5】本発明の実施例2の氷結晶を顕微鏡写真で撮影
した氷結晶の粒子構造を示す写真。
した氷結晶の粒子構造を示す写真。
【図6】本発明の実施例3の氷結晶の直径分布を示す特
性図。
性図。
【図7】本発明の実施例3の氷結晶を顕微鏡写真で撮影
した氷結晶の粒子構造を示す写真。
した氷結晶の粒子構造を示す写真。
【図8】比較例1の氷結晶の直径分布を示す特性図。
【図9】比較例2の氷結晶の直径分布を示す特性図。
1…晶析槽、2…中空有底容器、9…攪拌器、12…冷
媒タンク、16…ポンプ、19…配管。
媒タンク、16…ポンプ、19…配管。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F25C 1/00 F25C 1/00 Z
Claims (3)
- 【請求項1】 濃度が0.4モル/l〜0.56モル/
lの溶液を所望の温度まで冷却した後、溶液重量に対し
て5重量%以上の種氷結晶を投入することを特徴とする
氷結晶の製造方法。 - 【請求項2】 前記種氷結晶の平均粒径は、500μm
以上であることを特徴とする請求項1記載の氷結晶の製
造方法。 - 【請求項3】 前記種氷結晶の投入量は、溶液重量に対
して5重量%〜12重量%であることを特徴とする請求
項1記載の氷結晶の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6125869A JP2724313B2 (ja) | 1994-05-17 | 1994-05-17 | 氷結晶の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6125869A JP2724313B2 (ja) | 1994-05-17 | 1994-05-17 | 氷結晶の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07308503A JPH07308503A (ja) | 1995-11-28 |
JP2724313B2 true JP2724313B2 (ja) | 1998-03-09 |
Family
ID=14920950
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6125869A Expired - Lifetime JP2724313B2 (ja) | 1994-05-17 | 1994-05-17 | 氷結晶の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2724313B2 (ja) |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05153953A (ja) * | 1991-12-02 | 1993-06-22 | Mercian Corp | 氷晶核添加による濃縮または希薄アルコール飲料の製造方法 |
-
1994
- 1994-05-17 JP JP6125869A patent/JP2724313B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07308503A (ja) | 1995-11-28 |
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