JP2015204777A - 界面前進凍結濃縮法による果実酒の製造方法及び製造システム - Google Patents

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長人 宮脇
Nagahito Miyawaki
長人 宮脇
喬 小▲柳▼
Takashi Koyanagi
喬 小▲柳▼
滋 北野
Shigeru Kitano
滋 北野
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Abstract

【課題】果汁中の溶質の保存性に優れると共に装置構成を比較的シンプルにできる界面前進凍結濃縮法による果実酒の製造方法及び製造システムを提供する。【解決手段】本発明の果実酒の製造方法は、界面前進凍結濃縮法により濃縮果汁を得る工程と、得られた濃縮果汁をアルコール発酵させて果実酒を得る工程とを備える。界面前進凍結濃縮法は1個の大きな氷結晶を生成するものであり、氷結晶への溶質(栄養成分やフレーバー成分)の取り込みが成分非選択的に行われる。濃縮果汁(第2の濃縮果汁)に含まれる溶質の成分バランスが濃縮前とほぼ同等であり、溶質の保存性に優れ、果汁の品質劣化を防止して香味を高めることができる。本発明では界面前進凍結濃縮法を利用して得た濃縮果汁(第2の濃縮果汁)をアルコール発酵させるので、この濃縮果汁の利点をそのまま活かした良質の果実酒を得られる。【選択図】図1

Description

本発明は、界面前進凍結濃縮法により生成した濃縮果汁を用いる果実酒の製造方法及び製造システムに関する。
表1に示すように一般的にヨーロッパ原産ブドウ以外の果物の果汁の糖度はおおよそ10 Brix前後であり、果実酒の製造に好ましいとされている20 Brix未満である。ヨーロッパ原産ブドウ以外の果物の果汁をアルコール発酵させて得られる果実酒はアルコール濃度が10 % 未満になり本格的アルコール飲料にはなり難い。
Figure 2015204777
したがって、ヨーロッパ原産ブドウ以外のブドウや他の果物で果実酒を製造する際には、濃縮処理や補糖を行うことで果汁の糖度を果実酒の製造に必要なおおよそ20 Brix以上にまで高めるのが一般的である。
果汁の濃縮方法としては、例えば加熱による蒸発法、逆浸透膜法(特許文献1参照)、凍結濃縮法のうち溶液中にシャーベット状の微細な氷を形成する懸濁結晶法(特許文献2参照)等が知られている。
特公平7−16388号公報 特公平7−110322号公報
ところが、上記従来技術では以下のような問題がある。
すなわち、蒸発法及び逆浸透膜法では、濃縮時に果汁中の溶質(フレーバー成分や栄養成分)の一部が水(蒸気及び氷を含む)と共に除去されてしまうことから、濃縮前の果汁と比較して濃縮果汁の品質が劣るという問題や、懸濁結晶法では装置構成が比較的複雑で製造コストが嵩むという問題がある。
本発明はこのような問題に鑑み、果汁中の溶質の保存性に優れると共に装置構成を比較的シンプルにできる界面前進凍結濃縮法による果実酒の製造方法及び製造システムを提供することを目的とする。
本発明の果実酒の製造方法は、界面前進凍結濃縮法により濃縮果汁を得る工程と、得られた濃縮果汁をアルコール発酵させて果実酒を得る工程とを備えることを特徴とする。
また、前記界面前進凍結濃縮法が、鉛直管の外部を冷媒で冷却しながらその内部に果汁を循環させることで鉛直管内に中空棒状の氷結晶を生成する工程と、氷結晶生成部内の第1の濃縮果汁を取り出す工程と、前記氷結晶を部分融解させて所望の濃度の融解液を得る工程と、第1の濃縮果汁と融解液とを混ぜ合わせて第2の濃縮果汁を得る工程と、第2の濃縮果汁をアルコール発酵させる工程とを含むことを特徴とする。
また、濃縮前の果汁の糖度が20 Brix未満であり、第2の濃縮果汁の糖度が20 Brix以上であることを特徴とする。
本発明の果実酒の製造システムは、鉛直管の外部を冷媒で冷却しながらその内部に果汁を循環させることで鉛直管内に中空棒状の氷結晶を生成する氷結晶生成部、氷結晶生成部内の第1の濃縮果汁を外部に取り出す取出口、鉛直管の下部開口を開閉する開閉弁、鉛直管の下方に配置されており、開閉弁を開いて鉛直管から自然落下させて取り出した前記氷結晶を搬送面上に載置して破砕する氷結晶破砕用コンベヤ、前記氷結晶を部分融解させて所望の濃度の融解液を得る氷結晶融解部を備える界面前進凍結濃縮装置と、前記第1の濃縮果汁と前記融解液とを混ぜ合わせて成る第2の濃縮果汁をアルコール発酵させて果実酒を得る発酵部とから構成されることを特徴とする。
本発明の果実酒の製造方法及び製造システムでは、凍結濃縮法のうち界面前進凍結濃縮法を利用する。界面前進凍結濃縮法は、試料溶液に接触する冷却面から氷結晶を生成・成長させてゆくこと、すなわち未凍結溶液相と氷相との界面を未凍結溶液相側(伝熱方向と逆方向)に前進させて1個の氷結晶を作ることによって凍結濃縮を行う方法で、氷結晶成長速度の制御と、凍結相と液相との界面の撹拌が重要である。この方法は1個の大きな氷結晶を生成するため、従来の凍結濃縮法(懸濁結晶法)と比較して固液分離が極めて容易でシステムを単純化できるという利点がある。また、氷結晶への溶質(栄養成分やフレーバー成分)の取り込みが成分非選択的に行われる。
従って、界面前進凍結濃縮法を用いて濃縮果汁を製造する本発明では、濃縮果汁に含まれる溶質の成分バランスが濃縮前とほぼ同等であり、溶質の保存性に優れ、果汁の品質劣化を防止して香味を高めることができる。なお、このような氷結晶への溶質の成分非選択的な取り込みは、氷結晶構造の空隙への溶質の非平衡的取り込み機構によるものと推察される。
また、本発明では、界面前進凍結濃縮法を利用して得た濃縮果汁をアルコール発酵させるので、この濃縮果汁の上記利点をそのまま活かした良質の果実酒を得られる。
特に、氷結晶生成部内から取り出した第1の濃縮果汁と、氷結晶を部分融解させた融解液とを混ぜ合わせて得た第2の濃縮果汁をアルコール発酵させることにすれば、果汁の収率をより向上できると共により良質の果実酒を得られる。
また、従来では補糖を行わずに果実酒を製造することが困難であった10 Brix前後の果汁(例えばいちご、すいか、レモン等の果汁)であっても、本発明では補糖を行わずに果実酒を製造できる。
なお、本発明における「果汁」とは原則的には果物から抽出される液体を指すが、例えばトマト、いちご、メロン、すいかなど、野菜にも分類されることがあるものから抽出される液体も本発明における「果汁」に含むものとする。
果実酒の製造システムの構成を示す図 界面前進凍結濃縮装置の構成を示す正面図 界面前進凍結濃縮装置の構成を示す側面図 中空棒状の氷結晶を切断し、搬送する状態を示す図(a)〜(e) 切断した氷結晶を氷結晶融解部に搬送する状態を示す図(a)、部分融解中の状態を示す図(b) 実施例1におけるラ・フランスのフレーバーパターンの変化を示すグラフ 実施例2における濃縮ラ・フランス果汁の香気成分を示すグラフ 実施例3におけるトマト果汁に部分融解を行った場合の氷相融解率と濃度及び収率との関係を示すグラフ 実施例4における巨峰ワインのアルコール度数を示すグラフ 実施例4における巨峰ワインの外観を示す図 実施例5におけるりんご果汁の濃縮時に生成された氷結晶の断面を示す図 実施例5における濃縮りんご果汁の発酵過程でのエタノール濃度を示すグラフ 実施例6における濃縮すいか果汁の糖度とすいかワインのエタノール濃度を示すグラフ 実施例5及び6におけるりんごワインとすいかワインの外観を示す図
本発明の果実酒の製造方法及び製造システムの実施の形態について説明する。
図1〜図5に示すように、果実酒の製造システムAは界面前進凍結濃縮装置Bと発酵部Cから概略構成される。
界面前進凍結濃縮装置Bは氷結晶生成部10、取出口11c、開閉弁11b、氷結晶破砕用コンベヤ20及び氷結晶融解部30を備える。
氷結晶生成部10は鉛直管11の外部を冷媒で冷却しながら鉛直管11の内部に果汁を循環させることで鉛直管11内に中空棒状の氷結晶50を生成するものである。
果汁としては、ブドウ果汁、レモン果汁、オレンジ果汁、りんご果汁等の一般的な果実果汁を挙げられ、複数種類の果実果汁を混ぜ合わせてもよい。また、濃縮前の果汁の糖度に特に制限はなく、補糖なしでの果実酒の製造に適さない10 Brix前後のいちご果汁、すいか果汁、レモン果汁等でもよい。
鉛直管11は複数本(本実施の形態では2本)で構成されており、鉛直管11同士はその上下両端が連結されることで循環流路を形成している。そして、溶液タンク12内の果汁を送液用ポンプ12aで循環流路に供給ののち、流量計13で流量を計測しながら溶液循環用ポンプ14で循環させる。
また、各鉛直管11の外周面の一部は冷却ジャケット15で覆われている。冷却ジャケット15同士も循環流路で結ばれており、この循環流路に冷媒タンク16内の冷媒を温度計17で温度を計測しながら冷媒用ポンプ18で送り込んで循環させることで各鉛直管11を外周面側から冷却する。冷媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ナイブラインなど周知のものを使用できる。
本システムAでは、氷結晶生成部10を構成する各装置の駆動制御を制御装置で行っており、制御装置が溶液循環用ポンプ14の駆動を制御することで鉛直管11内の果汁の流速を調節すると共に流量計13で流量を計測する。鉛直管11の内壁面から中心に向かって氷結晶の生成が進んでゆき、所望の肉厚の中空棒状の氷結晶50を生成する仕組みになっている。
各鉛直管11はその下端部に開口11aを備えており、この下部開口11aは開閉弁11bで開閉自在になっている。
氷結晶50を生成した後はまず鉛直管11内の濃縮果汁(第1の濃縮果汁)を取出口11cから取り出す。第1の濃縮果汁は果汁中の水分の一部を氷結晶として取り除いた残りの液体である。次に冷媒を加温して氷結晶50の外周面を温める。これにより氷結晶50は鉛直管11の内壁面から剥離するので、下部開口11aの開閉弁11bを開いて自重により自然落下させる。
なお、界面前進凍結濃縮法において良好な凍結濃縮効果を得るには、氷結晶の成長速度を小さく(遅く)することが有効であることが知られている。これは氷結晶の成長速度が速すぎると氷結晶への溶質取込率が高くなってしまうためであるが、その一方で氷結晶の成長速度が遅すぎると凍結濃縮時間が長くなり濃縮液の生産性が低下するという問題も生じる。また、凍結界面付近での溶液の流速を大きく(速く)することが有効であることも知られている。これは、凍結界面での溶液の流速が遅いと凍結界面近傍での溶質の濃度が高まり、氷結晶への溶質取込率が高くなってしまうためであるが、その一方で凍結界面での溶液の流速が速すぎると装置への負荷が大きくなり、故障等の原因になり易いという問題も生じる。
氷結晶破砕用コンベヤ20は鉛直管11の下方に配置されており、開閉弁11bを開いて鉛直管11から自然落下させて取り出した氷結晶50を搬送面21上に載置して搬送するために設けられる。
搬送面21上には凸部22を所定の間隔で設けている(図3及び図4(a))。開閉弁11bが開かれて下部開口11aから自然落下した氷結晶50はその下端面が搬送面21に接触したまま直立状態で静止する(図4(b))。この状態では氷結晶50の大部分は鉛直管11内に留まり、下端部のみが外部に露出している。そして搬送面21の走行に伴って氷結晶50の下端面は搬送面21上を相対的に摺動していき、凸部22が氷結晶50の下端に引っ掛かった際に氷結晶50の下端に対して当該凸部22から前方(搬送面21の走行方向)に向けて外力が作用し、この外力の影響により氷結晶50は下部開口11a近傍で切断される(図4(c))。
切断された氷結晶50はそのまま搬送面21に載置された状態で前方に移動していき、鉛直管11内の氷結晶50は自重により自然落下する(図4(d))。落下した氷結晶の下端面(切断面)は搬送面21に接触したまま直立状態で静止し、次の凸部22によって切断される(図4(e))。このように氷結晶50の自重による自然落下と凸部22による切断を繰り返し行うことで全ての氷結晶50を順次適当な長さに切断していく。
搬送面に設けた凸部を利用して中空棒状の氷結晶50を切断する場合には、装置構成がシンプルになり製造コストを抑制できるという利点がある。また、搬送面21上で氷結晶50を切断するので、切断後の氷結晶50を搬送面21に載せたまま氷結晶破砕用コンベヤ20で氷結晶融解部30まで搬送でき、果実酒を実生産する際の装置の自動化が容易となる。
また、上述の通り果汁の濃度や溶質の種類・成分比によって氷結晶50の硬さは異なるが、凸部22の配置間隔を一定にすることで、氷結晶50の硬さによらず切断長さを一定にできる。したがって、氷結晶融解部30で行う氷結晶50の融解液の濃度調節が容易になり、所望の濃度の融解液を回収できるようになる。
なお、氷結晶50の切断作業は、鉛直管11が複数ある場合には一本ずつ行ってもよくあるいは複数本同時に行ってもよい。また、氷結晶50の切断を行う際に凸部22を用いずに、機械で自動的に又は作業者の手作業によりハンマー等で氷結晶を叩き割ることにしてもよい。
本実施の形態では鉛直管11の下部開口11aから搬送面21までの相対距離を変えられる高さ調節機構(図示略)を備える。高さ調節機構としては、例えば電動モータ等の周知の駆動装置を用いて、鉛直管11を支持するブラケットの上下方向の位置を調節したり、あるいは搬送面21が巻き回されている前後2つの回転ローラ23の上下方向の位置を調節すればよい。高さ調節機構を用いて鉛直管11の下部開口11aから搬送面21までの距離を変えることで氷結晶50の切断長さを変えることができる。高さ調節機構を備えることにすれば、氷結晶破砕用コンベヤ20の搬送能力や氷結晶融解部30の処理能力に応じて氷結晶50の切断長さを調節できる。
図5(a)及び(b)に示すように氷結晶融解部30は、切断後の中空状の氷結晶50を部分融解させて所望の濃度の融解液を得るために設けられる。
具体的には、氷結晶融解部30は収容容器31、加温機構32及び撹拌機構33から概略構成される。
収容容器31は切断後の氷結晶50を外気に対して密閉状態で収容するものである。収容容器31の形状は特に限定されるものではないが、例えば下方に向かって縮径する円錐形状とし、その上端面に氷結晶50を投入するための上部開口31aを設け、その下部に融解液を回収するための取出口31bを設け、上部開口31aを蓋体31cで閉じることで内部を密閉する構造にすればよい。収容容器31を備えることにすれば、従来の装置のように送風機で風を送りながら氷結晶50を部分融解させる場合と比較して、融解液に含まれる溶質のフレーバー成分が風で煽られて大気中に拡散してしまう事態を防ぎ、融解液中の溶質の成分バランスを濃縮前の溶液の成分バランスとほぼ同等にできる。
上記氷結晶破砕用コンベヤ20を床面近くに配置する場合には、必要に応じて氷結晶破砕用コンベヤ20の終端(前端)から斜め上方に収容容器31の上部開口31aにまで至る氷結晶搬送用コンベヤ40を別途配置すればよい。この場合、氷結晶50をこの氷結晶搬送用コンベヤ40に載せて上部開口31aまで移動させて収容容器31内に投入することになる。
加温機構32は収容容器31内を加温するために設けられる。加温するための手段としては特に限定されるものではなく、例えば収容容器31の外周面に温媒を循環させたり、収容容器31の内部にヒーターを取り付けることにしてもよい。収容容器31内の温度は温度計32aで測定可能にしておく。
撹拌機構33は収容容器31内の氷結晶50を撹拌するために設けられる。撹拌するための手段としては特に限定されるものではなく、例えば上記蓋体31cに支持された状態でその下端が収容容器31の内部にまで至る回転軸33aと、この回転軸33aの周囲に取り付けたプロペラ状の攪拌翼33bで構成してもよい。攪拌翼33bの構造も特に限定されるものではないが、例えば複数の棒状部材33cの上端同士を円環33dで接続し、下端同士を円盤33eで接続することで収容容器31の形状に対応した円錐形状にしてもよい。また、蓋体31cの下面にいわゆる邪魔板としての棒状部材33fを取り付けた構成にしてもよい。撹拌機構33を用いることで収容容器31内の温度分布をより均一化することができる。
界面前進凍結濃縮装置Bで生成した氷結晶50をゆっくり時間をかけて融解していくと、まず最初に溶質を多く含有する高濃度の融解液が溶出し、次第に濃度が低くなっていくことが知られている。したがって、加温機構32と撹拌機構33を用いて氷結晶50を撹拌しながら加温すると、収容容器31内の温度をほぼ均一化できるため、所望の濃度の融解液を回収し易くなる。
発酵部Cは、第1の濃縮果汁と融解液とを混ぜ合わせて成る第2の濃縮果汁をアルコール発酵させて果実酒を得るために設けられる。第2の濃縮果汁の糖度に特に制限はなく、本発明の果実酒の製造システムAによれば濃縮前の糖度が10 Brix前後の果汁であっても、第2の濃縮果汁の糖度を補糖せずに20 Brix以上に高めることができる。
アルコール発酵の方法は周知のものを使用でき、例えば密閉容器内に第2の濃縮果汁と適量の酵母を加えて、必要に応じて加温して一定期間保管しておく方法が挙げられる。
なお、上記実施の形態では、界面前進凍結濃縮装置Bが氷結晶破砕用コンベヤ20や氷結晶融解部30を備えるものとしたが、装置構成は適宜変更可能である。また、氷結晶生成部10で得た第1の濃縮果汁のみをアルコール発酵させて果実酒を得ることにしてもよい。
[果物香気成分濃縮による天然香気素材開発]
次に、本発明の果実酒の製造方法及び製造システムの実施例1について説明する。
本発明を用いるとりんご、モモ、ラ・フランス、ブドウなどの濃縮果汁の香気バランスを濃縮前と比較してほとんど崩さずに維持できる。図6に濃縮ラ・フランス果汁香気凝縮液に対して更に界面前進凍結濃縮を行った場合と、比較例として逆浸透濃縮を行った場合における濃縮後の香気成分のフレーバーパターンを比較した結果を示す。逆浸透においては濃縮により香気バランスが大きく崩れているのに対し、界面前進凍結濃縮は香気バランスを保ったまま有効な濃縮ができていることが分かる。したがって、界面前進凍結濃縮で得られた濃縮果汁をアルコール発酵させることで、溶質の保存性に優れ、果汁の品質劣化を防止して香味を高めた果実酒を製造できることが分かる。
[浸透圧が低い果汁への適用]
次に、本発明の果実酒の製造方法及び製造システムの実施例2について説明する。
浸透圧が低い果汁に対して界面前進凍結濃縮を行うことにより95%以上の収率達成を容易に行える。図7はラ・フランス果汁香気凝縮液に対して更に界面前進凍結濃縮を行い、約6倍に濃縮した後の濃縮液及び部分融解液、そして比較例としての原液のクロマトグラムである。氷結晶への溶質の取り込みは極めて少なく、フレーバーバランスを保ったまま香気成分の有効な濃縮が行われていることが分かる。したがって、界面前進凍結濃縮で得られた濃縮果汁をアルコール発酵させることで、溶質の保存性に優れ、果汁の品質劣化を防止して香味を高めた果実酒を製造できることが分かる。
[浸透圧が中程度の溶液への適用]
次に、本発明の果実酒の製造方法及び製造システムの実施例3について説明する。
多くの果汁がこの範疇に分類され、氷結晶への溶質の取り込み率が高く、収率が低下し易い。このような果汁に対しても本発明が有効である。トマト果汁(除パルプ)に対して界面前進凍結濃縮を行った結果、部分濃縮を行う前の段階では浸透圧がやや高く(9.9atm)、図8に示すように体積濃縮比1.63倍の濃縮において濃度濃縮比は1.49倍、収率は91%とやや低い結果である。次に生成した氷結晶に対して部分濃縮を行い、約25%程度の氷結晶を融解し、溶質を回収することで収率を95%以上に改善できた。
[果実酒(ワイン)の製造]
次に、本発明の果実酒の製造方法及び製造システムの実施例4について説明する。
図9に本発明に基づいて界面前進凍結濃縮を行った濃縮ブドウ果汁及びこの濃縮ブドウ果汁を用いた果実酒(ワイン)製造の例を示す。凍結濃縮により糖度を13.7から25.5 Brixまで改善した濃縮果汁を用いることによって、アルコール度は15%近くにまで達していることがわかる。図10はこのようにして生産した巨峰ワインの様子を示す。この方法では、補糖による場合と比較して、味・香り・色ともに濃縮されるため良質のワインが得られた。
[果実酒(りんごワイン)の製造]
次に、本発明の果実酒の製造方法及び製造システムの実施例5について説明する。
図11にりんご果汁を界面前進凍結濃縮して13.7 Brixの果汁を25.5 Brixまで濃縮した際に生成した氷結晶の様子を示す。図12はこの濃縮果汁を用いた場合の発酵過程におけるエタノール濃度変化を示しており、エタノール濃度11.6%の良好なりんごワインが得られたことが分かる。
[果実酒(すいかワイン)の製造]
次に、本発明の果実酒の製造方法及び製造システムの実施例6について説明する。
図13は、すいか果汁を界面前進凍結濃縮及びアルコール発酵させた際の濃縮すいか果汁の糖度とすいかワインのエタノール濃度を示す。すいかでも良質なワインを製造できることが分かる。
図14に実施例5のりんごワインと実施例6のすいかワインの様子を示す。
本発明は、果汁中の溶質の保存性に優れると共に装置構成を比較的シンプルにできる界面前進凍結濃縮法による果実酒の製造方法及び製造システムに関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
A 果実酒の製造システム
B 界面前進凍結濃縮装置
C 発酵部
10 氷結晶生成部
11 鉛直管
11a 下部開口
11b 開閉弁
11c 取出口
12 溶液タンク
12a 送液用ポンプ
13 流量計
14 溶液循環用ポンプ
15 冷却ジャケット
16 冷媒タンク

Claims (4)

  1. 界面前進凍結濃縮法により濃縮果汁を得る工程と、得られた濃縮果汁をアルコール発酵させて果実酒を得る工程とを備えることを特徴とする果実酒の製造方法。
  2. 前記界面前進凍結濃縮法が、鉛直管の外部を冷媒で冷却しながらその内部に果汁を循環させることで鉛直管内に中空棒状の氷結晶を生成する工程と、氷結晶生成部内の第1の濃縮果汁を取り出す工程と、前記氷結晶を部分融解させて所望の濃度の融解液を得る工程と、第1の濃縮果汁と融解液とを混ぜ合わせて第2の濃縮果汁を得る工程と、第2の濃縮果汁をアルコール発酵させる工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の果実酒の製造方法。
  3. 濃縮前の果汁の糖度が20 Brix未満であり、第2の濃縮果汁の糖度が20 Brix以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の果実酒の製造方法。
  4. 鉛直管の外部を冷媒で冷却しながらその内部に果汁を循環させることで鉛直管内に中空棒状の氷結晶を生成する氷結晶生成部、氷結晶生成部内の第1の濃縮果汁を外部に取り出す取出口、鉛直管の下部開口を開閉する開閉弁、鉛直管の下方に配置されており、開閉弁を開いて鉛直管から自然落下させて取り出した前記氷結晶を搬送面上に載置して破砕する氷結晶破砕用コンベヤ、前記氷結晶を部分融解させて所望の濃度の融解液を得る氷結晶融解部を備える界面前進凍結濃縮装置と、
    前記第1の濃縮果汁と前記融解液とを混ぜ合わせて成る第2の濃縮果汁をアルコール発酵させて果実酒を得る発酵部とから構成されることを特徴とする果実酒の製造システム。
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