JP5173589B2 - プランジャとこれを用いた樹脂モールド方法 - Google Patents
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Description
このような樹脂バリが形成されることを防止した一例として、例えば、特許文献1に開示されているような樹脂封止装置がある。
しかしながら、樹脂モールド成形を継続していると、プランジャの樹脂押圧面(特に、樹脂押圧面の中央部分)に樹脂かすが付着し、この樹脂かすが成長することでポット内におけるプランジャのストローク量が不足してしまうという課題があることも見出された。このように、プランジャのストローク量が不足すると、被成形品の加圧不足やモールド用樹脂の充てん不足といった問題が生じることになることが明らかになった。
また、上記の樹脂モールド方法において、プランジャのヘッド部分に樹脂押圧面とクリアランス部分にシール部が形成されすい構成を備えたプランジャの提供を第2の目的としている。
すなわち、ポットに往復動自在に収容され、前記ポットに供給された樹脂を押圧してキャビティに圧送するトランスファモールド金型のプランジャにおいて、前記樹脂を押圧するヘッド部は、プランジャの軸側に位置する大径部と、前記大径部より小径に形成され、樹脂押圧面に凹穴が配設された中径部と、前記中径部よりさらに小径に形成された小径部と、により構成されていて、樹脂押圧面側から前記中径部、小径部、大径部の順で一体に形成されていることを特徴とするプランジャを第1発明とした。
(プランジャの構造)
以下に、本発明の好適な実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、第1実施形態におけるプランジャを示す平面図と正面図である。図1の正面図においては、プランジャの構造を分かりやすくするため、左半分側に断面図を示している。
図2は、図1で説明したプランジャにシール部を形成する際において、ポット内にシール用樹脂を供給した後の状態を示す断面図である。図3は、図2中のA部分における拡大図である。図4は、シール部の形成前後における状態を示す断面図である。
まず、上型100aと下型100bとにより構成されるトランスファモールド金型100(以下、単に金型100という)を樹脂モールド温度まで加熱した後、プランジャ10をポット40に収容してセットする。このとき、プランジャ10は、ヘッド部30の先端部端面(樹脂押圧面)の高さ位置が、通常の樹脂供給時における高さ位置よりも若干低い高さ位置となるようにしておくことが好ましい。換言すれば、通常の樹脂モールド時においてモールド用樹脂が供給されるときにおけるプランジャ10の待機位置に対して、パーティング面からより離れた位置で待機することになる。
シール部形成用樹脂50の供給形態は、タブレット状、液状、粒状のいずれの形態であってもよいが、本実施形態の場合には後述するシール部60形成の都合上、液状樹脂を使用した。
溶融したシール部形成用樹脂50は、中径部34の開口部分および小径部36の貫通孔37から凹穴35に充てんされる。シール部形成用樹脂50は、大径部32の上面から中径部34の樹脂押圧面を覆う形状(いわゆるキャップ形状)をなした状態で熱硬化する。
シール部60は、プランジャ10のヘッド部30に形成された中径部34の凹穴35、小径部36の貫通孔37、中径部34と小径部36との段差部分をそれぞれ抱き込んだ状態(換言すれば、アンダーカットの下側に回りこんだ状態)となっているため、ヘッド部30からきわめて強固な(抜け難い)状態で形成されている。本実施形態においては、プランジャ10の樹脂押圧面は全面がシール部60(中径部34の樹脂押圧面からの上下方向の幅(厚さ寸法)が2〜3mmに形成されている)となる。シール部60は、ポット40の内周面から引き剥がされることでシュリンク(収縮)し、ポット40の内周面との間にきわめて小さいクリアランスが形成される。この場合、このクリアランスはフィラー51を含ませる量によって適宜設定される。
図5は、第1実施形態におけるシール部を設けたプランジャを装着したモールド金型による樹脂モールド成形を行う際において、モールド用樹脂を供給した状態と、プランジャがモールド用樹脂を押圧した状態を示すプランジャのヘッド部近傍における断面図である。図6は、プランジャがモールド樹脂を押圧した際においてシール部に作用する力の状態を示す断面図である。図7は、モールド用樹脂が熱硬化した後にプランジャが下降する前後の状態におけるプランジャのヘッド部近傍の断面図である。
なお、本実施形態においては、樹脂モールドの工程において、キャビティへの被成形品のセットについての説明は行わないが、通常の工程と同様にして行うことができる。
この後、金型100を型開きして、図示しないイジェクトピン等により樹脂モールド成形品がキャビティから離型されると共に頭外のオフローダによって樹脂カルと共に取り出される。そして再び上金型100aと下金型100bとを型合わせすることで図5に示す状態に戻した後、プランジャ10のヘッド部30の上にモールド用樹脂70を供給する工程から樹脂モールド成形品の取り出し工程までを繰り返し行うことで、連続的な樹脂モールド成形が可能である。
よって、クリアランス部分から漏出したモールド用樹脂70により、プランジャ10の動作に支障を与えることがなく、樹脂モールド成形時におけるメンテナンスを少なくすることが可能になる。また、プランジャ10のヘッド部30の樹脂押圧面に付着したモールド用樹脂70によるプランジャ10のストローク量が不足することもないので、モールド用樹脂70の充てん不足のおそれがなく、高品質の樹脂モールド成形品を製造することができる。
(プランジャの構造)
図8は、第2実施形態におけるプランジャの平面図と正面図である。図8の正面図の左側半分はプランジャの形状を理解しやすくするため断面図としている。
本実施形態におけるプランジャ10は、ヘッド部30が大径部32、中径部34、小径部36により構成されている点は共通しているが、大径部32にはシールリングが装着されていない点、小径部36には中径部34に設けられた凹穴35に連通する貫通孔が配設されていない点で先の実施形態と相違している。また、凹穴35の深さも本実施形態においては中径部34の深さの範囲内で収まるように形成されている点も先の実施形態と僅かに相違している。
図9〜12は、本実施形態にかかるプランジャのヘッド部にシール部を形成する工程から被成形品を樹脂モールド成形するまでの各工程におけるプランジャのヘッド部近傍の断面図である。
まず、上記に説明したプランジャ10を図9の左側半分に示すようにシール部形成用樹脂50の供給位置に待機させる。シール部形成用樹脂70はポット40の内部空間においてプランジャ10のヘッド部30の上に供給される。シール部形成用樹脂50は熱硬化性樹脂(第1実施形態と同様にシリコン樹脂やエポキシ樹脂が好ましい)が用いられ、供給形態は液状、タブレット状、粒状のいずれの形態であってもよい。シール部形成用樹脂50は、プランジャ10のヘッド部30の外周面とポット40の内周面との間のクリアランス部分から軸20方向に漏出しないように、粘度が若干高くなるように調整して流動性が抑えられた状態で供給される。粘度を高くする方法としては、例えば、フィラー51の充てん量を増加させる方法や、硬化剤の混合割合や種類などを適宜調整する方法を採用することができる。また、シール部形成用樹脂50が液状樹脂であれば、所定時間だけキュア(硬化)させて、熱硬化の反応を進めることで所定の粘度に調整する方法等を採用することができる。
熱硬化したシール部形成用樹脂50のうちカル部80に残留したものは、型開きをした後イジェクトピン等により排出すればよい。
シール部60は、樹脂圧力が7.85MPaというきわめて高い圧力下での変形となるが、プランジャ10は停止状態であることに加え、ポット40の素材であるタングステンカーバイトに対し、非常に柔軟な素材(シリコン樹脂やエポキシ樹脂)により形成されているため、シール部60の変形によりポット40が損傷するおそれはない。
この後、金型100を型開きして、図示しないイジェクトピン等により樹脂モールド成形品をキャビティから取り出す。この後、再び上金型100aと下金型100bとを型合わせすることで図9に示す状態に戻る。そしてプランジャ10のヘッド部30の上にモールド用樹脂70を供給する工程から樹脂モールド製品の取り出しまでの工程を繰り返し行うことで、連続的な樹脂モールド成形が可能である。
例えば、第1実施形態におけるプランジャ10、金型100、樹脂モールド方法における各構成のうちの一部構成と、第2実施形態におけるプランジャ10、金型100、樹脂モールド方法における各構成のうちの一部構成とを適宜組み合わせることももちろん可能である。一例としては、第2実施形態の樹脂モールド方法に第1実施形態のプランジャ10を用いることができる。この場合、貫通孔37によってシール部60をプランジャ10に確実に保持させることができるため、シール部60が抜け落ちたりすることなくシール部形成用樹脂50を確実に切断分割することができる。また、シール部60の形成用の樹脂モールドにおいてシールリング33によってシール部形成用樹脂50の漏出を確実に防止することができる。
さらには、第1実施形態の小径部36に設けられている貫通孔37の配設数は複数であることが好ましいが1つであってもよく、2つ以上配設するときは凹穴35を挟んで向かい合うように対称的な位置に配置するのが好ましい。このように配置することによりシール部60を容易に除去することができる。
さらにまた、第1実施形態の小径部36に設けられている貫通孔37は同じ高さ位置に配設されているが、複数の貫通孔37を小径部36の異なる高さ位置に配設することももちろん可能である。
20 軸
30 ヘッド部
31 凹溝
32 大径部
33 シールリング
34 中径部
35 凹穴
36 小径部
37 貫通孔
40 ポット
50 シール部形成用樹脂
51 フィラー
60 シール部
70 モールド用樹脂
80 カル部
100 金型
100a 上型
100b 下型
Claims (8)
- ポットに往復動自在に収容され、前記ポットに供給された樹脂を押圧してキャビティに圧送するトランスファモールド金型のプランジャにおいて、
前記樹脂を押圧するヘッド部は、
プランジャの軸側に位置する大径部と、
前記大径部より小径に形成され、樹脂押圧面に凹穴が配設された中径部と、
前記中径部よりさらに小径に形成された小径部と、により構成されていて、
樹脂押圧面側から前記中径部、小径部、大径部の順で一体に形成されていることを特徴とするプランジャ。 - 前記凹穴は、開口部よりも底部の方が径大に形成されていることを特徴とする請求項1記載のプランジャ。
- 前記小径部には、小径部の外表面と前記凹穴の内部とを連通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のプランジャ。
- 前記大径部の外周面には溝部が周設されていて、
前記溝部には、前記トランスファモールド金型が樹脂モールド温度に加熱された際に、前記ポットの内周面に密着するシールリングが装着されていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のプランジャ。 - ポットと、
前記ポットに往復動自在に収容され、前記ポットに供給された樹脂を押圧してキャビティに圧送するプランジャと、を備えるトランスファモールド金型を用いて樹脂モールドする樹脂モールド方法において、
請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のプランジャを、樹脂モールド温度に昇温されたトランスファモールド金型に収容する工程と、
前記プランジャが収容された前記ポットに熱硬化性のシール部形成用樹脂を供給して、該ポット内において前記シール部形成用樹脂を溶融させる工程と、
前記シール部形成用樹脂を硬化させて、前記樹脂モールド温度において前記ポットの内周面に密着するシール部を、前記プランジャのヘッド部の前記樹脂押圧面を覆うと共に外周面を周回するキャップ形状に形成する工程と、
モールド用樹脂を前記ポットに供給する工程と、
前記プランジャを作動させることによって、前記シール部により前記ポットの内周面との間をシールした状態で前記モールド用樹脂を押圧しながら圧送してキャビティにモールド樹脂を注入する工程と、を有することを特徴とする樹脂モールド方法。 - 前記モールド用樹脂を供給する前に、前記シール部が形成された前記プランジャを前進させることにより前記ポットの内周面に付着している前記シール部を前記ポットの内周面から剥がす工程をさらに有することを特徴とする請求項5記載の樹脂モールド方法。
- ポットと、
前記ポットに往復動自在に収容され、前記ポットに供給された樹脂を押圧してキャビティに圧送するプランジャと、を備えるトランスファモールド金型を用いて樹脂モールドする樹脂モールド方法において、
請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のプランジャを、樹脂モールド温度に昇温されたトランスファモールド金型に収容する工程と、
前記プランジャが収容された前記ポットに熱硬化性樹脂からなるシール部形成用樹脂を供給した後、前記プランジャを前進させて、前記シール部形成用樹脂をキャビティに圧送する工程と、
前記シール部形成用樹脂が硬化した後、前記プランジャを後進させ、前記硬化したシール部形成用樹脂の一部を、前記プランジャの凹穴と、前記中径部および前記小径部の外周面に残留させることによりシール部を形成する工程と、
モールド用樹脂を前記ポットに供給する工程と、
前記プランジャを作動させることによって、前記シール部により前記ポットの内周面との間をシールした状態で前記モールド用樹脂を押圧しながら圧送してキャビティにモールド樹脂を注入する工程と、を有することを特徴とする樹脂モールド方法。 - 前記シール部形成用樹脂は、前記ポット内周面と前記プランジャのヘッド部外周面との間のクリアランス部分からの漏出を防止することが可能な粘度となるように粘度調整した状態で前記ポットに供給されることを特徴とする請求項5〜7のうちのいずれか一項に記載の樹脂モールド方法。
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