次に本発明について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図2は本発明のUWB無線通信装置の第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。第1の実施の形態では、無線通信装置に備えるUWB信号を受信する受信機の例を示す。
図2に示すように、第1の実施の形態の受信機は、受信アンテナ101、ローノイズアンプ(LNA)102、第1のダウンコンバータ103、第1のローカル発生器104、ホッピング複素フィルタ108、第2のダウンコンバータ109、第2のローカル発生器110、ローパスフィルタ(LPF)111、可変ゲインアンプ112(VGA)、A/D変換器113及びベースバンド処理回路114を有する構成である。第1ローカル発生器104は、電圧制御発振器(VCO)107、分周器106及びセレクタ105を備えている。
まず、図2に示す第1ローカル発生器104について説明する。
UWB無線通信装置では3つのバンドによって構成されるバンドグループ単位でUWB信号が送受信される。このバンドグループ内の3つのバンド間で図3(b)に示すようにホッピングが実施される。図3(b)ではf1、f2、f3の順にホッピングする例を示しているが、ホッピングのシーケンスは7種類あり、異なるシーケンスを使い分けることで同じ通信領域内に存在する複数のUWB無線通信装置と通信できる(例えばHigh Rate Ultra Wideband PHY and MAC Standard, ECMA-368参照)。
以下では、図3(a)に示す第1のバンドグループ201を使用する例で説明する。
第1のローカル発生器104は、第1のバンドグループの中心周波数である3960MHzを出力する。第1のバンドグループ201は、第1のバンド、第2のバンド及び第3のバンドで構成されるため、3960MHzは第2のバンドの中心周波数でもある。
従来のUWB無線通信装置では、ホッピング動作に合わせて図1(b)で示したようにローカル信号の周波数を切り替えていたが、本実施形態では図3(b)に示すようにローカル信号の周波数をホッピング動作に合わせて切り替えずにバンドグループの中心周波数で固定する。但し、異なるバンドグループを用いる場合は、ローカル信号の周波数をその中心周波数に変更する。UWB技術では、バンドグループの切り替えには高速性能が要求されていない。例えば、図3(a)に示す第1のバンドグループ201から第6のバンドグループ202へ変更する場合、第1のローカル発生器104は、第1のバンドグループの中心周波数である3960MHzから第6のバンドグループの中心周波数である8184MHzへ出力周波数を変更する。この周波数の変更速度は、変更後の周波数でVCO107がロックするのに必要な数μ秒よりも十分に遅くてよい。
ここで、第1のバンドグループの中心周波数である3960MHzと第6のバンドグループの中心周波数である8284MHzとは整数倍ではないが、およそ2倍の関係にある。したがって、第1のローカル発生器104に1/2分周器を備えていれば、VCO107の発振周波数をわずかに変えるだけで第1のバンドグループと第6のバンドグループの中心周波数に対応するローカル信号を生成できる。その場合、分周比や発振周波数を変えた後、変更後の周波数にVCO107を再びロックさせればよい。
図2に示す第1のローカル発生器104は、VCO107にて8000MHz付近の周波数を生成し、分周器106にてVCO107の出力周波数を1/2にする回路例を示している。セレクタ105は、第1のバンドグループを受信した場合は分周器106の出力信号を選択し、第6のバンドグループを受信した場合はVCO107の出力信号を選択する。このとき、VCO107は、第1のバンドグループの中心周波数の2倍の周波数である7920MHzから第6のバンドグループの中心周波数である8184MHzの範囲で、プロセス、電源電圧、周辺温度等の各種の変動要因に対して十分なマージンを備えたチューニングレンジを備えていればよい。
なお、上記説明では、第1のバンドグループと第6のバンドグループで用いるローカル信号を生成する例を示したが、図2に示す第1のローカル発生器104は、発振器や分周器の構成を変えことで、他のバンドグループで用いる周波数のローカル信号を生成することも可能である。また、図2に示す第1のローカル発生器104は、発振器や分周器の構成を変えことで、2つのバンドグループだけでなく、より多くのバンドグループで用いるローカル信号を生成することも可能である。
次に図2に示したホッピング複素フィルタ108について説明する。
図11(a)に示すように、ホッピング複素フィルタ108は、ポリフェイズフィルタ1001及びセレクタ1002を備え、複数の濾波特性を高速に切り替えることが可能である。濾波特性は、例えばベースバンド処理回路114から出力される制御信号によって切り替えられる。ベースバンド処理回路114は、受信したUWB信号のプリアンブル部に格納された情報を用いて同期を確立し、濾波特性の切り替えタイミングを決定すればよい。
ポリフェイズフィルタ1001は、図11(b)に示すように、4個の抵抗器と4個のキャパシタで構成された回路が、例えば直列に3段接続された構成である。
図11(a)では省略されているが、ポリフェイズフィルタ1001には、図11(b)に示すように、I信号及びQ信号の正転信号(Iin+、Qin+)及び反転信号(Iin−、Qin−)が入力される。これらの信号は、絶対値が等しく、Iin+、Qin+、Iin−、Qin−の順に各々90°の位相差を備えている。
図11(b)に示すポリフェイズフィルタ1001は、各段の4個の抵抗器と4個のキャパシタがそれぞれ等しい値で構成されている。すなわち、Iin+とI1+間、Qin+とQ1+間、Iin−とI1−間、及びQin−とQ1−間にそれぞれ抵抗器R1が配置され、Iin+とQ1+間、Qin+とI1−間、Iin−とQ1−間及びQin−とI1+間にそれぞれキャパシタC1が配置されている。
同様に、I1+とI2+間、Q1+とQ2+間、I1−とI2−間、及びQ1−とQ2−間にそれぞれ抵抗器R2が配置され、I1+とQ2+間、Q1+とI2−間、I1−とQ2−間及びQ1−とI2+間にそれぞれキャパシタC2が配置されている。
また、I2+とI3+間、Q2+とQ3+間、I2−とI3−間、及びQ2−とQ3−間にそれぞれ抵抗器R3が配置され、I2+とQ3+間、Q2+とI3−間、I2−とQ3−間及びQ2−とI3+間にそれぞれキャパシタC3が配置されている。
このような構成では、例えばIin+から入力された信号は抵抗器R1を通してI1+へ出力され、Iin+と−270°の位相差を持つQin−から入力された信号はキャパシタC1を通してI1+へ出力される。このとき、Iin+から入力された信号はそのままの位相でI1+へ出力され、Qin−から入力された信号はキャパシタC1のインピーダンス1/jωC1によって位相が回転してI1+へ出力される。そのため、I1+では抵抗器R1を通過した信号とキャパシタC1を通過した信号とが打ち消し合う。
以上の操作は、Iin+、Qin+、Iin−、Qin−から入力された各信号に対しても同様に実施され、さらに各段の回路においても同様の操作が実施される。そのため、図11(b)に示すポリフェイズフィルタ1001を用いると、I信号とQ信号の直交性を保ちつつ、所定の周波数信号の通過を阻止できる。
本実施形態では、図11(b)に示すポリフェイズフィルタ1001が備える各段の抵抗器及びキャパシタについて、R1C1、R2C2、R3C3が異なる値となるように設定する。これによりポリフェイズフィルタ1001の各段で阻止する周波数が異なる値となり、図11(c)に示すように広い周波数範囲の信号の通過を阻止する濾波特性が得られる。ポリフェイズフィルタ1001による阻止性能は、I信号とQ信号の直交性にも依存するが、40dBc以上に設定できる。
なお、図11(c)に示す下向きの3つのピークは図11(b)に示した構成のポリフェイズフィルタ1001の各段で阻止する周波数を示している。また、図11(c)に示す「−f阻止」はマイナス側の所定の周波数範囲(以下、マイナス周波数)の信号通過を阻止する特性(以下、−f阻止特性と称す)を示し、「+f阻止」はプラス側の所定の周波数範囲(以下、プラス周波数)の信号通過を阻止する特性(以下、+f阻止特性と称す)を示し、「全通過」はマイナス周波数及びプラス周波数を抑圧することなく全ての周波数信号を通過させる特性(以下、全通過特性と称す)を示している。
ホッピング複素フィルタ108を−f阻止特性に設定した場合はプラス周波数の信号がそのまま通過し、+f阻止特性に設定した場合はマイナス周波数の信号がそのまま通過する。また、ホッピング複素フィルタ108を全通過特性に設定した場合はマイナス周波数及びプラス周波数の信号が阻止されることなくそのまま通過する。
例えばC1=C2=C3=1pF、R1=216Ω、R2=320Ω、R3=567Ωに設定すれば、後述するイメージ周波数の除去に必要な264〜792MHz(または−264〜−792MHz)の広帯域の阻止特性が得られる。
このホッピング複素フィルタ108の−f阻止特性、+f阻止特性の切り替えは、セレクタ1002を用いて実現する。セレクタ1002は、例えば図11(d)に示すように、第1のスイッチ群1003及び第2のスイッチ群1004を備えた構成である。
第1のスイッチ群1003は、オン時にポリフェイズフィルタ1001から出力されるI信号及びQ信号をそのまま通過させる。第2のスイッチ群1004は、オン時にポリフェイズフィルタ1001から出力されるI信号をそのまま通過させ、Q信号の正転信号と反転信号を入れ替えて出力する。
このような構成では、第1のスイッチ群1003の各スイッチをオンにし、第2のスイッチ群1004の各スイッチをオフにすると、ホッピング複素フィルタ108が−f阻止特性に設定される。また、第1のスイッチ群1003の各スイッチをオフにし、第2のスイッチ群1004の各スイッチをオンにすると、ホッピング複素フィルタ108が+f阻止特性に設定される。
なお、上述したように、第2のスイッチ群1004では、I信号をそのまま通過させ、Q信号の正転信号と反転信号の接続を入れ替えるため、I信号とQ信号の信号経路の寄生容量あるいはスイッチのチャージインジェクションやゲートフィードスルーが異なる値となり、位相回転が起きてI信号とQ信号の直交性を維持できないおそれがある。したがって、第2のスイッチ群1004の各スイッチは、I信号とQ信号の直交性を維持するために、これらの値が等しくなるように配置するのが好ましい。
ホッピング複素フィルタ108を全通過特性に設定する方法としては、以下が考えられる。
例えば、ホッピング複素フィルタ108に、入出力端子間を接続するための第3のスイッチ群(不図示)を備え、ホッピング複素フィルタ108に入力されるI信号及びQ信号の正転信号と反転信号をそのまま出力するための経路を設ける構成がある。また、図11(b)に示したポリフェイズフィルタ1001が備える各キャパシタC1〜C3の接続をスイッチによって切り離す構成がある。
上記第3のスイッチ群を備える構成は、−f阻止特性及び+f阻止特性の選択時に抵抗器を介して信号が出力され、全通過特性の選択時にスイッチを介して信号が出力されるため、−f阻止特性及び+f阻止特性と全通過特性とで出力信号の減衰量に差が生じる。
それに対してポリフェイズフィルタ1001の各キャパシタの接続をスイッチで切り離す構成では、全通過特性の選択時も抵抗器を介して信号が出力されるため、−f阻止特性及び+f阻止特性と全通過特性とで出力信号の減衰量に差が生じない効果がある。なお、上記第3のスイッチ群を備える構成でも、全通過特性の選択時に抵抗器等の減衰器にてホッピング複素フィルタ108の入出力端子間を接続すれば、上記の問題は回避できる。
さらに、ホッピング複素フィルタ108は、図11(e)に示すように、−f阻止特性のみ持つ第1のポリフェイズフィルタ1005、全通過特性を持つ第2のポリフェイズフィルタ1006、+f阻止特性のみ持つ第3のポリフェイズフィルタ1007及びそれらのフィルタ出力を切り替えるセレクタ1008を有する構成としてもよい。図11(b)に示したポリフェイズフィルタ1001では、図11(c)に示したように基準周波数(0Hz)の軸に対して線対称の関係にある−f阻止特性と+f阻止特性とが得られる。図11(e)に示すホッピング複素フィルタ108は、−f阻止特性と+f阻止特性とを上記線対称の関係にしない場合に適した構成である。
なお、上記ホッピング複素フィルタ108は、受信したUWB信号を3つのバンドの信号に分離するための構成例を示しているが、分離数は3つに限定されるものではなく、いくつであってもよい。
次に第1の実施の形態の受信機の動作について説明する。
上述したように、UWB無線通信装置では、UWB信号が図3(b)に示した各バンド間で高速にホッピングする。図3(b)の四角はOFDMシンボル(以下、単位シンボルと称す)を示し、約500MHzの周波数帯域を備え、シンボル間のインターバルは約9.5nsである。
この周波数がホッピングするUWB信号は、図2に示したアンテナ101で受信され、ローノイズアンプ102で増幅された後、第1のダウンコンバータ103のRFポートに入力される。
例えば第1のバンドグループを受信した場合、第1のダウンコンバータ103には第1ローカル発生器104で生成された3960MHzのローカル信号が供給される。ダウンコンバータ103のRFポートに入力された第1のバンド〜第3のバンドのUWB信号は、約−792MHzから+792MHzのIF(中間周波数)信号にダウンコンバートされて出力される。このとき、第1のダウンコンバータ103からは位相差が90°のIF信号であるI信号及びQ信号がそれぞれ出力される。
I信号及びQ信号は、第1のダウンコンバータ103が備えるI側ローカルポート及びQ側ローカルポートへそれぞれローカル信号を入力することで得ることができる。I信号及びQ信号は、差動信号であり、I+、Q+、I−、Q−の順に各々90度の位相差を持っている。これら4つのIF信号がホッピング複素フィルタ108へ入力される。
図3(b)に示したシンボルf1の受信時、ホッピング複素フィルタ108はベースバンド処理回路114の制御により図11(c)に示す+f阻止特性に切り替わる。この場合、ホッピング複素フィルタ108は、図4(a)に示すようにシンボルf1(−792〜−264MHz)のイメージ周波数であるシンボルf3の周波数+264〜+792MHzの信号成分を抑圧する。ホッピング複素フィルタ108を通過したIF信号の周波数帯域は−792〜+264MHzであり、シンボルf1及びシンボルf2を含んでいる。
第2のダウンコンバータ109は、第2のローカル発生器110で生成した528MHzのローカル信号(第2のLO)301を用いてホッピング複素フィルタ108から出力された−792〜+264MHzのIF信号をダウンコンバートする。このとき、−792〜−264MHzのシンボルf1は0Hz(DC)を中心周波数とする−264〜+264MHzのベースバンド信号に変換され、−264〜+264MHzのシンボルf2はベースバンド信号の周波数帯域外へ移動させられる。
第2のダウンコンバータ109の出力信号は、230MHz付近にカットオフ周波数を有するローパスフィルタ111に入力され、ローパスフィルタ111はシンボルf2の電力及びその他の干渉波等の電力を減衰させる。
ローパスフィルタ111の出力信号は、可変ゲインアンプ112によってA/D変換器113のダイナミックレンジに合わせて所要の振幅まで増幅される。可変ゲインアンプ112の出力信号はA/D変換器113へ入力される。
A/D変換器113は、例えば528Mspsの変換レートで−264〜+264MHzのベースバンド信号(ここでは、シンボルf1)をデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換されたシンボルf1はベースバンド処理回路114によって周知の同期検出処理やOFDM信号の復調処理が施される。
一方、図3(b)に示したシンボルf2の受信時、ホッピング複素フィルタ108はベースバンド処理回路114の制御により図11(c)に示した全通過特性に切り替わる。この場合、ホッピング複素フィルタ108は、図4(b)に示すように第1のダウンコンバータ103から出力されたシンボルf2の周波数−264〜+264MHzの信号成分をそのまま通過させる。
シンボルf2の受信時、第2のダウンコンバータ109のLOポートには、例えば第2のダウンコンバータ109のオフセットを補正するためのDC電圧(第2のLO)が入力される。したがって、第2のダウンコンバータ109は、RFポートから入力されたシンボルf2をそのままベースバンドポートから出力する。なお、シンボルf2の受信時、第2のダウンコンバータ109を通過させずに、ホッピング複素フィルタ108の出力信号をそのまま次段のローパスフィルタ111へ供給してもよい。
第2のダウンコンバータ109の出力信号は、230MHz付近にカットオフ周波数を有するローパスフィルタ111に入力され、ローパスフィルタ111は不要な干渉波等の電力を減衰させる。
以降、シンボルf1に対する処理と同様に、ローパスフィルタ111から出力されたシンボルf2は、A/D変換器113によってデジタル信号に変換され、ベースバンド処理回路114によって周知の同期検出処理やOFDM信号の復調処理が施される。
また、図3(b)に示したシンボルf3の受信時、ホッピング複素フィルタ108はベースバンド処理回路114の制御により図11(c)に示した−f阻止特性に切り替わる。この場合、ホッピング複素フィルタ108は、図4(c)に示すようにシンボルf3(+264〜+792MHz)のイメージ周波数であるシンボルf1の周波数−792〜−264MHzの信号成分を抑圧する。したがって、ホッピング複素フィルタ108を通過したIF信号の周波数帯域は−264〜+792MHzであり、シンボルf2及びシンボルf3を含んでいる。
第2のダウンコンバータ109は、第2のローカル発生器110で生成した528MHzのローカル信号302を用いてホッピング複素フィルタ108から出力された−264〜+792MHzのIF信号をダウンコンバートする。このとき、+264〜+792MHzのシンボルf3は0Hz(DC)を中心周波数とする−264〜+264MHzのベースバンド信号に変換され、−264〜+264MHzのシンボルf2はベースバンド信号の周波数帯域外へ移動させられる。
第2のダウンコンバータ109の出力信号は、230MHz付近にカットオフ周波数を有するローパスフィルタ111に入力され、ローパスフィルタ111はシンボルf2の電力及びその他の干渉波等の電力を減衰させる。
以降、シンボルf1及びf2に対する処理と同様に、ローパスフィルタ111から出力されたシンボルf2は、A/D変換器113によってデジタル信号に変換され、ベースバンド処理回路114によって周知の同期検出処理やOFDM信号の復調処理が施される。
第1の実施の形態の無線通信装置によれば、ローカル信号の周波数を各バンドグループの中心周波数に設定することで、特許文献1のように各バンドの中心周波数にローカル信号の周波数を設定する構成に比べて第1のダウンコンバータから出力されるIF信号の周波数を下げることができる。また、特許文献2では第1のダウンコンバータの後段の回路が1320MHzで動作する必要があるが、本実施形態ではその周波数の約1/1.7である792MHzで済む。さらに、ローカル信号の周波数をバンドグループ毎に1つとすることで、ローカル信号をミキサや分周器を用いて生成する必要がなくなる。したがって、ローカル発生器104の回路面積や消費電力を低減できると共にDCオフセットやローカルリークを低減できる。
また、ホッピング複素フィルタ108を備えることで、高速なホッピングを実施する場合でもイメージ周波数を除去してマイナス周波数またはプラス周波数側の信号電力を高速に切り出すことができる。そのため、特許文献2に記載されたシンボルf1にローカル信号の周波数を設定する構成と比べても、第1のダウンコンバータの後段の回路の動作周波数帯域が狭くて済む。また、ホッピング複素フィルタ108を備えることで、ベースバンド帯域外に存在する干渉波等の影響も低減できる。また、第2のローカル信号の周波数も528MHzだけで済むため、第2のダウンコンバータ109を容易に構成できる。
さらに、本実施形態では、従来に比べてA/D変換器の変換レートを大幅に下げることができる。本実施形態では、ローカル信号の周波数を各バンドグループの中心周波数に設定することで、IF信号のマイナス側の周波数帯域とプラス側の周波数帯域とが等しくなる。そのため、ローカル信号が1つであってもA/D変換器で必要な変換レートを最小限に抑制できる。したがって、A/D変換器の113回路面積や消費電力を低減できる。
具体的には、本実施形態では周波数帯域が約528MHz(−264〜+264MHz)の1つのバンドのシンボルのみをA/D変換すればよいため、A/D変換器の変換レートは1つのシンボルを変換するのに必要な約528Mspsとなり、最小限で済む。
それに対して、特許文献2では、ローカル信号の周波数をシンボルf1の周波数に合わせて設定しているため、4つのシンボルを一括して変換する必要があり、A/D変換器の変換レートが2112Mspsとなる。なお、本実施形態でもA/D変換器113の変換レートを2つ以上のシンボルのA/D変換に必要な値に設定してもよい。
ところで、UWB無線通信装置で用いるシンボルのトーン間隔は4.125MHzであり、トーン数が128本であるため、1シンボルをA/D変換するのに必要な変換レートは528Mspsであればよい。しかしながら、必要に応じて変換レートを1.1倍あるいは1.2倍のように非整数倍に設定することも可能である。このことは後述する第4の実施の形態の送信機に備えるD/A変換器にも適用できる。
本実施形態では、ホッピング複素フィルタ108を用いてイメージ周波数を抑圧するため、他の無線通信装置で使用している電波が、例えばシンボルf3の周波数帯域に混入していても、シンボルf1には大きく影響することが無い。また、シンボルf3の周波数帯域で熱ノイズ等が発生しても、シンボルf1にはほとんど影響しない。
また、本実施形態で示したホッピング複素フィルタ108は、キャパシタ、抵抗器及びスイッチのみで構成されているため、基本的に定常電流を必要とせず、また高いリニアリティ特性を備えている。無線LANや携帯電話機のような多くの干渉源が存在するUWB無線通信装置にとって高いリニアリティ特性を備えていることの意義は大きい。また、能動素子を用いることによるノイズが発生しない構成も、特に受信機にとって大きなメリットとなる。例えば、トランスコンダクタンスアンプを用いて構成されたアクティブフィルタでは、上記ホッピング複素フィルタ108と同様の濾波特性を得るのに高い次数が必要であり、定常電流が大きくなり、高いリニアリティを得るのが困難であり、熱ノイズや1/fノイズが大きい等の問題もある。
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について図面を用いて説明する。
図5は本発明のUWB無線通信装置の第2の実施の形態の構成を示すブロック図である。第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様にUWB信号を受信する受信機の例である。
図5に示すように、第2の実施の形態の受信機は、第1の実施の形態で示した受信アンテナ101、ローノイズアンプ(LNA)102、第1のダウンコンバータ103、第1のローカル発生器104、ホッピング複素フィルタ108及びベースバンド処理回路114に加えて、第1のローパルフィルタ401、可変ゲインアンプ402、A/D変換器403、第2のダウンコンバータ404及び第2のローパスフィルタ405を備えた構成である。
第2の実施の形態の受信機は、第2のダウンコンバータ404をデジタル信号処理によって実現する例である。受信アンテナ101、ローノイズアンプ(LNA)102、第1のダウンコンバータ103、第1のローカル発生器104、ホッピング複素フィルタ108及びベースバンド処理回路114の構成は第1の実施の形態で示した受信機と同様であるため、その説明は省略する。
ローパスフィルタ401は、792MHz付近にカットオフ周波数を持ち、ホッピング複素フィルタ108から出力されたシンボルf1からシンボルf3までの周波数成分を通過させ、それ以上の周波数成分を減衰させる。ローパスフィルタ401は、UWB無線通信装置で使用する周波数帯域外に存在する不要な電波(いわゆるブロッカ)及びノイズ等を減衰させるために備えている。
可変ゲインアンプ402は、第1の実施の形態と同様にA/D変換器403のダイナミックレンジに合わせてローパスフィルタ401の出力信号を増幅する。本実施形態の可変ゲインアンプ402は、約792MHzまでの信号を増幅する必要がある。
本実施形態のA/D変換器403は、−528〜+528MHzのIF信号を変換できる変換レートを備えている。このような変換レートでA/D変換を行うと、そのナイキスト周波数に対して外側にある、例えばシンボルf1の−792〜−528MHzの信号成分がシンボルf3の周波数帯域内の+264〜+528MHzに現れる。これは、A/D変換によってナイキスト周波数である528MHzを中心にエイリアスが発生することに起因する。
ここで、A/D変換器403に入力されるIF信号は、ホッピング複素フィルタ809によって、例えばシンボルf1の受信時、シンボルf3の周波数の信号成分が既に除去されているため、A/D変換によってシンボルf3の周波数帯域にシンボルf1の信号成分が現れても問題となることが無い。
本実施形態の第2のダウンコンバータ404は、第1の実施の形態で示した第2のダウンコンバータ109と同様の機能を備え、上述したようにデジタル信号処理によって実現される。第2のダウンコンバータ404の機能は、例えばプログラムによって内部に構成する回路の変更が可能な再構成デバイスやプログラムにしたがって処理を実行するCPU、あるいは演算処理を実行するDSP等を用いて実現できる。
次に図5に示した第2の実施の形態の受信機の動作について図面を用いて説明する。
シンボルf1の受信時(図6(a))、ホッピング複素フィルタ108は、第1の実施の形態と同様にベースバンド処理回路114の制御により図11(c)に示した+f阻止特性に切り替わる。この場合、ホッピング複素フィルタ108は、シンボルf1(−792〜−264MHz)のイメージ周波数であるシンボルf3の周波数+264〜+792MHzの信号成分を抑圧する。したがって、ホッピング複素フィルタ108を通過したIF信号の周波数帯域は−792〜+264MHzであり、シンボルf1及びシンボルf2を含んでいる。
ホッピング複素フィルタ108を通過したIF信号は第1のローパスフィルタ401に入力される。第1のローパスフィルタ401はシンボルf1及びシンボルf2の信号成分を通過させると共にそのカットオフ周波数外の不要な電波やノイズを抑圧する。
第1のローパスフィルタ401を通過したIF信号は第2の可変ゲインアンプ402で増幅され、A/D変換器403に入力される。
A/D変換器403は、528MHzのローカル信号(第2のLO)を用いてIF信号に含まれるシンボルf1を−528〜−264MHzと+264〜+528MHzの信号成分から成るデジタル信号に変換し、シンボルf2を−264MHz〜+264MHzの信号成分から成るデジタル信号に変換する。A/D変換器403でデジタル信号に変換されたIF信号は第2のダウンコンバータ404へ入力される。
第2のダウンコンバータ404は、第1の実施の形態で示した第2のダウンコンバータ109と同様にデジタル信号に変換されたIF信号をダウンコンバートする。このとき、−528〜−264MHzと+264〜+528MHzの信号成分から成るシンボルf1は0Hz(DC)を中心周波数とする−264〜+264MHzのベースバンド信号に変換され、−264〜+264MHzのシンボルf2はベースバンド信号の周波数帯域外へ移動させられる。
第2のダウンコンバータ404の出力信号は、230MHz付近にカットオフ周波数を有する第2のローパスフィルタ405に入力され、第2のローパスフィルタ405はシンボルf2の電力及びその他の干渉波等の電力を減衰させる。
第2のローパスフィルタ405を通過したシンボルf1は、ベースバンド処理回路114へ入力され、周知の同期検出処理やOFDM復調処理が施される。
一方、シンボルf2の受信時(図6(b))、ホッピング複素フィルタ108はベースバンド処理回路114の制御により図11(c)に示した全通過特性に切り替わる。この場合、ホッピング複素フィルタ108は、第1のダウンコンバータ103から出力されたシンボルf2の周波数−264〜+264MHzの信号成分をそのまま通過させる。
第1のローパスフィルタ401を通過したIF信号は第2の可変ゲインアンプ402で増幅され、A/D変換器403に入力される。
A/D変換器403は、IF信号に含まれる−264MHz〜+264MHzのシンボルf2をデジタル信号に変換する。A/D変換器403でデジタル信号に変換されたIF信号は第2のダウンコンバータ404へ入力される。
第2のダウンコンバータ404は、第1の実施の形態で示した第2のダウンコンバータ109と同様にローカル信号(第2のLO)としてDC電圧を用いてデジタル信号に変換されたシンボルf2をダウンコンバートすることなく、そのまま出力する。
第2のダウンコンバータ404の出力信号は、230MHz付近にカットオフ周波数を有する第2のローパスフィルタ405に入力され、第2のローパスフィルタ405は不要な干渉波等の電力を減衰させる。
第2のローパスフィルタ405を通過したシンボルf2は、ベースバンド処理回路114へ入力され、周知の同期検出処理やOFDM復調処理が施される。
また、シンボルf3の受信時(図6(c))、ホッピング複素フィルタ108は、第1の実施の形態と同様にベースバンド処理回路114の制御により図11(c)に示した−f阻止特性に切り替わる。この場合、ホッピング複素フィルタ108は、シンボルf3(+264〜+792MHz)のイメージ周波数であるシンボルf1の周波数−792〜−264MHzの信号成分を抑圧する。したがって、ホッピング複素フィルタ108を通過したIF信号の周波数帯域は+264〜+792MHzであり、シンボルf2及びシンボルf3を含んでいる。
ホッピング複素フィルタ108を通過したIF信号は第1のローパスフィルタ401に入力される。第1のローパスフィルタ401はシンボルf2及びシンボルf3の信号成分を通過させると共にそのカットオフ周波数外の不要な電波やノイズを抑圧する。
第1のローパスフィルタ401を通過したIF信号は第2の可変ゲインアンプ402で増幅され、A/D変換器403に入力される。
A/D変換器403は、IF信号に含まれるシンボルf3を−528〜−264MHzと+264〜+528MHzの信号成分から成るデジタル信号に変換し、シンボルf2を−264MHz〜+264MHzの信号成分から成るデジタル信号に変換する。A/D変換器403でデジタル信号に変換されたIF信号は第2のダウンコンバータ404へ入力される。
第2のダウンコンバータ404は、第1の実施の形態で示した第2のダウンコンバータ109と同様に528MHzのローカル信号(第2のLO)を用いてデジタル信号に変換されたIF信号をダウンコンバートする。このとき、−528〜−264MHzと+264〜+528MHzの信号成分から成るシンボルf3は0Hz(DC)を中心周波数とする−264〜+264MHzのベースバンド信号に変換され、−264〜+264MHzのシンボルf2はベースバンド信号の周波数帯域外へ移動させられる。
第2のダウンコンバータ404の出力信号は、230MHz付近にカットオフ周波数を有する第2のローパスフィルタ405に入力され、第2のローパスフィルタ405はシンボルf2の電力及びその他の干渉波等の電力を減衰させる。
第2のローパスフィルタ405を通過したシンボルf3はベースバンド処理回路114へ入力され、周知の同期検出処理やOFDM復調処理が施される。
第2の実施の形態の受信機によれば、第1の実施の形態で示したローカル周波数を各バンドグループで固定することによる効果やホッピング複素フィルタを用いることによる効果に加えて、アナログ回路を用いたダウンコンバージョンが1度だけとなり、第2のダウンコンバージョンのために必要なミキサやローカル信号発生器等が不要になる。したがって、そのための回路面積や消費電力を低減できる。
また、A/D変換器403の変換レートも約1Gspsであり、特許文献2のように約2Gspsの変換レートを必要とする構成に比べて消費電力を約半分に低減できる。
さらに、可変ゲインアンプ402を通過する信号の周波数も792MHz程度までで済むため、従来例の1.3GHzよりも低くなる。可変ゲインアンプ402の動作周波数が下がることで、周知のゲイン帯域積が一定であるとの原理に基づきアンプ1段あたりのゲインを大きくすることが可能になるため、アンプの段数を低減して可変ゲインアンプ402の回路面積や消費電力を低減できる。
なお、本実施形態の受信機では、A/D変換器403にインターリーブを実施する構成を用いることも可能である。その場合、A/D変換器403は、I信号及びQ信号用の2つのA/D変換器を備え、I信号及びQ信号をそのままA/D変換する、並びにI信号またはQ信号のいずれか一方のみをA/D変換するインターリーブ動作によって、1つのA/D変換器の変換時間の2倍の変換レートを得ることができる。
例えばA/D変換器の変換レートが1056Mspsの場合、通常はI信号及びQ信号を1056Mspsで変換し、インターリーブ時はI信号またはQ信号のいずれか一方を1056Mspsの2倍の速度である2112Mspsで変換する。
このような構成は、インターリーブの有無を切り換えるためにA/D変換器の直前にI信号及びQ信号をそのまま通過させたり、I信号またはQ信号のみを2つのA/D変換器へ入力するためのセレクタを置く構成が考えられる。
一方、A/D変換器の出力側にも、変換後のI信号及びQ信号をそのまま通過させたり、インターリーブ時に各A/D変換器から交互に出力される信号を適正な順序に並び替えるためのセレクタを置く構成が考えられる。
インターリーブを実施する場合のA/D変換器の動作を図14に示す。
本実施形態では、シンボルf1、f3の受信時、A/D変換器403がインターリーブ動作し、シンボルf2の受信時はインターリーブ動作しない。
シンボルf1の受信時、A/D変換器403からはシンボルf1のI信号またはQ信号のいずれか一方のみが出力され、第2のダウンコンバータ404に入力される。
第2のダウンコンバータ404は、第1の実施の形態の第2のダウンコンバータと同様に、入力された−792〜−264MHzのシンボルf1を−264〜264MHzのベースバンド信号にダウンコンバートする(図14(a))。このとき、−264〜+264MHzにあったシンボルf2はベースバンド信号の周波数帯域外へ移動させられる。
一方、シンボルf2の受信時、シンボルf2はホッピング複素フィルタ108をそのまま通過し、第2のA/D変換器403へ入力される(図14(b))。
A/D変換器403は、インターリーブ動作を行わずに、各A/D変換器によりI信号及びQ信号をそれぞれA/D変換する。ここでは、インターリーブを行わないため、I信号及びQ信号の変換レートは1056Mspsとなる。シンボルf2の信号は−264〜264MHzに存在し、A/D変換によるナイキスト周波数は1056MHzの1/2である528MHzになるため、十分なマージンを持ってA/D変換が可能である。
上述したように、本実施形態ではシンボルf1の−528〜−792MHzの周波数成分が−264〜−528MHzに折り返すが、シンボルf2の周波数と重ならないため問題とはならない。同様に、シンボルf3の528〜792MHzの周波数成分も問題とはならない。
シンボルf3の受信時、第1の実施の形態と同様に、ホッピング複素フィルタ108は−f阻止特性に切り替わり、シンボルf1の周波数を抑圧しながらシンボルf3を通過させる(図14(c))。
A/D変換器403は、シンボルf1と同様にインターリーブ動作し、I信号またはQ信号の一方のみA/D変換を行う。A/D変換後の信号はダウンコンバータ404に入力され、ベースバンド信号に変換されて出力される。
A/D変換器403がインターリーブ動作する場合でも、その変換レートは約1Gspsであり、従来のように約2Gspsの変換レートを用いる場合に比べて消費電力を約半分にできる。
本実施形態によれば、約528MHz帯域の2つのシンボルを変換するために約1Gspsの変換レートで済むため、特許文献2のように4つのシンボルを変換するのに必要な変換レートは不要である。
(第3の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態について図面を用いて説明する。
図7は本発明のUWB無線通信装置の第3の実施の形態の構成を示すブロック図である。第3の実施の形態は、第1及び第2の実施の形態と同様にUWB信号を受信する受信機の例である。
図7に示すように、第3の実施の形態の受信機は、第2の実施の形態で示した受信アンテナ101、ローノイズアンプ(LNA)102、第1のダウンコンバータ103、第1のローカル発生器104、第1のローパルフィルタ401、可変ゲインアンプ402、第2のダウンコンバータ404及び第2のローパスフィルタ405及びベースバンド処理回路114に加えて、A/D変換器601、ホッピング複素フィルタ602を備えた構成である。
第3の実施の形態の受信機は、ホッピング複素フィルタ602をデジタル信号処理によって実現する点で第2の実施の形態の受信機と異なっている。ホッピング複素フィルタ602の機能は、例えばプログラムによって内部に構成する回路の変更が可能な再構成デバイスやプログラムにしたがって処理を実行するCPU、あるいは演算処理を実行するDSP等を用いて実現できる。受信アンテナ101、ローノイズアンプ(LNA)102、第1のダウンコンバータ103、第1のローカル発生器104及びベースバンド処理回路114の構成及び動作は第1の実施の形態で示した受信機と同様であり、第1のローパルフィルタ401、可変ゲインアンプ402、第2のダウンコンバータ404及び第2のローパスフィルタ405の構成及び動作は第2の実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。
図7に示すように、本実施形態の受信機は、第1のダウンコンバータ103の後段にホッピング複素フィルタを備えていない構成である。第1のローパスフィルタ401及び可変ゲインアンプ402は第2の実施の形態と同様に動作する。第1のローパスフィルタ401の出力信号はA/D変換器601によりデジタル信号に変換される。
本実施形態のA/D変換器601は、1584Mspsの変換レートを備え、シンボルF1からシンボルF3を一括してデジタル信号に変換する。A/D変換器601の出力信号はホッピング複素フィルタ602に入力され、ホッピング複素フィルタ602の出力信号は第2のダウンコンバータ404に入力される。第2のダウンコンバータ404以降の動作は第2の実施の形態と同様である。
本実施形態ではホッピング複素フィルタ602をデジタル信号処理によって実現する。そのため、第1の実施の形態及び第2の実施の形態で示した効果に加えて、第2の実施の形態よりもさらにアナログ回路を低減できる。このような構成は、将来、第2の実施の形態よりも回路面積を低減することが可能であり、アナログ回路で構成した際に現れるクロストークの問題等も軽減できる。
上述したように本実施形態のA/D変換器601は、1584Mspsの変換レートを備えている。本実施形態では、約528MHz帯域の3つのシンボルを一括してA/D変換するために、A/D変換器601の変換レートが約1584Mspsで済む。本実施形態では第2の実施の形態よりもA/D変換器601の変換レートが高くなるが、従来例に対して約3/4の変換レートで済むため、消費電力も約3/4となる。なお、本実施形態の第1のダウンコンバータ103はブロッカを除去する能力を備えていることが好ましい。
第1のダウンコンバータ103に適したブロッカの除去能力を備えたダウンコンバータの構成例を図8に示す。
図8(a)に示す第1のダウンコンバータ103は差動トランジスタペア701及びテイルトランジスタ702を備えた構成である。
差動トランジスタペア701とテイルトランジスタ702とはシングルバランス型ミキサを構成している。負荷抵抗703には、直列に接続されたインダクタ704及びキャパシタ705が並列に接続されている。
図8(a)に示す構成では、インダクタ704及びキャパシタ705が共振周波数近傍で低抵抗となり、負荷インピーダンスを低下させてミキサとしての変換ゲインを低下させる。したがって、この共振周波数をブロッカの周波数に選ぶことで、ミキサにブロッカ除去能力を持たせることができる。
例えば上述した第1のバンドグループを受信する場合、第1のダウンコンバータ103へ入力するローカル信号の周波数は中心周波数である3960MHzに設定される。この場合、802.11aの無線LANで用いる5.2GHzの電波がブロッカとして存在する。これは、3960MHzから約1.2GHz離れた周波数である。
一方、第1のダウンコンバータ103は、約−0.8〜0.8GHzのIF周波数帯で動作する。つまり、第1のダウンコンバータのIF出力では0.8GHzまで信号を減衰することなく通過させ、かつ1.2GHz付近のブロッカを減衰させることが好ましい。したがって、図8(a)に示すインダクタ704とキャパシタ705による共振周波数を1.2GHzに設定することで、ブロッカを大きく減衰させることができる。
図8(b)に示す第1のダウンコンバータ103は、直列に接続されたインダクタ706及びキャパシタ707を差動出力間に接続した構成である。このような構成でも図8(a)に示す第1のダウンコンバータ103と同様の効果が得られる。図8(b)に示す構成は、コモンモード信号を除去することができないが、素子数を少なくできるため、回路面積を小さくできる効果がある。
通常、無線LANでは送信電力が大きいため、1.2GHz付近のブロッカの減衰量は40dB以上あることが好ましい。しかしながら、0.8GHzと1.2GHzとでは周波数差が少ないため、UWB無線通信装置で用いる周波数帯域の信号を通過させつつ無線LAN等のブロッカを除去するためにはローパスフィルタの次数を大きくする必要がある。そのため、ローパスフィルタの回路面積や消費電力が増大する。したがって、第1のダウンコンバータ103に、図8(a)(b)に示した回路構成を用いればローパスフィルタの面積や消費電力を低減できる。
(第4の実施の形態)
図9は本発明のUWB無線通信装置の第4の実施の形態の構成を示すブロック図である。第4の実施の形態はUWB信号を送信する送信機の例である。
図9に示すように、本実施形態の送信機は、ベースバンド処理回路114、第1のアップコンバータ811、D/A変換器810、ローパスフィルタ809、ホッピング複素フィルタ808、第1のローカル発生器104、第2のアップコンバータ803、パワーアンプ802及び送信アンテナ801を有する構成である。
第1のアップコンバータ811は、デジタル信号処理で実現され、例えば528MHzのローカル信号を用いて、−264〜+264MHzのベースバンド信号を、528MHzを中心とする264〜792MHzのIF信号に変換する。第1のアップコンバータ811は、受信機と同様に、シンボルf2の送信時は周波数を変換する必要がないため、ベースバンド処理回路114からの入力信号をそのまま通過させればよい。
本実施形態のD/A変換器810は、シンボルf1の中心周波数からシンボルf3の中心周波数までをD/A変換すればよい。具体的には−528〜+528MHzのIF信号をD/A変換できる変換レートを備えている。
このような変換レートでD/A変換を行うと、そのナイキスト周波数に対して外側にある、例えばシンボルf1の−792〜−528MHzの信号成分がシンボルf3の周波数帯域内の+264〜+528MHzに現れる。これは、D/A変換によってナイキスト周波数である528MHzを中心にエイリアスが発生することに起因する。
本実施形態の送信機では、ホッピング複素フィルタ808によって、例えばシンボルf1の送信時、シンボルf3の周波数の信号成分が除去されるため、D/A変換によってシンボルf3の周波数帯域にシンボルf1の信号成分が現れても問題となることが無い。
ローパスフィルタ809は−792〜+792MHzのIF帯域内を通過させ、IF帯域外を減衰させる。シンボルf1またはシンボルf3の送信時、シンボルf2の周波数は無信号(ヌル)となるため、シンボルf1以下、及びシンボルf3以上の周波数で発生するエイリアスもヌルとなる。
シンボルf2の帯域は約528MHzであるため、このエイリアスのヌルは約528MHzの帯域幅を持つ。すなわち、シンボルf1及びシンボルf2の送信時は、絶対値で約792MHzまでの周波数帯域の信号が存在し、792〜1320MHzがヌルの区間であり、ローパスフィルタには急峻な減衰特性が要求されない。したがって、ローパスフィルタの次数を下げることができる。
一方、シンボルf2の送信時は、792MHz以上の周波数でエイリアスが発生するが、264〜792MHzの信号がヌルとなる。したがって、シンボルf2の選択時、ローパスフィルタ809のカットオフ周波数は、シンボルf1及びシンボルf3の送信時よりも低く設定することが好ましい。これによりシンボルf2の送信時も比較的低い次数のローパスフィルタを使用できる。但し、高次のフィルタを用いても送信機全体の消費電力や回路面積等に影響を与えない場合は、カットオフ周波数を792MHzで固定したローパスフィルタを用いてもよい。
ホッピング複素フィルタ809は、受信機で用いるホッピング複素フィルタ108と同様の機能を備えている。但し、必要に応じて受信機と送信機でホッピング複素フィルタの濾波特性を変えることも可能である。
次に第4の実施の形態の送信機の動作について説明する。
図9に示すベースバンド処理回路114からは、送信用のOFDMベースバンド信号が出力され、第1のアップコンバータ811に入力される。
シンボルf1の送信時、第1のアップコンバータ811は、DCを中心とするベースバンド信号を、例えば528MHzを中心とするIF信号に変換する。第1のアップコンバータ811から出力されたIF信号はD/A変換器810に入力される。
上述したように、本実施形態のD/A変換器810のサンプリング周波数や変換レートは1056MHzであり、ナイキスト周波数が528MHzになるため、図10(a)の斜線部で示すように、シンボルf1の周波数帯域−792〜−528MHzに、+264〜+528MHzの信号がエイリアスとして現れる。
ローパスフィルタ809は、例えばカットオフ周波数を792MHz以上に備えることで不要な信号を除去する。不要な信号としては上述した1320MHz以降の不要なエイリアスである。ローパスフィルタ809の出力信号はホッピング複素フィルタ808に入力される。
ホッピング複素フィルタ808は、シンボルf1の送信時は+f阻止特性に切り替わり、シンボルf3の周波数成分を抑圧すると共にシンボルf1を通過させる。ホッピング複素フィルタ808の出力信号は第2のアップコンバータ803のIFポートに入力される。
第2のアップコンバータ803は、第1のローカル発生器104で生成されたローカル信号を用いてIF信号をRF信号に変換する。第2のアップコンバータ803の出力信号はパワーアンプ802に入力され、パワーアンプ802によって所定の送信レベルにまで増幅され、送信アンテナ801を介して空間に放射される。
一方、シンボルf2の送信時、第1のアップコンバータ811はシンボルf2をアップコンバージョンせずにそのまま出力する。第1のアップコンバータ811のアップコンバージョンを停止させる方法としては、例えば第1のアップコンバータ811にローカル信号としてDC信号を入力する方法、あるいはスイッチ等を用いて第1のアップコンバータ811を通過する経路を設ける方法がある。
第1のアップコンバータ811を通過したシンボルf2は、D/A変換器810でアナログ信号に変換され、ローパスフィルタ809により不要なエイリアスが除去される。
図10(b)に示すように、このときシンボルf1及びシンボルf3には信号が無いため、上述したようにこの領域に遷移域を設けることが可能であり、ローパスフィルタは比較的低次の構成で済む。好ましくは、シンボルf2の選択時は、シンボルf1及びシンボルf3の送信時よりもローパスフィルタ809のカットオフ周波数が低くなるように切り替える。ホッピング複素フィルタ808は、全通過特性に切り替わり、シンボルf2を通過させる。
ホッピング複素フィルタ808は、シンボルf3の送信時は−f阻止特性に切り替わり、シンボルf1の周波数を抑圧してシンボルf3を通過させる(図10(c)参照)。
第1のローカル発生器104で生成するローカル信号の周波数は、第1の実施の形態〜第3の実施の形態で示した受信機と同様に各バンドグループの中心周波数であり、周波数ホッピングを行う場合でもバンドグループ毎に固定の周波数とする。すなわち、ローカル信号の周波数はバンドグループ毎に1つのみとなる。
したがって、本実施形態の送信機では、第2のアップコンバータ803を構成する素子間のばらつきに起因するローカルリークの問題を軽減できる。例えばローカル周波数が3つある場合、3つの周波数それぞれにおいてローカルリークを補正する必要があるため、補正に用いるD/A変換器等の補正回路の規模が大きくなる。さらに、周波数のホッピングを高速に行うには補正用のD/A変換器を高速に切り換える必要があり、消費電力も大きくなる。
一方、本実施形態の送信機では、補正すべきローカルリークが1つの周波数のみであり、ホッピングに合わせて補正量を切り換える必要はない。したがって、補正用の回路の規模や消費電力を飛躍的に小さくできる。また、本実施形態では、周波数帯域が約528MHzの2つのシンボルをD/A変換するため、D/A変換器の変換レートが約1Gspsで済む。
本実施形態の送信機によれば、バンドグループの中心周波数にローカル発生器で生成するローカル信号の周波数を設定することで、IF信号のマイナス側の周波数帯域とプラス側の周波数帯域とが等しくなる。そのため、ローカル信号が1つであってもD/A変換器に必要とされる変換レートを最小限に抑制できる。また、ローカル信号の周波数をバンドグループ毎に1つとすることで、ローカル信号をミキサや分周器を用いて生成する必要がなくなる。
さらに、濾波特性を切り替えることが可能なホッピング複素フィルタを備えることで、バンドのホッピング毎に変化するイメージ信号を除去することが可能となり、所望のバンドの信号を切り出すことができる。そのため、ローカル発生器やD/A変換器等に規模が大きい回路や高速に動作する回路を用いる必要がない。したがって、ローカル発生器やD/A変換器等の回路面積や消費電力を低減できると共に、高速なホッピングを実施するために発生するローカルリークやスプリアスを低減できる。
なお、本実施形態の送信機では、D/A変換器810にインターリーブを実施する構成を用いることも可能である。その動作について図15を用いて説明する。
図15は2つのD/A変換器によるインターリーブ動作の有無を切り替える構成例である。
図15に示す2つのD/A変換器は、シンボルf1からシンボルf3をD/A変換するのに必要な変換レートの約1/2程度、あるいはそれ以上の変換レートを備えていればよい。具体的には、シンボルf1からシンボルf3までは概ね−792〜+792MHzであるため、通常、変換レートとしては、この範囲をカバーする1584Mspsが必要であるが、本実施形態では792MHz程度かそれ以上でよい。
これは+f阻止特性あるいは−f阻止特性を備えるホッピング複素フィルタ808によって不要な帯域が除去されることによる。例えばシンボルf1の送信時、D/A変換器810はインターリーブ動作をする。この場合、792Mspsの変換レートを備えた2つのA/D変換器をインターリーブ動作させることで、D/A変換器810として2倍の1584Mspsの変換レートを得ることができる。これによりI信号またはQ信号のいずれか一方、例えばI信号のみをD/A変換することになるが、一方の信号のみをD/A変換することで生じるイメージ信号(シンボルf1の場合はシンボルf3)はホッピング複素フィルタ808によって除去される。つまりホッピング複素フィルタ808を備えることでシンボルf1のみが切り出される。
一方、シンボルf2の送信時、D/A変換器810は、インターリーブ動作することなくI信号及びQ信号を2つのD/A変換器でそれぞれD/A変換する。このときの変換レートは792Mspsであり、ナイキスト周波数は1/2の396MHzとなる。この場合、シンボルf2は絶対値で264MHzまでの範囲に存在するので、十分なマージンを持ってアナログ信号に変換できる。
シンボルf3の送信時、D/A変換器810は、シンボルf1の送信時と同様にインターリーブ動作を行う。このときホッピング複素フィルタ808は−f阻止特性に切り替わり、シンボルf1の周波数成分を阻止すると共にシンボルf3を通過させる。
このようにD/A変換器810にてインターリーブ動作を行うと共にホッピング複素フィルタ808を備えることで、D/A変換器810の変換レートを下げることができるため、D/A変換器810の消費電力や回路面積を低減できる。
(第5の実施の形態)
図12は本発明のUWB無線通信装置の第5の実施の形態の構成を示すブロック図である。第5の実施の形態は、第1〜第3の実施の形態と同様にUWB信号を受信する受信機の例である。
図12に示すように、第5の実施の形態の受信機は、第1の実施の形態で示した受信アンテナ101、ローノイズアンプ(LNA)102、第1のダウンコンバータ103、第1のローカル発生器104、ホッピング複素フィルタ108及びベースバンド処理回路114に加えて、選択フィルタ1101、可変ゲインアンプ1102及びA/D変換器1103を備えた構成である。
第5の実施の形態の受信機は、第1の実施の形態で示した第2のダウンコンバータに変えてホッピング複素フィルタ108の後段に濾波特性の変更が可能な選択フィルタ1101が接続された構成である。受信アンテナ101、ローノイズアンプ(LNA)102、第1のダウンコンバータ103、第1のローカル発生器104、ホッピング複素フィルタ108及びベースバンド処理回路114の構成は第1の実施の形態で示した受信機と同様であるため、その説明は省略する。
選択フィルタ1101は、シンボルf1及びシンボルf3の受信時、例えば264〜792MHzの周波数を通過させ、それ以外を減衰させるバンドパスフィルタとして動作する。
一方、シンボルf2の受信時、選択フィルタ1101は、例えば264MHz付近の周波数までを通過させ、それ以外を減衰させるローパスフィルタとして動作する。選択フィルタ1101の濾波特性は、ホッピング複素フィルタ108と同様に、例えばベースバンド処理回路114からの制御信号にしたがって、UWB信号のホッピング動作に合わせて高速に切り替えられる。
可変ゲインアンプ1102は、第2の実施の形態と同様に、例えばシンボルf1からシンボルf3が通過する792MHz程度までの周波数信号を増幅する。
本実施形態のA/D変換器1103では、例えば可変ゲインアンプ1102と同様に792MHz程度までの周波数信号をA/D変換するが、変換レートを、例えば528Mspsに設定する。つまりナイキスト周波数を264MHzに設定する。
通常、これはDC付近のシンボルf2のみ変換する場合に必要な帯域であるが、本実施形態ではシンボルf1及びシンボルf3をこの変換レートでアンダーサンプリングする。
本実施形態ではホッピング複素フィルタ108までは第1の実施の形態と同様に動作する。
選択フィルタ1101は、シンボルf1の受信時、図13(a)に示すようにシンボルf1の周波数成分を通過させ、その他の信号やノイズを抑圧するバンドパスフィルタ(BPF)として動作する。
可変ゲインアンプ1102は、フィルタ1101から出力されたIF信号をA/D変換器1103のダイナミックレンジに合わせて必要なレベルまで増幅し、A/D変換1103へ出力する。
A/D変換1103は、上述したようにシンボルf1をアンダーサンプリングする。
A/D変換1103がアンダーサンプリング可能なのは、ホッピング複素フィルタ108とフィルタ1101によって、ほぼシンボルf1のみが切り出されているからである。
同様に、シンボルf2の受信時、ホッピング複素フィルタ108は全通過特性に切り替わり、フィルタ1101はシンボルf2を切り出すためにローパスフィルタ(LPF)として動作する(図13(b)参照)。
シンボルf2は、A/D変換器1103のナイキスト周波数内にあるため、A/D変換器1103によって問題なくA/D変換される。
同様に、シンボルf3の受信時、ホッピング複素フィルタ108は−f阻止特性に切り替わり、フィルタ1101はシンボルf3を切り出すバンドパスフィルタ(BPF)として動作する(図13(c)参照)。
シンボルf3は、A/D変換器1103のナイキスト周波数外にあるが、ホッピング複素フィルタ108とフィルタ1101によって、ほぼシンボルf3のみが切り出されているため、A/D変換器1103によって問題なくA/D変換される。
本実施形態によれば、A/D変換器113が1つのシンボルを変換するのに必要な最低限の変換レート(528Msps)で済むため、A/D変換器1103の回路面積や消費電力を最小限にできる。
本実施形態の受信機は、第1の実施の形態〜第3の実施の形態の受信機と同様の効果に加えて、受信機全体の回路面積や消費電力を最小限にできる効果がある。
なお、上記第1の実施の形態〜第5の実施の形態では、バンドグループが3つのバンドから構成される例で説明したが、バンドグループを構成するバンドの数は3つに限定されるものではなく、ローカル信号の周波数をバンドグループの中心周波数に設定すれば、バンドグループを構成するバンドの数は、奇数または偶数に関係なく、いくつであっても上記と同様の効果を得ることができる。
例えばバンドグループが3つ(奇数)のバンドで構成される場合は、第1の実施の形態〜第5の実施の形態と同様に、ローカル信号の周波数を第2のバンドの中心周波数に設定すればよい。また、バンドグループが4つ(偶数)のバンドで構成される場合は、ローカル信号の周波数を第2のバンドと第3のバンド間の周波数に設定すればよい。
本発明のUWB無線通信装置によれば、ホッピング複素フィルタを用いてイメージ信号を抑圧することで、A/D変換器やD/A変換器の変換レートを最小限に抑制できる。このとき、ローカル信号の周波数がバンドグループの中心周波数から多少離れていても、イメージ信号のぶつかり合いがある限り、ホッピング複素フィルタを用いてイメージ信号を濾波することによる本発明の優れた効果が得られる。
この出願は、2006年11月10日に出願された特願2006−305825号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。