JP2017508325A - 局部発振器信号生成 - Google Patents

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Abstract

直交関係にある局部発振器信号群を生成するための局部発振器信号生成回路(150)が、差動モードソース信号を生成するように構成されるソース信号生成器(153)と、ソース信号生成器(153)の出力(156)へ連結され、差動モードソース信号をバッファリングするように構成されるバッファステージ(158)と、バッファステージ(158)の出力(168)へ連結され、バッファリングされた差動モードソース信号から同相局部発振器信号及び直交局部発振器信号を生成するように構成される直交生成ステージ(170)と、を含む。バッファステージ(158)は、バッファステージ(158)の入力(157)へ連結される入力(162)を有するプライマリ差動増幅器(159)と、プライマリ差動増幅器(159)の出力(163)へ連結される入力(164)及びバッファステージ(158)の出力(168)へ連結される出力(165)を有するセカンダリ差動増幅器(160)と、を含む。【選択図】図2

Description

本開示は、局部発振器生成に関し、より具体的には、局部発振器信号生成回路、当該局部発振器信号生成回路を含む無線受信機及び無線送受信機、当該無線受信機を含む集積回路、当該無線送受信機を含む集積回路、並びに局部発振器信号を生成する方法、に関する。
携帯電話のための無線受信機は、単一のキャリア周波数において単一の変調キャリアを有する無線周波数(RF)信号を受信するように設計され得る。こうした無線受信機は、受信された信号を2つの局部発振器信号を用いてそれぞれI及びQと表記される同相ベースバンド信号及び直交ベースバンド信号へダウンコンバートする、ダイレクト・コンバージョンアーキテクチャを有し得る。このダウンコンバージョンは、I/Qダウンコンバージョンとして知られている。双方の局部発振器信号は、受信された所望の信号のキャリア周波数に等しい互いに同じ周波数を有するが、90度の位相差を有する。この位相差により、受信された情報の損失が防止される。ダイレクト・コンバージョン受信機におけるダウンコンバージョンの後では、ベースバンドにおける所望信号の帯域幅は、対応する受信されたRF信号の帯域幅の約半分に減じられる。
典型的に、ダイレクト・コンバージョンアーキテクチャを有する無線受信機は、アンテナへ連結するためのRFバンドパスフィルタと、低雑音増幅器(LNA)と、受信チェーンと、を含む。受信チェーンは、I/Qダウンコンバージョンのための一対のミキサと、サンプリングに起因するエイリアシングによる信号品質の劣化を防ぐために、アナログ−デジタル変換に先だって不所望な信号を減衰させるために同相ベースバンド信号及び直交ベースバンド信号をフィルタリングするためのアナログベースバンドローパスフィルタと、同相ベースバンド信号及び直交ベースバンド信号をデジタル化するためのアナログ−デジタル変換器(ADC)と、デジタル化された信号を処理するためのデジタルプロセッサと、を含む。典型的に、無線受信機は、周波数シンセサイザを用いてソース信号を生成し、周波数分割器を用いてソース信号の周波数を分割することにより、同相局部発振器信号及び直交局部発振器信号を生成する。
局部発振器信号が高いスペクトル純度を有すること、すなわち、局部発振器信号が、受信される所望信号のキャリア周波数以外の周波数においてスプリアス信号を有意なレベルで含まないこと、が重要である。ダイレクト・コンバージョンアーキテクチャを有する受信機において、こうした周波数におけるスプリアス信号は、RFにおいて不所望な信号又は干渉信号をもたらす可能性がある。その不所望な信号又は干渉信号は、スプリアス信号と同じ周波数を有し、ダウンコンバート後の所望信号によって占められる周波数の範囲内へダウンコンバートされることにより、所望信号の信号対ノイズ比を劣化させることになる。より一般的には、スプリアス信号の周波数に対して所望信号の帯域幅までの分だけ異なる周波数を有するRFにおける不所望な信号又は干渉信号が、ダウンコンバート後の所望信号により占められる周波数の範囲内へとダウンコンバートされる可能性がある。ダイレクト・コンバージョンアーキテクチャ以外のアーキテクチャを用いる受信機においても、局部発振器信号のスペクトル純度は重要であるかもしれず、そこでもダウンコンバート後の所望信号により占められる周波数の範囲内へと他の周波数の不所望なRF信号が潜在的にダウンコンバートされ得る
局部発振器信号のスペクトル純度のこうした問題は、キャリアアグリゲーションのために用いられる受信機において特に深刻になる可能性がある。キャリアアグリゲーション(CA)という用語は、いくつもの変調キャリア信号を同時に受信することを意味する。CA受信機は、現代の携帯電話及びラップトップにおいて、データ速度を高めるために使用されている。帯域内CAにおいては、所望の変調キャリア信号(本明細書では短く「所望のチャネル」とも称される)はすべて、単一の受信周波数帯域、すなわち、1つのRFフィルタの通過帯域内にある。受信機が少なくとも部分的に集積回路内に実装される場合には、そのRFフィルタはオフチップであってもよい。帯域内CAにおいては、単一のオフチップのRFフィルタ及び1つのLNAが使用され得る、というのも、所望のチャネルはすべて、当該フィルタ及びLNAの通過帯域内にあるためである。この場合、集積回路は、2つ以上の所望のチャネルを受信するために1つのRF入力のみを必要とする。
連像的帯域内CAにおいては、少なくとも2つの所望チャネルがあり、周波数領域において所望のチャネルはすべて隣接し、又は互いに隣り合っている。非連続的帯域内CAにおいては、所望のチャネルがすべて隣接しているわけではなく、周波数領域において一部のチャネル間にスペースがある。所望のチャネル同士の間に妨害信号(blocking signal)が存在する可能性もある。妨害信号は、例えば、他のユーザ又は他の携帯電話事業者のために割り当てられるチャネルであり得る。
一般的に、上述の単一の受信チェーンは、連続的又は非連続的帯域内CAに適さないことがある。例えば、妨害信号が、不連続な所望チャネル間に存在しかつ受信チェーンのアナログ及び/又はデジタル信号処理回路によって許容できない電力レベルを有する場合、単一の受信チェーンは、非連続的帯域内CAに適さない。このような場合、信号処理は、周波数領域において、2つ以上の並列の受信チェーンへ分割されねばならず、それらの受信チェーンの各々は、所望チャネルの異なるサブセットをダウンコンバートするために、一対の同相局部発振器信号及び直交局部発振器信号を必要とし、各対は異なる周波数を有する。ただし、デジタル処理のためには、それらの受信チェーンによって単一のデジタルプロセッサが共用され得る。受信機は、並列の受信チェーンと同じ数だけ同相局部発振器信号と直交局部発振器信号との対を必要とする。この場合、局部発振器信号の複数の対は各々、高いスペクトル純度を有することが求められる。
改良された局部発振器信号生成が必要である。
第1の観点によれば、
差動モードソース信号を生成するように構成されるソース信号生成器と、
ソース信号生成器の出力へ連結され、差動モードソース信号をバッファリングするように構成されるバッファステージと、
バッファステージの出力へ連結され、バッファリングされた差動モードソース信号から同相局部発振器信号及び直交局部発振器信号を生成するように構成される直交生成ステージと、
を含み、
バッファステージは、
バッファステージの入力へ連結される入力を有するプライマリ差動増幅器と、
プライマリ差動増幅器の出力へ連結される入力、及び、バッファステージの出力へ連結される出力、を有するセカンダリ差動増幅器と、
を含む、
局部発振器信号生成回路、が提供される。
第2の観点によれば、
差動モードソース信号を生成することと、
バッファステージにおいて差動モードソース信号をバッファリングすることと、
直交生成ステージを用いて、バッファリングされた差動モードソース信号から同相局部発振器信号及び直交局部発振器信号を生成することと、
を含み、
バッファリングすることは、
プライマリ差動増幅器において、バッファステージの入力に現れるプライマリ共通モード信号を少なくとも部分的に除去することと、
プライマリ差動増幅器の出力へ連結される入力及びバッファステージの出力へ連結される出力を有するセカンダリ差動増幅器において、セカンダリ差動増幅器の入力に現れるセカンダリ共通モード信号を少なくとも部分的に除去することと、
を含む、
方法、が提供される。
プライマリ差動増幅器及びセカンダリ差動増幅器は、差動モードソース信号を直交生成ステージへ十分に高いレベルで与えることができるようにすることで、例えばデジタル回路を使用する直交生成ステージの信頼性の高いかつ電力効率のよい動作を可能にし得る。プライマリ差動増幅器は、バッファステージの入力に現れるプライマリ共通モード信号を少なくとも部分的に除去し得るが、これは、直交生成ステージへ与えられる差動モードソース信号のレベルに対して、共通モードスプリアス信号のレベルを低減することを可能にし得る。セカンダリ差動増幅器は、当該第2の増幅器の入力に現れるセカンダリ共通モード信号を少なくとも部分的に除去し得るが、これは、直交生成ステージへ与えられる差動モードソース信号のレベルに対して、プライマリ差動増幅器によって生成される3次の相互変調積のレベルをさらに低減することを可能にし得る。共通モードスプリアス信号は、セカンダリ差動増幅器の入力において、プライマリ差動増幅器の入力におけるそのレベルに対して、低減されたレベルを有し得るため、セカンダリ差動増幅器によって生成される3次の相互変調積のレベルは低減され得る。
プライマリ差動増幅器は、少なくとも10dBの共通モード除去比を有するように構成され得る。セカンダリ差動増幅器は、少なくとも10dBの共通モード除去比を有するように構成され得る。これらの値は、高いスペクトル純度を有する局部発振器信号を生成することができるようにする。
セカンダリ差動増幅器の出力は、ハイパスフィルタを介してバッファステージの出力へ連結され得る。同様に、上記方法において、バッファリングすることは、プライマリ差動増幅器においてプライマリ共通モード信号を少なくとも部分的に除去し及びセカンダリ差動増幅器においてセカンダリ共通モード信号を少なくとも部分的に除去した後に、セカンダリ差動増幅器の出力に現れるソース信号をハイパスフィルタにおいてフィルタリングすること、を含んでよい。この特徴は、プライマリ差動増幅器及び/又はセカンダリ差動増幅器の2次の非線形性によって生成される低周波数の相互変調積を減衰することができるようにする。
直交生成ステージは、周波数分割器を含み得る。同様に、上記方法において、直交生成ステージを用いて、バッファリングされた差動モードソース信号から同相局部発振器信号及び直交局部発振器信号を生成することは、バッファリングされた差動モードソース信号を周波数分割器において分割すること、を含んでよい。この特徴は、低い複雑度で、局部発振器信号間に正確な直交関係を与える。
第3の観点によれば、第1の観点に従った局部発振器信号生成回路を含む無線受信機、が提供される。
第4の観点によれば、第3の観点に従った無線受信機を含む集積回路、が提供される。
第5の観点によれば、第3の観点に従った無線受信機と、送信機と、を含む無線送受信機、が提供される。
第6の観点によれば、第5の観点に従った無線送受信機を含む集積回路、が提供される。
第7の観点によれば、第1の局部発振器信号生成回路及び第2の局部発振器信号生成回路を含む無線受信機が提供され、当該第1及び第2の局部発振器信号生成回路のうちの少なくとも一方が第1の観点に従った回路であり、第1の局部発振器信号生成回路は、第1の局部発振器周波数を有する第1の直交関係にある局部発振器信号群を生成するように構成され、第2の局部発振器信号生成回路は、第2の局部発振器周波数を有する第2の直交関係にある局部発振器信号群を生成するように構成され、無線受信機は、少なくとも1つのキャリア信号を上記第1の直交関係にある局部発振器信号群とミキシングするように構成される第1のダウンコンバージョンステージと、別の少なくとも1つのキャリア信号を上記第2の直交関係にある局部発振器信号群とミキシングするように構成される第2のダウンコンバージョンステージと、を含む。このような無線受信機は、連続的な又は非連続的なキャリア信号を受信する、キャリアアグリゲーションモードで動作し得る。
第8の観点によれば、第7の観点に従った無線受信機と、送信機と、を含む無線送受信機、が提供される。
第8の観点に従った無線送受信機において、送信機は、第1の局部発振器周波数よりも低い送信周波数で送信するように構成されてよく、第1の局部発振器信号生成回路のソース信号は第1のソース周波数を有し、第2の局部発振器信号生成回路のソース信号は第2のソース周波数を有し、第2のソース周波数は第1のソース周波数よりも高く、また、送信周波数と第1の局部発振器周波数との差は、第1のソース周波数と第2のソース周波数との差に等しくてよい。この特徴は、キャリアアグリゲーションのために選択されることができるキャリアの選択に関して、そうした周波数の選択を禁止する必要をなくすことによって、柔軟性を与える。
第8の観点に従った無線送受信機において、送信機は、第1の局部発振器周波数よりも高い送信周波数で送信するように構成されてよく、第1の局部発振器信号生成回路のソース信号は第1のソース周波数を有し、第2の局部発振器信号生成回路のソース信号は第2のソース周波数を有し、第2のソース周波数は第1のソース周波数よりも低く、また、送信周波数と第1の局部発振器周波数との差は、第1のソース周波数と第2のソース周波数との差に等しくてよい。この特徴は、キャリアアグリゲーションのために選択されることができるキャリアの選択に関して、そうした周波数の選択を禁止する必要をなくすことによって、柔軟性を与える。
第8の観点に従った無線送受信機は、送信及び受信を同時に行うように構成されてもよい。
第9の観点によれば、第8の観点に従った無線受信機を含む集積回路、が提供される。
好ましい実施形態を、あくまで例示のために、添付の図面を参照して説明する。
アンテナへ連結される受信機のブロック略図である。 第1の局部発振器生成回路のブロック略図である。 送受信機のブロック略図である。 受信機のブロック略図である。 第2の局部発振器生成回路のブロック略図である。 受信機における信号のスペクトルを示す図である。 共通モード除去を提供する増幅器の回路図である。 ハイパスフィルタの回路図である。 別のハイパスフィルタの回路図である。
図1を参照すると、受信機10は、ダイレクト・コンバージョンアーキテクチャを有し、バンドパスRFフィルタ(BPF)13によってアンテナ3へ連結されている。本実施形態では、受信機10は、図1において破線で表される第1の集積回路IC1内に実装されており、いくつかの実施形態では、この第1の集積回路IC1は、送信機も含む。受信機10は、低雑音増幅器(LNA)16と、第1の受信チェーンと、を含み、第1の受信チェーンは、第1のダウンコンバージョンステージ120と、同相ベースバンド信号I1をフィルタリングするように構成されるローパスフィルタ(LPF)である第1の同相LPF130と、直交ベースバンド信号Q1をフィルタリングするように構成されるLPFである第1の直交LPF138と、ローパスフィルタリングされた第1の同相ベースバンド信号I1をデジタル化するように構成されるアナログ−デジタル変換器(ADC)である第1の同相ADC133と、ローパスフィルタリングされた第1の直交ベースバンド信号Q1をデジタル化するように構成されるADCである第1の直交ADC141と、第1のデジタルプロセッサ136と、を含む。第1のダウンコンバージョンステージ120は、受信されたRF信号をダウンコンバートすることによって第1の同相ベースバンド信号I1を生成するように構成されるミキサである第1の同相ダウンコンバージョンミキサ122と、受信されたRF信号をダウンコンバートすることによって第1の直交ベースバンド信号Q1を生成するように構成されるミキサである第1の直交ダウンコンバージョンミキサ126と、を含む。同じ第1の局所発振器(LO)周波数FLO1を有しかつ90度の位相差を有する第1の同相局部発振器信号LO1−I及び第1の直交局部発振器信号LO1−Qを生成するように構成される第1のLO信号生成回路150も、受信機10は含む。
アンテナ3は、BPF13の入力12へ連結される。BPF13の出力14は、LNA16の入力15へ連結される。LNA16の出力17は、第1の同相ダウンコンバージョンミキサ122の第1の入力121へ連結される。第1の同相ダウンコンバージョンミキサ122の第2の入力123は、第1の同相LO信号LO1−Iを受信するために第1のLO信号生成回路150の第1の出力151へ連結される。第1の同相ダウンコンバージョンミキサ122の出力124は、第1の同相LPF130の入力129へ連結される。第1の同相LPF130の出力131は、第1の同相ADC133の入力132へ連結される。第1の同相ADC133の出力134は、第1のデジタルプロセッサ136の第1の同相入力135へ連結される。
LNA16の出力17は、第1の直交ダウンコンバージョンミキサ126の第1の入力125へも連結される。第1の直交ダウンコンバージョンミキサ126の第2の入力127は、第1の直交LO信号LO1−Qを受信するために第1のLO信号生成回路150の第2の出力152へ連結される。第1の直交ダウンコンバージョンミキサ126の出力128は、第1の直交LPF138の入力137へ連結される。第1の直交LPF138の出力139は、第1の直交ADC141の入力140へ連結される。第1の直交ADC141の出力142は、第1のデジタルプロセッサ136の第1の直交入力143へ連結される。
BPF13の出力14から第1の同相ダウンコンバージョンミキサ122及び第1の直交ダウンコンバージョンミキサ126の第1の入力121及び125への受信されるRF信号のパスは、LNA16及び介在する連結も含めて、差動形式を有する。すなわち、これらのパスは、正の信号及び正の信号を反転させた負の信号を別個に有する差動モード信号を処理し及び案内するように構成される。同様に、第1のLO信号生成回路150から第1の同相ダウンコンバージョンミキサ122及び第1の直交ダウンコンバージョンミキサ126のそれぞれの第2の入力123及び127への第1の同相LO信号LO1−I及び第1の直交LO信号LO1−Qのパスは、差動形式になっている。同様に、第1の同相ダウンコンバージョンミキサ122及び第1の直交ダウンコンバージョンミキサ126のそれぞれの出力124及び128から第1の同相ADC133及び第1の直交ADC141への第1の同相ベースバンド信号I1及び第1の直交ベースバンド信号Q1のパスも、第1の同相LPF130及び第1の直交LPF138並びに介在する連結を含めて、差動形式になっている。複数の図において、差動形式を有する相互接続は、二重線で示されている。他の実施形態では、シングルエンドから差動への変換がLNA16内でなされる形で、BPF13の出力14からLNA16の入力15へ受信されるRF信号のパスがシングルエンド形式を有していてもよい。
図2を参照すると、第1のLO信号生成回路150は、第1のソース信号生成器153と、バッファステージ158と、直交生成ステージ170と、を含む。第1のソース信号生成器153は、第1のソース周波数FS1において第1のソース信号S1を差動形式で生成するように構成される。すなわち、第1のソース信号S1は、差動モードの信号である。第1のソース信号生成器153は、第1の電圧制御発振器(VCO)155を用いる第1の周波数シンセサイザ154を含む。1つの実施形態では、第1のソース周波数FS1は、第1のVCO155が発振する周波数である。他の実施形態では、第1のソース周波数FS1は、第1のVCO155が発振する周波数から、第1の周波数シンセサイザ154において周波数分割によって取得される。第1のソース信号生成器153の出力156は、第1のバッファステージ158の入力157へ連結される。第1のバッファステージ158は、第1のプライマリ差動増幅器159と、第1のセカンダリ差動増幅器160と、第1のハイパスフィルタ(HPF)161と、を含む。第1のバッファステージ158の入力157は、差動形式で、第1のプライマリ差動増幅器159の入力162へ連結され、第1のプライマリ差動増幅器159の出力163は、差動形式で、第1のセカンダリ差動増幅器160の入力164へ連結され、第1のセカンダリ差動増幅器160の出力165は、差動形式で、第1のHPF161の入力166へ連結される。第1のHPF161の出力167は、やはり差動形式で、第1のバッファステージ158の出力168へ連結される。第1のプライマリ差動増幅器159は、その入力162に現れる共通モード信号(common-mode signal)であって、したがって第1のバッファステージ158の入力157に現れるどのような共通モード信号をも少なくとも部分的に除去するように構成される差動増幅器である。したがって、差動モードの第1のソース信号S1の信号対干渉比(ここで、干渉は、共通モード信号である)は、第1のプライマリ差動増幅器159の入力162においてよりも、第1のプライマリ差動増幅器159の出力163において高い。1つの例では、第1のプライマリ差動増幅器159の共通モード除去比は、少なくとも10dBである。同様に、第1のセカンダリ差動増幅器160は、その入力164に現れるどのような共通モード信号をも少なくとも部分的に除去するように構成される差動増幅器である。したがって、差動モードの第1のソース信号S1の信号対干渉比(ここで、干渉は、共通モード信号である)は、第1のセカンダリ差動増幅器160の入力164においてよりも、第1のセカンダリ差動増幅器160の出力165において高い。1つの例では、第1のセカンダリ差動増幅器160の共通モード除去比は、少なくとも10dBである。実際、第1のプライマリ差動増幅器159及び第1のセカンダリ差動増幅器160は、同一であってよい。代替的に、第1のセカンダリ差動増幅器160は、第1のプライマリ差動増幅器159よりも低い共通モード除去比を有してもよい。第1のHPF161はオプションであり、第1のプライマリ差動増幅器159又は第1のセカンダリ差動増幅器160における非線形性により生じ得る、第1のソース周波数FS1よりも低い周波数を減衰させるために、第1のHPF161が使用されてもよい。第1のHPF161が存在しない場合、第1のセカンダリ差動増幅器160の出力165は、第1のバッファステージ158の出力168へ直接連結され得る。
第1のバッファステージ158の出力168は、第1の同相LO信号LO1−I及び第1の直交LO信号LO1−Qを生成する第1の直交生成ステージ170の入力169へ、差動形式で連結される。第1の直交生成ステージ170は、本実施形態では、2又は別の整数、典型的には2の累乗で第1のソース信号S1の周波数を分割するように構成される第1の周波数分割器DIV1を含む。実際、いくつかの実施形態では、第1の直交生成ステージ170は、当該周波数分割器DIV1である。第1の同相LO信号LO1−I及び第1の直交LO信号LO1−Qは、所望の受信されるRF信号の中心周波数、又はキャリア周波数、に等しい第1のLO周波数FLO1を有する。第1の同相LO信号LO1−Iは、第1のLO信号生成回路150の第1の出力151へ連結されている第1の直交生成ステージ170の第1の出力171に、差動形式で与えられ、第1の直交LO信号LO1−Qは、第1のLO信号生成回路150の第2の出力152へ連結されている第1の直交生成ステージ170の第2の出力172に、差動形式で与えられる。
第1の同相LO信号LO1−I及び第1の直交LO信号LO1−Qとともに現れ及びしたがってそれらLO信号のスペクトル純度を劣化させるスプリアス信号は、様々な形で発生する可能性がある。例えば、第1のVCO155は、その基本周波数に加えて高調波を生成し得る。第1のVCO155は、干渉を受けると、その干渉の周波数において及びその干渉の周波数の高調波においても、周波数成分を与え得る。さらに、第1のVCO155における3次の非線形性により、第1のソース周波数FS1及び干渉の周波数の双方に依存する周波数でも、周波数成分は生成され得る。こうした干渉の源は、LO生成回路150と同じデバイス内に存在し及びしたがってLO生成回路150の近くに存在する別の発振器であり得る。
第1の同相LO信号LO1−I及び第1の直交LO信号LO1−Qとともにスプリアス信号が発生し得る別のメカニズムとしては、第1のLO信号生成回路150の要素同士の連結部分への干渉の取り込み、及び特に、第1のソース信号生成器153の出力156と、第1のバッファステージ158の入力157又は対応して第1のプライマリ差動増幅器159の入力162と、の間の第1のソース信号S1のパス内への干渉の取り込み、が、このパスが比較的長い場合に特に、挙げられる。第1のプライマリ増幅器159又は第1のセカンド増幅器160における3次の非線形性は、第1のソース周波数FS1及び取り込まれる干渉の周波数の双方に依存する周波数においてスプリアス信号をもたらす可能性がある。
第1の同相LO信号LO1−I及び第1の直交LO信号LO1−Qとともに現れるスプリアス信号によって、ダウンコンバート後の所望信号により占められる周波数の範囲内へとダウンコンバートされる不所望な信号又は干渉信号であって、それにより所望信号の信号対ノイズ比を劣化させ得る当該不所望な信号又は干渉信号の1つの特定の源は、受信機10と同じデバイス内に実装される送信機である。こうした不所望な信号又は干渉信号は、特に、送信周波数FTXでの送信機からの漏洩により発生し得る。
第1の同相LO信号LO1−I及び第1の直交LO信号LO1−Qとともに現れるスプリアス信号、及びこうしたスプリアス信号によってダウンコンバートされる干渉信号の上述の問題は、2つ以上の局部発振器信号が必要とされ得るキャリアアグリゲーションに適合される受信機において特に懸念され、又はよりとりわけ、送信機及び受信機の双方を含むキャリアアグリゲーションのための送受信機であって、送信機及び受信機が周波数分割複信(Frequency Division Duplex(FDD))モードで同時に動作することが求められ、特に送信機及び受信機が単一の集積回路内に実装される送受信機において、特に懸念される。したがって、例示のために、以下の段落における説明は、こうした状況に焦点を合わせる。
図3を参照すると、アンテナ4は、デュプレクサ(DX)6の第1の端子5へ連結される。キャリアアグリゲーションに適合され、第2の集積回路IC2内に実装される送受信機100は、デュプレクサ6の第2の端子7へ連結される入力9を有する受信機20と、デュプレクサ6の第3の端子8へ連結される出力11を有する送信機30と、を含む。
送信機30は、デジタル信号プロセッサ(DSP)34を含み、これは、デジタル信号プロセッサ34によって生成される送信用ベースバンドデジタル信号をデジタル領域からアナログ領域へ変換するように構成されるデジタル−アナログ変換器(DAC)36へ連結される。DAC36は、送信用ベースバンドアナログ信号をアップコンバージョンミキサ40へ与えるためにアップコンバージョンミキサ40の第1の入力38へ連結される。アップコンバージョンミキサ40の第2の入力42は、送信機周波数シンセサイザ44によって生成されるアップコンバージョン局部発振器信号TX−LOを受信するために送信機周波数シンセサイザ44へ連結される。送信機周波数シンセサイザ44は、送信機VCO46を含む。アップコンバージョン局部発振器信号TX−LOは、送信機30の送信周波数FTXに等しい周波数を有する。例示のために、以下の段落では、送信周波数FTXは送信機VCO46の周波数に等しいと考えられるが、これは必須ではなく、代わりに、送信機周波数FTXは、送信機VCO46から、送信機周波数シンセサイザ44における周波数分割によって取得されてもよい。送信用ベースバンドアナログ信号は、アップコンバージョンミキサ40によって、RFで、送信機周波数FTXへアップコンバートされ、アップコンバージョンミキサ40の出力48は、電力増幅器50を介して送信機30の出力11へ連結される。他の実施形態では、電力増幅器50は、第2の集積回路IC2の外部に実装され得る。
図4は、図3の受信機20をより詳細に示している。図4を参照すると、受信機20は、図1を参照して説明された受信機10の要素をすべて含み、それらの要素は同じように互いに連結され、同じように動作可能であるが、キャリアアグリゲーションのために、受信される信号が複数のキャリア信号であること、及び、受信機10の要素が、典型的にキャリア信号における周波数領域ギャップの一方の側で、その複数のキャリア信号の第1のサブセットを受信するように構成されること、が異なる。加えて、図4の受信機20は、典型的に当該ギャップの他方の側で、その複数のキャリア信号の第2のサブセットを受信するように構成され、第2の受信チェーンを含む。第2の受信チェーンは、第2のダウンコンバージョンステージ220と、第2の同相ベースバンド信号I2をフィルタリングするように構成される第2の同相LPF230と、第2の直交ベースバンド信号Q2をフィルタリングするように構成される第2の直交LPF238と、ローパスフィルタリングされた第2の同相ベースバンド信号I2をデジタル化するように構成される第2の同相ADC233と、ローパスフィルタリングされた第2の直交ベースバンド信号Q2をデジタル化するように構成される第2の直交ADC241と、第2のデジタルプロセッサ236と、を含む。ただし、第1のデジタルプロセッサ136及び第2のデジタルプロセッサ236は、1つの共通のデジタルプロセッサで提供されてもよい。第2のダウンコンバージョンステージ220は、複数のキャリア信号の第2のサブセットをダウンコンバートすることによって第2の同相ベースバンド信号I2を生成するように構成される第2の同相ダウンコンバージョンミキサ222と、複数のキャリア信号の第2のサブセットをダウンコンバートすることによって第2の直交ベースバンド信号Q2を生成するように構成される第2の直交ダウンコンバージョンミキサ226と、を含む。双方が同じ第2の周波数FLO2を有しかつ90度の位相差を有する第2の同相局部発振器信号LO2−I及び第2の直交局部発振器信号LO2−Qを生成するように構成される第2のLO信号生成回路250も、受信機20は含む。
LNA16の入力15は、受信機20の入力9へ連結される。LNA16の出力17は、第1の同相ダウンコンバージョンミキサ122の第1の入力121及び第1の直交ダウンコンバージョンミキサ126の第1の入力125へ連結されるのに加えて、第2の同相ダウンコンバージョンミキサ222の第1の入力221へも連結される。第2の同相ダウンコンバージョンミキサ222の第2の入力223は、第2の同相LO信号LO2−Iを受信するために第2のLO信号生成回路250の第1の出力251へ連結される。第2の同相ダウンコンバージョンミキサ222の出力224は、第2の同相LPF230の入力229へ連結される。第2の同相LPF230の出力231は、第2の同相ADC233の入力232へ連結される。第2の同相ADC233の出力234は、第2のデジタルプロセッサ236の第2の同相入力235へ連結される。LNA16の出力17は、第2の直交ダウンコンバージョンミキサ226の第1の入力225へも連結される。第2の直交ダウンコンバージョンミキサ226の第2の入力227は、第2の直交LO信号LO2−Qを受信するために第2のLO信号生成回路250の第2の出力252へ連結される。第2の直交ダウンコンバージョンミキサ226の出力228は、第2の直交LPF238の入力237へ連結される。第2の直交LPF238の出力239は、第2の直交ADC241の入力240へ連結される。第2の直交ADC241の出力242は、第2のデジタルプロセッサ236の第2の直交入力243へ連結される。
デュプレクサ6の第2の端子7から第2の同相ダウンコンバージョンミキサ222及び第2の直交ダウンコンバージョンミキサ226の第1の入力221及び225への受信されるRF信号のパスは、介在する連結及び処理を含めて、差動形式を有する。同様に、第2のLO信号生成回路250から第2の同相ダウンコンバージョンミキサ222及び第2の直交ダウンコンバージョンミキサ226のそれぞれの第2の入力223及び227への第2の同相LO信号LO2−I及び第2の直交LO信号LO2−Qのパスは、差動形式になっている。同様に、第2の同相ダウンコンバージョンミキサ222及び第2の直交ダウンコンバージョンミキサ226のそれぞれの出力224及び228から第1の同相ADC233及び第2の直交ADC241への第2の同相ベースバンド信号I2及び第2の直交ベースバンド信号Q2のパスも、第2の同相LPF230及び第2の直交LPF並びに介在する連結を含めて、差動形式になっている。
図5を参照すると、第2のLO信号生成回路250は、第2のソース周波数FS2において第2のソース信号S2を差動形式で生成するための第2のソース信号生成器253を含む。すなわち、第2のソース信号S2は、差動モード信号である。第2のソース信号生成器253は、第2のVCO255を用いる第2の周波数シンセサイザ254を含む。1つの実施形態では、第2のソース周波数FS2は、第2のVCO255が発振する周波数である。他の実施形態では、第2のソース周波数FS2は、第2のVCO255が発振する周波数から、第2の周波数シンセサイザ254において周波数分割によって取得される。第2のソース信号生成器253の出力256は、第2のバッファステージ258の入力257へ連結される。第2のバッファステージ258は、第2のプライマリ差動増幅器259と、第2のセカンダリ差動増幅器260と、第2のHPF261と、を含む。第2のバッファステージ258の入力257は、差動形式で、第2のプライマリ差動増幅器259の入力262へ連結され、第2のプライマリ差動増幅器259の出力263は、差動形式で、第2のセカンダリ差動増幅器260の入力264へ連結され、第2のセカンダリ差動増幅器260の出力265は、差動形式で、第2のHPF261の入力266へ連結される。第2のHPF261の出力267は、やはり差動形式で、第2のバッファステージ258の出力268へ連結される。第2のプライマリ差動増幅器259は、その入力262に現れる共通モード信号であって、したがって第2のバッファステージ258の入力257に現れるどのような共通モード信号をも少なくとも部分的に除去するように構成される差動増幅器である。したがって、差動モードの第2のソース信号S2の信号対干渉比(ここで、干渉は、共通モード信号である)は、第2のプライマリ差動増幅器259の入力262においてよりも、第2のプライマリ差動増幅器259の出力263において高い。1つの実施形態では、第2のプライマリ差動増幅器259の共通モード除去比は、少なくとも10dBである。同様に、第2のセカンダリ差動増幅器260は、その入力264に現れるどのような共通モード信号をも少なくとも部分的に除去するように構成される差動増幅器である。したがって、差動モードの第2のソース信号S2の信号対干渉比(ここで、干渉は、共通モード信号である)は、第2のセカンダリ差動増幅器260の入力264においてよりも、第2のセカンダリ差動増幅器260の出力265において高い。1つの例では、第2のセカンダリ差動増幅器260の共通モード除去比は、少なくとも10dBである。実際、第2のプライマリ差動増幅器259及び第2のセカンダリ差動増幅器260は、同一であってよい。第2のHPF261はオプションであり、第2のプライマリ差動増幅器259又は第2のセカンダリ差動増幅器260における非線形性により生じ得る、第2のソース周波数FS2よりも低い周波数を減衰させるために、第2のHP261が使用されてもよい。第2のHPF261が存在しない場合、第2のセカンダリ差動増幅器260の出力265は、第2のバッファステージ258の出力268へ直接連結され得る。
第2のバッファステージ258の出力268は、第2の同相LO信号LO2−I及び第2の直交LO信号LO2−Qを生成する第2の直交生成ステージ270の入力269へ、差動形式で連結される。第2の直交生成ステージ270は、本実施形態では、2又は別の整数、典型的には2の累乗で第2のソース信号S2の周波数を分割するように構成される第2の周波数分割器DIV2を含む。実際、いくつかの実施形態では、第2の直交生成ステージ270は、当該周波数分割器DIV2である。第2の同相LO信号LO2−I及び第2の直交LO信号LO2−Qは、キャリアアグリゲーションの場合には、複数のキャリア信号の第2のサブセットの中心周波数に等しい第2のLO周波数FLO2を有する。第2の同相LO信号LO2−Iは、第2のLO信号生成回路250の第1の出力251へ連結されている第2の直交生成ステージ270の第1の出力271に、差動形式で与えられ、第2の直交LO信号LO2−Qは、第2のLO信号生成回路250の第2の出力252へ連結されている第2の直交生成ステージ270の第2の出力272に、差動形式で与えられる。
例示のために、以下の段落では、第1のソース信号生成器153によって生成される第1のソース信号S1の第1のソース周波数FS1は、第1のVCO155が発振する第1のVCO周波数FVCO1に等しいと見なされる。同様に、第2のソース信号生成器253によって生成される第2のソース信号S2の第2のソース周波数FS2は、第2のVCO255が発振する第2のVCO周波数FVCO2に等しく、第1のソース周波数FS1よりも大きいと見なされる。第2のVCO周波数FVCO2と第1のVCO周波数FVCO1との差は、ΔVCO=FVCO2−FVCO1で表記される。図6のグラフb)は、第1のVCO周波数FVCO1にスペクトル成分を有する、第1のVCO155のスペクトルを示す。図6のグラフc)は、第2のVCO周波数FVCO2にスペクトル成分を有する、第2のVCO255のスペクトルを示す。
第2の集積回路IC2内での第1のVCO155と第2のVCO255との隔離には限界があるため、それらの振動は互いに結合する。例えば、第1のVCO155を被害側、第2のVCO255を加害側回路と考えると、第1のVCO155の出力スペクトル、及びしたがって第1のソース信号S1は、第1のVCO周波数FVCO1及びその高調波におけるスペクトル成分に加えて、図6のグラフb)に示されるように、周波数FVCO2におけるスプリアススペクトル成分を含む。明瞭性のために、図6には、高調波は示されていない。加えて、第1のVCO155の3次の非線形性により、周波数
2FVCO1−FVCO2=FVCO1−ΔVCO
におけるスプリアススペクトル成分が、第1のVCO155により、AVCO1 ・AVCO2に比例する振幅を伴って生成される。ここで、AVCO1及びAVCO2は、それぞれ周波数FVCO1及びFVCO2において第1のVCO155によって生成されるスペクトル成分の電圧振幅である。集積された帯域内CA受信機において、周波数FVCO1−ΔVCOにおけるスプリアススペクトル成分は非常に問題となる可能性があることが、以下に示されている。したがって、これら実施形態は、この周波数におけるスプリアススペクトル成分の生成を最小化することを狙っている。
第1のVCO155の3次の非線形性に起因して、第1のVCO155により周波数
2FVCO2−FVCO1=FVCO1+2ΔVCO
におけるスプリアススペクトル成分が生成されるが、その振幅はAVCO1・AVCO2 に比例し、AVCO2<<AVCO1であるため、このスプリアススペクトル成分は周波数FVCO1−ΔVCOにおけるスプリアススペクトル成分よりもはるかに小さい。したがって、このスプリアススペクトル成分は無視できるため、図6のグラフb)には示されていない。
図6のグラフc)は、第2のVCO周波数FVCO2にスペクトル成分を有する第2のVCO255のスペクトルを示す。上述の、第2のVCO255から第1のVCO155への結合に加えて、第1のVCO155から第2のVCO255への結合の可能性もあり、結果として第2のVCO255のスペクトル内にスプリアススペクトル成分が発生し得るが、本明細書ではこれらのスプリアススペクトル成分を詳細に説明しないので、図6のグラフc)において示していない。
第1の直交生成ステージ170によって行われる直交生成において、第1のVCO155のスペクトル成分は、第1の同相局部発振器信号LO1−I及び第1の直交局部発振器信号LO1−Qの第1のLO周波数FLO1へと変換される。例えば、周波数を2で分割することを仮定すると、FLO1=FVCO1/2であり、第1の同相ダウンコンバージョンミキサ122及び第1の直交ダウンコンバージョンミキサ126へ与えられる第1のLO周波数FLO1における第1の同相局部発振器信号及び第1の直交局部発振器信号は、周波数FLO1−ΔVCOにおいてスプリアススペクトル成分を有する。加えて、第1のVCO155によって生成される第2のVCO周波数FVCO2におけるスプリアススペクトル成分は、周波数分割によって周波数FLO1+ΔVCOに変換されるが、このスプリアススペクトル成分は、周波数FLO1−ΔVCOにおけるスプリアススペクトル成分ほど有害ではないので、これについてはさらに述べない。図6のグラフd)は、第1のLO周波数FLO1における第1の同相局部発振器信号LO1−I及び第1の直交局部発振器信号LO1−Qのスペクトルを、周波数FLO1±ΔVCOにおけるスプリアススペクトル成分とともに示す。図6のグラフe)は、第2のLO周波数FLO2における第2の同相局部発振器信号LO2−I及び第2の直交局部発振器信号LO2−Qのスペクトルを示す。第1の同相局部発振器信号LO1−Iと第2の同相局部発振器信号LO2−Iとの周波数差、及び第1の直交局部発振器信号LO1−Qと第2の直交局部発振器信号LO2−Qとの周波数差は、FLO2−FLO1=ΔVCO/2であり、すなわち、第1のVCO周波数FVCO1と第2のVCO周波数FVCO2との周波数差の半分に等しい。
第1のVCO155と第2のVCO255との直接的な結合に起因して、第1のVCO155及び第2のVCO255により生成されるスプリアススペクトル成分が第1のソース信号生成器153及び第2のソース信号生成器253のそれぞれの出力156及び256に差動モード信号として出現し、従ってそれらを第1のソース信号生成器153及び第2のソース信号生成器253のそれぞれの出力156及び256へ連結される差動モードの回路において除去することはできない。但し、第2の集積回路IC2内で同時に動作する第1のVCO155と第2のVCO255との隔離を、VCOコアにおいて8の字形のインダクタを使用するか、第2の集積回路IC2内で第1のVCO155と第2のVCO255との距離を増やすなど、いくつかの既知の手法によって改善することができる。したがって、このように、第1のVCO155と第2のVCO255との直接的な結合に起因する差動モード信号は、無視できるレベルへと減少されることができる。
第1のVCO155と第2のVCO255とを離す必要性、並びに信号の減衰を最小限にするために第1の直交生成ステージ170及び第2の直交生成ステージ270をそれぞれ第1のダウンコンバージョンステージ120及び第2のダウンコンバージョンステージ220の近くに配置する必要性、を含む集積回路レイアウトの制約により、第1のソース信号生成器153及び第2のソース信号生成器253のそれぞれの出力156及び256と、第1の直交生成ステージ170及び第2の直交生成ステージ270のそれぞれの入力169及び269との間の、第1のソース信号S1及び第2のソース信号S2のための信号パスが長くなる可能性がある。典型的に、第1の集積回路IC1及び第2の集積回路IC2は、特に第1の直交生成ステージ170及び第2の直交生成ステージ270がレール・ツー・レール電圧を有する信号を用いる、サブミクロンCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセスを使用して実現される。しかしながら、第1のソース信号S1及び第2のソース信号S2は、1.5GHz〜5GHzの範囲内である場合があり、こうした周波数では、それらの長い信号パスは、信号の減衰をもたらす可能性がある。したがって、第1のソース信号S1及び第2のソース信号S2は、それぞれ第1のバッファステージ158及び第2のバッファステージ258によって増幅され又はバッファリングされた後に、それぞれ第1の直交生成ステージ170及び第2の直交生成ステージ270へ与えられる。増幅ステージとも称され得る第1のバッファステージ158及び第2のバッファステージ258は、それぞれ第1の直交生成ステージ170及び第2の直交生成ステージ270の近くに配置される。そのため、第1のソース信号生成器153及び第2のソース信号生成器253のそれぞれの出力156及び256と、第1のバッファステージ158及び第2のバッファステージ258のそれぞれの入力157及び257との間の、第1のソース信号S1及び第2のソース信号S2のための信号パスは、長く、例えば、数ミリメートルになる可能性がある。
こうした長い信号パスは、干渉の源となる可能性があり、磁気的な結合によって取り込まれる干渉の被害を受ける可能性もある。例えば、第2のソース信号生成器253の出力256と第2のバッファステージ258の入力257との間の信号パスから、周波数FVCO2における干渉が放射される可能性があり、この干渉は、第1のソース信号生成器153の出力156と第1のバッファステージ158の入力157との間の信号パス内に、磁気的な結合によって取り込まれる可能性がある。この取り込まれる干渉は、通常、差動モードではなく共通モードであり、同じ大きさ及び位相、又は極性、の信号が、差動モード接続の正の結合及び負の結合の双方に取り込まれる。
この結果、第1のバッファステージ158の入力157に与えられる、周波数FVCO1における差動モード信号である第1のソース信号S1は、上述のような第1のVCO155と第2のVCO255との直接結合に起因する、周波数FVCO1±ΔVCOにおける差動モードのスプリアス信号を伴い、また、上述のような磁気結合による、FVCO2における共通モードのスプリアス信号も伴い得る。しかしながら、上記したように、VCOコアにおいて8の字形のインダクタを用いたり、第1のVCO155と第2のVCO255との距離を増やしたりするなどの手法を使用して、これらの差動モードスプリアス信号を無視できるレベルへと減少させることができる。
第1の直交生成ステージ170の第1の周波数分割器DIV1において、第1の直交生成ステージ170の入力169における第1のソース周波数FS1=FVCO1における望まれる第1のソース信号S1と共にある、周波数FVCO2における共通モードスプリアス信号は、第1の直交生成ステージ170の第1の同相出力171及び第1の直交出力172において周波数FLO1−ΔVCOで差動モードのスプリアスLO信号を生じさせ得る。ここで、第1の周波数分割器DIV1において2で分割するものと仮定すると、FLO1=FVCO1/2である。こうした差動モードスプリアスLO信号は、差動モードで動作する後続の回路においては除去されない。というのも、差動回路は、共通モード信号のみを除去できるためである。
FDD無線システムにおいて送受信機100が用いられる場合、送信機30は、アップリンク周波数帯域で送信しており、同時に、受信機20は、ダウンリンク周波数帯域において受信している。アップリンク周波数帯域は、ダウンリンク周波数帯域よりも高くてもよいが、典型的には、より低い周波数である。アップリンク周波数帯域とダウンリンク周波数帯域との周波数分離は、複信周波数(duplex frequency)として知られており、本明細書ではΔDUPと表記する。FDD動作中、送信される信号の一部が受信機20内に漏洩する可能性がある。こうした送信機漏洩信号は、受信機20の感度低下(desensitisation)を引き起こす可能性がある。さらに、帯域内キャリアアグリゲーションのために受信機20が使用される場合、第1のVCO155の動作周波数と第2のVCO255の動作周波数との差が複信周波数に等しければ、すなわち、
ΔDUP=ΔVCO=FVCO2−FVCO1
であれば、周波数FVCO1−ΔVCOにおけるスプリアスLO信号により、送信機漏洩信号は、望まれる受信信号によって占められるのと同じ周波数へダウンコンバートされる可能性がある。なぜなら、これらの条件下では、スプリアスLO信号の周波数が、送信機漏洩信号の送信周波数FTXに等しいからである。実際に、送信される信号は通常は変調されるため、周波数FLO1−ΔVCOにおけるスプリアスLO信号と送信機漏洩信号の中心周波数との周波数分離が送信機漏洩信号のRF帯域幅よりも小さい場合、送信機漏洩信号が所望のRF信号によって占められる周波数範囲内へと少なくとも部分的にダウンコンバートされる。ここで、送信される信号及び受信される所望のRF信号のRF帯域幅は等しいと仮定する。図6のグラフa)は、送信周波数FTXにおける送信機漏洩信号TXと、周波数FRX1における、RX1と表記されるアグリゲートされたキャリア信号の第1のサブセット(ただし、ΔDUP=FRX1−FTX、及びΔDUP=ΔVCO)と、周波数FRX2における、RX2と表記されるアグリゲートされたキャリア信号の第2のサブセットと、のスペクトルを示している。図6のグラフf)は、ベースバンド信号を示している。アグリゲートされたキャリア信号の第1のサブセットRX1は、第1のLO周波数FLO1における第1の同相局部発振器信号LO1−I及び第1の直交局部発振器信号LO1−Qによってベースバンドへダウンコンバートされている。また、送信周波数FTXにおける送信機漏洩信号TXは、FTX=FLO1−ΔVCOであるため、周波数FLO1−ΔVCOにおける同相スプリアスLO信号成分及び直交スプリアスLO信号成分によってベースバンドへダウンコンバートされている。それにより、アグリゲートされたキャリア信号の第1のサブセットの信号対ノイズ比が劣化させられる。図6のグラフg)は、第2のLO周波数FLO2における第2の同相局部発振器信号LO2−I及び第2の直交局部発振器信号LO2−Qによってベースバンドへダウンコンバートされた、アグリゲートされたキャリア信号の第2のサブセットRX2を示す。
実際に、アグリゲートされたキャリア信号の第1のサブセット及び第2のサブセットを含む所望の受信RF信号の電力は、LNA16の入力15において−100dBmのオーダであり得るのに対し、送信機信号の漏洩電力は、約70dB大きく、およそ−30dBmであり得る。このため、第1の同相ADC133及び第1の直交ADC141のそれぞれの入力132及び140において、ダウンコンバートされる送信機信号の漏洩が例えば所望の受信信号よりも10dB低いレベルであることが求められると仮定すると、信号対ノイズ比の劣化を許容量に制限するために、送信機漏洩信号の周波数FTXにおけるスプリアスLO信号のレベルが、第1の同相アップコンバージョンミキサ122及び第1の直交アップコンバージョンミキサ126のそれぞれの第2の入力123及び127における第1の同相LO信号LO1−I及び第1の直交LO信号LO1−Qのレベルを少なくとも80dB下回る必要がある。
第1のバッファステージ158は、下に説明されるように、周波数FLO1−ΔVCOにおけるスプリアスLO信号による送信機漏洩のダウンコンバージョンに起因する、ダウンコンバート後のアグリゲートされたキャリア信号の第1のサブセットRX1の信号対ノイズ比の劣化を低減するように動作する。第1のバッファステージ158は、第1のソース信号生成器153の出力156と第1のバッファステージ158の入力157との接続内に取り込まれる周波数FVCO2における共通モードスプリアス信号を除去することによってこれを行うように構成され、それにより、第1のソース信号S1が第1の直交生成ステージ170に到達する前に、第1のソース信号S1のレベルに対してスプリアスLO信号のレベルが低減される。第1のバッファステージ158が以下に説明されるように動作しない場合、周波数FVCO2における共通モードスプリアス信号のレベルは、1mV程度であり、周波数FVCO1における差動モードの第1のソース信号S1は、第1の直交生成ステージ170の入力169において、400mV程度であり得る。対応して、第2のバッファステージ258は、干渉信号に起因する、ダウンコンバート後のアグリゲートされたキャリア信号の第2のサブセットRX2の信号対ノイズ比の劣化を低減することができる。
図2を参照すると、第1のプライマリ差動増幅器159及び第1のセカンダリ差動増幅器160は、差動モードの第1のソース信号S1を第1の直交生成ステージ170を駆動するために好適なレベルへと増幅するのに加えて、双方とも、例えば磁気的な結合によって取り込まれる周波数FVCO2におけるスプリアス信号を特に減衰する目的で、共通モード信号の、第1のソース信号S1のレベルに対する減衰を提供するように構成される。
第1のプライマリ差動増幅器159の3次の非線形性に起因して、周波数FVCO1−ΔVCOにおける3次の相互変調積が生成されて、第1のプライマリ差動増幅器159の出力163に現れる。取り込まれた周波数FVCO2におけるスプリアス信号は共通モード信号であるため、この相互変調積も共通モード信号であり、したがって、この相互変調積は、第1のセカンダリ差動増幅器160において少なくとも部分的に除去され、又は減衰される。第1のセカンダリ差動増幅器160による周波数FVCO1−ΔVCOにおける3次の相互変調積の生成は、第1のプライマリ差動増幅器159によって生成される3次の相互変調積に対して低減される。なぜなら、周波数FVCO2におけるスプリアス信号は、第1のプライマリ差動増幅器159において減衰されるからである。このように、第1のプライマリ差動増幅器159と第1のセカンダリ差動増幅器160とのカスケードの組み合わせにより、第1の直交生成ステージ170の入力169に与えられる第1のソース信号S1に付随する周波数FVCO1−ΔVCOにおけるスプリアス信号のレベルが低減され、また結果として、第1の直交生成ステージ170によって第1の同相ミキサ122及び第1の直交ミキサ126の第2の入力123及び127に与えられる第1の同相LO信号LO1−I及び第1の直交LO信号LO1−Qに付随する周波数FLO1−ΔVCOにおけるスプリアス信号のレベルが低減される。これにより、受信される所望信号、すなわち、キャリアの第1のサブセットRX1の帯域幅内へダウンコンバートされる周波数FLO1−ΔVCOにおける不所望な信号の量が低減される。特に、ΔVCO=ΔDUPである送受信機において、送信機漏洩の影響が減じられる。
第1のプライマリ差動増幅器159及び第1のセカンダリ差動増幅器160における2次の非線形性により、周波数FVCO1の第1のソース信号S1及び周波数FVCO2の取り込まれたスプリアス信号から、比較的低い周波数FVCO2−FVCO1=ΔVCOにおいて差動モードのさらなるスプリアス信号が生成される可能性がある。このさらなるスプリアス信号は、第1の直交生成ステージ170における周波数分割によって、周波数FLO1−ΔVCOへとアップコンバートされ、その場合それは、送信機漏洩のダウンコンバージョンにつながる可能性があり、ダウンコンバート後の所望信号の信号対ノイズ比を劣化させ得る。したがって、こうした劣化を低減するために、低い周波数におけるこのさらなるスプリアス信号を、第1の直交生成ステージ170における分割に先だって減衰させるように、第1のハイパスフィルタ159は構成される。
図7を参照すると、第1のプライマリ差動増幅器159の一実施形態(これは、第1のセカンダリ差動増幅器160並びに第2のプライマリ差動増幅器259及び第2のセカンダリ差動増幅器260のためにも使用され得る)は、接地GNDへ連結されたソース、第1のプライマリ差動増幅器159の、差動形式を有する出力163の正の出力端子163+へ連結されたドレイン、及び、第1の直流(DC)ブロッキングキャパシタCによって第1のプライマリ差動増幅器159の、やはり差動形式を有する入力162の負の入力端子162−へ連結されたゲート、を有する、第1のNMOS(n-channel metal oxide semiconductor)トランジスタM1を含む。第2のNMOSトランジスタM2は、正の出力端子163+へ連結されたソース、正の電圧レールVddへ連結されたドレイン、及び、第2のDCブロッキングキャパシタCによって第1のプライマリ差動増幅器159の入力162の正の入力端子162+へ連結されたゲート、を有する。第1のDCブロッキングキャパシタC及び第2のDCブロッキングキャパシタCは、第1のソース周波数FS1における第1のソース信号S1への短絡回路として作動するように構成される。第3のNMOSトランジスタM3は、接地GNDへ連結されたソース、第1のプライマリ差動増幅器159の出力163の負の出力端子163−へ連結されたドレイン、及び第3のDCブロッキングキャパシタCによって正の入力端子162+へ連結されたゲート、を有する。第4のNMOSトランジスタM4は、負の出力端子163−へ連結されたソース、正の電圧レールVddへ連結されたドレイン、及び第4のDCブロッキングキャパシタCによって負の入力端子162−へ連結されたゲート、を有する。簡明さのために、図7ではバイアシングの詳細は省略されている。第1〜第4のNMOSトランジスタM1〜M4が等しい電流レベルでバイアスされ、かつ、それらのアスペクト比又は寸法が等しければ、図7を参照して説明された回路は、共通モード信号の減衰又は少なくとも部分的な除去を提供する。
第1及び第2のプライマリ及びセカンダリ差動増幅器159、160、259、260の代わりに、1つ以上のCMOSインバータをカスケードで使用すると、第1の直交生成ステージ170の入力169及び第2の直交生成ステージ270の入力269へレール・ツー・レール信号電圧が与えられるものの、共通モードの減衰は提供されず、またしたがって、第1及び第2のプライマリ及びセカンダリ差動増幅器159、160、259、260によって提供される本明細書に開示される利点を提供することはできない。さらに、こうしたインバータは、スプリアス局部発振器信号のレベルを増大する可能性がある。なぜなら、1つのCMOSインバータによって生成される3次の相互変調積は、第2の、後続のCMOSインバータによって増幅され、その第2のCMOSインバータはそれ自体、追加の3次の相互変調ひずみを生成するからである。
図8を参照すると、第1のHPF161の第1の実施形態(これは、第2のHPF261のためにも使用され得る)は、第1のHPF161の入力166の正の入力端子166+と第1のHPF161の出力167の正の出力端子167+との間に連結される第1のフィルタキャパシタC1Pを含む。第2のフィルタキャパシタC1Nは、第1のHPF161の入力166の負の入力端子166−と第1のHPF161の出力167の負の出力端子167−との間に連結される。第1のフィルタ抵抗器R1Pは、正の出力端子167+とバイアス電圧Vとの間に連結され、第2のフィルタ抵抗器R1Nは、負の出力端子167−とバイアス電圧Vとの間に連結される。第1のHPF161のこの第1の実施形態は、直交生成ステージ170の入力169をバイアス電圧Vへとバイアスする。
図9を参照すると、第1のHPF161の第2の、代替的な実施形態(これは、第2のHPF261のためにも使用され得る)は、第1のHPF161の入力166の正の入力端子166+と第1のノードN1との間に連結される第3のフィルタキャパシタC2Pと、正の入力端子166+と第1のHPF161の出力167の正の出力端子167+との間に連結される第4のフィルタキャパシタC3Pと、第1のノードN1と第2のノードN2との間に連結される第3のフィルタ抵抗器R2Pと、正の入力端子166+と第2のノードN2との間に連結される第4のフィルタ抵抗器R3Pと、第1のノードN1と正の出力端子167+との間に連結される第5のフィルタ抵抗器R4Pと、を含む。第1のHPF161の入力166の負の入力端子166−と第3のノードN3との間に連結される第5のフィルタキャパシタC2Nと、負の入力端子166−と第1のHPF161の出力167の負の出力端子167−との間に連結される第6のフィルタキャパシタC3Nと、第3のノードN3と第2のノードN2との間に連結される第6のフィルタ抵抗器R2Nと、負の入力端子166−と第2のノードN2との間に連結される第7のフィルタ抵抗器R3Nと、第3のノードN3と負の出力端子167−との間に連結される第8のフィルタ抵抗器R4Nと、もある。第1のHPF161のこの第2の実施形態は、共通モードDC電圧レベルをその入力166からその出力167へと結合することによって、直交生成ステージ170をバイアスする際にこの共通モードDC電圧を利用することができるようにする。
第1のソース周波数FS1が第1のVCO周波数FVCO1に等しく、第2のソース周波数FS2が第2のVCO周波数FVCO2に等しい実施形態について説明してきたが、他の実施形態では、第1のソース周波数FS1は、第1のVCO155が発振する第1のVCO周波数FVCO1から、第1の周波数シンセサイザ154における周波数分割によって取得され、及び/又は、第2のソース周波数FS2は、第2のVCO255が発振する第2のVCO周波数FVCO2から、第2の周波数シンセサイザ254における周波数分割によって取得され得る。こうした実施形態については、第1の局部発振器生成回路150と第2の局部発振器生成回路250との隔離に限界があるため、第1のソース信号S1及び第2のソース信号S2のどちらの側にも、Δ=|FS1−FS2|の周波数間隔でスプリアススペクトル成分が生成され得る。図6に示され及び図6を参照して説明されたシナリオは、図6において第1のVCO周波数FVCO1及び第2のVCO周波数FVCO2を第1のソース周波数FS1及び第2のソース周波数FS2で置き換え、またΔVCOをΔで置き換えることによって、こうした実施形態に適合され得る。
第2のVCO周波数FVCO2が第1のVCO周波数FVCO1よりも高く、第2のLO周波数FLO2が第1のLO周波数FLO1よりも高く、第2のソース周波数FS2が第1のソース周波数FS1よりも高い実施形態について説明してきたが、代替的に、例えば第2のVCO周波数FVCO2が第1のVCO周波数FVCO1よりも低い等、様々な第1の周波数と第2の周波数との間に逆の関係を適用してよい。本明細書及び請求項において、2つの周波数間の差への言及は、そのような差の大きさに言及することを意図するものであって、1つの特定の周波数が別の周波数よりも高いことを示唆することを意図するものではない。したがって、ΔVCOと表記される第2のVCO周波数FVCO2と第1のVCO周波数FVCO1との差は、より一般的には、FVCO2−FVCO1の絶対値、すなわち|FVCO2−FVCO1|、又はFVCO1−FVCO2の絶対値、すなわち|FVCO1−FVCO2|、と表記され得る。同様に、複信周波数ΔDUPは、常に、正の値を有する。
さらに、無線送受信機が受信する周波数FRX1及びFRX2よりも送信周波数FTXが低い無線送受信機の実施形態について説明してきたが、他の実施形態では、送信周波数FTXは、当該送受信機が受信する周波数FRX1及びFRX2よりも高くてもよい。無線送受信機100のいくつかの実施形態では、送信機30の送信周波数FTXは、第1の同相LO信号LO1−I及び第1の直交LO信号LO1−Qの第1のLO周波数FLO1よりも低く、第1の局部発振器信号生成回路150のソース信号S1は、第1のソース周波数FS1を有し、第2の局部発振器信号生成回路250のソース信号S2は、第2のソース周波数FS2を有し、ここで、第2のソース周波数FS2は第1のソース周波数FS1よりも高く、また、送信周波数FTXと第1のLO周波数FLO1との差は、第1のソース周波数FS1と第2のソース周波数FS2との差Δに等しい。無線送受信機100の他の実施形態では、送信機30の送信周波数FTXは、第1の同相LO信号LO1−I及び第1の直交LO信号LO1−Qの第1のLO周波数FLO1よりも高く、第2のソース周波数FS2は、第1のソース周波数FS1よりも低く、また、送信周波数FTXと第1のLO周波数FLO1との差は、第1のソース周波数FS1と第2のソース周波数FS2との差Δに等しい。
ダイレクト・コンバージョン受信機アーキテクチャを用いる実施形態について説明してきたが、これは必須ではなく、開示された局部発振器信号生成回路は、低中間(IF)アーキテクチャ、又は周波数ダウンコンバージョンのステージを2つ以上用いるアーキテクチャ、といった他の受信機アーキテクチャとともに使用されてもよい。
ダイレクト・コンバージョンアーキテクチャを有する送信機を用いる実施形態について説明してきたが、これは必須ではなく、周波数アップコンバージョンのステージを2つ以上用いる他の送信機アーキテクチャが用いられてもよい。
開示された局部発振器信号生成回路は、例えば、10〜20もの受信機入力を有することが可能な、マルチモード及びマルチバンドの無線受信機及び無線送受信機にとって特に有利である。というのも、この場合、シンセサイザ出力信号はいくつもの受信機へ受け渡されなければならないかもしれず、それにより、スプリアス信号の放射及び取り込みの機会が増すからである。
開示された局部発振器信号生成回路を、キャリアアグリゲーションに適合される受信機及び送受信機に特に関連して説明してきたが、そのアプリケーションは、こうした受信機又は送受信機に限定されない。この回路は、例えば単一のキャリアを受信するための、他のタイプの受信機又は送受信機において有利に使用されてもよい。
図4に示した受信機20を、非連続的なキャリアアグリゲーションを参照して説明してきたが、受信機20は、複数のキャリア信号の第1のサブセットと第2のサブセットとの間にギャップがない、連続的なキャリアアグリゲーションのために使用されてもよい。
送受信機が受信する周波数よりも低い送信周波数で送信するように送信機が構成される送受信機の実施形態について説明してきたが、他の実施形態では、送信周波数は、受信周波数よりも高くてもよい。特に、第1の周波数を有する第1の直交関係にある局部発振器信号群と、第2の周波数を有する第2の直交関係にある局部発振器信号群と、を生成するように受信機が構成される送受信機では、送信周波数は、第1の周波数及び第2の周波数と異なってよく、送信周波数と第1の周波数との差は、第1の周波数と第2の周波数との差に等しくてよい。したがって、送信周波数は、第1の周波数及び第2の周波数の双方よりも高く、又は第1の周波数及び第2の周波数の双方よりも低く、なり得る。
モバイルフォンのための受信機及び送受信機に特に関連して、開示された局部発振器信号生成回路を説明してきたが、その応用は、こうした受信機又は送受信機に限定されない。
FDDを用い、また、複信周波数が第1のソース信号と第2のソース信号との周波数差に等しい、より具体的には第1のVCO155と第2のVCO255との周波数差に等しい実施形態について説明してきたが、開示された局部発振器信号生成回路は、これらの制限が存在しない応用において有利に用いられてもよい。
集積回路内に受信機又は送受信機が実装される実施形態について説明してきたが、これは必須の特徴ではない。
当業者には、他の変更及び変形が明らかであろう。こうした変更及び変形は、既知でありかつ本明細書に記載されている特徴の代わりに又はそれらに加えて使用され得る均等物及び他の特徴を含み得る。複数の別個の実施形態のコンテキストで説明される複数の特徴が単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよい。逆に、単一の実施形態のコンテキストで説明される複数の特徴が、別々に、又は任意の好適なサブコンビネーションで提供されてもよい。
尚、“含む(comprising)”という用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、“一(a又はan)”という用語は、複数を排除するものではなく、単一の特徴が請求項に記載されるいくつかの特徴の機能を満足する場合があり、また、請求項における参照符号は特許請求の範囲を限定するものと解釈されてはならない。また、特定の機能を実行するように“構成される(arranged to)”又は“採用される(adopted to)”ものとして構成要素が説明されている場合、その構成要素が考慮されているコンテキストによっては、その構成要素が単にその機能を実行する“ために(for)”好適であると考えることが適切な場合がある。本文全体を通じて、特定のコンテキストが別段の規定をしていない限り、これらの用語は一般的に、互換可能であると考えられる。また、図面は必ずしも原寸に比例しておらず、代わりに、本発明の原理を示すことに総じて重点が置かれている。

Claims (15)

  1. 局部発振器信号生成回路(150)であって、
    差動モードソース信号を生成するように構成されるソース信号生成器(153)と、
    前記ソース信号生成器(153)の出力(156)へ連結され、前記差動モードソース信号をバッファリングするように構成されるバッファステージ(158)と、
    前記バッファステージ(158)の出力(168)へ連結され、バッファリングされた前記差動モードソース信号から同相局部発振器信号及び直交局部発振器信号を生成するように構成される直交生成ステージ(170)と、
    を含み、
    前記バッファステージ(158)は、
    前記バッファステージ(158)の入力(157)へ連結される入力(162)を有するプライマリ差動増幅器(159)と、
    前記プライマリ差動増幅器(159)の出力(163)へ連結される入力(164)、及び、前記バッファステージ(158)の前記出力(168)へ連結される出力(165)、を有するセカンダリ差動増幅器(160)と、
    を含む、
    局部発振器信号生成回路(150)。
  2. 前記セカンダリ差動増幅器(160)の前記出力(165)は、ハイパスフィルタ(161)を介して前記バッファステージ(158)の前記出力(168)へ連結される、請求項1に記載の局部発振器信号生成回路(150)。
  3. 前記直交生成ステージ(170)は、周波数分割器(DIV1)を含む、請求項1〜2のいずれかに記載の局部発振器信号生成回路(150)。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の局部発振器信号生成回路(150)を含む、無線受信機(10)。
  5. 請求項4に記載の無線受信機(10)を含む、集積回路(IC1)。
  6. 請求項4に記載の無線受信機(10)と、送信機(30)と、を含む、無線送受信機(100)。
  7. 第1の局部発振器信号生成回路(150)及び第2の局部発振器信号生成回路(250)を含む無線受信機(20)であって、前記第1の局部発振器信号生成回路(150)及び前記第2の局部発振器信号生成回路(250)のうちの少なくとも一方は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の局部発振器信号生成回路であり、前記第1の局部発振器信号生成回路(150)は、第1の局部発振器周波数を有する第1の直交関係にある局部発振器信号群を生成するように構成され、前記第2の局部発振器信号生成回路(250)は、第2の局部発振器周波数を有する第2の直交関係にある局部発振器信号群を生成するように構成され、前記無線受信機(20)は、少なくとも1つのキャリア信号を前記第1の直交関係にある局部発振器信号群とミキシングするように構成される第1のダウンコンバージョンステージ(120)と、別の少なくとも1つのキャリア信号を前記第2の直交関係にある局部発振器信号群とミキシングするように構成される第2のダウンコンバージョンステージ(220)と、を含む、無線受信機(20)。
  8. 請求項7に記載の無線受信機(20)を含む、集積回路(IC2)。
  9. 請求項7に記載の無線受信機(20)と、送信機(30)と、を含む、無線送受信機(100)。
  10. 前記送信機(30)は、前記第1の局部発振器周波数よりも低い送信周波数で送信するように構成され、前記第1の局部発振器信号生成回路(150)の前記ソース信号は、第1のソース周波数を有し、前記第2の局部発振器信号生成回路(250)の前記ソース信号は、第2のソース周波数を有し、前記第2のソース周波数は、前記第1のソース周波数よりも高く、前記送信周波数と前記第1の局部発振器周波数との差は、前記第1のソース周波数と前記第2のソース周波数との差に等しい、請求項9に記載の無線送受信機(100)。
  11. 前記送信機(30)は、前記第1の局部発振器周波数よりも高い送信周波数で送信するように構成され、前記第1の局部発振器信号生成回路(150)の前記ソース信号は、第1のソース周波数を有し、前記第2の局部発振器信号生成回路(250)の前記ソース信号は、第2のソース周波数を有し、前記第2のソース周波数は、前記第1のソース周波数よりも低く、前記送信周波数と前記第1の局部発振器周波数との差は、前記第1のソース周波数と前記第2のソース周波数との差に等しい、請求項9に記載の無線送受信機(100)。
  12. 送信及び受信を同時に行うように構成される、請求項10又は請求項11に記載の無線送受信機(100)。
  13. 請求項9〜12のいずれかに記載の無線送受信機(100)を含む、集積回路(IC2)。
  14. 差動モードソース信号を生成することと、
    バッファステージ(158)において前記差動モードソース信号をバッファリングすることと、
    直交生成ステージを用いて、バッファリングされた前記差動モードソース信号から、同相局部発振器信号及び直交局部発振器信号を生成することと、
    を含み、
    前記バッファリングすることは、
    プライマリ差動増幅器(159)において、前記バッファステージ(158)の入力(157)に現れるプライマリ共通モード信号を少なくとも部分的に除去することと、
    前記プライマリ差動増幅器(159)の出力(163)へ連結される入力(164)及び前記バッファステージ(158)の出力(168)へ連結される出力(165)を有するセカンダリ差動増幅器(160)において、前記セカンダリ差動増幅器(160)の前記入力(164)に現れるセカンダリ共通モード信号を少なくとも部分的に除去することと、
    を含む、
    方法。
  15. 前記バッファリングすることは、前記プライマリ差動増幅器において前記プライマリ共通モード信号を少なくとも部分的に除去し及び前記セカンダリ差動増幅器において前記セカンダリ共通モード信号を少なくとも部分的に除去した後に、前記セカンダリ差動増幅器の出力に現れる前記ソース信号をハイパスフィルタにおいてフィルタリングすること、を含む、請求項13に記載の方法。
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