JP5167876B2 - デフケース及びこれを備えた車両用差動装置 - Google Patents

デフケース及びこれを備えた車両用差動装置 Download PDF

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本発明は、デフケース及びこれを備えた車両用差動装置に関し、特にピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンギヤ支持部を有するデフケース及びこれを備えた車両用差動装置に関する。
従来の車両用差動装置として、例えばシャフトレス型の1対のピニオンギヤを備えたものがある(特許文献1)。
この車両用差動装置は、前述した1対のピニオンギヤの他に、エンジントルクを受けて回転するデフケースと、デフケース内で1対のピニオンギヤに回転軸線を直交させて噛合する1対のサイドギヤと、1対のサイドギヤのスラスト力を受ける1対のスラストワッシャとから構成されている。
1対のピニオンギヤは、全周にわたって被支持部とするギヤ外周部及び1対のサイドギヤに噛合するギヤ噛み合い部を有し、デフケースの回転軸線と直交する軸線上に配置されている。
デフケースは、左右の車軸をそれぞれ挿通させる1対の車軸挿入孔を有している。デフケースには、1対のピニオンギヤのギヤ外周部を摺動(回転)自在に支持する第1ピニオンギヤ支持面を有するピニオンギヤ挿入孔が設けられている。ピニオンギヤ挿入孔の内側開口周縁には、ピニオンギヤのギヤ噛み合い部の一部を摺動(回転)自在に支持する第2ピニオンギヤ支持面を有する延出部が設けられている。
1対のサイドギヤは、ピニオンギヤの外径より大きい外径を有する略環状の傘歯車からなり、デフケースの回転軸線上に配置されている。1対のサイドギヤの内面には、左右の車軸がそれぞれスプライン嵌合によって連結されている。
1対のスラストワッシャは、1対のサイドギヤの背面と1対の車軸挿入孔の内側開口周縁との間に介装されている。そして、1対のピニオンギヤと1対のサイドギヤとの噛み合いを調整するように構成されている。
以上の構成により、車両のエンジン側からのトルクがドライブピニオン及びリングギヤを介してデフケースに入力されると、デフケースが回転軸線の回りに回転される。次に、デフケースが回転されると、この回転力が1対のピニオンギヤに伝達され、さらに1対のピニオンギヤから1対のサイドギヤに伝達される。1対のサイドギヤにはそれぞれ左右の車軸がスプライン嵌合によって連結されているため、エンジン側からのトルクが車両の運転状況に応じて分配され、ドライブピニオン及びリングギヤ・デフケース・1対のピニオンギヤ・1対のサイドギヤを介して左右の車軸に伝達される。
この場合、ピニオンギヤが回転すると、第1ピニオンギヤ支持面及び第2ピニオンギヤ支持面で摺動するため、これら第1ピニオンギヤ支持面及び第2ピニオンギヤ支持面との間に摩擦抵抗を発生し、これら摩擦抵抗によってサイドギヤの差動回転が制限される。
また、ピニオンギヤの回転によってサイドギヤとの噛み合い面でスラスト力が発生し、これらスラスト力により1対のサイドギヤが互いに離間する方向に移動してスラストワッシャをスラストワッシャ受部に圧接するため、スラストワッシャとスラストワッシャ受部との間に摩擦抵抗を発生し、これら摩擦抵抗によってもサイドギヤの差動回転が制限される。
特開2006−46642号公報
しかしながら、特許文献1の車両用差動装置によると、延出部がピニオンギヤ挿入孔の内側開口周縁に突出して形成され、その内側端部(先端部)が自由端部として固定されていないため、ピニオンギヤを介してサイドギヤからの荷重を受ける延出部(ピニオンギヤ支持部)の曲げ強度が低い。この結果、延出部の曲げ変形によってサイドギヤとピニオンギヤとの噛合位置が変動し易くなり、デフケースに過大なトルクが作用した場合には安定した差動制限力を得ることができないという問題があった。
従って、本発明の目的は、サイドギヤとピニオンギヤとの噛合位置の変動を低減することができ、もって安定した差動制限力を得ることができるデフケース及びこれを備えた車両用差動装置を提供することにある。
(1)本発明は、上記目的を達成するために、1対のサイドギヤに回転軸線を直交させて噛合する少なくとも1対のピニオンギヤをそれぞれ挿入する少なくとも1対のピニオンギヤ挿入孔が設けられたケース本体と、前記ケース本体の内面に設けられ、前記少なくとも1対のピニオンギヤをそれぞれ断面凹状の空間に収容して前記ピニオンギヤの外周面と摺接し、前記ピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンギヤ支持部を有する少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材とを備え、前記少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材は、前記少なくとも1対のピニオンギヤ挿入孔の前記ケース本体の内側における開口周縁にそれぞれ前記ケース本体と一体に設けられているデフケースを提供する。
(2)本発明は、上記目的を達成するために、デフケースと、前記デフケース内に回転自在に収容された1対のサイドギヤと、前記1対のサイドギヤに回転軸線を直交させて噛合し、前記デフケースの回転軸線と直交する軸線上に配置された少なくとも1対のピニオンギヤとを備え、前記デフケースは、前記少なくとも1対のピニオンギヤをそれぞれ挿入する少なくとも1対のピニオンギヤ挿入孔が設けられたケース本体と、前記ケース本体の内面に設けられ、前記少なくとも1対のピニオンギヤをそれぞれ断面凹状の空間に収容して前記ピニオンギヤの外周面と摺接し、前記ピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンギヤ支持部を有する少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材とを含み、前記少なくとも1対のピニオンギヤは、前記少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材の軸線方向両側のうち前記デフケースの回転軸線側と反対側で摺動する第1摺動部、前記少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材の軸線方向両側のうち前記デフケースの回転軸線側で摺動する第2摺動部、及び前記第1摺動部と前記第2摺動部との間に介在して前記1対のサイドギヤに噛合するギヤ噛み合い部を有し、前記第1摺動部は、前記1対のサイドギヤと噛合するギヤ歯が設けられていない帯形環状部に形成されて前記少なくとも1対のピニオンギヤの軸線方向両端部のうち前記デフケースの回転軸線側と反対側の端部に配置され、前記第2摺動部は、前記少なくとも1対のピニオンギヤの軸線方向両端部のうち前記デフケースの回転軸線側の端部に配置され、前記ギヤ噛み合い部を有しない円柱体からなり、前記1対のサイドギヤと噛合するギヤ歯が形成されている部分の外周面は前記少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材に対して摺動しない非摺動部である車両用差動装置を提供する。
本発明によると、サイドギヤとピニオンギヤとの噛合位置の変動を低減することができ、安定した差動制限力を得ることができる。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す分解斜視図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す組立斜視図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置の一部を破断して示す組立斜視図である。図4は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す平面図である。図5は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置をデフケースの回転軸線と平行に切断して示す断面図である。図6は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置をデフケースの回転軸線と直角に切断して示す断面図である。
〔車両差動装置の全体構成〕
図1〜図3において、符号1で示す車両用差動装置は、エンジントルクを受けて回転するデフケース2と、このデフケース2の回転軸線Oと直角な軸線方向に沿って互いに並列する1対のピニオンギヤ3,4と、これら1対のピニオンギヤ3,4に噛合する1対のサイドギヤ5L,5Rとから大略構成されている。
(デフケース2の構成)
デフケース2は、図1〜図3及び図5に示すように、ピニオンギヤ3,4及びサイドギヤ5L,5Rを収容するケース本体50と、このケース本体50のピニオンギヤ挿入孔10,11(後述)の一部をそれぞれ閉塞するスラストワッシャ51,52と、ピニオンギヤ3,4を回転自在に支持するピニオンギヤ支持部材53とを備え、全体が回転軸線Oを中心として回転駆動される中空構造体によって形成されている。
ケース本体50には、図1及び図5に示すように、回転軸線Oに沿って開口する左右2つの車軸挿入孔9L,9R、及びこれら車軸挿入孔9L,9Rの軸線(回転軸線O)と直角な方向に軸線をもつ1対のピニオンギヤ挿入孔10,11が設けられている。また、ケース本体50には、図1に示すように、回転軸線Oに関して対称な領域であって、ピニオンギヤ挿入孔10,11から円周方向に等間隔をもって離間する部位に位置するサイドギヤ通過孔12L,12Rが設けられている。ケース本体50の左方車軸側には、図1〜図6に示すように、回転軸線Oと直角な平面内で円周方向に沿う円環状のリングギヤ取付用フランジ13が一体に設けられている。
車軸挿入孔9L,9Rは、図1及び図5に示すように、略均一な内径をもつ貫通孔によって形成されている。車軸挿入孔9L,9Rには、それぞれ左右の車軸(図示せず)が挿通されている。車軸挿入孔9L,9Rの内側開口周縁には、スラストワッシャ6L,6Rを受ける球面からなるスラストワッシャ受部9La,9Raが設けられている。
ピニオンギヤ挿入孔10,11は、図1及び図5に示すように、その開口内周面にスラストワッシャ51,52の周縁一部を嵌合する凹部10A,11Aを有し、ケース本体50の内外に開口する貫通孔によって形成されている。そして、ケース本体50外のピニオンギヤ3,4をケース本体50内にそれぞれ挿入するように構成されている。このため、ピニオンギヤ挿入孔10,11の開口サイズ(内径)は、ピニオンギヤ3,4の外径より大きいサイズに設定されている。
サイドギヤ通過孔12L,12Rは、図1及び図6に示すように、平面非円形状の開口部を有する貫通孔によって形成されている。そして、その開口サイズは、サイドギヤ5L,5Rをデフケース2内に挿入し得るようなサイズに設定されている。
スラストワッシャ51,52は、図1及び図5に示すように、それぞれピニオンギヤ3,4の背面(摺動面)に適合する球面で形成されたピニオンギヤ受部(受面)51A,52A、及びピニオンギヤ挿入孔10,11の凹部10A,11Aに回転自在に嵌合する凸部51B,52Bを有し、ピニオンギヤ3,4の背面側に配置されている。また、スラストワッシャ51,52は、凸部51B,52Bの凹部10A,11Aへの嵌合によってピニオンギヤ挿入孔10,11の軸線方向に、ストッパピン54,55によってピニオンギヤ挿入孔10,11の軸線回りにそれぞれ固定(位置決め)されている。そして、ピニオンギヤ3,4をピニオンギヤ受部51A,52Aで摺動自在に支持するように構成されている。
ピニオンギヤ支持部材53は、図1及び図6に示すように、ピニオンギヤ3,4をそれぞれ断面凹状の空間60,61に収容して回転自在に支持するピニオンギヤ支持部56,57を有し、上下端縁がピニオンギヤ挿入孔10,11の内側開口周縁に一体に設けられ、全体がサイドギヤ5L,5R間に介在する平面略X字状の構造体によって形成されている。
ピニオンギヤ支持部56,57は、図1及び図6に示すように、ピニオンギヤ3,4の軸線方向両端部のうちピニオンギヤ挿入孔側(ギヤ基端側)の端部(第1摺動部及びギヤ噛み合い部の一部)を摺動(回転)自在にそれぞれ支持する第1ピニオンギヤ支持部56A,57A、及びピニオンギヤ3,4の軸線方向両端部のうちピニオンギヤ挿入孔側の端部と反対側(ギヤ先端側)の端部(第2摺動部)をそれぞれ摺動(回転)自在に支持する第2ピニオンギヤ支持部56B,57Bを有し、サイドギヤ5L,5R間に介在する補強用の連結部58を介して互いに一体に設けられ、かつデフケース2の回転軸線O上に配置されている。
第1ピニオンギヤ支持部56A,57Aは、図1に示すように、ピニオンギヤ支持部56,57のピニオンギヤ挿入孔側に、すなわちピニオンギヤ挿入孔10,11の軸線方向においてピニオンギヤ3,4とサイドギヤ5L,5Rとの噛み合い中心点よりもデフケース2の回転軸線O側と反対側に配置され、かつピニオンギヤ挿入孔10,11の軸線回り(ピニオンギヤ3,4の周囲)に所定の間隔(等間隔)をもってそれぞれ複数個(実施の形態では2個)並設されている。第1ピニオンギヤ支持部56A,57Aには、図5及び図6に示すように、所定の曲率半径をもつ曲率面で形成された第1ピニオンギヤ支持面56a,57aが設けられている。
第2ピニオンギヤ支持部56B,57Bは、図1に示すように、ピニオンギヤ支持部56,57の回転軸線O側に、すなわちピニオンギヤ挿入孔10,11の軸線方向においてピニオンギヤ3,4とサイドギヤ5L,5Rとの噛み合い中心点よりもデフケース2の回転軸線O側に配置され、かつピニオンギヤ挿入孔10,11の軸線回り(ピニオンギヤ3,4の周囲)に所定の間隔(等間隔)をもってそれぞれ複数個(実施の形態では2個ずつ)並設されている。また、第2ピニオンギヤ支持部56B,57Bは、図6に示すように、デフケース2の回転軸線O側でそれぞれが互いに補強部56C,57Cを介して一体に設けられている。これにより、補強部56C,57C(連結部58)が水平梁として機能し、サイドギヤ5L,5Rからピニオンギヤ3,4を介してピニオンギヤ支持部材53に作用する荷重を補強部56C,57Cが受けることになり、ピニオンギヤ支持部材53(ピニオンギヤ支持部56,57)の曲げ強度(剛性)を高めることができる。第2ピニオンギヤ支持部56B,57Bには、図5及び図6に示すように、所定の曲率半径(第1ピニオンギヤ支持面56a,57aの曲率半径より小さい曲率半径)をもつ曲率面で形成された第2ピニオンギヤ支持面56b,57bが設けられている。
(ピニオンギヤ3,4の構成)
ピニオンギヤ3,4は、図5及び図6に示すように、ピニオンギヤ支持部材53のピニオンギヤ挿入孔側(ピニオンギヤ支持部材53の軸線方向両側のうちデフケース2の回転軸線O側と反対側)で摺動する第1摺動部(ギヤ歯が形成されたギヤ噛み合い部の一部を含む)3A,4A、ピニオンギヤ支持部材53の回転軸線側(ピニオンギヤ支持部材53の軸線方向両側のうちデフケース2の回転軸線O側)で摺動する第2摺動部3B,4B、及び第1摺動部3A,4Aと第2摺動部3B,4Bとの間に介在してサイドギヤ5L,5Rに噛合するギヤ噛み合い部3C,4Cを有し、デフケース2の回転軸線Oと直角な軸線上に配置されている。
なお、ピニオンギヤ3,4は、ピニオンギヤ支持部材53による支持状態においてピニオンギヤ軸線方向の両側のうち回転軸線O側に位置する側をギヤ先端側と、またピニオンギヤ軸線方向の両側のうち回転軸線O側と反対側に位置する側をギヤ基端側とそれぞれ定義する。
第1摺動部3A,4Aは、図6に示すように、ピニオンギヤ3,4の外周面における軸線回り(ギヤ外周部)全体にわたって被支持部として機能する帯形環状の主摺動部30A,40A、及びピニオンギヤ3,4の外周面における軸線回り(ギヤ外周部)一部にわたって被支持部として機能する補助摺動部31A,41A(ギヤ歯が形成されたギヤ噛み合い部3C,4Cの一部)を有し、ピニオンギヤ3,4の軸線方向両端部のうちピニオンギヤ挿入孔側(ギヤ基端側)端部に配置され、かつ第1ピニオンギヤ支持部56A,57Aの第1ピニオンギヤ支持面56a,57aに回転自在に支持されている。第1摺動部3A,4A(主摺動部30A,40A)の背面には、スラストワッシャ51,52のピニオンギヤ受部51A,52Aに適合する球面で形成された第3摺動部3D,4Dが設けられている。
第2摺動部3B,4Bは、図5及び図6に示すように、ピニオンギヤ3,4の軸線回り全体にわたって被支持部として機能する円柱体からなり、ピニオンギヤ3,4の軸線方向両端部のうちデフケース2の回転軸線側(ギヤ先端側)端部に配置され、かつ第2ピニオンギヤ支持部56B,57Bの第2ピニオンギヤ支持面56b,57bに回転自在に支持されている。第2摺動部3B,4Bの外径は、第1摺動部3A,4Aの外径より小さい寸法に設定されている。
ギヤ噛み合い部3C,4Cは、図6に示すように、ピニオンギヤ3,4の補助摺動部31A,41Aを含むストレート部Cs、及びこのストレート部Csに連接するテーパ部Ctからなり、デフケース2の回転軸線側でサイドギヤ5L,5Rに噛合するように構成されている。
(サイドギヤ5L,5Rの構成)
サイドギヤ5L,5Rは、図5に示すように、各外径が互いに異なるボス部5La,5Ra及びギヤ部5Lb,5Rbを有する略環状の歯車(ピニオンギヤ3,4の外径より大きい外径を有する傘歯車)からなり、デフケース2内に回転自在に支持され、ピニオンギヤ3,4に噛合するように構成されている。サイドギヤ5L,5Rの歯数は、ピニオンギヤ3,4の歯数より大きい歯数に設定されている。より詳細には、ピニオンギヤ3,4の歯数の2.1倍以上の歯数(例えばピニオンギヤ3,4の歯数7に対しサイドギヤ5L,5Rの歯数15)に設定されている。サイドギヤ5L,5Rの外径は、ピニオンギヤ3,4の外径より大きい寸法に設定されている。
サイドギヤ5L,5Rの背面には、スラストワッシャ受部9La,9Raにスラストワッシャ6L,6Rを介して適合する球面からなる摺動部5Lc,5Rcが設けられている。サイドギヤ5L,5R内には、それぞれ車軸が車軸挿入孔9L,9Rを挿通してスプライン嵌合されている。
〔車両用差動装置1の動作〕
車両のエンジン側からのトルクがドライブピニオン及びリングギヤを介してデフケース2に入力されると、デフケース2が回転軸線Oの回りに回転する。デフケース2が回転すると、この回転力がピニオンギヤ3,4に伝達され、さらにピニオンギヤ3,4からサイドギヤ5L,5Rに伝達される。この場合、左右のサイドギヤ5L,5Rにはそれぞれ車軸(図示せず)がスプライン嵌合されているため、エンジン側からのトルクがドライブピニオン及びリングギヤ・デフケース2・ピニオンギヤ3,4・サイドギヤ5L,5Rを介して左右の車軸に伝達される。
ここで、車両が直進状態であり、かつ左右各車輪と路面との間でスリップが発生しない場合には、エンジン側からのトルクがデフケース2に伝達されると、ピニオンギヤ3,4がサイドギヤ5L,5Rの中心軸回りに自転することなく公転し、ピニオンギヤ3,4及びサイドギヤ5L,5Rがデフケース2と共に一体に回転するため、エンジン側からのトルクが左右両車軸に等分に伝達され、左右各車輪が等しい回転数で回転する。
一方、例えば右側の車輪がぬかるみに落ち込んでスリップが発生した場合には、ピニオンギヤ3,4がサイドギヤ5L,5Rと噛合しながら自転するため、左側の車輪がデフケース2の回転速度より低い速度で回転し、右側の車輪がデフケース2の回転速度より高い速度で回転し、エンジン側からのトルクが左右の車軸(車輪)間で差動分配される。
本実施の形態においては、デフケース2にトルクが作用した状態でピニオンギヤ3,4が回転すると、第1摺動部3A,4A及び第2摺動部3B,4Bが第1ピニオンギヤ支持面56a,57aと第2ピニオンギヤ支持面56b,57bでそれぞれ摺動するため、第1摺動部3A,4Aと第1ピニオンギヤ支持面56a,57aとの間及び第2摺動部3B,4Bと第2ピニオンギヤ支持面56b,57bとの間にそれぞれ摩擦抵抗を発生し、これら摩擦抵抗によってサイドギヤ5L,5Rの差動回転が制限される。この際、図7に示すように、サイドギヤ5L,5Rとピニオンギヤ3,4との噛合によってサイドギヤ5L,5Rからピニオンギヤ3,4に荷重Lが作用すると、ピニオンギヤ支持部材53(第1ピニオンギヤ支持面56a,57a及び第2ピニオンギヤ支持面56b,57b)からの反力F1,F2がピニオンギヤ3,4の第1摺動部3A,4Aと第2摺動部3B,4Bに分散して加わるため、ピニオンギヤ3,4がピニオンギヤ支持部材53上で安定した状態で摺動することになる。
この場合、サイドギヤ5L,5Rとピニオンギヤ3,4との噛合点をPとし、この噛合点Pから反力F1,F2の作用点a,bまでのピニオンギヤ軸線方向距離をそれぞれh1,h2とすると、反力F1,F2はそれぞれF1=L×h2/(h1+h2),F2=L×h1/(h1+h2)と表される。ピニオンギヤ3,4の第1摺動部3A,4Aの半径をR1、ピニオンギヤ3,4の軸線Hから噛合点Pまでの距離をR2、及びピニオンギヤ3,4の第2摺動部3B,4Bの半径をR3とすると、反力F1によってピニオンギヤ3,4からサイドギヤ5L,5Rにトルクが伝達される場合のトルク伝達倍率T1はT1=R1/R2と表され、また反力F2によってピニオンギヤ3,4からサイドギヤ5L,5Rにトルクが伝達される場合のトルク伝達倍率T2はT2=R3/R2と表される。
一方、ピニオンギヤ3,4の回転によってサイドギヤ5L,5Rとの噛み合い面で各々のギヤ(ピニオンギヤ3,4及びサイドギヤ5L,5R)の回転軸方向のスラスト力が発生する。このうちサイドギヤ5L,5Rに発生するスラスト力によりサイドギヤ5L,5Rが互いに離間する方向に移動してスラストワッシャ6L,6Rをスラストワッシャ受部9La,9Raに圧接するため、スラストワッシャ6L,6Rとスラストワッシャ受部9La,9Raとの間に摩擦抵抗を発生し、これら摩擦抵抗によってもサイドギヤ5L,5Rの差動回転が制限される。
また、ピニオンギヤ3,4に発生するスラスト力によりピニオンギヤ3,4の第3摺動部3D,4Dがスラストワッシャ51,52のピニオンギヤ受部51A,52Aに圧接するため、ピニオンギヤ3,4の自転に対する摩擦抵抗が発生し、これによってもサイドギヤ5L,5Rの差動回転が制限される。
次に、本実施の形態に係る車両用差動装置の組立方法について説明する。本実施の形態に示す車両用差動装置の組立方法は、「サイドギヤの組み込み」及び「ピニオンギヤの組み込み」・「スラストワッシャの取り付け」・「ピニオンギヤとサイドギヤとの噛み合わせ」の各工程が順次実施されるため、これら各工程を順次説明する。
「サイドギヤの組み込み」
デフケース2外のサイドギヤ5L,5Rをサイドギヤ通過孔12L,12Rからデフケース2内に挿入し、さらにスラストワッシャ受部9La,9Raに沿ってそれぞれ摺動させながらサイドギヤ5L,5Rの軸線をデフケース2の回転軸線Oに合致させる。この場合、サイドギヤ5L,5Rは、回転軸線Oに合致すると、デフケース2内に組み込まれる。
「ピニオンギヤの組み込み」
デフケース2外のピニオンギヤ3,4をピニオンギヤ挿入孔10,11からデフケース2内に挿入した後、ピニオンギヤ支持部材53の空間60,61に収容して第1摺動部3A,4A及び第2摺動部3B,4Bをピニオンギヤ支持部56,57の第1ピニオンギヤ支持部56A,57Aと第2ピニオンギヤ支持部56B,57Bに支持する。この場合、ピニオンギヤ3,4は、ピニオンギヤ支持部56,57に支持されると、デフケース2内に組み込まれる。
「スラストワッシャの取り付け」
スラストワッシャ51,52の凸部51B,52Bをピニオンギヤ挿入孔10,11の凹部10A,11Aに嵌合してピニオンギヤ挿入孔10,11の軸線方向にスラストワッシャ51,52を固定(位置決め)した後、ストッパピン54,55によってピニオンギヤ挿入孔10,11の軸線回りにスラストワッシャ51,52を固定(位置決め)する。この場合、スラストワッシャ51,52は、ピニオンギヤ挿入孔10,11の軸線方向及び軸線回りに位置決めされると、デフケース2に対して取り付けられる。
「ピニオンギヤとサイドギヤとの噛み合わせ」
スラストワッシャ受部9La,9Raとサイドギヤ5L,5Rとの間の軸線方向寸法を調整しながら、サイドギヤ5L,5Rの摺動部5La,5Raと車軸挿入孔9L,9Rのスラストワッシャ受部9La,9Raとの間にスラストワッシャ6L,6Rを介装する。この場合、スラストワッシャ6L,6Rがサイドギヤ5L,5Rとスラストワッシャ受部9La,9Raとの間に介装されると、サイドギヤ5L,5Rとピニオンギヤ3,4とがデフケース2の回転軸線O上で噛み合わされる。
[第1の実施の形態の効果]
以上説明した第1の実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
(1)サイドギヤ5L,5Rからそれぞれピニオンギヤ3,4を介してピニオンギヤ支持部材53(ピニオンギヤ支持部56,57)に作用する荷重Lを補強部56C,57Cが受けることになり、ピニオンギヤ支持部56,57の曲げ強度(デフケース2の剛性)を高めることができる。また、ピニオンギヤ3,4がサイドギヤ5L,5Rとの噛み合い面の内側(回転軸線O側)と外側(デフケース2の外周側)で支持されることにより、ピニオンギヤ3,4の傾きを確実に防止することができる。これにより、サイドギヤ5L,5Rとピニオンギヤ3,4との噛合位置の変動を低減することができ、安定した差動制限力を得ることができる。
(2)サイドギヤ5L,5Rとピニオンギヤ3,4との噛合によってサイドギヤ5L,5Rからピニオンギヤ3,4に荷重Lが作用すると、ピニオンギヤ支持部材53(第1ピニオンギヤ支持面56a,57a及び第2ピニオンギヤ支持面56b,57b)からの反力F1,F2がピニオンギヤ3,4の第1摺動部3A,4Aと第2摺動部3B,4Bに分散するため、ピニオンギヤ3,4の耐焼き付き性を高めることができ、装置全体の長寿命化を図ることができる。
(3)ピニオンギヤ支持部材53の連結部58がサイドギヤ5L,5R間に介在するため、サイドギヤ5L,5Rに車軸を連結するために用いる車軸移動規制部材としてのアクスルスペーサが不要になる。これにより、部品点数を削減することができ、コストの低廉化を図ることができる。
なお、本実施の形態では、ピニオンギヤ3,4の第1摺動部3A,4Aにおける主摺動部30A,40Aと比べて補助摺動部31A,41Aが摺動部全体にわたりその半径を同一の寸法に設定して形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、摺動部全体にわたりその半径を異なる寸法に設定して補助摺動部31A,41Aを形成してもよく、また一部の半径を異なる寸法に設定して補助摺動部31A,41Aを形成してもよい。
[第2の実施の形態]
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る車両用差動装置をデフケースの回転軸線と直角に切断して示す断面図である。図8において、図1〜図7と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図8に示すように、第2の実施の形態に示す車両用差動装置81は、第1摺動部3A,4Aがサイドギヤ5L,5Rと噛合するギヤ歯が設けられていない帯形環状部のみに形成された点に特徴がある。
即ち、サイドギヤ5L,5Rと噛合するギヤ歯が形成されている部分の外周面はピニオンギヤ支持部56,57と摺動しないようにされている。つまり、ピニオンギヤ3,4は、第1摺動部3A,4Aのギヤ先端側に、ピニオンギヤ支持部材53のピニオンギヤ支持部56,57(第1ピニオンギヤ支持面56a,57a)に対して摺動しない非摺動部310A,410Aを有している。
非摺動部310A,410Aは、その外径D2を摺動部300A,400Aの外径D1より小さい寸法(D1>D2)に設定することにより、ピニオンギヤ支持部材56,57の第1ピニオンギヤ支持面56a,57aに環状の空隙82,83を介して配置されている。
空隙82,83の径方向寸法は、装置駆動時にピニオンギヤ3,4による異物の噛み込みやピニオンギヤ支持部材56,57及びピニオンギヤ3,4の異物による焼き付きが発生しないような寸法に設定することが望ましい。
[第2の実施の形態の効果]
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果(1)〜(3)に加え、次に示す効果が得られる。
ピニオンギヤ支持部材53のピニオンギヤ支持部56,57と摺動する第1摺動部3A,4Aが、サイドギヤ5L,5Rと噛合するギヤ歯が設けられていない帯形環状部のみに形成されているため、装置駆動時に第1摺動部3A,4Aとピニオンギヤ支持部材53のピニオンギヤ支持部56,57との接触部の面圧がほぼ一定である。即ち、サイドギヤ5L,5Rと噛合するギヤ歯が設けられている部分の外周面とピニオンギヤ支持部材53のピニオンギヤ支持部56,57とが摺動する場合には、ピニオンギヤ3,4の回転位相によりピニオンギヤ支持部56,57との接触面積および面圧が変動し、面圧が高い場合には焼き付きが発生しやすくなるが、本実施の形態によればこれを回避することができ、ピニオンギヤ3,4及びピニオンギヤ支持部材53の耐焼き付き性を一層効果的に高めることができる。
なお、本実施の形態においては、ピニオンギヤ3,4の一部(非摺動部310A,410A)とピニオンギヤ支持部材53(ピニオンギヤ支持部56,57)との接触を回避するために、大小2つの外径をもつギヤ外周部によって第1摺動部3A,4Aを形成する(非摺動部310A,410Aの外径D2を摺動部300A,400Aの外径D1より小さい寸法に設定する)ことにより、ピニオンギヤ3,4の外周面にピニオンギヤ支持部材53のピニオンギヤ支持部56,57に対して摺動しない部位(非摺動部310A,410A)を設ける場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、ピニオンギヤ支持部材53のピニオンギヤ支持部56,57に凹部(直径の大きい部分)を設けることにより、ピニオンギヤ3,4の外周面にピニオンギヤ支持部材53のピニオンギヤ支持部56,57に対して摺動しない部位(非摺動部)を設けてもよい。
以上、本発明の車両用差動装置を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
(1)各実施の形態では、ピニオンギヤ3,4をそれぞれ断面凹状の空間60,61に収容して回転自在に支持するピニオンギヤ支持部56,57を有する平面略X字状の構造体によってピニオンギヤ支持部材53が形成されている場合、すなわち断面凹状のピニオンギヤ支持部を有する1対のピニオンギヤ支持部材が1対のサイドギヤ間に介在する連結部によって一体に形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材がピニオンギヤ挿入孔の軸線方向に所定の間隔をもって並列するもの(連結部の無いもの)でもよく、また単一のピニオンギヤ支持部を有するピニオンギヤ支持部材であってもよい。
(2)各実施の形態では、ピニオンギヤ支持部材53がデフケース2(ケース本体50)の内面に一体に設けられている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、図9及び図10に示すようにデフケース2の内面にデフケース2とは別体のピニオンギヤ支持部材200を相対回転不能に取り付けてもよい。この場合、デフケース2とピニオンギヤ支持部材200とが別部材であるため、デフケース2及びピニオンギヤ支持部材200の加工・検査等を個々に行うことができ、その加工・検査等がし易くなる。
図9及び図10において、デフケース2(ケース本体50)の内面には、ピニオンギヤ挿入孔10,11の内側開口周縁に突出し、かつピニオンギヤ3,4の軸線方向両端部のうちピニオンギヤ挿入孔側(ギヤ基端側)の端部(第1摺動部及びギヤ噛み合い部の一部)を摺動(回転)自在にそれぞれ支持する第1ピニオンギヤ支持部56A,57Aが設けられている。
第1ピニオンギヤ支持部56A,57Aには、デフケース2の回転軸線O及びピニオンギヤ挿入孔10,11の軸線を中心軸線とする曲率面からなる案内面560A,570A、及びピニオンギヤ支持部材200を位置決めする位置決め面560B,570Bが設けられている。
ピニオンギヤ支持部材200は、ピニオンギヤ3,4の軸線方向両端部のうちピニオンギヤ挿入孔側の端部と反対側(ギヤ先端側)の端部(第2摺動部)をそれぞれ摺動(回転)自在に支持する第2ピニオンギヤ支持部56B,57Bを有し、デフケース2の回転軸線O上に配置され、全体がピニオンギヤ支持部材53(第1の実施の形態に示す)と同様にサイドギヤ5L,5R(図9及び図10に図示せず)間に介在する平面略X字状の構造によって形成されている。
ピニオンギヤ支持部材200には、第1ピニオンギヤ支持部56A,57Aの案内面560A,570Aに適合する曲率面からなる嵌合面200A,201A、及び第1ピニオンギヤ支持部56A,57Aの位置決め面560B,570Bに対応する位置決め部200B,201Bが設けられている。また、ピニオンギヤ支持部材200には、第1ピニオンギヤ支持部56A,57Aの位置決め面560B,570Bに対応し、かつ位置決め部200B,201Bに隣接する切り欠き200C,201Cが設けられている。
切り欠き200C,201Cは、デフケース2の回転軸線Oに沿って互いに反対方向に開口する位置に配置されている。これにより、図9に示す2点鎖線で示す位置から図9に実線で示す位置にピニオンギヤ支持部材200をデフケース2の回転軸線O及びピニオンギヤ挿入孔10,11の軸線(案内面560A,570Aの中心軸線)の回りに回動させてケース本体50に対して干渉することなく取り付けることができる。
(3)各実施の形態では、サイドギヤ5L,5Rに噛合するピニオンギア3,4がデフケース2内に2個(1対)配置する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、単一のピニオンギヤでもよく、またギヤ径を小さい寸法に設定することにより3個以上のピニオンギヤをデフケース内に配置することができる。
(4)各実施の形態では、ピニオンギヤ3,4の第1摺動部3A,4Aにおける補助摺動部31A,41A(第1の実施の形態)又は非摺動部310A,410A(第2の実施の形態)がストレート部Csによって形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、テーパ部Ctによって補助摺動部31A,41A(第1の実施の形態)又は非摺動部310A,410A(第2の実施の形態)を形成してもよい。
(5)各実施の形態では、ピニオンギヤ挿入孔10,11の軸線方向に対するスラストワッシャ51,52の位置決めが、凸部51B,52Bの凹部10A,11Aへの嵌合によって行われる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、スナップリング(図示せず)を用いてスラストワッシャをピニオンギヤ挿入孔の軸線方向に位置決めしてもよい。この場合、図11(a)に示すように切り欠き95Aを外周面に有するスラストワッシャ95を用い、また図11(b)に示すように凸部96Aを外周面に有するスラストワッシャ96を用い、これら各スラストワッシャ95,96の外周面に嵌合する内周面を有する凹部100,101をピニオンギヤ挿入孔10,11(ピニオンギヤ挿入孔11の凹部100,101については図示せず)の外側開口周縁に設けることにより、ピニオンギヤ挿入孔10,11の軸線回りにスラストワッシャ91,92をそれぞれ位置決めすることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す分解斜視図。 本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す組立斜視図。 本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置の一部を破断して示す組立斜視図。 本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す平面図。 本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置をデフケースの回転軸線と平行に切断して示す断面図。 本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置をデフケースの回転軸線と直角に切断して示す断面図。 本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置の動作を説明するために示す断面図。 本発明の第2の実施の形態に係る車両用差動装置をデフケースの回転軸線と直角に切断して示す断面図。 本発明の各実施の形態に係る車両用差動装置の変形例を説明するために示す正面図。 図9のA−A断面図。 (a)及び(b)は、本発明の各実施の形態に係る車両用差動装置におけるスラストワッシャの取り付け変形例を説明するために示す平面図。
符号の説明
1,81…車両用差動装置
2…デフケース
3,4…ピニオンギヤ、3A,4A…第1摺動部、3B,4B…第2摺動部、3C,4C…ギヤ噛み合い部、3D,4D…第3摺動部、30A,40A…主摺動部、31A,41A…補助摺動部、300A,400A…摺動部、310A,410A…非摺動部
5L,5R…サイドギヤ、5La,5Ra…ボス部、5Lb,5Rb…ギヤ部、5Lc,5Rc…摺動部
6L,6R…スラストワッシャ
9L,9R…車軸挿入孔、9La,9Ra…スラストワッシャ受部
10,11…ピニオンギヤ挿入孔、10A,11A,100,101…凹部
12L,12R…サイドギヤ通過孔
13…リングギヤ取付用フランジ
50…ケース本体、51,52…スラストワッシャ、51A,52A…ピニオンギヤ受部、51B,52B…凸部
53…ピニオンギヤ支持部材、54,55…ストッパピン、56,57…ピニオンギヤ支持部、56A,57A…第1ピニオンギヤ支持部、56a,57a…第1ピニオンギヤ支持面、56B,57B…第2ピニオンギヤ支持部、56b,57b…第2ピニオンギヤ支持面、56C,57C…補強部、58…連結部、560A,570A…案内面、560B,570B…位置決め面
82,83…空隙
93…第1ケースエレメント、930…部品挿入口、931…サイド貫通孔、932…収容空間、933…サイドギヤ用の支持部、934,935…ピニオンギヤ支持部材用の支持部、934A,935A…切り欠き凹部、936…フランジ、936A…貫通孔
94…第2ケースエレメント、94A…オイル通過孔、940…フランジ、940A…貫通孔
95,96…スラストワッシャ、95A…切り欠き、96A…凸部
200…ピニオンギヤ支持部材、200A,201A…嵌合面、200B,201B…位置決め部、200C,201C…切り欠き
Cs…ストレート部、Ct…テーパ部、O…回転軸線

Claims (12)

  1. 1対のサイドギヤに回転軸線を直交させて噛合する少なくとも1対のピニオンギヤをそれぞれ挿入する少なくとも1対のピニオンギヤ挿入孔が設けられたケース本体と、
    前記ケース本体の内面に設けられ、前記少なくとも1対のピニオンギヤをそれぞれ断面凹状の空間に収容して前記ピニオンギヤの外周面と摺接し、前記ピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンギヤ支持部を有する少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材とを備え、
    前記少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材は、前記少なくとも1対のピニオンギヤ挿入孔の前記ケース本体の内側における開口周縁にそれぞれ前記ケース本体と一体に設けられている
    デフケース。
  2. 前記少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材は、前記1対のサイドギヤ間に介在する連結部を介して一体に形成されている請求項1に記載のデフケース。
  3. 前記少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材は、前記ピニオンギヤ支持部が前記少なくとも1対のピニオンギヤの軸線方向両端部のうちギヤ基端側の端部を回転自在に支持する第1ピニオンギヤ支持部、及び前記少なくとも1対のピニオンギヤの軸線方向両端部のうちギヤ先端側の端部を回転自在に支持する第2ピニオンギヤ支持部から構成されている請求項1に記載のデフケース。
  4. 前記第1ピニオンギヤ支持部は、前記少なくとも1対のピニオンギヤ挿入孔の軸線方向において前記少なくとも1対のピニオンギヤと前記1対のサイドギヤとの噛み合い中心点よりも前記デフケースの回転軸線側と反対側に位置し、
    前記第2ピニオンギヤ支持部は、前記少なくとも1対のピニオンギヤ挿入孔の軸線方向において前記少なくとも1対のピニオンギヤと前記1対のサイドギヤとの噛み合い中心点よりも前記デフケースの回転軸線側に位置する請求項3に記載のデフケース。
  5. 前記第1ピニオンギヤ支持部及び前記第2ピニオンギヤ支持部は、前記少なくとも1対のピニオンギヤ挿入孔の軸線回りに所定の間隔をもってそれぞれ複数個並設されている請求項4に記載のデフケース。
  6. 前記第1ピニオンギヤ支持部は、所定の曲率半径をもつ曲率面で形成された第1ピニオンギヤ支持面を有し、
    前記第2ピニオンギヤ支持部は、前記第1ピニオンギヤ支持面の曲率半径より小さい曲率半径をもつ曲率面で形成された第2ピニオンギヤ支持面を有する請求項4に記載のデフケース。
  7. 前記ケース本体は、前記少なくとも1対のピニオンギヤ挿入孔の一部がそれぞれスラストワッシャによって閉塞されている請求項1に記載のデフケース。
  8. 前記スラストワッシャは、前記少なくとも1対のピニオンギヤの背面に適合するピニオンギヤ受面を有する請求項7に記載のデフケース。
  9. デフケースと、
    前記デフケース内に回転自在に収容された1対のサイドギヤと、
    前記1対のサイドギヤに回転軸線を直交させて噛合し、前記デフケースの回転軸線と直交する軸線上に配置された少なくとも1対のピニオンギヤとを備え、
    前記デフケースは、
    前記少なくとも1対のピニオンギヤをそれぞれ挿入する少なくとも1対のピニオンギヤ挿入孔が設けられたケース本体と、
    前記ケース本体の内面に設けられ、前記少なくとも1対のピニオンギヤをそれぞれ断面凹状の空間に収容して前記ピニオンギヤの外周面と摺接し、前記ピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンギヤ支持部を有する少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材とを含み、
    前記少なくとも1対のピニオンギヤは、前記少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材の軸線方向両側のうち前記デフケースの回転軸線側と反対側で摺動する第1摺動部、前記少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材の軸線方向両側のうち前記デフケースの回転軸線側で摺動する第2摺動部、及び前記第1摺動部と前記第2摺動部との間に介在して前記1対のサイドギヤに噛合するギヤ噛み合い部を有し、
    前記第1摺動部は、前記1対のサイドギヤと噛合するギヤ歯が設けられていない帯形環状部に形成されて前記少なくとも1対のピニオンギヤの軸線方向両端部のうち前記デフケースの回転軸線側と反対側の端部に配置され、
    前記第2摺動部は、前記少なくとも1対のピニオンギヤの軸線方向両端部のうち前記デフケースの回転軸線側の端部に配置され、前記ギヤ噛み合い部を有しない円柱体からなり、
    前記1対のサイドギヤと噛合するギヤ歯が形成されている部分の外周面は前記少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材に対して摺動しない非摺動部である
    車両用差動装置。
  10. 前記第1摺動部は、外径が前記第2摺動部の外径より大きい寸法に設定されている請求項9に記載の車両用差動装置。
  11. 前記非摺動部は、その外径が前記第1摺動部の外径より小さい寸法に設定されている請求項9に記載の車両用差動装置。
  12. 前記非摺動部は、前記少なくとも1対のピニオンギヤ支持部材に環状の空隙を介して配置されている請求項9に記載の車両用差動装置。
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