以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像形成装置及び画像作成方法について説明をする。
図1は、本発明に係る実施形態としてのカラープリンタ100の構成例を示す概念図である。図1に示すタンデム式のカラープリンタ100は、画像形成装置の一例を構成し、デジタルのカラー画像情報に基づいて、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kを回転駆動し、各々の感光体ドラムに画像を形成して中間転写ベルト6上に転写するものである。中間転写ベルト6上に転写された画像は様々な用紙(転写材)Pに転写され定着される。
カラープリンタ100は、画像書込み制御信号に基づく作像タイミングで感光体ドラムに画像を形成するようになされる。この例では、この画像書込み制御信号として、基準周期のインデックス信号(以下、基準インデックス信号という)を用紙Pの紙種に応じて補正した紙種毎のインデックス信号を適用するようになされる。
カラー画像情報は、パーソナルコンピュータ等の外部装置から当該プリンタ100へ供給され、画像形成部80へ転送される。画像形成部80は、画像形成手段の一例を構成し、イエロー(Y)色用の感光体ドラム1Yを有する画像形成ユニット10Yと、マゼンタ(M)色用の感光体ドラム1Mを有する画像形成ユニット10Mと、シアン(C)色用の感光体ドラム1Cを有する画像形成ユニット10Cと、黒(K)色用の感光体ドラム1Kを有する画像形成ユニット10Kと、無終端状の中間転写ベルト6とを備えて構成される。画像形成部80では、当該感光体ドラム1Y,1M,1C,1K毎に作像処理するようになされ、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kで作像処理された各色のトナー像が中間転写ベルト6上で重ね合わされ、色画像を形成するようになされる。
この例で、画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム1Yの他に、帯電器2Y、ライン状の光学ヘッド(Line Photo diode Head;以下LPHユニット5Yという)、現像ユニット4Y及び像形成体用のクリーニング手段8Yを有して、イエロー(Y)色の画像を形成するようになされる。感光体ドラム1Yは像担持体の一例を構成し、例えば、中間転写ベルト6の右側上部に近接して回転自在に設けられ、Y色のトナー像を形成するようになされる。この例で、感光体ドラム1Yは、図2に示すような回転伝動機構40によって、反時計方向に回転される。感光体ドラム1Yの斜め右側下方には、帯電器2Yが設けられ、感光体ドラム1Yの表面を所定の電位に帯電するようになされる。
感光体ドラム1Yのほぼ真横には、これに対峙して、LPHユニット5Yが設けられ、事前に帯電された感光体ドラム1Yに対して、Y色用の画像データに基づく所定の強度を有したレーザ光を一括照射するようになされる。LPHユニット5Yには、図示しないLEDヘッドがライン状に配置されたものが使用される。画像書込み系には、LPHユニットに代えて、図示しないポリゴンミラーによる走査露光系等を使用してもよい。感光体ドラム1YにはY色用の静電潜像が形成される。
LPHユニット5Yの上方には現像ユニット4Yが設けられ、感光体ドラム1Yに形成されたY色用の静電潜像を現像するように動作する。現像ユニット4Yは、図示しないY色用の現像ローラを有している。現像ユニット4Yには、Y色用のトナー剤及びキャリアが収納されている。
Y色用の現像ローラは、内部に磁石が配置され、現像ユニット4Y内でキャリアとY色トナー剤を攪拌して得られる2成分現像剤を感光体ドラム1Yの対向部位に回転搬送し、Y色のトナー剤により静電潜像を現像するようになされる。この感光体ドラム1Yに形成されたY色のトナー像は、1次転写ローラ7Yを動作させて中間転写ベルト6に転写される(1次転写)。感光体ドラム1Yの左側下方には、クリーニング部8Yが設けられ、前回の書込みで感光体ドラム1Yに残留したトナー剤を除去(クリーニング)するようになされる。
この例で、画像形成ユニット10Yの下方には画像形成ユニット10Mが設けられる。画像形成ユニット10Mは、感光体ドラム1M、帯電器2M、LPHユニット5M、現像ユニット4M及び像形成体用のクリーニング部8Mを有して、マゼンタ(M)色の画像を形成するようになされる。画像形成ユニット10Mの下方には画像形成ユニット10Cが設けられる。画像形成ユニット10Cは、感光体ドラム1C、帯電器2C、LPHユニット5C、現像ユニット4C及び像形成体用のクリーニング部8Cを有して、シアン(C)色の画像を形成するようになされる。
画像形成ユニット10Cの下方には画像形成ユニット10Kが設けられる。画像形成ユニット10Kは、感光体ドラム1K、帯電器2K、LPHユニット5K、現像ユニット4K及び像形成体用のクリーニング部8Kを有して、ブラック(BK)色の画像を形成するようになされる。感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kには有機感光体(Organic Photo Conductor;OPC)ドラムが使用される。
なお、画像形成ユニット10M〜10Kの各部材の機能については、画像形成ユニット10Yの同じ符号のものについて、YをM、C、Kに読み替えることで適用できるので、その説明を省略する。上述の1次転写ローラ7Y,7M,7C及び7Kには、使用するトナー剤と反対極性(本実施例においては正極性)の1次転写バイアス電圧が印加される。
中間転写ベルト6は像担持体の一例を構成し、1次転写ローラ7Y,7M,7C及び7Kによって転写されたトナー像を重合してカラートナー像(カラー画像)を形成する。中間転写ベルト6上に形成されたカラー画像は、中間転写ベルト6が時計方向に回転することで、2次転写ローラ7Aに向けて搬送される。2次転写ローラ7Aは中間転写ベルト6の下方に位置しており、中間転写ベルト6に形成されたカラートナー像を用紙Pに一括して転写するようになされる(2次転写)。2次転写ローラ7Aには前回の転写で2次転写ローラ7Aに残留したトナー剤を除去(クリーニング)するようになされる。
この例で、中間転写ベルト6の左側上方にはクリーニング部8Aが設けられ、転写後の中間転写ベルト6上に残存するトナー剤をクリーニングするように動作する。クリーニング部8Aは、中間転写ベルト6の電荷を除電する除電部(図示せず)や中間転写ベルト6に残留するトナー等を除去するパッドを有している。このクリーニング部8Aによってベルト面がクリーニングされ、除電部で除電された後の中間転写ベルト6は、次の画像形成サイクルに入る。これにより、用紙Pにカラー画像を形成できるようになる。
カラープリンタ100は画像形成部80の他に、用紙給紙部20及び、定着装置17を備えている。上述の画像形成ユニット10Kの下方には、給紙用の選択手段の一例を構成する用紙給紙部20が設けられる。この例の用紙給紙部20には、複数の給紙トレイRnが接続され、紙種別に用紙Pを収容している。用紙給紙部20は紙種に応じて複数の給紙トレイRnの中から1つの給紙トレイRnを選択し、適当な用紙Pを用紙搬送路に繰り出すようになされる。
用紙給紙部20から画像形成ユニット10Kの下方に至る用紙搬送路には、搬送ローラ22A、22C、ループローラ22B、レジストローラ23等が設けられる。例えば、レジストローラ23は、用紙給紙部20から繰り出された所定の用紙Pを2次転写ローラ7Aの手前で保持し、画像タイミングに合わせて2次転写ローラ7Aへ送り出すようになされる。2次転写ローラ7Aは、中間転写ベルト6に担持された色画像を、レジストローラ23によって用紙搬送制御される所定の用紙Pに転写するようになされる。
上述の2次転写ローラ7Aの下流側には定着装置17が設けられ、カラー画像が転写された用紙Pを定着処理するようになされる。定着装置17は、図示しない定着ローラ、加圧ローラ、加熱(IH)ヒータや、定着クリーニング部17A等を有している。定着処理は、加熱ヒータによって加熱される定着ローラ及び加圧ローラの間に用紙Pを通過させることで、当該用紙Pが加熱・加圧される。定着後の用紙Pは、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ(図示せず)上に排紙される。定着クリーニング部17Aは、前回の定着で定着ローラ等に残留したトナー剤を除去(クリーニング)するようになされる。
図2は、画像形成部80の構成例を示す斜視図である。図2に示す画像形成部80は、感光体ドラム1Y,1M,1C,1K、中間転写ベルト6、各色用のLPHユニット5Y,5C,5C,5K及び回転伝動機構40を有して構成される。
Y色用のLPHユニット5Yは、感光体ドラム1Yの全幅に等しい長さを有しており、Y色用のインデックス信号(以下Y−IDX信号という)に基づいて、Y色画像データDyを1ライン分又は数ライン分をまとめて主走査方向へ一括書込みするように動作する。
ここに、主走査方向とは感光体ドラム1Yの回転軸に平行する方向である。感光体ドラム1Yは、副走査方向に回転する。上述の中間転写ベルト6は一定の線速度で副走査方向に移動される。副走査方向は、感光体ドラム1Yの回転軸に対して直交する方向である。感光体ドラム1Yが副走査方向に回転し、かつ、LPHユニット5Yによる主走査方向へのライン単位の一括露光によって感光体ドラム1YにはY色用の静電潜像が形成される。
他の色用のLPHユニット5M,5C,5Kも、同様な長さを有しており、各色用のM−IDX信号、C−IDX信号及び、K−IDX信号に基づいて、M色画像データDm、C色画像データDc、BK色画像データDkを同様にしてまとめて一括書込みするように動作する。各色用のY−IDX信号、M−IDX信号、C−IDX信号及び、K−IDX信号は図7に示すタイミング発生部54から供給される。また、これらのインデックス信号は、感光体ドラムの1周を、例えば81分割したブロック毎に適用される。つまり、インデックス信号は、感光体ドラムの回転周期を略81分割した周期を有している。LPHユニット5Y,5C,5C,5Kには、当該プリンタ100で取り扱われる用紙の最大幅にもよるが、LEDヘッドが1ラインに付き数千〜数万画素を有するものが使用される。
回転伝動機構40は、大径ギア11Y,11M,11C,11K、アイドルギア12a,12b、モータ30a及び、エンコーダ41を有して構成される。この例では、Y色、M色、C色用の3個の感光体ドラム1Y,1M,1Cは、回転伝動機構40を介在させて共通のモータ30aにより駆動される。
大径ギア11Y,11M,11C,11Kは各色用の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの径よりも大きい径を有しており、これらの感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに対応付けて取り付けられている。例えば、大径ギア11Yは感光体ドラム1Yに取り付けられる。他の大径ギア11M,11C,11Kも同様に取り付けられる。
大径ギア11Y,11Mにはアイドルギア12aが噛み合わされ、大径ギア11M,11Cにはアイドルギア12bが噛み合わされる。アイドルギア12aと大径ギア11Y,11Mや、アイドルギア12bと大径ギア11M,11C等の歯車比1:αである。
この例で、アイドルギア12bにはモータギア13cを介在してモータ30aが噛み合わされる。モータ30aはモータ軸13aを有しており、当該モータ軸13aにモータギア13cが取り付けられる。モータギア13cとアイドルギア12aとの歯車比は1:βである。
回転伝動機構40では、モータ30aが反時計方向に回転すると、歯車比1:βに基づいてアイドルギア12bが時計方向に回転し、このアイドルギア12bが回転することで、歯車比1:αで大径ギア11M及び大径ギア11Cが反時計方向に回転する。大径ギア11Mが回転することで、感光体ドラム1Mが反時計方向に回転する。同様にして、大径ギア11Cが回転することで、感光体ドラム1Cが反時計方向に回転する。
また、大径ギア11Mが反時計方向に回転することで、アイドルギア12aが時計方向に回転する。このアイドルギア12aの時計方向への回転に伴って、大径ギア11Yが反時計方向に回転する。大径ギア11Yが回転することで、感光体ドラム1Yが反時計方向に回転する。これにより、回転伝動機構40を介在させた共通の1個のモータ30aによりY色、M色、C色用の3個の感光体ドラム1Y,1M,1Cを駆動できるようになる。
なお、BK色用の1個の感光体ドラム1Kは、モノクロ高速モードに対応して、アイドルギアを介在することなくモータ30bで大径ギア11Kを直接駆動するようになされる。モータ30bはモータ軸13bを有しており、当該モータ軸13bにモータギア13dが取り付けられる。モータギア13dと大径ギア11Kとの歯車比は1:γである。
またこの例では、M色用の大径ギア11Mの軸部には、計測手段の機能を構成するエンコーダ41が取り付けられ、M色用の感光体ドラム1Mの角(回転)速度を検出して角速度信号S41を出力するようになされる。出力された角速度信号S41は、図7に示す速度検出部58に入力される。速度検出部58は、エンコーダ41とともに計測手段の機能を構成するものであり、ドラム1周回期間の速度変動分布を計測する。
このように、1個のモータ30aでY色、M色、C色用の3個の感光体ドラム1Y,1M,1Cを駆動し、かつ、単独のモータ30bでBK色用の感光体ドラムを直接駆動が可能な画像形成部80を構成する。
図3は、画像形成部80における感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの配置例及び配置ピッチpの設定例を示す図である。図3に示す画像形成部80によれば、中間転写ベルト6上において、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kが副走査方向に順に配置されている。Y、M、C色用の感光体ドラム1Y,1M,1Cは1個のモータ30aを設けて駆動するようになされ、BK色用の感光体ドラム1Yは、専用のモータ30bを設けて駆動するようになされる。
図3に示す配置ピッチpは、各色用の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kにおけるドラム間隔である。この例では、中間転写ベルト6が各色用の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに当接したときのベルト面と各々の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kとが接触する部分を各々転写位置Py,Pm,Pc,Pk(1次転写位置)としている。ここに配置ピッチpは転写位置Py−Pmの間、転写位置Pm−Pcの間及び転写位置Pc−Pkの間隔をいう。
この例では、当該プリンタ100で取り扱われる用紙の最大幅にもよるが、各色用の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kのドラム周長を60π=188.5mmとしたとき、配置ピッチpは153mm程度である。図中、点QyはLHPユニット5Yが配置される位置であって、そのレーザ光における露光位置である。同様にして、点QmはLHPユニット5Mの配置位置であって、その露光位置を示し、点QcはLHPユニット5Cの配置位置であって、その露光位置を示し、点QkはLHPユニット5Kの配置位置であって、その露光位置を各々示している。
図3に示すドラム外周距離Lyは、感光体ドラム1Yにおける露光位置Qyとその転写位置Pyとの間の距離である。同様にして、ドラム外周距離Lmは、感光体ドラム1Mにおける露光位置Qmとその転写位置Pmとの間の距離であり、ドラム外周距離Lcは、感光体ドラム1Cにおける露光位置Qcとその転写位置Pcとの間の距離であり、ドラム外周距離Lkは、感光体ドラム1Kにおける露光位置Qkとその転写位置Pkとの間の距離である。ドラム外周距離Ly、Lm、Lc,Lkは、いずれも露光位置とその転写位置との間の回転角度差を求める際の基準となされる。
この例で、アイドルギア12a等の1周長と、Y色用の感光体ドラム1Yにおける露光位置Qy−転写位置Py間の距離Lyとの間には整数倍の関係を持たせている。他のM、C、BK色用の感光体ドラム1M,1C、1Kについても同様な関係を持たせている。
図4は、中間転写ベルト6上の転写位置Pyに対する感光体ドラム1Yの露光位置Qyの設定例を示す概念図である。この例で、図4に示す中間転写ベルト6上の感光体ドラム1Yの転写位置Pyに対するその露光位置Qyは角度θyに設定される。ここで、転写位置Pyの鉛直線と、露光位置Qyと感光体ドラム1Yの回転中心軸を結ぶ線分とがなす角をθyとしたとき、θyは例えば、θy=22.2°に設定される。他色用の感光体ドラム1M、1C,1Kでも同様にしてθm、θc、θkが定義され、θy=θm=θc=θkに設定される。
なお、図4に示すY色用の感光体ドラム1Yの直径D1は、例えば、60mmである。他のM、C、BK色用の感光体ドラム1M,1C、1Kについても同様な直径D1を有している。Y色用の感光体ドラム1Yの大径ギア11Yの直径D2は、例えば、114.93mmである。他のM、C、BK色用の感光体ドラム1M,1C、1Kの大径ギア11M、11C,11Kについても同様な直径D2を有している。
アイドルギア12aや12b等の回転遅延等による影響は、転写位置Qm−露光位置Pm間の距離Lmの整数倍に設定されている。このため、Y色の転写位置Qyに対する中間転写ベルト6のベルト面上での転写位置QyやC色の転写位置Qcに対するそのベルト面上での転写位置Qcにおいて、整数倍に設定された距離Ly,Lm,LcからY,M,C色の重ね合わせの再現性を確保できるようになる。
このような関係から、駆動系を共通するM色用の感光体ドラム1Mの回転角度誤差をサンプリング(以下ドラムサンプリングという)し、このドラムサンプリングに基づいて他のY,C,BK色の感光体ドラム1Y,1C,1Kの補正データテーブルを作成してインデックス信号を補正することで、その変動成分は無視できるようになる。
この例では、予め紙種別にドラムサンプリングを実行して紙種毎に対応付けられた複数の補正データテーブルを作成し、図7に示すメモリ72に記憶しておくようになされる。ドラムサンプリングの際には、実際に画像を形成しながらサンプリングをする。
まず、所定の紙種の用紙Pを通紙して、用紙Pへの画像形成処理を実行しながら、その際の感光体ドラム回転速度をエンコーダ41により検出する。検出されたドラム1周回期間の速度変動分布は、速度検出部58(図7参照)に入力される。
速度検出部58又はCPU55(図7参照)は、入力された速度変動分布に基づいて基準インデックス信号を補正するための補正値を測定する。測定された補正値は、補正データテーブルに所定のフォーマットで記録され、紙種毎に対応付けられてメモリ72に記憶される。
つまり、補正データテーブルには、エンコーダ41によって計測されたドラム1周回期間の速度変動分布に対応させるための補正値であって、基準インデックス信号の周期を補正するための補正値が格納される。また更に、補正データテーブルには、用紙Pが搬送路から中間転写ベルト6に突入することによる負荷変動も反映されるようになる。補正データテーブルは、例えばデータファイルで構成される。以下で、補正データテーブルの作成方法について説明をする。
図5は、感光体ドラム1Yの速度変動例を示す図である。この例では、回転伝動機構40を介在させて共通のモータ30aによりY色、M色、C色用の3個の感光体ドラム1Y,1M,1Cを駆動する際の、感光体ドラム1Yの速度変動例を挙げている。ここでは、感光体ドラム1Yにサンプリング用のエンコーダを取り付けて測定をしている。また、感光体ドラム1Mのエンコーダ41から感光体ドラム1Yの速度変動率を推定するようにしてもよい。
図5において、横軸はドラム位置であり、ドラム周長におけるサンプリング点を示している。縦軸はドラムの変動幅であり、ドラム変動成分から高周波ノイズ及びDC成分を除いた低周波の振幅に相当している。
この例では、感光体ドラム1Yの1周長に24個のサンプリング点を設定し、15°の分解能のサンプリング点でドラムの変動幅を求め、これに基づいて、感光体ドラム1Yの1周長を81分割した場合の補正量を求める。他の色用の感光体ドラム1M,1C,1KやLPHユニット5M,5C,5Kについても同様になされる。またこの例では、ドラムサンプリングの際に、ドラム3周に渡って角速度をサンプリングし、そのサンプリング値を平均する方法(3周平均法)を採ることにより、ドラム再現性に対するトレンド(傾斜変動)を除去できるようになる。
図6A〜Dは、各色用の感光体ドラムにおける角度誤差の補正例を示す図である。この例で、補正データテーブルにおける補正値は、各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kのある回転角と他の正規の回転角と間の時間差で表すようになされる。これらの補正値は、紙種別ドラムサンプリングの結果から導き出される。
図6Aに示すサンプルNo.は、No.1、No.2、No.3、No.4・・・No.81(図示せず)である。図6Bにおいて、横軸は時間tである。図中の破線は、ドラム1周長(60π=188.5mm)を時間換算した661msを81箇所のサンプル点で分割した時間情報を示している。図6Aに示すサンプルNo.1に対して基準時間は8.16msであり、その補正値は+Aである。従って、回転角度誤差テーブルでは、サンプルNo.1における露光タイミングが基準時間(8.16ms)+補正値Aに設定される。同様に、サンプルNo.2に対して基準時間は16.32msであり、その補正値は+Bである。従って、サンプルNo.2に対しては、露光タイミングが基準時間(16.32ms)+補正値Bに設定される。
また、サンプルNo.3に対して基準時間は24.48msであり、その補正値は−Cである。従って、サンプルNo.3における露光タイミングが基準時間(24.48ms)−補正値Cに設定される。同様に、サンプルNo.4に対して基準時間は32.64msであり、その補正値は−Dである。従って、サンプルNo.4における露光タイミングが基準時間(32.64ms)−補正値Dに設定される。
この例では、図6Cに示すY−IDX信号の立ち上がりを図6Bに示したサンプルNo.1〜No.81に対応する時間情報に基づいて補正するようになる。つまり、図6Dに示す画像データDyは、図6Cに示した補正後のY−IDX信号の立ち上がりに同期して、図2に示したY色用のLPHユニット5Yから感光体ドラム1Yへ書き込まれる。他の色用の感光体ドラム1M,1C,1KやLPHユニット5M,5C,5Kについても同様になされる。
以上のようにして得られる補正値(補正値A,補正値B等)を記録して補正データテーブルを作成することができる。以下で、カラープリンタ100の制御系の構成について説明をする。
図7は、カラープリンタ100における制御系の構成例を示すブロック図である。図7に示すカラープリンタ100は、感光体ドラムの1Y,1M,1C、1Kの角速度変動を補正するようにLPHユニット5Y、5M,5C,5Kのインデックス信号の周期を変調してドラム表面上の画像間隔を調整し、偏芯によるピッチムラ及びレジスト位置ずれ(低周波)を抑制する機能を有している。
この例で、制御部50は、各色用の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに対して、中間転写ベルト6への転写時間ずれをそれぞれの感光体ドラム独立に補正する。その際に、複数の補正データテーブルから、用紙Pの紙種に応じた一の補正データテーブルTnを選択して読み出し、補正データテーブルTnに基づくインデックス信号を生成するようになされる。
カラープリンタ100は、画像形成部80を制御するための操作部14、画像メモリ46、メモリ72及び制御部50と、画像形成部80に給紙するための用紙給紙部20及び給紙トレイRnを有して構成される。制御部50は、I/Oインターフェース51、ROM(Read Only Memory)52、ワーク用のRAM(Random Access Memory)53、タイミング発生部54、CPU(Central Processing Unit;中央処理ユニット)55、補正テーブル選択部71を有して構成される。
CPU55にはROM52が接続され、当該プリンタ全体を制御するためのシステム起動用のプログラムデータD52が格納される。RAM53には、プログラムデータD52や、各種制御コマンド等を一時記憶するようになされる。CPU55は電源がオンされると、ROM52からシステムプログラムデータD52をRAM53に読み出してシステムを起動し、当該プリンタ全体を制御するようになされる。
CPU55にはI/Oインターフェース51を介して操作部14が接続される。操作部14は、当該操作部14を操作して入力される各種制御コマンドや、紙種情報S1等の入力データD14を受け付ける。ここで紙種情報S1には、一連の画像形成処理(プリント)に係る用紙Pの紙種(素材、サイズ等の情報を含む)や枚数等の情報が記述されている。
入力データD14は、図示しない操作パネルやメディア接続ユニットを介して入力される。また入力データD14は、メディア接続ユニットを介して、パーソナルコンピュータ等の外部装置から当該プリンタ100へ供給される場合もある。操作部14から入力された入力データD14は、I/Oインターフェース51を介してCPU55に入力される。CPU55は、制御手段の一例を構成し、入力データD14の記載内容に応じたタイミング制御情報D54を生成する。
CPU55には、信号作成手段であるタイミング発生部54が接続され、タイミング制御情報D54を入力される。タイミング発生部54には補正テーブル選択部71が接続される。補正テーブル選択部71は、タイミング制御情報D54に含まれる紙種情報S1に基づいて、メモリ72の補正データテーブルを紙種毎に参照し、複数の補正データテーブルの中から、一の補正データテーブル、例えば補正データテーブルT1を選択して読み出す。
CPU55は、選択した補正データテーブルT1に基づいて基準信号を補正し、補正された基準信号に基づいて感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの上に画像を形成するように画像形成部80を制御する。
補正データテーブルは、ここではメモリ72に記憶されている。またこの例では、補正データテーブルに格納される補正値は、各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kのある回転角と他の正規の回転角と間の時間差で表されている。
タイミング発生部54は、例えば、クロック信号(以下CLK信号という)、タイミング制御情報D54及び補正データテーブルT1に基づいて、基準インデックス信号の基準周期を紙種毎に補正して、補正後の周期のインデックス信号、Y−IDX信号、M−IDX信号、C−IDX信号及び、K−IDX信号を出力する。CLK信号は図示しないクロック発生器より供給される。タイミング発生部54から出力される紙種別のインデックス信号は画像形成部80に供給される。
Y−IDX信号は、Y色画像データDyに基づくライン単位の一括露光を許可するためのインデックス信号である。M−IDX信号は、M色画像データDmに基づくライン単位の一括露光を許可するためのインデックス信号である。C−IDX信号はC色画像データDcに基づくライン単位の一括露光を許可するためのインデックス信号である。K−IDX信号は、BK色画像データDkに基づくライン単位の一括露光を許可するためのインデックス信号である。これらのインデックス信号(基準信号)は、画像を形成する用紙Pのサイズ、素材による感光体ドラムの角速度変動を補正するような書込みタイミングを提示する。
タイミング発生部54には、4つのLPHユニット5Y,5M,5C,5Kが接続される。LPHユニット5Y,5M,5C,5Kには、画像メモリ46が接続される。LPHユニット5Yは、タイミング発生部54から出力されたY−IDX信号に基づいて、画像メモリ46から読み出したY色画像データDyを1ライン分又は数ライン分をまとめて感光体ドラム1Yの主走査方向で一括書込みするように動作する。
同様にして、LPHユニット5Mでは、M−IDX信号に基づいて、M色画像データDmを1ライン分又は数ライン分をまとめて感光体ドラム1Mの主走査方向で一括書込みするように動作する。LPHユニット5Cでは、C−IDX信号に基づいて、C色画像データDcを1ライン分又は数ライン分をまとめて感光体ドラム1Cの主走査方向で一括書込みするように動作する。LPHユニット5Kでは、K−IDX信号に基づいて、BK色画像データDkを1ライン分又は数ライン分をまとめて感光体ドラム1Kの主走査方向で一括書込みするように動作する。
タイミング発生部54には、更に画像メモリ46が接続され、例えば、外部から受信したデジタルの画像データDy、Dm、Dc、Dkを記憶するようになされる。画像メモリ46にはハードディスク(HDD)や、EEPROM等の不揮発メモリが使用される。画像メモリ46のメモリ領域に、上述の補正データテーブルを割り当てて格納してもよい。
一方、操作部14には、搬送系の用紙給紙部20が接続され、給紙トレイRnを紙種別に選択するようになされる。例えば、操作部14から入力された紙種情報S1に基づいて画像形成処理を実行する場合、CPU55は、紙種情報S1に応じた給紙データD73を出力し、画像形成される用紙Pを給紙トレイRnから画像形成部80に供給するように、用紙給紙部20を制御する。
また、給紙トレイRnには、図示しない用紙検知センサが設けられ、用紙の選択情報を示す収容データD74を、I/Oインターフェース51を介してCPU55に出力する。
ここで例えば、画像を形成する紙種が1つである場合には、収容データD74から補正データテーブルを自動的に選択するようにもできる。つまり、上述のような紙種情報S1を入力しなくても、収容データD74に基づいて画像形成処理を実行することも可能である。
この場合、CPU55は、収容データD74に基づいて、例えば用紙Pを給紙トレイR1から画像形成部80へ供給すると共に、用紙Pに対応する補正データテーブルT1をメモリ72からタイミング発生部54に供給し、タイミング発生部54から出力される用紙Pに対応した補正後の周期のインデックス信号を画像形成部80に供給するように制御する。
なお、収容データD74を入力されるCPU55は、プリントしたい紙種の給紙トレイRnに、用紙が収容されていない場合には、操作部14がプリント開始の起動コマンドを受け付けないように制御することもできる。更に、プリント中に用紙Pがなくなった場合に、当該プリントを中止することもできる。以上のようにしてカラープリンタ100の制御系が構成される。続いて、本発明に係る画像形成方法について説明する。
図8は、カラープリンタ100の画像形成例を示すフローチャートである。この例では、複数の紙種で構成されるカラー冊子の紙種情報S1を操作パネルから入力され、当該紙種情報S1に基づく補正データテーブルを読み出すとともに、用紙給紙部20により紙種に応じた用紙Pを繰り出しながら連続プリントを実行する場合を例に挙げる。また、カラー画像情報は、パーソナルコンピュータ等の外部装置から当該プリンタ100へ供給され、画像形成部80へ転送される。
これらを処理条件にして、図8に示すフローチャートのステップST1で、操作部14は、紙種情報S1の入力を受け付ける。紙種情報S1は、例えば操作パネル又はメディア接続ユニットを介して入力される。もしくは、メディア接続ユニットに接続されたパーソナルコンピュータから入力される。またこのとき、紙種情報S1とともに、画像メモリ46には画像データDy、Dm、Dc、Dkが記憶される。
紙種情報S1を受け付けたら、ステップST2で操作部14は、プリント開始の起動コマンドの入力を受け付ける。このとき、例えばスタートボタンを点灯させ、開始コマンドの入力が可能であることを告知するようにしてもよい。また、このとき操作部14及びCPU55は、紙種情報S1に記録されている紙種に対応する給紙トレイRnの収容データD74を参照し、必要な用紙Pが収容されているか否かの確認を行う。用紙Pが収容されてない場合には、その旨を告知して開始コマンドを受け付けないようにするとよい。
開始コマンドが入力されたら画像形成処理を開始する。まずステップST3で、CPU55は、紙種情報S1から冊子の1ページ目の紙種を読み出す。CPU55は、紙種情報S1から当該情報を読み出して、タイミング発生部54及び補正テーブル選択部71に、それらの情報を含むタイミング制御情報D54を供給する。
補正テーブル選択部71は、ステップST4で、入力されたタイミング制御情報D54に基づいて補正データテーブルを参照し、1ページ目の紙種に応じた補正データテーブルTnを選択して読み出す。例えば補正データテーブルT1を読み出す。
次のステップST5で、タイミング発生部54は、読み出された補正データテーブルT1に基づいて、基準インデックス信号を補正する。このときタイミング発生部54は、クロック信号(以下CLK信号という)に基づいて基準インデックス信号を生成するとともに、生成した基準インデックス信号を補正データテーブルT1に基づいて補正し、Y−IDX信号、M−IDX信号、C−IDX信号及び、K−IDX信号を作成して、4つのLPHユニット5Y,5M,5C,5Kに出力する。
ステップST6で4つのLPHユニット5Y,5M,5C,5Kは、Y−IDX信号、M−IDX信号、C−IDX信号及び、K−IDX信号を入力され、これらの補正後のインデックス信号に基づいて、画像メモリ46からの画像データDy,Dm,Dc,Dkに応じた画像を、それぞれの感光体ドラムに形成する。
感光体ドラムに作像された画像データは、中間転写ベルト6に転写され、ステップST7で2次転写ローラ7Aにより用紙Pに転写される。このときの用紙Pは、1ページ目の紙種に応じた給紙トレイRn、例えば給紙トレイR1から用紙給紙部20を介して供給される。このとき用紙給紙部20は、ステップST1で入力された紙種情報S1に基づいて給紙トレイR1を選択するようになされる。
ステップST8でCPU55は、当該冊子のための画像形成処理が終了しかた否かの判定を行う。ここでCPU55は紙種情報S1を参照し、次にプリントするべき紙種がある場合はステップST3に戻り、次のページの紙種を読み出す。次にプリントするべき紙種がない場合は、画像形成処理を終了する。このようにして、カラープリンタ100の画像形成が実行される。
このように、この発明の実施形態に係るカラープリンタ100及び画像形成方法によれば、タイミング発生部54及び画像形成部80を制御するCPU55を備え、CPU55は、ドラム1周回期間の速度変動分布に関して、紙種毎に求めて対応付けた複数の補正データテーブルを紙種毎に参照し、当該紙種毎に基準インデックス信号の基準周期を補正するようにタイミング発生部54を制御すると共に、補正後の周期のインデックス信号を紙種毎に画像形成部80に設定するようになされる。
この構成によって、転写材の厚さ及び摩擦力に対応した周期のインデックス信号で、感光体ドラムに画像を形成できるようになる。従って、様々な種類の転写紙に、画像ずれ、線ずれがない高画質の画像を形成できるようになる。
また、連続プリントの途中で用紙Pの紙種がかわった場合にも、容易に紙種に応じた補正データテーブルを読み出せるようになるので、プリント時間を増加することなく高画質の連続プリントを実行できる。また更に、サンプリング時に転写紙の突入による回転速度の変動も同時にサンプリングされるので、転写紙の突入による画像ずれを補正できる。
なお、この例では補正データテーブルをメモリ72に記憶するようにしたが、これに限られることはなく、画像メモリ46に記憶するようにしてもよい。また、他のメディアに記憶しておき、画像形成時に操作部14のメディア接続ユニットを介して入力するようにしてもよい。勿論コンピュータから直接入力してもよい。
なお、この例では、中間転写ベルト6上に色画像を1次転写してから、転写紙に2次転写するタイプのカラープリンタ100について説明をしたが、それに限られることはなく、感光体ドラムから直接転写材に画像を転写するタイプのカラープリンタにも、この発明の画像形成装置及び画像形成方法を適用できる。また、一の感光体ドラムを有する単色(例えば黒)用のプリンタにも適用できる。