以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像形成装置及び画像作成方法について説明をする。
図1は、本発明に係る実施形態としてのカラープリンタ100の構成例を示す概念図である。図1に示すタンデム式のカラープリンタ100は、画像形成装置の一例を構成し、デジタルのカラー画像情報に基づいて、複数の感光体ドラム1Y,1M,1Cを回転伝動機構40及び共通のモータ30a(駆動源)を介して駆動(図2参照)し、各々の感光体ドラム1Y,1M,1Cで作像された色画像を中間転写ベルト6上で重ね合わせるようになされる。色画像は所定の用紙Pに転写され定着される。カラー画像情報は、パーソナルコンピュータ等の外部装置から当該プリンタ100へ供給され、画像形成部80へ転送される。
画像形成部80はイエロー(Y)色用の感光体ドラム1Yを有する画像形成ユニット10Yと、マゼンタ(M)色用の感光体ドラム1Mを有する画像形成ユニット10Mと、シアン(C)色用の感光体ドラム1Cを有する画像形成ユニット10Cと、黒(K)色用の感光体ドラム1Kを有する画像形成ユニット10Kと、無終端状の中間転写ベルト6とを備えて構成される。画像形成部80では、当該感光体ドラム1Y,1M,1C,1K毎に作像処理するようになされ、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kで作像処理された各色のトナー像が中間転写ベルト6上で重ね合わされ、色画像を形成するようになされる。
この例で、画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム1Yの他に、帯電器2Y、ライン状の光学ヘッド(Line Photo diode Head;以下LPHユニット5Yという)、現像ユニット4Y及び像形成体用のクリーニング手段8Yを有して、イエロー(Y)色の画像を形成するようになされる。感光体ドラム1Yは像担持体の一例を構成し、例えば、中間転写ベルト6の右側上部に近接して回転自在に設けられ、Y色のトナー像を形成するようになされる。この例で、感光体ドラム1Yは、図2に示すような回転伝動機構40によって、反時計方向に回転される。感光体ドラム1Yの斜め右側下方には、帯電器2Yが設けられ、感光体ドラム1Yの表面を所定の電位に帯電するようになされる。
感光体ドラム1Yのほぼ真横には、これに対峙して、LPHユニット5Yが設けられ、事前に帯電された感光体ドラム1Yに対して、Y色用の画像データに基づく所定の強度を有したレーザ光を一括照射するようになされる。LPHユニット5Yには、図示しないLEDヘッドがライン状に配置されたものが使用される。画像書込み系には、LPHユニットに代えて、図示しないポリゴンミラーによる走査露光系等を使用してもよい。感光体ドラム1YにはY色用の静電潜像が形成される。
LPHユニット5Yの上方には現像ユニット4Yが設けられ、感光体ドラム1Yに形成されたY色用の静電潜像を現像するように動作する。現像ユニット4Yは、図示しないY色用の現像ローラを有している。現像ユニット4Yには、Y色用のトナー剤及びキャリアが収納されている。
Y色用の現像ローラは、内部に磁石が配置され、現像ユニット4Y内でキャリアとY色トナー剤を攪拌して得られる2成分現像剤を感光体ドラム1Yの対向部位に回転搬送し、Y色のトナー剤により静電潜像を現像するようになされる。この感光体ドラム1Yに形成されたY色のトナー像は、1次転写ローラ7Yを動作させて中間転写ベルト6に転写される(1次転写)。感光体ドラム1Yの左側下方には、クリーニング部8Yが設けられ、前回の書込みで感光体ドラム1Yに残留したトナー剤を除去(クリーニング)するようになされる。
この例で、画像形成ユニット10Yの下方には画像形成ユニット10Mが設けられる。画像形成ユニット10Mは、感光体ドラム1M、帯電器2M、LPHユニット5M、現像ユニット4M及び像形成体用のクリーニング部8Mを有して、マゼンタ(M)色の画像を形成するようになされる。画像形成ユニット10Mの下方には画像形成ユニット10Cが設けられる。画像形成ユニット10Cは、感光体ドラム1C、帯電器2C、LPHユニット5C、現像ユニット4C及び像形成体用のクリーニング部8Cを有して、シアン(C)色の画像を形成するようになされる。
画像形成ユニット10Cの下方には画像形成ユニット10Kが設けられる。画像形成ユニット10Kは、感光体ドラム1K、帯電器2K、LPHユニット5K、現像ユニット4K及び像形成体用のクリーニング部8Kを有して、ブラック(BK)色の画像を形成するようになされる。感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kには有機感光体(Organic Photo Conductor;OPC)ドラムが使用される。
なお、画像形成ユニット10M〜10Kの各部材の機能については、画像形成ユニット10Yの同じ符号のものについて、YをM、C、Kに読み替えることで適用できるので、その説明を省略する。上述の1次転写ローラ7Y,7M,7C及び7Kには、使用するトナー剤と反対極性(本実施例においては正極性)の1次転写バイアス電圧が印加される。
中間転写ベルト6は像担持体の一例を構成し、1次転写ローラ7Y,7M,7C及び7Kによって転写されたトナー像を重合してカラートナー像(カラー画像)を形成する。中間転写ベルト6上に形成されたカラー画像は、中間転写ベルト6が時計方向に回転することで、2次転写ローラ7Aに向けて搬送される。2次転写ローラ7Aは中間転写ベルト6の下方に位置しており、中間転写ベルト6に形成されたカラートナー像を用紙Pに一括して転写するようになされる(2次転写)。2次転写ローラ7Aには前回の転写で2次転写ローラ7Aに残留したトナー剤を除去(クリーニング)するようになされる。
この例で、中間転写ベルト6の左側上方にはクリーニング部8Aが設けられ、転写後の中間転写ベルト6上に残存するトナー剤をクリーニングするように動作する。クリーニング部8Aは、中間転写ベルト6の電荷を除電する除電部(図示せず)や中間転写ベルト6に残留するトナー等を除去するパッドを有している。このクリーニング部8Aによってベルト面がクリーニングされ、除電部で除電された後の中間転写ベルト6は、次の画像形成サイクルに入る。これにより、用紙Pにカラー画像を形成できるようになる。
カラープリンタ100には画像形成部80の他に、用紙給紙部20及び、定着装置17を備えている。上述の画像形成ユニット10Kの下方には、用紙供給部20が設けられ、図示しない複数の給紙トレイを有して構成される。各々の給紙トレイ内には所定のサイズの用紙Pが収容される。用紙供給部20から画像形成ユニット10Kの下方に至る用紙搬送路には、搬送ローラ22A、22C、ループローラ22B、レジストローラ23等が設けられる。例えば、レジストローラ23は、用紙供給部20から繰り出された所定の用紙Pを2次転写ローラ7Aの手前で保持し、画像タイミングに合わせて2次転写ローラ7Aへ送り出すようになされる。2次転写ローラ7Aは、中間転写ベルト6に担持された色画像を、レジストローラ23によって用紙搬送制御される所定の用紙Pに転写するようになされる。
上述の2次転写ローラ7Aの下流側には定着装置17が設けられ、カラー画像が転写された用紙Pを定着処理するようになされる。定着装置17は、図示しない定着ローラ、加圧ローラ、加熱(IH)ヒータや、定着クリーニング部17A等を有している。定着処理は、加熱ヒータによって加熱される定着ローラ及び加圧ローラの間に用紙Pを通過させることで、当該用紙Pが加熱・加圧される。定着後の用紙Pは、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ(図示せず)上に排紙される。定着クリーニング部17Aは、前回の定着で定着ローラ等に残留したトナー剤を除去(クリーニング)するようになされる。
図2は、画像形成部80の構成例を示す斜視図である。図2に示す画像形成部80は、感光体ドラム1Y,1M,1C,1K、中間転写ベルト6、各色用のLPHユニット5Y,5C,5C,5K及び回転伝動機構40を有して構成される。
Y色用のLPHユニット5Yは、感光体ドラム1Yの全幅に等しい長さを有しており、Y色用の書込み許可(インデックス)信号(以下Y−IDX信号という)に基づいて、Y色画像データDyを1ライン分又は数ライン分をまとめて主走査方向へ一括書込みするように動作する。
ここに、主走査方向とは感光体ドラム1Yの回転軸に平行する方向である。感光体ドラム1Yは、副走査方向に回転する。上述の中間転写ベルト6は一定の線速度で副走査方向に移動される。副走査方向は、感光体ドラム1Yの回転軸に対して直交する方向である。感光体ドラム1Yが副走査方向に回転し、かつ、LPHユニット5Yによる主走査方向へのライン単位の一括露光によって感光体ドラム1YにはY色用の静電潜像が形成される。
他の色用のLPHユニット5M,5C,5Kも、同様な長さを有しており、各色用のM−IDX信号、C−IDX信号及び、K−IDX信号に基づいて、M色画像データDm、C色画像データDc、BK色画像データDkを同様にしてまとめて一括書込みするように動作する。各色用のY−IDX信号、M−IDX信号、C−IDX信号及び、K−IDX信号は図6に示すタイミング発生器54から供給される。LPHユニット5Y,5C,5C,5Kには、当該プリンタ100で取り扱われる用紙の最大幅にもよるが、LEDヘッドが1ラインに付き数千〜数万画素を有するものが使用される。
回転伝動機構40は、大径ギア11Y,11M,11C、アイドルギア12a,12b、モータ30a及び、エンコーダ41を有して構成される。この例では、Y色、M色、C色用の3個の感光体ドラム1Y,1M,1Cは、回転伝動機構40を介在させて共通のモータ30aにより駆動される。
大径ギア11Y,11M,11C,11Kは各色用の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの径よりも大きい径を有しており、これらの感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに対応付けて取り付けられている。例えば、大径ギア11Yは感光体ドラム1Yに取り付けられる。他の大径ギア11M,11C,11Kも同様に取り付けられる。
大径ギア11Y,11Mにはアイドルギア12aが噛み合わされ、大径ギア11M,11Cにはアイドルギア12bが噛み合わされる。アイドルギア12aと大径ギア11Y,11Mや、アイドルギア12bと大径ギア11M,11C等の歯車比1:αである。
この例で、アイドルギア12bにはモータギア13cを介在してモータ30aが噛み合わされる。モータ30aはモータ軸13aを有しており、当該モータ軸13aにモータギア13cが取り付けられる。モータギア13cとアイドルギア12aとの歯車比は1:βである。
回転伝動機構40では、モータ30aが反時計方向に回転すると、歯車比1:βに基づいてアイドルギア12bが時計方向に回転し、このアイドルギア12bが回転することで、歯車比1:αで大径ギア11M及び大径ギア11Cが反時計方向に回転する。大径ギア11Mが回転することで、感光体ドラム1Mが反時計方向に回転する。同様にして、大径ギア11Cが回転することで、感光体ドラム1Cが反時計方向に回転する。
また、大径ギア11Mが反時計方向に回転することで、アイドルギア12aが時計方向に回転する。このアイドルギア12aの時計方向への回転に伴って、大径ギア11Yが反時計方向に回転する。大径ギア11Yが回転することで、感光体ドラム1Yが反時計方向に回転する。これにより、回転伝動機構40を介在させた共通の1個のモータ30aによりY色、M色、C色用の3個の感光体ドラム1Y,1M,1Cを駆動できるようになる。
なお、BK色用の1個の感光体ドラム1Kは、モノクロ高速モードに対応して、アイドルギアを介在することなくモータ30bで大径ギア11Kを直接駆動するようになされる。モータ30bはモータ軸13bを有しており、当該モータ軸13bにモータギア13dが取り付けられる。モータギア13dと大径ギア11Kとの歯車比は1:γである。
この例では、M色用の大径ギア11Mの軸部には、速度検出手段の機能を構成するエンコーダ41が取り付けられ、M色用の感光体ドラム1Mの角(回転)速度を検出して角速度信号S41を出力するようになされる。このように、1個のモータ30aでY色、M色、C色用の3個の感光体ドラム1Y,1M,1Cを駆動し、かつ、単独のモータ30bでBK色用の感光体ドラムを直接駆動が可能な画像形成部80を構成する。
図3は、画像形成部80における感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの配置例及び配置ピッチpの設定例を示す図である。
図3に示す画像形成部80によれば、中間転写ベルト6上において、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kが副走査方向に順に配置されている。Y、M、C色用の感光体ドラム1Y,1M,1Cは1個のモータ30aを設けて駆動するようになされ、BK色用の感光体ドラム1Yは、専用のモータ30bを設けて駆動するようになされる。
図3に示す配置ピッチpは、各色用の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kにおけるドラム間隔である。この例では、中間転写ベルト6が各色用の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに当接したときのベルト面と各々の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kとが接触する部分を各々転写位置Py,Pm,Pc,Pk(1次転写位置)としている。ここに配置ピッチpは転写位置Py−Pmの間、転写位置Pm−Pcの間及び転写位置Pc−Pkの間隔をいう。
この例では、当該プリンタ100で取り扱われる用紙の最大幅にもよるが、各色用の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kのドラム周長を60π=188.5mmとしたとき、配置ピッチpは153mm程度である。図中、点QyはLHPユニット5Yが配置される位置であって、そのレーザ光における露光位置である。同様にして、点QmはLHPユニット5Mの配置位置であって、その露光位置を示し、点QcはLHPユニット5Cの配置位置であって、その露光位置を示し、点QkはLHPユニット5Kの配置位置であって、その露光位置を各々示している。
図3に示すドラム外周距離Lyは、感光体ドラム1Yにおける露光位置Qyとその転写位置Pyとの間の距離である。同様にして、ドラム外周距離Lmは、感光体ドラム1Mにおける露光位置Qmとその転写位置Pmとの間の距離であり、ドラム外周距離Lcは、感光体ドラム1Cにおける露光位置Qcとその転写位置Pcとの間の距離であり、ドラム外周距離Lkは、感光体ドラム1Kにおける露光位置Qkとその転写位置Pkとの間の距離である。ドラム外周距離Ly、Lm、Lc,Lkは、いずれも露光位置とその転写位置との間の回転角度差を求める際の基準となされる。
この例で、アイドルギア12a等の1周長と、Y色用の感光体ドラム1Yにおける露光位置Qy−転写位置Py間の距離Lyとの間には整数倍の関係を持たせている。他のM、C、BK色用の感光体ドラム1M,1C、1Kについても同様な関係を持たせている。
図4は、中間転写ベルト6上の転写位置Pyに対する感光体ドラム1Yの露光位置Qyの設定例を示す概念図である。
この例で、図4に示す中間転写ベルト6上の感光体ドラム1Yの転写位置Pyに対するその露光位置Qyは角度θyに設定される。ここで、転写位置Pyの鉛直線と、露光位置Qyと感光体ドラム1Yの回転中心軸を結ぶ線分とが成す角をθyとしたとき、θyは例えば、θy=22.2°に設定される。他色用の感光体ドラム1M、1C,1Kでも同様にしてθm、θc、θkが定義され、θy=θm=θc=θkに設定される。
なお、図4に示すY色用の感光体ドラム1Yの直径D1は、例えば、60mmである。他のM、C、BK色用の感光体ドラム1M,1C、1Kについても同様な直径D1を有している。Y色用の感光体ドラム1Yの大径ギア11Yの直径D2は、例えば、114.93mmである。他のM、C、BK色用の感光体ドラム1M,1C、1Kの大径ギア11M、11C,11Kについても同様な直径D2を有している。
アイドルギア12aや12b等の回転遅延等による影響は、転写位置Qm−露光位置Pm間の距離Lmの整数倍に設定されている。このため、Y色の転写位置Qyに対する中間転写ベルト6のベルト面上での転写位置QyやC色の転写位置Qcに対するそのベルト面上での転写位置Qcにおいて、整数倍に設定された距離Ly,Lm,LcからY,M,C色の重ね合わせの再現性を確保できるようになる。
このような関係から、駆動系を共通するM色用の感光体ドラム1Mの回転角度誤差をサンプリング(以下ドラムサンプリングという)し、このドラムサンプリングに基づいて他のY,C,BK色の感光体ドラム1Y,1C,1Kの作像タイミング補正テーブル(以下回転角度誤差テーブルという)を作成することで、その変動成分は無視できるようになる。この例では、ドラムサンプリングの際に、ドラム3周に渡って角速度データD41をサンプリングし、そのサンプリング値を平均する方法(3周平均法)を採ることにより、ドラム再現性に対するトレンド(傾斜変動)を除去できるようになる。
これは、アイドルギア12aや12b等の周長と、露光位置Qy−転写位置Py間の距離Lyとが整数倍の関係に設定されているため、アイドルギア12a等に起因する露光位置Qyの変動が1次転写部の変動要素に含まれるようになるからである。なお、上述の3周平均法を採ることで、ドラム周長とアイドルギア周長とを整数倍の関係に設定しなくても済むようになる。
図5A〜Cは、各作像色用の感光体ドラム1Y、1M、1Cにおける速度変動例を示す図である。この例では、回転伝動機構40を介在させて共通のモータ30aによりY色、M色、C色用の3個の感光体ドラム1Y,1M,1Cを駆動する際の速度変動例を挙げている。
図5A〜Cにおいて、いずれも横軸はドラム位置であり、ドラム周長におけるサンプリング点を示している。縦軸は各ドラムの変動幅であり、ドラム変動成分から高周波ノイズ及びDC成分を除いた低周波の振幅に相当している。図5Aに示す速度変動例によれば、Y色、M色、C色用の3個の感光体ドラム1Y,1M,1Cを1個のモータ30aで駆動し、遅延等のな無い理想的な回転伝動機構40で各々の大径ギア11Y,11M,11Cを駆動し、各軸にエンコーダを取り付けて回転角度誤差テーブルを作成する場合である。この場合、組み立て時に大径ギア11Y,11M,11Cの位相をθa=22.2°に設定することで、任意のドラム位置におけるY色、M色、C色用の各感光体ドラム1Y,1M,1Cにおける中間転写ベルト6上の転写位置Qy,Qm,Qcの再現性を取れるようになる。この場合は、Y色、M色、C色用の3個の感光体ドラム1Y,1M,1C共に、同じ形状の変動波形が得られる。
実際は、アイドルギア12a、12bを介して大径ギア11Yや11C等を1個のモータ30aで駆動し、かつ、M色用の感光体ドラム1Mの軸のみにエンコーダ41を取り付けて回転角度誤差テーブルを作成する場合である。従って、遅延等の外乱を含んだ回転伝動機構40で感光体ドラム1Y等が駆動され、この外乱を取り除いた状態での再現性を持たすための回転伝動機構40のギア設計は非常に困難である。
図5Bに示す速度変動例によれば、Y色、M色、C色用の3個の感光体ドラム1Y,1M,1Cは同一のモータ30aにより駆動され、M色用の感光体ドラム1Mの軸に取り付けられたエンコーダ41に基づいて回転角度誤差テーブルを作成する場合である。
この場合、Y色用の感光体ドラム1Yは大径ギア11M及びアイドルギア12aを介在して駆動されるので、図5Bの波線に示すドラム位置に対する当該感光体ドラム1Yの変動幅が波打つ状態となる。この状態は、通常動作中に、回転伝動機構40の遅れを原因とする露光系の基準位置(露光位置Qy)と中間転写ベルト6で色を重ね合わせる転写位置Pyとの間を成す角度(180°−θy)=157.8°がずれてくるためである。他の色用の感光体ドラム1M,1C,1Kについても同様である。
この波打つ状態をM色用の感光体ドラム1Mのような大きな周期の低周波変動に合わせて(変換して)から、露光位置Qy−転写位置Py間の回転角誤差を無くすような補正がなされる。この例では、上述のずれを無くすための回転角度誤差テーブルで、感光体ドラム1Y等への画像データの書込みタイミングを補正する。
この補正によって、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kにおける露光(基準)位置と中間転写ベルト6で色を重ね合わせる転写位置とが成す角度(180°−θy)等を一定に保持できるようになる。なお、文中でθyをθm、θc、θkに置き換えて読まれたい。しかも、基準となるM色用の感光体ドラム1M以外のY色、C色、BK色用の感光体ドラム1Y,1C,1Kにエンコーダ41を取り付ける必要が無くなり、当該プリンタ100のコストダウン及びカラー複写機等のコンパクト化につながる。
この例では、基準となる感光体ドラム1Mのみにエンコーダ41を取り付けて、角速度を検出する。例えば、エンコーダ41から得られる角速度信号S41を二値化した角速度データD41に伝達関数を反映させて感光体ドラム1Yの露光位置Qk−転写位置Pkの間の関係を求め、その後、M色の感光体ドラム1Mを基準とした回転角度誤差テーブルを作成するようになされる。C色用の感光体ドラム1Cについては、アイドルギア12bを介在して駆動されるも同様である。
図5Cに示すY,M,C,BK色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの速度変動例によれば、BK色の感光体ドラム1Kの速度変動をM色の感光体ドラム1Mの速度変動に合わせ込むように補正される。この例で、BK色用の感光体ドラム1Yは、モノクロモードに対応させるために、専用のモータ30bを設けて駆動される。
従って、M色の感光体ドラム1Mを基準としたY色やC色用の感光体ドラム1Y,1C等の演算方法が採れず、BK色用の感光体ドラム1については、大径ギア11Kの位相をY,M,C色の感光体ドラム1Y,1M,1Cの大径ギア11Y,11M,11Cに合わせるような制御を行われる。
例えば、感光体ドラム1Kの1周長に24個のサンプリング点を設定し、15°の分解能を持った位相合わせ方法により、露光位置Qk−転写位置Pkの間の関係を求める。この露光位置Qk−転写位置Pkの間の関係からM色の感光体ドラム1Mを基準とした回転角度誤差テーブルを作成するようになされる。
図6は、カラープリンタ100における制御系の構成例を示すブロック図である。図6に示すカラープリンタ100は、タンデム構成を基本とし、感光体ドラムの1Y,1M,1C、1Kの角速度変動を検知し、回転角誤差を演算し、LPHユニット5Y、5M,5C,5Kのインデックス周期を変調してドラム表面上の画像間隔を調整し、偏芯によるピッチムラ及びレジスト位置ずれ(低周波)を抑制する機能を有している。
この例で、制御部50は、各色用の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに対して、中間転写ベルト6への転写時間ずれをそれぞれのドラム独立に補正する。例えば、制御部50は、感光体ドラム1Mの軸に代表して設けられたエンコーダ41から出力される、感光体ドラム1Mの変動値に基づいて他の色の感光体ドラム1Y,1C,1Kの回転角度誤差テーブル(LUT)を作成するようになされる。
図6に示すカラープリンタ100は、画像形成部80を制御するための操作部14、画像メモリ46及び制御部50を有して構成される。制御部50は、I/Oインターフェース51、ROM(Read Only Memory)52、ワーク用のRAM(Random Access Memory)53、タイミング発生器54、CPU(Central Processing Unit;中央処理ユニット)55、モータ駆動部56、ベルト制御部57、速度検出部58、各色用の回転角度誤差テーブル(以下Y−LUT71、M−LUT72,C−LUT73、K−LUT74という)を有して構成される。
CPU55にはROM52が接続され、当該プリンタ全体を制御するためのシステム起動用のプログラムデータD52が格納される。RAM53には、プログラムデータD52や、各種計算実行時の制御コマンド、角速度データD41,D41’,D41”等を一時記憶するようになされる。CPU55は電源がオンされると、ROM52からシステムプログラムデータD52をRAM53に読み出してシステムを起動し、当該プリンタ全体を制御するようになされる。
CPU55にはI/Oインターフェース51を介して操作部14が接続され、当該操作部14を操作して入力される、回転角度誤差テーブル(LUT)の作成条件や、テーブル作成時期等の数字や文字等の操作データD14はI/Oインターフェース57を介してCPU55に入力される。
I/Oインターフェース51には操作部14の他に、モータ駆動部56、ベルト制御部57及び速度検出部58が接続される。モータ駆動部56は、モータ30a及び30bに接続され、モータ駆動情報D56に基づいてモータ30a及び30bを駆動する。モータ30aは回転伝動機構40に回転力を与え、モータ30bは、大径ギア11Kに回転力を与える。モータ駆動部56はI/Oインターフェース51を介してCPU55に接続され、モータ駆動情報D56は、CPU55からモータ駆動部56へ出力される。
ベルト制御部57は、1次転写ローラ7Y,7M,7C及び7K等を駆動する、図示しないソレノイド又はモータ等に接続され、転写制御情報D57を入力してローラ制御信号S7Y,S7M,S7C及びS7K等を作成する。ベルト制御部57は、例えば、ローラ制御信号S7Yに基づいて1次転写ローラ7Yを駆動し、中間転写ベルト6を感光体ドラム1Yに接触し、又は、感光体ドラム1Yから中間転写ベルト6を分離する。他の1次転写ローラ7M,7C及び7K等についても同様に制御される。これにより、中間転写ベルト6を感光体ドラム1Y、1M、1C,1Kに一斉に接触し、又は、感光体ドラム1Y、1M、1C,1Kから中間転写ベルト6を一斉分離し、あるいは、個々に接触/分離できるようになる。ベルト制御部57はI/Oインターフェース51を介してCPU55に接続され、転写制御データD57は、CPU55からベルト制御部57へ出力される。
速度検出部58は、その入力がエンコーダ41に接続され、その出力がI/Oインターフェース51を介してCPU55に接続される。エンコーダ41は、基準となるM色用の感光体ドラム1Mの角速度を検出して角速度信号S41を速度検出部58に出力する。速度検出部58では、エンコーダ41から速度検出信号S41を入力して二値化した角速度データD41をCPU55に出力する。
CPU55には、タイミング発生器54が接続され、例えば、クロック信号(以下CLK信号という)及びタイミング制御情報D54に基づいてY−IDX信号、M−IDX信号、C−IDX信号及び、K−IDX信号を発生する。CLK信号は図示しないクロック発生器より供給され、タイミング制御情報D54は、CPU55から供給される。
Y−IDX信号は、Y色画像データDyに基づくライン単位の一括露光を許可するための信号である。M−IDX信号は、M色画像データDmに基づくライン単位の一括露光を許可するための信号である。C−IDX信号はC色画像データDcに基づくライン単位の一括露光を許可するための信号である。K−IDX信号は、BK色画像データDkに基づくライン単位の一括露光を許可するための信号である。
タイミング発生器54には、4つのLPHユニット5Y,5M,5C,5Kが接続される。LPHユニット5Y,5M,5C,5Kには、画像メモリ46が接続される。LPHユニット5Yは、タイミング発生器54から出力されたY−IDX信号に基づいて、画像メモリ46から読み出したY色画像データDyを1ライン分又は数ライン分をまとめて感光体ドラム1Yの主走査方向で一括書込みするように動作する。
同様にして、LPHユニット5Mでは、M−IDX信号に基づいて、M色画像データDmを1ライン分又は数ライン分をまとめて感光体ドラム1Mの主走査方向で一括書込みするように動作する。LPHユニット5Cでは、C−IDX信号に基づいて、C色画像データDcを1ライン分又は数ライン分をまとめて感光体ドラム1Cの主走査方向で一括書込みするように動作する。LPHユニット5Kでは、K−IDX信号に基づいて、BK色画像データDkを1ライン分又は数ライン分をまとめて感光体ドラム1Kの主走査方向で一括書込みするように動作する。
CPU55は情報作成手段の機能を構成し、速度検出部58から入力した角速度データD41に基づいて基準として設定された感光体ドラム1Mの回転角変動テーブルや回転角度誤差テーブル等(作像タイミング補正テーブル)を作成する。ここにM色用の回転角変動テーブルとは、中間転写ベルト6上で色画像を重ね合わせる転写位置Pmと、感光体ドラム1M上で色画像を作像する露光位置Qmとの間における回転角の変動を示す情報参照テーブルをいう。また。M色用の回転角度誤差テーブルとは、上述の転写位置Pmに対応する露光位置Qmにおける色作像タイミングを補正するための情報参照テーブルをいう。
更に、CPU55は、回転伝動機構40を介してモータ30aより駆動される、基準の感光体ドラム1Mを除く他の感光体ドラム1Y,1Cの回転角度誤差テーブルを基準の感光体ドラム1Mの角速度データD41に基づいて作成するようになされる。例えば、CPU55は、M色基準用の感光体ドラム1Mの大径ギア11Mから回転伝動機構40を介してモータ30aより駆動されるY色用の感光体ドラム1Yへ至る伝達関数を角速度データD41に演算してY色用の感光体ドラム1Yの回転角度誤差テーブルを作成する。ここにY色用の回転角度誤差テーブルとは、中間転写ベルト6上で色画像を重ね合わせる転写位置Pyに対応する感光体ドラム1Y上で色画像を作像する露光位置Qyにおける色作像タイミングを補正するための情報参照テーブルをいう。
また、C色用の回転角度誤差テーブルとは、中間転写ベルト6上で色画像を重ね合わせる転写位置Pcに対応する感光体ドラム1C上で色画像を作像する露光位置Qcにおける色作像タイミングを補正するための情報参照テーブルをいう。BK色用の回転角度誤差テーブルとは、中間転写ベルト6上で色画像を重ね合わせる転写位置Pkに対応する感光体ドラム1K上で色画像を作像する露光位置Qkにおける色作像タイミングを補正するための情報参照テーブルをいう。
このように、CPU55を構成すると、M色基準用の感光体ドラム1M以外のY色用、C色用の感光体ドラム1Y,1Cについては、エンコーダ41をY色用、C色用の感光体ドラム1Y,1Cに設けることなく、伝達関数を演算した角速度データD41に基づいて回転角度誤差テーブルを作成できるようになる。
CPU55にはROM52及びRAM53の他に、Y色用の回転角度誤差テーブルを格納する不揮発メモリ(以下Y−LUT71という)、M色用の回転角度誤差テーブルを格納する不揮発メモリ(以下M−LUT72という)、C色用の回転角度誤差テーブルを格納する不揮発メモリ(以下M−LUT73という)及び、BK色用の回転角度誤差テーブルを格納する不揮発メモリ(以下M−LUT74という)が接続される。もちろん、これに限られることはなく、4つのY−LUT71、M−LUT72、M−LUT73及びM−LUT74を1つの不揮発メモリにおいて、そのメモリ領域を分割して各色用の回転角度誤差テーブルを格納するようにしてもよい。
タイミング発生器54には、4つのLPHユニット5Y,5M,5C,5Kの他に画像メモリ46が接続され、例えば、外部から受信したデジタルの画像データDy、Dm、Dc、Dkを記憶するようになされる。画像メモリ46にはハードディスク(HDD)や、EEPROM等の不揮発メモリが使用される。画像メモリ46のメモリ領域に、上述の4つのY−LUT71、M−LUT72、M−LUT73及びM−LUT74を割り当てて格納してもよい。
図7は、回転伝動機構40における変換式の設定例を示す図である。この例では、図7に示す回転伝動機構40のアイドルギア12a,12bや、大径ギア11Y,11M等の歯車の偏芯及びY色の感光体ドラム1Y等の角速度を演算する際の変換式をCPU55に設定する場合を示している。
図7に示すw1はアイドルギア12bの角速度、w2は大径ギア11Mの角速度、w3はアイドルギア12aの角速度、w4は大径ギア11Yの角速度である。
r1はアイドルギア12bのギア半径、r2は大径ギア11Mの偏芯(−側)ギア半径、r2’は偏芯(+側)の大径ギア11Mのギア半径、r3は偏芯(−側)のアイドルギア12aのギア半径、r3’は偏芯(+側)のアイドルギア12aのギア半径、r4は大径ギア11Yのギア半径である。
ここにアイドルギア12a,12b等のギア半径r1,r3をriとし、大径ギア11Y,11M等のギア半径r2,r4をrdとし、大径ギア11Y,11M等の平均角速度をw0とし、M色用の感光体ドラム1Mの大径ギア11Mの角速度をw2としたとき、歯車の偏芯e(θ)を求める変換式には、(1)式、すなわち、
e(θ)=ri・rd/w0/(ri+rd)・(w2−w0)・・・・(1)
が適用され、この変換式(1)はCPU55に設定される。角速度w2はエンコーダ41から得られる。
なお、角速度w1はri/(rd・w0)、半径r1はri+e(θ)、半径r2はrd−e(θ)、半径r3はri−e(θ−dθ1)、半径r4はrd−e(θ+dθ2)、半径r2’はrd+e(θ+dθ1)、半径r3’はri+e(θ+dθ2)である。
また、感光体ドラム1Mの大径ギア11Mの偏芯e(θ)の微小変位をe1=e(θ+dθ1)とし、アイドルギア12aの偏芯e(θ)の微小変位をe2=e(θ+dθ2)としたとき、Y色の角速度w4(θ)を求める変換式には、(2)式、すなわち、
w4(θ)=w0・(1/rd+1/ri)・(e1+e2)+w2・・・・(2)
が適用され、この変換式(2)はCPU55に設定される。
このように情報作成系を構成すると、中間転写ベルト6の速度変動が包含された角速度データD41に依存することなく、演算によって中間転写ベルト6の速度変動を考慮した状態の角速度データD41に基づいてY色用の感光体ドラム1Yの回転角度誤差テーブルを作成できるようになる。
図8A及びBは、回転角度誤差テーブル作成時の伝達関数の設定例を示すブロック図である。
図8Aに示す制御系は、回転伝動機構40の例えば、アイドルギア12aを介して大径ギア11Mから大径ギア11Yへ回転力を伝達する系である。この回転伝達制御系によれば、インパルス応答時の制御対象である回転伝動機構40をh(t)とし、その入力値をx(t)としたとき、その出力値y(t)は、式(3)、すなわち、
となる。但し、ξは回転伝動機構40を構成するアイドルギア12a,12bや大径ギア11Y,11M,11C等の偏芯や歯車間の遊び(バックラッシュ)等による遅延要素である。上述の(3)式をフーリエ変換すると、Y(ω)=X(ω)・H(ω)となる。
図8Aに示した回転伝達制御系を図8Bに示すような周波数伝達関数H(ω)に置き換えると、周波数伝達関数H(ω)は、入力値をX(ω)とし、その出力値をY(ω)とすると、(4)式、すなわち、
H(ω)=Y(ω)/X(ω)・・・・・(4)
となる。このような周波数伝達関数H(ω)をCPU55の演算プログラムに設定し、入力値X(ω)に角速度データD41を使用して、その出力値Y(ω)を求めるようになされる。これにより、M色基準用の感光体ドラム1M以外のY色用、C色用の感光体ドラム1Y,1Cについては、エンコーダ41を設けることなく、周波数伝達関数H(ω)を演算した角速度データD41に基づいて回転角度誤差テーブルを作成できるようになる。
図9は、各色用の回転角度誤差テーブルにおける時間ずれ量対ルックアップテーブルNo.との関係例を示すグラフ図である。この例で、回転角度誤差テーブル(ルックアップテーブル)は、各色用のLPHユニット5Y、5M,5C,5K毎に設けられる。
図9において、縦軸は、M色用の感光体ドラム1Mを基準にした時間ずれ量(±)であり、単位は[ms]である。横軸は、各色用の回転角度誤差テーブルにおけるテーブル参照No.(1〜81)である。
この例では各ドラム周長に81箇所のサンプル点を設定し、この81箇所のサンプル点を基準にして、各色用の回転角度誤差テーブルを作成するようになされる。サンプル点=81箇所の設定根拠は、エンコーダ41の出力性能(45[c/v])及び、アイドルギア12aと大径ギア11Yとの歯車比、この例では、18:1に基づくものである。
図9に示す実線は、基準となるM色用の感光体ドラム1Mの回転角度誤差テーブル特性(図中ではM色特性という)である。波線がY色用の感光体ドラム1Yの回転角度誤差テーブル特性(図中ではY色特性という)である。二点鎖線がBK色用の感光体ドラム1Kの回転角度誤差テーブルの特性(図中ではBK色特性という)である。
図10は、M−LUT72等における時間情報の格納例を示す図である。図10に示すM−LUT72等における時間情報の格納例によれば、M色特性について、M色の感光体ドラム1Mの回転角度誤差テーブル(ルックアップテーブル)のNo.1に対して時間情報であるルックアップ値として補正値Aが格納される。そのNo.2に対し、同様に補正値Bが格納され、そのNo.3に対して補正値Cが格納され、そのNo.4に対して補正値Dが格納される。同様に最終No.81に対し、補正値ZZが格納される。他のY色、C色及びBK色特性についても、同様に、回転角度誤差テーブルのNo.1〜81に対して補正値A、B、C、D・・・・ZZが格納される。
図9に示したM色特性を例にとると、例えば、回転角度誤差テーブルのNo.10に対して補正値=−0.3msが記述され、そのNo.20に対して補正値=+0.4msが記述され、そのNo.30に対して補正値=+0.49msが記述され、そのNo.40に対して補正値=+0.3msが記述される。回転角度誤差テーブルのNo.1〜81に対する補正値A、B、C、D・・・・ZZは、M−LUT72に格納される。他のY−LUT71、M−LUT73及びM−LUT74についても同様にして格納される。
例えば、Y色特性を例に採ると、回転角度誤差テーブルのNo.10に対して補正値=+0.75msが記述され、そのNo.20に対して補正値=+0.15msが記述され、そのNo.30に対して補正値=−0.4msが記述され、そのNo.40に対して補正値=−1.0msが記述される。
BK色特性に関しても、例えば、回転角度誤差テーブルのNo.10に対して補正値=+0.1msが記述され、そのNo.20に対して補正値=+0.45msが記述され、そのNo.30に対して補正値=+0.35msが記述され、そのNo.40に対して補正値=+0.45msが記述される。
図11A〜Dは、各色用の感光体ドラムにおける角度誤差の補正例を示す図である。この例で、回転角度誤差テーブルにおける補正値は、各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kのある回転角と他の正規の回転角と間の時間差で表すようになされる。
図11Aに示すサンプルNo.は、No.1、No.2、No.3、No.4・・・No.81(図示せず)である。図11Bにおいて、横軸は時間tである。図中の波線は、ドラム1周長(60π=188.5mm)を時間換算した661msを81箇所のサンプル点で分割した時間情報を示している。図11Aに示すサンプルNo.1に対して基準時間は8.16msであり、その補正値は+Aである。従って、回転角度誤差テーブルでは、サンプルNo.1における露光タイミングが基準時間(8.16ms)+補正値Aに設定される。同様に、サンプルNo.2に対して基準時間は16.32msであり、その補正値は+Bである。従って、サンプルNo.2に対しては、露光タイミングが基準時間(16.32ms)+補正値Bに設定される。
また、サンプルNo.3に対して基準時間は24.48msであり、その補正値は−Cである。従って、サンプルNo.3における露光タイミングが基準時間(24.48ms)−補正値Cに設定される。同様に、サンプルNo.4に対して基準時間は32.64msであり、その補正値は−Dである。従って、サンプルNo.4における露光タイミングが基準時間(32.64ms)−補正値Dに設定される。
この例では、図11Cに示すY−IDX信号の立ち上がりを図11Bに示したサンプルNo.1〜No.81に対応する時間情報に基づいて補正するようになる。つまり、図11Dに示す画像データDyは、図11Cに示した補正後のY−IDX信号の立ち上がりに同期して、図2に示したY色用のLPHユニット5Yから感光体ドラム1Yへ書き込まれる。他の色用の感光体ドラム1M,1C,1KやLPHユニット5M,5C,5Kについても同様になされる。
続いて、本発明に係る画像処理方法に関して、カラープリンタ100における回転角度誤差テーブルの作成方法を説明する。図12は、第1の実施例としてのカラープリンタ100における回転角度誤差テーブルの作成例を示すフローチャート(メインルーチン)であり、図13は、M色用の回転角変動テーブル作成例を示すフローチャート(サブルーチン)である。図14〜図16は、BK、Y、C色用の回転角度誤差テーブル作成例を示すフローチャート(サブルーチン)である。
この例では、Y色、M色、C色用の3個の感光体ドラム1Y、1M、1Cを回転伝動機構40及び共通の1個のモータ30aを介して駆動し、各々の感光体ドラム1Y、1M、1Cで作像された色画像を中間転写ベルト6上で重ね合わせる場合を前提にして、M色用の感光体ドラム1Mを基準に設定し、LHPユニット5Y,5M,5C,5Kにおけるインデックス変調(Index Active)制御時に参照するための回転角度誤差テーブルを作成する場合を例に挙げる。
これらをテーブル作成条件にして、図12に示すフローチャートのステップST1でCPU55は、回転角度誤差テーブルの作成時期の到来を判別し、テーブル作成制御又はその作成時期の到来を待機する。この際の判別基準は、例えば、当該プリンタ100で取り扱われたプリント枚数が所定枚数に到達した場合や、制御部50が必要と判断した場合、例えば、機内温度が設定以上に上昇した場合等にM色用の回転角変動テーブル及びM、BK、Y、C色用の回転角度誤差テーブルの書き換えを行う。
回転角変動テーブル及びBK、Y、C色用の回転角度誤差テーブルの作成時期の到来を判別した場合は、ステップST2に移行して、CPU55は、M色用の感光体ドラム1Mの回転角変動テーブルを作成する。
例えば、図13に示すサブルーチンをコールして、ステップST21でCPU55は、速度検出部58から角速度データD41(Data=enc)を受信する。このとき、M色用の感光体ドラム1Yの軸に取り付けられたエンコーダ41は、速度検出部58へ角速度信号S41を出力する。速度検出部58では、角速度信号S41が二値(デジタル)の角速度データD41に変換される。
次に、ステップST22でCPU55は81箇所のサンプル点について10個づつ角速度データD41を取得し、それらの平均値を演算する(10和平均値)。その後、ステップST23でCPU55は、基準値(カウント値)と角速度の10和平均値との差を演算する(基準値−data)。
更に、ステップST24でCPU55は感光体ドラム1Mの偏差の割合を演算する。感光体ドラム1Mの偏差割合は、回転角速度をωとし、角速度データD41をdataとしたとき、data/(基準値×ω)により算出される。
また、ステップST25では、3周平均法により角速度データD41を取得する。ドラムサンプリングの際に、CPU55は、ドラム3周に渡って角速度データD41をサンプリングし、そのサンプリング値を平均するようになされる(図4参照)。
次に、ステップST26でCPU55は3周平均法により取得された角速度データD41をLPF(ローパスフィルタ)処理する。これは、角速度データD41から高調波振動を取り除き、図5A〜Cに示したような低周波成分を取り出すためである。
更に、ステップST27でCPU55は、ドラム周長の各々のサンプル点における角速度データD41と、そのドラム周長分の角速度データD41を平均した角速度平均データD41”との差を演算してDC成分を取り除くようになされる。(data−data平均値)。角速度データD41、D41’や角速度平均データD41”はRAM53に一時記憶される。
次に、ステップST28でエンコーダパルスの周期測定値を積算(積分)してM色用の感光体ドラム1Mの回転角を求める。そして、ステップST29で露光位置Qmと転写位置Pmとの間の回転角誤差を演算する。このようなドラム外周距離Lmを基準にした回転角誤差は転写位置Pmにおける角速度の変動を表している。これにより、M色用の感光体ドラム1Mの回転角変動テーブルを作成することができる。
この例では、角速度変動から、図9に示したような露光位置Qm−転写位置Pm間の時間ずれ量を示す回転角度誤差テーブルが作成される。このとき、CPU55は、回転角を角速度で割った時間情報D72(ルックアップ値;時間ずれ量)を演算する。時間情報D72は、ルックアップテーブルNo.と対応付けてM−LUT72に格納される。これにより、時間ずれ量対ルックアップテーブルNo.の関係を情報変換テーブル化したM色用の感光体ドラム1Mの回転角度誤差テーブル(/ω=M軸の時間テーブル)を作成することができる。
その後、メインルーチンのステップST2にリターンする。そして、ステップST3に移行する。ステップST3でBK色用の感光体ドラム1Kの回転角度誤差テーブル又はそれ以外の感光体ドラム1Y、1Cの回転角度誤差テーブルを作成するか否かによって制御を分岐する。
感光体ドラム1Kの回転角度誤差テーブルを作成する場合は、ステップST4に移行する。例えば、図14に示すサブルーチンをコールして、ステップST41でCPU55は、感光体ドラム1Kの大径ギア11Kの回転軸と、感光体ドラム1Mの大径ギア11Mの回転軸との位相差を求める。このとき、CPU55は、速度検出部58を介してエンコーダ41から角速度データD41を取得し、エンコーダパルスの周期測定値を積算してBK色用の感光体ドラム1Kの回転角を求める。
その後、ステップST42でCPU55は、BK色の露光位置Qkと転写位置Pkとの間の回転角度差を算出する。このとき、CPU55は、露光位置Qk−転写位置Pk間の距離Lkを基準時間でサンプリングする。そして、ドラム周長=81箇所の回転角誤差を各々求める。この例では、BK色用の感光体ドラム1Kと、M色用の感光体ドラム1M(又はC色用の感光体ドラム1C)との位相差から転写位置Qkのずれ量の差を求める。
その後、ステップST43でCPU55は、回転角を角速度で割った時間情報D74(ルックアップ値;時間ずれ量)を演算する。時間情報D74は、ルックアップテーブルNo.と対応付けてK−LUT74に格納される。これにより、時間ずれ量対ルックアップテーブルNo.の関係を情報変換テーブル化したBK色用の感光体ドラム1Kの回転角度誤差テーブル(/ω=BK軸の時間テーブル)を作成することができる。
その後、メインルーチンのステップST4にリターンする。そして、ステップST8に移行して全ての色用の回転角度誤差テーブルを作成したか否かの終了判別をする。ステップST8で全ての色用の回転角度誤差テーブルを作成していない場合は、ステップST3に戻って他の色用の回転角度誤差テーブルを作成する。
この例では、ステップST3でM色及びBK色用の感光体ドラム1M、1Kの回転角度誤差テーブルを作成しているので、それ以外の感光体ドラム1Y、1Cの回転角度誤差テーブルを作成するために、ステップST5に移行する。
ステップST5では感光体ドラム1Y又は1Cの回転角度誤差テーブルの作成に応じて制御を分岐する。感光体ドラム1Yの回転角度誤差テーブルを先に作成する場合は、ステップST6に移行する。
例えば、図15に示すサブルーチンをコールして、CPU55は、ステップST61でCPU55は角速度変更の処理を実行する。このとき、CPU55は、エンコーダパルスの周期測定値から、感光体ドラム1Yの偏芯を求める。例えば、速度検出部58を介してエンコーダ41から得られる角速度データD41に図8Bに示したような周波数伝達関数H(ω)を演算する。この演算によって、あたかも、Y色用の感光体ドラム1Yの大径ギア11Yにエンコーダ41を取り付け、そのエンコーダ41から出力されたような角速度データD41’を得ることができる。
その後、ステップST62でCPU55は、角速度データD41’に基づいてY角速度推定の処理を実行する。この処理では、回転伝動機構40の噛みあい位相と、Y色用の感光体ドラム1Y(大径ギア11Y)の軸と、M色用の感光体ドラム1M(大径ギア11M)の軸間の偏芯方向により影響(左右)される、Y色用の感光体ドラム1Yの角速度が推定される。この例では、角速度データD41’から得られる位相差情報に基づいて感光体ドラム1Yのドラム角速度が求められる。
そして、ステップST63でCPU55は、ドラム周長の各々のサンプル点における角速度データD41’と、そのドラム周長分の角速度データD41’を平均した角速度平均データ#D41’との差を演算してDC成分を取り除くようになされる。角速度データD41’や角速度平均データ#D41’はRAM53に一時記憶される。
更に、ステップST64でCPU55は、DC成分が取り除かれたエンコーダパルスの周期測定値を積算(積分)してY色用の感光体ドラム1Yの回転角を求める。更に、ステップST65でCPU55は、露光位置Qyと転写位置Pyとの差を演算して距離Lyを求め、当該距離Lyを基準時間でサンプリングして回転角度誤差を演算する。この回転角誤差によって転写位置Pyにおける変動具合を把握できるようになる。
その後、ステップST66でCPU55は、回転伝動機構40の噛みあい位相と、Y色用の感光体ドラム1Y(大径ギア11Y)の軸及びM色用の感光体ドラム1M(大径ギア11M)の軸間の偏芯方向とに基づいて偏芯方向位置を求める。この処理は省略してもよい。
そして、ステップST67でCPU55は、回転角を角速度で割った時間情報D71(ルックアップ値;時間ずれ量)を演算する。この例では、回転伝動機構40の大径ギア11Yやアイドルギア12a等の位相情報から、感光体ドラム1Mと感光体ドラム1Yとの間の転写位置Qyのズレ量の差が求められる。時間情報D71は、ルックアップテーブルNo.と対応付けてY−LUT71に格納される。これにより、時間ずれ量対ルックアップテーブルNo.の関係を情報変換テーブル化したY色用の感光体ドラム1Yの回転角度誤差テーブル(/ω=Y軸の時間テーブル)を作成することができる。
その後、メインルーチンのステップST6にリターンする。そして、ステップST8に移行して全ての色用の回転角度誤差テーブルを作成したか否かを判別する。ステップST8で全ての色用の回転角度誤差テーブルを作成していない場合は、ステップST3に戻って他の色用の回転角度誤差テーブルを作成する。この例では、C色用の回転角度誤差テーブルを作成していないので、ステップST7に移行する。
例えば、図16に示すサブルーチンをコールして、CPU55は、ステップST71でCPU55は角速度変更の処理を実行する。このとき、CPU55は、エンコーダパルスの周期測定値から、感光体ドラム1Cの偏芯を求める。例えば、速度検出部58を介してエンコーダ41から得られる角速度データD41に図8Bに示したような周波数伝達関数H(ω)を演算する。この演算によって、あたかも、C色用の感光体ドラム1Cの大径ギア11Cにエンコーダ41を取り付け、そのエンコーダ41から出力されたような角速度データD41”を得ることができる。角速度データD41”はRAM53に一時記憶される。
その後、ステップST72でCPU55は、角速度データD41”に基づいてC角速度推定の処理を実行する。この処理では、回転伝動機構40の噛みあい位相と、C色用の感光体ドラム1C(大径ギア11C)の軸と、M色用の感光体ドラム1M(大径ギア11M)の軸間の偏芯方向により影響(左右)される、C色用の感光体ドラム1Cの角速度が推定される。この例では、角速度データD41”から得られる位相差情報に基づいて感光体ドラム1Cのドラム角速度が求められる。角速度データD41”はRAM53に一時記憶される。
そして、ステップST73でCPU55は、ドラム周長の各々のサンプル点における角速度データD41”と、そのドラム周長分の角速度データD41’を平均した角速度平均データ#D41”との差を演算してDC成分を取り除くようになされる。
更に、ステップST74でCPU55は、DC成分が取り除かれたエンコーダパルスの周期測定値を積算(積分)してC色用の感光体ドラム1Cの回転角を求める。更に、ステップST75でCPU55は、露光位置Qcと転写位置Pcとの差を演算して距離Lcを求め、当該距離Lcを基準時間でサンプリングして回転角度誤差を演算する。この回転角誤差によって転写位置Pcにおける変動具合を把握できるようになる。
その後、ステップST76でCPU55は、回転伝動機構40の噛みあい位相と、C色用の感光体ドラム1C(大径ギア11C)の軸及びM色用の感光体ドラム1M(大径ギア11M)の軸間の偏芯方向とに基づいて偏芯方向位置を求める。この処理は省略してもよい。
そして、ステップST77でCPU55は、回転角を角速度で割った時間情報D73(ルックアップ値;時間ずれ量)を演算する。この例では、回転伝動機構40の大径ギア11Cやアイドルギア12b等の位相情報から、感光体ドラム1Mと感光体ドラム1Cとの間の転写位置Qcのズレ量の差が求められる。時間情報D73は、ルックアップテーブルNo.と対応付けてC−LUT73に格納される。これにより、時間ずれ量対ルックアップテーブルNo.の関係を情報変換テーブル化したC色用の感光体ドラム1Cの回転角度誤差テーブル(/ω=C軸の時間テーブル)を作成することができる。
その後、メインルーチンのステップST7にリターンする。そして、ステップST8に移行する。ステップST8で、全ての色用の回転角度誤差テーブルを作成したので制御を終了する。
このように、第1の実施例に係るカラープリンタ100及び画像処理方法によれば、情報参照テーブル作成時、CPU55は、基準の感光体ドラム1Mを除く回転伝動機構40を介してモータ30aより駆動される他の感光体ドラム1Y,1Cの回転角度誤差テーブルを基準の感光体ドラム1Mの角速度データD41に基づいて作成するようになる。
従って、基準の感光体ドラム1M以外の他の感光体ドラム1Y,1Cについては、周波数伝達関数H(ω)等を演算した角速度データD41’やD41”に基づいて回転角度誤差テーブルを作成できるようになる。これにより、各色の感光体ドラム毎にエンコーダ41、速度検出部58を備えなくて、基準の感光体ドラム1Mの色作像タイミングと中間転写ベルト6の色転写位置との間を成す角度(180°−θm)と、他の感光体ドラムの色作像タイミングと中間転写ベルト6の色転写位置との間を成す角度(180°−θy)等とを最適に位置合わせすることができ、カラープリンタ100のコストダウンを図ることができる。
しかも、基準の感光体ドラム1M以外の大径ギア11Y,11C等にエンコーダ41や速度検出部58を設けなくても済むので、演算処理構成の簡略化、記憶手段の容量の削減が可能になる。安価にカラーレジスト性能向上を実現できるようになった。
図17は、第2の実施例としてのBK色用の感光体ドラム1Kにおける変動例を示すグラフ図である。
この例で、ベルト圧接時の回転角度誤差テーブルは、非圧接条件で取得した露光−転写間の回転角変動テーブルを画像形成部80の回転角度誤差補正時に所定の変換式を通して適用するようになされる。
図17において、縦軸は、BK色用の感光体ドラム1Kの変動幅であり、横軸は、そのサンプリング回数である。図17に示す波線は、図1に示したタンデム構成のカラープリンタ100において、通紙モード(転写状態)での感光体ドラム1Kの変動例を示すサンプリング波形である。ここに通紙モードとは、中間転写ベルト6が、Y,M,C色用の感光体ドラム1Y,1M,1C又は/及びBK色用の感光体ドラム1Kに圧接される動作をいう。
また、実線は、同プリンタ100において、非圧接モード(非転写状態)での感光体ドラム1Kの変動例を示すサンプリング波形である。ここに非圧接モードとは、中間転写ベルト6が、全ての色用の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kから分離される動作をいう。感光体ドラム1Kにおける変動例によれば、通紙モードでの感光体ドラム1Kの変動幅は、非圧接モードでの感光体ドラム1Kの変動幅に比べて大きくなっている。これは中間転写ベルト6の変動を受けているためである。この変動は、M色用の感光体ドラム1Mのエンコーダ41の角速度検出信号S41に現れる。
第2の実施例では、図6に示したCPU55が非圧接モードにおける速度検出部58を介してエンコーダ41から出力される角速度データD41に基づいて当該基準の感光体ドラム1Mの回転角度誤差テーブルを作成するようになされる。このようにデータ取得系を構成すると、中間転写ベルト6の速度変動を除いた状態の角速度データD41に基づいて基準の感光体ドラム1Mの回転角度誤差テーブルを取得できるようになる。
この例でCPU55は、感光体ドラム1Mが中間転写ベルト6に対して単独に動作している時(ベルト解除状態)の伝達関数G(ω)と、感光体ドラム1Mが中間転写ベルト6に圧接して色画像を転写している時(画出し状態)の伝達関数G(ω)’との差を予め求め、伝達関数G(ω)、G(ω)’の差を演算して基準の感光体ドラム1Mの露光−転写間の回転角変動テーブルを補正し、補正後の基準の感光体ドラム1Mの露光−転写間の回転角変動テーブルに基づいて当該基準の感光体ドラム1M以外の他のBK色、Y色及びC色用の感光体ドラム1K,1Y,1Cの露光−転写間の回転角変動テーブルを作成するようになされる。
図18は、各色用の感光体ドラムの露光−転写間の回転角変動テーブルの情報変換例を示すブロック図である。図18に示す回転角度誤差テーブルの情報変換例によれば、非圧接モードで取得した回転伝動機構40の伝達関数をG(ω)とし、通紙モードで取得した回転伝動機構40の伝達関数をG(ω)’とし、非圧接モード時の感光体ドラム1Mの露光−転写間の回転角変動テーブルT1から、通紙モード時の感光体ドラム1Mの露光−転写間の回転角変動テーブルT2への変換係数をKとしたとき、変換式は例えば、(5)式、すなわち、
G(ω)’=K・G(ω)・・・・(5)
により演算される。
変換係数Kには伝達関数G(ω)、G(ω)’の差に基づいて作成される位相差やゲインが使用される。
図19A及びBは、角速度データ取得時の中間転写ベルト6の制御例を示す図である。
この例では、図19Aに示す画像形成部80の非圧接モード(ベルト解除状態)において、M色用の感光体ドラム1Mの軸の角速度変動をエンコーダ41で検出し、露光−転写間の回転角変動テーブルを作成するようになされる。この非圧接モードでは、図6に示したベルト制御部57が1次転写ローラ7M、7C,7C,7Kを制御して、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kから中間転写ベルト6を引き離すようになされる。
つまり、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kが中間転写ベルト6に対して単独に動作しているときに、大径ギア11Mの基(基準軸)に取り付けられたエンコーダ41で角速度の検知して、エンコーダ41から速度制御部58を介して得られる角速度データD41に基づいてその基準軸の回転角変動テーブルT1を作成するようになされる。
また、図19Bに示す画像形成部80の通紙モード(実画出し状態)においては、予め伝達関数G(ω)’を求めて置き、非圧接モード時の伝達関数G(ω)と、通紙モード時の伝達関数G(ω)’との差に基づく変換式(5)を露光−転写間の回転角変動テーブルT1に演算して、通紙モードの露光−転写間の回転角変動テーブルT2を作成(補正)するようになされる。この通紙モードでは、図6に示したベルト制御部57が1次転写ローラ7M、7C,7C,7Kを制御して、中間転写ベルト6を感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに圧接するようになされる。
図20A及びBは、各色用の感光体ドラムにおける露光−転写間の位置ズレ量のサンプル例を示すグラフ図である。図20A及びBにおいて、いずれも縦軸は、露光−転写間の位置ズレ量(mm)であり、横軸は、サンプリング数である。
図20Aは、各色用の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kにおける非圧接モード時の露光−転写間の位置ズレ量のサンプル例を示している。このサンプル例によれば、圧接モード時に比べて露光−転写間の位置ズレ量(mm)の変動幅が±0.1mmと大きい。
図20Bは、各色用の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kにおける通紙モード時の露光−転写間の位置ズレ量のサンプル例を示している。このサンプル例によれば、非圧接モード時に比べて露光−転写間の位置ズレ量(mm)の変動幅が約半分の±0.05mmと小さくなっている。
上述の図20Aに示した露光−転写間の位置ズレ量のグラフから図20Bに示す露光−転写間の位置ズレ量のグラフを変換式(5)を介在して演算するようになされる。つまり、非圧接モードでの感光体ドラム1Mの露光−転写間の回転角変動テーブルT1を、変換式(5)で変換して、通紙モードでの感光体ドラム1Mの露光−転写間の回転角変動テーブルT2を得るようになされる。
図21は、第2の実施例としての露光−転写間の回転角変動テーブルの作成例を示すフローチャートである。
この例では、第1の実施例でM色用の感光体ドラム1Mを基準にして得られたBK色用の感光体ドラム1Mの/ω=BK軸の時間テーブル(回転角度誤差テーブル)を基準にして他のY色及びC色用の露光−転写間の回転角変動テーブルを作成する場合を前提とする。この場合、Y色、C色の感光体ドラム1Y,1Cの非圧接モード(単独)時の伝達関数G(ω)と、通紙モード(圧接)時の伝達関数G(ω)’が予め保存されている場合を例に採る。
これを作成条件にして、例えば、Y色の感光体ドラム1Yの露光−転写間の回転角変動テーブルを作成する場合、図21に示すフローチャートのステップST1でCPU55は、K−LUT74から/ω=BK軸の時間テーブルに係る時間情報D74をRAM53に読み出す。
次に、ステップST82でY色の感光体ドラム1Yの非圧接モード(単独)時の伝達関数G(ω)をロードする。その後、ステップST83で感光体ドラム1Yの通紙モード(圧接)時の伝達関数G(ω)’をロードする。そして、ステップST84で単独時と圧接時の伝達関数G(ω)、G(ω)’の差に基づく位相差を反映した変換式(5)を露光−転写間の回転角変動テーブルT1に演算する。
その後、ステップST85で単独時と圧接時の伝達関数G(ω)、G(ω)’の差に基づくゲインを反映した変換式(5)を露光−転写間の回転角変動テーブルT1に演算する。これにより、Y色の感光体ドラム1Yの露光−転写間の回転角変動テーブルT2を作成できるようになる。
なお、C色の感光体ドラム1Cの露光−転写間の回転角変動テーブルを作成する場合は、上述のフローチャートのステップST82でC色の感光体ドラム1Cの非圧接モード(単独)時の伝達関数G(ω)をロードする。その後、ステップST83で感光体ドラム1Cの通紙モード(圧接)時の伝達関数G(ω)’をロードする。
そして、ステップST84で単独時と圧接時の伝達関数G(ω)、G(ω)’の差に基づく位相差を反映した変換式(5)を露光−転写間の回転角変動テーブルT1に演算する。その後、ステップST85で単独時と圧接時の伝達関数G(ω)、G(ω)’の差に基づくゲインを反映した変換式(5)を露光−転写間の回転角変動テーブルT1に演算する。これにより、C色の感光体ドラム1Cの露光−転写間の回転角変動テーブルT2を作成できるようになる。
このように第2の実施例に係る感光体ドラム1Y,1Cの露光−転写間の回転角変動テーブルの作成例によれば、中間転写ベルト6の速度変動が包含された角速度データD41に依存することなく、変換式(5)による演算によって中間転写ベルト6の速度変動を考慮した状態の角速度データD41に基づいて基準の感光体ドラム1Mの露光−転写間の回転角変動テーブルを作成できるようになる。
しかも、感光体ドラム1Mの露光−転写間の回転角変動テーブルに基づいて作成されたBK色用の感光体ドラム1Kの回転角度誤差テーブル(/ω=BK軸の時間テーブル)を、伝達関数G(ω)、G(ω)’の差に基づく変換式(5)のより、他の感光体ドラム1Y、1C等にも反映させることができ、他の感光体ドラム1Y、1C等の回転角度誤差テーブルも演算で作成できるようになる。