以下、この発明を、電子写真方式の多色の画像形成装置であるプリンタ(以下、プリンタと称する)に適用した第1の実施形態を説明する。図1は、第1の実施形態の画像形成装置としてのプリンタを示し、(a)はプリンタの全体構成の概略を示す正面図、(b)はプリンタが有したプロセスカートリッジの内部構成を示す正面図であり、図2は、この第1の実施形態の前提となる主要な構成を示し、(a)は像担持体としての感光体ドラムを所定に駆動制御する機構の概略構成を示す正面図、(b)は検知体を有したドラム駆動ギヤを示す斜視図、(c)は位置検出する信号の概要を示した波形図であり、図3は、位相合わせした各感光体ドラムの速度変動状態を示したグラフであり、図4は、各感光体ドラムの速度変動状態を統合表記したグラフであり、図5は、位相合わせした各感光体ドラムの代表的な速度変動状態を示したグラフであり、図6は、図5における各色間の色ずれ量を絶対値として求めて示したグラフであり、図7は、図5の速度変動状態におけるK感光体ドラムの速度変動周期を打ち消す従来の制御をした結果の変動状態を示したグラフであり、図8は、図7の変動状態における各色間の色ずれ量を絶対値として示したグラフであり、図9は、第1の実施形態の制御を示し、(a)は、この第1の実施形態の制御をした結果としての各感光体ドラムの変動状態を示したグラフ、(b)は、制御前の駆動モータ出力と速度変動との関係を示したグラフ、(c)は、速度変動周期を打ち消す従来の制御による駆動モータ出力と速度変動との関係を示したグラフ、(d)は、第1の実施形態の制御による駆動モータ出力と速度変動との関係を示したグラフであり、図10は、第1の実施形態の制御結果としての図9の変動状態における各色間の色ずれ量を絶対値として示したグラフである。
まず、この第1の実施形態のプリンタの基本的な構成を説明する。図1(a)および図2(a)に示すように、プリンタAは、装置本体3内に、所定のベルト送り方向に一定速度で走行駆動され、該ベルト表面上の所定箇所にトナー像が転写され一時的に担持する中間転写体としての中間転写ベルト8と、この中間転写ベルト8に当接し該ベルト8の長手方向に所定間隔をおいてタンデム型に配置された複数の像担持体である感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kと、これらの感光体ドラム1Y〜1Kを回転駆動する複数の駆動手段である駆動モータ31Y,31M,31C,31Kと、を収容しており、ベルト進行速度と所定に同期させてこれらの各感光体ドラム1Y〜1Kを、それぞれの各駆動モータ31Y〜31Kによって回転駆動し、各感光体ドラム1Y〜1K上に所定タイミングで生成した各トナー像を、前記の所定箇所に重ね合わせて転写して1つのカラートナー像を形成し、このカラートナー像を、最終的な画像定着対象である記録媒体としての用紙Pに対して転写して、該用紙P上に定着するようにしている。
また、プリンタAは、各感光体ドラム1Y〜1Kに中間転写ベルト8上に所定に描かせたテストパターン像を読み取って、少なくとも、感光体ドラム1Y〜1Kの速度変動情報として取得する画像読取センサ36と、速度変動情報と位相差情報とに基づいて、駆動モータ31Y〜31Kを制御して、複数の感光体ドラム1Y〜1K間の位相差を所定差に合わせるように調整し、次にこの調整したいずれかの感光体ドラム1Y〜1Kを選定しこの選定した感光体ドラム1を、所定に色ずれを低減させるように、該感光体ドラム1を駆動した駆動モータ31を制御する制御手段とを、設けた構成とされている。なお、各駆動モータ31Y,31M,31C,31Kは、各感光体ドラム1Y〜1Kに係合されて結合された駆動伝達部材である各感光体ドラム駆動伝達ギヤ(以降、ドラム駆動ギヤと称する)33Y,33M,33C,33Kに駆動力を伝達して、それぞれの感光体ドラム1Y〜1Kを駆動するように構成され、各感光体ドラム1Y〜1Kの回転位置を所定に検知しドラム間の位相差情報として取得する位置検出手段である位置検出センサ34も、設けられている。
このプリンタAは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、それぞれ「Y」、「M」、「C」、「K」と記す)色の可視像としてのトナー像を生成する4つのプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kを有している。すなわち、これらの4つのプロセスカートリッジ6Y〜6Kは、それぞれの感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを、水平な回転軸を中心に回転可能にかつ、そのドラム表面の一部分を、各カートリッジ6Y〜6Kの外部に露出させて収納しており、各プロセスカートリッジ6Y〜6Kは、前記の一部分を、中間転写ベルト8に接した状態で装置本体3内に装着され、この状態で、同ドラム表面に、それぞれが担当したY〜Kのいずれかの色のトナー像を生成するようにしている。これらのプロセスカートリッジ6Y〜6Kは、基本的に同一に構成され、それぞれには、画像形成剤として、互いに異なる色のYトナー、Mトナー、Cトナー、Kトナーが供給されている。また各プロセスカートリッジ6Y〜6Kは、それぞれ装置本体3に簡易に着脱可能に構成され、消耗品として交換できるようになっており、寿命到達時に新品に交換される。以下に、Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yについて説明するが、他の色トナー像用のプロセスカートリッジ6M〜6Kも、基本的に同一の部材を有して同一に構成されている。
図1(b)は、Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを示す概略構成図である。このプロセスカートリッジ6Yは、少なくとも、装置本体3に装着した状態で水平軸を中心にして所定に回転駆動される像担持体としての感光体ドラム1Yを有し、この感光体ドラム1Yの周りに、その図中時計回りの回転方向の上流側から下流側に向けて、順次、ドラムクリーニング装置2Y、図示しない除電装置、帯電装置4Y、剤供給対象である現像装置5Yなどのいずれか1つ以上を設けた構成とされている。帯電装置4Yは、所定電圧が印加されて感光体ドラム1Yに従動回転する帯電ローラを有し、前記の時計回りに回転される感光体ドラム1Yの表面を一様帯電する。一様帯電された感光体ドラム1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像が生成される。現像装置5Yは、感光体ドラム1Y表面に所定の微小間隔を設けて、感光体ドラム1Yに従動するように回転する現像ローラを有し、この現像ローラにYトナーのトナーブラシを形成するように構成され、形成したブラシ状のYトナーがドラム表面に移動できるようにしている。したがって、感光体ドラム1Y表面上に生成されたY静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に可視像化され、このYトナー像が中間転写ベルト8上に中間転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体ドラム1Y表面に、所定圧かつ所定の当接角度でその先端のブレードエッジが接したクリーニングブレードを有し、前記の表面に残留してドラム回転に伴い運ばれてくるトナーを、該表面からクリーニングブレードが掻き落として除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体ドラム1Yの残留電荷を除電するように構成されている。この除電装置による除電によって感光体ドラム1Yの表面が初期化され、次の画像形成に供せられる。他のプロセスカートリッジ6M,6C,6Kにおいても、同様に動作して各感光体ドラム1M,1C,1K上にそれぞれMトナー像、Cトナー像、Kトナー像が形成され、これらのトナー像が、中間転写ベルト8上に重なるようにして中間転写される。
再び図1(a)に示すように、各プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの図中下方には、露光装置7が配設されている。すなわち、潜像形成手段である露光装置7は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスカートリッジ6Y〜6Kにおけるそれぞれの感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに照射して露光する。この露光により、各感光体ドラム1Y〜1K上にそれぞれY静電潜像、M静電潜像、C静電潜像、K静電潜像が形成される。なお、露光装置7は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体ドラムに照射するものである。この露光装置7は、プロセスカートリッジ6Y〜6Kなどとともに、感光体ドラム1Y〜1K上に可視像であるトナー像を形成する可視像形成手段を構成している。
また、同図1(a)において、露光装置7の図中下側には、給紙手段が配設され、この給紙手段は、紙収容カセット26、これに組み込まれた給紙ローラ27、レジストローラ対28など有している。紙収容カセット26には、記録材としての用紙Pが、複数枚、積層されて収納しており、一番上の用紙Pには、給紙ローラ27が当接されている。したがって、給紙ローラ27が図示しないモータなどの駆動手段によって図中反時計回りに回転させられると、一番上の用紙Pだけが、レジストローラ対28のローラ間に向けて搬送経路上に送給される。この用紙Pを挟み込むように、レジストローラ対28は、その両ローラを回転駆動されるが、挟み込むとすぐに回転を一旦停止させ、用紙Pを挟持する。そして、レジストローラ対28は、転写紙Pを該転写紙Pに、中間転写ベルト8上のトナー像を転写させる適切なタイミングで、2次転写ニップに向けて送り出すようにしている。
また、同図において、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの図中上方には、中間転写体としての中間転写ベルト8を張架しながら無端移動させた構成の中間転写ユニット15が配設されている。この中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8のほか、ベルトクリーニング装置10などを有している。また、中間転写ベルト8は、装置本体3の所定箇所に軸支されて配置された、4つの1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9K、2次転写バックアップローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14に張架され、所定長さの略直線状のベルト走行面を形成しており、上記したように、この直線状のベルト走行面の進行方向の上流側から下流側に、所定間隔をおいて、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kを並列配置が可能に構成している。中間転写ベルト8は、これらの7つのローラに張架されながら、少なくとも、いずれかの1つのローラが回転駆動されて、図中反時計回りに一定のベルト進行速度で無端移動される。1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を対向した各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kとの間に挟み込んで、それぞれの箇所に1次転写ニップを形成している。これらの1次転写ニップには、中間転写ベルト8の裏面(ベルトループ内周面)にトナーとは逆極性(たとえばプラス極性)の転写バイアスが印加されている。1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY、M、C、K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上のYトナー像、Mトナー像、Cトナー像、Kトナー像が重ね合わせて1次転写され、中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像と称する)が形成される。
また、上記中間転写ユニット15には、中間転写ベルト8が感光体ドラム1Kに接触した状態から、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y,1M,1Cに対して接離する状態にするための図示しない接離機構も設けられている。すなわち、この接離機構によって、上記した位相差を調節している期間中は、感光体ドラム1Y,1M,1Cに対して中間転写ベルト8を離間させている。このように離間させることによって、画像形成に供さない感光体ドラム1Y,1M,1Cと中間転写ベルト8との当接時間を少なくし、これらの感光体ドラムの寿命を延ばすようにしている。他方、たとえばブラックの感光体ドラム1Kのみを使用して単色の画像形成するモノクロ画像形成時には、接離機構によって、ブラック以外の感光体ドラム1Y,1M,1Cを中間転写ベルト8から離間させた状態でモノクロ画像を形成するようにして、これらの感光体ドラム1Y,1M,1Cの長寿命化を図ってもよい。
なお、中間転写ベルト8上で互いに重なり合う各色トナー像間にズレが生じることである各感光体ドラム間における位相差は、同じ製造工程を経て製造されたプリンタであっても個体差があることから生じる。このような色ズレの原因となる個体差は、感光体ドラムに設けられるドラム駆動ギヤ33の取り付け偏心、ギヤ成型精度、ドラム駆動ギヤ33と感光体ドラム1とを結合するジョイント部に起因した速度変動等が、製造するプリンタAごとに、特にこのプリンタAの構成の場合には製造したプロセスカートリッジ6ごとに、それぞれ微妙に異なることから生じる。このため、色ズレは、これらの偏心により感光体ドラムの表面移動速度が変動し、中間転写ベルト8上の各色トナー像がその表面移動方向に延びたり縮んだりしたものとなることによって生じる。そして、色ズレ量が最大となるのは、中間転写ベルト8上において、ある色のトナー像が延びた部分と、他のどれかの色のトナー像が縮んだ部分とが重なり合うように転写されるときである。
上記2次転写バックアップローラ12は、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8上に形成された4色トナー像は、この2次転写ニップで用紙Pに転写される。そして、用紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
なお、2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8表面は、用紙Pに転写されなかった転写残トナーが残留して付着していることがあるので、前記のベルト表面を、上記ベルトクリーニング装置10によって、クリーニングするようにしている。
2次転写ニップにおいては、互いに順方向に表面移動する中間転写ベルト8と2次転写ローラ19との間に、用紙Pが挟まれて、上記レジストローラ対28側とは反対方向に搬送される。2次転写ニップから送り出された用紙Pは、定着装置20に搬送され、この定着装置20が、用紙P上のトナー像を用紙Pに定着する。すなわち、定着装置20は、対向配置された加熱ローラおよび加圧ローラを有し、加熱ローラにそのローラ表面を所定温度に加熱する電熱ヒータを設け、該加熱ローラ側に加圧ローラを押圧付勢した構成とされ、これらの両ローラが接した箇所を、所定温度かつ所定圧を確保した定着ニップ部として形成している。したがって、用紙Pは、定着装置20が形成した定着ニップ部を通過する過程で、所定温度に加熱および所定圧に加圧されて、その表面に転写されたカラートナー像が、該用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部50aが形成されており、上記排紙ローラ対29によって機外に排出された用紙Pは、このスタック部50aに順次、積み重ねられる。
上記中間転写ユニット15と、これよりも上方にあるスタック部50aとの間には、ボトル収納部51が配置されている。このボトル収納部51には、各色トナーをそれぞれ収容する剤収容器としてのトナーボトル52Y,52M,52C,52Kがセットされている。各トナーボトル52Y〜52K内の各色トナーは、それぞれ図示しないトナー供給装置により、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの現像装置に適宜補給される。各トナーボトル52Y〜52Kは、プロセスカートリッジ6Y〜6Kとは独立し、かつそれぞれ個別に、プリンタAの装置本体3に対して着脱可能に構成されている。したがって、プロセスカートリッジ6Y〜6Kにトナーを補給して、空になったいずれかのトナーボトル52Y〜52Kは、新品トナーが充填された新たなトナーボトル52Y〜52Kに交換される。
次に、各感光体ドラム1Y〜1Kを互いに独立して所定に回転駆動し、これらの回転駆動を所定に制御した構成を説明する。すなわち、まずドラム駆動ギヤ33Y〜33Kが結合された感光体ドラム1Y〜1Kに関して、装置本体3側に個別に設けた各感光体ドラム用の駆動源からドラム駆動ギヤ33Y〜33Kに回転駆動力を伝達して、各感光体ドラム1Y〜1Kを個別に所定に回転駆動する構成を説明し、次に、これらの回転駆動を所定に制御する制御手段について説明する。
すなわち、図2(a)は、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kをその軸方向から見たときのプリンタの模式図である。この図2(a)に示すように、各感光体ドラム1Y〜1Kの軸方向一端部(図中奥側の端部)には、それぞれ、ドラム駆動ギヤ33Y,33M,33C,33Kが設けられている。これらのドラム駆動ギヤ33Y〜33Kは、その軸が感光体ドラム1Y〜1Kの感光体ドラム軸11とジョイント部材で係合されて結合され、感光体ドラム1Y〜1K端部に一体化するように設けられており、感光体ドラム1Y〜1Kと一体的に回転する。
すなわち、たとえばドラム駆動ギヤ33Y〜33Kの図示しないギヤ軸と、各感光体ドラム1Y〜1Kの感光体ドラム軸11とが、それぞれの軸端部に固着された1対の係合部材からなるジョイント部材を介して、回転駆動力を伝達可能に、同軸上にかつ着脱自在に結合されている。すなわち、ドラム軸11の端部には該ドラム軸11と一体的に回転するジョイント部材としての第1の係合部材である図示しない第1カップリングが固着されている一方、ドラム駆動ギヤ軸の端部には該ギヤ軸と一体的に回転する同ジョイント部材としての第2の係合部材である図示しない第2カップリングが固着されている。したがって、プロセスカートリッジ6Y〜6Kを装置本体3の所定箇所に装着した際には、第1の係合部材である被駆動側の第1カップリングが、第2の係合部材である駆動側のカップリングに係合して噛み合い、回転駆動力を伝達可能に結合される。このようにジョイント部材を介して、同軸上に軸端同士を結合しているので、この軸結合および同結合の解除が容易化される。このため、プロセスカートリッジ6Yの着脱に伴い、余分な操作や作業をせずに、該カートリッジYの感光体ドラム1Yに、装置本体3側の駆動モータ31Yから駆動力を伝達可能にし、またこの駆動力の伝達を解除できる。
そして、各ドラム駆動ギヤ33Y〜33Kには、それぞれの駆動モータ31Y,31M,31C,31Kから駆動力が伝達されて、各感光体ドラム1Y〜1Kを所定に回転駆動するようになっている。すなわち、各ドラム駆動ギヤ33Y〜33Kは、その外周面に歯が刻設された外歯状の歯車であり、このドラム駆動ギヤ33Y〜33Kの歯車径よりも小径の外歯状の歯車である駆動伝達ギヤ32Y,32M,32C,32Kに、駆動力を伝達可能に、それぞれ噛み合わされている、または、これらの両者の外周面は、所定の摩擦係数が確保された平坦面に形成され、摩擦接触による駆動力を伝達可能に、それぞれ所定の接触圧を確保して接している。したがって、摩擦接触で駆動力を伝達した構成では、歯車の構成での歯同士が接する際に生じる音、謂わば衝突音を解消できるので、画像生成動作時の静粛化を図ることができる。
そして、これらの駆動伝達ギヤ32Y〜32Kは、装置本体3側に設けた駆動手段としての駆動モータ31Y,31M,31C,31Kの出力軸に固着され、各駆動モータ31Y,31M,31C,31Kからの回転駆動力によってそれぞれ互いに独立して回転駆動される。このように、それぞれの感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kごとに、個別に、駆動源としての駆動モータ31Y,31M,31C,31Kを設けているので、各感光体ドラムを、互いに独立して、個別にそれぞれの回転を制御できるようにしている。他方、このように、1段減速で各感光体ドラム1Y〜1Kを回転駆動する構成、つまり各感光体ドラム1Y〜1Kに一体となって回転するドラム駆動ギヤ33Y〜33Kに回転駆動力が伝達され、その他のギアを介在させていない構成なので、伝達効率の向上が図れるとともに、各感光体ドラム1Y〜1Kの回転制御を正確にかつ精密に行なうことができる。つまり、感光体ドラム1Y〜1Kごとに、その回転速度を変更する、あるいは回転を開始する時点や回転を停止する時点を、任意時点のタイミングで設定できるようにしている。
すなわち、各感光体ドラム1Y〜1Kそれぞれに対して設けられ、それぞれを駆動した駆動モータ31Y,31M,31C,31Kは、制御手段としての制御部40によって、その出力軸の回転速度や、回転を開始するタイミング、停止するタイミングが制御される。この制御部40は、プリンタ全体のプロセス制御を行っており、IOポート、CPU、ROM、RAMなどによって構成されている。各駆動モータ31Y〜31Kに電力を供給する図示しない駆動回路は、制御部40に配線接続され、制御部40からの指令信号に従って、所定の電力供給タイミングで、かつ所定電圧や所定電流、所定周波数に設定や調整した電力を供給し、または所定のタイミングで供給を停止し、上記の速度やタイミングなどの各種の回転動作が制御されている。
制御部40には、少なくとも、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの速度変動周期や速度変動幅を含めた速度変動状態を検出するために設けられた位相差検出手段としての画像読取センサ36が配線接続され、この画像読取センサ36は、トナー像が転写される中間転写ベルト8の外側ベルト表面にその撮像方向が向けて、かつその読取りセンサ面を該ベルト表面に近接させて設置され、撮像センサとしてベルト表面に描かれたトナー像の詳細を識別できる充分な分解能を有している。したがって、中間転写ベルト8上の画像を、この画像読取センサ36が読み取り、この読み取ったトナー画像を、各種検出用の情報データとして制御部40に出力できるようにしている。なお、この読取りセンサは、中間転写ベルト8の近傍で該中間転写ベルト8の進行方向における感光体ドラム1Kから、ベルトクリーニング装置までに至る範囲内であれば、いずれの箇所に配置してもよいが、その読取り動作に影響を受けない程度に、中間転写ベルト8を支持した各種のローラから離れた箇所が好ましい。
また制御部40には、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの回転位置を検知するために設けられた位置検出手段としての位置検出センサ34Y,34M,34C,34Kが配線接続され、各位置検出センサ34Y〜34Kから出力される検知信号が入力されて、各感光体ドラム1Y〜1Kの回転位置を認識できるように構成されている。すなわち、図2(b)に示すように、感光体ドラム1と同軸上に感光体ドラム1の一端に結合されたドラム駆動ギヤ33はその一部が、感光体ドラム1の回転位置を検出するためのマーキングとして軸方向に突出して一体形成され、この突出部分が検知体であるフィラー35とされている。このフィラー35は、ドラム駆動ギヤ33の回転面としての端面に、円弧状の遮光部材として形成され、ギヤ軸を中心にした所定半径の円周上に所定長さの周長さが設定されており、フィラー35単体としてみれば、駆動モータ31からの駆動力により感光体ドラム1Yが回転すると、この回転に伴って前記の一定半径の円周軌跡上を移動し周回する。このフィラー35を検出するための位置検出センサ34は、画像形成時の電磁気的な作動条件にその検知動作が影響を与えない、光学素子を用いた一般的な透過型の光学センサで構成されており、前記フィラー35が通過する特定の固定された箇所を、その検知範囲とするように設定されて装置本体3側に設置されている。すなわち、図示のように、発光部34aと受光部34bとが、その発光方向および受光方向を互いに、所定の間隔を確保して向き合わせ、この間隙を検知範囲にした構成とされている。したがって、プリント動作時などには、駆動手段である駆動モータ31からの回転出力により感光体ドラム1が回転駆動され、この感光体ドラム1の回転と共にフィラー35も回転方向に移動し、感光体ドラムの1回転につき1回、フィラー35が位置検出センサ34の検知範囲を通過する。そして、フィラー35が位置検出センサ34の検知範囲に進入して光を遮ると、位置検出センサ34から、フィラー35を検知したことを表わした信号レベルの検知信号が出力される。なお、同図中に示した感光体ドラム1の回転に伴いフィラー35が前進する方向における該フィラー35の始端35aおよび終端35bを個別に認識するように構成してもよい。すなわち、この検知信号の信号レベルが切り換わる方向を判別すれば、つまりたとえば低レベルから高レベルに切り換わる場合と、高レベルから低レベルに切り換わる場合と、を区別した構成とすれば、始端35aおよび終端35bのいずれも検知可能となる。
次に、上記の構成を用いたこの第1の実施形態の制御を説明する。まず、感光体ドラムの位相合わせについて説明する。この感光体ドラム1Y〜1Kの位相合わせとは、感光体ドラム1Y〜1K全てを回転させて描いたテストパターンである位相差検出パターンを、位相差検出手段である画像読取センサ36により読み取り、検出された各感光体ドラム1Y〜1Kの速度変動周期から現状のドラム間位相差を割り出し、この位相差に起因した色ずれが最も少なくなる位相関係となるように、各感光体ドラム1Y〜1Kの位相を調整する一連の処理からなる色ずれ低減制御ことを指す。
すなわち、各感光体ドラム1Y〜1Kの表面にそれぞれ検出用テストパターンとしてのテストトナー像を形成し、これらを中間転写ベルト8上に転写する。このテストトナー像は、たとえば中間転写ベルト8上の長手方向に一定間隔で濃淡が交互に繰り返されるストライプ状のトナー像となるようなトナー像や、同長手方向とは交差する方向かつ互いに平行で一定間隔に細線のテスト線を所定数有したトナー像とされ、少なくとも、中間転写ベルト8上に転写された前記のテストトナー像を、画像読取センサ36が読み取って、テストトナー像に含まれた間隔を制御部40が計測可能にしている。
また位相合わせ制御としては、既に様々な制御例が提案されているので、これらの周知の制御方法から、適宜の方法を選択すればよく、説明を簡略化する。すなわち、ある感光体ドラムの位相を調整する方法としては、その感光体ドラム駆動モータの回転数を制御することや、該感光体ドラムの回転開始タイミングあるいは停止タイミングを制御するなどがある。
そして今、色ずれが最小となる位相関係となっている場合には、図3に示すように、各感光体ドラムの速度変動周期同士は、感光体ドラム間距離/線速の「時間」だけ、ずれることとなる。すなわち、たとえば、すべての感光体ドラムの回転位相を、色ずれが最小となるように調整して、それぞれをある所定位相に一致させた所定の位相関係となっている場合にも、図3に示したように、各感光体ドラムの回転速度を1つの時間軸上で表わすと、これらの感光体ドラムは、物理的に中間転写ベルトの進行方向に所定間隔をおいて設置されていることから、各感光体ドラム同士の間を中間転写ベルトの像形成対象箇所が進むのに要する「時間」分だけ、各感光体ドラムの速度変動周期は、相互にずれた時間軸上の位置を占めることになる。
換言すれば、感光体ドラムの位相差調整制御は、各感光体ドラムの速度変動周期および該速度変動周期内の速度変動波形をそのまま保って、時間軸上を所定方向に移動させ、相互間には前記の物理的な配置に起因した時間差だけが生じるように、所定に調整した制御とされている。すなわち、ある感光体ドラムの駆動モータの回転出力を一時的に増大させて、この増大させた一時的な時間分だけある感光体ドラムと他の感光体ドラムとの間の位相差を減少させ、または一時的に減少させてこの減少させた一時的な時間分だけ感光体ドラム間の位相差を増大させ、これらの位相同士の相互間に生じる時間差が、前記の物理的な各感光体ドラムの離間距離(ドラム間距離)と、像転写対象の移動速度(線速)とによって規定された「時間」だけとなるように、つまりこの「時間」に、位相同士の時間差を一致させるように制御する。
なお、この速度変動振幅の大きさに基づいた序列として、その振幅が大きい方から小さい方に進む降順の順番では、K、M、C、Yの順序となっている。
そこで速度変動振幅の差を見やすく理解しやすくするため、物理的に離間した各色感光体ドラムの位相合わせ後における速度変動状態を、図4に示すような重ね合わせグラフにまとめた。すなわち、各感光体ドラム同士間の物理的な位置関係によって相互に生じている理論的な位相差を除外するように、所定に検出した各感光体ドラムのデータを処理加工し、1つの位相に統合して表わしたグラフにし、前記の位相関係で各感光体ドラム間に生じている速度変動状態同士の相互関係、つまり速度変動振幅の大きさ同士を直接比較できて、理解しやすく把握しやすいようにした。以降、このように、まとめたグラフ表記も用いて説明を進める。
感光体ドラム位相合わせ後における代表的な各感光体ドラムの速度変動を示した一例を図5のグラフに示す。このように各感光体ドラムの速度変動振幅が異なる典型的な場合には、各感光体ドラムの速度変動の位相を合わせても色ずれが、必ず発生してしまう。すなわち、たとえ実測した位相差を解消するように、各感光体ドラムを1つの位相に合わせた駆動制御をしただけでは、互いの速度変動振幅の差はそのまま残存しているので、これらの差が形成した画像に反映されて、必ずしも制御結果としての色ずれ量を最小にできない。
なお、図5のグラフにおける縦軸は、各感光体ドラムの速度変動を表わした指標としてのずれ度であり、以下の速度変動状態を表したグラフでも同様に縦軸にずれ度が用いられている。このずれ度は、縦軸上の中央に0で示した基軸を基準にして、横軸の時間が進む各時点において、前記の基軸からどの程度、速度変動が大きいかの程度を、正負の値で表わしている。また、このずれ度は、たとえば上記のテストパターンを変動情報として取得し、この変動情報を所定に解析して決定される。すなわち、テストパターンに含まれている時間軸上の各時点において測定された上記のテスト線同士の間隔の長さを、位置ずれが生じていない理想的で絶対的な基準長さと比較し、ある時点での差がない場合には、その時点ではずれ度が0であるとし、間隔長さが基準長さよりも小さい場合には、その差分だけ感光体ドラムの表面速度が、ベルト表面の進行速度よりも相対的に高速で速度変動が大きいとみなして所定に正の値に換算し、間隔長さが基準長さよりも大きい場合には、その差分だけ感光体ドラムの表面速度が、ベルト表面の進行速度よりも相対的に低速で速度変動が大きいとみなして所定に負の値に換算し、該時点でのずれ度が決定される。このため、この基軸上に、ある時点の感光体ドラムのずれ度が位置したときには、その時点での感光体ドラムには、絶対的な0位置を基準にして位置ずれが生じていない回転状態となっていることを表す。
他方、このようにテストパターンから解析した各感光体ドラムの速度変動状態から、相互の位相差を求めることもできる。すなわち、たとえば、ある感光体ドラムのずれ度で示した変動波形において、この変動波形が基軸を横切る、つまりゼロクロスポイントとして、負の値から正の値となるか、正の値から負の値となるかのいずれかの時点を、変動周期の基点とし、各感光体ドラムごとに基点を求める。そして、これらの基点同士の相互の時間差から、相互の位相差を求めることができる。なお、この場合の基点同士の時間差は、テストパターンが描かれたベルト上での、該基点に相当するテスト線などを検出した時点同士の時間差から所定に算定したり、該ベルト上での前記のテスト線などの相互の離間距離をベルト進行速度を用いて所定に換算したりしてもよく、また感光体ドラムの回転位置を検出する位置検出手段である位置検出センサ34Y〜34Kを併用してもよい。そして、位相差は、このようにして得た時間差を、変動周期の期間つまり1つの変動周期の開始時点から完了時点まで時間的な長さで除した余りの時間を、位相差とする。またこの際には、いずれかの感光体ドラムを基準にして、この基準にした感光体ドラムに対する他のすべての感光体ドラムの位相差を求めたり、すべての感光体ドラム間の位相差が求まるように、適宜、異なる組み合わせの2つの感光体ドラムを選択して2つ感光体ドラム間の位相差を検出することを繰り返せばよい。
そして、各色間の色ずれ量を絶対値として求めた図6に示すように、この図5に示した例における色ずれ量が最大の色の組み合わせは、K-Yとなる。すなわち、図5に示されている各色を担当した各感光体ドラムの回転速度が変動した状態での、2つの色の組み合わせでこの2色間に生じている色ずれ量を、そのすべての色の組み合わせの色ずれ量の大きさを相互に比較して理解しやすくするため、各色間の色ずれ量が正の値となるように、絶対値化して、図6のグラフに示した。この例では、K色を担当した感光体ドラムが形成したK色トナー像と、Y色を担当した感光体ドラムが形成したY色トナー像と、の間に生じた色ズレ量が、この外の2つの色の組み合わせで生じたそれぞれの色ズレ量のうちで、最も大きくなっている。
そこで、たとえばK感光体ドラムの回転制御を行うとき、図7に示すように単純にK感光体ドラムが持つ速度変動周期を打ち消すように制御した場合、その色ずれ量は、図8のようになり、最大色ずれはK-Mの「6」となる。すなわち、検出したK感光体ドラムの速度変動周期に基づき、このK感光体ドラムの回転駆動源である駆動モータの回転駆動出力が、前記の速度変動周期とは同じ振幅巾で逆位相の速度変動周期を有する波形の出力となるように、制御部から制御指令を発して、駆動モータを制御すると、この制御結果として、上記のまとめたグラフ表記としての図7のグラフに示した各感光体ドラムの速度変動状態となる。そして、この図7のグラフに示したように、K感光体ドラム以外の他の色の感光体ドラムの変動周期や変動波形がそのままで、K感光体ドラムのずれ度が0となった場合に、この図7のグラフから、各色間の色ずれ量を絶対値として表わすと、図8のグラフとなる。
なお、図7のグラフにおいて、特定の制御をして変化した感光体ドラムのグラフ曲線には、2重斜線のマークを附して示し、制御結果を示した以降の各図のグラフについても、同様に表記する。但し、変化した感光体ドラムのグラフ曲線が、制御前に既に存在した他の感光体ドラムのグラフ曲線に重なる場合には、同図中に前記の2重斜線マークに加えて、2つのグラフ曲線が重なって等しいことを付記して、これを明確に示す。また、図8において、M−Cの色ずれを表わすグラフ曲線は、K−Cの色ずれを表わすグラフ曲線に重なっているので、隠れているように表示されている。
これに対して、この第1の実施形態では、K感光体ドラム以外の複数の感光体ドラムの回転速度周期を基準(参照値)とし、K感光体ドラムの速度変動振幅を、基準とした複数の感光体ドラムが持つ速度変動振幅の間(ここではCとMとの間)に入るように、K感光体ドラム駆動モータを制御する。すなわち、図9(a)に示す制御結果が得られるように、K感光体ドラム駆動モータを制御すると、その色ずれ量は図10に示すようになり、最大色ずれ量は、単純にK感光体ドラムが持つ速度変動周期を打ち消すように制御した場合よりも少なくなる。つまり、図9(a)に示すように、この第1の実施形態の制御をしたK感光体ドラムの変動波形は、この変動波形として有したずれ度の最大値が、制御前の「10」からこの制御した後の「4」となり、M感光体ドラムの変動波形と、C感光体ドラムの変動波形との間の領域に収まる。なお、同図10において、M−Cの色ずれを表わすグラフ曲線は、K−Mの色ずれを表わすグラフ曲線に重なっているので、隠れているように表示されている。
このため、図10に示すように、最大色ずれはM-Yの「5」となる。つまり、最大色ずれとなる組み合わせは、M-Yの組み合わせとなり、その値は、「5」となる。したがって、従来の速度変動周期を打ち消すように制御した場合の最大色ずれが「6」となるのに対して、この第1の実施形態の制御によれば、前記の制御よりも小さく、最大色ずれを「5」とできる。
具体的には、この第1の実施形態においては、図9(a)に示す制御結果が得られるように、K感光体ドラムを回転駆動している駆動モータを制御している。
すなわち、上記のように各自の速度変動位相を所定に調整して位相差が所定に設定されて回転駆動されている複数の感光体ドラムのうち、速度変動振幅が最大となっている1つの感光体ドラムを選定する。次に、この選定した感光体ドラムの駆動モータの出力を、該感光体ドラムの速度変動周期と同一のタイミングで1サイクルの周期が開始および完了し、かつ該速度変動周期とは逆位相で、かつ該周期内の各時点での振幅量が、たとえば40%などのように所定の比率の振幅量を有する波形の出力となるように、制御部で演算し、駆動モータの駆動回路に指令信号を送出する。前記の所定比率は、速度変動振幅の大きさを、降順に数えて、2番目の大きさの感光体ドラムの変動波形と、3番目の大きさの感光体ドラムの変動波形と、の間に、選定した感光体ドラムの変動波形が、制御した結果として収まるように、制御部が演算して、設定する。
より詳細には、駆動モータから感光体ドラムまでのトルク伝達に遅延時間が生じていないとすると、位相差を設定した後に、各感光体ドラムは、それぞれの駆動モータの一定の出力で回転駆動された結果、図5の速度変動の挙動を示していることになる。すなわち、1つの感光体ドラムに着目すれば、図9(b)の左側のグラフに示すように、駆動モータから所定の大きさの出力トルクが一定に出力されているときに、同図9(b)の右側のグラフに示すように、感光体ドラムに、ある変動幅を有して特定周期の速度変動が生じているとすると、従来の速度変動を打ち消すように、図9(c)の左側のグラフに破線で示す特定周期と同じ変動幅で逆位相波形の出力トルクを駆動モータから出力させる制御した場合、同図9(c)の右側のグラフに示す結果が得られのに対して、この第1の実施形態では、単なる波形を上下に逆転させた逆位相波形の出力トルクを出力させるのではなく、上記のように、ある目標範囲に収まるように設定した所定波形の出力トルクを出力させる、つまり図9(d)の左側の破線でグラフに示す特定周期の変動幅を所定比率で縮小した逆位相波形の出力トルクを出力させるように、駆動モータを制御して、図9(d)の右側のグラフに示す結果が得られるようにしている。なお、このように増減させた出力トルクに追従して感光体ドラムの回転速度が所定に変動されることとなるが、出力トルクと感光体ドラム回転速度との比例関係に配慮して、前記の逆位相波形が設定されるものとする。すなわち、駆動モータの出力特性、駆動伝達系の伝達特性なども勘案して設定されるものとする。また感光体ドラムおよび感光体ドラムに結合され一体的に回転するドラム駆動ギヤの大きさや重量などの条件、つまりこれらからなる回転体自体のイナーシャによる応答遅れについても、ある程度は配慮したものとする。また、このような特定の感光体ドラムに対する速度変動制御は、少なくとも、画像形成中、継続して維持されるものとする。
以上のように、この第1の実施形態によれば、単純に速度変動振幅が最大となっている感光体ドラムを選定して、この選定した感光体ドラムの速度変動を所定に制御することで、速度変動振幅の相対差による色ずれだけでなく、位置ずれ量も少なくすることができ、この結果として高品質の印刷画像を提供できる。特に、速度変動振幅が最大の感光体ドラムの速度変動状態を修正する一方、すでに位置ずれ量が小さい変動状態となっている各感光体ドラムは、その状態を、そのまま保つようにしているので、画質の安定した向上の面で好ましいものとなる。
また、この第1の実施形態では、像担持体としての感光体ドラムで中間転写ベルト上に描かせたテストパターン像を読み取って、該感光体ドラムの速度変動情報を取得し、この速度変動情報に基づき、上記の位相差の調整だけではなく、感光体ドラムの選定および該選定した感光体ドラムの速度変動振幅を所定に制御しているので、各色間に生じている色ずれの要因を充分に把握した適確な制御とすることができる。すなわち、転写元側としての感光体ドラムの回転変動状態を検出して制御に用いた構成に対して、この実施形態の制御では、転写元側と転写対象側との両方から色ずれに影響を与える要因が反映された前記のテストパターン像を制御用情報として制御に用いているので、感光体ドラムおよび感光体ドラムの駆動系を含めた転写元側を起因とした色ずれに影響を与える要因だけではなく、中間転写体としての中間転写ベルトおよびの中間転写ベルトの駆動系を含めた転写対象側を起因とした色ずれに影響を与える要因にも、配慮した制御となる。このため、より製造された実際の装置の実状を把握した制御とでき、また制御時点での現状を把握した制御とでき、いずれにしても色ずれ低減制御の高性能化を図ることができる。
他方、すべての感光体ドラムを選定して所定に制御する替わりに、このように1つの感光体ドラムを所定に選定して制御した構成なので、制御に必要な演算処理量の大幅な削減が図れ、情報処理演算装置としての制御部の構成を簡素化でき、低コスト化を図れる。すなわち、たとえばこのように4つの感光体ドラムを設けた画像形成装置において、これらの4つすべての感光体ドラムを選定して所定制御した場合に比べて、1つの感光体ドラムを選定して所定制御したので、前記の演算処理量に関しては、少なくとも1/4以下にできる。このため、処理能力が低い情報処理演算装置としての制御部でも充分に対処が可能となる。この結果、画像形成装置として敏速な動作を確保しながら、上記の充分な色ずれ低減効果を廉価な装置コストで得ることができる。
また、従来の選定した感光体ドラムの変動を解消する、つまり振幅を打ち消す制御では、この感光体ドラムの変動波形と全面的に逆位相の出力波形を有したモータ出力を、該感光体ドラムの駆動モータから出力させるようにしているので、モータ出力の変動の程度が大きくなる。このように、モータ出力の変動に関してその大きさの程度が拡大しているので、該駆動モータ自体や伝達系の負担増となり、駆動モータや伝達系部材の耐用寿命が低下するとともに、制御結果の誤差も大きくなるおそれも生じる。これに対して、この第1の実施形態の制御では、従来のように振幅を完全に打ち消す制御ではなく、謂わば所定の変動波形を目標にして振幅を抑制する制御なので、この制御による駆動モータ自体や伝達系の負担を軽減できる。このため、駆動モータや伝達系部材の耐用寿命の面で好ましく、かつ制御結果の誤差が大きくなるおそれの回避が可能となる。
次に、この第1の実施形態における変形例を説明する。すなわち、上記の例では、所定に速度変動制御する対象を、1つ選定したのに対して、この変形例では、2つ選定して、これらの2つを、それぞれ所定に速度変動制御した構成としている。
この第1の実施形態の変形例では、上記の図5に示した各感光体ドラムの速度変動状態となっている場合に、図11に示すように、速度変動制御する感光体ドラムをK感光体ドラムとM感光体ドラムとにするなど、2つの感光体ドラムに対する速度変動制御を行うと、この制御の結果として得られる色ずれ量は、図12に示すようになる。なお、図12においてC−Yの色ずれを表わす細線のグラフ曲線は、K−Yの色ずれを表わす太線のグラフ曲線に重なって、表示されている。
具体的には、2つの感光体ドラムを選定してこの2つの感光体ドラムだけを、制御対象にして、それぞれの振幅巾を所定に調整する速度変動制御をすることにより、この制御結果として図12に示す結果を得るようにしている。
すなわち、K感光体ドラムおよびM感光体ドラムを、それぞれ上記した1つの感光体ドラムに対する制御のように、個別に制御している。より詳細には、制御部によって、たとえば、K感光体ドラムの駆動モータを、その駆動された結果としてのK感光体ドラムの変動波形が、「4」の最大振幅を有するように、そのモータ出力を制御するとともに、M感光体ドラムの駆動モータを、その駆動された結果としてのM感光体ドラムの変動波形が、「3.5」の最大振幅を有するように、そのモータ出力を制御する。
したがって、このように2つを選定してそれぞれを所定に制御した構成によれば、図12に示すように、最大色ずれはM-Cの「3」となる。つまり、最大色ずれとなる組み合わせは、M-Cの組み合わせとなり、その値は、「3」となる。したがって、1つの感光体ドラムを所定に選定して所定に制御した場合の最大色ずれ量が「5」となるのに対して、このように2つの感光体ドラムを所定に選定して各感光体ドラムを所定に制御した構成によれば、前記の1つを選定した所定制御よりも小さく、最大色ずれ量を「3」とできる。
以上のように、この第1の実施形態の変形例によれば、単純に速度変動振幅が最大となっている感光体ドラムと、この次に大きい感光体ドラムとを選定して、これらの選定した感光体ドラムの速度変動を所定に制御することで、速度変動振幅の相対差による色ずれだけでなく、位置ずれ量もさらに少なくすることができ、この結果としてより色ずれの少ない画像を提供でき、さらに高品質の印刷画像を提供できる。すなわち、上記した第1の実施形態の作用効果に加えて、2色間に生じる色ずれにおける、最大の色ずれが生じる2色の組み合わせで、この組み合わせの色ずれ量を、さらに少なくできるので、さらに高品質の画像を提供できる。特に、速度変動振幅が最大の感光体ドラムおよび、この次に大きい感光体ドラムの速度変動状態を修正する一方、すでに位置ずれ量が最小および次に小さい変動状態となっている各感光体ドラムの状態は、そのまま保つようにしているので、画質の安定した向上の面でより好ましいものとなる。
なお、上記の変形例を含めた第1の実施形態および以降の各実施形態では、速度変動制御する感光体ドラムおよび基準とする複数の感光体ドラムの選定は、画像形成装置毎に各感光体ドラムの速度変動状態が異なるので、各感光体ドラムの速度変動周期および周期ずれ量を割り出した際の実測データを用いて演算し、それぞれ色ずれ低減効果が得られる感光体ドラムを選ぶこととする。
すなわち、実際に製作された感光体ドラム、同感光体ドラムまでの駆動力伝達系の部材の形状の正確さや組付け精度などからなる各感光体ドラム間に生じる機差によって、各画像形成装置毎にそれぞれの画像形成装置が有した複数の感光体ドラムにおける速度変動の相互関係は異なるので、前記の選定する感光体ドラムを、あらかじめ定めておくことはできない。特にたとえば、装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジに感光体ドラムを収容して、このプロセスカートリッジ、つまり少なくとも感光体ドラムを交換可能にした構成の画像形成装置では、感光体ドラム、およびこの感光体ドラムに関した駆動力伝達系の部材が、新旧入り混じることになるので、当然、前記の速度変動状態が互いに異なる傾向が助長される。すなわち、継続使用中のプロセスカートリッジと、交換した新品のプロセスカートリッジとでは、それぞれが有した感光体ドラムの回転速度に影響を与える各種の部材の損耗程度が、まったく異なることが予想される。したがって、この第1の実施形態によれば、前記したような機差や、新旧プロセスカートリッジの交換に起因した色ずれによる画質の低下を解消でき、画像品質の向上を図れる。
また、速度変動振幅が最大の感光体ドラムを選定しこの感光体ドラムの振幅巾を所定に減少させるように制御したが、これに限られることなく、速度変動振幅が最小の感光体ドラムを選定して、この感光体ドラムの振幅巾を所定に増加させた制御としてもよい。すなわち、最小の感光体ドラムを選定し、この選定した感光体ドラムの変動波形が、速度変動振幅が最大の感光体ドラムの変動波形と、速度変動振幅が2番目に大きい感光体ドラムの変動波形と、の間の領域に収まるように、所定制御する、つまり選定した感光体ドラムの駆動モータの出力を所定の波形となるように変動制御した構成としてもよく、この構成の場合にも、制御結果として得られるカラー画像上の各色の組み合わせにおける各色間に生じる最大色ずれを低減させることができ、画質の向上が図れる。
換言すれば、速度変動振幅の大きさの順位に基づき、最上位の感光体ドラムの速度変動が、第2順位および最下位の各感光体ドラムの速度変動同士の間の領域に位置するように、最上位の感光体ドラムの駆動を所定制御するか、最下位の感光体ドラムの速度変動が、最上位および最下位から第2順位の各感光体ドラムの速度変動同士の間の領域に位置するように、最下位の感光体ドラムの駆動を所定制御するか、さらには、最上位および最下位の両方の感光体ドラムの速度変動が、これら以外の第2順位および第3順位の各感光体ドラムの速度変動同士の間の領域に位置するように、最上位および最下位それぞれの各感光体ドラムの駆動を所定制御するかの、いずれかにしてもよい。
次に、この発明の第2の実施形態を説明する。この第2の実施形態では、上記の第1の実施形態では、制御部が所定に演算して、上記の制御をした構成であるのに対して、この演算の替わりに、あらかじめ用意したデータテーブルを参照して、上記の制御をする構成としている。なお、上記の第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、この第2の実施形態では説明しない構成や制御、つまりプリンタの構成や感光体ドラムの変動や位相検出から位相差を所定に設定する制御を含めたその他の制御は、上記の第1実施形態と同一とする。
この第2の実施形態では、画像形成装置として、感光体ドラムの速度変動の様々なパターンをテーブルにして有していることで、少なくとも、速度変動制御を行う感光体ドラムを選定するための演算時間を短縮して、短時間のうちに色ずれの少ない画像を提供するようにしている。
すなわち、このデータテーブルは、制御部が有したメモリに書き込まれて記録保存されており、このデータテーブルを制御部が参照して、データテーブルにあらかじめ登録され記録された所定データを取得できるようにしている。
このデータテーブルは、様々な速度変動状態となっている各感光体ドラムの組み合わせが、あらかじめ登録されており、各組み合わせごとに、個別に、どの感光体ドラムを選定するか、および選定した感光体ドラムをどのように制御するかが、データとして記録されている。なお、前記の組み合わせは、感光体ドラムの速度変動振幅巾の大きさに基づいた順位で区別した組み合わせとし、この順位のどの感光体ドラムを選定してこの選定した感光体ドラムの変動波形をどの2つの順位の感光体ドラムの変動波形同士の間の領域に収めればよいかを指定するテーブル構成とすれば、同じ順位の感光体ドラムが複数生じることを含めて、すべての組み合わせ数の総数は、充分にテーブル化が可能なデータ量となり、特別なメモリを必要とすることなく、通常のメモリの記憶容量で対応可能となる。
そして、上記の各種センサが所定に検出して取得した、各感光体ドラムの速度変動情報などのセンサ検出情報が入力された制御部は、データテーブルを参照し、このデータテーブルによって、少なくとも、どの感光体ドラムを選定するかを決定し、この感光体ドラムをどの制御目標としての所定の変動波形を有するように、該感光体ドラムの駆動モータを制御するかに必要な制御データを取得して決定し、該駆動モータの駆動回路に指令信号を出力する。
したがって、このように制御部は、演算することなく、上記した制御に必要な駆動モータの出力制御までの一連の処理をできるので、処理の負担が軽減され、迅速な制御が可能となる。
以上のように、この第2の実施形態によれば、速度制御する像担持体は検出された速度変動情報と画像形成装置に記録された速度変動データテーブルとを比較して、制御用の各種の決定をするように構成しているので、各像担持体である感光体ドラムの速度変動振幅の相対差による色ずれが少なくなり、短時間のうちに高品質の印刷画像を提供できる。すなわち、演算によって制御対象の感光体ドラムを選定したり、どのように制御するかを決定する替わりに、データテーブルを参照して選定や決定しているので、演算が不要となり、処理負担の軽減化を図れるとともに、上記の制御に掛かる時間から、前記の演算に要する時間を削減できる。このため、上記した第1の実施形態の作用効果に加えて、上記した制御に必要な全体時間の短縮化が図れ、その他の画像形成装置の動作に影響を与えることが少なくなり、画像形成装置は俊敏な動作が可能となる。他方、情報処理演算装置としての制御部の構成を簡素化でき、より低コスト化を図れる。
次に、この発明の第3の実施形態を説明する。なお、上記の第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、この第3の実施形態では説明しない構成や制御、つまりプリンタの構成や感光体ドラムの変動や位相検出から位相差を所定に設定する制御を含めたその他の制御は、上記の第1実施形態と同一とする。
第3の実施形態では、上記した第1実施形態の制御方法の範囲内での、いくつかの手法のうちのいずれかを用いるようにしている。すなわち、速度変動制御による色ずれ低減のいくつかの手法について説明する。速度制御対象となる感光体ドラムの速度変動振幅を、基準とした複数の感光体ドラムが持つ速度変動振幅の間に入るように感光体ドラム駆動モータを制御すると、色ずれを低減する効果が得られることは、上記したとおりである。
しかし、速度制御対象を、どの感光体ドラムにするかによっては、色ずれ低減の量が変わってくる。すなわち、これに着目した第3の実施形態の第1の例を説明する。
たとえば、感光体ドラム位相合わせ後の現状における速度変動が、図13のようであるとき、図14、図15のようにK感光体ドラムを速度変動制御して色ずれを低減させる場合と、図16、図17のようにY感光体ドラムを速度変動制御して色ずれを低減させる場合とでは、どちらも制御前の元の色ずれ量よりも、色ずれ量が減少するものの、これらの両方の場合の間に、色ずれ最大値に差が生じて、Y感光体ドラムの速度変動を制御した方が、K感光体ドラムを速度変動制御した方よりも、色ずれ最大値が小さくなる。よってこの図13に示されているように、各感光体ドラムが速度変動状態となっている例では、Y感光体ドラムの速度変動を制御した方が、色ずれ最大値を低減できる。
すなわち、各感光体ドラムの速度変動状態が、図13に示したように、速度変動振幅の大きさで比較して各感光体ドラムを順位付けた、つまり変動振幅の大きさに基づいた序列として、その振幅が大きい方から小さい方に進む降順では、K、M、C、Yの順序となっており、K感光体ドラムとM感光体ドラムとの間、およびM感光体ドラムとC感光体ドラムとの間の、それぞれの最大振幅値の差が2であり、かつY感光体ドラムだけが、K〜C感光体ドラムの変動状態とかけ離れて低い変動状態で、その最大振幅値は正負の2となる値を採っている。
このような図13に示された各感光体ドラムの速度変動状態のときに、前者の図14に示した制御では、速度変動振幅が最も大きいK感光体ドラムを選定し、この選定したK感光体ドラムの速度変動波形が、図13で3番目に速度変動振幅が大きいC感光体ドラムの変動波形に一致させるように、そのK感光体ドラム駆動モータの出力を制御する一方、後者の図16に示した制御では、速度変動振幅が最も小さいY感光体ドラムを選定し、この選定したY感光体ドラムの速度変動波形が、前記の3番目に速度変動振幅が大きいC感光体ドラムの変動波形に一致させるように、そのY感光体ドラム駆動モータの出力を制御する。なお、どのように駆動モータを制御して一致させるかについては、上記の第1の実施形態と概略が同様とされているので、説明を省略し、以下の各実施形態でも同様とする。
このようにした制御の結果、前者の制御では、図15に示されているように、その最大の色ずれの組み合わせは、M−Yとなり、その最大値が「6」となる一方、後者の制御では、図17に示されているように、最大の色ずれの組み合わせは、K−Cと、K−Yとなり、その最大値が「4」となる。なお、同図15において、M−Cの色ずれを表わすグラフ曲線は、K−Yの色ずれを表わすグラフ曲線に重なっているので、隠れているように表示されており、またC−Yの色ずれを表わすグラフ曲線も、K−Yの色ずれを表わすグラフ曲線に重なっている。さらに、同図17において、M−Cの色ずれを表わす細線のグラフ曲線は、K−Mの色ずれを表わす太線のグラフ曲線に重なっているので、隠れているように表示されており、またM−Yの色ずれを表わす細線のグラフ曲線も、K−Mの色ずれを表わす太線のグラフ曲線に重なっている。
したがって、後者の制御をした方が、その色ずれの組み合わせうちの最大値が、前者の制御よりも、低い値となる。このように、最大値が前者よりも小さいということは、この最大値の組み合わせ以外の色の組み合わせついても、それぞれの色ずれ値が、前者よりも、小さいものが多くなるので、後者の制御の方が、形成した画像の色ずれに関して高画質化を図れる。
そこで、第3の実施形態における第1の例としては、各像担持体としての各感光体ドラム間の色ずれ最大値が最も少なくなるように、選定した像担持体としての感光体ドラムを速度制御するようにした。すなわち、この第1の例では、2つの感光体ドラムの組み合わせ間に生じる各組み合わせの色ずれにおいて、色ずれ量が最も大きな最大値を最も小さくさせるように、選定した感光体ドラムの制御目標としての速度変動波形が、所定の領域としてのある感光体ドラムの速度変動状態に一致させるようにした。
以上のように、第3の実施形態における第1の例によれば、上記した第1の実施形態または第2の実施形態の作用効果に加えて、像担持体としての各感光体ドラムの速度変動振幅の相対差による色ずれが少なくなり、高品質の印刷画像を提供できる。すなわち、制御結果として2つの感光体ドラムの組み合わせ間に生じる色ずれの最大値を小さくでき、形成した画像の色ずれに関して高画質化を図れる。
また、速度変動制御を行う感光体ドラムの選定だけでなく、基準となる複数の速度変動振幅間のどの位置(振幅の大きさ)を、選定した感光体ドラムの制御目標とするかにより、色ずれ低減の効果が変わってくる。次に、これに着目した第3の実施形態の第2の例を説明する。
たとえば、感光体ドラム位相合わせ後の現状における速度変動が図18のようであるとき、K感光体ドラムを速度変動制御して色ずれを低減させる場合、図19、図20に示す制御と、図21、図22に示す制御とでは、どちらも色ずれ最大値は同じではあるが、図19の制御の方が、色ずれ最大値に近い値となるものが多い。したがって、この場合、色ずれ最大値に近いものが少ない方が、より高画質となる。なお、図20においてK−Mの色ずれを表わす太線のグラフ曲線は、K−Cの色ずれを表わす太線のグラフ曲線に重なって、表示されている。
すなわち、各感光体ドラムの速度変動状態が、図18に示したように、速度変動振幅の大きさで比較して各感光体ドラムを順位付けた、つまり変動振幅の大きさに基づいた序列として、その振幅が大きい方から小さい方に進む降順では、K、M、C、Yの順序となっており、K感光体ドラムとM感光体ドラムとの間、およびM感光体ドラムとC感光体ドラムとの間の、それぞれの最大振幅値の差が2であり、かつY感光体ドラムだけが、K〜C感光体ドラムの変動状態とかけ離れて低い変動状態で、その最大振幅値は正負の1となる値を採っている。このような図18示された各感光体ドラムの速度変動状態のときに、前者の図19に示した制御では、速度変動振幅が最も大きいK感光体ドラムを選定し、この選定したK感光体ドラムの速度変動波形が、2番目に速度変動振幅が大きいM感光体ドラムの変動波形と3番目に速度変動振幅が大きいC感光体ドラムの変動波形との間の領域に入るように、そのK感光体ドラム駆動モータの出力を制御する一方、後者の図21に示した制御では、同選定したK感光体ドラムの速度変動波形が、3番目に速度変動振幅が大きいC感光体ドラムの変動波形と速度変動振幅が最も小さいY感光体ドラムの変動波形との間の領域に入るように、そのK感光体ドラム駆動モータの出力を制御する。
このようにした制御の結果、前者の制御では、図20に示されているように、その最大の色ずれの組み合わせは、M−Yとなりその最大値が「7」となり、これに近い値を採るK-YとC-Yとの2つの組み合わせが生じる一方、後者の制御では、図22に示されているように、最大の色ずれの組み合わせは、単独のM−Yとなり、その最大値が「7」となる。すなわち、前者の制御では、概略同レベルの色ずれ最大値となる2色の組み合わせとして、3つの組み合わせが生じるのに対して、後者の制御では、孤立した単体の1つの組み合わせだけを生じさせることができる。換言すれば、両者の色ずれ最大値は、同一値となるのに対して、この最大値の色の組み合わせ以外の色の組み合わせに関しては、後者の制御をした方が、前者の制御よりも、低い値を採っている。したがって、このように、最大値を採る色の組み合わせ以外の色の組み合わせ、特に最大値に近い色ずれ値を採る組み合わせについては、それぞれの色ずれ値を、前記の最大値から離れるように減少できる後者の制御の方が、形成した画像の色ずれに関して高画質化を図れる。
そこで、第3の実施形態における第2の例としては、概略同レベルとなる色ずれ最大値の数が最も少なくなるように、選定した像担持体としての感光体ドラムを速度制御するようにした。特に、この第2の例では、概略同レベルとなる色ずれ最大値を採る色の組み合わせの数が、最も少ない1つとなり、しかもこの色の組み合わせ以外のそれぞれの色の組み合わせが採る各色ずれ値が、前記の最大値から離れて減少できるように、選定した感光体ドラムの制御目標としての速度変動波形が、所定の領域に収まるようにした。
以上のように、第3の実施形態における第2の例によれば、上記した第1の実施形態または第2の実施形態の作用効果に加えて、像担持体としての各感光体ドラムの速度変動振幅の相対差による色ずれが少なくなり、高品質の印刷画像を提供できる。
さらに、色ずれは6通りの色の組み合わせで起こるので、これらの6通りの最大色ずれ値を低減するだけでなく、6通りの色ずれ量の合計値も低減できた方が、より高画質となる。次に、これに着目した第3の実施形態の第3の例を説明する。
たとえば、感光体ドラム位相合わせ後の現状における速度変動が図23に示すようであるとき、K感光体ドラムを速度変動制御して色ずれを低減させる場合には、図24、図25に示すような制御と、図26、図27に示すような制御とでは、どちらも色ずれ量の最大値には差異が生じずに、互いに等しい「5」の値が得られる。しかし両者の間には、色ずれ合計値に差が生じて、後者の方が合計値が小さくなるので、結局、後者の制御をした方が、より高画質が得られることになる。
なお、図25においてC−Yの色ずれを表わす細線のグラフ曲線は、K−Cの色ずれを表わす太線のグラフ曲線に重なって、表示されている。また、図27においてM−Cの色ずれを表わす細線のグラフ曲線は、K−Mの色ずれを表わす太線のグラフ曲線に重なって、表示されている一方、同図27においてC−Yの色ずれを表わす細線のグラフ曲線は、K−Yの色ずれを表わす太線のグラフ曲線に重なって、表示されている。
すなわち、図23に示したように、速度変動振幅の大きさに基づいた降順では、K、M、C、Yの順序となっており、K感光体ドラムとM感光体ドラムとの間の最大振幅値の差が「4」、M感光体ドラムとC感光体ドラムとの間の同差が「3」、およびC感光体ドラムとY感光体ドラムとの間の同差が「2」となっている。このような図23示された各感光体ドラムの速度変動状態のときに、前者の図24に示した制御では、速度変動振幅が最も大きいK感光体ドラムを選定し、この選定したK感光体ドラムの速度変動波形が、2番目に速度変動振幅が大きいM感光体ドラムの変動波形と3番目に速度変動振幅が大きいC感光体ドラムの変動波形との間の領域に入るように、そのK感光体ドラム駆動モータの出力を制御する一方、後者の図26に示した制御では、同選定したK感光体ドラムの速度変動波形を、3番目に速度変動振幅が大きいC感光体ドラムの変動波形に一致させるように、そのK感光体ドラム駆動モータの出力を制御する。
このようにした制御の結果、前者の制御では、図25に示されているように、その最大の色ずれの組み合わせは、M−Yとなり、その最大値が「5」となる一方、後者の制御では、図27に示されているように、最大の色ずれの組み合わせは、同様にM−Yとなり、その最大値が「5」となる。すなわち、両者の色ずれ最大値は、同一値となるが、2つの色を組み合わせたそれぞれの色ずれ量の合計、つまり6通りの色ずれ量の総計は、前者の制御では、「17」の値となるのに対して、後者の制御では、「15」の値となり、後者の方が小さくなる。したがって、このように、6通りの色の組み合わせで、各組み合わせの色ずれ量を合計した値については、前者の制御よりも、後者の制御の方が、小さくなり、この結果として、形成した画像の色ずれに関して高画質化を図れる。
そこで、第3の実施形態における第3の例としては、色ずれ量の合計値が最も少なくなるように、像担持体としての感光体ドラムを速度制御するようにした。すなわち、この第3の例では、選定した感光体ドラムの変動波形が、第2順位の感光体ドラムの変動波形と、最低順位の感光体ドラムの変動波形との、ちょうど中央部に位置させるように、つまりこれらの中間に位置した第2順位の感光体ドラムの変動波形に一致させるように、選定した感光体ドラム駆動モータの出力を制御して、各色間に生じる色ずれ量の合計値が最少となるようにしている。
以上のように、第3の実施形態における第3の例によれば、上記した第1の実施形態または第2の実施形態の作用効果に加えて、像担持体としての各感光体ドラムの速度変動振幅の相対差による色ずれが少なくなり、高品質の印刷画像を提供できる。
次に、この発明の第4の実施形態を説明する。この第4の実施形態では、上記の第3の実施形態で説明したいくつかの例のうちのいずれかの制御を、使用者の任意で択一的に切換えて選択できる構成としている。なお、上記の第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、この第4の実施形態では説明しない構成や制御、つまりプリンタの構成や感光体ドラムの変動や位相検出から位相差を所定に設定する制御を含めたその他の制御は、上記の第1実施形態と同一とする。
以上のように説明した第3の実施形態の各例での色ずれの低減方法の違いによる結果は、絵として形成した画像を見る人により感じ方が異なるので、この第4の実施形態では、どの色ずれ低減を重視するかを選択できるようにしておくことで、より多くの人に色ずれの少ない画像を提供するようにした。
制御部には、あらかじめ上記の第3の実施形態のすべての例に必要な処理プログラムおよびデータが用意されており、この制御部に対して、使用者が、いずれの制御を用いるかを、指示入力できるように構成されている。すなわち、画像形成装置としてのプリンタAに設けられている既存の操作入力部を用いて、上記の第3の実施形態のいずれかの制御例を、使用者が選択し、この選択した制御による色ずれ低減効果が得られるようにしている。
以上のように、第4の実施形態によれば、上記した第1の実施形態ないし第3の実施形態の作用効果に加えて、像担持体としての各感光体ドラムの速度変動振幅の相対差による色ずれが少なくなり、高品質の印刷画像を提供できる。すなわち、使用者の好みに応じた色ずれの補正が可能となる。このため、画像形成装置として、形成した画像に対して個人差が生じる要望に対応することができ、高機能化や高性能化を図れる。
なお、上記の各実施形態のように、今まで説明してきたような各感光体ドラムの速度制御機構を持つ画像形成装置においては、1色の感光体ドラムにつき1つの感光体駆動モータをもつときに、どの感光体ドラムも独立して速度変動制御を行えるので、最も色ずれ低減効果を得ることができる。
すなわち、これらの各感光体ドラムのそれぞれが、専用の駆動源としての駆動モータが設けられ、これらの駆動モータを所定に制御して、各感光体ドラムが互いに独立して個別にそれぞれの回転速度を制御する速度制御機構を設けた画像形成装置では、その画像形成装置の構成としては、速度変動状態を検出した、これらの感光体ドラムのうち、いずれの感光体ドラムも自由に選定できて所定に制御できる構成なので、選定上の制約や、制御対象をどのように制御するかの制約を生じさせるもことなく、制御上の自由度を最大限に確保できる。したがって、上記にいずれかの効果を得るために、最も適切な感光体ドラムを選定でき、しかもこの選定した感光体ドラムを所定に速度変動制御することによって、その色ずれ低減効果を、最大限に発揮させることが可能となる。このため、上記の作用効果を高い効率で得ることができる。
次に、この発明の第5の実施形態を説明する。なお、上記の第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、この第5の実施形態では説明しない構成や制御、つまりプリンタの構成や感光体ドラムの変動や位相検出から位相差を所定に設定する制御を含めたその他の制御は、上記の第1実施形態と同一とし、同一の符号を付与して説明を省略する。
この第4の実施形態では、カラー用感光体ドラムを1つのモータで回転駆動させるような、1ドラム/1モータではない画像形成装置においても、モノクロ用感光体ドラムの速度変動が、カラー感光体ドラムの速度変動振幅の間に入らない場合、速度制御することで色ずれ低減の効果を得ることができるようにしている。
この第4の実施形態では、各感光体ドラムの駆動制御機構として、図28に示すように、モノクロ用感光体ドラム1Kが、そのモノクロ専用の駆動源として1つの駆動モータ31Kを設ける一方、モノクロ以外の各色用の複数の感光体ドラム1C,1M,1Yに対して、これらの駆動源として1つの駆動モータ31を設け、この駆動モータ31からの回転駆動出力が、各カラー感光体ドラム1C〜1Yに分配されて供給された構成としている。すなわち、ドラム駆動ギヤ33Mとドラム駆動ギヤ33Yとの間に、これらの両ギヤ33M,33Yの回転力を双方向に伝達可能に軸支されたアイドラギヤ37が噛合されて設けられ、同ドラム駆動ギヤ33Mとドラム駆動ギヤ33Cとの間に、これらの両ギヤ33M,33Cの回転力を双方向に伝達可能に軸支されたアイドラギヤ37が噛合されて設けられている。また駆動モータ31は、モノクロ用の駆動モータ31Kよりも大きな駆動力を出力可能なモータとされ、前記の3つの感光体ドラム1C〜1Yを同時に回転駆動できるようにしている。したがって、駆動モータ31からの回転駆動力は、まずドラム駆動ギヤ33Mに伝達されるとともに、同ドラム駆動ギヤ33Mに噛合された一方のアイドラギヤ37を介して、ドラム駆動ギヤ33Yに伝達される一方、他方のアイドラギヤ37を介して、ドラム駆動ギヤ33Cに伝達される。このため、ドラム駆動ギヤ33Mに結合されたカラー感光体ドラム1Mと、ドラム駆動ギヤ33Mに結合されたカラー感光体ドラム1Mと、ドラム駆動ギヤ33Mに結合されたカラー感光体ドラム1Mとが、互いに連係されて回転駆動される。
そして、この構成の場合には、少なくとも、モノクロ用感光体ドラム1Kの回転状態と、いずれかのカラー感光体ドラム1C〜1Yの回転状態とを所定に検出して、両者間の物理的な配置による位相差を解消するように制御したうえで、モノクロ用感光体ドラム1Kの速度変動が、カラー感光体ドラム1C〜1Yの速度変動の振幅巾内つまり1つのグループとしての上限および下限内の領域に収まるように、モノクロ用感光体ドラム1Kの駆動モータを制御するか、カラー感光体ドラム1C〜1Yの速度変動つまり前記の上限および下限が、その中央に位置した変動として、モノクロ用感光体ドラム1Kの速度変動を採るように、カラー感光体ドラム1C〜1Yの駆動モータ31を制御するかの、いずれかとされている。
したがって、以上のように、この第5の実施形態によれば、像担持体としての各感光体ドラムの速度変動振幅の相対差による色ずれが少なくなり、高品質の印刷画像を提供できる。すなわち、モノクロ用感光体ドラム専用の駆動モータと、複数のカラー感光体ドラムに駆動力を分配して供給する駆動モータとを設けた構成においても、像担持体としてモノクロ用感光体ドラムと、複数のカラー感光体ドラムとの間に生じる速度変動振幅の相対差による色ずれを減少でき、画像品質の向上を図れる。
なお、この第5の実施形態において、特にモノクロ用感光体ドラムを所定制御の対象とする場合には、上記した各実施形態のいずれかの制御手法や、データテーブルなどの構成を、適宜、適用してよく、それぞれの作用効果を得ることができる。すなわち、上記した第1の実施形態ないし第4の実施形態のいずれかの作用効果を、得るようにしてよい。また、位置検出センサ34Mは、カラー感光体ドラム1Mに結合されるドラム駆動ギヤ33Mに対応して設けたが、これに限られることなく、適宜、ドラム駆動ギヤの替わりに、ドラム駆動ギヤ33Yか駆動ギヤ33Cか、のいずれかに対応して配置してもよい。
他方、上記の各実施形態では、中間転写ベルトを有した中間転写方式の画像形成装置に適用した例を説明したが、これに限られることなく、感光体ドラムよりも大径のドラム状に形成された中間転写ドラムなどのように、中間転写ベルト以外の適宜の中間転写体を有した画像形成装置に適用してもよい。
またたとえば、中間転写ベルトの替わりに、所定の搬送方向に一定速度で用紙を搬送する搬送体としての用紙搬送ベルトを有して該用紙搬送ベルトによって搬送されてくる用紙に直接、各色のトナー像を転写する直接転写方式の画像形成装置に適用してもよい。すなわち、このベルト搬送されてくる用紙に順次、各トナー像を転写する構成の画像形成装置の場合には、用紙を搬送しない状態での用紙搬送ベルト上に、該ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置で消去可能で、かつ上記の検出や計測ができる程度に判別可能な薄いテストトナー像を作成し、このテストトナー像を所定に読み取って速度変動情報を取得すればよい。
結局、複数の像担持体である感光体ドラムを有しこれらの感光体ドラムを協調させて所定に回転させ、各感光体ドラムが形成した各像を重ね合わせた1つのトナー像を、その画像形成過程で作成する構成の画像形成装置であれば、適宜、適用してよい。