JP5167011B2 - 軸封装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シールリップを回転軸の周面に密接、摺動させて回転軸の周囲空間を軸方向にシールする軸封装置であって、特に、高圧な流体をシールするのに好適な軸封装置に関する。
カーエアコン用コンプレッサにおいては、従来使用されていた冷媒HFC134aがオゾン層破壊の原因となるものとされたため、新たにCOを冷媒とするコンプレッサが開発され、使用されつつある。しかしながら、COを冷媒として使用した場合には、HFC134aを冷媒として使用する場合と比較して、流体圧力を十数倍に高くする必要がある。そのため、このようなコンプレッサに使用されている軸封装置においては、このような高圧な流体をシールすることが求められている。
高圧な流体をシールする軸封装置としては、例えば特許文献1の密封装置が開示されている。この密封装置は、ゴム製リップ部の流体収納室側(高圧流体側)にカバー材を設置してゴム製リップ部とカバー材とにより空室部を形成するとともに、回転軸のカバー材との摺動面にポンピング作用を発揮させるスクリュー溝を形成し、これにより空室部の圧力を流体収納室よりも減圧し、ゴム製リップ部の摩耗を防ぎ耐久性を得る構成である。
特開2002−235856号公報
しかしながら、COを冷媒として使用するコンプレッサに用いる等の高圧な流体をシールする軸封装置においては、未だ性能の改善が求められている。
すなわち、高圧な流体をシールするためにはシール部が回転軸に強い圧力で密接される場合が多いが、そのような形態ではシール部と回転軸との間に十分な潤滑油が介在することができず、シール部の摩耗が大きくなり、耐久性が不十分になる。また、シール部と回転軸との圧接力を軽くすると、シール部と回転軸との間に導入される潤滑油は増大するものの、被密封流体が高圧であるがために多量の被密封流体の漏洩する可能性がある。また、前述した特許文献1に記載のような構成では、別途カバー材等を設置して空室部を構成する必要があり、装置構成が複雑になるとともに装置が大型化する可能性がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、高圧な流体であっても適切にシールすることが可能であり、シール部の摩耗が少なく耐久性の高い軸封装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の軸封装置は、ハウジングに形成された開口部を通過する円筒状回転軸と、前記開口部に装着されて前記ハウジングと前記円筒状回転軸との間をシールするシール装置であって当該円筒状回転軸の円筒状摺動面回転摺動するシールリップを有するシール装置とを有し、前記シールリップのシール面が摺接する前記円筒状回転軸の円筒状摺動面は、表面粗さの十点平均粗さが、0.5μm〜2.0μmであるように形成され、さらに、γ=(円筒状摺動面の周方向表面粗さの凹凸の平均波長)/(円筒状摺動面の軸方向表面粗さの凹凸の平均波長)、と定義される表面粗さの方向依存特性γが、0.6<γ<1.1であるように形成されていることを特徴とする。
請求項1に係る本発明の軸封装置によれば、回転軸とシール装置のシールリップとの円筒状摺接面に十分な潤滑油を導入することができ、シールリップのシール面の潤滑層の厚みを厚くしてシールリップの負荷能力を増大させることができる。その結果、高圧な流体であっても適切にシールすることが可能であり、シール部の摩耗が少なく耐久性の高い軸封装置を提供することができる。
また、円筒状回転軸の円筒状摺動面の前記表面粗さの方向依存特性γをγ<1.1であるように形成した本発明の軸封装置によれば、回転軸の摺動面の加工特性を一層適切な条件としたので、ゴムリップの摩耗を一層少なくすることができ、シール部の摩耗が一層少なく、耐久性が一層高く、高圧な流体であっても一層適切にシールすることが可能な軸封装置を提供することができる。
また、円筒状回転軸の円筒状摺動面の前記表面粗さの方向依存特性γを0.6<γ<1.1であるように形成した本発明の軸封装置によれば、回転軸の摺動面の加工特性に起因して回転軸の摺動面とシールリップのシール面との間に適切かつ十分な潤滑油を導入することができ、被密封流体の漏洩を防止しつつ潤滑層の厚みを厚くして負荷能力を増大させることができる。その結果、高圧な流体であっても一層適切にシールすることが可能であり、一層シール部の摩耗が少なく耐久性の高い軸封装置を提供することができる。
さらに、円筒状回転軸の円筒状摺動面の表面粗さの十点平均粗さを0.5μm〜2.0μmであるように形成した本発明の軸封装置によれば、回転軸の摺動面の加工特性を適切な条件としたので、ゴムリップの摩耗を一層少なくすることができ、シール部の摩耗が一層少なく、耐久性が一層高く、高圧な流体であっても一層適切にシールすることが可能な軸封装置を提供することができる。
本発明の軸封装置の一実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
本実施形態においては、カーエアコンのコンプレッサに適用して好適な軸封装置を例示して本発明を説明する。
図1は、その軸封装置1の構成を示す半断面図である。
図1に示すように、軸封装置1は、コンプレッサのハウジング2に設けられた開口3に装着され、その開口3を通過する回転軸10とハウジング2との間を回転軸10の軸方向にシールする。図1においては、図面左側が大気側空間A(大気側A)であり、図面右側が冷媒が封入されたコンプレッサ内部側空間B(高圧流体側B)である。コンプレッサ内部側空間Bには、高圧なCOが冷媒として封入されており、軸封装置1は、この高圧な冷媒(高圧流体)が回転軸10の周囲から漏洩するのを防止する。なお、コンプレッサ内部側空間Bに封入される流体は、潤滑油を含んでいる。
図1に示すように、軸封装置1は、回転軸10及びシール装置30を有する。
まず、シール装置30の構成について説明する。
シール装置30は、嵌着部31、補強環33、背板リング34、支持環35、第1シールリップ40及び第2シールリップ50を有する。
シール装置30の最外周部には、ハウジング2の開口3に嵌着するゴム材製の嵌着部31が設けられている。嵌着部31の外周面には、凸状のシール部分32が形成されている。嵌着部31には、補強環33が埋設されており、この補強環33により、シール装置30はハウジング2に強固に嵌着されるともに、第2シールリップ50、背板リング34等の接合部品が嵌着部31に保持される。
補強環33を介して、ゴム材製のシールリップ(第1シールリップ)40が、嵌着部31の内周側から、高圧流体側に延伸するとともに回転軸10に向かって傾斜した筒状に形成されている。シールリップ40の内端には、リップ部41が形成されており、このリップ部41の内側角部がシール面42に形成されている。シール面42は、回転軸10の外周面に密接し、回転軸10の周囲空間を大気側Aと高圧流体側Bとに密封分離する。
また、第1シールリップ40のリップ部41の付け根部分の内周側は、円筒内面から断面なめらかに折り曲げられて傾斜したテーパ面43に形成されている。
第1シールリップ40の嵌着部31近傍の大気側からテーパ面43の内周側にかけては、第1シールリップ40の面に沿ってほぼ第1シールリップ40と同様な形状の金属材製の支持環35が設けられている。この支持環35の外周側の環状部分(外周支持部)36は、嵌着部31に挟持されている。
支持環35の内周端は傾斜支持部37に形成されている。この傾斜支持部37は、第1シールリップ40のリップ部41のテーパ面43と圧入嵌合するように構成されている。この傾斜支持部37がテーパ面43に圧入されることにより、リップ部41が所定の寸法だけ拡径される。また、支持環35の内端部は、回転軸10の径方向に屈曲されて、回転軸10に接触しない程度の内径のリング部分38に形成されている。
この支持環35は、一端がフランジ状で中間が円筒状に形成されている。そして、支持環35は、第1シールリップ40が被密封流体の圧力を受けても変形しない耐圧性を有する厚さに形成されている。
支持環35大気側内周面には、樹脂材製の第2シールリップ50が設けられている。この第2シールリップ50は、外周側が径方向を成すリング状の挟持部51に形成されており、内周が挟持部51から傾斜したリップ部52に形成されている。そして、リップ部52の内端側が回転軸10に圧入嵌合して筒状を成し、その内周側がシール面53として回転軸10の外周面に密接し、回転軸10をシールする。
支持環35の外周支持部36と第2シールリップ50の挟持部51との大気側には、外周支持部36及び挟持部51を大気側から支持する背板リング34が設けられている。この背板リング34は金属製で内端が第2シールリップ50の折曲部を支持するように曲部に形成されている。
また、支持環35の外周支持部36と、第2シールリップ50の挟持部51と、背板リング34とは、補強環33により圧着されるようにして嵌着部31に挟持されている。そして、補強環33は嵌着部31のゴムにより覆われている。
このような構成のシール装置30が回転軸10に装着されて、ハウジング2の開口3に嵌合、装着される。
回転軸10は、前述したようにハウジング2の開口3を通過して高圧流体側Bと大気側Aとを連通するように配設される。回転軸10の開口3の通過部分には、回転軸10の外周とハウジング2との間を封止するように前述したシール装置30が配設される。そして、シール装置30においては、回転軸10の外周面に対して、シール装置30の第1シールリップ40のリップ部41のシール面42、及び、第2シールリップ50のリップ部52のシール面53が摺動可能に密接し、その箇所において回転軸10の周囲空間を軸方向に封止(シール)する。
本実施形態の軸封装置1において、回転軸10の外周のシール装置30の第1シールリップ40のシール面42が密接される円筒状摺動面12は、次のような2つの表面粗さ特性の条件を満たすように形成される。
第1の条件は、円筒状摺動面12の表面粗さ(凹凸)の山の深さの範囲に係る条件である。具体的には、摺動面12の十点平均粗さが0.5μm〜2.0μmの範囲にあるという条件である。
第2の条件は、円筒状摺動面12の表面粗さ(凹凸)の山の波長の方向依存性に係る条件である。具体的には、円筒状摺動面12の表面粗さ(凹凸)の山の波長に係る特性を平均波長RSmで表す時に、回転軸10の円筒状摺動面12の回転方向に平行な方向(周方向)の表面の凹凸(粗さ)の山の平均波長と、回転軸10の円筒状摺動面12の回転方向に垂直な方向(軸方向)の表面の凹凸の山の平均波長とを比較し、それらの平均波長が略等しいか、あるいは、回転軸10の周方向における円筒状摺動面の表面の凹凸(粗さ)の山の平均波長の方が大きいという条件である。すなわち、この摺動面12の表面粗さの方向依存性を表す特性値として、次式(1)のような値γに定義する。
γ=(円筒状摺動面の周方向表面粗さの凹凸の平均波長)/(円筒状摺動面の軸方向表面粗さの凹凸の平均波長) …(1)
そして、この特性値γが、γ<1.3を満たすように、より好適には、γ<1.1を満たすように、さらに好適には、γ>0.6を満たすように、摺動面12を形成するというのが第2の条件である。
以下、これらの条件の根拠、及び、回転軸10の摺動面12をそのような条件とした時の作用について説明する。
前述の摺動面12の表面粗さの方向依存特性を示す特性値γは、模式的に表すと例えば図2に示すような摺動面12の表面特性を示すものである。
すなわち、γ>1というのは、回転軸10の表面において表面の粗さ(凹凸)の平均波長が軸方向よりも周方向の方が大きいことを意味し、例えば図2(A)に模式的に示すように、軸方向よりも周方向の方が長めの凹凸が多く存在している状態である。
また、γ=1というのは、回転軸10の表面において表面の粗さ(凹凸)の平均波長が周方向と軸方向でほぼ等しいことを意味し、例えば図2(B)に模式的に示すように、軸方向長さも周方向長さもほぼ同じ長さの凹凸が主に存在している状態である。
また、γ<1というのは、回転軸10の表面において表面の粗さ(凹凸)の平均波長が周方向よりも軸方向の方が大きいことを意味し、例えば図2(C)に模式的に示すように、方向よりも方向の方が長めの凹凸が多く存在している状態である。
なお、このような表面状態は、例えば回転軸10の加工時の最終仕上げ工程の方法によって変化し、換言すれば最終仕上げ工程をどのようにするかによって、所望の状態に加工することができる。
γが1より十分大きい値となる(図では単にγ>1と示す。)図2(A)に示す表面状態は、現在行われている通常の研磨仕上げを行った場合の状態に相当する。また、γが1に近い値となる(図では単にγ=1と示す。)図2(B)に示す表面状態は、いわゆるショット仕上げを施した場合の状態に相当する。また、γが1より十分小さい値となる(図では単にγ<1と示す。)図2(C)に示すような表面状態になる仕上げを、ここでは強制軸方向仕上げと称するものとする。
このような回転軸10の円筒状摺動面12の表面粗さの波長による方向依存性は、回転軸10の円筒状摺動面12と第1シールリップ40のシール面42との間への潤滑流体の導入作用に影響を及ぼすものである。すなわち、摺動面12の表面加工において、回転方向に平行な方向(周方向)の加工に基づく周方向表面粗さの波長に対して回転方向に垂直な方向(軸方向)の加工に基づく軸方向表面粗さの波長が大である場合、円筒状摺動面12に導入される潤滑流体の量が多くなり、その結果潤滑流体の層の厚みが厚くなり、第1シールリップ40のシール面42の負荷能力が向上することになる。
摺動面の表面粗さの方向依存性に関するこの作用は、平均流モデルの考え方として、下記の文献1)〜3)等おいて一般的に知られている。
1)Patir, N. & Cheng H., Trans. ASME, F Vol.101 (1979)220-230
2)Cheng, H., Proc. of the JSLE ITC 1885
3)日経メカニカル, 1990. 12.24, 85-86
この平均流モデルの考え方は、すべり軸受け面への潤滑油の導入に関するものであって、軸回転によりすべり軸受け面に潤滑油が導入されるが、回転方向に平行な加工と直角な加工とでその油膜厚さが変化し、直角な加工の方が油膜は厚くなり、その負荷能力が大きくなるというものである。
本実施形態の軸封装置1においては、コンプレッサ内部側空間Bに潤滑油を含む流体が封入されており、コンプレッサの作動とともに回転軸10が回転し、回転軸10の摺動面12と第1シールリップ40のシール面42との間にその潤滑油が導入される。この際、回転軸10の摺動面12の表面粗さの方向依存性が、前述の特性値γにおいて、γが1に近いか、略1であるか、あるいは、γ<1であれば、導入された潤滑油により形成される油膜の厚みが厚くなり、その結果、軸封装置1の負荷能力が向上する。
本実施形態の軸封装置1においては、このような特性に基づいて、前述したように、回転軸10の摺動面12の表面粗さは十点平均粗さで0.5μm〜2.0μmであり、表面粗さの方向依存性はγ<1.3あるいはγ<1.1、若しくはγ>0.6という数値範囲を規定する。
この数値範囲の根拠は、次のような検証実験に基づくものである。
まず第1に、摺動面12の表面粗さの方向依存性の特性値γと、ゴムリップ(シール面42)の摩耗深さとの関係を実験により調べた。結果を図3に示す。図3は、摺動面12の表面粗さ(軸粗さ)を示す十点平均粗さRzが1.0μmの時の、摺動面12の表面粗さの方向依存性の特性値γとゴムリップの摩耗深さとの関係を示す図である。なお、実験では、表面粗さの方向依存性の特性値γが、通常の研磨仕上げ軸であるγ=1.7、ほぼショット仕上げ軸であるγ=1.3、ショット仕上げ軸であるγ=1.1、及び、強制軸方向仕上げ軸であるγ=0.6の各条件において、ゴムリップの摩耗深さを実際に計測した。なお、実験条件は、摺動面12の回転数Nは9,000rpm、高圧側の流体圧力Pは5MPa、リップ部41の近傍温度Tは130℃、実験時間tは=20時間である。
図3から明らかな様に、表面粗さの方向依存性の特性値γが1.7の通常の研磨仕上げ軸と比べて、γ=1.3であるほぼショット仕上げである軸、γ=1.1であるショット仕上げ軸、及び、γ=0.6である強制軸方向仕上げ軸は、明らかにゴムリップ(リップ部41のシール面42)の摩耗が少ないことがわかる。換言すれば、表面粗さの方向依存性の特性値γがγ<1.3であれば、ゴムリップの摩耗は明らかに少なくなっており好ましい状態となっている。また、さらに、γ<1.1であれば、ゴムリップの摩耗はほぼ最小値レベルとなっており、一層好ましい状態となっている。
第2に、摺動面12の表面粗さの方向依存性の特性値γと、潤滑油の漏れ量との関係を実験により調べた。結果を図4に示す。図4は、摺動面12の表面粗さ(軸粗さ)を示す十点平均粗さRzが2.0μmの時の、摺動面12の表面粗さの方向依存性の特性値γと潤滑油の漏れ量との関係を示す図である。なお、実験では、表面粗さの方向依存性の特性値γが、通常の研磨仕上げ軸であるγ=1.7、ショット仕上げ軸であるγ=1.1、及び、強制軸方向仕上げ軸であるγ=0.6の各条件において、潤滑油の漏れ量を実際に調べた。なお、実験条件は、摺動面12の回転数Nは2,000rpm、高圧側の流体圧力Pは4MPa、リップ部41の近傍温度Tは80℃、実験時間tは=100時間である。
図4から明らかな様に、表面粗さの方向依存性の特性値γが1.7の通常の研磨仕上げ軸と比べて、γ=1.1であるショット仕上げ軸、及び、γ=0.6である強制軸方向仕上げ軸は、潤滑油の漏れ量が多くなっていることがわかる。一方で、表面粗さの方向依存性の特性値γが、γ>0.6であれば潤滑油の漏れ量は過度に多くなってはおらず、また、γ>0.8であれば潤滑油の漏れ量は適度の量となっている。従って、摺動面をショット仕上げ軸あるいは強制軸方向仕上げ軸とする場合において、γ>0.6であれば、より好ましくはγ>0.8であれば、潤滑油の漏れ量は適度な量に維持されることとなり、被密封流体の漏洩を防止しつつ油膜の厚さを適度に増大させることができ、第1シールリップ40のリップ部41のシール面42におけるシール負荷能力を適切に増大させることができる。
また第3に、摺動面12の表面粗さ(軸粗さ)を示す十点平均粗さRzと、ゴムリップ(シール面42)の摩耗深さとの関係を実験により調べた。結果を図5に示す。図5は、摺動面の表面粗さの方向依存性の特性値γが1.0の時の、摺動面12の表面粗さ(軸粗さ)を示す十点平均粗さRzとゴムリップの摩耗深さとの関係を示す図である。なお、実験条件は、摺動面12の回転数Nは9,000rpm、高圧側の流体圧力Pは5MPa、リップ部41の近傍温度Tは130℃、実験時間tは=20時間である。
図5から明らかな様に、摺動面12の表面粗さ(軸粗さ)を示す十点平均粗さRzが0.5μm〜2.0μmであれば、ゴムリップ(リップ部41のシール面42)の摩耗深さはほぼ0.3mm以下となっており、明らかに少ないことがわかる。
図3〜図5を参照して明らかなように、摺動面に存在する潤滑油の量を増やしゴムリップの摩耗を少なくする点から、摺動面の表面粗さの方向依存性の特性値γは、γ<1.3であることが好ましく、より好適には、γ<1.1であることが好ましい。
また、潤滑油の油漏れ量を少なくする点から、摺動面の表面粗さの方向依存性の特性値γは、γ>0.6であることが好ましく、より好適には、γ>0.8であることが好ましい。
また、ゴムリップの摩耗を少なくする点から、摺動面の表面粗さ(十点平均粗さ)Rzは、0.5μm〜2.0μmであることが好ましい。
このように、本実施形態の軸封装置1においては、回転軸10の摺動面12の表面粗さの方向依存性γは、γ<1.3、より好ましくはγ<1.1に表面加工されているので、γ=1.7程度である現行の研磨仕上げ軸を使用する場合と比較して、回転軸の摺動面とシールリップのシール面との間に十分な潤滑油を導入することができ、潤滑層の厚みを厚くして負荷能力を増大させることができる。その結果、高圧な流体であっても適切にシールすることが可能であり、シール部の摩耗が少なく耐久性の高い軸封装置1を提供することができる。
また、本実施形態の軸封装置1においては、回転軸10の摺動面12の表面粗さの方向依存性γは、γ>0.6、より好ましくはγ>0.8に表面加工されているので、γ=1.7程度である現行の研磨仕上げ軸を使用する場合と比較して、潤滑油の過度な漏れを防ぎながら、適度な漏れ量を確保することができる。その結果、油膜の厚さが適度に増大させることができ、第1シールリップ40のリップ部41のシール面42におけるシール負荷能力を増大させることができる。これにより第1シールリップ40のリップ部41の摩耗も減少させることができ、シール性能が高く耐久性の高い軸封装置1を提供することができる。
さらにまた、本実施形態の軸封装置1においては、回転軸10の摺動面12の表面粗さ(十点平均粗さ)Rzは、0.5μm〜2.0μmの範囲に表面加工されているので、この点においてもゴムリップの摩耗を少なくすることができ、耐久性の高い軸封装置1を提供することができる。
なお、本実施形態の軸封装置1において、嵌着部31あるいはゴムリップ等に使用するゴム材料としては、例えばHNBR等を用いてよい。
また、支持環35等に使用する金属材料としては、SUS,鋼等を用いてよい。
なお、前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって本発明を何ら限定するものではない。本実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含み、また任意好適な種々の改変が可能である。
例えば、本実施形態の軸封装置1においては、第1シールリップ40と第2シールリップ50とを有する軸封装置1において、回転軸10の、第1シールリップ40のシール面42が密接して摺動する摺動面12に対してのみ、前述のような本発明に係る条件の表面加工を施した。しかしながら、回転軸10の、第2シールリップ50のリップ部52のシール面53が密接して摺動する摺動面に対しても、表面粗さの十点平均粗さは0.5μm〜2.0μm、表面粗さの方向依存性はγ<1.3あるいはγ<1.1、さらにγ>0.6等の条件の表面加工を施してもよい。
また、本実施形態においては、第1シールリップ40のシール面42は回転軸10の外周面に直接に密接する構成であったので、回転軸10の摺動面12の表面加工の条件を規定したが、回転軸10のシール装置30の装着部の外周に、カバー、カラーあるいはスレーブ等の円筒状の部材を装着するような構成の軸封装置1においては、そのような円筒状部材の外周表面を、前述したような表面粗さの十点平均粗さが0.5μm〜2.0μm、表面粗さの方向依存性はγ<1.3あるいはγ<1.1、さらにγ>0.6等の条件で表面加工を施してもよい。
そのような構成においては、本願発明の軸封装置の構成としては、回転軸を含まず、回転軸に装着するそのような円筒状部材を含むものとなるものである。
図1は、本発明の一実施形態の軸封装置の構成を示す図である。 図2は、回転軸の摺動面の表面粗さの方向依存特性の説明をするための図である。 図3は、図1に示す軸封装置の回転軸の摺動面の表面粗さの方向依存性の特性値γとシール面の摩耗深さとの関係を示す図である。 図4は、図1に示す軸封装置の回転軸の摺動面の表面粗さの方向依存性の特性値γと潤滑油の漏れ量との関係を示す図である。 図5は、図1に示す軸封装置の回転軸の摺動面の表面粗さ(十点平均粗さ)とシール面の摩耗深さとの関係を示す図である。
符号の説明
1…軸封装置
10…回転軸
12…摺動面
30…シール装置
31…嵌着部
32…シール部分
33…補強環
34…背板リング
35…支持環
36…外周支持部
37…傾斜支持部
38…リング部分
40…第1シールリップ
41…リップ部
42…シール面
43…テーパ面
50…第2シールリップ
51…挟持部
52…リップ部
53…シール面

Claims (1)

  1. ハウジングに形成された開口部を通過する円筒状回転軸と、
    前記開口部に装着されて前記ハウジングと前記円筒状回転軸との間をシールするシール装置であって当該円筒状回転軸の円筒状摺動面回転摺動するシールリップを有するシール装置とを有し、
    前記シールリップのシール面が摺接する前記円筒状回転軸の円筒状摺動面は、
    表面粗さの十点平均粗さが、0.5μm〜2.0μmであるように形成され、
    さらに
    γ=(円筒状摺動面の周方向表面粗さの凹凸の平均波長)/(円筒状摺動面の軸方向表面粗さの凹凸の平均波長)、
    と定義される表面粗さの方向依存特性γが、0.6<γ<1.1であるように形成されている
    ことを特徴とする軸封装置。
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