JP5163687B2 - 感光性導電ペースト、それを用いた積層型電子部品の製造方法、および積層型電子部品 - Google Patents
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Description
1)感光性セラミックペーストの塗布・乾燥による塗布膜の形成、
2)上記塗布膜への露光・現像によるビアホール用貫通凹部の形成、
3)上記塗布膜上への、感光性導電ペーストの塗布・乾燥による全面導体膜の形成、
4)上記全面導体膜への選択的な露光・現像による所定形状の導体膜の形成、
5)上記1)〜4)の工程の繰り返しによる積層体の形成、
6)上記積層体の焼成
(a)導電性を有する金属成分粒子
(b)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体
(c)光反応性化合物
(d)光重合開始剤
を含有し、さらに金属酸化物、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物から選択される微粒子を添加してなる焼成用感光性導電ペーストが提案されている(特許文献2参照)。そして、この焼成用感光性導電ペーストを用いることにより、100μm以下の微細な導体パターンを、セラミック基板上に、容易に形成することが可能になるとされている。
また、一般的な導電ペーストにおいて用いられている金属成分粒子には、金属成分粒子の凝集を防ぐ目的で、有機成分による表面処理が施されているため、焼成中に金属成分粒子の表面の有機成分が燃焼し、二酸化炭素ガスや一酸化炭素ガスが発生する。そして、絶縁層中にガラス成分が含まれているような場合に、ガラス成分が軟化した状態で導体層(電極)中の金属成分粒子から二酸化炭素ガスや一酸化炭素ガスが発生すると、絶縁層と導体層との間のデラミネーションの発生や、絶縁層への空隙や気泡の発生による絶縁性の低下などを招くという問題点がある。
導電性を有する金属成分粒子と、酸性官能基を有する樹脂と、光反応性有機成分とを含有する感光性導電ペーストであって、
(a)前記金属成分粒子の中心粒径が1.5〜5.0μmであり、
(b)前記金属成分粒子の中心粒径と、前記金属成分粒子の結晶子径の比(中心粒径/結晶子径)が35〜90であるとともに、
(c)前記金属成分粒子に含まれる有機成分量が0.10重量%以下であり、かつ、
前記金属成分粒子がAg粒子であること
を特徴としている。
1)アクリル系共重合体の側鎖のカルボキシル基に、これと反応可能な、例えばエポキシ基等の官能基を有するアクリル系モノマーを付加する。
2)側鎖のカルボキシル基の代わりにエポキシ基が導入されてなる前記アクリル系共重合体に、不飽和モノカルボン酸を反応させた後、さらに飽和または不飽和多価カルボン酸無水物を導入する。
さらに、アクリル系共重合体の側鎖に長鎖アルキル基を導入することで、ポリマーの凝集エネルギーをコントロールし、未露光部分をアルカリ現像液で除去して電極パターンを形成するときに、未露光部分が除去されやすくすることができる。こうすることで、金属成分の残渣が残りにくくなり、焼成後のショート不良をより確実に防止できる。
1)カルボキシル基に長鎖アルキルグリシジル化合物を付加する。
2)エチレン性不飽和化合物のエステル部を長鎖アルキルにする。
1)不飽和基などの反応性官能基を有するモノマーやオリゴマーと、芳香族カルボニル化合物などの光ラジカル発生剤の混合物
2)芳香族ビスアジドとホルムアルデヒドの縮合体などのいわゆるジアゾ樹脂
3)エポキシ化合物などの付加重合性化合物とジアリルヨウドニウム塩などの光酸発生剤の混合物
4)ナフトキノンジアジド系化合物
などが挙げられる。
また、前記光ラジカル発生剤としては、ベンジル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルジメチルケタール、2−n−ブトキシ−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3、3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2、4−ジメチルチオキサントン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2、2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォルメート、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
本発明の積層型電子部品の製造方法により製造された積層型電子部品であって、
前記感光性導電性ペーストを焼成することにより形成された導体層からなる内部導体が、前記絶縁性無機成分と前記感光性を有する有機成分とを含む前記絶縁層を焼成することにより形成された焼結絶縁層を介して積層された構造を有していること
を特徴としている。
また、本発明の感光性導電ペーストにおいては、上述の特許文献1の導電ペーストで添加されているような、金属酸化物、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物などの結合成分や共材などを添加する必要がないので、電気抵抗の低い導体層を得ることができる。
さらに、金属成分粒子として、有機成分量が0.10重量%以下の金属成分粒子を用いるようにしているので、焼成中に金属成分粒子から発生する燃焼ガスが少なく、絶縁層中に空隙や気泡が発生することを抑制することができる。
(1)金属成分粒子の用意
まず、金属成分粒子として、本発明の要件を備えたAg粉末(表1のAg粉末A,B,C,およびD)を用意した。
また、比較のために、本発明の要件を備えていないAg粉末(表1のAg粉末E,F,G,H,I,J)を用意した。
さらに、比較用のAg粉末IおよびJは、金属成分粒子の有機成分量が本発明の範囲を超えているAg粉末であり、400〜1000℃に加熱した場合における二酸化炭素ガスおよび一酸化炭素ガスの発生量(CO2およびCOの分圧)が1.0×10-6Pa以上のAg粉末である。
(a)使用装置:TG/MS(NETZSCH製)
(b)昇温範囲:常温〜1000℃
(c)昇温速度:20℃/min
(d)測定試料重量:100mg
(e)測定雰囲気:He(流量150ml/min)
(f)試料容器(セル)材質:Al2O3
(a)使用装置:HPT−TDS(理学電機製)
(b)昇温範囲:常温〜1000℃
(c)昇温速度:30℃/min
(d)測定試料重量:1mg
加熱方法:間接加熱法(試料をAl2O3セル内に置きPt筒で覆い、間接的 に加熱する方法
加熱温度の測定:試料容器下部(Pt筒内)の温度を熱電対で測定
また、中心粒径は、レーザー回折式粒度分析計(日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布計URA)にて計測した値である。
さらに、金属成分粒子の中心粒径と、金属成分粒子の結晶子径の比である中心粒径/結晶子径は、同一単位に換算した場合の中心粒径の値を結晶子径の値で除した値である。
なお、表1における金属成分粒子の体積(体積%)は、焼成前の導体層に占める金属成分粒子の割合(体積%)を示している。
表2の各原材料を、表2記載の割合で配合し、十分に混合することにより感光性樹脂を作製した。
それから上記(1)で用意した金属成分粒子と、上記(2)で作製した感光性樹脂と、分散剤と、沈降防止剤とを下記の割合で配合して、感光性導電ペーストを作製した。
(a)金属成分粒子:71.4〜90.0重量部
(b)感光性樹脂 :9.6〜28.2重量部
(c)分散剤 :0.2重量部
(d)沈降防止剤 :0.2重量部
また、感光性樹脂は、金属成分粒子と感光性樹脂との合計量が99.6重量部(金属成分粒子+感光性樹脂=99.6重量部)となるような割合で配合した。
絶縁層形成用材料として、各原料を下記の割合で配合し、3本ロールで十分に混合することにより、ガラス粉末とセラミック粉末(骨材)とを含む感光性ガラスペーストを作製した。
(a)ポリマー(メタクリル酸とメタリル酸メチルの共重合体):28重量部
(b)モノマー(EO変性トリメチロールプロパンアクリレート):12重量部
(c)光重合開始剤(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン):2重量部
(d)溶剤(ペンタメチレングリコール):0.6重量部
(e)有機染料(オイルイエロー(商品名、オリエント化学工業株式会社製)):1重量部
(f)添加剤(消泡剤):1重量部
(g)ガラス粉末(Si−B−K系ガラス、ガラス軟化点790℃):34重量部
(f)セラミック骨材(アルミナ):21.4重量部
上述のようにして作製した感光性導電ペーストおよび感光性ガラスペーストを用いて、以下に説明する方法で多層配線回路チップ(積層型電子部品)を作製した。以下、図1および図2を参照しつつ、多層配線回路チップ(積層型電子部品)の製造方法について説明する。
(b)次に、上述のようにして作製した外層11(11a)上に、膜厚が約10μmとなるように、感光性導電ペーストをスクリーン印刷し、乾燥した後、露光、現像して1層目の導体層(コイルパターン)12(12a)を形成する。
(c)さらに、形成した1層目の導体層(コイルパターン)12(12a)と、その周囲の外層11(11a)上に、膜厚15μm程度で感光性ガラスペーストを、スクリーン印刷により印刷(全面印刷)して1層目の感光性ガラスペースト層(絶縁層)13(13a)を形成する。
それから、この感光性ガラスペースト層(絶縁層)13(13a)を、選択的に露光、現像して、所定の位置にビアホール14(14a)を形成する。
(d)その後、膜厚が約10μmとなるように、スクリーン印刷により感光性導電ペーストを全面印刷し、乾燥する。続いて選択的に露光、現像を行って、2層目のコイルパターン(導体層)12(12b)を形成する。
(e)さらに、導体層12と、その周囲の絶縁層外層13上に、感光性ガラスペーストの印刷、ビアホール14(14b)の形成を行って2層目の絶縁層13(13b)を形成する。
(f)次に、上記(d)と同様の方法で、第3層目の導体層12(12c)を形成する。
(g)その後、上記(e)の工程およびそれに続く上記(f)の工程を繰り返して、所定の層数になるまで、所定の位置にビアホール14を備えた感光性ガラスペースト層(絶縁層)13とコイルパターン(導体層)12とを形成する。
(h)それから、その上に、上記(a)と同様に方法で、感光性ガラスペーストをスクリーン印刷し、乾燥した後、全面露光することにより、厚み約150μmの絶縁層である外層11(11b)を形成する。これにより、コイルパターン(導体層)12がビアホール14を介して層間接続されることにより形成されたコイル20を内部に有する配線回路基板30が得られる。
これにより、図2に示すように、コイル20(図1参照)を内部に有するセラミック積層体30aの両端部に、該コイルの両端部と導通する一対の外部電極21a,21bが配設された構造を有する多層配線回路チップ(積層型電子部品)50が得られる。なお、この多層配線回路チップ(積層型電子部品)は、所定の面に方向性確認マーク22を備えている。
上述のようにして作製した各試料(多層配線回路チップ)について、デラミネーション発生率、気孔率、および抵抗率を以下の方法で測定し、特性を評価した。
デラミネーション発生率(%)は、試料を100個観察し、導体層と絶縁層間でデラミネーションが発生した試料の個数を計測し、下記の式により求めた。
デラミネーション発生率(%)={デラミネーションが発生した試料の個数/全試料数(100個)}×100
気孔率(%)を測定するにあたっては、走査型レーザー顕微鏡(1LM21、レーザーテック株式会社製、倍率50倍)で観察される視野をパーソナルコンピューターに取り込み、絶縁層における、気孔部の面積とガラス・セラミック部の面積を明暗2値化して計測した。そして、下記の式で気孔率を求めた。
気孔率(%)={絶縁層の観察料域の気孔部の面積/絶縁層の観察領域の全面積}×100
抵抗率は、アルミナ基板上に線幅100〜500μmの配線を形成し、デジタルボルトメーターにてシート抵抗を測定した。さらに、Ag電極の配線幅、膜厚などの寸法から抵抗率を計算した。
また、電極寸法の測定には走査型レーザー顕微鏡(1LM21、レーザーテック株式会社製、倍率20倍)を用いた。
その結果を表3に示す。
なお、理解を容易にするために、表3には、表1に示している金属成分粒子の条件などを併せて示している。
(a)金属成分粒子の中心粒径が1.5〜5.0μmであり、
(b)金属成分粒子の中心粒径と、金属成分粒子の結晶子径の比(中心粒径/結晶子径)が35〜90であるとともに、
(c)金属成分粒子に含まれる有機成分量が0.10重量%以下である
という本発明の要件を備えた本発明の実施例にかかる試料の場合、導体層と絶縁層の間でデラミネーションが発生しないこと、導体層の抵抗率が2.5μΩ・cm以下と低いことが確認された。
また、金属成分粒子に含まれる有機成分量が0.10重量%以下と少ないため、絶縁層中の気孔率が1%未満になり、十分な絶縁性能を備えていることが確認された。
なお、絶縁層中の気孔率が1%を超えると、絶縁層の絶縁性が低下し、絶縁不良の発生率が増加するため、好ましくない。
焼成前の導体層(すなわち、感光性導電ペーストを塗布、乾燥し、露光、現像することにより形成された導体層)に占める金属成分粒子の割合を30〜60体積%とすることにより、十分な光硬化性を確保しつつ、焼成時の収縮による断線や亀裂のない導体層(導体パターン)を形成することができることが確認されている。
また、焼成前の導電層中に占める金属成分粒子の割合が30体積%未満になると焼成時の収縮による断線や亀裂が生じやすいこと、焼成前の導電層中の金属成分粒子の体積が60体積%を超えると感光性有機成分量が不足し、十分な光硬化が得られなくなることが確認されている。
12(12a,12b) コイルパターン(導体層)
13(13a,13b) 絶縁層
14 ビアホール
20 配線回路基板
21a,21b 外部電極
22 方向確認マーク
30 セラミック積層体
50 配線回路チップ(積層型電子部品)
Claims (7)
- 導電性を有する金属成分粒子と、酸性官能基を有する樹脂と、光反応性有機成分とを含有する感光性導電ペーストであって、
(a)前記金属成分粒子の中心粒径が1.5〜5.0μmであり、
(b)前記金属成分粒子の中心粒径と、前記金属成分粒子の結晶子径の比(中心粒径/結晶子径)が35〜90であるとともに、
(c)前記金属成分粒子に含まれる有機成分量が0.10重量%以下であり、かつ、
前記金属成分粒子がAg粒子であること
を特徴とする前記感光性導電ペースト。 - 請求項1記載の前記感光性導電ペーストを用いて形成した導体層と、絶縁性無機成分と感光性を有する有機成分とを含む絶縁層とを備えた積層体を一体焼成する工程を備えていることを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
- 焼成前の前記導体層に占める前記金属成分粒子の割合が30〜60体積%であることを特徴とする請求項2記載の積層型電子部品の製造方法。
- 前記絶縁性無機成分が、ガラス粉末とセラミック粉末とを主成分として含む材料であることを特徴とする請求項2または3記載の積層型電子部品の製造方法。
- 焼成前の前記導体層に占める金属成分粒子の割合(体積%)と、焼成前の前記絶縁層に占める絶縁性無機成分の割合(体積%)の差が7体積%以下であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
- 前記絶縁層中のガラス粉末の、ガラス軟化点が600℃以上であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
- 請求項2〜6のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法により製造された積層型電子部品であって、
前記感光性導電性ペーストを焼成することにより形成された導体層からなる内部導体が、前記絶縁性無機成分と前記感光性を有する有機成分とを含む前記絶縁層を焼成することにより形成された焼結絶縁層を介して積層された構造を有していること
を特徴とする積層型電子部品。
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