JP5163086B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式でカラー画像を得る記録装置においては、基本三原色をそれぞれの画像情報に応じて現像し、これらのトナー像を順次重ね合わせることでカラー画像を得ている。具体的な装置構成としては、画像形成の方法によって潜像形成された一つの感光体ドラムに各色ごとに現像し、それらを転写部材に転写することを繰り返してカラー画像を得る所謂4サイクル機、あるいは各色の画像形成手段ごとに感光体ドラム、現像装置を具備して転写部材が移動することにより順次連続してトナー像を転写してカラー画像を得るタンデム機などが知られている。
これらは少なくとも、各色ごとに複数の現像装置を持つことで共通している。そのため、通常のカラー画像形成では三原色に黒色を加えた4つの現像装置が必要であり、さらにタンデム機ではそれぞれの4つの現像装置に応じて4つの感光体ドラムが必要であり、それら4つの画像形成手段の同期を整合する手段が必要になるなど、装置の大型化やコストの増大は避けられないものとなっている。
これに対し、光による発色情報の付与により発色又は非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いて、単一の現像装置でカラー画像を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これらの技術では、像保持体上にトナー像を形成した後に、トナー像に該トナーを発色させるために光を照射している。
特開2003−330228号公報
本発明の課題は、光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するトナーの色味変化を抑制して画像形成がなされる画像形成装置を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するトナーを用いる画像形成装置であって、
像保持体と、前記トナーを予め貯留するとともに、該トナーによって該像保持体上にトナー像を形成する現像手段と、前記画像データ中の色成分情報に基づいて、発色対象の色又は非発色対象の色に対応して予め定められた波長の光を前記トナー像に露光することにより該トナー像を構成するトナーに発色情報を付与する発色情報付与手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写されたトナー像を熱及び圧力の何れか一方又は双方により前記記録媒体に定着する定着手段と、前記記録媒体に転写されたトナー像に熱を加えることにより、前記トナー像を構成する各トナーを前記発色情報付与手段によって露光された光の波長に応じた色又は該光の波長に応じた色以外の色に発色させる発色手段と、を備える画像形成手段と、
前記発色情報付与手段による発色情報を付与する前の前記トナーの温度を検知するトナー温度検知手段と、
前記発色情報付与手段による発色情報を付与するときの前記トナーの温度を調整するトナー温度調整手段と、
前記トナー温度検知手段の検知結果に基づいて、前記発色情報付与手段による発色情報を付与するときの前記トナーの温度が所定範囲となるよう前記トナー温度調整手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に係る発明は、
前記制御手段が、さらに、前記トナー温度検知手段の検知結果に基づいて、画像形成を許可又は禁止するよう前記画像形成手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に係る発明は、
画像形成装置本体に脱着され、前記現像手段を少なくとも備えるプロセスカートリッジ及び前記トナーを収納するトナーカートリッジの少なくとも1方と、
前記プロセスカートリッジ又は前記トナーカートリッジの外面に設けられ、付与された熱に応じて色が変化する示温材と、
前記示温材の色変化を検知する色検知手段と、
を備え、
前記制御手段が、さらに、前記色検知手段の検知結果に基づいて、画像形成を許可又は禁止するよう前記画像形成手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項4に係る発明は
前期発色手段により発色させたトナーの状態を検知するトナー状態検知手段を備え、
前記制御手段が、さらに、前記トナー状態検知手段の検知結果に基づいて、画像形成を続行又は停止するよう前記画像形成手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、光による発色情報の付与により発色又は非発色の状態を維持するトナーの色味変化を抑制して画像形成がなされる。
請求項2に係る発明によれば、光による発色情報の付与により発色又は非発色の状態を維持するトナーが熱履歴により所望の色へ発色し難い状態となった場合に、不適切な画像が形成されることが抑制される。
請求項3に係る発明によれば、トナーが収容されるプロセスカートリッジやトナーカートリッジに対する熱履歴により所望の色へ発色し難いトナーとなった場合に、不適切な画像が形成されることが抑制される。
請求項4に係る発明によれば、発色させたトナーの色味が変化した場合でも、それ以降、不適切な画像が形成されることが抑制される。
図1は実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。本実施形態に係る画像形成装置は、光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するトナーを用い、電子写真方式を応用してカラー画像を得るものである。
この画像形成装置10は、通常の電子写真プロセスに用いる感光体(像保持体)11を備えている。感光体11の周りには、帯電装置12、露光装置14、現像装置16、温度検知センサ17(トナー温度検知手段)、発色情報付与装置28、転写装置18、及びクリーナ20が、感光体11の回転方向に沿ってこの順に設けられている。転写装置18の下流側には、定着装置22が設けられている。定着装置22はトナー像を発色させる発色装置を兼ねている。また、定着装置22の下流側にはトナーの発色を固定化するために記録媒体26への光照射を行う発色固定装置24が設けられている。また、発色固定装置24の光照射後のトナーの状態を検知するトナー状態検知センサ25(トナー状態検知手段)が設けられている。
上記の画像形成装置では、各装置が以下のように動作して画像を形成する。帯電装置12は、感光体11の表面を一様に帯電させる。露光装置14は、帯電装置12によって帯電された感光体11上を露光して静電潜像を形成する。現像装置16は、感光体11上の静電潜像を上記トナーによって現像して静電潜像に応じたトナー像を形成する。発色情報付与装置28は、特定波長領域の光をトナー像に照射して発色情報を付与する。
この発色情報の付与としての、トナー像を構成するトナーへの特定波長領域の光の照射では、トナー像を複数の領域に分割した各領域(例えば、各画素に対応する領域)に存在するトナーに対して行われ、該各領域のトナーが発色情報を付与された後に加熱されたときに、形成対象の画像の対応する領域(各画素)の色に発色するように、各領域に応じて特定波長の光を照射する。
次に、転写装置18が感光体11上のトナー像Tを記録媒体26に転写する。定着装置22は、記録媒体26上にトナー像を定着させると共に、トナーに熱を加えて発色させる。発色固定装置24は、記録媒体26に光を照射して、記録媒体26上のトナーの発色を固定化する。なお、クリーナ20は、転写後の感光体11上の残留トナーや紙粉等の異物を感光体11表面から除去する。
また、本実施形態に係る画像形成装置10には、画像形成装置の各装置の動作を制御するシステム制御部30を備えている。更に、上記の画像形成装置には、ユーザに各種の情報を表示し、ユーザが各種の情報を入力するための表示入力部32と、外部から画像データや画像形成指示情報を取得する情報取得部34と、が設けられている。表示入力部32としては、例えば、タッチパネル等が挙げられる。情報取得部34としては、例えば、パラレルポート、シリアルポート、有線又は無線によりネットワークに接続可能なネットワークポート等がある。
なお、本実施形態に係る画像形成装置では、現像装置16、転写装置18との間に発色情報付与装置28を設けているが、転写装置18と定着装置22との間に発色情報付与装置28を設けることもできる。この場合には、記録媒体26に転写されたトナー像に、特定波長領域の光を照射して発色情報を付与する。
また、発色情報付与装置28を感光体11の内部に配置して、発色情報付与のための露光を、感光体11の内側から行うこともできる。発色情報付与装置28を感光体11の内部に配置することで、装置全体をよりコンパクト化できる。いわゆる背面露光である。
また、本実施形態に係る画像形成装置では、いわゆる電子写真プロセスで現像トナー像を形成する例について説明しているが、現像トナー像の形成方法はこれに制限されない。電子写真プロセスの外に、像保持体としての誘電体上にイオンなどで静電潜像を形成するプロセス(イオノグラフィ)、液体現像、インクジェット、印刷など、いかなる方法で現像トナー像を形成してもよい。
ここで、本実施形態において、帯電装置12、露光装置14、及び現像装置16が「現像手段」に相当する。また、感光体11、帯電装置12、露光装置14、現像装置16、発色情報付与装置28、転写装置18、クリーナ20、定着装置22(兼発色装置)、及び発色固定装置24の画像形成プロセスに関わる装置全体が「画像形成手段」に相当する。
以下、画像形成装置の主要装置の構成を詳細に説明する。
(感光体)
最初に背面露光で使用される感光体(透明感光体)について説明する。
感光体11は、導電性基材の上に、単層又は多層の感光層が形成されたものである。また、感光体11としては、発色情報付与装置28からの露光光に対し、実質的に透明であれば公知のいかなるものも用いることができる。
導電性基材としては、例えばドラム状、シート状、プレート状等の形状を有するガラス、PETなどの基材上にITOをスパッタしたもの、ITO微粉末をバインダーに分散させ塗布したもの、導電性高分子を塗布したものなどの透明導電層を形成したものが挙げられる。
前記感光層としては、Se、a−Si等の無機感光層、又は有機感光層を設けることができる。また、多層の感光層を形成する場合には、感光層の層構成としては、組成の異なる複数の層を含有する層構成が好ましい。例えば、電荷発生層、電荷輸送層、保護層といった積層構造にすると、それぞれの層がそれぞれの機能を満たせば良いという機能分離ができるため、より高い機能を実現できる。
また、入射した発色情報付与光の散乱をより起こさせ、トナーに十分な情報光を付与するために、金属酸化物やフッ素樹脂粒子等の有機粒子などの粒径が数十ナノメーターから数ミクロンのものを感光層に分散させることが好ましい。ただし、前記のように感光層を光が通過しトナーまでも露光することが必要とされるので、光透過性のよいものがよい。透過性の目安としては、感光層そのもので透過率が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
背面露光でないケースで使用される感光体11は、導電性基材が非透明の金属等の部材であればよい。感光層の構成は上記の透明感光体と同様である。
また、感光体11には、発色情報付与装置28によって発色情報を付与するための光が照射されるが、発色情報を付与するための露光は、通常の潜像形成のための露光よりかなり強い強度で行われる。具体的には、発色情報付与に供する光のエネルギー量は、通常の電子写真プロセスに使用される感光体への光量(2mJ/m)の約1000倍程度必要である。このため、発色情報の付与による感光体11へのダメージが心配されるが、例えば、感光体11の電荷発生層の光感度を従来の1/1000とすれば、バランスが取れるので問題とはならない。
なお、感光層の厚みは、前記透過性(透明感光体の場合)と、経時による膜減りと、を勘案した帯電電位に耐えられる絶縁性から決められ、おおよそ5μm以上50μm以下の範囲が好ましい。
また、感光体11がベルト状である場合には、透明基体としてPET、PC等の透明樹脂が使用でき、透明基材を必要としないときは、ニッケル等の金属やポリイミドアミド等の樹脂が使用でき、その厚みはベルト状感光体を張架するロールの径、張力等の設計事項から決められ、おおよそ10μm以上500μm以下程度の範囲である。その他の層構成等はドラムの場合と同様である。
更に、感光体11の表面には、次工程における発色情報付与のための露光による感光体11の劣化を防止する機能を持たせることが好ましい。具体的には、感光層の表面に潜像形成のための露光光のみ透過し、発色情報付与のための露光光を反射する若しくは吸収する表面層を設けることが有効である。該表面層としては、ダイクロイックミラーコート(反射)、光吸収物質を分散したシャープカットフィルター(吸収)などを挙げることができる。
一方、イオノグラフィによりトナー像を形成する場合は、感光体11の代わりに誘電体を用いる。誘電体層としては、PET、PC等の透明プラスチックを用いたものを使用することができる。基材は上記の感光体11と同様である。
また、感光体11の内部には、感光体11の表面温度を調整(即ち感光体11の表面温度を通じて発色情報付与装置による発色情報を付与するときのトナーの温度を調整)するために、感光体11を加熱する加熱ヒータ11A(トナー温度調整手段)が配設されている。加熱ヒータ11Aとしては、公知の熱源、例えば、ハロゲンヒータ、赤外線ヒータなどが採用される。加熱ヒータ11Aの形状も特に制限はないが、本実施形態では、内部から感光体11全体を効率よく加熱できる点から、面状ヒータを採用している。
(帯電装置)
帯電装置12は、感光体11の表面を一様に帯電させる。帯電装置12としては公知の帯電手段が使用できる。接触方式である場合は、ロール、ブラシ、磁気ブラシ、ブレード等が使用でき、非接触の場合は、コロトロン、スコロトロン等が使用できる。帯電手段としてはこれらに限られるものではない。
これらの中でも、帯電補償能力に優れ、オゾンの発生が少ない点で接触型帯電器が好ましく用いられる。接触帯電方式は、感光体表面に接触させた帯電部材に電圧を印加することにより感光体表面を帯電させるものである。帯電部材の形状はブラシ状、ブレード状、あるいはロール状等何れでもよいが、特にロール状部材が好ましい。通常、ロール状部材は外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層と芯材から構成される。さらに必要に応じて、抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
これらの帯電部材を用いて感光体11を帯電させる方法としては、帯電部材に電圧を印加するが、印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好ましい。電圧の範囲としては、直流のみで帯電させる場合は、絶対値で所望の表面電位+500V程度の正又は負が好ましく、その値は、100V〜1500Vが好ましく、より好ましくは100〜1000Vである。
交流電圧を重畳する場合は、その直流値はおおよそ所望の表面電位±50V程度とし、交流のピーク間電圧(Vpp)が400〜1800V、好ましくは800〜1600V、交流電圧の周波数は50〜20000Hz、好ましくは100〜5000Hzであり、サイン波、方形波、三角波がいずれも使用可能である。また、帯電電位は、電位の絶対値で150〜1000Vの範囲に設定することが好ましい。
(露光装置)
露光装置14は、帯電装置12によって帯電された感光体11上を露光して静電潜像を形成する。静電潜像の形成には公知の露光装置14が使用できる。露光装置14としては、例えば、ROS(Raster Output Scanner;ラスター出力走査装置)を用いたレーザスキャニングシステム、LEDイメージバーシステム、アナログ露光手段、さらにはイオン流制御ヘッド等などを用いることができる。図1における矢印Aのように、露光装置14の光源(図示せず)から感光体11表面に、ビームを照射して露光を行うことが可能である。これ以外にも今後開発される新規な露光手段が本発明の効果を達成する限り使用できる。
露光装置14で露光を行う場合の露光光の波長としては、感光体11の分光感度領域にあるものが使用される。感光体11の感光層としては、発色情報付与のための露光光の波長域に対して、ほとんど吸収のないものが用いられる。このため、静電潜像の形成のための露光には、感光体11の吸収波長域に合わせた波長域の光が用いられる。例えば、感光体11の吸収波長域を700nm以上とすると、露光光として780nmの半導体レーザを用いることが好ましい。
感光体11に対する露光は、反転現像の場合は後述するトナーを現像する位置に、正規現像の場合はトナーを現像する以外の位置に、前記4つの色の画像形成情報の論理和として行なわれる。露光スポット径は、解像度が600dpi〜1200dpiの範囲となるように、40μm〜80μmの範囲となるようにすることが好ましい。
露光光量としては、感光体11上の露光された領域の電位(露光後電位)が、帯電電位の5%以上30%以下程度の範囲となるようにすることが好ましい。露光光量を調整することによって、感光体11上へのトナーの現像量を調整することができ、トナー像の付着量を調整することができる。また、露光位置ごとの必要な付着量に応じて露光光量を変化させることによって、トナーの現像量を変化させることができる。
一方、前記イオノグラフィの場合には、イオン書込みヘッドにより像保持体上に潜像を形成する(イオン書き込み工程)。イオン書込みヘッドとしては、例えば、イオン流を画像信号によりOn/Off制御するもの(特開平4−122654号公報)や、イオン流の発生そのものをOn/Off制御するもの(特開平6−99610号公報)などを用いることができる。なお、この方式の場合、像保持体としては誘電体のみでなく感光体も使用することが可能である。
(現像装置)
現像装置16は、感光体11上の静電潜像をトナーによって現像して静電潜像に応じた現像トナー像を形成する。
現像装置16としては公知の現像手段が使用できる。現像法としては、キャリアと呼ばれるトナーを担持するための微小粒子とトナーからなる二成分現像法、又はトナーのみからなる一成分現像法、またこれらの現像法においてさらに現像その他の特性改善のために別の構成物質が添加される場合もある全ての現像方法が使用できる。
また、現像方法によっては感光体11へ現像剤が接触又は非接触で現像を行なうもののいずれもが使用可能である。さらに、前記一成分現像法と二成分現像法とを組み合わせたハイブリッド現像方法も使用可能である。これ以外にも、今後開発される新規な現像手段が本発明の効果を達成する限り使用できる。
なお、前記現像剤に含まれるトナーとしては、例えばY色に発色可能な発色部(Y発色部)、M色に発色可能な発色部(M発色部)及びC色に発色可能な発色部(C発色部)を1つのトナー粒子中に含むものであってもよいし、前記Y発色部、M発色部、C発色部を各々トナーごとに別々に含むものであってもよい。
トナー現像量(感光体に付着させるトナー付着量)としては、形成する画像によっても異なるが、べた画像において3.5〜8.0g/mの範囲とすることが好ましく、4.0〜6.0g/mの範囲とすることがより好ましい。
また、形成された現像トナー像において、後述する発色情報付与のための光が、当該照射された部分全体に行き渡らなければならないため、トナー層厚は一定以下に抑えることが好ましい。具体的には、例えばべた画像においてトナー層は3層以下であることが好ましく、2層以下であることがより好ましい。なお、上記トナー層厚は、実際の感光体11表面に形成されたトナー層の厚さを測定し、これをトナーの個数平均粒径で除した値である。
一方、本実施形態では、現像装置16は、現像装置16のトナー収容部に補充用トナーを補充するためのトナーカートリッジ15が連結されている。このトナーカートリッジ15は、補充用トナーを随時補充する目的で、画像形成装置本体から脱着されうるようカートリッジ化されている。また、本実施形態では、現像装置16自身も、画像形成装置本体から脱着されうるようカートリッジ化されている。このカートリッジ化した現像装置16は、所謂プロセスカートリッジである。本実施形態では、プロセスカートリッジとして現像装置16をカートリッジ化した形態を説明するが、これに限られず、例えば、現像装置16と他の部材(例えば、感光体11、帯電装置12、クリーナ20等)とを一体化してカートリッジ化したプロセスカートリッジであってもよい。
また、プロセスカートリッジとしての現像装置16とトナーカートリッジ15の外面には、付与された熱に応じて色が変化する示温材19A,19Bがそれぞれ配設されている。この示温材19A,19Bは、例えば、所定以上の温度が付与されたとき、可逆的又は非可逆的に色が変化する部材である。特に、示温材19A,19Bは、所定以上の温度が付与されたとき非可逆的に色が変化する部材であると、一度でも保管時など過去に部材(各カートリッジ)が受けた場合、その熱履歴が認識される。示温材19A,19Bは、シート状(ラベル状)のものを貼り付けた配設してもよいし、塗料状のものを塗布して配設してもよい。
このような示温材19A,19Bとしては、例えば、日油技研工業株式会社製「サーモラベル」シリーズ、同社製「サーモペイント」シリーズ等などが挙げられる。また、示温材19A,19Bは、1種のみ配設して、1つの温度を基準として熱履歴を示す形態であってもよいし、2種を配設して、2つの温度を基準としてその範囲での熱履歴を示す形態あってもよい。無論、2種以上であってもよい。なお、示温材19A,19Bには、種々のものが市販されており、それらを組み合わせてもよい。具体的に、例えば、各カートリッジ(収容されるトナー)に受けた温度が80度を超えたときに発色不良が生じる場合、80度を境に非可逆的に色が変化する示温剤(日油技研工業株式会社製「サーモラベル1K−80」)を1種を配設し、各カートリッジ、即ちそれに収容されているトナーに対し当該所定温度を超えた熱を受けたか否かが示される。
そして、各カートリッジが画像形成装置本体へ装着されたとき、示温材19A,19Bと対向して、示温材19A,19Bの色を検知する色検知センサ21A、21Bがそれぞれ配設されている。この色検知センサ21A、21Bは、示温材19A,19Bの色を検知し、予め示温材19A,19Bの色変化前の色を基準として、色変化した否かを判別するためのセンサである。この色検知センサ21A、21Bとしては、例えば、キーエンス社製デジタルカラー判別センサ(CZ−10、CZ−11、CZ−40、CZ−41等)が採用される。
(温度検知センサ)
温度検知センサ17は、感光体11の表面温度を計測し、感光体11の表面温度を通じで、発色情報付与のための露光をするときのトナーの温度を検知するセンサである。本実施形態では、感光体11の表面温度を通じでトナーの温度を検知する形態を説明するが、温度検知センサ17により、トナー像を構成するトナーの温度を直接検知する形態であってもよい。
温度検知センサ17は、現像装置16と発色情報付与装置28との間に設けることが、精度良く、トナーが発色情報付与のために露光される直前の感光体11(トナー)の温度を計測されることから、この形態が好適である。しかし、これに限られず、他の配置位置であってもよい。
温度検知センサ17としては、サーミスタ、熱電対、赤外温度計などが用いられるが、感光体11表面の温度を計測することから、非接触方式の赤外温度計が好適である。また、感光体11の非画像形成領域であれば、温度検知センサ17として接触方式のサーミスタ、熱電対も採用される。
(発色情報付与装置)
発色情報付与装置28は、特定波長領域の光を現像トナー像に照射して発色情報を付与する。発色情報付与装置28としては、発色情報付与時に、発色させるトナー粒子が特定色に発色するための波長の光を所定の解像度と強度とで照射することができる露光手段であればよく、公知の露光手段を使用することもできる。
発色情報付与装置28は、画像データ中の色成分情報に基づいて、発色対象の色に対応して予め定められた波長の光を出射する光源を含んで構成されている。本実施の形態では、発色情報付与装置28は、イエロー発色部を発色させる発色情報を付与する光源と、マゼンタ発色部を発色させる発色情報を付与する光源と、シアン発色部を発色させる発色情報を付与する光源と、を含んで構成されている。
各光源から出射された光を、感光体11上に形成された現像トナー像を構成する各トナーに照射することにより、各トナーに発色情報が付与される。即ち。各光源から出射された光により、現像トナー像を複数領域に分割した(例えば、ドット毎に分割した)各領域に位置するトナーに、画像データの色に発色するように発色情報が付与される。
発色情報付与装置28としては、例えば、ROSを用いたレーザスキャニングシステム、LEDイメージバーシステム等などを用いることができる。図1における矢印Bのように、発色情報付与装置28の光源(図示せず)から感光体11表面に、ビームを照射して露光を行うことが可能である。これ以外にも今後開発される新規な露光手段が本実施形態の効果を達成する限り使用できる。
現像トナー像に照射される光の照射スポット径は、形成される画像の解像度が100〜2400dpiの範囲となるよう、10〜300μmの範囲となるように調整されることが好ましく、20〜200μmの範囲とすることがより好ましい。
発色あるいは非発色状態維持のために供される光(発色情報付与のための露光)の波長は、トナーが吸収する波長域である必要があるため使用されるトナーの材料設計により決まるが、例えば、特定波長の光照射により発色するトナー(光発色型トナー)を用いる場合、イエロー(Y色)に発色させるときは405nmの光(λy光とする)を、マゼンタ(M色)に発色させるときは535nmの光(λm光とする)を、シアン(C色)に発色させるときは657nmの光(λc光とする)を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。
また、光発色型トナーで二次色に発色させる時には、前記光の組み合わせになり、レッド(R色)に発色させる時はλy光及びλm光を、グリーン(G色)に発色させる時はλy光及びλc光を、ブルー(B色)に発色させる時はλm光及びλc光を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。さらに、三次色であるブラック(K色)に発色させるときは上記λy光、λm光及びλc光をその発色させる所望の位置に重ねて照射する。
一方、特定波長の光照射により非発色状態を維持するトナー(光非発色型トナー)の場合には、例えば、イエロー(Y色)を発色させないようにするときは405nmの光(λy光)を、マゼンタ(M色)に発色させないようにするときは535nmの光(λm光)を、シアン(C色)に発色させないようにするときは657nmの光(λc光)を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。したがって、Y色に発色させる時はλm光及びλc光を、M色に発色させる時はλy光及びλc光を、C色に発色させる時はλy光及びλm光を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射することとなる。
また、光非発色型トナーで二次色に発色させる時には、前記光の組み合わせになり、レッド(R色)に発色させる時はλc光を、グリーン(G色)に発色させる時はλm光を、ブルー(B色)に発色させる時はλy光を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。さらに、三次色であるブラック(K色)に発色させるときはその発色させる所望の位置には露光しないようにする。
発色情報付与装置28からの光は、必要に応じてパルス巾変調、強度変調、左記2つを組み合わせたものなど、公知の画像変調方法が使用可能である。また、光の露光量は0.05〜0.8mJ/cmの範囲とすることが好ましく、0.1〜0.6mJ/cmの範囲とすることがより好ましい。特にこの露光量に関しては、必要露光量は現像されたトナーの量と相関があり、例えば、トナー現像量(べた)が約5.5g/mに対し0.2〜0.4mJ/mの範囲の露光を行うことが好ましい。
(転写装置)
転写装置18は、感光体11上のトナー像を記録媒体26に転写する。発色情報を与えられたトナーは、その後一括して記録媒体26に転写される。供給部(図示せず)から供給された記録媒体26が、搬送ロール(図示せず)等によって感光体11と転写装置18とによって挟持される位置まで搬送され、感光体11と転写装置18とによって挟持搬送されることで、感光体11上のトナー像は記録媒体26に転写される。
転写装置18としては公知の転写手段が使用できる。例えば、接触方式である場合は、ロール、ブラシ、ブレード等が使用でき、非接触方式の場合は、コロトロン、スコロトロン、ピンコロトロン等が使用できる。また、圧力、若しくは圧力及び熱による転写も可能である。転写バイアスは300〜1000V(絶対値)の範囲とすることが好ましく、さらに交流(Vpp:400V〜4kV、400〜3kHz)を重畳してもよい。
(定着装置)
定着装置22は、トナー像を発色させる発色手段を兼ねており、記録媒体26上にトナー像を定着させると共に、トナーに熱を加えて発色させる。発色(あるいは非発色状態維持)可能な状態におかれた前記トナー像は、記録媒体26が定着装置22によって加熱されることで発色がなされる。
定着装置22としては公知の定着手段が使用できる。例えば、加熱部材及び加圧部材としてロール、ベルトのそれぞれが選択可能であり、熱源としては、ハロゲンランプ、IH等が使用可能である。その配置も、種々の紙パス、例えばストレートパス、リアCパス、フロントCパス、Sパス、サイドCパス等に対応可能である。
なお、本実施形態に係る画像形成装置では、定着装置22が発色手段と定着手段とを兼ねているが、発色装置は定着装置と別に設けられていてもよい。発色工程を実施するための発色装置を配置する位置は特に制限されない。例えば、定着装置22によって記録媒体26上にトナー像が定着される前に、トナー像を発色させることが可能な位置に配置することができる。
発色の方法については、トナー粒子の発色メカニズムに応じて様々の方法が考えられるため、発色装置(発色手段)としては、例えばさらに異なる波長の光を用いてトナー中に発色関与物質を硬化させ、あるいは光分解させるなどの方法で発色をさせ、又は制限する方法では特定光の発光装置、加圧してカプセル化した発色粒子を破壊するなどの方法で発色をさせ、又は制限する方法では加圧装置、などを用いることができる。
しかしながら、発色をさせるこうした化学的な反応は、一般的に泳動、拡散による反応速度が遅いため、上記いずれの方法をとるにしても充分な拡散エネルギーを与える必要があり、そういった点で加熱して反応を促す方法が最も優れているといえる。このため、前記発色手段と定着手段とを兼ねる定着装置22を用いることが好ましい。
(発色固定装置)
発色固定装置24は、トナーの発色を固定化するために記録媒体26への光照射を行う。この光照射により発色不可能な状態に制御された発色部中に残存する反応性物質を分解又は失活させることができるため、画像形成後のカラーバランスの変動をより確実に抑制したり、バックグランド色の除去・漂白を行ったりすることができる。
発色固定装置24としては、トナーの発色をこれ以上進めないようにすることができれば特に制限されず、公知のランプ、例えば、蛍光灯、LED、EL等が使用できる。また、照射光の波長は前記トナーを発色させるための光に三波長を含み、照度は2000〜200000luxの範囲程度とすることが好ましく、露光時間は0.5〜60secの範囲とすることが好ましい。
なお、本実施形態に係る画像形成装置では、発色固定装置24は定着装置22の下流側に設けられているが、加熱溶融しない定着方法、例えば圧力を用いて定着させる圧力定着などの場合は、発色固定装置24を定着装置22の上流側に設けることもできる。また、発色固定装置24を省略してもよい。
(トナー状態検知センサ)
トナー状態検知センサ25は、発色固定装置24の光照射後、つまりトナーの発色の固定化後のトナーの状態を検知するセンサである。ここで、トナーの状態を検知とは、色固定後のトナーの色や光沢を検知することを意味する、この、トナー状態検知センサ25は、色固定後のトナーの色や光沢を検知し、取得した画像データに基づき予定される発色や光沢を基準に、所望の発色がなされているか否か、所望の光沢が出ているか否か等をするためのセンサである。
このトナー状態検知センサ25としては、キーエンス社製デジタルカラー判別センサ(CZ−10、CZ−11、CZ−40、CZ−41等)、同社製光沢判別センサ(CZ−H35、CZ−H35S、CZ−H37S、CZ−H52、CZ−H72等)が採用される。例えば、デジタルカラー判別センサを採用する場合、色固定後のトナーの発色を検知し、取得した画像データを基準として、色固定後のトナーの所望の発色がなされているか否かが判別される。また、光沢判別センサを採用する場合、色固定後のトナーの光沢度合いを検知し、取得した画像データを基準として、所望の光沢が出ているか否かが判別される。この所望の光沢が出ているか否かは、所望の色の発色がなされると、得られるトナー画像の光沢度合いが異なることに基づくものである。本実施形態では、トナー状態検知センサ25して、デジタルカラー判別センサを採用している。
(システム制御部)
本実施形態に係る画像形成装置10は、さらに、画像形成装置10全体を制御するためのシステム制御部30を含んで構成されている。システム制御部30は、各装置や各センサにデータや信号授受可能に接続されると共に、画像形成装置10に設けられた図示を省略した各種機器に信号授受可能に接続されている。
具体的には、例えば、システム制御部30は、図2に示すように、変換回路40、論理和回路42、発色制御回路44、記憶部48、及び制御部46を含んで構成されている。
上記変換回路40、発色制御回路44、記憶部48、露光装置14、発色情報付与装置28、温度検知センサ17、色検知センサ21A、21B、トナー状態検知センサ25は、各々制御部46にデータや信号を授受可能に接続されている。無論、図2では、図示しないが、帯電装置12、現像装置16、定着装置22、発色固定装置24などその他の装置も、制御部46にデータや信号を授受可能に接続されている。
記憶部48は、例えば、後述する処理ルーチン、各種データ(例えば、示温材19A,19Bの色変化前の色情報、取得した画像データに基づくトナーが発色するべき色情報等)を記憶する。制御部46は、画像形成装置10に含まれる装置各部を制御する。
変換回路40は、例えば、図示を省略するパーソナルコンピュータ等の外部装置から通信部(図示省略)を介して入力された、画像形成装置10で形成する画像の画像データがRGBデータの場合には、YMCデータに変換すると共に、変換した各色データを、記録媒体26に記録したときの画像の各画素の画素データ(Y画素データ、M画素データ、C画素データ)として論理和回路42に出力する。
論理和回路42では、変換回路40に画素データが入力されると、CMYの論理和を各色の画素毎に計算し、露光装置14に出力する。すなわち、CMYの全ての画素データを含む論理和データが、露光装置14に出力される。
ここで、各画素データには、YMCの各色を示す情報が含まれている。露光装置14は、入力された論理和のデータに基づいて、感光体11表面を露光する。
変換回路40から論理和回路42に出力されるYMCの画素データは、発色制御回路44にも出力される。発色制御回路44は、マゼンタ色の発色を制御するためのマゼンタ発色制御回路44M、シアン色の発色を制御するためのシアン発色制御回路44C、イエロー色の発色を制御するためのイエロー発色制御回路44Y、を含んで構成されている。
マゼンタ発色制御回路44M、シアン発色制御回路44C、イエロー発色制御回路44Y各々に入力された、M画素データ、C画素データ、Y画素データは、制御部46の制御によって、発色情報付与装置28に出力される。
ここで、上述のように、各画素データには、YMCの各色を示す情報が含まれている。発色情報付与装置28は、入力された各色の画素データに基づいて、各画素の色に応じた波長の光を感光体11表面へ照射する。
このように本実施形態に係る画像形成装置10では、制御部46の制御によって、感光体上に画像データに応じた静電潜像が形成されると共に、静電潜像が形成された各トナーに発色情報付与がなされるよう構成されている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置10の制御部46で実行される処理について説明する
例えば、パーソナルコンピュータ等の外部装置から情報取得部34を介して入力された、画像形成装置10で形成する画像の画像データを取得すると、例えば図3に示す処理ルーチンが実行されステップ100へ進む。
ステップ100では、現像装置16の示温材19Aに対向配置された色検知センサ21Aを駆動し、当該示温材19Aの色を検知する。そして、ステップ102に進む。ステップ102では、色検知センサ21Aによる検出結果により、現像装置16の示温材19Aの色が変化していないと判断すると、ステップ104へ進む。一方、現像装置16の示温材19Aの色が変化していると判断すると、ステップ118に進んで画像形成を禁止すると共に、ステップ120へ進み画像形成を禁止することを表示入力部32に表示して処理を終了する。
ステップ104では、トナーカートリッジ15の示温材19Bに対向配置された色検知センサ21Bを駆動し、当該示温材19Bの色を検知する。そして、ステップ106に進む。ステップ106では、色検知センサ21Bによる検出結果により、トナーカートリッジ15の示温材19Bの色が変化していないと判断すると、ステップ108へ進む。一方、現像装置16の示温材19Bの色が変化していると判断すると、ステップ118に進んで画像形成を禁止すると共に、ステップ120へ進み画像形成を禁止することを表示入力部32に表示して処理を終了する。
ここで、示温材19A,19Bの色が変化しているか否かの判断は、色検知センサ21A、21Bで計測された色情報と、記憶部48に予め記憶された示温材19A,19Bの色変化前の色情報と、を比較し、両者の色情報が一致したときは、色変化していないと判断し、異なるときは、色変化が生じたと判断する。なお、色変化していないと判断は、両者の色情報の完全一致に限られず、許容幅を持たせてもよい。
ステップ108では、感光体11に対向配置させた温度検知センサ17を駆動し、感光体11の表面温度を検知し、ステップ110へ進む。
ステップ110では、温度検知センサ17の検知結果により、感光体11の表面温度判定を行う。感光体11の表面温度が所定範囲の上限値を超えたと判断すると、ステップ118に進んで画像形成を禁止すると共に、ステップ120へ進み画像形成を禁止することを表示入力部32に表示して処理を終了する。一方、温度検知センサ17の検知結果により、感光体11の表面温度が所定範囲の下限値を下回ったと判断すると、ステップ122に進んで加熱ヒータ11Aを所定時間(例えば5秒以上30秒)駆動して、感光体11を加熱し、ステップ108へ戻る。これらの判断以外、即ち、感光体11の表面温度が所定範囲の範囲内であると判断すると、ステップ112へ進む。
ステップ112では、画像形成プロセスを開始(許可)し、画像形成プロセスに関わる各装置を駆動し、感光体11へ帯電、潜像形成、トナー像形成、トナー像への発色情報付与、トナー像の記録媒体への転写、転写されたトナー像の定着・発色、及びトナー像の発色の固定化を順次実行し、記録媒体に画像を形成する。そして、ステップ114へ進む。
ステップ114では、トナー状態検知センサ25を駆動し、記録媒体に形成された画像状態(トナー像の状態)を検知する。具体的には、本実施形態では、トナー状態検知センサ25としてデジタルカラー判別センサを適用し、記録媒体に形成されトナー像の色を検知する。そして、ステップ116へ進む。
ステップ116では、トナー状態検知センサ25による検知結果により、トナー状態検知センサ25による検出結果により、記録媒体に形成されトナー像が所望の色を呈していると、即ち所望のトナーの状態であると判断がなされると処理を終了する。一方、記録媒体に形成されトナー像が所望の色を呈していないと、即ち所望のトナーの状態でないと判断がなされると、ステップ124に進んで画像形成を停止すると共に、ステップ126へ進み画像形成を停止することを表示入力部32に表示して処理を終了する。なお、画像形成の停止は、例えば、所定の枚数(1〜5枚)の出力後、行われる。
ここで、記録媒体に形成されトナー像が所望の色を呈してるか否かの判断(即ち所望のトナーの状態であるか否かの判断)は、トナー状態検知センサ25(デジタルカラー判別センサ)で計測された色情報と、記憶部48に記憶された取得した画像データに基づく色情報と、を比較し、両者の色情報が一致したときは、記録媒体に形成されトナー像が所望の色を呈してると判断(即ち所望のトナーの状態であると判断)し、異なるときは、記録媒体に形成されトナー像が所望の色を呈していないと判断(即ち所望のトナーの状態でないと判断)する。なお、記録媒体に形成されトナー像が所望の色を呈してると判断(即ち所望のトナーの状態であると判断)は、両者の色情報の完全一致に限られず、許容幅を持たせてもよい。
以上説明した本実施形態に係る画像形成装置10では、制御部46により、トナーの温度が所定範囲の状態で、トナー像へ発色情報付与手段による発色情報を付与がなされることから、色味変化を抑制して画像形成がなされる。これは、本実施形態に使用される、光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するトナーは、発色情報付与装置28による発色情報を付与がなされるときの温度に応じて、色味が変化することに基づくものである。つまり、当該トナーは、所定範囲(例えば、0℃以上90℃以下、好ましくは10℃以上80℃以下)において発色情報付与装置28による発色情報を付与がなされると発色又は非発色が良好になされる。
ここで、詳細には後述するが、光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するトナーは、隔離された状態の互いに反応した際に発色する2成分(第1成分及び第2成分)を利用して発色・非発色を制御するトナーである。このため、所定範囲の下限値を下回った状態で発色情報付与装置28による発色情報を付与がなされると、2成分がトナー中で移動難くなることから、発色しなかったり、うっすらとしか発色しなかったりすると考えられる。一方、所定範囲の上限値を上回った発色情報付与装置28による発色情報を付与がなされると、熱運動のために発色のために反応するべき領域に成分がトナー中を移動してしまい、意図しない色(例えば七色(レインボー色))へ発色してしまうと考えられる。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置10では、トナーの色味変化を抑制して画像形成がなされる。
特に、本実施形態では、一度でも、トナーへ所定範囲の上限値を上回った熱が付与されると、熱運度のために発色のために反応するべき領域に成分がトナー中を移動してしまい、意図する色へ発色し難くなることから、制御部46により、トナーの温度(本実施液形態では感光体11表面の温度)が所定値の上限値を上回ったときには、画像形成を禁止している。このため、光による発色情報の付与により発色又は非発色の状態を維持するトナーが熱履歴により所望の色へ発色し難い状態となった場合に、不適切な画像が形成されることが抑制される。
なお、本実施形態では、感光体11の表面温度を通じてトナーの温度を検知する形態であることから、特に、環境温度に起因するトナーの色味変化が抑制される。一方、温度検知センサ17によりトナーの温度を直接検知する形態であれば、粒子間の衝突摩擦などによる自己発熱に起因するトナーの色味変化も抑制される。
また、本実施形態では、プロセスカートリッジとしての現像装置16やトナーカートリッジが、上記所定値の上限値を上回る温度が付与されたとき、制御部46により、示温材19A,19Bの色変化を検知し、画像形成を禁止している。このため、トナーが収容されるプロセスカートリッジ(現像装置16)やトナーカートリッジ15に対する熱履歴により所望の色へ発色し難いトナーとなった場合に、不適切な画像が形成されることが抑制される。
なお、プロセスカートリッジとしての現像装置16やトナーカートリッジを画像形成装置本体へ装着前に、ユーザが目視にて示温材19A,19Bの色変化を確認し、色変化が生じているものに代えて色変化が生じていない他のものを装着することで、トナーが収容されるプロセスカートリッジ(現像装置16)やトナーカートリッジ15に対する熱履歴により所望の色へ発色し難いトナーとなった場合に、不適切な画像が形成されることが抑制される。
また、本実施形態では、トナーの発色を固定化後のトナーの状態を検知し、所定のトナー状態が得られていないとき(本実施形態では所定の発色がなされていないとき)、画像形成を停止している。このため、発色させたトナーの色味が変化してる場合でも、それ以降、不適切な画像が形成されることが抑制される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置10に用いられるトナーについて説明する。当該トナーは、光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するように制御されるトナーである。
トナーは、例えばトナーの1粒1粒が異なる波長の光で露光されると、該波長に応じた色に発色可能な状態を維持する、あるいは発色しない(非発色)状態を維持する機能を有している。すなわち、トナーがその内部に光による発色情報の付与により発色可能な発色性物質(さらにはこれを含む発色部)を有しており、前記光による発色情報の付与により、トナーが発色可能な状態又は非発色可能な状態を維持するように制御されるものである。
ここで、前記「光による発色情報の付与」とは、トナー像を構成する個々のトナー粒子単位で発色/非発色状態や発色した際の色調を制御するために、トナー像の所望の領域に対して選択的に1種類以上の特定波長の光を付与する、あるいは、何らの光を付与しないことを意味する。
光の露光により発色情報が付与されると、トナー像を構成する各トナーは、露光された波長の光に応じた色に発色可能な状態を維持、又は露光された波長の光に応じた色を発色しない非発色の状態を維持した状態となる。
トナーは、発色性物質として、互いに反応した際に発色する2種類の反応性成分(第1の成分及び第2の成分と称する)と、この発色性物質を含む発色部(詳細後述)と、を少なくとも含んで構成され、光による発色情報の付与により発色可能な状態又は非発色の状態に維持された後に、熱が加えられることにより発色する。
トナーでは、この第1の成分と第2の成分とは、発色情報が付与されない限り互いの領域への物質拡散が困難な異なるマトリックス内に含まれていること、すなわち互いに隔離された状態で存在する。
具体的には、2種類の反応性成分の第1の成分が第1のマトリックスに含まれ、第2の成分が第1のマトリックス外(第2のマトリックス)に含まれ、第1のマトリックスと第2のマトリックスとの間には、両マトリックス間の物質の拡散が阻害されると共に、熱等の外部刺激が付与された際には、刺激の種類、強度や、組み合わせに応じて両マトリックス間の物質の拡散を可能とするような機能を持つ隔壁が設けられることが好ましい。
このような隔壁を利用して2種類の反応性成分をトナー中に配置するには、マイクロカプセルを利用することが好適であり、トナー内において2種類の反応性成分のうち、第1の成分及び第2の成分の内の何れか一方をマイクロカプセル内に含み、他方をマイクロカプセル外に含むようにすればよい。
なお、第1の成分がマイクロカプセル内に含まれ、第2の成分がマイクロカプセル外に含まれる場合には、マイクロカプセル内部が前記第1のマトリックス、マイクロカプセル外が前記第2のマトリックスに相当する。
このマイクロカプセルは、芯部と、該芯部を被覆する外殻とを有するものであり、熱等の外部刺激が付与されない限りマイクロカプセル内外の物質の拡散を阻害すると共に、外部刺激が付与された際には、刺激の種類、強度や、組み合わせに応じてマイクロカプセル内外の物質の拡散を可能とする機能を有するものであれば特に限定されない。なお芯部には、前記反応性成分の一方が少なくとも含まれる。
また、マイクロカプセルは、光の照射や圧力などの刺激の付与によってマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とするものでもよいが、加熱処理によりマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とする(外殻の物質透過性が増大する)熱応答性マイクロカプセルであることが特に好ましい。
刺激が付与された際のマイクロカプセル内外の物質拡散は、画像形成時の発色濃度の低下を抑制したり、高温環境下に放置された画像のカラーバランスの変化を抑制する観点からは、不可逆的なものであることが好ましい。
それゆえ、マイクロカプセルを構成する外殻は、加熱処理や光照射等の刺激の付与による軟化、分解、溶解(周囲の部材への相溶)、変形等により、物質透過性が不可逆的に増大する機能を有することが好ましい。
トナーとしては、上記機能を発揮できるものであれば特に制限されず、例えば前記特許文献1、2に記載のトナーを挙げることができるが、マイクロカプセルをトナー中に多く存在させ且つマイクロカプセルの偏在を抑制するという観点から、下記トナーを用いることが好ましい。
・光による発色情報の付与により発色可能な状態又は非発色の状態を維持するトナーとして、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1の成分及び第2の成分と、該第1の成分及び第2の成分のいずれかを含む光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化又は未硬化の状態を維持することにより、発色可能な状態又は非発色の状態を維持するトナー(以下、「Fトナー」という場合がある)。
まず、Fトナーの発色のメカニズムについて説明する。
Fトナーは、後述するように、バインダー樹脂中に発色部と呼ばれる光による発色情報が付与されることで、特定の一つの色に発色可能な状態を維持、又は特定の一つの色を発色しないような状態(即ち、非発色の状態)を維持することが可能な連続した領域を1つ以上有する。
なお、Fトナー中に複数の発色部が含まれる場合には、複数の発色部は互いに内部に含まれる材料が混在することのないように隔離された状態で設けられている。
このように、Fトナーは、1又は複数の、互いに異なる色に発色可能な状態又は非発色可能な状態を維持することが可能な連続した領域としての発色部を1又は複数有し、図4(A)に示すように、各発色部60は、発色剤を含有するマイクロカプセル50とそれを取り巻く光硬化性組成物58とから構成されている。すなわち、発色部60において、マイクロカプセル50は、光硬化性組成物58中に分散されている。
発色部60の拡大部を示す図4(B)に示されるように、発色部60は、少なくとも、マイクロカプセル50と、発色剤(第1の成分)52と、この発色剤52と近接又は接触することで発色させる重合性官能基を有した顕色剤モノマー(第2の成分)54と、光重合開始剤56と、を含んで構成されている。
マイクロカプセル50は、カプセル内部に少なくとも発色剤(第1の成分)52を含有している。このマイクロカプセル50を取り巻く光硬化性組成物58中には、発色剤(第1の成分)52と近接又は接触することで発色させる重合性官能基を有した顕色剤モノマー(第2の成分)54と光重合開始剤56とが含まれている。
発色剤(第1の成分)52としては、発色色相の鮮やかさに優れたトリアリール系ロイコ化合物などが好適である。
このロイコ化合物(電子供与性)等の発色剤52を発色させる顕色剤モノマー54としては電子受容性化合物が好ましい。顕色剤モノマー54としては、特にフェノール系化合物が一般的であり、感熱、感圧紙などに利用されている顕色剤から適宜選択できる。
このような電子供与性の発色剤52と、電子受容性の顕色剤モノマー54と、が酸塩基反応することで発色剤52が発色する。
光重合開始剤56としては、可視光により感光し顕色剤モノマー54を重合させるためのトリガーとなる重合性ラジカルを発生する分光増感色素が用いられる。
例えば、R色、G色、B色の如き三原色露光に対して、顕色剤モノマー54が十分な重合反応を進行させることができるように光重合開始剤56の反応促進剤が用いられる。例えば、露光光を吸収する分光増感色素(カチオン)とホウ素化合物(アニオン)からなるイオンコンプレックスを用いることにより、露光により分光増感色素が光励起されホウ素化合物に電子移動することで重合性ラジカルが生成し重合を開始する。
これらの材料を組み合わせることにより、感光性の発色部60として、0.1〜0.2mJ/cm程度の発色記録感度を得ることができる。
上記構成の発色部60に対する発色情報付与のための光照射の有無により、発色部60によっては重合された顕色剤化合物と重合されなかった顕色剤モノマー54とを有するものが存在することになる。
発色情報が付与された後に、加熱などの処理によって、重合されなかった顕色剤モノマー54を有する発色部60では、この顕色剤モノマー54が熱などによって泳動し、マイクロカプセル50の隔壁の空孔を泳動通過してマイクロカプセル中に拡散する。マイクロカプセル50中に拡散された顕色剤モノマー54と発色剤52とは、前述のように発色剤52が塩基性であり、顕色剤モノマー54が酸性であることにより発色剤52を酸塩基反応によって発色させることになる。
一方、重合反応を生じた顕色剤化合物は、この後の加熱などによる発色工程では重合による嵩高さによりマイクロカプセル50の隔壁の空孔を拡散通過できず、マイクロカプセル中の発色剤52と反応ができないため発色することができない。したがって、マイクロカプセル50は無色のままで残ることとなる。すなわち、特定波長光を照射された発色部60は発色されに存在することになる。
発色後、適当な段階で再度全面を白色光源で露光することにより、残留している重合未了の顕色剤モノマー54を全て重合させて安定した画像定着がなされるとともに、残留分光増感色素を分解することで地色の消色が行われる。なお、可視光域に対応する光重合開始剤56の分光増感色素はその色調が最後まで地色として残留してしまうが、この分光増感色素の消色には色/ホウ素化合物の光消色現象を利用することができる。すなわち、光励起された分光増感色素からホウ素化合物に電子移動することで重合性ラジカルが生成するが、このラジカルはモノマーの重合を引き起こす一方で、励起された色素ラジカルと反応して色素の色分解を起し、結果的に色素を消色させることができる。
前記Fトナーでは、このような異なる発色を行なう発色部60(例えば、Y色、M色、C色に発色する)を、それぞれの顕色剤モノマー54が目的とする発色剤52以外の発色剤と干渉し合わない状態(互いに隔離された状態)にして一つのマイクロカプセルとして構成し用いることができる。すなわち、同一のトナー中に、互いに異なる色に発色する発色剤52が含まれる複数の発色部が含まれる場合には、複数の発色部は互いに内部に含まれる材料が混在することのないように隔離された状態で設けられている。
そして、Fトナーでは、発色部60中の、電子供与性の発色剤52を含むマイクロカプセル50以外の空間は、電子受容性の顕色剤モノマー54及び光硬化性組成物58によって埋められており、このような発色部60に光が照射されるため、一粒のトナー粒子における受光効率のよさは、前記特許文献2に開示されたトナーに比べ圧倒的に高い。
さらに、前記のように発色情報付与メカニズムが可逆反応ではないことより、加熱による発色までに時間的制約がないというメリットを有する結果、低速域までのプリントも可能、すなわち、広いスピードレンジに対応可能となり、加えて、加熱による発色が行なわれる定着器等の配置場所についても自由度が高いというメリットも有している。
Fトナーについて、更に詳細に説明する。
Fトナーとしては、以下の3つの態様が挙げられる。
Fトナーは、互いに反応した際に発色する第1の成分及び第2の成分と、光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含み、第1の成分がマイクロカプセルに含まれ、第2の成分が光硬化性組成物中に含まれる態様(第1の態様)、互いに反応した際に発色する第1の成分及び第2の成分と、光硬化性組成物を含むマイクロカプセルとを含み、第1の成分がマイクロカプセル外に含まれ、第2の成分が光硬化性組成物内に含まれる態様(第2の態様)、あるいは、互いに反応した際に発色する第1の成分及び第2の成分と、第1の成分を含む一のマイクロカプセルと、第2の成分を分散させた光硬化性組成物を含む他のマイクロカプセルとを含む態様(第3の態様)のいずれかであることが好ましい。
これら3つの態様の中では、特に第1の態様が、光による発色情報付与前の安定性、発色の制御等の観点から好ましい。なお、以下のトナーの説明においては、基本的に第1の態様のトナーを前提としてより詳細に説明するが、以下に説明する第1の態様のトナーの構成、材料、製法等は、第2の態様や第3の態様のトナーにおいても、勿論、利用/転用可能である。
なお、上述した熱応答性マイクロカプセルと光硬化性組成物とを組み合わせて用いたFトナーは、以下の2つのタイプのいずれかであることが特に好ましい。
(1)光硬化性組成物が未硬化の状態で加熱処理しても、未硬化の光硬化性組成物中に含まれる第2の成分の物質拡散が抑制され、発色情報付与光の照射によって光硬化性組成物が硬化した後に加熱処理すると、硬化後の光硬化性組成物中に含まれる第2の成分の物質拡散が促進されるタイプのトナー(以下、「光発色型トナー」と称す場合がある)。
(2)光硬化性組成物が未硬化の状態(第2の成分が重合していない状態)で加熱処理すると、未硬化の光硬化性組成物中に含まれる第2の成分の物質拡散が促進され、発色情報付与光の照射によって光硬化性組成物が硬化した後(第2の成分が重合した後)に加熱処理すると、硬化後の光硬化性組成物中に含まれる第2の成分の物質拡散が抑制されるタイプのトナー(以下、「光非発色型トナー」と称す場合がある)。
前記光発色型トナーと光非発色型トナーとの主たる違いは、光硬化性組成物を構成する材料にあり、光発色型トナーでは、光硬化性組成物中に(光重合性を有さない)第2の成分と光重合性化合物とが少なくとも含まれるのに対して、光非発色型トナーは、光硬化性組成物中に、分子中に光重合性基を有する第2の成分が少なくとも含まれる。
なお、光発色型トナー及び光非発色型トナーに用いられる光硬化性組成物中には、光重合開始剤が含まれていることが特に好ましく、必要に応じてその他種々の材料が含まれていてもよい。
上記光発色型トナーに用いられる光重合性化合物及び第2の成分としては、光硬化組成物が未硬化の状態で両者の間に相互作用が働き、光硬化性組成物中での第2の成分の物質拡散が抑制され、発色情報付与光の照射による光硬化性組成物の硬化(光重合性化合物の重合)後の状態で両者の間の相互作用が減少して、光硬化性組成物中での第2の成分の拡散が容易となる材料が用いられる。
従って、光発色型トナーにおいては、加熱処理によりトナーを発色させる工程を経る前に、発色情報の付与として、予め光硬化性組成物を硬化させる波長の光を照射しておくことによって、光硬化性組成物中に含まれる第2の成分の物質拡散が容易な状態となる。このため、加熱処理された際に、マイクロカプセルの外殻の溶解等によって、マイクロカプセル内の第1の成分と光硬化性組成物中の第2の成分との反応(発色反応)が起こる。
逆に、発色情報の付与として、光硬化性組成物を硬化させる波長の光を照射せずに、そのまま加熱処理しても第2の成分は光重合性化合物にトラップされ、マイクロカプセル中の第1の成分と接触することができず、第1の成分と第2の成分との反応(発色反応)が起こらない。
以上説明したように、光発色型トナーでは、発色情報の付与として、光硬化性組成物を硬化させる特定の波長領域内の波長の光の照射の有無と、加熱処理とを組み合わせて付与することによって、第1の成分と第2の成分との反応(発色反応)を制御できるため、トナーの発色を制御できる。
また、光非発色型トナーにおいては、第2の成分自体が光重合性を有するため、発色情報の付与として光を照射したとしても、この光の波長が光硬化性組成物を硬化させる特定波長領域内の波長でなければ、光硬化性組成物中に含まれる第2の成分の物質拡散が容易な状態を保てるため、この状態で加熱処理するとマイクロカプセルの外殻の溶解等によって、マイクロカプセル内の第1の成分と光硬化性組成物中の第2の成分との反応(発色反応)が起こる。
逆に、加熱処理前に光硬化性組成物を硬化させる特定波長領域内の波長の光が照射されると、光硬化性組成物中に含まれる第2の成分同士が重合してしまうため、光硬化性組成物中に含まれる第2の成分の物質拡散が困難となる。それゆえ、加熱処理しても第2の成分は、マイクロカプセル中の第1の成分と接触することができず、第1の成分と第2の成分との反応(発色反応)が起こらない。
以上説明したように、光非発色型トナーでは、発色情報の付与として、光硬化性組成物を硬化させる特定波長領域内の波長の光の照射の有無と、加熱処理とを組み合わせて付与することによって、第1の成分と第2の成分との反応(発色反応)を制御できるため、トナーの発色を制御できる。
次に、前記Fトナーの好適な構造について、トナーが、前記光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルと、を含む場合についてより詳細に説明する。
この場合、トナーは光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を1つのみ有するものであってもよいが、2つ以上有することが好ましい。
ここで、上記「発色部」とは、前述のように外部刺激が付与された際に、特定のひとつの色に発色可能な連続した領域を意味する。
なお、トナーに2以上の発色部が含まれる場合、同じ色に発色可能な1種類の発色部のみがトナー中に含まれていてもよいが、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部が同一のトナー中に含まれることが特に好ましい。その理由は、ひとつのトナー粒子の発色可能な色が、前者の場合は1種類のみに限定されるが、後者の場合は2種類以上とすることができるからである。
例えば、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部としては、イエロー色に発色可能なイエロー発色部と、マゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色部と、シアン色に発色可能なシアン発色部とを含むような組み合わせが挙げられる。
この場合、例えば、外部刺激の付与によりいずれか1種類の発色部のみが発色した場合には、トナーは、イエロー、マゼンタ、あるいは、シアンのいずれかの色に発色することができ、いずれか2種類の発色部が発色した場合には、これら2種類の発色部の発色した色を組み合わせた色に発色することができ、ひとつのトナー粒子で、多様な色を表現することが可能となる。
なお、Fトナー中に互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部が含まれる場合の発色する色の制御は、各々の種類の発色部に含まれる第1の成分及び第2の成分の種類や組み合わせを異なるものとすることの他に、各々の種類の発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に用いる光の波長を異なるものとすることにより実現できる。
すなわち、この場合、発色部の種類毎に発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に必要な光の波長が異なるため、発色情報の付与には、発色部(詳細には、発色部の光硬化性組成物)の種類に応じた波長の異なる複数種の光を用いればよい。
発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に必要な光の波長を異なるものとするには、発色部の種類毎に異なる波長の光に感応する光重合開始剤を光硬化性組成物中に含有させることが好適である。
例えば、イエロー、マゼンタ、及び、シアンに発色可能な3種類の発色部がトナー中に含まれる場合、各々の種類の発色部に含まれる光硬化性組成物として、同一の光量で波長のみを除々に変化させたときに、光の波長が405nm、532nm及び657nmのいずれかの波長の光が照射されたときに最も硬化された状態となる材料を用いれば、照射する光の波長を変化させることによって、トナーを所望の色に発色させることができる。なお、このトナーに照射する光の波長は、可視域から選択することもできるが、紫外域から選択してもよい。
Fトナーは、従来の顔料等の着色剤を用いたトナーに用いられるのと同様な結着樹脂を主成分とする母材を含むものであってもよい。この場合、母材中に、前記2以上の発色部の各々が粒子状のカプセルとして分散していることが好ましい(以下、カプセル状のひとつの発色部を「感光・感熱カプセル」と称する場合がある)。また、母材中には、従来の顔料等の着色剤を用いたトナーと同様に離型剤や、種々の添加剤が含まれていてもよい。
感光・感熱カプセルは、マイクロカプセルや光硬化性組成物を含む芯部と、該芯部を被覆する外殻とを有し、この外殻は、後述するトナーの製造過程や、トナーの保管時において、感光・感熱カプセル内のマイクロカプセルや光硬化性組成物を感光・感熱カプセル外に漏れないように安定して保持できるものであれば特に限定されない。
しかしながら、後述するトナーの製造過程において、第2の成分が外殻を透過して感光・感熱カプセル外のマトリックスへ流出したり、他の色に発色可能な感光・感熱カプセル中の第2の成分が外殻を透過して流入したりするのを防ぐために、非水溶性樹脂からなる結着樹脂や離型材等の非水溶性材料を主成分として含むものであることが好ましい。
次に、前記Fトナーに用いられるトナー構成材料や、各トナー構成材料を調整する際に用いる材料・方法等について以下により詳細に説明する。
この場合、トナーには、上記第1の成分、上記第2の成分、上記第1の成分を含むマイクロカプセル、上記第2の成分を含む光硬化性組成物が少なくとも用いられ、光硬化性組成物中には光重合開始剤が含まれることが特に好ましく、種々の助剤等が含まれていてもよい。また、マイクロカプセル内(芯部)には第1の成分が固体状態で存在していてもよいが、溶媒と共に存在していてもよい。
なお、前記光非発色型トナーにおいては、第1の成分として電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物等が用いられ、第2の成分として光重合性基を有する電子受容性化合物又は光重合性基を有するカプラー化合物等が用いられる。また、前記光発色型トナーにおいては、第1の成分としては、電子供与性無色染料が用いられ、第2の成分としては電子受容性化合物(「電子受容性顕色剤」あるいは「顕色剤」と称す場合がある)が用いられ、光重合性化合物としてはエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物が用いられる。
以上に列挙した材料に加えて、更に、従来の着色剤を用いたトナーを構成する材料と同様の各種材料;結着樹脂、離型剤、内添剤、外添剤等を必要に応じて適宜利用することができる。以下、各材料等についてより詳細に説明する。
−第1の成分及び第2の成分−
第1の成分及び第2の成分の組合せとしては、下記(ア)〜(ツ)の組合せを好適に挙げることができる(下記例において、それぞれ前者が第1の成分、後者が第2の成分を表す。)。
(ア)電子供与性無色染料と電子受容性化合物との組合せ。
(イ)ジアゾニウム塩化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組合せ。
(ウ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(エ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(オ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
(カ)銀、鉛、水銀、ナトリウム等の硫酸塩等の重金属硫酸塩と、ナトリウムテトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。
(キ)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ク)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ケ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(コ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
(サ)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪族重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(シ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成するもの。
(ス)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組合せ。
(セ)保護された色素(又はロイコ色素)プレカーサーと脱保護剤との組合せ。
(ソ)酸化型発色剤と酸化剤との組合せ。
(タ)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組合せ。(フタロシアニンが生成する組合せ。)
(チ)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組合せ(着色顔料が生成する組合せ)。
(ツ)顔料プレカーサーと酸又は塩基との組合せ(顔料が形成する組合せ)。
上記に列挙した第1の成分としては、実質的に無色の電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物が好ましい。
前記電子供与性無色染料としては、従来より公知のものを使用することができ、前記第2の成分と反応して発色するものであれば全て使用することができる。具体的には、フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物等の各種化合物を挙げることができる。
前記第2の成分としては、前記光非発色型トナーの場合は同一分子内に光重合性基及び第1の成分と反応して発色する部位とを有する実質的に無色化合物であり、光重合性基を有する電子受容性化合物又は光重合性基を有するカプラー化合物等の第1の成分と反応して発色し、かつ光に反応して重合し、硬化するという両機能を有するものであれば全て使用することができる。
前記光重合性基を有する電子受容性化合物、即ち、同一分子中に電子受容性基と光重合性基とを有する化合物としては、光重合性基を有し、かつ第1の成分の一つである電子供与性無色染料と反応して発色し、かつ光重合して硬化しうるものであれば全て使用することができる。
また、光発色型トナーの場合の第2の成分である電子受容性顕色剤としては、フェノール誘導体、含硫フェノール誘導体、有機のカルボン酸誘導体(例えば、サリチル酸、ステアリン酸、レゾルシン酸等)、及びそれらの金属塩等、スルホン酸誘導体、尿素もしくはチオ尿素誘導体等、酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等が挙げられる。
さらに、光発色型トナーには、光重合性化合物としてエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物が用いられ、これはアクリル酸及びその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類などの分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物である。
次に、前記光重合開始剤について説明する。前記光重合開始剤は、発色情報付与光を照射することによりラジカルを発生して光硬化性組成物内で重合反応を起こし、かつその反応を促進させることができる。この重合反応により光硬化性組成物が硬化する。
前記光重合開始剤は、公知のものの中から適宜選択することができ、中でも、300〜1000nmに最大吸収波長を有する分光増感化合物と、該分光増感化合物と相互作用する化合物と、を含有するものであることが好ましい。
但し、前記分光増感化合物と相互作用する化合物が、その構造内に300〜1000nmに最大吸収波長を有する色素部とボレート部との両構造を併せ持つ化合物であれば、前記分光増感色素を用いなくてもよい。
前記分光増感化合物と相互作用する化合物としては、前記第2の成分中の光重合性基と光重合反応を開始しうる公知の化合物の中から、1種又は2種以上の化合物を適宜選択して使用することができる。
この化合物を前記の分光増感化合物と共存させることにより、その分光吸収波長領域の照射光に敏感に感応し、高効率にラジカルを発生させうることから、高感度化が図れ、かつ紫外〜赤外領域にある任意の光源を用いてラジカルの発生を制御することができる。
前記「分光増感化合物と相互作用する化合物」としては、有機系ボレート塩化合物、ベンゾインエーテル類、トリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体、有機過酸化物又はアジニウム塩化合物が好ましく、有機系ボレート塩化合物がより好ましい。この「分光増感化合物と相互作用する化合物」を前記分光増感化合物と併用して用いることにより、露光した露光部分に局所的に、かつ効果的にラジカルを発生させることができ、高感度化を達成することができる。
また、光硬化性組成物には重合反応を促進する目的で、さらに助剤として、酸素除去剤(oxygen scavenger)又は活性水素ドナーの連鎖移動剤等の還元剤や連鎖移動的に重合を促進するその他の化合物を添加することもできる。
前記酸素除去剤としては、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト、第1銀塩又は酸素により容易に酸化されるその他の化合物が挙げられる。具体的には、N−フエニルグリシン、トリメチルパルビツール酸、N,N−ジメチル−2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン酸が挙げられる。さらに、チオール類、チオケトン類、トリハロメチル化合物、ロフィンダイマー化合物、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類、アジニウム塩類、有機過酸化物、アジド類等も重合促進剤として有用である。
Fトナーでは、電子供与性無色染料やジアゾニウム塩化合物のような第1の成分をマイクロカプセルに内包して使用する。
マイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、米国特許第2800457号、同28000458号に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号、英国特許第990443号、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報、同42−771号公報等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号、同3660304号に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同4087376号、同4089802号に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号、特開昭51−9079号に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号、同965074号に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号、英国特許第930422号に記載のスプレードライング法、特公平7−73069号公報、特開平4−101885号公報、特開平9−263057号公報に記載の方法等が挙げられる。
使用しうるマイクロカプセル壁の材料は、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。前記マイクロカプセル壁の材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアがより好ましい。前記高分子物質は、2種以上併用して用いることもできる。
マイクロカプセルの体積平均粒径は0.1〜3.0μmの範囲内となるように調整することが好ましく、0.3〜1.0μmの範囲内となるように調整することが更に好ましい。
前記感光・感熱カプセルにはバインダーが含まれていてもよく、これは、1つの発色部を有するトナーにおいても同様である。
バインダーとしては、前記光硬化性組成物の乳化分散に用いるバインダーと同様のもの、第1の反応性物質をカプセル化する際に用いる水溶性高分子のほか、ポリスチレン、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリメチルアクリレート,ポリブチルアクリレート,ポリメチルメタクリレート,ポリブチルメタクリレートやそれらの共重合体等のアクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エチルセルロース、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の溶剤可溶性高分子、或いは、これらの高分子ラテックスを用いることもできる。中でも、ゼラチン及びポリビニルアルコールが好ましい。また、バインダーとして後述する結着樹脂を用いてもよい。
また、Fトナーには、従来のトナーに用いられている結着樹脂を用いることができる。結着樹脂は、例えば、母材中に感光・感熱カプセルが分散した構造を有するトナーでは、母材を構成する主成分や感光・感熱カプセルの外殻を構成する材料として利用することができるがこれに限定されるものではない。
結着樹脂としては特に限定されず、公知の結晶性や非晶性の樹脂材料を用いることができる。特に低温定着性を付与するには、シャープメルト性がある結晶性ポリエステル樹脂が有用である。また、無定形高分子(非晶質樹脂)としては、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂など公知の樹脂材料を用いることができるが、非結晶性ポリエステル樹脂が特に好ましい。
その他、Fトナーは、上記に列挙した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、離型剤、無機微粒子、有機微粒子、帯電制御剤等の従来のトナーに用いられている公知の各種添加剤等が挙げられる
なお、Fトナーの前記第1成分、第2成分は、発色する前の状態において予め着色していてもよいが、実質的に無色の物質であることが特に好ましい。
次に、Fトナーの製造方法について簡単に説明する。
Fトナーは、凝集合一法等の公知の湿式製法を利用して作製されることが好ましい。特に、互いに反応した際に発色する第1の成分及び第2の成分と、光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含み、前記第1の成分が前記マイクロカプセルに含まれ、前記第2の成分が前記光硬化性組成物中に含まれる構造を有するトナーの作製に湿式製法は好適である。
なお、上記構造を有するトナーに用いられるマイクロカプセルは熱応答性マイクロカプセルであることが特に好ましいが、光等、その他の刺激に応答するマイクロカプセルであってもよい。
トナーの製造には、公知の湿式製法が利用できるが、湿式製法の中でも最高プロセス温度を低く抑えることができると共に、様々な構造を有するトナーの作製が容易であることから凝集合一法を利用することが特に好ましい。
また、従来の顔料や結着樹脂を主成分とするトナーと比べると、上記構造を有するトナーは、低分子成分を主成分として含む光硬化性組成物が多く含まれるため、トナーの造粒過程で得られる粒子の強度は不十分となりやすいが、凝集合一法では、高いせん断力を必要としないため、この点でも凝集合一法を利用することは好適である。
一般的に、凝集合一法は、トナーを構成する各種材料の分散液を調製した後、2種類以上の分散液を混合した原料分散液中で凝集粒子を形成する凝集工程と、原料分散液に形成された凝集粒子を融合する融合工程とを含むものであり、必要に応じて凝集工程と融合工程との間に、凝集粒子の表面に被覆層を形成する成分を付着させて被覆層を形成する付着工程(被覆層形成工程)とが実施されるものである。
Fトナーの製造においても、原料として使用する各種分散液の種類や組み合わせは異なるものの、凝集工程、融合工程の他に、必要に応じて付着工程を適宜組み合わせることによりトナーを作製することができる。
例えば、樹脂中に感光・感熱カプセル分散構造を有するトナーの場合には、まず、(a1)第1の成分を含むマイクロカプセルを分散させたマイクロカプセル分散液と、第2の成分を含む光硬化性組成物を分散させた光硬化性組成物分散液とを含む原料分散液中にて第1の凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、(b1)前記第1の凝集粒子が形成された原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、前記凝集粒子表面に前記樹脂粒子を付着させる付着工程と、(c1)前記樹脂粒子をその表面に付着させた凝集粒子を含む原料分散液を加熱して融合させ、第1の融合粒子(感光・感熱カプセル)を得る第1の融合工程とを経ることにより、互いに異なる色に発色可能な1種類以上の感光・感熱カプセル分散液を調製する。
続いて、(d1)前記1種類以上の感光・感熱カプセル分散液と、樹脂粒子を分散させた第2の樹脂粒子分散液とを混合した混合溶液中にて、第2の凝集粒子を形成する第2の凝集工程と、(e1)前記第2の凝集粒子を含む混合溶液を加熱して、第2の融合粒子を得る第2の融合工程とを経ることにより、感光・感熱カプセル分散構造を有するトナーを得ることができる。
なお、第2の凝集工程で用いる感光・感熱カプセル分散液の種類は2種類以上が好ましい。また、(a1)〜(c1)工程を経て得られた感光・感熱カプセルをそのままトナー(すなわち1つの発色部のみを含むトナー)として利用してもよい。
また、1つの発色部のみを含むトナーを作製する場合、上述した付着工程の代わりに、前記第1の凝集粒子が形成された原料分散液に、離型剤を分散させた離型剤分散液を添加して、凝集粒子表面に離型剤を付着させる第1の付着工程と、第1の付着工程を経た後の原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、この離型剤を表面に付着させた凝集粒子表面に樹脂粒子を付着させる第2の付着工程とを実施してもよい。
以上説明したFトナーをはじめ、光照射により(あるいは光が照射されないことにより)発色又は非発色の状態を維持するように制御されるトナーであれば、用いる構成材料、トナーの構造、発色機構等によらず用いることができる。
以下、トナー(Fトナー)の好適な特性について説明する。
トナーの体積平均粒径は、特に限定されず、トナーの構造や、トナー中に含まれる発色部の種類・数に応じて適宜調整することができる。
しかしながら、トナー中に含まれる互いに異なる色に発色可能な発色部の種類が2〜4種類前後(例えば、トナーがイエロー、シアン、マゼンタの各々に発色可能な3種類の発色部を含むような場合)であれば、各々のトナー構造に応じた体積平均粒径は以下の範囲内であることが好ましい。
例えば、トナーの構造が樹脂中に感光・感熱カプセル(発色部)分散構造の場合には、トナーの体積平均粒径は5〜40μmの範囲内が好ましく、10〜20μmの範囲内がより好ましい。また、このような粒径を有する感光・感熱カプセル分散構造型のトナー中に含まれる感光・感熱カプセルの体積平均粒径は1〜5μmの範囲内であることが好ましく、1〜3μmの範囲内であることが好ましい。
前記トナーの体積平均粒径が5μm未満では、トナー中に含まれる発色成分量が少なくなるため色再現性が悪化したり、画像濃度が低下してしまう場合がある。また、体積平均粒径が40μmを超えると、画像表面の凹凸が大きくなり、画像表面の光沢ムラが発生してしまう場合があり、また画質が低下する場合がある。
なお、その内部に複数の感光・感熱カプセルを分散させた感光・感熱カプセル分散構造型のトナーは、従来の着色剤を用いた小径トナー(体積平均粒径5〜10μm程度)と比べると粒径が大きくなる傾向にあるものの、画像の解像度は、トナーの粒径ではなく感光・感熱カプセルの粒径により決定されるため、より高精細な画像を得ることができる。加えて、粉体流動性にも優れるため、外添剤の量が少なくても十分な流動性が確保できると共に、現像性やクリーニング性も向上させることができる。
一方、1つの発色部のみを有するトナーの場合には、上述した場合と比べると小径化がより容易であり、その体積平均粒径は3〜8μmの範囲内が好ましく、4〜7μmの範囲内が好ましい。体積平均粒径が3μm未満の場合には粒径が小さすぎるために粉体流動性が十分に得られなくなったり、十分な耐久性が得られない場合がある。また、体積平均粒径が8μmを超えると、高精細な画像が得られなくなる場合がある。
トナーは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下であり、且つ、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が、0.95以上であることが好ましい。
更に好ましくは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.25以下であり、且つ、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が、0.97以上であることが更に好ましい。
体積分布指標GSDvが1.30を超えた場合には、画像の解像性が低下する場合があり、また、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpの比(GSDv/GSDp)が0.95未満の場合、トナーの帯電性低下やトナーの飛散、カブリ等が発生し画像欠陥を招く場合がある。
なお、トナーの体積平均粒径や、上記した体積平均粒度分布指標GSDv、及び数平均粒度分布指標GSDpの値は、次のようにして測定し算出した。
まず、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積及び数について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を、体積平均粒子径D16v、及び、数平均粒子径D16pと定義し、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径D50v、及び、数平均粒子径D50pと定義する。同様に、累積84%となる粒径を、体積平均粒子径D84v、及び、数平均粒子径D84pと定義する。この際、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、(D84v/D16v)1/2として定義され、数平均粒度指標(GSDp)は、(D84p/D16p)1/2として定義されるこれらの関係式を用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)及び数平均粒度指標(GSDp)を算出できる。
また、前記マイクロカプセルや感光・感熱カプセルの体積平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)を用いて測定することができる。
また、トナーは、下式(1)で表される形状係数SF1が、110〜130の範囲内であることが好ましい。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
〔但し、上記式(1)において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm)を表す。〕
形状係数SF1が110未満の場合には、画像形成の際に転写工程で、像保持体上にトナーが残留しやすくなるため、この残留トナーの除去が必要となるが、残留トナーをブレード等によりクリーニングする際のクリーニング性を損ないやすく、結果として画像欠陥を生じる場合がある。
一方、形状係数SF1が130を超える場合には、トナーを現像剤として使用する場合に、現像器内でのキャリアとの衝突によりトナーが破壊される場合がある。この際、結果として微粉が増加したり、これによってトナー表面に露出した離型剤成分により像保持体上等が汚染され帯電特性を損なうことがあるばかりでなく、微粉に起因するかぶりの発生等の問題を起こすことがある。
形状係数SF1はルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて以下のように測定した。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、個々のトナーについて、トナーの最大長の2乗、及び投影面積を算出し、上記式(1)により形状係数SF1を求めた。
トナーは、そのまま一成分現像剤として用いてもよいが、キャリアとトナーとからなる二成分現像剤におけるトナーとして使用することが好ましい。
ここで、1種類の現像剤でカラー画像が形成できるという点からは、現像剤は、(1)前記光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を2種類以上有するトナーを1種類有し、且つ、前記トナー中に含まれる2種類以上の発色部が互いに異なる色に発色可能であるタイプの現像剤、あるいは、(2)前記光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を1つ有するトナーを2種類以上混合した状態で有し、且つ、前記2種類以上のトナーの発色部が互いに異なる色に発色可能であるタイプの現像剤であることが好ましい。
例えば、前者のタイプの現像剤では、トナー中に3種類の発色部が含まれ、且つ、3種類の発色部が、イエロー色に発色可能なイエロー発色部、マゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色部及びシアン色に発色可能なシアン発色部からなることが好ましく、後者のタイプの現像剤では、発色部がイエロー色に発色可能なイエロー発色性トナーと、発色部がマゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色性トナーと、発色部がシアン色に発色可能なシアン発色性トナーとが混合した状態で現像剤中に含まれることが好ましい。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、芯材表面に樹脂を被覆してなることが好ましい。キャリアの芯材としては、上記条件を満たしていれば特に規定されないが、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類等との合金、及びフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられるが、芯材表面性、芯材抵抗の観点から、好ましくはフェライト、特にマンガン、リチウム、ストロンチウム、マグネシウム等との合金が挙げられる。
また、芯材表面を被覆する樹脂としては、マトリックス樹脂として使用できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上記二成分現像剤における、本発明のトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲が好ましく、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
[試験例]
上記実施形態の作用を確認するため、以下のような試験を行った。
なお、以下の実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」、「質量%」を表す。
(トナーの作製)
まず、下記実施例に用いたトナーについて説明する。なお、以下のトナーの作製において、光硬化性組成物分散液の調整及びこれを用いた一連のトナーの作製は全て暗所で実施した。
A.光非発色型トナー
(マイクロカプセル分散液の調製)
−マイクロカプセル分散液(1)−
酢酸エチル16.9質量部に、イエローに発色可能な電子供与性無色染料(1)8.9質量部を溶解し、さらに、カプセル壁材(商品名:タケネートD−110N,武田薬品工業(株)製)20質量部とカプセル壁材(商品名:ミリオネートMR200,日本ポリウレタン工業(株)製)2質量部とを添加した。
得られた溶液を、8質量%フタル化ゼラチン42質量部と、水14質量部と、10質量%ドデシルベンゼンルスルホン酸ナトリウム溶液1.4質量部との混合液中に添加した後、温度20℃で乳化分散し、乳化液を得た。次いで、得られた乳化液に2.9質量%テトラエチレンペンタミン水溶液72質量部を加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間経過後、電子供与性無色染料(1)を芯部に含む、平均粒径0.5μmのマイクロカプセル分散液(1)を得た。
なお、このマイクロカプセル分散液(1)に含まれるマイクロカプセルの外殻を構成する材料(上記とほぼ同様の条件でタケネートD−110N及びミリオネートMR200を反応させて得られた材料)のガラス転移温度は100℃であった。
−マイクロカプセル分散液(2)−
電子供与性無色染料(1)を電子供与性無色染料(2)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(2)を得た。この分散液中のマイクロカプセルの平均粒径は0.5μmであった。
−マイクロカプセル分散液(3)−
電子供与性無色染料(1)を電子供与性無色染料(3)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調整する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(3)を得た。この分散液中のマイクロカプセルの平均粒径は0.5μmであった。
なお、マイクロカプセル分散液の調製に用いた電子供与性無色染料(1)〜(3)の化学構造式を以下に示す。


(光硬化性組成物分散液の調製)
−光硬化性組成物分散液(1)−
重合性基を有する電子受容性化合物(1)及び(2)の混合物100.0質量部(混合比率50:50)と熱重合禁止剤(ALI)0.1質量部とを酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)125.0質量部中で42℃にて溶解し混合溶液Iとした。
この混合溶液I中に、ヘキサアリールビイミダゾール(1)〔2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’テトラフェニルー1,2’−ビイミダゾール〕18.0質量部と、ノニオン性有機色素0.5質量部と、有機ホウ素化合物6.0質量部とを添加し42℃にて溶解し、混合溶液IIとした。
上記混合溶液IIを、8質量%ゼラチン水溶液300.1質量部と、10質量%界面活性剤(1)水溶液17.4質量部との混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000回転で5分間乳化し、その後、40℃で3時間脱溶媒処理を行った後、固形分が30質量%の光硬化性組成物分散液(1)を得た。
なお、光硬化性組成物分散液(1)の調製に用いた重合性基を有する電子受容性化合物(1)、重合性基を有する電子受容性化合物(2)、熱重合禁止剤(ALI)、ヘキサアリールビイミダゾール(1)、界面活性剤(1)、ノニオン性有機色素、及び、有機ホウ素化合物の構造式を以下に示す。




−光硬化性組成物分散液(2)−
下記有機ボレート化合物(I)0.6質量部と、前記に示した分光増感色素系ボレート化合物(I)0.1質量部と、高感度化を目的とした下記助剤(1)0.1質量部と、酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)3質量部と、の混合溶液中に、重合性基を有する下記電子受容性化合物(3)5質量部を添加した。


得られた溶液を、13質量%ゼラチン水溶液13質量部と、下記2質量%界面活性剤(2)水溶液0.8質量部と、下記2質量%界面活性剤(3)水溶液0.8質量部と、の混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000回転で5分間乳化し、光硬化性組成物分散液(2)を得た。
なお、光硬化性組成物分散液(2)の調整に用いた重合性基を有する電子受容性化合物(3)、助剤(1)、界面活性剤(2)、及び界面活性剤(3)の構造式を以下に示す。


−光硬化性組成物分散液(3)−
分光増感色素系ボレート化合物(I)に代えて、前記に示した分光増感色素系ボレート化合物(II)0.1質量部を用いた以外は、光硬化性組成物分散液(2)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(3)を得た。
(樹脂粒子分散液の調製)
・スチレン:460質量部
・nブチルアクリレート:140質量部
・アクリル酸:12質量部
・ドデカンチオール:9質量部
以上の成分を混合溶解して溶液を調製した。続いて、アニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)12質量部をイオン交換水250質量部に溶解したものに、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化した乳化液(単量体乳化液A)を調製した。
また、アニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)1質量部を555質量部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと攪拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウオーターバスで加熱し、保持した。
次に、過硫酸アンモニウム9質量部をイオン交換水43質量部に溶解した溶液を、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、単量体乳化液Aをやはり定量ポンプを介して200分かけて滴下した。
その後、ゆっくりと攪拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して重合を終了した。
これにより粒子のメジアン径が210nm、ガラス転移点が51.5℃、重量平均分子量が31000、固形分量が42%の樹脂粒子分散液を得た。
(トナー1(発色部分散構造タイプ)の作製)
−感光・感熱カプセル分散液(1)の調製−
・マイクロカプセル分散液(1):150質量部
・光硬化性組成物分散液(1):300質量部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20質量部
・イオン交換水:300質量部
以上の成分を混合した原料溶液に硝酸を加えてpHを3.5に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、フラスコに移し加熱用オイルバスで、スリーワンモーターで攪拌しながら40℃まで加熱し、40℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を300質量部追加して、60℃にて2時間緩やかに攪拌した。これにより感光・感熱カプセル分散液(1)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.53μmであった。また、この分散液の調整時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−感光・感熱カプセル分散液(2)の調製−
・マイクロカプセル分散液(2):150質量部
・光硬化性組成物分散液(2):300質量部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20質量部
・イオン交換水:300質量部
原料溶液として以上の成分を用いた以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)を調整する場合と同様にして感光・感熱カプセル分散液(2)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.52μmであった。また、この分散液の調整時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−感光・感熱カプセル分散液(3)の調製−
・マイクロカプセル分散液(3):150質量部
・光硬化性組成物分散液(3):300質量部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20質量部
・イオン交換水:300質量部
原料溶液として以上の成分を用いた以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)を調整する場合と同様にして感光・感熱カプセル分散液(3)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.47μmであった。また、この分散液の調整時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−トナーの作製−
・感光・感熱カプセル分散液(1):750質量部
・感光・感熱カプセル分散液(2):750質量部
・感光・感熱カプセル分散液(3):750質量部
以上の成分を混合した溶液をフラスコに移し、フラスコ内を攪拌しながら加熱用オイルバス42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を100質量部追加して、緩やかに攪拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液でフラスコ内のpHを5.0に調整した後、攪拌を継続しながら55℃まで加熱した。55℃までの昇温の間、通常の場合、フラスコ内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが4.5以下とならない様に保持した。この状態で、55℃で3時間保持した
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、5リットルビーカー中で40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分間、300rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、凍結真空乾燥を12時間行い、スチレン系樹脂中に感光・感熱カプセルが分散したトナー粒子を得た。このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径D50vは15.2μmであった。
続いて、上記トナー粒子50質量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.0質量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナー1を得た。
(トナー2(同心円構造のタイプ)の作製)
−トナーの作製−
・マイクロカプセル分散液(1):150質量部
・光硬化性組成物分散液(1):300質量部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20質量部
・イオン交換水:300質量部
以上の成分を混合した溶液を硝酸でpHを3.5に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、フラスコに移し加熱用オイルバスで、スリーワンモーターで攪拌しながら40℃まで加熱し、40℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を300質量部追加して、緩やかに撹拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液でフラスコ内のpHを7.5に調整した後、攪拌を継続しながら60℃まで加熱し、60℃にて2時間緩やかに攪拌し、これをフラスコから一旦取り出して放置冷却し、感光・感熱カプセル分散液を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は4.50μmであった。また、この分散液の調整時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
続いて、感光・感熱カプセル分散液に、下記成分の混合溶液を添加して、硝酸でpH=3.5に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。
・マイクロカプセル分散液(2):150質量部
・光硬化性組成物分散液(2):300質量部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20質量部
・イオン交換水:300質量部
次に、上記の混合・分散した後の溶液を、再びフラスコに移し加熱用オイルバスでスリーワンモーターで攪拌しながら40℃まで加熱し、40℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を200質量部追加して、緩やかに攪拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液でフラスコ内のpHを7.5に調整した後、攪拌を継続しながら60℃まで加熱し、60℃にて2時間緩やかに攪拌し、これをフラスコから一旦取り出して放置冷却し、感光・感熱カプセル分散液を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は6.0μmであった。また、この分散液の調整時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
続いて、感光・感熱カプセル分散液に、下記成分の混合溶液を添加して、硝酸でpHを3.5に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。
・マイクロカプセル分散液(3) 150質量部
・光硬化性組成物分散液(3) 300質量部
・ポリ塩化アルミニウム 0.20質量部
・イオン交換水 300質量部
次に、上記の混合・分散した後の溶液を、再びフラスコに移し加熱用オイルバスでスリーワンモーターで攪拌しながら40℃まで加熱し、40℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を100質量部追加して60℃にて2時間緩やかに攪拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液でフラスコ内のpHを5.0に調整した後、攪拌を継続しながら55℃まで加熱した。55℃までの昇温の間、通常の場合、フラスコ内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが4.5以下とならない様に保持した。この状態で55℃で3時間保持した。なお、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、5リットルビーカー中で40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分間、300rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、凍結真空乾燥を12時間行いトナー粒子を得た。
このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径D50vが7.5μmであった。上記トナー粒子50質量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.0質量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナー2を得た。
B.光発色型トナー
(マイクロカプセル分散液の調製)
−マイクロカプセル分散液(1)−
前記電子供与性無色染料(1)12.1質量部を酢酸エチル10.2質量部に溶解し、ジシクロヘキシルフタレート12.1質量部とタケネートD−110N(武田薬品工業株式会社製)26質量部とミリオネートMR200(日本ポリウレタン工業株式会社製)2.9質量部とを添加した溶液を準備した。
続いて、この溶液を、ポリビニルアルコール5.5質量部及び水73質量部の混合液に添加し、20℃で乳化分散し、平均粒径0.5μmの乳化液を得た。得られた乳化液に水80質量部を加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間後に電子供与性無色染料(1)を芯材とするマイクロカプセルを分散させたマイクロカプセル分散液(1)を得た。
なお、このマイクロカプセル分散液(1)に含まれるマイクロカプセルの外殻を構成する材料(上記とほぼ同様の条件でジシクロヘキシルフタレート、タケネートD−110N及びミリオネートMR200を反応させて得られた材料)のガラス転移温度は130℃であった。
−マイクロカプセル分散液(2)−
電子供与性無色染料(1)を前記電子供与性無色染料(2)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(2)を得た。
−マイクロカプセル分散液(3)−
電子供与性無色染料(1)を前記電子供与性無色染料(3)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(3)を得た。
(光硬化性組成物分散液の調製)
−光硬化性組成物分散液(1)−
光重合開始剤(1−a)1.62部と、(1−b)0.54部とを、酢酸エチル4部に溶解させた溶液に、電子受容性化合物(1)9部及びトリメチロールプロパントリアクリレートモノマー(3官能アクリレート、分子量約300)7.5部を添加した。
このようにして得られた溶液を、15%PVA(ポリビニルアルコール)水溶液19部と水5部と2%界面活性剤(1)水溶液0.8部と2%界面活性剤(2)水溶液0.8部とを混合した混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機株式会社製)にて8000rmpで7分間乳化して、乳化液とした光硬化性組成物分散液(1)を得た。
−光硬化性組成物分散液(2)−
光重合開始剤(1−a)及び(1−b)を、光重合開始剤(2−a)0.08部、(2−b)0.18部、(2−c)0.18部に変更した以外は、光硬化性組成物分散液(1)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(2)を得た。
−光硬化性組成物分散液(3)−
前記光硬化性組成物分散液(2)で用いた光重合開始剤(2−b)を、光重合開始剤(3−b)に変更した以外は、光硬化性組成物分散液(1)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(3)を得た。
なお、光硬化性組成物分散液の調整に用いた光重合開始剤(1−a)、(1−b)、(2−a)、(2−b)、(2−c)、(3−b)、電子受容性化合物(1)、及び、界面活性剤(1)〜(2)の化学構造式を以下に示す。



−樹脂粒子分散液(1)の調製−
・スチレン:360部
・nブチルアクリレート:40部
・アクリル酸:4部
・ドデカンチオール:24部
・四臭化炭素:4部
以上を混合し、溶解した溶液を、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)10部をイオン交換水560部に溶解した溶液に、フラスコ中で分散・乳化し、10分ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。
続いて、フラスコ内の窒素置換を行った後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。こうして、体積平均粒径が200nm、ガラス転移温度が50℃、重量平均分子量(Mw)が16200、比重が1.2である樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液(1)(樹脂粒子濃度:30%)を得た。
−感光・感熱カプセル分散液(1)の調製−
・マイクロカプセル分散液(1)24部
・光硬化性組成物分散液(1)232部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてIKA製ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した。
そして、硝酸でpH3に調整し、次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.20部を加え、ウルトラタラックスで回転数6000rpmで10分間の分散操作を継続した。 加熱用オイルバスでフラスコをゆっくり攪拌しながら40℃まで加熱した。
ここで、樹脂粒子分散液(1)60部を緩やかに追加した。
これにより、感光・感熱カプセル分散液(1)を得た。なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒経は約2μmであった。また、得られた分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−感光・感熱カプセル分散液(2)の調製−
マイクロカプセル分散液(1)をマイクロカプセル分散液(2)に、光硬化性組成物分散液(1)を光硬化性組成物分散液(2)に変更した以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)と同様に作製し、感光・感熱カプセル分散液(2)を得た。なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒経は約2μmであった。また、得られた分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−感光・感熱カプセル分散液(3)の調製−
マイクロカプセル分散液(1)をマイクロカプセル分散液(3)に、光硬化性組成物分散液(1)を光硬化性組成物分散液(3)に変更した以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)と同様に作製し、感光・感熱カプセル分散液(3)を得た。なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒経は約2μmであった。また、得られた分散液の自発的な発色は確認されなかった。
(トナー3(発色部分散構造タイプ)の作製)
−トナーの作製−
・感光・感熱カプセル分散液(1):80部
・感光・感熱カプセル分散液(2):80部
・感光・感熱カプセル分散液(3):80部
・樹脂粒子分散液(1):80部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてIKA製ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した。
次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.1部を加え、ウルトラタラックスで回転数6000rpmで10分間の分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で60分保持した後、ここに樹脂粒子分散液(1)を緩やかに20部追加した。
その後、0.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを8.5にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら55℃まで加熱し、10時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水1Lに再分散し、15分300rpmで攪拌・洗浄した。
これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.5、電気伝導度7.0μS/cmtとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで12時間の真空乾燥を行うことにより、母材中に3種類の感光・感熱カプセルが分散した構造を有するトナー粒子を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均粒径D50vは約15μmであった。また、得られたトナーの自発的な発色は確認されなかった。
次に、このトナー(1)100部と、n−デシルトリメトキシシランで表面処理した平均粒子径15nmの疎水性チタニア0.3部と、平均粒子径30nmの疎水性シリカ(NY50、日本アエロジル社製)0.4部とをヘンシェルミキサーを用い周速32m/sで10分間ブレンドをおこなった後、目開き45μmのシーブを用いて粗大粒子を除去し、外添剤を添加した外添トナー3を得た。
<現像剤の作製>
次に、キャリア芯材の表面を、ポリメチルメタアクリレート(総研化学社製)で被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリア(キャリア全質量に対するポリメチルメタアクリレートの使用量:1質量%)を用い、トナー濃度が5質量%になるように前記の外添トナー1〜3を秤量し、両者をボールミルで5分間攪拌・混合して現像剤(1)〜(3)を調製した。なお、現像剤(1)及び現像剤(2)は、上述のように、光非発色型トナーを用いた現像剤であり、現像剤(3)は、上述のように、光発色型トナーを用いた現像剤である。
<試験例1>
(画像形成)
図1に示したような画像形成装置を用意し、現像剤として現像剤(1)を用いた。
感光体11としては、アルミドラムの周りに、電荷発生層が塩化ガリウムフタロシアニン、電荷輸送層がN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミンを含む膜厚25μmの多層有機感光層を塗布形成したものを用いた。また、帯電装置12としてはスコロトロンを用いた。
露光装置14としては、解像度600dpiで潜像形成が行える波長780nmのLEDイメージバーを用いた。現像装置16は、二成分磁気ブラシ現像用の金属スリーブを備え反転現像を行うことが可能なものである。なお、この現像器に前記現像剤1を装填したときのトナー帯電量は、−5〜−30μC/g程度であった。
発色情報付与装置28は、ピーク波長405nm(露光量:0.2mJ/cm)、532nm(露光量:0.2mJ/cm)、657nm(露光量:0.4mJ/cm)の光を照射可能な解像度600dpiのLEDイメージバーである。転写装置18は、導電性芯材の外周に導電性弾性体を被覆してなる半導電性ロールを転写ロールとして有する。導電性弾性体は、NBRとEPDMを混合してなる非相溶性のブレンド物に、ケッチェンブラックとサーマルブラックからなる2種類のカーボンブラックを分散させてなり、ロール抵抗が108.5Ωcm、アスカーC硬度が35度のものである。
定着装置22は、富士ゼロックス社製DPC1616に使用されている定着器を使用し、発色情報付与のポイントから30cmの位置に配置した。また、発色固定装置24としては、前記発色情報付与装置の三波長を含む高輝度シャーカステンを用い、照射幅を5mmとした。
以上の構成の画像形成装置により印字条件を下記のように設定した。
・感光体線速:10mm/秒。
・帯電条件:スコロトロンのスクリーンに−400V、ワイヤーには直流−6kVを印加。このとき感光体の表面電位は−400Vとなった。
・露光:Y、M、C、黒の4色分の画像情報の論理和で露光し、露光後の電位は約−50Vであった。
・現像バイアス:直流−330Vに交流Vpp1.2kV(3kHz)の矩形波を重畳。
・現像剤接触条件:周速比(現像ロール/感光体)2.0、現像ギャップ0.5mmとし、現像ロール上の現像剤重量は400g/mとし、感光体上のトナー現像量がべた画像で5g/mとなるようにした。
・転写バイアス:直流+800V印加。
・定着温度:定着ロール表面温度を180℃に設定。
・発色固定装置光源:Y光照射部:405nmの光を露光。M光照射部:535nmの光を露光。C光照射部:657nmの光を露光。
・発色固定装置照度:130000lux。
以上条件において、感光体内部に面状ヒータ(50W)を備え付け、感光体表面の温度(トナー温度)をそれぞれ40℃、95℃にした状態で、灰色のハーフトーンの画像を形成したところ、40℃で発色情報を付与し形成した画像は、良好な発色がなされていた一方、95℃で発色情報を付与し形成した画像は、七色(レインボー色)に発色していた。
また、感光体表面に液体窒素を接触させ、感光体表面の温度(トナー温度)を0℃以下にして、上記同様にして画像を形成したところ、0℃以下で発色情報を付与し形成した画像は、発色がなされていなかった。
<試験例2、3>
試験例1の画像形成において、現像剤(1)の代わりに現像剤(2)、(3)をそれぞれ用いた以外は同様にして画像形成を行い、同様の評価を行った。その結果試験例1と同一の結果が得られた。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の電気的構成の一例を示す模式図である。 トナーの発色機構を説明するための模式図であり、(A)は発色部、(B)はその拡大状態を示す。 制御部で実行される処理を示すフローチャートである。
符号の説明
10 画像形成装置
11 感光体
11A 加熱ヒータ
12 帯電装置
14 露光装置
15 トナーカートリッジ
16 現像装置
17 温度検知センサ
18 転写装置
19A,19B 示温材
20 クリーナ
21A,21B 色検知センサ
22 定着装置
24 発色固定装置
25 トナー状態検知センサ
26 記録媒体
28 発色情報付与装置
30 システム制御部
32 表示入力部
34 情報取得部
40 変換回路
42 論理和回路
44Y イエロー発色制御回路
44C シアン発色制御回路
44M マゼンタ発色制御回路
44 発色制御回路
46 制御部
48 記憶部
50 マイクロカプセル
52 発色剤
54 顕色剤モノマー
56 光重合開始剤
58 光硬化性組成物
60 発色部

Claims (4)

  1. 光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するトナーを用いる画像形成装置であって、
    像保持体と、前記トナーを予め貯留するとともに、該トナーによって該像保持体上にトナー像を形成する現像手段と、前記画像データ中の色成分情報に基づいて、発色対象の色又は非発色対象の色に対応して予め定められた波長の光を前記トナー像に露光することにより該トナー像を構成するトナーに発色情報を付与する発色情報付与手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写されたトナー像を熱及び圧力の何れか一方又は双方により前記記録媒体に定着する定着手段と、前記記録媒体に転写されたトナー像に熱を加えることにより、前記トナー像を構成する各トナーを前記発色情報付与手段によって露光された光の波長に応じた色又は該光の波長に応じた色以外の色に発色させる発色手段と、を備える画像形成手段と、
    前記発色情報付与手段による発色情報を付与する前の前記トナーの温度を検知するトナー温度検知手段と、
    前記発色情報付与手段による発色情報を付与するときの前記トナーの温度を調整するトナー温度調整手段と、
    前記トナー温度検知手段の検知結果に基づいて、前記発色情報付与手段による発色情報を付与するときの前記トナーの温度が所定範囲となるよう前記トナー温度調整手段を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御手段が、さらに、前記トナー温度検知手段の検知結果に基づいて、画像形成を許可又は禁止するよう前記画像形成手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 画像形成装置本体に脱着され、前記現像手段を少なくとも備えるプロセスカートリッジ及び前記トナーを収納するトナーカートリッジの少なくとも1方と、
    前記プロセスカートリッジ又は前記トナーカートリッジの外面に設けられ、付与された熱に応じて色が変化する示温材と、
    前記示温材の色変化を検知する色検知手段と、
    を備え、
    前記制御手段が、さらに、前記色検知手段の検知結果に基づいて、画像形成を許可又は禁止するよう前記画像形成手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記発色手段により発色させたトナーの状態を検知するトナー状態検知手段を備え、
    前記制御手段が、さらに、前記トナー状態検知手段の検知結果に基づいて、画像形成を続行又は禁止するよう前記画像形成手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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