JP2012032455A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トナー像を記録媒体に定着させるために定着液を使用する電子写真方式の画像形成装置において定着液塗布機構からの定着液が像担持体に付着することによって発生する像担持体表面の変質を防ぐこと。
【解決手段】少なくとも像担持体と、トナー現像機構と、トナー転写機構と、トナーの樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーを軟化させる定着液を、記録媒体上に転写されたトナーまたはトナーが転写される前の記録媒体に塗布する定着液塗布機構とを備え、前記像担持体が導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、前記像担持体の最表層が架橋樹脂組成物を含有する層であることを特徴とする画像形成装置。
【選択図】なし

Description

この発明は、定着液塗布機構と架橋樹脂組成物を含有する最表層を有した像担持体とを備えた画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、光導電性を有する像担持体が使用される。
像担持体には、暗所で表面電荷を保持する機能、光を受容して電荷を発生する機能、同じく光を受容して電荷を輸送する機能が必要であるが、一つの層でこれらの機能を併せ持ったいわゆる単層型像担持体と、主として電荷発生に寄与する層と暗所での表面電荷と光受容時の電荷輸送に寄与する層とに機能分離した層を積層したいわゆる機能分離積層型像担持体とがある。
これらの像担持体を用いた電子写真法による画像形成では、暗所での像担持体へのコロナ放電や火花放電による帯電、帯電された像担持体表面上への文字や絵などの静電潜像の形成、形成された静電潜像のトナーによる現像、現像されたトナー像の紙などの記録媒体への直接転写、あるいは、中間転写機構を経ての転写が行われ、トナー像転写後の像担持体は除電、残留トナーの除去(クリーニング)、光除電などを行った後、再使用に供される。
近年、可とう性、熱安定性、成膜性などの利点により、有機物質を用いた電子写真用の像担持体が実用化され、最近においては、感光層として電荷発生材料を含有する電荷発生層と、電荷輸送材料を含有する電荷輸送層とからなる機能分離積層型像担持体が主流となっており、中でも有機顔料を電荷発生材料として蒸着層または樹脂中に分散させた層を電荷発生層とし、有機低分子化合物を電荷輸送材料として樹脂中に分散させた層を電荷輸送層として用いる負帯電型像担持体が数多く提案されている。
このような像担持体を使用した電子写真方式の画像形成装置では、像担持体上に形成されたトナー像を、転写工程で記録媒体上に転写の後、定着工程において記録媒体上のトナーを加熱して記録媒体上に定着させる「熱定着方式」が広く普及している。これはハロゲンヒーターやセラミックヒータ等の発熱体でローラやフィルム等を熱し、未定着トナーが乗った記録媒体を加圧ローラで挟んで加熱・加圧してトナーを軟化あるいは溶融、変形させ、記録紙の繊維中にアンカリングすることで定着させる。
熱定着方式は均一性、安定性に優れているため広く普及しているが、一方で発熱体を用いて加熱するために多くのエネルギーを要し、消費エネルギーが大きいという欠点がある。
熱定着方式の定着装置に比べて省エネルギー化を実現できる定着方式として、トナーを定着するために加熱を行なわず、定着液を使用した「定着液塗布方式」が知られている。定着液を使用した「定着液塗布方式」は、トナーの樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーを軟化させる軟化剤を含有する定着液を記録媒体上のトナーに塗布してトナー像を定着させるものであるため、熱定着方式よりも省エネルギー化を実現できる利点がある。
このような定着液塗布方式の定着方法として、これまでにいくつか提案がなされている。
特許文献1には、トナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶な有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着剤を、未定着トナーが所定位置に配設された記録媒体の表面に噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、記録媒体を乾燥させる定着液塗布方式定着方法が提案されている。
特許文献2には、フォーム状の定着液を記録媒体上の未定着トナーに塗布することにより、比較的少量の付着量で、記録媒体上のトナー像を乱すことなく、かつ、定着液塗布後に素早くトナーの記録媒体への定着が行われるような定着液塗布方式定着方法が提案されている。
特許文献3には、表面に定着液が塗布された定着ローラと加圧ローラとで未定着トナー画像を有する記録媒体を挟持搬送しながら、記録媒体上の未定着トナー画像に定着液を塗布し、未定着トナーの記録媒体への定着が行われるような定着液塗布方式定着方法が提案されている。
これら特許文献1〜3では、トナー像が記録媒体に転写された後に、定着液をトナー像に供給する方法がとられているが、転写工程よりも前に定着液を記録媒体に供給する方法も提案されている。
特許文献4には、定着液塗布ローラを転写位置よりも上流の記録媒体通過位置に配置し、トナーを低粘度化する定着液を記録媒体上に供給・塗布し、記録媒体を像担持体上のトナー像に対して圧着ローラにより圧着して、トナーを記録媒体に転写・定着させる方法が提案されている。
これらの定着液塗布方式の画像形成装置は、省エネルギー化の利点をもつ一方で、定着液を使用することによる以下のような欠点を有する。
特許文献1〜3のような「転写後に定着液を塗布するタイプ」の画像形成装置では、両面印刷の場合、記録媒体の表面にトナー像を形成し定着液塗布機構で定着液を塗布して定着させた後、記録媒体を記録媒体反転装置に搬送し、記録媒体の表裏を反転した後、転写位置に記録媒体を搬送し、記録媒体の裏面にトナー像を転写して、再び、定着液塗布機構で定着を行うことになる。この作像工程の中で、裏面にトナー像を転写するときに、先に印刷した面にトナー像を定着させるときに塗布されて記録媒体に残留する定着液が直接、あるいは、中間転写ベルトを経て像担持体に付着することがあった。
また、特許文献4のような「転写前に定着液を塗布するタイプ」の画像形成装置では、片面印刷するだけで、記録媒体に塗布された定着液が直接、あるいは、中間転写ベルトを経て像担持体に付着することがあった。
定着液が像担持体に付着すると、像担持体表面の溶解が発生したり、像担持体内部の電荷輸送機能を有する物質の結晶化が発生したりするなど、像担持体表面の変質を引き起こすおそれがあった。
像担持体の表面の溶解は像担持体の摩耗を促進したり、また、像担持体内部の電荷輸送物質の結晶化は明部電位の上昇やクラックを発生させたりするおそれがあった。
本発明は、トナー像を記録媒体に定着させるために定着液を使用する電子写真方式の画像形成装置において、定着液塗布機構からの定着液が像担持体に付着することによって発生する像担持体表面の変質を防ぐことを目的とする。
本発明者等は上記課題は該像担持体の最表層を架橋樹脂組成物を含有する層によって構成することにより解決することができることを見出して本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りの構成を有する画像形成装置に係るものである。
(1)少なくとも像担持体と、トナー現像機構と、トナー転写機構と、
トナーの樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーを軟化させる定着液を、記録媒体上に転写されたトナーまたはトナーが転写される前の記録媒体に塗布する定着液塗布機構と、を備え、
前記像担持体が導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、
前記像担持体の最表層が架橋樹脂組成物を含有する層であることを特徴とする画像形成装置。
(2)前記像担持体の最表層が、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と、を硬化した架橋樹脂組成物を含有することを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
(3)前記電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの官能基及び/又は前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする(2)に記載の画像形成装置。
(4)前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の電荷輸送構造がトリアリールアミン構造であることを特徴とする(2)または(3)に記載の画像形成装置。
(5)前記像担持体の最表層が少なくともフィラーを含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置。
本発明によれば、像担持体が架橋樹脂組成物を含有する最表層を有していることにより、定着液が付着しても変質しにくいため、像担持体の表面の変質による画像劣化を防ぐことができ、高耐久、長寿命な画像形成装置を提供することができる。
本発明の画像形成装置で用いる像担持体の層構成の一例を示す図である。 本発明の画像形成装置で用いる像担持体の層構成の一例を示す図である。 本発明の画像形成装置で用いる像担持体の層構成の一例を示す図である。 トナー像の転写後の記録媒体に定着液を塗布するタイプの二次転写方式の画像形成装置を示す図である。 トナー像の転写前に記録媒体に定着液を塗布するタイプの二次転写方式の画像形成装置を示す図である。 トナー像の転写後に記録媒体に定着液を塗布するタイプの直接転写方式の画像形成装置を示す図である。 トナー像の転写前に記録媒体に定着液を塗布するタイプの直接転写方式の画像形成装置を示す図である。
以下、本発明の画像形成装置において用いる像担持体の構成を図面に沿って説明する。
図1は、像担持体の構成を表す断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分として架橋樹脂組成物を含有する感光層32が設けられている。
以降、本構成を「構成(1)」と呼称する。
構成(1)は、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分として架橋樹脂組成物を含有する感光層32が最表層である。
図2は、本発明の別の構成を表す断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質とを主成分とする感光層33が設けられ、更に感光層33上に架橋樹脂組成物を含有する表面層39が設けられている。
以降、本構成を「構成(2)」と呼称する。
構成(2)は、感光層33上に設けられた架橋樹脂組成物を含有する表面層39が最表層である。
図3は、本発明の別の構成を表す断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが積層された構成をとった感光層が設けられ、更に電荷輸送層37上に架橋樹脂組成物を含有する表面層39が設けられている。
以降、本構成を「構成(3)」と呼称する。
構成(3)は、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが積層された構成をとった感光層が設けられ、更に電荷輸送層37上に設けられた架橋樹脂組成物を含有する表面層39が最表層である。
熱定着方式の画像形成装置内において、架橋樹脂組成物を含有する最表層を有していない像担持体は、架橋樹脂組成物を含有する最表層を有した像担持体に比べ摩耗量が大きいなどの性能差があるが、定着液塗布方式の画像形成装置においては、像担持体の摩耗量も含めた諸特性の差が顕著に大きくなる。
定着液塗布方式の画像形成装置において、架橋樹脂組成物を含有する最表層を有していない像担持体を使用すると、像担持体に定着液が付着することで、定着液に含まれる軟化剤等により、像担持体表面の変質を起こすおそれがあった。
すなわち、後述する定着液に含まれるトナーの樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤は、像担持体を構成する樹脂をも溶解するおそれがあり、また、樹脂内部に浸透すると、電荷輸送物質の結晶化などの変質を発生させるおそれがあった。
像担持体の表面の溶解は、著しい像担持体摩耗の促進につながる。
電荷輸送物質の結晶化は、像担持体内部の電荷輸送のトラップとなって画像濃度を低下させ、また、像担持体表面のクッラクの原因となって画像上にクラック画像を発生させるおそれがある。
一方、架橋樹脂組成物を含有する最表層を有する像担持体に定着液が付着しても、軟化剤の軟化作用は、架橋樹脂を構築している架橋構造を軟化するような作用はなく、像担持体の表面を変質させることもない。従って、定着液が付着しても、像担持体摩耗が促進されることはない。
<導電性支持体について>
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特公昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。
また、同時に用いられるバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。
このような導電性層は、これらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
<最表層および感光層について>
以下、構成(1)、構成(2)、構成(3)のそれぞれについて述べる。
〔構成(1)〕
構成(1)は、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分として架橋樹脂組成物を含有する感光層が最表層である。
電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。
これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる
最表層中に含有される電荷発生物質は最表層全量に対し1〜30重量%が好ましい。
最表層に含有している架橋樹脂組成物は、三次元架橋構造をもち、具体的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂などである。
これらの架橋樹脂構成に、電荷輸送機能を有する化合物と、上記の電荷発生機能を有する電荷発生物質と、が添加されていることが好ましい。
さらに好ましくは、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化した架橋樹脂が好ましい。
本発明に用いられる最表層の電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。
これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記(i)に示す1−置換エチレン官能基、及び下記(ii)に示す1、1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(i) 1−置換エチレン官能基
1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式(I)で表される官能基が挙げられる。
CH=CH−X1− ・・・・式(I)
(ただし、式中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す)、または−S−基を表す。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1、3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(ii) 1、1−置換エチレン官能基
1、1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH=C(Y)−X− ・・・・式(II)
(ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基)、または−CONR1213(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、Xは上記式10のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y、Xの少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。なお、これらX、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2、2、5、5、−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
また、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーは、最表層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。
また、この割合が250より大きい場合、最表層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、HPA、EO、PO等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。
また、最表層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、最表層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。
モノマー成分が20重量%未満では最表層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。
また、80重量%を超えると電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。
使用されるプロセスによって要求される耐摩耗性や電気特性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明に用いられる最表層の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。
このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。
また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造が効果が高く、1官能の化合物が好ましい。
さらに、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
Figure 2012032455
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基もしくはCONR(R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Arは置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar、Arは置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
以下に、一般式(1)、(2)で表される化合物の具体例を示す。
前記一般式(1)、(2)において、Rの置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
置換もしくは未置換のAr、Arはアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1、1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9、9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar、Arで表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR)であり、Rは(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)
Figure 2012032455

(式中、R及びRは各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R及びRは共同で環を形成してもよい)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N、N−ジフェニルアミノ基、N、N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
また、前記Ar、Arで表わされるアリーレン基としては、前記Ar、Arで表されるアリール基から誘導される2価基である。
また、前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3、3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、
Figure 2012032455

で表わされ、Rは水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar、Arで表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
また、前記Zは置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。
置換もしくは未置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2012032455

(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
Figure 2012032455

を表わす。)
上記一般式(3)で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(1)及び(2)特に(3)の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、像担持体の最表層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
最表層の作製方法としては、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などがあげられる。
これらの塗工液は、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して導電性支持体に塗布される。
その後、熱、光、電子線等のエネルギーを与えることにより架橋させる。
〔構成(2)〕
構成(2)は、感光層33上に設けられた架橋樹脂組成物を含有する表面層39が最表層である。
(感光層)
感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。
感光層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質と電荷輸送機能を有する電荷輸送物質とバインダー樹脂を適当な溶媒に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。
電荷発生物質としては、前述した無機系材料と有機系材料を用いることができる。
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2、4、7−トリニトロ−9−フルオレノン、2、4、5、7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2、4、5、7−テトラニトロキサントン、2、4、8−トリニトロチオキサントン、2、6、8−トリニトロ−4H−インデノ〔1、2−b〕チオフェン−4−オン、1、3、7−トリニトロジベンゾチオフェン−5、5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、必要により酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
感光層の作製方法としては、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などがあげられる。
これらの塗工液は、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。
感光層の膜厚は、5〜50μm程度が適当であり、好ましくは10〜35μm程度が適当である。
感光層中に含有される電荷発生物質は感光層全量に対し1〜30重量%が好ましく、感光層に含有されるバインダー樹脂は全量の20〜80重量%、電荷輸送物質は10〜70重量%が良好に用いられる。
(表面層)
最表層である表面層は、前述したフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などであり、これらの架橋樹脂構成に電荷輸送機能を有する化合物が添加されていることが好ましく、さらに好ましくは、前述した少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化した架橋樹脂が好ましい。
〔構成(3)〕
構成(3)は、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが積層された構成をとった感光層が設けられ、更に電荷輸送層上に設けられた架橋樹脂組成物を含有する表面層39が最表層である。
感光層は電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層と、から構成される。
(電荷発生層)
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じて前述のバインダー樹脂を併用することもできる。
電荷発生物質としては、前述した無機系材料と有機系材料を用いることができる。
また、必要により前述の可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からの浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などが使用できる。真空薄膜作製法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は電荷輸送機能を有する電荷輸送物質、バインダー樹脂を主成分とする層である。
電荷輸送物質としては、前述の正孔輸送物質及び電子輸送物質を用いることができ、バインダー樹脂としては、前述のバインダー樹脂が使用できる。
また、必要により前述の酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送層は、好ましくは両極性の電荷を輸送できることが好ましく、この場合は、バインダー樹脂中に正孔輸送物質、電子輸送物質を両方とも含有する。
電荷輸送層を形成する方法には、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法など方法が使用できる。
電荷輸送層の膜厚としては、5〜50μm程度が適当であり、好ましくは10〜35μm程度が適当である。
電荷発生層及び電荷輸送層は、導電性支持体上に、電荷発生層及び電荷輸送層の順で積層されていても、電荷輸送層及び電荷発生層の順に積層されていてもかまわない。
(表面層)
最表層である表面層は、前述したフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂などであり、これらの架橋樹脂構成に電荷輸送機能を有する化合物が添加されていることが好ましく、さらに好ましくは、前述した少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化した架橋樹脂が好ましい。
<下引き層について>
像担持体においては、感光層との接着性、モアレ防止を目的として、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。
下引き層は、一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物フィラーを加えてもよい。
この下引き層は前述の各層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
更に、下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。
下引き層の膜厚は、0.1〜5.0μmが適当である。
さらに本発明の最表層は、フィラー微粒子が含有されることで、最表層の機械的強度を増大させることができ、像担持体摩耗量を抑制できる。
フィラー微粒子としては、以下のようなものが使用できる。
有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコ−ン樹脂粉末、a−カ−ボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化珪素、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。
特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。
特に金属酸化物が良好であり、さらには、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタンが有効に使用できる。
またコロイダルシリカやコロイダルアルミナなどの微粒子も有効に使用できる。
また、フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.5μmであることが表面層の光透過率や耐摩耗性の点から好ましい。
フィラーの平均一次粒径が0.01μm以下の場合は、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こし、0.5μm以上の場合には、分散液中においてフィラーの沈降性が促進されたり、トナーのフィルミングが発生したりする可能性がある。
最表層中のフィラー材料濃度は、高いほど耐摩耗性が高いので良好であるが、高すぎる場合には残留電位の上昇、最表層の書き込み光透過率が低下し、副作用を生じる場合がある。従って、概ね全固形分に対して、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度である。
また更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。
フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。
例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。
シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。
表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、表面処理する前のフィラーを100wt%とした場合に3〜30wt%が適しており、5〜20wt%がより好ましい。
表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。
これらフィラー材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。
ここからは、この発明の一実施の形態について説明する。
以下、本発明をフルカラープリンタ(以下、プリンタ100という)に適用した場合の実施形態について説明する。
図4は、プリンタ100の概略構成を示す構成図である。
プリンタ100は、図4に示すように、像形成手段としての各構成部材を収納する位置固定された装置本体の中央部に、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成するための四つの作像部6(Y、C、M、K)を備えている。以下、各符号の添字Y、C、M、Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンダ、ブラック用の部材であることを示す。
プリンタ100は、四つの作像部6(Y、C、M、K)の上方には中間転写ベルト5が配置されており、四つの作像部6の下方には、記録媒体を収納し、装置本体に対して引き出し可能な給紙カセット4を備えている。
ここで、四つの作像部6(Y、C、M、K)のうちの一つについて説明するが、四つの作像部6(Y、C、M、K)は、使用するトナーの色が異なる点以外は、ほぼ同一の構成であるため、各符号の色を示す添え字Y、C、M、Kは省略して説明する。
図4に示すように、作像部6は、図4中の時計回り方向に回転するドラム状の像担持体7を備えている。
作像部6は、像担持体7の周囲に、帯電装置8、露光装置9、現像装置10、及び、クリーニング装置11等を備える。
帯電装置8は、帯電ローラを備えており、像担持体7に当接している。
露光装置9は、レーザ光が像担持体7の表面に向けて照射されるように配置されている。
現像装置10は、その内部にキャリアと共にトナーを貯留し、そのトナーを像担持体7に供給する現像部材である現像ローラを備えている。
クリーニング装置11は、像担持体清掃部材であるクリーニングブレードや残留トナー回収部材である廃トナースクリュ等により構成されている。
中間転写ベルト5は、二次転写対向ローラ12と張架ローラ13とによって張架され、張架ローラ13が駆動ローラとして回転駆動することによって図4中の矢印E方向に表面移動する。
プリンタ100は、中間転写ベルト5の図4中右側に二次転写ローラ14を備え、二次転写対向ローラ12との間に中間転写ベルト5を挟み、中間転写ベルト5上のトナー像を記録媒体に転写するための二次転写ニップを形成する。
二次転写ニップの上方には、二次転写ニップを通過した記録媒体にトナー像を定着させる定着装置15を備えている。
定着装置15は、トナー像が転写された記録媒体の表面に定着液16を塗布して、トナー像を記録媒体に定着させる定着液塗布方式の定着装置である。
定着液16には、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させる軟化剤が溶媒に溶解または分散されている。
トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤することで軟化させる軟化剤は、脂肪族エステルを含む。
この脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れている。
更に、軟化剤については、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3g/kgよりも大きい、更に好ましくは5g/kgであることが好ましい。
脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高い。
また、記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、軟化剤はトナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。
すなわち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。
脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。
なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率))を臭気の指標とすることができる。
また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。
この場合には、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。
更に、軟化剤のみならず、定着液16に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
本発明における定着液16において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含む。
また、飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。
更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。
これは、飽和脂肪族エステルが、溶解又は膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、本発明における定着液16において、好ましくは、上記の飽和脂肪族エステルの一般式は、RCOORで表される化合物を含み、Rは、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、Rは、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。
及びRの炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いとトナーに含まれる樹脂軟化能力が低下する。
すなわち、上記の飽和脂肪族エステルが、一般式RCOORで表される化合物を含み、Rは、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、Rは、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。
また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。
上記の化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。
よって、上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについて、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液16に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
上記の飽和脂肪族エステルを使用する際、その加水分解を抑制するには、RCOORの加水分解物であるRCOOHとROHの少なくとも1種類を定着液16に含有させることで、軟化剤の分解を抑制できる。
上記の加水分解物としては、例えば、ラウリン酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、ミリスチン酸、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
含有量については、特に限定しないが、カルボン酸化合物については、定着液16のpHが7以下にならないような含有量、アルコール化合物については1wt%から30wt%の含有量の範囲が適当である。
また、本発明における定着液16において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルも含む。
上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができる。
例えば、60ppm程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液16を塗布し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが望ましい。
上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液16を塗布し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1秒以内にすることが可能となる。
更に、より少量の軟化剤を添加することによって、トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができるため、定着液16に含まれる軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、本発明における定着液16において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルの一般式は、 R(COORで表される化合物を含み、Rは、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、Rは、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。
R3及びR4の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いとトナーに含まれる樹脂軟化能力が低下する。
すなわち、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R(COORで表される化合物を含み、Rは、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、Rは、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。
また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
上記の化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。
よって、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液16に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
更に、本発明における定着液16において、好ましくは上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む。
上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本発明における定着液16において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの一般式は、R(COOR−O−Rで表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、Rは、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、Rは、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。
及びR及びRの炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いとトナーに含まれる樹脂軟化能力が低下する。
すなわち、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R(COOR−O−Rで表される化合物を含み、Rは、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、Rは、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、 R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。
また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。
これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液16に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
また、脂肪酸エステルではないが、炭酸エステルである炭酸エチレンや炭酸プロピレンや炭酸ブチレンも軟化もしくは膨潤剤として適する。
また、定着液16中に浸透性改善や紙等媒体のカール防止のために油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成も望ましく、その場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが望ましい。
定着液16は定着液収容器16aに収容されており、定着液収容器16aから塗布ヘッド17によって塗布ローラ18の表面に塗布される。
塗布ローラの対向位置には、塗布対向ローラ19が備えられ、トナー像を記録媒体に定着するための塗布ニップを形成する。
次に、プリンタ100において、カラー画像を得る工程について説明する。
まず、4つの作像部6(Y、C、M、K)において、各像担持体7(Y、C、M、K)がそれぞれの帯電装置8(Y、C、M、K)によって一様に帯電される。
その後、各露光装置9(Y、C、M、K)により画像情報に基づきレーザ光が走査露光されて像担持体7(Y、C、M、K)の表面に静電潜像が形成される。
像担持体7(Y、C、M、K)上に形成された静電潜像は、現像装置10(Y、C、M、K)の現像ローラ上に担持された各色のトナーによって現像されてトナー像として可視像化される。
像担持体7(Y、C、M、K)上のトナー像は、それぞれの一次転写ニップで中間転写ベルト5上に順次重ねて転写される。
一次転写終了後の像担持体7(Y、C、M、K)は、クリーニング装置11(Y、C、M、K)のクリーニングブレードによってその表面がクリーニングされ、次の画像形成に備えられる。
一方、記録媒体は給紙カセット4内から一枚ずつ上方に向かって搬送され、その先端がレジストローラ対20に突き当たって一旦停止する。
ここで、上述の中間転写ベルト5上のトナー像と記録媒体とが、中間転写ベルト5を挟んで二次転写対向ローラ14と二次転写ローラ12との間で形成される二次転写ニップで重なるタイミングでレジストローラ対20を駆動する。
そして、二次転写ニップで二次転写対向ローラ14と二次転写ローラ12との間で形成される二次転写電界とニップ圧とによって中間転写ベルト5上のトナー像が電気的に記録媒体に転写される。
転写工程の後、記録媒体は、塗布ニップに搬送され、定着液16が塗布された塗布ローラ18によって、記録媒体に定着液16が塗布される。
このとき、記録媒体上の未定着トナーは、定着液16により軟化・膨潤しトナー同士結着し、また軟化したトナーが記録媒体の紙の繊維の内部に入り込み、直後に乾燥、硬化することで、トナー像の記録媒体への定着が行われる。
片面印刷の場合は、定着装置15でトナー像が定着された記録媒体は不図示の分岐手段によって排紙ローラ21に向かうように案内され、図4中の矢印Fで示すように、排紙ローラ21によって排紙トレイ22に排出される。
次に、両面印刷の場合の記録媒体の経路について説明する。
両面印刷の場合は、定着装置15で定着液16によって片面にトナー像が定着されるまでのプロセスは片面印刷の場合と同じであるが、定着装置15でトナー像が定着された記録媒体は、途中まで排紙トレイ22に排出された後、排紙ローラ21でスイッチバックが行われ、不図示の分岐手段によって記録媒体反転装置23に向かうように案内される。
記録媒体反転装置内の経路を搬送された記録媒体は、排紙ローラ21のスイッチバック動作と記録媒体反転装置23とで表裏が反転し、図4中の矢印Gで示すようにプリンタ100の本体内部に入る。
この後、再度、レジストローラ対20及び二次転写ニップを通過して、記録媒体の裏側の面に未定着トナーが付着し、この記録媒体の裏側の面にトナー像が定着することとなる。
裏側の面にもトナー像が定着された記録媒体は、排紙ローラ21に向かうように案内され、図2中の矢印Fで示すように、排紙ローラ21によって排紙トレイ22に排出される。
ここで、片面にトナー像が定着された記録媒体が再び二次転写ニップを通過するとき、トナー像が定着された面は二次転写ローラ12と対向するが、このトナー像が定着された面に定着液16が残留していると、記録媒体から二次転写ローラ12に若干の定着液16が付着する。
記録媒体が通過した後の二次転写ニップでは、二次転写ローラ12と中間転写ベルト5とは接触しているため、二次転写ローラ12に付着した定着液16が中間転写ベルト5に付着する。
中間転写ベルト5に付着した定着液16は、中間転写ベルト5の表面移動とともに移動して、像担持体7との一次転写ニップに到達し、最終的に像担持体7に付着する。
ここまで、「転写後に定着液を塗布するタイプ」の実施の形態について説明を述べてきたが、図5のような別の実施の形態「転写前に定着液を塗布するタイプ」の定着装置でもよい。
「転写前に定着液を塗布するタイプ」の実施の形態は、「転写後に定着液を塗布するタイプ」と帯電、露光、現像、転写、クリーニングの工程は共通である。
定着液16の塗布方法が異なっており、図5に示すとおり、レジストローラ対20と二次転写ニップの間の記録媒体の搬送経路で、定着装置15の塗布ニップにより、定着液16を記録媒体に塗布する。
定着液16が塗布された記録媒体は、二次転写ニップでトナー像が転写される。
このとき、記録媒体上の未定着トナーは、記録媒体に塗布された定着液16により軟化・膨潤しトナー同士結着し、また軟化したトナーが記録媒体の紙の繊維の内部に入り込み、直後に乾燥、硬化することで、トナー像の記録媒体への定着が行われる。
この「転写前に定着液を塗布するタイプ」では、片面印刷の場合でも、転写前に記録媒体に塗布された定着液16が、転写工程で中間転写ベルト5に付着し、中間転写ベルト5の表面移動とともに移動して、像担持体7との一次転写ニップに到達し、最終的に像担持体7に付着する。
また、上記2つの実施の形態は、中間転写ベルト5を使用した、中間転写方式のフルカラープリンタであるが、像担持体から記録媒体にトナー像を直接転写する直接転写方式のプリンタでもよい。
図6に示すプリンタは、別の実施の形態「転写後に定着液を塗布するタイプ」の直接転写方式のプリンタである。
図7に示すプリンタは、別の実施の形態「転写前に定着液を塗布するタイプ」の直接転写方式のプリンタである。
図6に示す実施の形態では、両面印刷の場合、転写ローラ24と像担持体7とが対向してニップを形成しているため、転写ローラ24残留した定着液16が、像担持体7に付着する。
図7に示す実施の形態では、片面印刷の場合でも、記録媒体に塗布された定着液16が、像担持体7に付着する。
これより、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
[実施例1]
下記組成の、像担持体Aを作成した。
Al製支持体(外径30mmΦ)に、乾燥後の膜厚が3.5μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
・下引き層用塗工液
アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL:大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60:大日本インキ化学工業製)
酸化チタン(CR−EL:石原産業製)
メチルエチルケトン
<混合比(重量)>
アルキッド樹脂/メラミン樹脂/酸化チタン/メチルエチルケトン=3/2/20/100
この下引き層上に下記構造のビスアゾ顔料を含む電荷発生層塗工液を浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
・電荷発生層用塗工液
下記構造のビスアゾ顔料
Figure 2012032455
ポリビニルブチラール(XYHL:UCC製)
2−ブタノン
シクロヘキサノン
<混合比(重量比)>
ビスアゾ顔料/ポリビニルブチラール/2−ブタノン/シクロヘキサノン=5/1/100/200
この電荷発生層上に下記構造の低分子電荷輸送物質を含む電荷輸送層用塗工液を用いて、浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚22μmの電荷輸送層とした。
・電荷輸送層用塗工液
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート
下記構造の低分子電荷輸送物質
Figure 2012032455
テトラヒドロフラン
<混合比(重量比)>
ポリカーボネート/電荷輸送物質/テトラヒドロフラン=1/1/10
この電荷輸送層上に下記塗工液を用いてスプレー塗工し、150℃加熱乾燥・硬化させ、膜厚4.0μmの架橋表面層とした。
・架橋表面層塗工液
イソシアネート(タケネートD140N <IPDIアダクト> :三井武田ケミカル社製)
ポリオール(下記構造のポリオール:分子量334.16)
Figure 2012032455
下記構造の電荷輸送物質
Figure 2012032455
アセトン
セロソルブアセテート
メチルイソブチルケトン
<混合条件>
NCO/OH=1.0
ポリオール/電荷輸送物質重量混合比(重量比) : 1/1
固形分濃度 10wt%
溶剤混合比(重量比) アセトン/セロソルブアセテート/メチルイソブチルケトン=4/4/1
以上のようにして作成した像担持体を、タンデム方式のフルカラーデジタルプリンターIPSiO SPC 820の熱定着装置を「転写後に定着液を塗布するタイプ」の定着液塗布方式定着装置に改造した機械に搭載し、書き込み率5%チャート(A4全面に対して、画像面積として5%相当の文字が平均的に書かれている)を用いて両面印刷を行い、通算2.5万枚(5万ページ)印刷する耐刷試験を行った。
定着液の組成は
コハク酸ジエトキシエチル (クローダDES:クローダ社製) 10wt%
プロピレングリコール 5wt%
POE(20)ラウリルソルビタン(レオドールTW-S120V:KAO製) 5wt%
イオン交換水 80wt%
とした。
2.5万枚(5万ページ)印刷後、像担持体摩耗量評価、像担持体表面ランク評価、画像品質評価を行った。
<像担持体摩耗量評価>
像担持体摩耗量評価は、初期および2.5万枚(5万ページ)での像担持体の膜厚を渦電流式膜厚計(フィッシャー社製、フィッシャースコープMMS)を用いて測定して求めた。
<像担持体表面ランク評価>
像担持体表面ランク評価は、2.5万枚(5万ページ)耐刷試験後の像担持体表面を目視観察し、以下の基準でランク評価を行った。
《感光体表面ランク評価基準》
ランク5 : クラック発生無し
ランク4 : クラックらしきものが僅かに見られる
ランク3 : クラックらしきものが確認できるが数は少ない
ランク2 : クラックがはっきり確認できるが数はすくない
ランク1 : クラックがはっきり確認できて全面に多数発生している
<画像品質評価>
画像品質評価は、像担持体表面の変質が異常画像となって現れるか確認を行った。具体的には、画像濃度低下およびクラック画像に着目して確認した。
結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、像担持体の架橋表面層を以下のものに変更した以外は実施例1と同様にして、像担持体Bを作製した。
電荷輸送層上に下記構成の架橋表面層塗工液を用いてスプレー塗工し、光エネルギー照射槽内に窒素を送り込み、酸素濃度0.6〜1.2%に維持し、メタルハライドランプ、照射光強度:450mW/cm2、照射時間:120秒の条件で光照射を行ない、更に130℃で30分乾燥を加え、4.0μmの架橋表面層を設けた。
・架橋表面層塗工液
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー1 (KAYARAD TMPTA:日本化薬製))
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー2 (KAYARAD DPCA120:日本化薬製)
下記構造の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物〔電荷輸送化合物〕
Figure 2012032455
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン〔光重合開始剤〕 (イルガキュア184 : チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)
テトラヒドロフラン
<混合比>
モノマー1/モノマー2/電荷輸送化合物/光重合開始剤/テトラヒドロフラン=8/2/10/1/80
以上のようにして作成した像担持体を、実施例1と同様に機械に搭載して評価を行った結果を、表1に示す。
[実施例3]
実施例2において、架橋表面層塗工液を以下のものに変更した以外は実施例2と同様にして、像担持体Cを作製した。
・架橋表面層塗工液
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー1(KAYARAD TMPTA:日本化薬製))
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー2 (KAYARAD DPCA120:日本化薬製)
実施例2と同様の構造の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物〔電荷輸送化合物〕
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン〔光重合開始剤〕 (イルガキュア184 : チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)
アルミナ微粒子〔フィラー〕 (AA03:住友化学製)
テトラヒドロフラン
<混合比(重量比)>
モノマー1/モノマー2/電荷輸送化合物/光重合開始剤/フィラー/テトラヒドロフラン=8/2/10/5/1/80
以上のようにして作成した像担持体Cを、実施例1と同様に機械に搭載して評価を行った結果を、表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、熱定着装置を「転写前に定着液を塗布するタイプ」の定着液塗布方式定着装置に改造したフルカラーデジタルプリンターIPSiO SPC 820に変更した以外は実施例1と同様にして、評価を行った結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例2において、熱定着装置を「転写前に定着液を塗布するタイプ」の定着塗布与方式定着装置に改造したフルカラーデジタルプリンターIPSiO SPC 820に変更した以外は実施例3と同様にして、評価を行った結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例3において、熱定着装置を「転写前に定着液を塗布するタイプ」の定着塗布与方式定着装置に改造したフルカラーデジタルプリンターIPSiO SPC 820に変更した以外は実施例3と同様にして、評価を行った結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、架橋表面層を設けず、電荷輸送層膜厚を26μmとすること以外はすべて実施例1と同様にして作成した像担持体Dを、実施例1と同様に機械に搭載して評価を行った結果を、表1に示す。
[比較例2]
実施例4において、架橋表面層を設けず、電荷輸送層膜厚を26μmとすること以外はすべて実施例4と同様にして作成した像担持体Dを、実施例4と同様に機械に搭載して評価を行った結果を、表1に示す。
Figure 2012032455
表1の結果から、比較例1および2の定着液塗布機構と最表層が架橋樹脂ではない像担持体とを備えた画像形成装置では、定着液が像担持体に付着することで、像担持体の摩耗量が著しく多くなっている。
また、像担持体表面の結晶化による、画像濃度低下と多数のクラック画像が発生した。
これに対し、実施例1〜6の定着液塗布機構と最表層が架橋樹脂からなる像担持体とを備えた画像形成装置は、定着液が像担持体表面に付着する状況であっても、架橋樹脂表層の像担持体を用いていることから、定着液が像担持体表層を溶解したり、内部に浸透したりすることが抑制されることにより、像担持体表面の変質が生じにくく、画像劣化を防ぐことができることがわかった。
目視ではクラックが確認できるものの、画像には影響のない実施例もあるが、像担持体の高耐久化のためには、より好ましくはクラックは抑制したほうが好ましい。
実施例1〜6に示すように、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化した架橋樹脂が好ましい。
さらに、像担持体摩耗量を低減させるためには、架橋樹脂の表面層にフィラーの微粒子を含有させるほうが好ましい。
この傾向は、「転写後に定着液を塗布するタイプ」に比べ、定着液が付着する可能性がより高い「転写前に定着液を塗布するタイプ」の定着液塗布機構の画像形成装置において見て取れる。
以上から、本発明によれば、定着液塗布方式の定着装置からの定着液が像担持体に付着しても、像担持体が架橋樹脂表層を有していることにより、像担持体の表面の変質による画像劣化を防ぐことができ、高耐久、長寿命な画像形成装置を提供できる。
本発明の画像形成装置は、定着のために熱を不要とする定着液塗布方式であるため省エネルギー化を実現することができ、かつ、定着液塗布機構からの定着液が像担持体に付着することによって発生する像担持体表面の変質を防ぐことができるので、複写機、静電印刷、プリンター、ファクシミリ、静電記録等の電子写真方式の画像形成装置として好適に使用できる。
4 給紙カセット
5 中間転写ベルト
6 作像部(Y、C、M、K)
7 像担持体(Y、C、M、K)
8 帯電装置(Y、C、M、K)
9 露光装置(Y、C、M、K)
10 現像装置(Y、C、M、K)
11 クリーニング装置(Y、C、M、K)
12 二次転写対向ローラ
13 張架ローラ
14 二次転写ローラ
15 定着装置
16 定着液
17 塗布ヘッド
18 塗布ローラ
19 塗布対向ローラ
20 レジストローラ対
21 排紙ローラ
22 排紙トレイ
23 記録媒体反転装置
31 導電性支持体
32 感光層
33 感光層
35 電荷発生層
39 表面層
特許第3290513号公報 特許第4302700公報 特開昭59−119364号公報 特開平04−051072号公報

Claims (5)

  1. 少なくとも像担持体と、トナー現像機構と、トナー転写機構と、
    トナーの樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーを軟化させる定着液を、記録媒体上に転写されたトナーまたはトナーが転写される前の記録媒体に塗布する定着液塗布機構と、を備え、
    前記像担持体が導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、
    前記像担持体の最表層が架橋樹脂組成物を含有する層であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記像担持体の最表層が、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と、を硬化した架橋樹脂組成物を含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの官能基及び/又は前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  4. 前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の電荷輸送構造がトリアリールアミン構造であることを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
  5. 前記像担持体の最表層が少なくともフィラーを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
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