JP4876771B2 - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は静電記録方式を用いた画像形成装置及び画像形成方法に関するものであり、異なる波長の光を露光することにより異なる色に発色するトナーを用いた画像形成方法及び画像形成装置に関するものである。
従来より電子写真方式でカラー画像を得る記録装置においては、基本三原色をそれぞれの画像情報に応じて現像し、これらのトナー像を順次重ね合わせることでカラー画像を得ている。一般的な装置構成としては、画像形成の方法によって潜像形成された一つの感光体ドラムに各色ごとに現像し、それらを転写部材にその都度転写することを繰り返してカラー画像を得る所謂4サイクル機、あるいは各色の画像形成手段ごとに感光体ドラム、現像装置を具備して転写部材が移動することにより順次連続してトナー像を転写してカラー画像を得るタンデム機などが知られている。
これらは少なくとも、タンデム機では各色ごとにそれぞれの画像形成装置を持ち、4サイクル機では各色ごとにそれぞれの現像装置を持つ。そのため、通常のカラー画像形成では三原色に黒色を加えた4つの画像形成装置、あるいは現像装置が必要であり、それら4つの画像形成手段の同期を整合する手段が必要になるなど、装置の大型化やコストの増大は避けられないものとなっている。
これに対し、単一の現像装置でカラー画像を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここで開示されている方法は、異なる波長の光により異なる色に発色するトナーを使用し、1つの現像器でカラー画像を得るプロセスであるが、トナーを発色させる方法の記載が無く、実現性に乏しいもので、希望の表明となっている。また別の方法の提案では(例えば、特許文献2参照)、トナーカプセル壁のシス−トランス遷移を利用した方法が開示されており、工夫が見られるものの、一般的にこういった遷移は可逆的であったり反応性が弱かったりするため、発色に時間がかかり実用上問題が多い。
さらに別の提案では(例えば、特許文献3参照)、発色剤が異なる波長の光(発色情報付与光)を露光することでそれぞれの発色情報に応じた発色をする機能を有する発色をする機能を有している発色粒子を複数積層させた感光シートとして作成し、発色情報付与光を与えた後発色させてカラー画像を得る方法が開示されている。この方法は、発色剤前駆体(以下、「発色剤」という場合がある)と、発色剤を発色させるための顕色性化合物(以下、「顕色剤モノマー」という場合がある)とを組み合わせ、顕色剤モノマーを熱などの刺激により泳動拡散させて反応発色させるものである。このとき、発色情報付与光照射を受けた顕色剤モノマーは、重合開始剤の作用で重合反応が起き発色剤を包む隔壁の微細な空孔を通過できなくなり発色に至らず、発色できる発色剤のグループ(以下、「発色要素」という場合がある)と発色できない発色要素とに分化されるというものである。また顕色剤モノマーまたはこれに作用して重合を促す重合開始剤を特定波長の光に感応させることで、この発色要素は特定の色情報光に反応するようになる。
このような特定色(例えばYellow、Magenta、Cyan等の三原色など)に発色する発色剤をそれぞれ異なる特定波長の光に反応する顕色剤モノマーや重合開始剤と組み合わせることで、それぞれの特定色を発色する発色要素の発色、非発色を制御できる。この発色要素をそれぞれの発色要素ごとに積層して感光シートとするものである。しかしながら、こういった感光性の発色粒子を塗布するシートを予め準備することは、その取り扱いに慎重さを求められ、また保管法も充分な遮光性を持つ暗箱が必要となる。さらには、通常の普通紙が使用できないなど問題が多い。
そして何よりも、このようなトナーに発色情報を付与するための発光装置には極めて過大な発光エネルギーが必要となる。特に微細な発色画像情報を与えるための発色情報付与手段として、レーザー発光素子などを用いることが期待されるものの、発色システムにおいて、市販のレーザプリンタに使用されているレーザ光源のおよそ1000倍の光源が必要とされ、この光源使用により像担持体としての感光体へのダメージは大きく、光劣化、光メモリの増大が起こり、繰り返しの使用性も劣るものとなる。
したがって、このようなトナーを用いた画像形成装置は非常に優れたシステムであるにも拘わらず、実用化に向けて依然として上記のような課題の解決が望まれている。
特開昭63−311364号公報 特開2003−330228号公報 特開平4−211252号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、記録媒体としてのシートが簡便に取り扱い可能であり、また普通紙の使用が可能であること、単一の像担持体と単一の現像装置とからなる小型のカラープリンターを得ること、そして何よりも形成されたトナー像に対して発色情報の付与を行うことにより該トナー像を発色させ、1つの現像器でフルカラー画像形成を行う際の前記発色情報の付与に過大な光エネルギーを必要とせず、そのことによるシステムの小型化、省エネルギー化が可能な画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
<1> 光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いる画像形成方法であって、
像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、該像担持体表面に形成されたトナー像に光による発色情報を付与するための発色情報付与工程と、該発色情報を付与されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、該記録媒体表面に転写されたトナー像を記録媒体上に永久定着する定着工程と、前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色工程と、を含み、
さらに、前記トナー像形成工程より後であり、かつ、前記発色情報付与工程より前又は前記発色情報付与工程と略同時に、前記像担持体表面のトナー像に対してトナーが感度を有する波長域の副光を照射する副光照射工程を有し、
前記像担持体が感光体であり、前記副光の主たる波長域が、該感光体の主感度波長域外である画像形成方法である。
<2> 前記副光照射工程が、像担持体表面に形成されたトナー像が実質的に発色能力を失わない状態にまで、トナーに光エネルギーを与える工程である<1>に記載の画像形成方法である。
> 前記トナーが、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれかを含む光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化または未硬化の状態を維持して、前記発色する反応が制御されるトナーである<1>に記載の画像形成方法である。
<4> 光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いる画像形成装置であって、
像担持体と、該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該像担持体表面に形成されたトナー像に光による発色情報を付与するための発色情報付与手段と、該発色情報を付与されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、該記録媒体表面に転写されたトナー像を記録媒体上に永久定着する定着手段と、前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色手段と、を含み、
さらに、前記トナー像形成手段より像担持体の移動方向下流側に、前記発色情報が付与されるより前又は前記発色情報の付与と略同時に前記像担持体表面のトナー像に対してトナーが感度を有する波長域の副光を照射する副光照射手段を有し、
前記像担持体が感光体であり、前記副光の主たる波長域が、該感光体の主感度波長域外である画像形成装置である。
上記画像形成装置では、例えばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び黒(K)の4つの色の画像形成情報の論理和で像担持体上にトナー像を形成し、その後、色情報に応じた波長の光でそれぞれのトナー像を露光することによりそれぞれのトナー像に発色情報を付与し、その後、発色情報を付与された前記トナー像が記録媒体に転写、定着され、この前後または同時にトナーの発色反応が行なわれることによりカラー画像が得られる。この方法によって、1つの像担持体と1つの現像器でフルカラー画像を得ることのできる大幅な小型フルカラープリンターが可能となる。
さらに本発明における副光照射手段により、発色情報付与手段のみによる発色情報付与による高エネルギー発光手段、例えばガスレーザ等の高強度の光源を用いる必要がなく、その駆動電源、レーザ装置の実装容積が殆ど無視できるようになるので、画像形成装置の小型化や省エネルギー化を達成することができる。
本発明によれば、形成されたトナー像に対して発色情報の付与を行うことにより該トナー像を発色させ、1つの現像器でフルカラー画像形成を行う際において、前記発色情報の付与に過大な光エネルギーを要せず、システムの小型化、省エネルギー化が可能な画像形成方法及び画像形成装置を提供すること画像形成を行うことができる画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の画像形成方法(画像形成装置)は、光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いる画像形成方法(画像形成装置)であって、像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、該像担持体表面に形成されたトナー像に光による発色情報を付与するための発色情報付与工程と、該発色情報を付与されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、該記録媒体表面に転写されたトナー像を記録媒体上に永久定着する定着工程と、前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色工程と、を含み、さらに、前記トナー像形成工程より後(以下「現像工程より後」と称する場合がある)であり、かつ、前記発色情報付与工程より前又は前記発色情報付与工程と略同時に、前記像担持体表面のトナー像に対してトナーが感度を有する波長域の副光を照射する副光照射工程を有することを特徴とする。
本発明に用いられるトナーは、例えばトナーの1粒1粒が異なる波長の光で露光されると、該波長に応じた色に発色する、あるいは発色しない(非発色)状態を維持する機能を有している。すなわち、トナーがその内部に光による発色情報の付与により発色可能な発色性物質(さらにはこれを含む発色部)を有しており、前記光による発色情報の付与により、トナーが発色または非発色の状態を維持するように制御されるものである。
ここで、前記「光による発色情報の付与」とは、トナー像を構成する個々のトナー粒子単位で発色/非発色状態や発色した際の色調を制御するために、トナー像の所望の領域に対して選択的に1種類以上の特定波長の光を付与する、あるいは、何らの光を付与しないことを意味する。
また、前記のようなトナーとしては、前記機能を発揮できるものであれば特に制限されず、例えば前記特許文献1、2に記載のトナーや、後述する本発明に好ましく用いられるトナーなどを挙げることができる。
上記トナーを用いた画像形成装置では、このようなトナーを1つの現像器に搭載し、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び黒(K)の4つの色の画像形成情報の論理和で像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を該トナーで現像してトナー像とし、例えばしかる後、色情報に応じた波長の光で該トナー像を露光して該トナー像に発色情報を付与する。その後、発色情報を付与された前記トナー像が記録媒体に転写され、その後熱と圧力により記録媒体に定着される。この時、前記熱によりトナーの発色反応が行なわれ、カラー画像が得られる。
従って、1つの像担持体と1つの現像器でフルカラー画像を得ることができるので、画像形成装置本体の大きさは、理論的には限りなくモノクロプリンタ並みの大きさに近づくこととなり、装置の小型化が可能となる。これに加えて、トナー像の形成に際して色毎にトナーを積層する必要がないために画像表面の凸凹が抑制でき、画像表面の光沢を均一にすることができ、更に、トナーに顔料等の着色剤を使わないため、銀塩ライクな画像を得ることも可能である。
しかし、前述のように、例えば後述する本発明に用いるトナーでは、0.1〜0.2mJ/cmの発色記録感度を有するが、これを既存のレーザ発光装置等により発色情報露光を行なうためにはきわめて過大な発光エネルギーが必要である。したがって、この光源使用による感光体へのダメージは大きく、光劣化、光メモリの増大が起こり、繰り返しの使用性も劣るものとなる。
上記問題に対し、本発明においては、前記画像形成プロセスにおいて、像担持体表面のトナー像に発色情報付与のための発色情報付与光を与える工程の前後に、例えば後述する光非発色型トナーの場合には、前記特定色に発色するトナーに含有されている発色材が画像形成時に実用的な非発色状態に至らない程度の発色情報付与光と同等の波長域を有する副光照射を行うことにより、発色情報付与のための露光強度を低減させることができるものである。
すなわち、特定色に発色させるトナー像に対して、発色情報付与のための露光前後に例えば一般白色光を照射することで、必要な発色情報露光光源の出力を抑えるとともに、発色情報付与のために高強度の光源を用いずに、例えば一般的な半導体レーザの如き小型で低出力の省エネルギー型発光装置を利用できるようになる。
現像工程後の光照射は、トナーを像担持体上へ留め置いている潜像電荷、あるいは潜像電界バリアを消失させ、または低減させる可能性があり、この後の工程である転写工程においては非接触のコロナイオンを用いる静電転写などは避けるべきであり、例えばバイアス電位を印加されたローラー状の転写装置などが好ましい。
さらに、本発明では像担持体が感光体であり、前記副光照射に用いる光源の波長域を感光体の主感度波長域外に設定するものであるため、感光体は副光照射に曝露されても感光せず、感光体へのダメージを低減させることができ、光劣化(感度減少)、光メモリの増加が抑制できる効果がある。
画像形成プロセスは、いわゆる電子写真プロセス、誘電体上にイオンなどで電気的潜像を形成するプロセス(イオノグラフィ)などが挙げられるが、まず、本発明が適用する、光による発色情報に応じて発色または非発色の準備状態を制御することが可能なトナーを用いた電子写真プロセスによるカラー画像を形成する画像形成方法(画像形成装置)を、簡単に説明する。
なお、前記イオノグラフィを用いた画像形成装置に関しては、後述するトナー像形成工程が異なるのみで、他の工程は同様であるため、適宜併せて説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、通常の電子写真プロセスに用いる感光体(像担持体)10、帯電装置12、露光装置14、現像装置16、転写装置(転写手段)18、定着装置(定着手段)22を有している。また、本装置においては、現像装置16の感光体回転方向(矢印C)の下流側に副光照射装置(副光照射手段)17、及び現像後のトナー像に発色情報を付与する発色情報付与装置28が設けられており、定着装置22はトナー像を発色させる発色装置(発色手段)を兼ねている。さらに、定着装置22の下流側にはトナーの発色を固定化するための記録媒体26への光照射を行う光照射装置(光照射手段)24が設けられている。符号20はクリーナである。
以下、本発明の画像形成装置の構成を、画像形成プロセスにおける各工程に沿って説明する。
<トナー像形成工程>
図1に示すような像担持体が感光体10である場合には、前記トナー像形成手段には、感光体表面を帯電する帯電装置12と、該感光体表面に露光により静電潜像を形成する露光装置14と、該静電潜像を前記トナーを含む現像剤によりトナー像とする現像装置16とが含まれる。
まず、帯電装置12により感光体10の表面全面を帯電させる。
感光体10としては、公知のいかなるものも用いることができる。例えば、導電性基体上にSe、a−Si等の無機の感光層、あるいは単層若しくは多層の有機感光層を形成したものである。ベルト状感光体の場合は、基体としてPET、PC等の透明樹脂が使用でき、その厚みはベルト状感光体を張架するロールの径、張力等の設計事項から決められ、通常おおよそ10〜500μm程度の範囲が用いられる。その他の層構成等は一般に使用される感光ドラムの場合と同様である。
なお、後述する像形成露光や発色情報付与露光を感光体10の背面(感光体の内側)から行う場合には、前記基体を透明な樹脂等とした透明感光体を用いることができる。透明感光体の場合には、感光体基体として露光光に対して必要な感度波長光に対し吸収、反射などがない、実質的に透明な材質を用いる。そういった条件のもとで例えば基材用材料としてガラス、プラスチック材料が用いられ、電極形成の為に、外表面に導電層が形成されるが、基材材料自体が導電化処理されていてもよい。なお、透明感光体を用いない場合は、上述の透明基体のほかに通常用いられるアルミウムなどの金属円筒体やニッケルシームレスベルトなどの基体材料も用いることができる。
感光体10の表面側から発色情報を付与する場合には、感光体10の表面には、発色情報付与のための露光による感光体10の劣化を防止する機能を持たせることが好ましい。具体的には、感光層の表面に潜像形成のための露光光のみ透過し、本発明における副光や発色情報付与のための露光光を反射する(ただし、潜像形成のための露光光は透過する)表面層を設けることが有効である。該表面層としては、ダイクロイックコートなどを挙げることができる。
一方、イオノグラフィによりトナー像を形成する場合は、感光体10の代わりに誘電体をもちいる。誘電体としては、前記透明感光体における感光層の代わりに誘電体層、例えば、PET、PC等のプラスチックを用いたものを使用することができる。この場合、例えば、後述する加熱により発色させるトナーを用いる場合、耐熱性の誘電体を用いるなどすれば像形成、トナー像形成、発色情報付与、加熱による発色、の工程が誘電体上で行うことが可能であり、発色画像のレジストレーションなどが容易になされることで品質の向上が期待でき、また更なる装置の小型化が可能になる。
感光体10の帯電には公知の帯電手段が使用できる。接触方式である場合は、ロール、ブラシ、磁気ブラシ、ブレード等公知のものが使用でき、非接触の場合は、コロトロン、スコロトロン等公知のものが使用できる。帯電手段としてはこれらに限られるものではない。
これらの中でも、帯電補償能力に優れる点で接触型帯電装置が好ましく用いられる。接触帯電方式は、感光体表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより感光体表面を帯電させるものである。導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、あるいはロール状等何れでもよいが、特にロール状部材が好ましい。通常、ロール状部材は外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層と芯材から構成される。さらに必要に応じて、抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
これらの導電性部材を用いて感光体10を帯電させる方法としては、導電性部材に電圧を印加するが、印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが用いられる。印加電圧の範囲としては、直流電圧は要求される感光体帯電電位に応じて正または負の50〜2000Vに設定されることが一般的である。交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧(Vpp)が400〜1800Vに設定されることが一般的であり、サイン波、矩形波、三角波などが使用可能である。
帯電電位は、通常のトナーの現像能力に鑑み、電位の絶対値で100〜1000Vの範囲に設定されることが一般的である。
静電潜像の形成には公知の露光装置14が使用できる。露光装置14としては、例えばレーザスキャニングシステム、LEDイメージバーシステム、アナログ露光手段、さらにはイオン流制御ヘッド等などを用いることができ、図1における矢印Aのように感光体10表面に露光を行うことが可能である。これ以外にも今後開発される新規な露光手段が本発明の効果を達成する限り使用できる。
光源の波長は、感光体10の分光感度領域にあるものが使用される。これまで、半導体レーザの波長として780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流であるが、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400〜450nm近傍に発振波長を有するレーザも利用が可能である。また、カラー画像形成のためにはマルチビーム出力が可能なタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
感光体10に対する露光は、反転現像の場合は後述するトナーが現像される範囲に、正規現像の場合はトナーが現像される範囲外の位置に、前記4つの色の画像形成情報の論理和を基に行なわれる。露光スポット径は、例えば解像度が200〜1200dpiの範囲となるように設定されるのが一般的であって、その場合1/eのエネルギー範囲と定義すれば、130μm以下の範囲となるように設定される。露光量としては、露光後電位が前記帯電電位の少なくとも50%以下程度の範囲となるようにすることが好ましいが、画像の階調に応じてトナーの現像量を変化させる場合には、露光位置ごとに現像量に応じて露光量を変化させてもよい。
一方、前記イオノグラフィの場合には、イオン書込みヘッドにより像担持体上に潜像を形成する。イオン書込みヘッドとしては、例えば、イオン流を画像信号によりOn/Off制御するもの(特開平4−122654号公報)や、イオン流の発生そのものをOn/Off制御するもの(特開平6−99610号公報)などを用いることができる。
前記静電潜像に対する現像には、公知の現像装置16が使用できる。現像法としては、キャリアと呼ばれるトナーを担持するための微小粒子とトナーからなる二成分現像法、またはトナーのみからなる一成分現像法、またこれらの現像法においてさらに現像その他の特性改善のために別の構成物質が添加される場合もある。本発明においては、液体現像法を含む公知の全ての現像方法が使用できる。
すなわち、現像方法によっては感光体10へ現像剤が接触または非接触で現像を行なうもの、あるいはそれらの組み合わせのいずれもが使用可能である。さらに、前記一成分現像法と二成分現像法とを組み合わせたハイブリッド現像方法も使用可能である。これ以外にも、今後開発される新規な現像手段が本発明の効果を達成する限り使用できる。
なお、前記現像剤に含まれるトナーとしては、例えばY色に発色可能な発色部(Y発色部)、M色に発色可能な発色部(M発色部)及びC色に発色可能な発色部(C発色部)を1つのトナー粒子中に含むものであってもよいし、前記Y発色部、M発色部、C発色部を各々トナーごとに別々に含むものであってもよい。
また、形成されたトナー像Tにおいて、後述する発色情報付与のための光が、当該照射された部分全体に行き渡らなければならないため、光透過能によりトナー層厚は一定以下に抑えることが好ましい。
<副光照射工程>
本発明においては、前記現像工程の後発色情報付与のための露光以前に、少なくともトナー像にトナーが吸収する波長域の副光が照射される。図1においては、副光照射装置17から、矢印Dに示すような発色情報付与のための露光(矢印B)と略同時に、トナー像Tに光照射が行われている。
なお、上記副光照射領域は、少なくともトナー像のみであればよいが、本工程を通過する感光体表面域の他の領域に照射されてもよい。
本工程における「副光」とは、前記光発色するトナーに含まれている発色剤が画像形成の一環として発色する際に、その部分の発色能力を失わない状態、すなわち、現像されたトナー群が最終的に形成すべき画像において、群として発色する能力を失わない状態にまで実用的な重合状態を発生させる光を意味し、副光照射のみではその画像部分としての発色状態を失うものではない。したがって、例えば発色情報付与のために0.2mJ/cmの露光が必要なトナーの場合、0.199mJ/cmの副光照射を行えば、後述する発色情報付与手段による露光は、残る0.001mJ/cm程度以上のエネルギー付与でよく、装置全体の小型化や省エネルギー化を図ることができる。
なお、上記「発色能力を失わない」とは、後述する光非発色型トナーの場合に関しては、非発色状態を維持する能力を失わないことに相当するものである。したがって、光非発色型トナーの場合には、具体的には、本発明における副光照射では、トナー群が非発色状態を作り出すことができるまでの光エネルギー量全体に対して、実際に発色情報付与のために用いられる光源の光エネルギー値を減じたエネルギーが必要である。
光源としては所定の光強度が得られるものならば公知のものがすべて使用でき、例えば、LED、EL(エレクトロルミネッセンス)、蛍光灯、などが用いられる。また、これら以外にもそれだけでは発色情報付与ができない光強度の発光手段であっても、後述の発色情報付与手段と併用することでトナーに発色情報が付与できる全ての発光手段が使用可能である。
ただし、前記副光照射装置17における照射光としては、前記の理由からトナーが感度を有する波長域を有することが必要である。ここで、「トナーが感度を有する」とはトナーが発色または非発色の状態を維持する状態に移行できる光の吸収を有することをいう。
前記副光の波長域が、例えば、後述するようにトナー像Tに発色情報を付与するための露光の波長(トナー像が吸収する光の波長)が405nm、532nm、657nmである場合には、それらの波長を含む光源を用いる必要がある。
また、副光照射によっても感光体10はダメージを受けないことが好ましく、この観点からは、前記副光の主たる波長域は感光体10の主感度波長域外であるここで、上記副光の主たる波長域とは、該副光の最大発光強度に対して発光強度が少なくとも50%以上となる波長域をいい、上記感光体10の主感度波長域外とは、用いる感光体の最大分光感度に対して分光感度が少なくとも50%以下となる波長域をいう。
これより高い感度域では経験的に光メモリが品質に影響を与える可能性が高まる。この意味でイオノグラフィなど感光体を用いない潜像形成法は有効である。
なお、前記のような条件を満たす光照射とするためには、前述の光源のうちでは、例えば感光体10が光吸収する以外の波長で、かつトナーが光吸収する波長を発するLEDを用いることができるが、感光体10の光吸収波長域をカットするフィルターを有するランプ、等を用いることも可能である。
前記副光照射装置17の配置場所は、現像装置16の感光体回転方向下流側で発色情報付与装置28による露光以前より発色情報付与と略同時までの間に前記副光照射が行える位置であれば特に制限されない。すなわち、副光照射は現像工程におけるトナー像形成後、発色情報付与のための露光が行われる以前であれば、どのようなタイミングで行われてもよいが、本発明においては、前記副光照射が、(1)感光体表面にトナー像Tが形成された後から発色情報が付与されるまでの間、または、(2)発色情報付与のための露光と略同時に行われることが好ましい。
ここで、上記「略同時」とは、発色情報付与のための露光と完全に同時のタイミングを含め、該タイミング前であって前述の様に実質的に発色能力を失わない程度に光エネルギーを与えられる間であれば問題ない。このタイミングや照射エネルギー量は用いられるトナーにより最適な状態になるように選ばれる。
上記副光照射が行われるタイミングと照射量は、例えば光非発色型トナーの場合には、形成画像上のトナー群が非発色状態となるまでの機構によって異なる。例えば、トナーが非発色状態に移行する反応が可逆的である場合には、弱い光を一定時間照射しても発色情報付与前にトナーを発色不可能なエネルギー状態にまで到達させることは困難であることから、比較的強い光を瞬間的に照射したほうがよい。一方、本発明に用いるトナーのごとく反応が不可逆的である場合には、付与した光エネルギーが系内に蓄積されていくため、感光体にダメージを与えないためにも比較的弱い光を一定時間で照射したほうがよい。
特に、前記のような態様で副光照射を行うことは、前記トナー中で進行する有機反応は一般的に無機反応と比べ反応に時間を要し、充分なエネルギーを与える時間が必要なことも多いことから有効である。さらに、副光照射を現像工程後から発色情報付与工程に到る間の照射とすることで、副光照射装置17の発光強度を抑制することもできる。
なお、上記連続的な光照射は、感光体表面にトナー像が形成されていることが前提となるが、例えば明らかに印字部分(トナー像)が一定位置にないことが画像情報から明らかな場合には、その間の副光照射は中断させるように制御することができる。このようにすることは、例えば感光体への影響を減じ、また省エネルギー、発光手段の寿命延長に効果があることなど、後述する最終工程たる光照射工程で使用される光照射手段にも応用できるものである。
<発色情報付与工程>
次に、こうして得たトナー像Tに対して、図1に示すように発色情報付与装置28により、感光体10の裏面から矢印Bのような光による発色情報が付与される。なお、前記副光照射工程は、図1に示すように、発色情報付与工程とほぼ同時であってもよい。
発色情報付与装置28としては、そのとき発色させるトナー粒子が特定色に発色するための波長の光を所定の解像度と強度とで照射することができるものであれば何でもよい。例えば、LEDイメージバー、レーザ発光装置等を使用することが可能である。なお、トナー像Tに照射される光の照射スポット径は、前述の潜像形成工程で示した解像度が準用される。
なお、この時の露光光がレーザ光である場合、レーザビームの感光体入射に関しては、レーザにおけるモニター(Photo Detector)への戻り光防止のために、通常数度(4度〜13度)傾ける必要があるが、本発明における発色情報付与露光の際は、戻り光がトナーにより吸収されるので、戻り光が極端に少なくなり、0度を含む任意の角度に入射させることができる。
以下に、上記発色情報付与のための露光がどのようなタイミングで、どのような位置制御により行われるかを簡単に説明する。
特定波長の光照射により非発色状態を維持するトナー(光非発色型トナー)の場合には、例えば、イエロー(Y色)を発色させないようにするときは405nmの光(λ光)を、マゼンタ(M色)に発色させないようにするときは535nmの光(λ光)を、シアン(C色)に発色させないようにするときは657nmの光(λ光)を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。したがって、Y色に発色させる時はλ光及びλ光を、M色に発色させる時はλ光及びλ光を、C色に発色させる時はλ光及びλ光を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射することとなる。
また、二次色に発色させる時には、前記光の組み合わせになり、レッド(R色)に発色させる時はλ光を、グリーン(G色)に発色させる時はλ光を、ブルー(B色)に発色させる時はλ光を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。さらに、三次色であるブラック(K色)に発色させるときはその発色させる所望の位置には露光しないようにする。
図2は、本発明の画像形成装置における印字制御部の具体的な回路ブロック図を示す。同図において、プリンタコントローラ36は、論理和回路40、発振回路42、マゼンタ発色制御回路44M、シアン発色制御回路44C、イエロー発色制御回路44Y、ブラック発色制御回路44Kで構成されている。一方、露光部38は、光書込ヘッド32及び発色情報付与露光ヘッド34で構成されている。
図示しないインターフェース(I/F)によって、入力されたRGB信号がCMYK値に変換された画像データは、更にインターフェース(I/F)からマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の画素データとして論理和回路40に出力される。ここで、論理和回路40はCMYKの論理和を計算し、光書込ヘッド32に出力する。
すなわち、CMYKの全ての画素データを含む論理和のデータを光書込ヘッド32に出力し、前記のように感光体10に光書込みを行う。したがって、感光体10の周面にはCMYKの全ての画素データを含む論理和データに基づく静電潜像が形成される。
また、CMYKの画素データは対応するマゼンタ発色制御回路44M〜ブラック発色制御回路44Kにも供給され、発振回路42から出力される発振信号fm、fc、fy、fkに同期して発色情報付与露光ヘッド34に出力される。すなわち、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のそれぞれに対応する発色データが発色情報付与露光ヘッド34に供給され、感光体10上に現像されたトナー像Tに対応して発色または非発色状態を維持するための特定波長の光が照射される。したがって、照射される光を受けたトナー内で、後述する光硬化反応等が起こり、発色情報が付与される。
例えば、マゼンタ発色制御回路44Mから出力された発色信号fmはトナー内の発色部に前記λ光を照射し、該トナーをマゼンタ(M)色の発色が可能な状態とする。また、シアン発色制御回路44Cから出力された発色信号fcはトナー内の発色部に前記λ光を照射し、該トナーをシアン(C)色の発色が可能な状態とする。さらに、イエロー(Y)及びブラック(K)についても同様であり、イエロー発色制御回路44Y、ブラック発色制御回路44Kから出力される発色信号fy、fkは、トナー内の発色部に前記λ光またはλ光、λ光及びλ光を照射し、イエロー(Y)またはブラック(K)の発色が可能な状態とする。
以上、本発明における発色情報付与工程(手段)について、フルカラー画像形成を行う場合の機構について説明したが、本発明における発色情報付与工程は、イエロー、マゼンタ及びシアンのうちのいずれかを発色させるモノカラー画像形成のための発色情報付与工程であってもよい。この場合は、発色情報付与露光ヘッド34からは、前記イエロー、マゼンタ及びシアンのうちの所望の発色に対応する特定波長の光のみを照射する。その他の好ましい条件等については、フルカラー画像形成時における条件等と同様である。
<転写工程>
発色情報を与えられたトナーは、その後一括して記録媒体26に転写される。転写には公知の転写装置18が使用できる。例えば、接触方式である場合は、ロール、ブラシ、ブレード等が使用でき、非接触方式の場合は、コロトロン、スコロトロン、ピンコロトロン等が使用できる。また、圧力、若しくは圧力及び熱による転写も可能である。また、反転潜像の場合には、自己バイアス効果による転写も可能である。
転写バイアスは300〜1000V(絶対値)の範囲とすることが一般的であり、さらに交流(例えばVpp:400V〜4kV、400〜3kHz程度)を重畳されることもある。
<定着工程及び発色工程>
こうして発色(あるいは非発色状態維持)可能な状態におかれた前記トナー像は、記録媒体26が定着装置22によって加熱されることで前述のように発色がなされる。定着装置22としては公知の定着手段が使用できる。例えば、加熱部材及び加圧部材としてロール、ベルトのそれぞれが選択可能であり、熱源としては、ハロゲンランプ、IH等が使用可能である。その配置も、公知の転写媒体送り機構等に対応可能である。
さらに、トナーを加熱溶融しない定着手段も使用可能である。例えば、トナーのバインダー樹脂を結晶性ポリオレフィン系樹脂として圧力定着することもできる。この場合、被定着面に同種の樹脂をあらかじめ塗布しておくことは有効である。また、トナーに溶剤を噴霧乾燥させて定着することもできる。トナー材料が水溶性の場合には、単なる水でも可能である。その他、これ以外にも本発明の効果を達成する限り用いられるトナーに応じて使用できる。
本実施形態では、定着装置22が発色工程と定着工程とを兼ねているが、発色工程は定着工程と別に設けられていてもよい。発色工程を実施するための発色装置を配置する位置は特に制限されない。
発色の方法についてはトナー粒子の発色メカニズムに応じて様々の方法が考えられため、発色装置(発色手段)としては、例えばさらに異なる波長の光を用いてトナー中に発色関与物質を硬化させ、あるいは光分解させるなどの方法で発色をさせ、または制限する方法では特定光の発光装置、加圧してカプセル化した発色粒子を破壊するなどの方法で発色をさせ、または制限する方法では加圧装置、などを用いることができる。
しかしながら、発色を制御するこうした化学的な反応は、一般的に泳動、拡散による反応速度が遅いため、上記いずれの方法をとるにしても充分な拡散エネルギーを与える必要があり、そういった点で熱によって拡散エネルギーを与え反応を促す方法が最も優れているといえる。
<その他の工程>
本発明において、発色工程を経て得られた画像にさらに光を照射する光照射工程を含むことが好ましい。これにより発色不可能な状態に制御された発色部中に残存する反応性物質を分解又は失活させることができ、画像形成後のカラーバランスの変動をより確実に抑制したり、もともとのトナーが持つバックグランド色の除去・漂白を行ったりすることができる。
なお、本実施形態においては、上記光照射工程は定着工程の後に設けられているが、加熱溶融しない定着方法、例えば圧力を用いて定着させる圧力定着などの場合は、光照射工程後、定着工程を行うこともできる。
上記光照射工程は、トナーの発色をこれ以上進めないために行うことであるので、この目的が達成されるならば光照射装置24としては特に制限されず、公知のランプ、例えば、蛍光灯、LED、EL等が使用できる。また、その波長は前記トナーを発色させるための光として、例えば前記のような三波長を含み、充分にトナー中の残存モノマーを重合させる光エネルギーを与えるものであればよい。
これらに加えて、上述の画像形成方法では、従来の顔料等の着色剤を用いて実施される電子写真プロセスに利用される公知の工程が含まれていてもよく、例えば、トナー像を転写後の像担持体表面をクリーニングするクリーニング工程が含まれていてもよい。クリーナ20としては公知のものが使用でき、ブレード、ブラシ等が使用可能である。また、クリーナ20を除去したいわゆるクリーナレスプロセスも適用可能である。
また、この他にも、他の方法により転写工程が、トナー像を像担持体から中間転写ベルト等の中間転写体へ転写する第1の転写工程と、中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体に転写する第2の転写工程とからなる中間転写方式などが使用できる。
<使用するトナー>
次に、本発明に使用するトナーについて説明する。
本発明に使用するトナーは、前述のように、光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持することができるように制御されるトナーであり、「光による発色情報の付与」「発色または非発色の状態を維持する」についても前記の通りである。
上記のような機能を有するトナーとしては、種々のタイプがあるが、例えば前記特許文献2に開示されているトナーは、外部刺激を受けて物質透過性が変化するカプセル壁を有する複数のマイクロカプセルをトナー樹脂中に分散混合して成る粒子であり、この粒子中に互いに混合されて発色反応を起こす2種類の反応性物質のうちの一方(各色染料前駆体)が、マイクロカプセル内に、他方(顕色剤)がマイクロカプセル外のトナー樹脂中に含まれるものである。
このトナーでは、カプセル壁として特定波長の光を照射した際に物質透過性が増大する光異性化物質を用い、このシス−トランス遷移を利用して光の照射や超音波を印加した際に、カプセル内外に存在する2種類の反応性物質が反応して発色する。
したがって、このようなトナーでは、前記シス−トランス遷移が可逆的であるため発色状態に移行する反応も可逆的であり、前述のように副光照射として発色情報付与と略同時に強い光を照射する必要があり、感光体に対してダメージを与える場合があった。
このため、本発明では、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれかを含む光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化または未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナー(以下、「Fトナー」という場合がある)を用いることが好ましい。
この場合、Fトナーでは、後述するように発色状態に移行するための反応が不可逆的であり、付与した光エネルギーが系内に蓄積されていくため、比較的弱い光で一定時間照射を行うことができる。したがって、感光体にダメージを与えない副光照射を可能せしめるという点で本発明に好ましく用いることができる。
上記トナーの発色メカニズムと簡単な構成とについて、以下に説明する。
前記Fトナーは、後述するように、バインダー樹脂中に発色部と呼ばれる光による発色情報が付与された際に、特定のひとつの色に発色可能な(または非発色状態を維持することが可能な)連続した領域を1つ以上有する。
図4は、Fトナー中の前記発色部の一例を示す模式図であり、(A)は1つの発色部の断面図であり、(B)はさらにその発色部を拡大したものである。
図4(A)に示すように、発色部60中には、各色の発色剤を含有する発色性マイクロカプセル50とそれを取り巻く組成物58とから構成され、図4(B)に示すように、組成物58は、マイクロカプセル50に含有される発色剤(第1成分)52と近接または接触することで発色させる重合性官能基を有した顕色剤モノマー(第2成分)54と光重合開始剤56とを含んでいる。
トナー粒子を構成する発色部60において、発色性マイクロカプセル50に封入する発色剤52としては、発色色相の鮮やかさに優れたトリアリール系ロイコ化合物などが好適である。このロイコ化合物(電子供与性)を発色させる顕色剤モノマー54としては電子受容性化合物が好ましい。特にフェノール系化合物が一般的であり、感熱、感圧紙などに利用されている顕色剤から適宜選択できる。このような電子供与性の発色剤52と電子受容性の顕色剤モノマー54とが酸塩基反応することで発色剤が発色することになる。
光重合開始剤56としては、可視光により感光し顕色剤モノマー54を重合させるためのトリガーとなる重合性ラジカルを発生する分光増感色素が用いられる。例えば、R色、G色、B色の如き三原色露光に対して、顕色性モノマー54が十分な重合反応を進行させることができるように光重合開始剤56の反応促進剤が用いられる。例えば、露光光を吸収する分光増感色素(カチオン)とホウ素化合物(アニオン)からなるイオンコンプレックスを用いることにより、露光により分光増感色素が光励起されホウ素化合物に電子移動することで重合性ラジカルが生成し重合を開始する。
これらの材料を組み合わせることにより、感光性の発色部60として、0.1〜0.2mJ/cm程度の発色記録感度を得ることができる。
上記構成の発色部60に対する発色情報付与のための光照射の有無により、発色部60によっては重合された顕色剤化合物と重合されなかった顕色剤モノマー54とを有するものが存在することになる。その後の加熱などの発色装置によって、重合されなかった顕色剤モノマー54を有する発色部60では、この顕色剤モノマー54が熱などによって泳動し、発色剤マイクロカプセル50の隔壁の空孔を泳動通過して発色剤マイクロカプセル中に拡散する。マイクロカプセル50中に拡散された顕色剤モノマー54と発色剤52とは、前述のように発色剤52が塩基性であり、顕色剤モノマー54が酸性であることにより発色剤72を酸塩基反応によって発色させることになる。
一方、重合反応を生じた顕色剤化合物は、この後の加熱などによる発色工程では重合による嵩高さによりマイクロカプセル50の隔壁の空孔を拡散通過できず、発色性マイクロカプセル中の発色剤52と反応ができないため発色することができない。したがって、発色性マイクロカプセル50は無色のままで残ることとなる。すなわち、特定波長光を照射された発色部60は発色されずに存在することになる。
発色後、適当な段階で再度全面を白色光源で露光することにより、残留している重合未了の顕色性モノマー54を全て重合させて安定した画像定着がなされるとともに、残留分光増感色素を分解することで地色の消色が行われる。なお、可視光域に対応する光重合開始剤56の分光増感色素はその色調が最後まで地色として残留してしまうが、この分光増感色素の消色には色/ホウ素化合物の光消色現象を利用することができる。すなわち、光励起された分光増感色素からホウ素化合物に電子移動することで重合性ラジカルが生成するが、このラジカルはモノマーの重合を引き起こす一方で、励起された色素ラジカルと反応して色素の色分解を起し、結果的に色素を消色させることができる。
前記Fトナーでは、このような異なる発色を行なう発色部60(例えば、Y色、M色、C色に発色する)を、それぞれの顕色剤モノマー54が目的とする発色剤52以外の発色剤と干渉し合わない状態(互いに隔離された状態)にして一つのマイクロカプセルとして構成し用いることができる。そしてこのFトナーでは、電子供与性発色剤を含むマイクロカプセル以外の空間を電子受容性顕色剤及び光硬化性組成物が埋め、かつこれにより構成される発色部が受光するため、一粒のトナー粒子における受光効率のよさは、前記特許文献2に開示されたトナーに比べ圧倒的に高い。
さらに、前記のように発色情報付与メカニズムが可逆反応ではないことより、加熱による発色までに時間的制約がないというメリットを有する結果、低速域までのプリントも可能、すなわち、広いスピードレンジに対応可能となり、加えて、加熱による発色が行なわれる定着器等の配置場所についても自由度が高いというメリットも有している。
Fトナーの構成について、さらに詳述する。
Fトナーは、発色可能な物質(発色性物質)として、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分と第2成分とを含む。このように、2種類の反応性成分の反応を利用して発色させることにより、発色の制御が容易になる。なお、前記第1成分、第2成分は、発色する前の状態において予め着色していてもよいが、実質的に無色の物質であることが特に好ましい。
前記発色制御を容易とするために、発色性物質として互いに反応した際に発色する2種類の反応性成分を用いるが、これらの反応性成分が、光による発色情報が付与されない状態でも物質拡散が容易な同一のマトリックス内に存在すると、トナーの保管時や製造時において、自発的な発色が進行してしまう場合がある。
このため、前記反応性成分は、その種類毎に、発色情報が付与されない限り互いの領域への物質拡散が困難な異なるマトリックス内に含まれていること(互いに隔離されていること)が必要である。
このように光による発色情報が付与されない状態での物質拡散を阻害して、トナーの保管時や製造時における自発的な発色を防止するためには、2種類の反応性成分の第1成分が第1のマトリックスに含まれ、第2成分が第1のマトリックス外(第2のマトリックス)に含まれ、第1のマトリックスと第2のマトリックスとの間には、両マトリックス間の物質の拡散が阻害されると共に、熱等の外部刺激が付与された際には、刺激の種類、強度や、組み合わせに応じて両マトリックス間の物質の拡散を可能とするような機能を持つ隔壁が設けられることが好ましい。
なお、このような隔壁を利用して2種類の反応性成分をトナー中に配置するには、マイクロカプセルを利用することが好適である。
この場合、Fトナーには、2種類の反応性成分のうち、例えば第1成分がマイクロカプセル内に含まれ、第2成分がマイクロカプセル外に含まれることが好ましい。この場合、マイクロカプセル内部が前記第1のマトリックス、マイクロカプセル外が前記第2のマトリックスに相当する。
このマイクロカプセルは、芯部と、該芯部を被覆する外殻とを有するものであり、熱等の外部刺激が付与されない限りマイクロカプセル内外の物質の拡散を阻害すると共に、外部刺激が付与された際には、刺激の種類、強度や、組み合わせに応じてマイクロカプセル内外の物質の拡散を可能とする機能を有するものであれば特に限定されない。なお芯部には、前記反応性成分の一方が少なくとも含まれる。
また、マイクロカプセルは、光の照射や圧力などの刺激の付与によってマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とするものでもよいが、加熱処理によりマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とする(外殻の物質透過性が増大する)熱応答性マイクロカプセルであることが特に好ましい。
なお、刺激が付与された際のマイクロカプセル内外の物質拡散は、画像形成時の発色濃度の低下を抑制したり、高温環境下に放置された画像のカラーバランスの変化を抑制する観点からは、不可逆的なものであることが好ましい。それゆえ、マイクロカプセルを構成する外殻は、加熱処理や光照射等の刺激の付与による軟化、分解、溶解(周囲の部材への相溶)、変形等により、物質透過性が不可逆的に増大する機能を有することが好ましい。
次に、前記Fトナーがマイクロカプセルを含む場合の好ましい構成について説明する。
このようなトナーとしては、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、マイクロカプセルと、第2成分を分散させた光硬化性組成物とを含むものであることが好ましく、このようなトナーとしては、以下の3つの態様が挙げられる。
すなわち、前記Fトナーは、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含み、第1成分がマイクロカプセルに含まれ、第2成分が光硬化性組成物中に含まれる態様(第1の態様)、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、光硬化性組成物を含むマイクロカプセルとを含み、第1成分がマイクロカプセル外に含まれ、第2成分が光硬化性組成物内に含まれる態様(第2の態様)、あるいは、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、第1成分を含む一のマイクロカプセルと、第2成分を分散させた光硬化性組成物を含む他のマイクロカプセルとを含む態様(第3の態様)のいずれかであることが好ましい。
これら3つの態様の中では、特に第1の態様が、光による発色情報付与前の安定性、発色の制御等の観点から好ましい。なお、以下のトナーの説明においては、基本的に第1の態様のトナーを前提としてより詳細に説明するが、以下に説明する第1の態様のトナーの構成、材料、製法等は、第2の態様や第3の態様のトナーにおいても、勿論、利用/転用可能である。
なお、上述した熱応答性マイクロカプセルと光硬化性組成物とを組み合わせて用いたFトナーは、以下の2つのタイプのいずれかであることが特に好ましい。
(1)光硬化性組成物が未硬化の状態で加熱処理しても、未硬化の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が抑制され、発色情報付与光の照射によって光硬化性組成物が硬化した後に加熱処理すると、硬化後の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が促進されるタイプのトナー(以下、「光発色型トナー」と称す場合がある)。
(2)光硬化性組成物が未硬化の状態(第2成分が重合していない状態)で加熱処理すると、未硬化の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が促進され、発色情報付与光の照射によって光硬化性組成物が硬化した後(第2成分が重合した後)に加熱処理すると、硬化後の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が抑制されるタイプのトナー(以下、「光非発色型トナー」と称す場合がある)。
前記光発色型トナーと光非発色型トナーとの主たる違いは、光硬化性組成物を構成する材料にあり、光発色型トナーでは、光硬化性組成物中に(光重合性を有さない)第2成分と光重合性化合物とが少なくとも含まれるのに対して、光非発色型トナーは、光硬化性組成物中に、分子中に光重合性基を有する第2成分が少なくとも含まれる。
なお、光発色型トナーおよび光非発色型トナーに用いられる光硬化性組成物中には、光重合開始剤が含まれていることが特に好ましく、必要に応じてその他種々の材料が含まれていてもよい。
上記光発色型トナーに用いられる光重合性化合物および第2成分としては、光硬化組成物が未硬化の状態で両者の間に相互作用が働き、光硬化性組成物中での第2成分の物質拡散が抑制され、発色情報付与光の照射による光硬化性組成物の硬化(光重合性化合物の重合)後の状態で両者の間の相互作用が減少して、光硬化性組成物中での第2成分の拡散が容易となる材料が用いられる。
従って、光発色型トナーにおいては、加熱処理(発色工程)前に予め光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射しておくことによって、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が容易な状態となる。このため、加熱処理された際に、マイクロカプセルの外殻の溶解等によって、マイクロカプセル内の第1成分と光硬化性組成物中の第2成分との反応(発色反応)が起こる。
逆に、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射せずに、そのまま加熱処理しても第2成分は光重合性化合物にトラップされ、マイクロカプセル中の第1成分と接触することができず、第1成分と第2成分との反応(発色反応)が起こらない。
以上説明したように、光発色型トナーでは、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光の照射の有無と、加熱処理とを組み合わせて付与することによって、第1成分と第2成分との反応(発色反応)を制御できるため、トナーの発色を制御できる。
また、光非発色型トナーにおいては、第2成分自体が光重合性を有するため、発色情報付与光を照射したとしても、この光の波長が光硬化性組成物を硬化させる波長でなければ、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が容易な状態を保てるため、この状態で加熱処理するとマイクロカプセルの外殻の溶解等によって、マイクロカプセル内の第1成分と光硬化性組成物中の第2成分との反応(発色反応)が起こる。
逆に、加熱処理前に光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光が照射されると、光硬化性組成物中に含まれる第2成分同士が重合してしまうため、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が困難となる。それゆえ、加熱処理しても第2成分は、マイクロカプセル中の第1成分と接触することができず、第1成分と第2成分との反応(発色反応)が起こらない。
以上説明したように、光非発色型トナーでは、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光の照射の有無と、加熱処理とを組み合わせて付与することによって、第1成分と第2成分との反応(発色反応)を制御できるため、トナーの発色を制御できる。
次に、前記Fトナーの好適な構造について、トナーが、前記光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む場合についてより詳細に説明する。
この場合、トナーは光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を1つのみ有するものであってもよいが、2つ以上有することが好ましい。ここで、上記「発色部」とは、前述のように外部刺激が付与された際に、特定のひとつの色に発色可能な連続した領域を意味する。
なお、トナーに2以上の発色部が含まれる場合、同じ色に発色可能な1種類の発色部のみがトナー中に含まれていてもよいが、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部がトナー中に含まれることが特に好ましい。その理由は、ひとつのトナー粒子の発色可能な色が、前者の場合は1種類のみに限定されるが、後者の場合は2種類以上とすることができるからである。
例えば、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部としては、イエロー色に発色可能なイエロー発色部と、マゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色部と、シアン色に発色可能なシアン発色部とを含むような組み合わせが挙げられる。
この場合、例えば、外部刺激の付与によりいずれか1種類の発色部のみが発色した場合には、トナーは、イエロー、マゼンタ、あるいは、シアンのいずれかの色に発色することができ、いずれか2種類の発色部が発色した場合には、これら2種類の発色部の発色した色を組み合わせた色に発色することができ、ひとつのトナー粒子で、多様な色を表現することが可能となる。
なお、トナー中に互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部が含まれる場合の発色する色の制御は、各々の種類の発色部に含まれる第1成分および第2成分の種類や組み合わせを異なるものとすることの他に、各々の種類の発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に用いる光の波長を異なるものとすることにより実現できる。
すなわち、この場合、発色部の種類毎に発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に必要な光の波長が異なるため、制御刺激として、発色部の種類に応じた波長の異なる複数種の発色情報付与光を用いればよい。なお、発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に必要な光の波長を異なるものとするには、発色部の種類毎に異なる波長の光に感応する光重合開始剤を光硬化性組成物中に含有させることが好適である。
例えば、イエロー、マゼンタ、および、シアンに発色可能な3種類の発色部がトナー中に含まれる場合、各々の種類の発色部に含まれる光硬化性組成物として、光の波長が405nm、532nmおよび657nmのいずれかに応答して硬化する材料を用いれば、これら3つの異なる波長の発色情報付与光(特定波長を有する光)を使い分けることによって、トナーを所望の色に発色させることができる。
なお、発色情報付与光の波長としては、可視域の波長から選択することもできるが、紫外域の波長から選択してもよい。
本発明に用いるトナーは、従来の顔料等の着色剤を用いたトナーに用いられるのと同様な結着樹脂を主成分とする母材を含むものであってもよい。この場合、母材中に、前記2以上の発色部の各々が粒子状のカプセルとして分散していることが好ましい(以下、カプセル状のひとつの発色部を「感光・感熱カプセル」と称する場合がある)。また、母材中には、従来の顔料等の着色剤を用いたトナーと同様に離型剤や、種々の添加剤が含まれていてもよい。
感光・感熱カプセルは、マイクロカプセルや光硬化性組成物を含む芯部と、該芯部を被覆する外殻とを有し、この外殻は、後述するトナーの製造過程や、トナーの保管時において、感光・感熱カプセル内のマイクロカプセルや光硬化性組成物を感光・感熱カプセル外に漏れないように安定して保持できるものであれば特に限定されない。
しかしながら、本発明においては、後述するトナーの製造過程において、第2成分が外殻を透過して感光・感熱カプセル外のマトリックスへ流出したり、他の色に発色可能な感光・感熱カプセル中の第2成分が外殻を透過して流入したりするのを防ぐために、非水溶性樹脂からなる結着樹脂や離型材等の非水溶性材料を主成分として含むものであることが好ましい。
次に、前記Fトナーに用いられるトナー構成材料や、各トナー構成材料を調整する際に用いる材料・方法等について以下により詳細に説明する。
この場合、トナーには、第1成分、第2成分、第1成分を含むマイクロカプセル、第2成分を含む光硬化性組成物が少なくとも用いられ、光硬化性組成物中には光重合開始剤が含まれることが特に好ましく、種々の助剤等が含まれていてもよい。また、マイクロカプセル内(芯部)には第1成分が固体状態で存在していてもよいが、溶媒と共に存在していてもよい。
なお、前記光非発色型トナーにおいては、第1成分として電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物等が用いられ、第2成分として光重合性基を有する電子受容性化合物又は光重合性基を有するカプラー化合物等が用いられる。また、前記光発色型トナーにおいては、第1成分としては、電子供与性無色染料が用いられ、第2成分としては電子受容性化合物(「電子受容性顕色剤」あるいは「顕色剤」と称す場合がある)が用いられ、光重合性化合物としてはエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物が用いられる。
以上に列挙した材料に加えて、更に、従来の着色剤を用いたトナーを構成する材料と同様の各種材料;結着樹脂、離型剤、内添剤、外添剤等を必要に応じて適宜利用することができる。以下、各材料等についてより詳細に説明する。
−第1成分および第2成分−
第1成分および第2成分の組合せとしては、下記(ア)〜(ツ)の組合せを好適に挙げることができる(下記例において、それぞれ前者が第1成分、後者が第2成分を表す。)。
(ア)電子供与性無色染料と電子受容性化合物との組合せ。
(イ)ジアゾニウム塩化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組合せ。
(ウ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(エ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(オ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
(カ)銀、鉛、水銀、ナトリウム等の硫酸塩等の重金属硫酸塩と、ナトリウムテトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。
(キ)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ク)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ケ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(コ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
(サ)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪族重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(シ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成するもの。
(ス)ホルマザン化合物と還元剤および/又は金属塩との組合せ。
(セ)保護された色素(又はロイコ色素)プレカーサーと脱保護剤との組合せ。
(ソ)酸化型発色剤と酸化剤との組合せ。
(タ)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組合せ。(フタロシアニンが生成する組合せ。)
(チ)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組合せ(着色顔料が生成する組合せ)。
(ツ)顔料プレカーサーと酸または塩基との組合せ(顔料が形成する組合せ)。
上記に列挙した第1成分としては、実質的に無色の電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物が好ましい。
前記電子供与性無色染料としては、従来より公知のものを使用することができ、前記第2成分と反応して発色するものであれば全て使用することができる。具体的には、フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物等の各種化合物を挙げることができる。
前記第2成分としては、前記光非発色型トナーの場合は同一分子内に光重合性基および第1成分と反応して発色する部位とを有する実質的に無色化合物であり、光重合性基を有する電子受容性化合物又は光重合性基を有するカプラー化合物等の第1成分と反応して発色し、かつ光に反応して重合し、硬化するという両機能を有するものであれば全て使用することができる。
前記光重合性基を有する電子受容性化合物、即ち、同一分子中に電子受容性基と光重合性基とを有する化合物としては、光重合性基を有し、かつ第1成分の一つである電子供与性無色染料と反応して発色し、かつ光重合して硬化しうるものであれば全て使用することができる。
また、光発色型トナーの場合の第2成分である電子受容性顕色剤としては、フェノール誘導体、含硫フェノール誘導体、有機のカルボン酸誘導体(例えば、サリチル酸、ステアリン酸、レゾルシン酸等)、及びそれらの金属塩等、スルホン酸誘導体、尿素もしくはチオ尿素誘導体等、酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等が挙げられる。
さらに、光発色型トナーには、光重合性化合物としてエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物が用いられ、これはアクリル酸及びその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類などの分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物である。
次に、前記光重合開始剤について説明する。前記光重合開始剤は、発色情報付与光を照射することによりラジカルを発生して光硬化性組成物内で重合反応を起こし、かつその反応を促進させることができる。この重合反応により光硬化性組成物が硬化する。
前記光重合開始剤は、公知のものの中から適宜選択することができ、中でも、300〜1000nmに最大吸収波長を有する分光増感化合物と、該分光増感化合物と相互作用する化合物と、を含有するものであることが好ましい。
但し、前記分光増感化合物と相互作用する化合物が、その構造内に300〜1000nmに最大吸収波長を有する色素部とボレート部との両構造を併せ持つ化合物であれば、前記分光増感色素を用いなくてもよい。
前記分光増感化合物と相互作用する化合物としては、前記第2成分中の光重合性基と光重合反応を開始しうる公知の化合物の中から、1種又は2種以上の化合物を適宜選択して使用することができる。
この化合物を前記の分光増感化合物と共存させることにより、その分光吸収波長領域の照射光に敏感に感応し、高効率にラジカルを発生させうることから、高感度化が図れ、かつ紫外〜赤外領域にある任意の光源を用いてラジカルの発生を制御することができる。
前記「分光増感化合物と相互作用する化合物」としては、有機系ボレート塩化合物、ベンゾインエーテル類、トリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体、有機過酸化物又はアジニウム塩化合物が好ましく、有機系ボレート塩化合物がより好ましい。この「分光増感化合物と相互作用する化合物」を前記分光増感化合物と併用して用いることにより、露光した露光部分に局所的に、かつ効果的にラジカルを発生させることができ、高感度化を達成することができる。
また、光硬化性組成物には重合反応を促進する目的で、さらに助剤として、酸素除去剤(oxygen scavenger)又は活性水素ドナーの連鎖移動剤等の還元剤や連鎖移動的に重合を促進するその他の化合物を添加することもできる。
前記酸素除去剤としては、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト、第1銀塩又は酸素により容易に酸化されるその他の化合物が挙げられる。具体的には、N−フエニルグリシン、トリメチルパルビツール酸、N,N−ジメチル−2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン酸が挙げられる。さらに、チオール類、チオケトン類、トリハロメチル化合物、ロフィンダイマー化合物、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類、アジニウム塩類、有機過酸化物、アジド類等も重合促進剤として有用である。
Fトナーでは、電子供与性無色染料やジアゾニウム塩化合物のような第1成分をマイクロカプセルに内包して使用する。
マイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、米国特許第2800457号、同28000458号に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号、英国特許第990443号、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報、同42−771号公報等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号、同3660304号に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同4087376号、同4089802号に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号公報、特開昭51−9079号公報に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号、同965074号に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号、英国特許第930422号に記載のスプレードライング法、特公平7−73069号公報、特開平4−101885号公報、特開平9−263057号公報に記載の方法等が挙げられる。
使用しうるマイクロカプセル壁の材料は、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。前記マイクロカプセル壁の材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアがより好ましい。前記高分子物質は、2種以上併用して用いることもできる。
マイクロカプセルの体積平均粒径は0.1〜3.0μmの範囲内となるように調整することが好ましく、0.3〜1.0μmの範囲内となるように調整することが更に好ましい。
前記感光・感熱カプセルにはバインダーが含まれていてもよく、これは、1つの発色部を有するトナーにおいても同様である。
バインダーとしては、前記光硬化性組成物の乳化分散に用いるバインダーと同様のもの、第1の反応性物質をカプセル化する際に用いる水溶性高分子のほか、ポリスチレン、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリメチルアクリレート,ポリブチルアクリレート,ポリメチルメタクリレート,ポリブチルメタクリレートやそれらの共重合体等のアクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エチルセルロース、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の溶剤可溶性高分子、或いは、これらの高分子ラテックスを用いることもできる。中でも、ゼラチン及びポリビニルアルコールが好ましい。また、バインダーとして後述する結着樹脂を用いてもよい。
また、Fトナーには、従来のトナーに用いられている結着樹脂を用いることができる。結着樹脂は、例えば、母材中に感光・感熱カプセルが分散した構造を有するトナーでは、母材を構成する主成分や感光・感熱カプセルの外殻を構成する材料として利用することができるがこれに限定されるものではない。
結着樹脂としては特に限定されず、公知の結晶性や非晶性の樹脂材料を用いることができる。特に低温定着性を付与するには、シャープメルト性がある結晶性ポリエステル樹脂が有用である。また、無定形高分子(非晶質樹脂)としては、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂など公知の樹脂材料を用いることができるが、非結晶性ポリエステル樹脂が特に好ましい。
その他、Fトナーは、上記に列挙した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、離型剤、無機微粒子、有機微粒子、帯電制御剤等の従来のトナーに用いられている公知の各種添加剤等が挙げられる
次に、Fトナーの製造方法について簡単に説明する。
Fトナーは、凝集合一法等の公知の湿式製法を利用して作製されることが好ましい。特に、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含み、前記第1成分が前記マイクロカプセルに含まれ、前記第2成分が前記光硬化性組成物中に含まれる構造を有するトナーの作製に湿式製法は好適である。
なお、上記構造を有するトナーに用いられるマイクロカプセルは熱応答性マイクロカプセルであることが特に好ましいが、光等、その他の刺激に応答するマイクロカプセルであってもよい。
トナーの製造には、公知の湿式製法が利用できるが、湿式製法の中でも最高プロセス温度を低く抑えることができると共に、様々な構造を有するトナーの作製が容易であることから凝集合一法を利用することが特に好ましい。
また、従来の顔料や結着樹脂を主成分とするトナーと比べると、上記構造を有するトナーは、低分子成分を主成分として含む光硬化性組成物が多く含まれるため、トナーの造粒過程で得られる粒子の強度は不十分となりやすいが、凝集合一法では、高いせん断力を必要としないため、この点でも凝集合一法を利用することは好適である。
一般的に、凝集合一法は、トナーを構成する各種材料の分散液を調製した後、2種類以上の分散液を混合した原料分散液中で凝集粒子を形成する凝集工程と、原料分散液に形成された凝集粒子を融合する融合工程とを含むものであり、必要に応じて凝集工程と融合工程との間に、凝集粒子の表面に被覆層を形成する成分を付着させて被覆層を形成する付着工程(被覆層形成工程)とが実施されるものである。
Fトナーの製造においても、原料として使用する各種分散液の種類や組み合わせは異なるものの、凝集工程、融合工程の他に、必要に応じて付着工程を適宜組み合わせることによりトナーを作製することができる。
例えば、樹脂中に感光・感熱カプセル分散構造を有するトナーの場合には、まず、(a1)第1成分を含むマイクロカプセルを分散させたマイクロカプセル分散液と、第2成分を含む光硬化性組成物を分散させた光硬化性組成物分散液とを含む原料分散液中にて第1の凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、(b1)前記第1の凝集粒子が形成された原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、前記凝集粒子表面に前記樹脂粒子を付着させる付着工程と、(c1)前記樹脂粒子をその表面に付着させた凝集粒子を含む原料分散液を加熱して融合させ、第1の融合粒子(感光・感熱カプセル)を得る第1の融合工程とを経ることにより、互いに異なる色に発色可能な1種類以上の感光・感熱カプセル分散液を調製する。
続いて、(d1)前記1種類以上の感光・感熱カプセル分散液と、樹脂粒子を分散させた第2の樹脂粒子分散液とを混合した混合溶液中にて、第2の凝集粒子を形成する第2の凝集工程と、(e1)前記第2の凝集粒子を含む混合溶液を加熱して、第2の融合粒子を得る第2の融合工程とを経ることにより、感光・感熱カプセル分散構造を有するトナーを得ることができる。
なお、第2の凝集工程で用いる感光・感熱カプセル分散液の種類は2種類以上が好ましい。また、(a1)〜(c1)工程を経て得られた感光・感熱カプセルをそのままトナー(すなわち1つの発色部のみを含むトナー)として利用してもよい。
また、1つの発色部のみを含むトナーを作製する場合、上述した付着工程の代わりに、前記第1の凝集粒子が形成された原料分散液に、離型剤を分散させた離型剤分散液を添加して、凝集粒子表面に離型剤を付着させる第1の付着工程と、第1の付着工程を経た後の原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、この離型剤を表面に付着させた凝集粒子表面に樹脂粒子を付着させる第2の付着工程とを実施してもよい。
本発明に用いることが可能なFトナーの体積平均粒径は、特に限定されず、トナーの構造や、トナー中に含まれる発色部の種類・数に応じて適宜調整することができる。
しかしながら、トナー中に含まれる互いに異なる色に発色可能な発色部の種類が2〜4種類前後(例えば、トナーがイエロー、シアン、マゼンタの各々に発色可能な3種類の発色部を含むような場合)であれば、各々のトナー構造に応じた体積平均粒径は以下の範囲内であることが好ましい。
すなわち、例えばトナーの構造が樹脂中に感光・感熱カプセル(発色部)分散構造の場合には、トナーの体積平均粒径は5〜40μmの範囲内が好ましく、10〜20μmの範囲内がより好ましい。また、このような粒径を有する感光・感熱カプセル分散構造型のトナー中に含まれる感光・感熱カプセルの体積平均粒径は1〜5μmの範囲内であることが好ましく、1〜3μmの範囲内であることが好ましい。
トナーの体積平均粒径が5μm未満では、トナー中に含まれる発色成分量が少なくなるため色再現性が悪化したり、画像濃度が低下してしまう場合がある。また、体積平均粒径が40μmを超えると、画像表面の凹凸が大きくなり、画像表面の光沢ムラが発生してしまう場合があり、また画質が低下する場合がある。
なお、その内部に複数の感光・感熱カプセルを分散させた感光・感熱カプセル分散構造型のトナーは、従来の着色剤を用いた小径トナー(体積平均粒径5〜10μm程度)と比べると粒径が大きくなる傾向にあるものの、画像の解像度は、トナーの粒径ではなく感光・感熱カプセルの粒径により決定されるため、より高精細な画像を得ることができる。加えて、粉体流動性にも優れるため、外添剤の量が少なくても十分な流動性が確保できると共に、現像性やクリーニング性も向上させることができる。
一方、1つの発色部のみを有するトナーの場合には、上述した場合と比べると小径化がより容易であり、その体積平均粒径は3〜8μmの範囲内が好ましく、4〜7μmの範囲内が好ましい。体積平均粒径が3μm未満の場合には粒径が小さすぎるために粉体流動性が十分に得られなくなったり、十分な耐久性が得られない場合がある。また、体積平均粒径が8μmを超えると、高精細な画像が得られなくなる場合がある。
本発明には、以上説明したFトナーをはじめ、光照射により(あるいは光が照射されないことにより)発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーであれば、用いる構成材料、トナーの構造、発色機構等によらず用いることができる。
本発明に用いることができるトナーは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下であり、且つ、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が、0.95以上であることが好ましい。
更に好ましくは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.25以下であり、且つ、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が、0.97以上であることが更に好ましい。
体積分布指標GSDvが1.30を超えた場合には、画像の解像性が低下する場合があり、また、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpの比(GSDv/GSDp)が0.95未満の場合、トナーの帯電性低下やトナーの飛散、カブリ等が発生し画像欠陥を招く場合がある。
なお、本発明において、トナーの体積平均粒径や、上記した体積平均粒度分布指標GSDv、及び数平均粒度分布指標GSDpの値は、次のようにして測定し算出した。
まず、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積および数について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を、体積平均粒子径D16v、および、数平均粒子径D16pと定義し、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径D50v、および、数平均粒子径D50pと定義する。同様に、累積84%となる粒径を、体積平均粒子径D84v、および、数平均粒子径D84pと定義する。この際、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、(D84v/D16v)1/2として定義され、数平均粒度指標(GSDp)は、(D84p/D16p)1/2として定義されるこれらの関係式を用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)および数平均粒度指標(GSDp)を算出できる。
また、前記マイクロカプセルや感光・感熱カプセルの体積平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)を用いて測定することができる。
また、本発明におけるトナーは、下式(1)で表される形状係数SF1が、110〜130の範囲内であることが好ましい。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
〔但し、上記式(1)において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm)を表す。〕
形状係数SF1が110未満の場合には、画像形成の際に転写工程で、像担持体表面にトナーが残留しやすくなるため、この残留トナーの除去が必要となるが、残留トナーをブレード等によりクリーニングする際のクリーニング性を損ないやすく、結果として画像欠陥を生じる場合がある。
一方、形状係数SF1が130を超える場合には、トナーを現像剤として使用する場合に、現像器内でのキャリアとの衝突によりトナーが破壊される場合がある。この際、結果として微粉が増加したり、これによってトナー表面に露出した離型剤成分により像担持体表面等が汚染され帯電特性を損なうことがあるばかりでなく、微粉に起因するかぶりの発生等の問題を起こすことがある。
形状係数SF1はルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて以下のように測定した。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、個々のトナーについて、最大長の2乗、投影面積を算出し、上記式(1)により形状係数SF1として求めた。
<現像剤>
本発明に用いられるトナーは、そのまま一成分現像剤として用いてもよいが、本発明では、キャリアとトナーとからなる二成分現像剤におけるトナーとして使用することが好ましい。
ここで、1種類の現像剤でカラー画像が形成できるという点からは、現像剤は、(1)前記光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を2種類以上有するトナーを1種類有し、且つ、前記トナー中に含まれる2種類以上の発色部が互いに異なる色に発色可能であるタイプの現像剤、あるいは、(2)前記光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を1つ有するトナーを2種類以上混合した状態で有し、且つ、前記2種類以上のトナーの発色部が互いに異なる色に発色可能であるタイプの現像剤であることが好ましい。
例えば、前者のタイプの現像剤では、トナー中に3種類の発色部が含まれ、且つ、3種類の発色部が、イエロー色に発色可能なイエロー発色部、マゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色部及びシアン色に発色可能なシアン発色部からなることが好ましく、後者のタイプの現像剤では、発色部がイエロー色に発色可能なイエロー発色性トナーと、発色部がマゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色性トナーと、発色部がシアン色に発色可能なシアン発色性トナーとが混合した状態で現像剤中に含まれることが好ましい。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、芯材表面に樹脂を被覆してなることが好ましい。キャリアの芯材としては、上記条件を満たしていれば特に規定されないが、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類等との合金、及びフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられるが、芯材表面性、芯材抵抗の観点から、好ましくはフェライト、特にマンガン、リチウム、ストロンチウム、マグネシウム等との合金が挙げられる。
また、 芯材表面を被覆する樹脂としては、マトリックス樹脂として使用できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上記二成分現像剤における、前記トナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲が好ましく、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
以下、本発明を実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
<実施例1>
(トナーの作製)
まず、以下のようにして、結着樹脂中に発光部(感光・感熱カプセル)が分散した前記光非発色型のFトナーを得た。
−マイクロカプセル分散液(1)の調製−
酢酸エチル16.9質量部に、イエローに発色可能な電子供与性無色染料(1)8.9部を溶解し、さらに、カプセル壁材(商品名:タケネートD−110N,武田薬品工業(株)製)20質量部とカプセル壁材(商品名:ミリオネートMR200,日本ポリウレタン工業(株)製)2質量部とを添加した。
得られた溶液を、8質量%フタル化ゼラチン42質量部と、水14質量部と、10質量%ドデシルベンゼンルスルホン酸ナトリウム溶液1.4質量部との混合液中に添加した後、温度20℃で乳化分散し、乳化液を得た。次いで、得られた乳化液に2.9%テトラエチレンペンタミン水溶液72質量部とを加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間経過後、電子供与性無色染料(1)を芯部に含む、平均粒径0.5μmのマイクロカプセル分散液(1)を得た。
なお、このマイクロカプセル分散液(1)に含まれるマイクロカプセルの外殻を構成する材料(上記とほぼ同様の条件でタケネートD−110NおよびミリオネートMR200を反応させて得られた材料)のガラス転移温度は100℃であった。
−マイクロカプセル分散液(2)の調製−
電子供与性無色染料(1)を電子供与性無色染料(2)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(2)を得た。この分散液中のマイクロカプセルの平均粒径は0.5μmであった。
−マイクロカプセル分散液(3)の調製−
電子供与性無色染料(1)を電子供与性無色染料(3)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(3)を得た。この分散液中のマイクロカプセルの平均粒径は0.5μmであった。
なお、マイクロカプセル分散液の調製に用いた電子供与性無色染料(1)〜(3)の化学構造式を以下に示す。
Figure 0004876771
−光硬化性組成物分散液(1)の調製−
重合性基を有する電子受容性化合物(1)および(2)の混合物100.0質量部(混合比率50:50)と熱重合禁止剤(ALI)0.1質量部とを酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)125.0質量部中で42℃にて溶解し混合溶液Iとした。
この混合溶液I中に、ヘキサアリールビイミダゾール(1)〔2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’テトラフェニルー1,2’−ビイミダゾール〕18.0質量部と、ノニオン性有機色素0.5質量部と、有機ホウ素化合物6.0質量部とを添加し42℃にて溶解し、混合溶液IIとした。
上記混合溶液IIを、8質量%ゼラチン水溶液300.1質量部と、10質量%界面活性剤(1)水溶液17.4質量部との混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000回転で5分間乳化し、その後、40℃で3時間脱溶媒処理を行った後、固形分が30質量%の光硬化性組成物分散液(1)を得た。
なお、光硬化性組成物分散液(1)の調製に用いた重合性基を有する電子受容性化合物(1)、重合性基を有する電子受容性化合物(2)、熱重合禁止剤(ALI)、ヘキサアリールビイミダゾール(1)、界面活性剤(1)、ノニオン性有機色素、および、有機ホウ素化合物の構造式を以下に示す。
Figure 0004876771
Figure 0004876771
−光硬化性組成物分散液(2)の調製−
下記有機ボレート化合物(I)0.6質量部と、下記に示した分光増感色素系ボレート化合物(I)0.1質量部と、高感度化を目的とした下記助剤(1)0.1質量部と、酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)3質量部と、の混合溶液中に、重合性基を有する下記電子受容性化合物(3)5質量部を添加した。
Figure 0004876771
得られた溶液を、13質量%ゼラチン水溶液13質量部と、下記2質量%界面活性剤(2)水溶液0.8質量部と、下記2質量%界面活性剤(3)水溶液0.8質量部と、の混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000回転で5分間乳化し、光硬化性組成物分散液(2)を得た。
なお、光硬化性組成物分散液(2)の調製に用いた重合性基を有する電子受容性化合物(3)、助剤(1)、界面活性剤(2)、および界面活性剤(3)の構造式を以下に示す。
Figure 0004876771
Figure 0004876771
−光硬化性組成物分散液(3)の調製−
分光増感色素系ボレート化合物(I)に代えて、前記に示した分光増感色素系ボレート化合物(II)0.1質量部を用いた以外は、光硬化性組成物分散液(2)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(3)を得た。
−樹脂粒子分散液の調製−
・スチレン:460質量部
・nブチルアクリレート:140質量部
・アクリル酸:12質量部
・ドデカンチオール:9質量部
以上の成分を混合溶解して溶液を調製した。続いて、アニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)12質量部をイオン交換水250質量部に溶解したものに、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化した乳化液(単量体乳化液A)を調製した。
また、アニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)1部を555質量部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと攪拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウオーターバスで加熱し、保持した。
次に、過硫酸アンモニウム9部をイオン交換水43質量部に溶解した溶液を、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、単量体乳化液Aをやはり定量ポンプを介して200分かけて滴下した。
その後、ゆっくりと攪拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して重合を終了した。
これにより粒子のメジアン径が210nm、ガラス転移点が51.5℃、重量平均分子量が31000、固形分量が42質量%の樹脂粒子分散液を得た。
−感光・感熱カプセル分散液(1)の調製−
・マイクロカプセル分散液(1):150質量部
・光硬化性組成物分散液(1):300質量部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20質量部
・イオン交換水:300質量部
以上の成分を混合した原料溶液に硝酸を加えてpHを3.5に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、フラスコに移し加熱用オイルバスでスリーワンモーターで攪拌しながら40℃まで加熱し、40℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を300質量部追加して60℃にて2時間緩やかに攪拌した。これにより感光・感熱カプセル分散液(1)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.53μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−感光・感熱カプセル分散液(2)の調製−
・マイクロカプセル分散液(2):150質量部
・光硬化性組成物分散液(2):300質量部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20質量部
・イオン交換水:300質量部
原料溶液として以上の成分を用いた以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)を調製する場合と同様にして感光・感熱カプセル分散液(2)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.52μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−感光・感熱カプセル分散液(3)の調製−
・マイクロカプセル分散液(3):150質量部
・光硬化性組成物分散液(3):300質量部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20質量部
・イオン交換水:300質量部
原料溶液として以上の成分を用いた以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)を調製する場合と同様にして感光・感熱カプセル分散液(3)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.47μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−トナーの作製−
・感光・感熱カプセル分散液(1):750質量部
・感光・感熱カプセル分散液(2):750質量部
・感光・感熱カプセル分散液(3):750質量部
以上の成分を混合した溶液をフラスコに移し、フラスコ内を攪拌しながら加熱用オイルバス42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を100質量部追加して緩やかに攪拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液でフラスコ内のpHを5.0に調整した後、攪拌を継続しながら55℃まで加熱した。55℃までの昇温の間、通常の場合、フラスコ内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが4.5以下とならない様に保持した。この状態で55℃で3時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、5リットルビーカー中で40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分間、300rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、凍結真空乾燥を12時間行い、スチレン系樹脂中に感光・感熱カプセルが分散したトナー粒子を得た。このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径D50vは15.2μmであった。
続いて、上記トナー粒子50質量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.0質量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナーを得た。
(現像剤)
キャリアとして、スチレン・アクリル共重合体(数平均分子量:23000、重量平均分子量:98000、Tg:78℃)30質量%と、粒状マグネタイト(最大磁化:80emu/g、平均粒径:0.5μm)70質量%とを混練、粉砕、分級して、体積平均粒径が100μmとしたものを用い、前記トナーとトナー濃度が5質量%となるように秤量し、ボールミルで5分間混合して現像剤1を得た。
(画像形成)
図1に示したような画像形成装置を用意し、現像装置16に前記現像剤を装填した。
感光体10としては、円筒形のアルミドラムの周りに、電荷発生層が塩化ガリウムフタロシアニン、電荷輸送層がN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミンを含む膜厚25μmの多層有機感光層を塗布形成したものを用いた。この感光体10の主感度波長域は730〜880nmであった。また、帯電装置12としてはスコロトロンを用いた。
露光装置14としては、解像度600dpiで潜像形成が行える波長780nmのLEDイメージバーを用いた。現像装置16は、二成分磁気ブラシ現像用の金属スリーブを備え反転現像を行うことが可能なものである。なお、この現像器に前記現像剤1を装填したときのトナー帯電量は、−5〜−30μC/g程度であった。
現像後のトナー像への副光照射装置17としては、白色光源である蛍光灯を用いた。なお、上記副光照射は、トナー像に対して発色情報付与のための露光直前から露光時まで、0.2秒間一定照度で行われるように前記白色光源を配置、制御した。
発色情報付与装置28としては、ピーク波長405nm(露光量:0.002mJ/cm)、532nm(露光量:0.002mJ/cm)、657nm(露光量:0.002mJ/cm)の光を照射可能な解像度600dpiの半導体レーザ素子を、現像後感光体面上で5mmの位置に露光できるように設置した。転写装置18は、導電性芯材の外周に導電性弾性体を被覆してなる半導電性ロールを転写ロールとして有する。導電性弾性体は、NBRとEPDMを混合してなる非相溶性のブレンド物に、ケッチェンブラックとサーマルブラックからなる2種類のカーボンブラックを分散させてなり、ロール抵抗が108.5Ωcm、アスカーC硬度が35度のものである。
定着装置22は、富士ゼロックス社製DPC1616に使用されている定着器を使用し、発色情報付与のポイントから30cmの位置に配置した。また、光照射手段24としては、前記発色情報付与装置の三波長を含む高輝度シャーカステンを用い、照射幅を5mmとした。
以上の構成の画像形成装置により印字条件を下記のように設定した。
・感光体線速:10mm/秒。
・帯電条件:スコロトロンのスクリーンに−400V、ワイヤーには直流−6kVを印加。このとき感光体の表面電位は−400Vとなった。
・露光:Y、M、C、黒の4色分の画像情報の論理和で露光し、露光後の電位は約−50Vであった。
・現像バイアス:直流−330Vに交流Vpp1.2kV(3kHz)の矩形波を重畳。
・現像剤接触条件:周速比(現像ロール/感光体)2.0、現像ギャップ0.5mmとし、現像ロール上の現像剤重量は400g/mとし、感光体上のトナー現像量がべた画像で5g/mとなるようにした。
・副光照射装置である白色光源による全露光量が1.999mJ/cmとなるように調整した。
・転写バイアス:直流+800V印加。
・定着温度:定着ロール表面温度を170℃に設定。
・光照射装置照度:130000lux。
以上の条件により、Y、M、C、R、G、B、Kの各色について階調画像部を有するチャートを印字した。なお、トナーへの発色情報付与は、下記表1に示す組み合わせで行なった(○印をつけたLEDが発光すると所望の色にトナーが発色することを示す)。また、発光強度もしくは発光時間で発色濃度を制御するため、1ドットの時間内を8分割した時間幅変調を採用した。
Figure 0004876771
(画像評価)
上記条件で得られたプリントサンプルについて、以下の評価を行った。
−発色濃度−
Y、M、Cの各色についてべた画像部分の画像濃度を濃度測定器X−Rite938(X−Rite社製)で調べたところ、いずれの色においても画像濃度が1.1以上と十分な発色が確認された。
−色再現性−
R、G、B、Kの各色について、日本電色工業製側色色差計(商品名:ZE2000)により色再現性を調べたが、いずれの色においてもカラーバランスがよく色再現性に優れていた。
−耐久性−
上記条件で、A4サイズの記録用紙を用いて画像出力を繰り返し、耐久特性を調べた。その結果、5000枚まで画像出力を行ったが画像上に問題は発生しなかった。その後に感光体の劣化によると思われる光メモリが発生した。
<実施例2>
実施例1の画像形成において、感光体の線速を500mm/秒とした以外は、同様にして画像形成を行い、同様の画像評価を行った。
その結果、線速を変化させても、発色濃度、色再現性ともに実施例1におけるプリントと遜色ないものが得られた。
<実施例3>
実施例1の画像形成において、副光照射による感光体10の主感度領域への光照射を除くため、白色光源の照射面に390〜700nm以外の波長の光をカットするフィルタを設けた以外は、同様にして画像評価を行った。
その結果、実施例1に比べ感光体寿命が大幅に伸び、1万枚以上出力後でも良好な画像が得られた。さらに、実施例1ではトナー像の累積の痕跡がハーフトーン画像を取ることで100枚程度の印字後からメモリとして確認されてきたが、本実施例においては、1万枚の出力後においても確認できなかった。
<実施例4>
実施例1の画像形成において、副光照射のタイミングを現像工程後直ちに副光照射を開始し、発色情報付与露光時まで連続して0.6秒間照射することとした以外は、同様にして画像評価を行った。
その結果、副光照射による全露光量は1.999mJ/cmから1.2mJ/cmに低下したが、充分な発色効果が得られた。すなわち、この程度の露光量でもトナー像は十分に発色可能な状態になっているものと考えられる。
参考例5>
画像形成装置として、図3に示すようなイオノグラフィ方式で潜像形成を行う装置を用いた。図3において、像担持体は直径100mmのアルミ素管の表面に絶縁膜として20μmのアクリル樹脂膜を構成した誘電体ドラム30であり、潜像形成はコロナ帯電器の前面に解像度600dpiにて構成された制御スリット付きイオン流制御ヘッド27にて行った。また、符号25は表面電荷除去手段である。また、その他の構成は図1に示した画像形成装置と同様である。
実施例1において、画像形成装置として上記装置を用いた以外は、同様にして画像形成を行い、同様の評価を行った。
その結果、イオノグラフィ方式でトナー像を形成した場合でも、同様の効果と品質の良好なカラー画像が得られた。また、誘電体ドラムの劣化がほとんどないため、耐久枚数も1万枚以上であった。
以上のように、感光体表面のトナー像に発色情報付与光を露光する画像形成方法(画像形成装置)では、該発色情報付与のため露光以前に副光照射を行うことで、発色情報付与のためにガスレーザ等の高強度の光源を用いる必要がなく、その駆動電源、レーザ装置の実装容積が殆ど無視できるようになり画像形成装置の小型化が達成された。
本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 印字制御部の回路ブロック図である。 本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 トナーの発色機構を説明するための模式図であり、(A)は発色部、(B)はその拡大状態を示す。
符号の説明
10 感光体
12 帯電装置
14 露光装置
16 現像装置
17 副光照射装置
18 転写装置
20 クリーナ
22 定着装置
24 光照射装置
25 表面電荷除去手段
26 記録媒体
27 イオン流制御ヘッド
28 発色情報付与装置
30 誘電体ドラム
34 発色情報付与露光ヘッド
36 プリンタコントローラ
38 露光部
40 論理和回路
42 発振回路
44 発色制御回路
52 発色剤
54 顕色剤モノマー
56 光重合開始剤
60 発色部(感光・感熱カプセル)

Claims (4)

  1. 光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いる画像形成方法であって、
    像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、該像担持体表面に形成されたトナー像に光による発色情報を付与するための発色情報付与工程と、該発色情報を付与されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、該記録媒体表面に転写されたトナー像を記録媒体上に永久定着する定着工程と、前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色工程と、を含み、
    さらに、前記トナー像形成工程より後であり、かつ、前記発色情報付与工程より前又は前記発色情報付与工程と略同時に、前記像担持体表面のトナー像に対してトナーが感度を有する波長域の副光を照射する副光照射工程を有し、
    前記像担持体が感光体であり、前記副光の主たる波長域が、該感光体の主感度波長域外であることを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記副光照射工程が、像担持体表面に形成されたトナー像が実質的に発色能力を失わない状態にまで、トナーに光エネルギーを与える工程であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記トナーが、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれかを含む光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化または未硬化の状態を維持して、前記発色する反応が制御されるトナーであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  4. 光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いる画像形成装置であって、
    像担持体と、該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該像担持体表面に形成されたトナー像に光による発色情報を付与するための発色情報付与手段と、該発色情報を付与されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、該記録媒体表面に転写されたトナー像を記録媒体上に永久定着する定着手段と、前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色手段と、を含み、
    さらに、前記トナー像形成手段より像担持体の移動方向下流側に、前記発色情報が付与されるより前又は前記発色情報の付与と略同時に前記像担持体表面のトナー像に対してトナーが感度を有する波長域の副光を照射する副光照射手段を有し、
    前記像担持体が感光体であり、前記副光の主たる波長域が、該感光体の主感度波長域外であることを特徴とする画像形成装置。
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