本発明には、公知のトナーを用いることができるが、本発明の効果との関係から、下記トナーを用いることが好ましい。すなわち、トナーの1粒1粒が異なる波長の光で露光されると、該波長に応じた色に発色する、あるいは発色しない(非発色)状態を維持する機能を有しているトナー(以下、「本発明に係るトナー」ということがある)である。つまり、トナーがその内部に光による発色情報の付与により発色可能な発色性物質(さらにはこれを含む発色部)を有しており、前記光による発色情報の付与により、トナーが発色または非発色の状態を維持するように制御されるものであるトナーである。
ただし、本発明においては、光による発色情報の付与により、トナーが発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーを適用する。
ここで、前記「発色情報を付与する」とは、トナー像を構成する個々のトナー粒子単位で発色/非発色状態や発色した際の色調を制御するために、トナー像の所望の領域に対して選択的に1種類以上の特定波長の光を付与する、あるいは、何らの光を付与しないことを意味する。上記トナーについては、後述する。
上記トナーを用いた画像形成装置(画像形成方法)では、このようなトナーを1つの現像器に搭載し、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び黒(K)の4つの色の画像形成情報の論理和で像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を該トナーで現像してトナー像とし、例えばしかる後、色情報に応じた波長の光で該トナー像を露光して該トナー像に発色情報を付与する。その後、発色情報を付与された前記トナー像が記録媒体に転写され、その後熱と圧力により記録媒体に定着される。この時、前記熱によりトナーの発色反応が行なわれ、カラー画像が得られる。
従って、1つの像担持体と1つの現像器でフルカラー画像を得ることができるので、画像形成装置本体の大きさは限りなくモノクロプリンタ並みの大きさに近づくこととなり、装置の小型化が可能となる。これに加えて、トナー像の形成に際して色毎にトナーを積層する必要がないために画像表面の凸凹が抑制でき、画像表面の光沢を均一にすることができ、更に、トナーに顔料等の着色剤を使わないため、銀塩ライクな画像を得ることも可能である。
本発明が適用される画像形成プロセスは、いわゆる電子写真プロセス、誘電体上にイオンなどで電気的潜像を形成するプロセス(イオノグラフィ)など特に制限されない。まず、本発明が適用する、光による発色情報に応じて発色または非発色の状態を制御することが可能なトナーを用いた電子写真プロセスによるカラー画像を形成する画像形成装置(画像形成方法)を、簡単に説明する。なお、前記イオノグラフィを用いた画像形成装置に関しては、後述するトナー像形成工程が異なるのみで、他の工程は同様であるため、適宜併せて説明する。
図1に本発明の定着装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す。図1に示す画像形成装置は、通常の電子写真プロセスに用いる感光体(像担持体)10と、帯電装置(帯電手段)12、露光装置(露光手段)14、像担持体表面にトナーを供給してトナー像Tを形成する現像装置(トナー像形成手段)16、任意の電荷除去手段18、後述する発色情報が付与されたトナー像を記録媒体上に転写する転写装置(転写手段)20、記録媒体上に転写されたトナー像を定着する定着装置(定着手段)22、および任意のクリーナ24を有している。
また、本装置においては、現像後のトナー像Tに感光体10の表面側から光により発色情報を付与する発色情報付与装置30が設けられており、定着装置22はトナー像を発色させる発色手段、トナーの発色を固定化するための記録媒体26への光照射を行う光照射手段も兼ねている。
以下、本発明の第1の画像形成装置を使用した画像形成方法を、画像形成における各工程に沿って説明する。
<トナー像形成工程>
図1に示すような像担持体が感光体10である場合には、前記トナー像形成手段には、感光体表面を帯電する帯電装置12と、該感光体表面に露光により静電潜像を形成する露光装置14と、該静電潜像を前記トナーを含む現像剤によりトナー像とする現像装置16とが含まれる。
まず、帯電装置12により感光体10の表面全面を帯電させる。感光体10としては、公知のいかなるものも用いることができるが、後述するように、発色情報付与装置30が感光体10の内部にある場合は、露光光を透過できる透明感光体を用いることが好ましい。ここで、本明細書における「透明」とは入射した光に対して出射した光の透過率(出射光/入射光)が、使用する波長域において50%以上であることをいう。
感光体10は、ガラス、プラスチック等の透明材料を基体とし、その肉厚は必要とされる機械強度から決められ、約0.1mmから5mm程度である。プラスチックとしては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等が好ましい。
なお、PIまたはPAI樹脂は、一般的には黄褐色に着色しているが、本発明では、透明なものとして用いることが好ましい。PIまたはPAI樹脂として透明なのは、分子内の電荷移動が起こりにくいものであり、酸またはジアミン成分にフッ素化したものやジアミノジフェニルスルホンを用いたもの、酸またはジアミン成分に脂環構造を用いたもの、等がある。
基体の形状は円筒体のほか、ベルトであってもよい。基体がベルトの場合、その厚みは該ベルトを張架するロールの径、張力等の設計事項から決められ、30μmから200μm程度である。また、継ぎ目があるものよりは、継ぎ目がない無端ベルトであるのが好ましい。
基体は電荷を流すために導電性が必要であり、透明導電材を分散する方法のほか、基体上に透明電極を形成する方法がある。それには、ITOやSnO2等の透明金属酸化物の蒸着またはスパッタリング薄膜や、該金属酸化物の微粒子をバインダー樹脂に分散した溶液、またはポリピロールなどの導電性ポリマーの溶液を塗布して作製する薄層、あるいは銀や金などの超微粒子を媒体に分散した溶液を塗布して焼き付けた薄層等が挙げられる。その厚みは、必要とされる導電度と透過性から決められ、およそ0.01μmから10μm程度である。
なお、金属の超微粒子とは、粒径が1nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下の大きさの金属粒子を指す。金属をこのような微細の大きさにすると融点が100〜300℃程度に低下する。これは、粒径が小さくなるに従って、表面エネルギーが飛躍的に増大し、相互に結合(焼結)しようとするためである。融点は粒径によって上下するが、分散媒への分散濃度、分散剤の種類や濃度、等によっても変化する。好ましく用いられる金属として、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、インジウム、白金、亜鉛、錫等がある。超微粒子の形状は、球状、又は球に類した楕円体状が好ましい。
金属の超微粒子を作製するには、霧状に金属を蒸発させるアトマイザー法、水溶液中で銀イオンを凝集させ加熱生成する方法、酸化銀薄膜を真空水素雰囲気で還元する方法、レーザー融解法、気相成長法、ゾルゲル法等がある。
また、超微粒子以外に、粒径が0.1μm以上10μm以下の微粒子を併用しても良い。該微粒子は、融点は低くはないものの、超微粒子が溶解して焼結する際、同時に該微粒子も焼結するため、増量剤として用いることができる。また、材料コストを低減させるために有効である。超微粒子と微粒子の混合割合は任意であるが、超微粒子は微粒子の5質量%以上必要であることが好ましい。超微粒子と微粒子は、同一金属でも異種金属でも良いが、異種金属の場合は、相互に融着しやすいものが好ましい。
超微粒子の表面は、樹脂や添加剤で被覆されていてもよい。かかる樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。また、かかる添加剤としては、アミン化合物、シリコーン化合物、カップリング剤、有機酸等が挙げられる。
金属の超微粒子は、分散媒に分散されて塗布されるが、分散媒としては、水や、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素化合物等の有機溶剤が挙げられ、複数種を混合しても良い。分散や分散安定性のために、界面活性剤や増粘剤を用いてもよい。
また、少量のバインダー樹脂を用いても良い。バインダー樹脂は、金属の超微粒子が融解する際、分離するか分解して、金属層中に残存しにくいものが好ましく、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、等が挙げられる。
金属の超微粒子分散液の固形分濃度は、10〜60%が好ましく、より好ましくは、12〜55%である。金属の超微粒子分散液の粘度は、1〜1000mPa・sが好ましく、2〜900mPa・s以下がより好ましい。金属の超微粒子を塗布して形成される金属融解層の厚さは、より好ましくは、0.05〜6μmであるが、透明性を確保するには、薄い方が好ましい。基体への塗布方法は任意であるが、膜厚の均一性を重視する場合には、浸漬塗布法や環状塗布方法が好ましい。
塗布後、融点以上の温度で加熱することにより、超微粒子が焼結して金属融解層が形成される。焼結した金属層の溶解温度は金属本来の融点になり、前記温度では溶解しなくなる。焼結の際、基体としてポリイミド樹脂(PI)を用いる場合は、金属超微粒子の焼結とPI前駆体層のイミド化を同時に行うと、両者の密着性が強固になって好ましい。すなわち、イミド化の際に、PI前駆体層表面に形成された金属層を構成する金属の一部がPI前駆体層に入り込み、金属を取りこんだ状態でPI前駆体が反応を起こすため、金属層とPI樹脂層との密着性が高くなると考えられる。また、一度の加熱で、イミド化と金属層の形成とが完結し、両者の密着性が高くなるばかりでなく、製造にかかるエネルギー及び時間を効率良く削減できる。加熱時、金属融解層を構成する金属が、例えば銅やニッケルのように酸化又は変質しやすい場合には、窒素やアルゴン等の不活性気体中で加熱することが好ましい。
基体に導電性を付与する他の方法は、導電性粉体として、ITOやSnO2等の透明金属酸化物を分散することである。その場合、導電性は高くはないが、静電荷を流すため、体積抵抗率で105〜1012Ωcm程度あればよい。
透明電極上に形成される感光層は、公知の積層または単層の有機感光体(OPC)、無機のa−Si等が使用できるが、感光層に光を通過させる場合には、光透過性が高いものがよい。感光層の厚みは、特に透明とする場合、前記透過性と繰り返し使用による膜厚減少を勘案した帯電電位に耐えられる絶縁性から決められ、10〜50μm程度が好ましい。感光層と基体との間に、必要に応じて下引き層を設けてもよい。さらに、感光層の上には、感光層を保護するための層を設けてもよい。
下引き層は、透明な樹脂(例えば酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アルコール可溶性ナイロン樹脂、等)及びこれらの共重合体、又は、硬化性金属有機化合物(例えばジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキシド化合物、シランカップリング剤等)を、単独又は複数混合して塗布形成した層である。
積層有機感光体における電荷発生層(CGL)は、電荷発生剤(CGM)を、バインダー樹脂(例えばポリビニルブチラール等)に分散して、塗布形成される。
本発明においては、透明性を向上させるために、なるべく薄い色のCGM(例えば、シアニン、アズレニウム、スクアリウム、ガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等)を用いる方がよい。CGMの感光波長は、後述の発色露光の波長に感度がない方が、劣化防止のために好ましい。
CGLの厚さは、通常は0.1〜1μm程度であるが、本発明では劣化防止のために膜厚も薄い方がよく、0.01〜0.2μm程度が好ましい。CGLの膜厚を薄くすると、画像露光に対する感度は低下するが、本発明においては、トナーの発色露光に比較的強い光源を用いるので、画像露光においても、それに準じて光量を多くすればよい。
CGLの上または下に形成される電荷移動層(CTL)は、電荷輸送剤(CTM)を、バインダー樹脂(例えばポリカーボネート、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル等)と混合して塗布形成される。
CTMは黄色のものが多いが、本発明においては透明なもの、例えば、ベンジジン化合物、トリフェニルアミン化合物、等が好ましい。CTLの厚さは、10〜50μm程度が好ましい。
感光層としては、例えば、Se、a−Si等の無機の感光層、あるいは単層若しくは多層(電荷発生層、電荷輸送層等)の有機感光層を挙げることができる。また、前記入射した光の散乱をより起こさせるため、金属酸化物やフッ素樹脂粒子等の有機粒子などの粒径が数十ナノメーターから数ミクロンのものを感光層に分散させることが好ましい。ただし、前記のように感光層を光が通過しトナーまでも露光することが必要とされるので、光透過性のよいものがよい。透過性の目安としては、感光層そのもので透過率が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
また、後述する発色情報付与のための露光が通常の潜像形成のための露光よりかなり強い強度で行われるため(発色情報付与に供する光のエネルギー量は、通常の電子写真プロセスに使用される感光体の露光量(2mJ/m2)の約1000倍程度必要)、感光体10へのダメージが心配されるが、例えば、感光体10の電荷発生層の光感度を従来の1/1000とすれば、バランスが取れるので問題とはならない。なお、感光層の厚みは、前記透過性と経時による膜減りとを勘案した帯電電位に耐えられる絶縁性から決められ、おおよそ5〜50μmの範囲が好ましい。
また、ベルト状感光体の場合は、透明基体としてはPET、PC等の透明樹脂が使用でき、その厚みはベルト状感光体を張架するロールの径、張力等の設計事項から決められ、おおよそ10〜500μm程度の範囲である。その他の層構成等はドラムの場合と同様である。
一方、イオノグラフィによりトナー像を形成する場合は、感光体10の代わりに誘電体を用いる。誘電体としても、同様な理由から透明誘電体を用いることが好ましい。上記透明誘電体としては、前記透明感光体における感光層の代わりに透明誘電体層、例えば、PET、PC等の透明プラスチックを用いたものを使用することができる。
感光体10の帯電には公知の帯電手段12が使用できる。接触方式である場合は、ロール、ブラシ、磁気ブラシ、ブレード等が使用でき、非接触の場合は、コロトロン、スコロトロン等が使用できる。帯電手段としてはこれらに限られるものではない。
これらの中でも、帯電補償能力に優れる点で接触型帯電器が好ましく用いられる。接触帯電方式は、感光体表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより感光体表面を帯電させるものである。導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、あるいはロール状等何れでもよいが、特にロール状部材が好ましい。通常、ロール状部材は外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層と芯材から構成される。さらに必要に応じて、抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
これらの導電性部材を用いて感光体10を帯電させる方法としては、導電性部材に電圧を印加するが、印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好ましい。電圧の範囲としては、直流電圧は要求される感光体帯電電位に応じて正または負の50〜2000Vが好ましく、100〜1500Vがより好ましく、100〜600Vがさらに好ましい。交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧(Vpp)が400〜1800V、好ましくは800〜1600V、交流電圧の周波数は50〜20000Hz、好ましくは100〜5000Hzであり、サイン波、方形波、三角波がいずれも使用可能である。帯電電位は、電位の絶対値で100〜600Vの範囲に設定することが好ましい。
静電潜像の形成には公知の露光装置14が使用できる。露光装置14としては、例えばレーザスキャニングシステム、LEDイメージバーシステム、アナログ露光手段、さらにはイオン流制御ヘッド等などを用いることができ、図1における矢印Aのように感光体10表面に露光を行うことが可能である。これ以外にも今後開発される新規な露光手段が本発明の効果を達成する限り使用できる。
光源の波長は、感光体10の分光感度領域にあるものが使用される。これまで、半導体レーザの波長として780nmm付近に発振波長を有する近赤外が主流であるが、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400〜450nm近傍に発振波長を有するレーザも利用が可能である。また、カラー画像形成のためにはマルチビーム出力が可能なタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
感光体10に対する露光は、反転現像の場合は後述するトナーを現像する位置に、正規現像の場合はトナーを現像する以外に位置に、前記4つの色の画像形成情報の論理和として行なわれる。露光スポット径は、10〜50μmの範囲となるようにすることが好ましい。露光量としては、露光後電位が前記帯電電位の5〜20%程度の範囲となるようにすることが好ましいが、画像の階調に応じてトナーの現像量を変化させる場合には、露光位置ごとに現像量に応じて露光量を変化させてもよい。
一方、前記イオノグラフィの場合には、イオン書込みヘッドにより像担持体上に潜像を形成する。イオン書込みヘッドとしては、例えば、イオン流を画像信号によりOn/Off制御するもの(特開平4−122654号公報)や、イオン流の発生そのものをOn/Off制御するもの(特開平6−99610号公報)などを用いることができる。なお、この方式の場合、像担持体としては誘電体のみでなく感光体も使用することが可能である。
前記静電潜像に対する現像には、公知の現像装置16が使用できる。現像法としては、キャリアと呼ばれるトナーを担持するための微小粒子とトナーからなる二成分現像法、またはトナーのみからなる一成分現像法、またこれらの現像法においてさらに現像その他の特性改善のために別の構成物質が添加される場合もある全ての現像方法が使用できる。
また、現像方法によっては感光体10へ現像剤が接触または非接触で現像を行なうもの、あるいはそれらの組み合わせのいずれもが使用可能である。さらに、前記一成分現像法と二成分現像法とを組み合わせたハイブリッド現像方法も使用可能である。これ以外にも、今後開発される新規な現像手段が本発明の効果を達成する限り使用できる。
なお、本発明に係るトナーを使用する場合、前記現像剤に含まれるトナーとしては、例えばY色に発色可能な発色部(Y発色部)、M色に発色可能な発色部(M発色部)及びC色に発色可能な発色部(C発色部)を1つのトナー粒子中に含むものであってもよいし、前記Y発色部、M発色部、C発色部を各々トナーごとに別々に含むものであってもよい。 トナー現像量(感光体に付着させるトナー付着量)としては、形成する画像によっても異なるが、べた画像において5〜50g/m2の範囲とすることが好ましく、10〜40g/m2の範囲とすることがより好ましい。
また、形成されたトナー像Tにおいて、後述する発色情報付与のための光が、当該照射された部分全体に行き渡らなければならないため、トナー層厚は一定以下に抑えることが好ましい。具体的には、べた画像においてトナー層は3層以下であることが好ましく、2層以下であることがより好ましい。なお、上記トナー層厚は、実際の感光体10表面に形成されたトナー層の厚さを測定し、これをトナーの個数平均粒径で除した値である。
<発色情報付与工程>
次に、こうして得たトナー像Tに対して、図1に示すように発色情報付与装置30により、感光体10の表面にむかって光による発色情報が付与される。
発色情報付与装置30としては、そのとき発色させるトナー粒子が特定色に発色するための波長の光を所定の解像度と強度とで照射することができるものであれば何でもよい。例えば、LEDイメージバー、レーザROS等を使用することが可能である。なお、トナー像Tに照射される光の照射スポット径は、10〜80μmの範囲となるように調整されることが好ましく、15〜60μmの範囲とすることがより好ましい。
発色あるいは非発色状態維持のために供される光の波長は、使用されるトナーの材料設計により決まるが、例えば、特定波長の光照射により発色するトナー(光発色型トナー)を用いる場合、イエロー(Y色)に発色させるときは405nmの光(λA光とする)を、マゼンタ(M色)に発色させるときは535nmの光(λB光とする)を、シアン(C色)に発色させるときは657nmの光(λC光とする)を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。
また、二次色に発色させる時には、前記光の組み合わせになり、レッド(R色)に発色させる時はλA光及びλB光を、グリーン(G色)に発色させる時はλA光及びλC光を、ブルー(B色)に発色させる時はλB光及びλC光を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。さらに、三次色であるブラック(K色)に発色させるときは上記λA光、λB光及びλC光をその発色させる所望の位置に重ねて照射する。
一方、特定波長の光照射により非発色状態を維持するトナー(光非発色型トナー)の場合には、例えば、イエロー(Y色)を発色させないようにするときは405nmの光(λA光)を、マゼンタ(M色)に発色させないようにするときは535nmの光(λB光)を、シアン(C色)に発色させないようにするときは657nmの光(λC光)を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。したがって、Y色に発色させる時はλB光及びλC光を、M色に発色させる時はλA光及びλC光を、C色に発色させる時はλA光及びλB光を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射することとなる。
また、二次色に発色させる時には、前記光の組み合わせになり、レッド(R色)に発色させる時はλC光を、グリーン(G色)に発色させる時はλB光を、ブルー(B色)に発色させる時はλA光を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。さらに、三次色であるブラック(K色)に発色させるときはその発色させる所望の位置には露光しないようにする。
発色情報付与装置30からの光は、必要に応じてパルス巾変調、強度変調、左記2つを組み合わせたものなど、公知の画像変調方法が使用可能である。また、光の露光量はそれぞれで、0.05〜0.8mJ/cm2の範囲とすることが好ましく、0.1〜0.6mJ/cm2の範囲とすることがより好ましい。特にこの露光量に関しては、必要露光量は現像されたトナーの量と相関があり、例えば、トナー現像量(べた)が約5.5g/m2に対し0.2〜0.4mJ/m2の範囲の露光を行うことが好ましい。
本発明において、発色情報付与のための露光(以下、「発色情報付与光」という場合がある)が像担持体の裏面から行なわれる場合、像担持体を透過した光がトナーに照射されるので、像担持体を光が透過する際に、像担持体を構成する各層の界面、入射角、内部の不純物等により散乱が起こり、像担持体表面からの出射時に光が拡がり、トナー表面に対してより多くの角度で光を当てることが可能となる。その結果、トナー表面での反射が促進され、多層に現像されたトナー像の隙間を満遍なく光が照射することが可能となり、トナーの発色が良くなり、画像における色再現域が広まると考えられる。従って、当該露光は、像担持体の裏面から行ってもよい。
また、像担持体の背面(裏面)からの露光を行なうことは、現像したトナー像近傍に発色情報付与のための露光装置を配置した場合(特に、LEDイメージバーのように像担持体に近接配置される場合)、該露光装置へのトナー像の飛散による汚れ防止の作用を得ることができるため有利である。
裏面側から行われることで、例えば、前記透明感光層を光が透過する際に、各層の界面、入射角、感光体内の不純物等により散乱が起こり、透明感光体表面からの出射時に光が拡がり、拡がらない場合と比較して、トナー表面に対してより多くの角度で光が照射される。このため、トナー表面での吸収及び反射が促進され、多層現像されたトナーの隙間を満遍なく照射することが可能となる。
本発明では、像担持体として透明感光体を用いる場合、該透明感光体の感度波長域、潜像形成と現像との関係、発色情報付与装置の配置、該発色情報付与装置により露光光を照射する位置、及び潜像形成するための露光手段の配置に応じて、種々の構成をとることが可能である。
一方、イオノグラフィによる画像形成の場合、具体的には像担持体として透明誘電体とこれに潜像を形成するイオン書込みヘッドとを用いた構成態様が挙げられる。この場合には、像担持体は透明誘電体なので、発色情報付与光は帯電装置の上流側及び下流側のどちらも透明誘電体を通過可能であり、また、発色情報付与光が強くても透明誘電体が光劣化することがないため有利である。
このイオノグラフィによる画像形成には、前記のように像担持体として透明感光体を用いることも可能であり、その場合には前記の構成がそのまま好ましい構成となるが、透明誘電体を用いれば、上記のようにさらに設計の自由度や像担持体の耐久性を向上させることができる。
以下に、上記発色情報付与のための露光がどのようなタイミングで、どのような位置制御により行われるかを簡単に説明する。
図2は、本発明の画像形成装置における印字制御部の具体的な回路ブロック図を示す。同図において、論理和回路40、発振回路42、マゼンタ発色制御回路44M、シアン発色制御回路44C、イエロー発色制御回路44Y、ブラック発色制御回路44Kによりプリンタコントローラが構成されている。一方、光書込ヘッド62及び発色情報付与露光ヘッド64により露光部が構成されている。
図示しないインターフェース(I/F)によって、入力されたRGB信号がCMYK値に変換された画像データは、更にインターフェース(I/F)からマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の画素データとして論理和回路40に出力される。ここで、論理和回路40はCMYKの論理和を計算し、光書込ヘッド62に出力する。
すなわち、CMYKの全ての画素データを含む論理和のデータを光書込ヘッド62に出力し、前記のように感光体10に光書込みを行う。したがって、感光体10の周面にはCMYKの全ての画素データを含む論理和データに基づく静電潜像が形成される。
また、CMYKの画素データは対応するマゼンタ発色制御回路44M〜ブラック発色制御回路44Kにも供給され、発振回路42から出力される発振信号fm、fc、fy、fkに同期して発色情報付与露光ヘッド64に出力される。すなわち、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のそれぞれに対応する発色データが発色情報付与露光ヘッド64に供給され、感光体10上に現像されたトナー像Tに対応して発色または非発色状態を維持するための特定波長の光が照射される。このようにして、照射される光を受けたトナー内で、後述する光硬化反応等が起こり、発色情報が付与される。
例えば、マゼンタ発色制御回路44Mから出力された発色信号fmはトナー内の発色部に前記λB光を照射し、該トナーをマゼンタ(M)色の発色が可能な状態とする。また、シアン発色制御回路44Cから出力された発色信号fcはトナー内の発色部に前記λC光を照射し、該トナーをシアン(C)色の発色が可能な状態とする。さらに、イエロー(Y)及びブラック(K)についても同様であり、イエロー発色制御回路44Y、ブラック発色制御回路44Kから出力される発色信号fy、fkは、トナー内の発色部に前記λA光またはλA光、λB光及びλC光を照射し、イエロー(Y)またはブラック(K)の発色が可能な状態とする。
以上、本発明における発色情報付与工程(手段)について、フルカラー画像形成を行う場合の機構について説明したが、本発明における発色情報付与工程は、イエロー、マゼンタ及びシアンのうちのいずれかを発色させるモノカラー画像形成のための発色情報付与工程であってもよい。この場合は、発色情報付与露光ヘッド54からは、前記イエロー、マゼンタ及びシアンのうちの所望の発色に対応する特定波長の光のみを照射する。その他の好ましい条件等については、フルカラー画像形成時における条件等と同様である。
<転写工程>
発色情報を与えられたトナーは、その後一括して記録媒体26に転写される。転写には公知の転写装置18が使用できる。例えば、接触方式である場合は、ロール、ブラシ、ブレード等が使用でき、非接触方式の場合は、コロトロン、スコロトロン、ピンコロトロン等が使用できる。また、圧力、若しくは圧力及び熱による転写も可能である。
転写バイアスは300〜1000V(絶対値)の範囲とすることが好ましく、さらに交流(Vpp:400V〜4kV、400〜3kHz)を重畳してもよい。
<定着工程>
転写工程後に発色(あるいは非発色状態維持)可能な状態におかれた前記トナー像Tは、記録媒体26が定着装置22によって加熱されることで前述のように発色がなされる。ここで、定着装置22は、光源と熱源とを内包し、少なくとも前記光源からの光の光路が透明となっている。
ただし、本発明においては、定着方法とは、光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーにより形成したトナー像を記録媒体上に定着する定着工程を有し、定着工程が、熱源により、発色情報が付与されたトナー像を加熱し、トナー像を発色させる発色工程と、発色工程を行った後、又は、発色工程と同時に、光源により、発色させたトナー像に光を照射して発色させたトナー像の発色を固定化する光照射工程であって、少なくとも光源からの光の光路を透明とした光照射工程と、を有することを特徴とする定着方法を適用する。
熱源は、上記の通り発色のために用いられ(発色処理)、光源は、トナー像の発色を固定化するために用いられる(光照射処理)。光源からの光がトナー像に照射されるように、少なくとも光源からの光の光路が透明となっている。例えば、トナー像を接触することで直接定着に寄与する定着部材35が、ベルト状体である場合には、ベルトの少なくともトナー像Tとの接触面が透明となっている。また、ロール状体の場合は、ロールの少なくともトナー像Tとの接触面が透明となっている。
トナーTへの露光を行う定着装置22は、発色トナーを熱溶融して用紙にトナー粒子を定着する通常の電子写真方式の定着機能の他に、トナーに熱を加えてトナー中の顕色剤を拡散移動させ、マイクロカプセル中の発色剤と反応させて、トナーを発色させる機能が必要である。
光照射による発色固定(光照射処理)は、トナーの発色をそれ以上進めないように露光するもので、例えば、特開2003−330228号公報に記載の装置では、用紙上にトナーを定着した後に発色固定が行われるが、本発明では、発光光源37と加熱ヒーター36を内包した透明な定着部材35を用いて、定着と同時に行うようにするものである。
透明な定着部材35は、ガラス、プラスチック等からなる透明材料を基材とし、その表面にトナーに対する離型性を向上するために、透明な非粘着性の離型性樹脂またはゴム層を設けたものである。基材の形態としては、柔軟性を有しない円筒ロール、または柔軟性を有するベルトがあり、図1はベルトの例である。ニップ部を長くしたい場合には、ベルトの方が有利である。
プラスチックの場合、耐熱性の観点から、ポリイミド(PI)やポリアミドイミド(PAI)が好ましい。PIまたはPAI樹脂は、一般のものは黄褐色に着色しているが、本発明には透明な材料を用いるのが好ましい。PIまたはPAI樹脂として透明なのは、分子内の電荷移動が起こりにくいものであり、酸またはジアミン成分にフッ素化したものやジアミノジフェニルスルホンを用いたもの、酸またはジアミン成分に脂環構造を用いたもの、等がある。
定着部材35がベルトの場合、その厚みは該ベルトを張架するロール38の径、張力等の設計事項から決められ、50μmから200μm程度である。また、継ぎ目があるものよりは、継ぎ目がない無端ベルトであるのが好ましい。
定着部材35表面に形成する離型性樹脂としては、従来公知の定着部材の表面層に用いられる離型性樹脂の中で、透明性が高いものを適用することができ、フッ素樹脂や、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が好ましく挙げられる。
フッ素樹脂としてはポリテトラフロロエチレン(PTFE、融点327℃)、テトラフロロエチレン・パーフロロアルキルエーテル共重合体(PFA、融点310℃)、テトラフロロエチレン・ヘキサフロロプロピレン共重合体(FEP、融点275℃)、エチレン・テトラフロロエチレン共重合体(ETFE、融点270℃)、エチレン・モノクロロトリフロロエチレン共重合体(ECTFE、融点245℃)等があるが、透明性の点では、PFAやFEPが好ましい。フッ素樹脂はその微粒子を水に分散した塗料を塗布し、融点以上の温度で焼き付け処理することにより、層を形成することができる。
PI上にフッ素樹脂層を形成する場合、PI前駆体溶液を芯体上に塗布した後、皮膜形成できる程度に溶剤を乾燥させた後、フッ素樹脂分散塗料を塗布し、加熱してPIのイミド化と、フッ素樹脂の溶融焼き付けを同時に行うことにより、両者の密着性を向上させる方法がある。しかも、製造にかかるエネルギー及び時間を効率良く削減できる。
透明な定着装置22の内部には、発色光源(光源)37と加熱ヒーター(熱源)36が内包される。該加熱ヒーターとしては、光量が多いハロゲンランプが好適である。発光光源37には公知のランプ、蛍光灯、LED等が使用できる。その波長及び照度はトナーの設計に依存するが、ハロゲンランプの光量が加わる事を加味して設定するようにする。ハロゲンランプの光量で発色固定の光量が足りる場合は、発色光源を兼ねることができるが、例えば短波長成分のみが不足するのなら、光源は短波長成分のみを発色できればよい。このようにすれば、光源に必要なエネルギーを削減することができる。
具体的な条件として、照度は1000〜10000luxの範囲程度とすることが好ましく、露光時間は1〜10secの範囲とすることが好ましい。
透明な定着部材35の対抗側の加圧部材25には、公知の加圧定着用のロールまたは特許第3298354号記載の如きベルト装置が使用できる。
<その他の工程>
本発明では、定着、発色工程を経て得られた画像に光を照射する光照射工程を含むことが好ましい。これにより発色不可能な状態に制御された発色部中に残存する反応性物質を分解又は失活させることができるため、画像形成後のカラーバランスの変動をより確実に抑制したり、バックグランド色の除去・漂白を行ったりすることができる。
なお、本実施形態においては、上記光照射工程は定着工程の後に設けられているが、加熱溶融しない定着方法、例えば圧力を用いて定着させる圧力定着などの場合は、光照射工程後、定着工程を行うこともできる。
これらに加えて、上述の画像形成方法では、従来の顔料等の着色剤を用いて実施される電子写真プロセスに利用される公知の工程が含まれていてもよく、例えば、トナー像を転写後の像担持体表面をクリーニングするクリーニング工程が含まれていてもよい。クリーナ20としては公知のものが使用でき、ブレード、ブラシ等が使用可能である。また、クリーナ20を除去したいわゆるクリーナレスプロセスも適用可能である。
また、この他にも、転写工程が、トナー像を像担持体から中間転写ベルト等の中間転写体へ転写する第1の転写工程と、中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体に転写する第2の転写工程とからなる中間転写方式であってもよい。
<使用するトナー>
次に、本発明に好ましく使用されるトナーについて説明する。
本発明に使用するトナーは、前述のように、光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持することができるように制御されるトナーであり、「光による発色情報の付与」「発色または非発色の状態を維持する」についても前記の通りである。
上記のような機能を有するトナーとしては、種々のタイプがあるが、例えば前記特許文献2に開示されているトナーは、外部刺激を受けて物質透過性が変化するカプセル壁を有する複数のマイクロカプセルをトナー樹脂中に分散混合して成る粒子であり、この粒子中に互いに混合されて発色反応を起こす2種類の反応性物質のうちの一方(各色染料前駆体)が、マイクロカプセル内に、他方(顕色剤)がマイクロカプセル外のトナー樹脂中に含まれるものである。
このトナーでは、カプセル壁として特定波長の光を照射した際に物質透過性が増大する光異性化物質を用い、このシス−トランス遷移を利用して光の照射や超音波を印加した際に、カプセル内外に存在する2種類の反応性物質が反応して発色する。
従って、このようなトナーでは前記マイクロカプセルをトナー中に多く存在させることができず、またこれらが偏在してしまうこともあるため、本発明に用いた場合にマイクロカプセルが十分に受光できない場合がある。
このため、本発明では、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれかを含む光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化または未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナー(以下、「Fトナー」という場合がある)を用いることが好ましい。上記トナーの発色メカニズムと簡単な構成について、以下に説明する。
前記Fトナーは、後述するように、バインダー樹脂中に発色部と呼ばれる光による発色情報が付与された際に、特定のひとつの色に発色可能な(または非発色状態を維持することが可能な)連続した領域を1つ以上有する。
図3は、Fトナー中の前記発色部の一例を示す模式図であり、(A)は1つの発色部の断面図であり、(B)はさらにその発色部を拡大したものである。
図3(A)に示すように、発色部60中には、各色の発色剤を含有する発色性マイクロカプセル50とそれを取り巻く組成物58とから構成され、図3(B)に示すように、組成物58は、マイクロカプセル50に含有される発色剤(第1成分)52と近接または接触することで発色させる重合性官能基を有した顕色剤モノマー(第2成分)54と光重合開始剤56とを含んでいる。
トナー粒子を構成する発色部60において、発色性マイクロカプセル50に封入する発色剤52としては、発色色相の鮮やかさに優れたトリアリール系ロイコ化合物などが好適である。このロイコ化合物(電子供与性)を発色させる顕色剤モノマー54としては電子受容性化合物が好ましい。特にフェノール系化合物が一般的であり、感熱、感圧紙などに利用されている顕色剤から適宜選択できる。このような電子供与性の発色剤52と電子受容性の顕色剤モノマー54とが酸塩基反応することで発色剤が発色することになる。
光重合開始剤56としては、可視光により感光し顕色剤モノマー54を重合させるためのトリガーとなる重合性ラジカルを発生する分光増感色素が用いられる。例えば、R色、G色、B色の如き三原色露光に対して、顕色性モノマー54が十分な重合反応を進行させることができるように光重合開始剤56の反応促進剤が用いられる。例えば、露光光を吸収する分光増感色素(カチオン)とホウ素化合物(アニオン)からなるイオンコンプレックスを用いることにより、露光により分光増感色素が光励起されホウ素化合物に電子移動することで重合性ラジカルが生成し重合を開始する。これらの材料を組み合わせることにより、感光性の発色部60として、0.1〜0.2mJ/cm2程度の発色記録感度を得ることができる。
上記構成の発色部60に対する発色情報のための光照射の有無により、発色部60によっては重合された顕色剤化合物と重合されなかった顕色剤モノマー54とを有するものが存在することになる。その後の加熱などの発色装置によって、重合されなかった顕色剤モノマー54を有する発色部60では、この顕色剤モノマー54が熱などによって泳動し、発色剤マイクロカプセル50の隔壁の空孔を泳動通過して発色剤マイクロカプセル中に拡散する。マイクロカプセル50中に拡散された顕色剤モノマー54と発色剤52とは、前述のように発色剤52が塩基性であり、顕色剤モノマー54が酸性であることにより発色剤52を酸塩基反応によって発色させることになる。
一方、重合反応を生じた顕色剤化合物は、この後の加熱などによる発色工程では重合による嵩高さによりマイクロカプセル50の隔壁の空孔を拡散通過できず、発色性マイクロカプセル中の発色剤52と反応ができないため発色することができない。したがって、発色性マイクロカプセル50は無色のままで残ることとなる。すなわち、特定波長光を照射された発色部60は発色されに存在することになる。
発色後、適当な段階で再度全面を白色光源で露光することにより、残留している重合未了の顕色性モノマー54を全て重合させて安定した画像定着がなされるとともに、残留分光増感色素を分解することで地色の消色が行われる。なお、可視光域に対応する光重合開始剤56の分光増感色素はその色調が最後まで地色として残留してしまうが、この分光増感色素の消色には色/ホウ素化合物の光消色現象を利用することができる。すなわち、光励起された分光増感色素からホウ素化合物に電子移動することで重合性ラジカルが生成するが、このラジカルはモノマーの重合を引き起こす一方で、励起された色素ラジカルと反応して色素の色分解を起し、結果的に色素を消色させることができる。
前記Fトナーでは、このような異なる発色を行なう発色部60(例えば、Y色、M色、C色に発色する)を、それぞれの顕色剤モノマー54が目的とする発色剤52以外の発色剤と干渉し合わない状態(互いに隔離された状態)にして一つのマイクロカプセルとして構成し用いることができる。そしてこのFトナーでは、電子供与性発色剤を含むマイクロカプセル以外の空間を電子受容性顕色剤及び光硬化性組成物が埋め、かつこれにより構成される発色部が受光するため、一粒のトナー粒子における受光効率のよさは、前記特許文献2に開示されたトナーに比べ圧倒的に高い。したがって、他のトナーと比較して、背面露光の効果を十分に活用できるものである。
さらに、前記のように発色情報付与メカニズムが可逆反応ではないことより、加熱による発色までに時間的制約がないというメリットを有する結果、低速域までのプリントも可能、すなわち、広いスピードレンジに対応可能となり、加えて、加熱による発色が行なわれる定着器等の配置場所についても自由度が高いというメリットも有している。
Fトナーの構成について、さらに詳述する。
Fトナーは、発色可能な物質(発色性物質)として、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分と第2成分とを含む。このように、2種類の反応性成分の反応を利用して発色させることにより、発色の制御が容易になる。なお、前記第1成分、第2成分は、発色する前の状態において予め着色していてもよいが、実質的に無色の物質であることが特に好ましい。
前記発色制御を容易とするために、発色性物質として互いに反応した際に発色する2種類の反応性成分を用いるが、これらの反応性成分が、光による発色情報が付与されない状態でも物質拡散が容易な同一のマトリックス内に存在すると、トナーの保管時や製造時において、自発的な発色が進行してしまう場合がある。このため、前記反応性成分は、その種類毎に、発色情報が付与されない限り互いの領域への物質拡散が困難な異なるマトリックス内に含まれていること(互いに隔離されていること)が必要である。
このように光による発色情報が付与されない状態での物質拡散を阻害して、トナーの保管時や製造時における自発的な発色を防止するためには、2種類の反応性成分の第1成分が第1のマトリックスに含まれ、第2成分が第1のマトリックス外(第2のマトリックス)に含まれ、第1のマトリックスと第2のマトリックスとの間には、両マトリックス間の物質の拡散が阻害されると共に、熱等の外部刺激が付与された際には、刺激の種類、強度や、組み合わせに応じて両マトリックス間の物質の拡散を可能とするような機能を持つ隔壁が設けられることが好ましい。
なお、このような隔壁を利用して2種類の反応性成分をトナー中に配置するには、マイクロカプセルを利用することが好適である。この場合、Fトナーには、2種類の反応性成分のうち、例えば第1成分がマイクロカプセル内に含まれ、第2成分がマイクロカプセル外に含まれることが好ましい。この場合、マイクロカプセル内部が前記第1のマトリックス、マイクロカプセル外が前記第2のマトリックスに相当する。
このマイクロカプセルは、芯部と、該芯部を被覆する外殻とを有するものであり、熱等の外部刺激が付与されない限りマイクロカプセル内外の物質の拡散を阻害すると共に、外部刺激が付与された際には、刺激の種類、強度や、組み合わせに応じてマイクロカプセル内外の物質の拡散を可能とする機能を有するものであれば特に限定されない。なお芯部には、前記反応性成分の一方が少なくとも含まれる。
また、マイクロカプセルは、光の照射や圧力などの刺激の付与によってマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とするものでもよいが、加熱処理によりマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とする(外殻の物質透過性が増大する)熱応答性マイクロカプセルであることが特に好ましい。
なお、刺激が付与された際のマイクロカプセル内外の物質拡散は、画像形成時の発色濃度の低下を抑制したり、高温環境下に放置された画像のカラーバランスの変化を抑制する観点からは、不可逆的なものであることが好ましい。それゆえ、マイクロカプセルを構成する外殻は、加熱処理や光照射等の刺激の付与による軟化、分解、溶解(周囲の部材への相溶)、変形等により、物質透過性が不可逆的に増大する機能を有することが好ましい。
次に、前記Fトナーがマイクロカプセルを含む場合の好ましい構成について説明する。
このようなトナーとしては、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、マイクロカプセルと、第2成分を分散させた光硬化性組成物とを含むものであることが好ましく、このようなトナーとしては、以下の3つの態様が挙げられる。
すなわち、前記Fトナーは、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含み、第1成分がマイクロカプセルに含まれ、第2成分が光硬化性組成物中に含まれる態様(第1の態様)、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、光硬化性組成物を含むマイクロカプセルとを含み、第1成分がマイクロカプセル外に含まれ、第2成分が光硬化性組成物内に含まれる態様(第2の態様)、あるいは、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、第1成分を含む一のマイクロカプセルと、第2成分を分散させた光硬化性組成物を含む他のマイクロカプセルとを含む態様(第3の態様)のいずれかであることが好ましい。
これら3つの態様の中では、特に第1の態様が、光による発色情報付与前の安定性、発色の制御等の観点から好ましい。なお、以下のトナーの説明においては、基本的に第1の態様のトナーを前提としてより詳細に説明するが、以下に説明する第1の態様のトナーの構成、材料、製法等は、第2の態様や第3の態様のトナーにおいても、勿論、利用/転用可能である。
なお、上述した熱応答性マイクロカプセルと光硬化性組成物とを組み合わせて用いたFトナーは、以下の2つのタイプのいずれかであることが特に好ましい。
(1)光硬化性組成物が未硬化の状態で加熱処理しても、未硬化の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が抑制され、発色情報付与光の照射によって光硬化性組成物が硬化した後に加熱処理すると、硬化後の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が促進されるタイプのトナー(以下、「光発色型トナー」と称す場合がある)。
(2)光硬化性組成物が未硬化の状態(第2成分が重合していない状態)で加熱処理すると、未硬化の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が促進され、発色情報付与光の照射によって光硬化性組成物が硬化した後(第2成分が重合した後)に加熱処理すると、硬化後の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が抑制されるタイプのトナー(以下、「光非発色型トナー」と称す場合がある)。
前記光発色型トナーと光非発色型トナーとの主たる違いは、光硬化性組成物を構成する材料にあり、光発色型トナーでは、光硬化性組成物中に(光重合性を有さない)第2成分と光重合性化合物とが少なくとも含まれるのに対して、光非発色型トナーは、光硬化性組成物中に、分子中に光重合性基を有する第2成分が少なくとも含まれる。
なお、光発色型トナーおよび光非発色型トナーに用いられる光硬化性組成物中には、光重合開始剤が含まれていることが特に好ましく、必要に応じてその他種々の材料が含まれていてもよい。
上記光発色型トナーに用いられる光重合性化合物および第2成分としては、光硬化組成物が未硬化の状態で両者の間に相互作用が働き、光硬化性組成物中での第2成分の物質拡散が抑制され、発色情報付与光の照射による光硬化性組成物の硬化(光重合性化合物の重合)後の状態で両者の間の相互作用が減少して、光硬化性組成物中での第2成分の拡散が容易となる材料が用いられる。
従って、光発色型トナーにおいては、加熱処理(発色工程)前に予め光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射しておくことによって、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が容易な状態となる。このため、加熱処理された際に、マイクロカプセルの外殻の溶解等によって、マイクロカプセル内の第1成分と光硬化性組成物中の第2成分との反応(発色反応)が起こる。
逆に、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射せずに、そのまま加熱処理しても第2成分は光重合性化合物にトラップされ、マイクロカプセル中の第1成分と接触することができず、第1成分と第2成分との反応(発色反応)が起こらない。
以上説明したように、光発色型トナーでは、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光の照射の有無と、加熱処理とを組み合わせて付与することによって、第1成分と第2成分との反応(発色反応)を制御できるため、トナーの発色を制御できる。
また、光非発色型トナーにおいては、第2成分自体が光重合性を有するため、発色情報付与光を照射したとしても、この光の波長が光硬化性組成物を硬化させる波長でなければ、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が容易な状態を保てるため、この状態で加熱処理するとマイクロカプセルの外殻の溶解等によって、マイクロカプセル内の第1成分と光硬化性組成物中の第2成分との反応(発色反応)が起こる。
逆に、加熱処理前に光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光が照射されると、光硬化性組成物中に含まれる第2成分同士が重合してしまうため、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が困難となる。それゆえ、加熱処理しても第2成分は、マイクロカプセル中の第1成分と接触することができず、第1成分と第2成分との反応(発色反応)が起こらない。
以上説明したように、光非発色型トナーでは、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光の照射の有無と、加熱処理とを組み合わせて付与することによって、第1成分と第2成分との反応(発色反応)を制御できるため、トナーの発色を制御できる。
次に、前記Fトナーの好適な構造について、トナーが、前記光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む場合についてより詳細に説明する。この場合、トナーは光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を1つのみ有するものであってもよいが、2つ以上有することが好ましい。ここで、上記「発色部」とは、前述のように外部刺激が付与された際に、特定のひとつの色に発色可能な連続した領域を意味する。
なお、トナーに2以上の発色部が含まれる場合、同じ色に発色可能な1種類の発色部のみがトナー中に含まれていてもよいが、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部がトナー中に含まれることが特に好ましい。その理由は、ひとつのトナー粒子の発色可能な色が、前者の場合は1種類のみに限定されるが、後者の場合は2種類以上とすることができるからである。
例えば、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部としては、イエロー色に発色可能なイエロー発色部と、マゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色部と、シアン色に発色可能なシアン発色部とを含むような組み合わせが挙げられる。
この場合、例えば、外部刺激の付与によりいずれか1種類の発色部のみが発色した場合には、トナーは、イエロー、マゼンタ、あるいは、シアンのいずれかの色に発色することができ、いずれか2種類の発色部が発色した場合には、これら2種類の発色部の発色した色を組み合わせた色に発色することができ、ひとつのトナー粒子で、多様な色を表現することが可能となる。
なお、トナー中に互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部が含まれる場合の発色する色の制御は、各々の種類の発色部に含まれる第1成分および第2成分の種類や組み合わせを異なるものとすることの他に、各々の種類の発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に用いる光の波長を異なるものとすることにより実現できる。
すなわち、この場合、発色部の種類毎に発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に必要な光の波長が異なるため、制御刺激として、発色部の種類に応じた波長の異なる複数種の発色情報付与光を用いればよい。なお、発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に必要な光の波長を異なるものとするには、発色部の種類毎に異なる波長の光に感応する光重合開始剤を光硬化性組成物中に含有させることが好適である。
例えば、イエロー、マゼンタ、および、シアンに発色可能な3種類の発色部がトナー中に含まれる場合、各々の種類の発色部に含まれる光硬化性組成物として、光の波長が405nm、532nmおよび657nmのいずれかに応答して硬化する材料を用いれば、これら3つの異なる波長の発色情報付与光(特定波長を有する光)を使い分けることによって、トナーを所望の色に発色させることができる。なお、発色情報付与光の波長としては、可視域の波長から選択することもできるが、紫外域の波長から選択してもよい。
本発明に用いるトナーは、従来の顔料等の着色剤を用いたトナーに用いられるのと同様な結着樹脂を主成分とする母材を含むものであってもよい。この場合、母材中に、前記2以上の発色部の各々が粒子状のカプセルとして分散していることが好ましい(以下、カプセル状のひとつの発色部を「感光・感熱カプセル」と称する場合がある)。また、母材中には、従来の顔料等の着色剤を用いたトナーと同様に離型剤や、種々の添加剤が含まれていてもよい。
感光・感熱カプセルは、マイクロカプセルや光硬化性組成物を含む芯部と、該芯部を被覆する外殻とを有し、この外殻は、後述するトナーの製造過程や、トナーの保管時において、感光・感熱カプセル内のマイクロカプセルや光硬化性組成物を感光・感熱カプセル外に漏れないように安定して保持できるものであれば特に限定されない。
しかしながら、本発明においては、後述するトナーの製造過程において、第2成分が外殻を透過して感光・感熱カプセル外のマトリックスへ流出したり、他の色に発色可能な感光・感熱カプセル中の第2成分が外殻を透過して流入したりするのを防ぐために、非水溶性樹脂からなる結着樹脂や離型材等の非水溶性材料を主成分として含むものであることが好ましい。
次に、前記Fトナーに用いられるトナー構成材料や、各トナー構成材料を調整する際に用いる材料・方法等について以下により詳細に説明する。
この場合、トナーには、第1成分、第2成分、第1成分を含むマイクロカプセル、第2成分を含む光硬化性組成物が少なくとも用いられ、光硬化性組成物中には光重合開始剤が含まれることが特に好ましく、種々の助剤等が含まれていてもよい。また、マイクロカプセル内(芯部)には第1成分が固体状態で存在していてもよいが、溶媒と共に存在していてもよい。
なお、前記光非発色型トナーにおいては、第1成分として電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物等が用いられ、第2成分として光重合性基を有する電子受容性化合物又は光重合性基を有するカプラー化合物等が用いられる。また、前記光発色型トナーにおいては、第1成分としては、電子供与性無色染料が用いられ、第2成分としては電子受容性化合物(「電子受容性顕色剤」あるいは「顕色剤」と称す場合がある)が用いられ、光重合性化合物としてはエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物が用いられる。
以上に列挙した材料に加えて、更に、従来の着色剤を用いたトナーを構成する材料と同様の各種材料;結着樹脂、離型剤、内添剤、外添剤等を必要に応じて適宜利用することができる。以下、各材料等についてより詳細に説明する。
−第1成分および第2成分−
第1成分および第2成分の組合せとしては、下記(ア)〜(ツ)の組合せを好適に挙げることができる(下記例において、それぞれ前者が第1成分、後者が第2成分を表す。)。
(ア)電子供与性無色染料と電子受容性化合物との組合せ。
(イ)ジアゾニウム塩化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組合せ。
(ウ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(エ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(オ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
(カ)銀、鉛、水銀、ナトリウム等の硫酸塩等の重金属硫酸塩と、ナトリウムテトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。
(キ)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ク)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ケ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(コ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
(サ)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪族重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(シ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成するもの。
(ス)ホルマザン化合物と還元剤および/又は金属塩との組合せ。
(セ)保護された色素(又はロイコ色素)プレカーサーと脱保護剤との組合せ。
(ソ)酸化型発色剤と酸化剤との組合せ。
(タ)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組合せ。(フタロシアニンが生成する組合せ。)
(チ)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組合せ(着色顔料が生成する組合せ)。
(ツ)顔料プレカーサーと酸または塩基との組合せ(顔料が形成する組合せ)。
上記に列挙した第1成分としては、実質的に無色の電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物が好ましい。前記電子供与性無色染料としては、従来より公知のものを使用することができ、前記第2成分と反応して発色するものであれば全て使用することができる。
具体的には、フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物等の各種化合物を挙げることができる。
前記第2成分としては、前記光非発色型トナーの場合は同一分子内に光重合性基および第1成分と反応して発色する部位とを有する実質的に無色化合物であり、光重合性基を有する電子受容性化合物又は光重合性基を有するカプラー化合物等の第1成分と反応して発色し、かつ光に反応して重合し、硬化するという両機能を有するものであれば全て使用することができる。
前記光重合性基を有する電子受容性化合物、即ち、同一分子中に電子受容性基と光重合性基とを有する化合物としては、光重合性基を有し、かつ第1成分の一つである電子供与性無色染料と反応して発色し、かつ光重合して硬化しうるものであれば全て使用することができる。
また、光発色型トナーの場合の第2成分である電子受容性顕色剤としては、フェノール誘導体、含硫フェノール誘導体、有機のカルボン酸誘導体(例えば、サリチル酸、ステアリン酸、レゾルシン酸等)、及びそれらの金属塩等、スルホン酸誘導体、尿素もしくはチオ尿素誘導体等、酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等が挙げられる。
さらに、光発色型トナーには、光重合性化合物としてエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物が用いられ、これはアクリル酸及びその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類などの分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物である。
次に、前記光重合開始剤について説明する。前記光重合開始剤は、発色情報付与光を照射することによりラジカルを発生して光硬化性組成物内で重合反応を起こし、かつその反応を促進させることができる。この重合反応により光硬化性組成物が硬化する。
前記光重合開始剤は、公知のものの中から適宜選択することができ、中でも、300〜1000nmに最大吸収波長を有する分光増感化合物と、該分光増感化合物と相互作用する化合物と、を含有するものであることが好ましい。
但し、前記分光増感化合物と相互作用する化合物が、その構造内に300〜1000nmに最大吸収波長を有する色素部とボレート部との両構造を併せ持つ化合物であれば、前記分光増感色素を用いなくてもよい。
前記分光増感化合物と相互作用する化合物としては、前記第2成分中の光重合性基と光重合反応を開始しうる公知の化合物の中から、1種又は2種以上の化合物を適宜選択して使用することができる。
この化合物を前記の分光増感化合物と共存させることにより、その分光吸収波長領域の照射光に敏感に感応し、高効率にラジカルを発生させうることから、高感度化が図れ、かつ紫外〜赤外領域にある任意の光源を用いてラジカルの発生を制御することができる。
前記「分光増感化合物と相互作用する化合物」としては、有機系ボレート塩化合物、ベンゾインエーテル類、トリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体、有機過酸化物又はアジニウム塩化合物が好ましく、有機系ボレート塩化合物がより好ましい。この「分光増感化合物と相互作用する化合物」を前記分光増感化合物と併用して用いることにより、露光した露光部分に局所的に、かつ効果的にラジカルを発生させることができ、高感度化を達成することができる。
また、光硬化性組成物には重合反応を促進する目的で、さらに助剤として、酸素除去剤(oxygen scavenger)又は活性水素ドナーの連鎖移動剤等の還元剤や連鎖移動的に重合を促進するその他の化合物を添加することもできる。
前記酸素除去剤としては、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト、第1銀塩又は酸素により容易に酸化されるその他の化合物が挙げられる。具体的には、N−フエニルグリシン、トリメチルパルビツール酸、N,N−ジメチル−2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン酸が挙げられる。さらに、チオール類、チオケトン類、トリハロメチル化合物、ロフィンダイマー化合物、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類、アジニウム塩類、有機過酸化物、アジド類等も重合促進剤として有用である。
Fトナーでは、電子供与性無色染料やジアゾニウム塩化合物のような第1成分をマイクロカプセルに内包して使用する。
マイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、米国特許第2800457号、同28000458号に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号、英国特許第990443号、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報、同42−771号公報等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号、同3660304号に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同4087376号、同4089802号に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号、特開昭51−9079号に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号、同965074号に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号、英国特許第930422号に記載のスプレードライング法、特公平7−73069号公報、特開平4−101885号公報、特開平9−263057号公報に記載の方法等が挙げられる。
使用しうるマイクロカプセル壁の材料は、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。前記マイクロカプセル壁の材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアがより好ましい。前記高分子物質は、2種以上併用して用いることもできる。
マイクロカプセルの体積平均粒径は0.1〜3.0μmの範囲内となるように調整することが好ましく、0.3〜1.0μmの範囲内となるように調整することが更に好ましい。
前記感光・感熱カプセルにはバインダーが含まれていてもよく、これは、1つの発色部を有するトナーにおいても同様である。
バインダーとしては、前記光硬化性組成物の乳化分散に用いるバインダーと同様のもの、第1の反応性物質をカプセル化する際に用いる水溶性高分子のほか、ポリスチレン、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートやそれらの共重合体等のアクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エチルセルロース、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の溶剤可溶性高分子、或いは、これらの高分子ラテックスを用いることもできる。中でも、ゼラチン及びポリビニルアルコールが好ましい。また、バインダーとして後述する結着樹脂を用いてもよい。
また、Fトナーには、従来のトナーに用いられている結着樹脂を用いることができる。結着樹脂は、例えば、母材中に感光・感熱カプセルが分散した構造を有するトナーでは、母材を構成する主成分や感光・感熱カプセルの外殻を構成する材料として利用することができるがこれに限定されるものではない。
結着樹脂としては特に限定されず、公知の結晶性や非晶性の樹脂材料を用いることができる。特に低温定着性を付与するには、シャープメルト性がある結晶性ポリエステル樹脂が有用である。また、無定形高分子(非晶質樹脂)としては、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂など公知の樹脂材料を用いることができるが、非結晶性ポリエステル樹脂が特に好ましい。
その他、Fトナーは、上記に列挙した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、離型剤、無機微粒子、有機微粒子、帯電制御剤等の従来のトナーに用いられている公知の各種添加剤等が挙げられる
次に、Fトナーの製造方法について簡単に説明する。
Fトナーは、凝集合一法等の公知の湿式製法を利用して作製されることが好ましい。特に、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含み、前記第1成分が前記マイクロカプセルに含まれ、前記第2成分が前記光硬化性組成物中に含まれる構造を有するトナーの作製に湿式製法は好適である。
なお、上記構造を有するトナーに用いられるマイクロカプセルは熱応答性マイクロカプセルであることが特に好ましいが、光等、その他の刺激に応答するマイクロカプセルであってもよい。
トナーの製造には、公知の湿式製法が利用できるが、湿式製法の中でも最高プロセス温度を低く抑えることができると共に、様々な構造を有するトナーの作製が容易であることから凝集合一法を利用することが特に好ましい。
また、従来の顔料や結着樹脂を主成分とするトナーと比べると、上記構造を有するトナーは、低分子成分を主成分として含む光硬化性組成物が多く含まれるため、トナーの造粒過程で得られる粒子の強度は不十分となりやすいが、凝集合一法では、高いせん断力を必要としないため、この点でも凝集合一法を利用することは好適である。
一般的に、凝集合一法は、トナーを構成する各種材料の分散液を調製した後、2種類以上の分散液を混合した原料分散液中で凝集粒子を形成する凝集工程と、原料分散液に形成された凝集粒子を融合する融合工程とを含むものであり、必要に応じて凝集工程と融合工程との間に、凝集粒子の表面に被覆層を形成する成分を付着させて被覆層を形成する付着工程(被覆層形成工程)とが実施されるものである。
Fトナーの製造においても、原料として使用する各種分散液の種類や組み合わせは異なるものの、凝集工程、融合工程の他に、必要に応じて付着工程を適宜組み合わせることによりトナーを作製することができる。
例えば、樹脂中に感光・感熱カプセル分散構造を有するトナーの場合には、まず、(a1)第1成分を含むマイクロカプセルを分散させたマイクロカプセル分散液と、第2成分を含む光硬化性組成物を分散させた光硬化性組成物分散液とを含む原料分散液中にて第1の凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、(b1)前記第1の凝集粒子が形成された原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、前記凝集粒子表面に前記樹脂粒子を付着させる付着工程と、(c1)前記樹脂粒子をその表面に付着させた凝集粒子を含む原料分散液を加熱して融合させ、第1の融合粒子(感光・感熱カプセル)を得る第1の融合工程とを経ることにより、互いに異なる色に発色可能な1種類以上の感光・感熱カプセル分散液を調製する。
続いて、(d1)前記1種類以上の感光・感熱カプセル分散液と、樹脂粒子を分散させた第2の樹脂粒子分散液とを混合した混合溶液中にて、第2の凝集粒子を形成する第2の凝集工程と、(e1)前記第2の凝集粒子を含む混合溶液を加熱して、第2の融合粒子を得る第2の融合工程とを経ることにより、感光・感熱カプセル分散構造を有するトナーを得ることができる。
なお、第2の凝集工程で用いる感光・感熱カプセル分散液の種類は2種類以上が好ましい。また、(a1)〜(c1)工程を経て得られた感光・感熱カプセルをそのままトナー(すなわち1つの発色部のみを含むトナー)として利用してもよい。
また、1つの発色部のみを含むトナーを作製する場合、上述した付着工程の代わりに、前記第1の凝集粒子が形成された原料分散液に、離型剤を分散させた離型剤分散液を添加して、凝集粒子表面に離型剤を付着させる第1の付着工程と、第1の付着工程を経た後の原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、この離型剤を表面に付着させた凝集粒子表面に樹脂粒子を付着させる第2の付着工程とを実施してもよい。
本発明に用いることが可能なFトナーの体積平均粒径は、特に限定されず、トナーの構造や、トナー中に含まれる発色部の種類・数に応じて適宜調整することができる。
しかしながら、トナー中に含まれる互いに異なる色に発色可能な発色部の種類が2〜4種類前後(例えば、トナーがイエロー、シアン、マゼンタの各々に発色可能な3種類の発色部を含むような場合)であれば、各々のトナー構造に応じた体積平均粒径は以下の範囲内であることが好ましい。
すなわち、例えばトナーの構造が樹脂中に感光・感熱カプセル分散構造の場合には、トナーの体積平均粒径は5〜40μmの範囲内が好ましく、10〜20μmの範囲内がより好ましい。また、このような粒径を有する感光・感熱カプセル分散構造型のトナー中に含まれる感光・感熱カプセルの体積平均粒径は1〜5μmの範囲内であることが好ましく、1〜3μmの範囲内であることが好ましい。
前記感光・感熱カプセルの体積平均粒径は、そのままトナーにおける発色部の大きさとなる。このため、該体積平均粒径が5μm未満では、トナー中に含まれる発色成分量が少なくなるため色再現性が悪化したり、画像濃度が低下してしまう場合がある。また、体積平均粒径が40μmを超えると、画像表面の凹凸が大きくなり、画像表面の光沢ムラが発生してしまう場合がある。
なお、その内部に複数の感光・感熱カプセルを分散させた感光・感熱カプセル分散構造型のトナーは、従来の着色剤を用いた小径トナー(体積平均粒径5〜10μm程度)と比べると粒径が大きくなる傾向にあるものの、画像の解像度は、トナーの粒径ではなく感光・感熱カプセルの粒径により決定されるため、より高精細な画像を得ることができる。加えて、粉体流動性にも優れるため、外添剤の量が少なくても十分な流動性が確保できると共に、現像性やクリーニング性も向上させることができる。
一方、1つの発色部のみを有するトナーの場合には、上述した場合と比べると小径化がより容易であり、その体積平均粒径は3〜8μmの範囲内が好ましく、4〜7μmの範囲内が好ましい。体積平均粒径が3μm未満の場合には粒径が小さすぎるために粉体流動性が十分に得られなくなったり、十分な耐久性が得られない場合がある。また、体積平均粒径が8μmを超えると、高精細な画像が得られなくなる場合がある。
本発明には、以上説明したFトナーをはじめ、光照射により(あるいは光が照射されないことにより)発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーであれば、用いる構成材料、トナーの構造、発色機構等によらず用いることができる。
また、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下であり、且つ、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が、0.95以上であることが好ましい。
更に好ましくは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.25以下であり、且つ、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が、0.97以上であることが更に好ましい。
体積分布指標GSDvが1.30を超えた場合には、画像の解像性が低下する場合があり、また、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpの比(GSDv/GSDp)が0.95未満の場合、トナーの帯電性低下やトナーの飛散、カブリ等が発生し画像欠陥を招く場合がある。
なお、本発明において、トナーの体積平均粒径や、上記した体積平均粒度分布指標GSDv、及び数平均粒度分布指標GSDpの値は、次のようにして測定し算出した。
まず、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積および数について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を、体積平均粒子径D16v、および、数平均粒子径D16pと定義し、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径D50v、および、数平均粒子径D50pと定義する。同様に、累積84%となる粒径を、体積平均粒子径D84v、および、数平均粒子径D84pと定義する。この際、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、(D84v/D16v)1/2として定義され、数平均粒度指標(GSDp)は、(D84p/D16p)1/2として定義されるこれらの関係式を用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)および数平均粒度指標(GSDp)を算出できる。
また、前記マイクロカプセルや感光・感熱カプセルの体積平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)を用いて測定することができる。
また、本発明のトナーは、下式(1)で表される形状係数SF1が、110〜130の範囲内であることが好ましい。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
〔但し、上記式(1)において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm2)を表す。〕
形状係数SF1が110未満の場合には、画像形成の際に転写工程で、像担持体表面にトナーが残留しやすくなるため、この残留トナーの除去が必要となるが、残留トナーをブレード等によりクリーニングする際のクリーニング性を損ないやすく、結果として画像欠陥を生じる場合がある。
一方、形状係数SF1が130を超える場合には、トナーを現像剤として使用する場合に、現像器内でのキャリアとの衝突によりトナーが破壊される場合がある。この際、結果として微粉が増加したり、これによってトナー表面に露出した離型剤成分により像担持体表面等が汚染され帯電特性を損なうことがあるばかりでなく、微粉に起因するかぶりの発生等の問題を起こすことがある。
形状係数SF1はルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて以下のように測定した。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、個々のトナーについて、(ML2/A)×(π/4)×100を算出し、これを平均した値を形状係数SF1として求めた。
<現像剤>
本発明に用いられるトナーは、そのまま一成分現像剤として用いてもよいが、本発明では、キャリアとトナーとからなる二成分現像剤におけるトナーとして使用することが好ましい。
ここで、1種類の現像剤でカラー画像が形成できるという点からは、現像剤は、(1)前記光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を2種類以上有するトナーを1種類有し、且つ、前記トナー中に含まれる2種類以上の発色部が互いに異なる色に発色可能であるタイプの現像剤、あるいは、(2)前記光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を1つ有するトナーを2種類以上混合した状態で有し、且つ、前記2種類以上のトナーの発色部が互いに異なる色に発色可能であるタイプの現像剤であることが好ましい。
例えば、前者のタイプの現像剤では、トナー中に3種類の発色部が含まれ、且つ、3種類の発色部が、イエロー色に発色可能なイエロー発色部、マゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色部及びシアン色に発色可能なシアン発色部からなることが好ましく、後者のタイプの現像剤では、発色部がイエロー色に発色可能なイエロー発色性トナーと、発色部がマゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色性トナーと、発色部がシアン色に発色可能なシアン発色性トナーとが混合した状態で現像剤中に含まれることが好ましい。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、芯材表面に樹脂を被覆してなることが好ましい。キャリアの芯材としては、上記条件を満たしていれば特に規定されないが、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類等との合金、及びフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられるが、芯材表面性、芯材抵抗の観点から、好ましくはフェライト、特にマンガン、リチウム、ストロンチウム、マグネシウム等との合金が挙げられる。また、芯材表面を被覆する樹脂としては、マトリックス樹脂として使用できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上記二成分現像剤における、本発明のトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲が好ましく、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。