JP4807118B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
さらに、本提案においても、具体的なトナーの製造方法が開示されておらず、実現性に乏しいものである。
すなわち、本発明は、光による発色情報に応じて発色または非発色の状態を制御することが可能なトナーを用い、1つの現像器でフルカラー画像形成を行う際においても、広範な種類の画像に対して再現性よく安定した画像形成が行えると共に、広いスピードレンジに対しても高画質のフルカラー画像を得ることができる画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
<1> 互いに隔壁で隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第2成分を含み該第1成分を含まない光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化または未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナーを用いる画像形成装置であって、
像担持体と、該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記像担持体表面に形成されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、前記トナー像に光による発色情報を付与して、前記第2成分が拡散する領域と拡散しない領域とを形成する発色情報付与手段と、該記録媒体表面に転写されたトナー像を熱及び/または圧力により定着する定着手段と、加熱により前記隔壁の物質透過性を増大させて、前記発色情報を付与されたトナー像のうち、前記第2成分が拡散する領域において、前記第1成分と前記第2成分を反応させて発色させる発色手段と、を含む画像形成装置である。
さらに、定着後の記録媒体表面に前記第1成分及び前記第2成分を分解又は失活させるための光を照射する光照射手段を有する<1>に記載の画像形成装置である。
像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、該発色情報を付与されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記トナー像に光による発色情報を付与して、前記第2成分が拡散する領域と拡散しない領域とを形成する発色情報付与工程と、記録媒体表面に転写されたトナー像を熱及び/または圧力により定着する定着工程と、加熱により前記隔壁の物質透過性を増大させて、前記発色情報を付与されたトナー像のうち、前記第2反応性成分が拡散する領域において、前記第1反応性成分と前記第2反応性成分を反応させて発色させる発色工程と、を含む画像形成方法である。
本発明の画像形成装置(画像形成方法)は、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれかを含む光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化または未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナーを用いる画像記録装置(画像形成方法)であって、像担持体と、該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段(トナー像形成工程)と、該像担持体表面に形成されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写手段(転写工程)と、前記トナー像に光による発色情報を付与する発色情報付与手段(発色情報付与工程)と、該記録媒体表面に転写されたトナー像を熱及び/または圧力により定着する定着手段(定着工程)と、加熱により前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色手段(発色工程)と、を含むことを特徴とする。
但し、本発明においては、上記光硬化性組成物とは、前記該第2成分を含んで前記第1成分を含まない光硬化性組成物を適用し、上記発色情報付与手段(発色情報付与工程)とは、光の照射により、第2成分が拡散する領域と第2成分が拡散しない領域とを形成する発色情報付与手段(発色情報付与工程)を適用し、上記トナー像を発色させる発色手段(発色工程)とは、加熱により隔壁の物質透過性を増大させて、発色情報を付与されたトナー像のうち、前記第2成分が拡散する領域において、前記第1成分と前記第2成分を反応させて発色させる発色手段(発色工程)を適用する。
最初に、本発明に用いられるトナーについて簡単に説明する。
但し、本発明においては、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第2成分を含み該第1成分を含まない光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化または未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナーを適用する。
本発明におけるトナーは、後述するように、バインダー樹脂中に発色部と呼ばれる光による発色情報が付与された際に、特定のひとつの色に発色可能な(または非発色状態を維持することが可能な)連続した領域を1つ以上有する。
図5は、トナー中の前記発色部の一例を示す模式図であり、(A)は1つの発色部の断面図であり、(B)はさらにその発色部を拡大したものである。
これらの材料を組み合わせることにより、感光性の発色部60として、0.1〜0.2mJ/cm2程度の発色記録感度を得ることができる。
このように、本発明では、複数の異なる発色をする発色剤52を一体としたマイクロカプセルを含んだトナーとして、単一の現像装置に適用し、電子写真法を応用してカラー画像を得るものである。
なお、用いるトナーの構成材料等の詳細については後述する。
以下、本発明の画像形成装置の構成を、画像形成における各工程に沿って説明する。
図1に示すような像担持体が感光体10である場合には、前記トナー像形成手段には、感光体表面を帯電する帯電装置12と、該感光体表面に露光により静電潜像を形成する露光装置14と、該静電潜像を前記トナーを含む現像剤によりトナー像とする現像装置16とが含まれる。
感光体10としては、公知のいかなるものも用いることができる。例えば、導電性基体上にSe、a−Si等の無機の感光層、あるいは単層若しくは多層の有機感光層を形成したものである。ベルト状感光体の場合は、基体としてPET、PC等の透明樹脂が使用でき、その厚みはベルト状感光体を張架するロールの径、張力等の設計事項から決められ、おおよそ10〜500μm程度の範囲である。その他の層構成等はドラムの場合と同様である。
帯電電位は、電位の絶対値で150〜700Vの範囲に設定することが好ましい。
トナー現像量(感光体に付着させるトナー付着量)としては、形成する画像によっても異なるが、べた画像において3.5〜8.0g/m2の範囲とすることが好ましく、4.0〜6.0g/m2の範囲とすることがより好ましい。
次に、こうして得たトナー像Tに対して、図1に示すように発色情報付与装置28により、矢印Bのような光による発色情報が付与される。ここで、該「光による発色情報の付与」とは、トナー像Tを構成する個々のトナー粒子単位で発色/非発色状態や発色した際の色調を制御するために、トナー像の所望の領域に対して選択的に1種類以上の特定波長の光を付与する、あるいは、何らの光を付与しないことを意味する。
なお、図1に示す発色情報付与工程の位置は1つの例であり、後述するように、発色情報付与工程は転写工程後であってもよい。
上記反射手段を設けた場合の露光光の反射率は80%以上とすることが好ましく、90%以上とすることがより好ましい。
図3は、本発明の画像形成装置における印字制御部の具体的な回路ブロック図を示す。同図において、プリンタコントローラ36は、論理和回路40、発振回路42、マゼンタ発色制御回路44M、シアン発色制御回路44C、イエロー発色制御回路44Y、ブラック発色制御回路44Kで構成されている。一方、露光部38は、光書込ヘッド32及び発色情報付与露光ヘッド34で構成されている。
なお、この段階ではトナー像は未発色の本来の色調のままであり、トナー像は、例えば色素増感されていればその色素の色調を帯びているに過ぎない。
発色情報を与えられたトナーは、その後一括して記録媒体26に転写される。転写には公知の転写装置18が使用できる。例えば、接触方式である場合は、ロール、ブラシ、ブレード等が使用でき、非接触方式の場合は、コロトロン、スコロトロン、ピンコロトロン等が使用できる。また、圧力、若しくは圧力及び熱による転写も可能である。
こうして発色(あるいは非発色状態維持)可能な状態におかれた前記トナー像は、記録媒体26が定着装置22によって加熱されることで前述のように発色がなされる。定着装置22としては公知の定着手段が使用できる。例えば、加熱部材及び加圧部材としてロール、ベルトのそれぞれが選択可能であり、熱源としては、ハロゲンランプ、IH等が使用可能である。その配置も、種々の紙パス、例えばストレートパス、リアCパス、フロントCパス、Sパス、サイドCパス等に対応可能である。
本発明では、定着、発色工程を経て得られた画像に光を照射する光照射工程を含むことが好ましい。これにより発色不可能な状態に制御された発色部中に残存する反応性物質を分解又は失活させることができるため、画像形成後のカラーバランスの変動をより確実に抑制したり、バックグランド色の除去・漂白を行ったりすることができる。
なお、本実施形態においては、上記光照射工程は定着工程の後に設けられているが、加熱溶融しない定着方法、例えば圧力を用いて定着させる圧力定着などの場合は、光照射工程後、定着工程を行うこともできる。
但し、本発明においては、上記光照射工程とは、定着後の記録媒体表面に前記第1成分及び前記第2成分を分解又は失活させるための光を照射する光照射手段を適用する。
次に、本発明に使用するトナーの構成について説明する。
本発明におけるトナーは、前述のように、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれかを含む光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化または未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるものである。また、トナーの発色のメカニズムを既述の通りである。
但し、本発明においては、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第2成分を含み該第1成分を含まない光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化または未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナーを適用する。
このため、前記反応性成分は、その種類毎に、発色情報が付与されない限り互いの領域への物質拡散が困難な異なるマトリックス内に含まれていること(互いに隔離されていること)が必要である。
この場合、本発明におけるトナーには、2種類の反応性成分のうち、例えば第1成分がマイクロカプセル内に含まれ、第2成分がマイクロカプセル外に含まれることが好ましい。この場合、マイクロカプセル内部が前記第1のマトリックス、マイクロカプセル外が前記第2のマトリックスに相当する。
なお、刺激が付与された際のマイクロカプセル内外の物質拡散は、画像形成時の発色濃度の低下を抑制したり、高温環境下に放置された画像のカラーバランスの変化を抑制する観点からは、不可逆的なものであることが好ましい。それゆえ、マイクロカプセルを構成する外殻は、加熱処理や光照射等の刺激の付与による軟化、分解、溶解(周囲の部材への相溶)、変形等により、物質透過性が不可逆的に増大する機能を有することが好ましい。
このようなトナーとしては、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、マイクロカプセルと、第2成分を分散させた光硬化性組成物とを含むものであることが好ましく、このようなトナーとしては、以下の3つの態様が挙げられる。
これら3つの態様の中では、特に第1の態様が、光による発色情報付与前の安定性、発色の制御等の観点から好ましい。なお、以下のトナーの説明においては、基本的に第1の態様のトナーを前提としてより詳細に説明するが、以下に説明する第1の態様のトナーの構成、材料、製法等は、第2の態様や第3の態様のトナーにおいても、勿論、利用/転用可能である。
マイクロカプセルは、加熱処理によりマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とする熱応答性マイクロカプセルであることが特に好ましく、この場合、光硬化性組成物が、発色情報付与光の照射により硬化する場合、外部刺激としては、発色情報付与光の照射(制御刺激の付与)の有無と加熱処理(発色刺激の付与)とを含む組み合わせを利用することができる。
すなわち、この場合、第1成分と第2成分との反応の制御(発色反応制御)を行うために付与される外部刺激が、反応可能な状態の第1成分と第2成分とを反応(発色反応)させる発色刺激と、この発色刺激が付与される前の第1成分と第2成分の反応(発色反応)を、発色刺激が付与された際に発色可能な状態または発色不可能な状態に制御する制御刺激とを含み、制御刺激として発色情報付与光の照射を用い、発色刺激として加熱処理を用いることが好ましい。
なお、上述した熱応答性マイクロカプセルと光硬化性組成物とを組み合わせて用いた本発明におけるトナーは、以下の2つのタイプのいずれかであることが特に好ましい。
(1)光硬化性組成物が未硬化状態の時に発色不可能な状態を維持し、光硬化性組成物を硬化させる特定波長の光の照射により光硬化性組成物を硬化させることによって、発色不可能な状態から発色可能な状態へ不可逆的に制御されるタイプのトナー(以下、「光発色型トナー」と称す場合がある)。(2)光硬化性組成物が未硬化状態の時に発色可能な状態を維持し、光硬化性組成物を硬化させる特定波長の光の照射により前記光硬化性組成物を硬化させることによって、発色可能な状態から発色不可能な状態へ不可逆的に制御されるタイプのトナー(以下、「光非発色型トナー」と称す場合がある)。
なお、光発色型トナーおよび光非発色型トナーに用いられる光硬化性組成物中には、光重合開始剤が含まれていることが特に好ましく、必要に応じてその他種々の材料が含まれていてもよい。
これに対して、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射して光硬化性組成物を硬化させると、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が容易となる。それゆえ、この状態で加熱処理等の発色刺激の付与によりマイクロカプセル外殻の物質透過性が増大すれば、マイクロカプセル内の第1成分と光硬化性組成物中の第2成分との反応(発色反応)が可能な状態(発色可能な状態)となる。
従って、例えば、マイクロカプセルとして熱応答性マイクロカプセルを用いている場合には、発色情報付与光を照射して光硬化性組成物を硬化させて、トナーを発色可能な状態に制御し、続いて加熱処理すれば熱応答性マイクロカプセル外殻の物質透過性が増大して第1成分と第2成分とが反応し、トナーが所定の色に発色し、この発色状態を安定的に維持できる。これに対して光硬化性組成物を硬化させる発色情報付与光を照射しなければ光硬化性組成物は未硬化の状態を維持し続け、加熱処理して熱応答性マイクロカプセル外殻の物質透過性が増大しても第1成分と第2成分とは反応できない。従って、例えば、発色前のトナーの色が無色透明であれば、この状態が安定的に維持されることになる。
これに対して特許文献2に記載されたカプセル壁として光応答性の2分子膜を利用したトナーの発色反応も、光照射によって発色反応(物質拡散)を可能な状態とした後、加熱による物質拡散を促進させて反応させる2段階のプロセスからなる。
従って、特許文献2に記載されたトナーでは、1段階目のプロセスが可逆的であるために、2段階目の発色反応が1段階目のプロセスの影響を大なり小なり受け続けることになり、発色反応の制御が困難である。それゆえ、画像形成時の発色濃度にばらつきが生じたりしてしまう。
第2の光発色型トナーでは、例えば、マイクロカプセルとして熱応答性マイクロカプセルを用いている場合には、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光が照射されると、光硬化性組成物が硬化(すなわち、消色反応基を含む光重合性化合物が重合)するため、続いて加熱処理が実施されても、第1成分と第2成分との発色反応が、(重合により加熱されても物質拡散できなくなった)消色反応基により阻害されないために、発色することができる。これに対して、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射することなく加熱処理を実施した場合には、消色反応基が第1成分と反応して、第1成分と第2成分との発色反応を阻害するために発色できない。
このように第2の光発色型トナーにおいても、光硬化性組成物が未硬化状態の時に発色不可能な状態を維持し、光硬化性組成物を硬化させる特徴波長の光の照射により光硬化性組成物を硬化させることによって、発色不可能な状態から発色可能な状態に制御される。
これに対して、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射して光硬化性組成物を硬化させると光硬化性組成物中に含まれる第2成分同士が重合してしまうため、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が極めて困難となる。それゆえ、この状態でマイクロカプセル外殻の物質透過性の物質透過性を増大させるような刺激を付与しても、第2成分はマイクロカプセル中の第1成分と接触することができず、第1成分と第2成分との反応(発色反応)が不可能な状態(発色不可能な状態)が維持される。
従って、例えば、マイクロカプセルとして熱応答性マイクロカプセルを用いている場合には、発色情報付与光を照射して光硬化性組成物を硬化させて、トナーを発色不可能な状態に制御すれば、続いて加熱処理して熱応答性マイクロカプセル外殻の物質透過性が増大しても第1成分と第2成分とが反応できない。従って、例えば、発色前のトナーの色が無色透明であれば、この状態が安定的に維持されることになる。
一方、光硬化性組成物が未硬化の状態、すなわちトナーが発色可能な状態で加熱処理すれば熱応答性マイクロカプセル外殻の物質透過性が増大して第1成分と第2成分とが反応し、トナーが所定の色に発色し、この発色状態を安定的に維持できる。
それゆえ、発色反応の制御が容易で画像形成時の発色濃度の確保や、画像形成後のカラーバランスの変化の抑制が容易である。加えて、マイクロカプセル外殻の物質透過性の増大も不可逆的なものとすることにより、より一層精緻な制御が可能となる。更に、発色濃度の階調は、不可逆的な反応である光硬化性組成物の硬化(重合)度合いにより制御できるため、発色濃度の階調制御も極めて容易である。
また、トナーを発色させたくない場合には、加熱処理等の発色刺激の付与によりマイクロカプセル外殻の物質透過性の増大させる前に、発色情報付与光を照射して光硬化性組成物を硬化させれば、発色不可能な状態を安定して維持できる。
この場合、トナーは光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を1つのみ有するものであってもよいが、2つ以上有することが好ましい。ここで、上記「発色部」とは、前述のように外部刺激が付与された際に、特定のひとつの色に発色可能な連続した領域を意味する。
なお、トナーに2以上の発色部が含まれる場合、同じ色に発色可能な1種類の発色部のみがトナー中に含まれていてもよいが、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部がトナー中に含まれることが特に好ましい。その理由は、ひとつのトナー粒子の発色可能な色が、前者の場合は1種類のみに限定されるが、後者の場合は2種類以上とすることができるからである。
この場合、例えば、外部刺激の付与によりいずれか1種類の発色部のみが発色した場合には、トナーは、イエロー、マゼンタ、あるいは、シアンのいずれかの色に発色することができ、いずれか2種類の発色部が発色した場合には、これら2種類の発色部の発色した色を組み合わせた色に発色することができ、ひとつのトナー粒子で、多様な色を表現することが可能となる。
すなわち、この場合、発色部の種類毎に発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に必要な光の波長が異なるため、制御刺激として、発色部の種類に応じた波長の異なる複数種の発色情報付与光を用いればよい。なお、発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に必要な光の波長を異なるものとするには、発色部の種類毎に異なる波長の光に感応する光重合開始剤を光硬化性組成物中に含有させることが好適である。
なお、発色情報付与光の波長としては、可視域の波長から選択することもできるが、紫外域の波長から選択してもよい。短波長であることよりビーム径が絞りやすいメリットを有する(高精細が可能)。このような波長の光源としては、波長変換固体SHGレーザ(基本波長を1/2に変換する)や、ガスレーザがある。
また、発色情報付与光の波長を可視域からではなく赤外域から選択することによって従来から知られるごとく発光素子自体の値段が安く、高出力のものが得られやすいメリットがある。
しかしながら、本発明においては、後述するトナーの製造過程において、第2成分が外殻を透過して感光・感熱カプセル外のマトリックスへ流出したり、他の色に発色可能な感光・感熱カプセル中の第2成分が外殻を透過して流入したりするのを防ぐために、非水溶性樹脂からなる結着樹脂や離型材等の非水溶性材料を主成分として含むものであることが好ましく、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル等の非水溶性樹脂を用いることが好ましい。
ここで、2以上の発色部が層状を成す場合の態様としては、例えば、(1)コア層を形成する感光・感熱層と、このコア層を被覆するように、コア層上に順次積層された1以上の感光・感熱層とからなる態様(以下、「同心円構造」と称す場合がある)や、(2)トナーを所定の方向から切断した場合に得られた断面が、帯状に積層された2以上の感光・感熱層からなる態様(以下、「ストライプ構造」と称す場合がある)、あるいは、(3)トナーを所定の方向から切断した場合に得られた断面が、トナーの中心を基点に扇状に区分され、各々の扇状のエリアが感光・感熱層からなる態様(以下、「扇構造」と称す場合がある)が挙げられる。
なお、同心円構造、ストライプ構造、扇構造のいずれにおいても、隣接する2つの感光・感熱層の間には、上述した感光・感熱カプセルの外殻を構成する材料を含む中間層が設けられていることが特に好ましい。また、中間層には従来の顔料等の着色剤を用いたトナーと同様に離型剤や、種々の添加剤が含まれていてもよい。また、これら3種のトナーの最表面には、結着樹脂を含む被覆層が設けられていることが好ましい。
また、図7に示すトナー72は、コア層を形成する第1の感光・感熱層90と、このコア層を成す第1の感光・感熱層90上に順次積層された第2の感光・感熱層92および第3の感光・感熱層94からなり、図8に示すトナー74は、帯状の第2の感光・感熱層92と、この第2の感光・感熱層92を両側に配置された帯状の第1の感光・感熱層90および第3の感光・感熱層94とからなり、図9に示すトナー76は、トナー76の中心部を基点として扇状に3等分された3つの領域の各々が、3つの感光・感熱層90、92、94からなるものである。図7〜9に示すトナー72,74,76においては、3つの感光・感熱層90、92、94の各々が、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンに発色可能である。
次に、本発明におけるトナーが光非発色型トナーである場合に用いられるトナー構成材料や、各トナー構成材料を調整する際に用いる材料・方法等について以下により詳細に説明する。
この場合、トナーには、第1成分、第2成分、第1成分を含むマイクロカプセル、第2成分を含む光硬化性組成物が少なくとも用いられ、光硬化性組成物中には光重合開始剤が含まれることが特に好ましく、種々の助剤等が含まれていてもよい。また、マイクロカプセル内(芯部)には第1成分が固体状態で存在していてもよいが、溶媒と共に存在していてもよい。
以上に列挙した材料に加えて、更に、従来の着色剤を用いたトナーを構成する材料と同様の各種材料;結着樹脂、離型剤、内添剤、外添剤等を必要に応じて適宜利用することができる。以下、各材料等についてより詳細に説明する。
第1成分および第2成分の組合せとしては、下記(ア)〜(ツ)の組合せを好適に挙げることができる(下記例において、それぞれ前者が第1成分、後者が第2成分を表す。)。
(イ)ジアゾニウム塩化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組合せ。
(ウ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(エ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(オ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
(キ)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ク)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ケ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(コ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
(シ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成するもの。
(ス)ホルマザン化合物と還元剤および/又は金属塩との組合せ。
(セ)保護された色素(又はロイコ色素)プレカーサーと脱保護剤との組合せ。
(ソ)酸化型発色剤と酸化剤との組合せ。
(タ)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組合せ。(フタロシアニンが生成する組合せ。)
(チ)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組合せ(着色顔料が生成する組合せ)。
(ツ)顔料プレカーサーと酸または塩基との組合せ(顔料が形成する組合せ)。
前記電子供与性無色染料としては、従来より公知のものを使用することができ、前記第2成分と反応して発色するものであれば全て使用することができる。 具体的には、フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物等の各種化合物を挙げることができる。本発明に使用することができる電子供与性無色染料は、これらに限定されるものではない。
シアン、マゼンタ、イエロー発色色素としては、米国特許第4,800,149号等に記載の各色素を使用することができる。さらに、イエロー発色色素用電子供与性無色染料としては、米国特許第4,800,148号等に記載の色素も使用することができ、シアン発色色素用電子供与性無色染料としては、特開平63−53542号公報等に記載の色素も使用することができる。
Ar−N2 + X- ・・・ 式(1)
〔式中、Arは芳香族環基を表し、X- は酸アニオンを表す。〕
前記ジアゾニウム塩化合物は、単独で用いてもよいし、色相調整等の諸目的に応じて2種以上併用して使用してもよい。
前記電子受容性化合物としては、特開平4−226455号公報に記載の3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸、特開昭63−173682号公報に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸のメタアクリロキシエチルエステル、アクリロキシエチルエステル、同59−83693号公報、同60−141587号公報、同62−99190号公報に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸とヒドロキシメチルスチレンとのエステル、欧州特許29323号に記載のヒドロキシスチレン、特開昭62−167077号公報、同62−16708号公報に記載のハロゲン化亜鉛のN−ビニルイミダゾール錯体、同63−317558号公報に記載の電子受容性化合物等を参考にして合成できる化合物等が挙げられる。
これらの電子受容性基と重合性基とを同一分子内に有する化合物のうち、下記一般式で表される3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。
上記有機塩基は、特開昭57−123086号公報、特開昭60−49991号公報、特開昭60−94381号公報、特願平7−228731号公報、特願平7−235157号公報、特願平7−235158号公報等に記載されている。
次に、本発明に用いる光重合開始剤について説明する。前記光重合開始剤は、発色情報付与光を照射することによりラジカルを発生して光硬化性組成物内で重合反応を起こし、かつその反応を促進させることができる。この重合反応により光硬化性組成物が硬化する。
但し、前記分光増感化合物と相互作用する化合物が、その構造内に300〜1000nmに最大吸収波長を有する色素部とボレート部との両構造を併せ持つ化合物であれば、前記分光増感色素を用いなくてもよい。
前記光重合開始剤をハイブリッド系で使用する場合には、フリーラジカル硬化剤に加えて、カチオン系光重合開始剤を挙げることもできる。前記カチオン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、米国特許第4950581号(第19欄、第17〜25行)に記載のパーオキサイド等のパーオキサイド化合物;米国特許第4950581号(第18欄、第60行〜第19欄10行)に記載の芳香族スルホニウム若しくはヨードニウム塩;(η6 −イソプロピルベンゼン)−(η5 −シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート等のシクロペンタジエニル−アレーン鉄(II)錯塩等を好適に挙げることができる。
この化合物を前記の分光増感化合物と共存させることにより、その分光吸収波長領域の照射光に敏感に感応し、高効率にラジカルを発生させうることから、高感度化が図れ、かつ紫外〜赤外領域にある任意の光源を用いてラジカルの発生を制御することができる。
前記光重合開始剤(1)の場合、光重合開始剤中には、光重合反応に必要な分光増感化合物/ボレート化合物Iの比(=1/1:モル比)に加え、さらにトナー内に残存する分光増感化合物を十分に消色するのに必要な量のボレート化合物Iを添加することが十分な高感度化と消色性能を得る点から特に好ましい。
即ち、分光増感色素/ボレート化合物Iの比は、1/1〜1/50の範囲で使用することが好ましく、1/1.2〜1/30の範囲で使用することがより好ましいが、1/1.2〜1/20の範囲で使用することが最も好ましい。前記の比が、1/1未満では十分な重合反応性と消色性を得ることができず、1/50を越えると、感光・感熱カプセル(又は感光・感熱層)の形成が困難になる場合があるため好ましくない。
また、光硬化性組成物には重合反応を促進する目的で、さらに助剤として、酸素除去剤(oxygen scavenger)又は活性水素ドナーの連鎖移動剤等の還元剤や連鎖移動的に重合を促進するその他の化合物を添加することもできる。
前記酸素除去剤としては、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト、第1銀塩又は酸素により容易に酸化されるその他の化合物が挙げられる。具体的には、N−フエニルグリシン、トリメチルパルビツール酸、N,N−ジメチル−2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン酸が挙げられる。さらに、チオール類、チオケトン類、トリハロメチル化合物、ロフィンダイマー化合物、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類、アジニウム塩類、有機過酸化物、アジド類等も重合促進剤として有用である。
本発明では、電子供与性無色染料やジアゾニウム塩化合物のような第1成分をマイクロカプセルに内包して使用する。
マイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、米国特許第2800457号、同28000458号に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号、英国特許第990443号、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報、同42−771号公報等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号、同3660304号に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同4087376号、同4089802号に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号、特開昭51−9079号に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号、同965074号に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号、英国特許第930422号に記載のスプレードライング法、特公平7−73069号公報、特開平4−101885号公報、特開平9−263057号公報に記載の方法等が挙げられる。
バインダーとしては、前記光硬化性組成物の乳化分散に用いるバインダーと同様のもの、第1の反応性物質をカプセル化する際に用いる水溶性高分子のほか、ポリスチレン、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリメチルアクリレート,ポリブチルアクリレート,ポリメチルメタクリレート,ポリブチルメタクリレートやそれらの共重合体等のアクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エチルセルロース、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の溶剤可溶性高分子、或いは、これらの高分子ラテックスを用いることもできる。中でも、ゼラチン及びポリビニルアルコールが好ましい。また、バインダーとして後述する結着樹脂を用いてもよい。
図6〜9に例示したような構造を有する本発明におけるトナーにおいては、感光・感熱カプセル(又は感光・感熱層)、中間層等の各層に硬化剤を併用することもできる。
前記硬化剤としては、例えば、写真感光材料の製造に用いられる「ゼラチン硬化剤」が有用であり、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等のアルデヒド系の化合物、米国特許第3635718号等に記載の反応性のハロゲン化合物、米国特許第3635718号等に記載の反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物、米国特許第3017280号等に記載のアジリジン系化合物、米国特許第3091537号等に記載のエポキシ系化合物、ムコクロル酸等のハロゲノカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサン、ジクロロジオキサン等のジオキサン類、米国特許第3642486号や米国特許第3687707号に記載のビニルスルホン類、米国特許第3841872号に記載のビニルスルホンブレカーサー類、米国特許第3640720号に記載のケトビニル類が挙げられる。また、無機硬化剤として、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、硼酸等も用いることができる。
本発明におけるトナーには、従来のトナーに用いられている結着樹脂を用いることができる。結着樹脂は、例えば、図6に例示したような母材中に感光・感熱カプセルが分散した構造を有するトナーでは、母材を構成する主成分や感光・感熱カプセルの外殻を構成する材料として、また、図7〜図9に例示したような同心円構造、ストライプ構造、扇構造等の層状の発色部を2以上有するような構造からなるトナーでは、トナー最表面を被覆する被覆層や、隣接する2つの発色部の間に設けられる中間層を構成する材料として利用することができるがこれに限定されるものではない。
結着樹脂としては特に限定されず、公知の結晶性や非晶性の樹脂材料を用いることができる。特に低温定着性を付与するには、シャープメルト性がある結晶性ポリエステル樹脂が有用である。
また結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピークをもって融点とみなす。
本発明におけるトナーは、離型剤を含むことができる。離型剤は、一般に、離型性を向上させる目的で使用される。
トナーに使用できる離型剤の例としては、特に限定されるものではなく、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、天然ガス系ワックス及びそれらの変性物や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、などを挙げることができ、また改質助剤成分として、炭素数10から18である高級アルコールやその混合物、及び炭素数16から22の高級脂肪酸モノグリセライドやその混合物を挙げることができ、これらのものから組み合わせて用いることができる。
本発明におけるトナーは、上記に列挙した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、無機微粒子、有機微粒子、帯電制御剤等の従来のトナーに用いられている公知の各種添加剤等が挙げられる。また、本発明のトナーは、それ自体が発色するため、従来のトナーに用いられている顔料等の着色剤は基本的に不要であるが、発色した時の色調を微調整するために、必要に応じて、公知の着色剤を少量用いることもできる。
帯電制御剤は、帯電性をより向上安定化させる目的で使用される。帯電制御剤としては4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することが出来るが、後述する凝集合一法によりトナーを作製する場合において、溶液中で形成された凝集粒子の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
次に、本発明におけるトナーが光発色型トナーである場合に用いられるトナー構成材料や、各トナー構成材料を調整する際に用いる材料・方法等について以下により詳細に説明する。
この場合、トナーには、第1成分、第2成分、第1成分を含むマイクロカプセル、第2成分および光重合性化合物を含む光硬化性組成物が少なくとも用いられ、光硬化性組成物中には光重合開始剤(又は光重合開始剤系)が含まれることが特に好ましく、分光増感色素や種々の助剤等が含まれていてもよい。また、マイクロカプセル内(芯部)には第1成分が固体状態で存在していてもよいが、溶媒と共に存在していてもよい。
また、以上に列挙した材料に加えて、更に、従来の着色剤を用いたトナーを構成する材料と同様の各種材料;結着樹脂、離型剤、内添剤、外添剤等を必要に応じて適宜利用することができるのも、前記光非発色型トナーと同様である。
本発明に用いることのできるエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物は、分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物である。
例えばアクリル酸及びその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類;メタクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類;無水マレイン酸、マレイン酸エステル類;イタコン酸、イタコン酸エステル類;スチレン類;ビニルエーテル類;ビニルエステル類;N−ビニル複素環類;アリールエーテル類;アリルエステル類等を用いることができる。この内、分子内に少なくとも1個の孤立電子対を有するヘテロ原子を含む重合性化合物が好ましい。
また、重合効率(硬化速度)を有利にするためには、分子内に複数のエチレン性不飽和2重結合を有する重合性化合物が好ましく、例えば、トリメチロールプロパンヤペンタエリスリトール等のような多価アルコールのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;およびアクリレートもしくはメタクリレート末端エポキシ樹脂、アクリレートもしくはメタリレート末端ポリエステル等がある。
本発明に好適に用いられる光重合開始剤としては、前記のエチレン性不飽和結合を含有する化合物の光重合を開始し得る化合物の中から1種または2種以上の化合物を組み合わせて選ぶことができる。
光重合開始剤の好ましい具体例として、次の化合物を挙げることができる。芳香族ケトン類:例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、アクリドン;およびベンゾインおよびベンゾインエーテル類:例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル;および2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体:例えば2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体;およびポリハロゲン化合物、例えば四臭化炭素、フェニルトリプロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンおよび特開昭53−133428号、特公昭57−1819号、特公昭57−6096号、米国特許第3615455号の各明細書中に記載の化合物、特開昭58−29803号記載のトリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体:例えば、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(P−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン等の化合物。;および例えば特開昭59−189340号記載の有機過酸化物:例えばメチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルジパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート、a,a’−ビス(ターシャリーブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ−(ターシャリイブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の化合物;および例えば米国特許第4743530号に記載のアジニウム塩化合物;および例えばヨーロッパ特許第0223587号に記載の有機ホウ素化合物:例えばトリフェニルブチールボレートのテトラメチルアンモニウム塩、トリフェニルブチールボレートのテトラブチルアンモニウム塩、トリ(P−メトキシフェニル)ブチールボレートのテトラメチルアンモニウム塩等;その他ジアリールヨードニウム塩類や鉄アレン錯体等、感光感熱記録材料分野では周知の光重合開始剤等を有用に使用できる。
電子受容性顕色剤としては、フェノール誘導体、含硫フェノール誘導体、有機のカルボン酸誘導体(例えば、サリチル酸、ステアリン酸、レゾルシン酸等)、及びそれらの金属塩等、スルホン酸誘導体、尿素もしくはチオ尿素誘導体等、酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等が挙げられる。
これらの例は、紙パルプ技術タイムス(1985年)49〜54頁及び65〜70頁に記載の他、特公昭40−9309号公報、同45−14039号公報、特開昭52−140483号公報、同48−51510号公報、同57−210886号公報、同58−87089号公報、同59−11286号公報、同60−176795号公報、同61−95988号公報等に記載されている。
マイクロカプセルの体積平均粒径は、光発色型トナーの場合と同様に0.1〜3μmの範囲内となるように調整することが好ましく、0.3〜1.0μmの範囲内となるように調整することが更に好ましい。
また、本発明のトナーには、画像の耐光性改善等を目的として必要に応じて紫外線吸収剤を用いることができる。紫外線吸収剤としてはペンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸エステル系化合物、アミノアリリデンマロンニトリル系化合物、ベンゾフェノン系化合物等業界公知の化合物を使用できる。
以上に説明した材料以外で、光発色型トナーに用いられる結着樹脂、離型剤、その他の添加剤については、既述した光非発色型トナーと同様のものを用いることができる。また、トナーの粒径・形状等についても光非発色型トナーと同様とすることができる。
また、発色特性や発色制御に悪影響を与えないのであれば、光発色型トナー用として列挙した材料等を光非発色型トナーに用いてもよく、光非発色型トナー用として列挙した材料等を光発色型トナーに用いてもよい。
次に、トナー製造方法について具体的に説明する。
本発明に用いるトナーは、凝集合一法等の公知の湿式製法を利用して作製されることが好ましい。湿式製法は、トナーが少なくとも加熱時の物質拡散を利用して発色する構成(例えば、既述した2種類以上の反応性成分が、異なるマトリックスに含まれている場合等)を有する場合において特に好適である。また、湿式製法を利用すれば、トナーを作製する場合における最高プロセス温度を低く抑えることできるため、トナー製造過程における発色を防止することが容易である。
なお、上記構造を有するトナーに用いられるマイクロカプセルは熱応答性マイクロカプセルであることが特に好ましいが、光等、その他の刺激に応答するマイクロカプセルであってもよい。
また、従来の顔料や結着樹脂を主成分とするトナーと比べると、上記構造を有するトナーは、低分子成分を主成分として含む光硬化性組成物が多く含まれるため、トナーの造粒過程で得られる粒子の強度は不十分となりやすいが、凝集合一法では、高いせん断力を必要としないため、この点でも凝集合一法を利用することは好適である。
以下に、図6に例示したような発色部分散構造を有するトナーや、図7に例示したような同心円構造を有するトナーの凝集合一法を利用した製造方法についてより詳細に説明する。
まず、発色部分散構造を有するトナーの凝集合一法を利用した製造方法について説明する。
この場合、まず、(a1)第1成分を含むマイクロカプセルを分散させたマイクロカプセル分散液と、第2成分を含む光硬化性組成物を分散させた光硬化性組成物分散液とを含む原料分散液中にて第1の凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、(b1)前記第1の凝集粒子が形成された原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、前記凝集粒子表面に前記樹脂粒子を付着させる付着工程と、(c1)前記樹脂粒子をその表面に付着させた凝集粒子を含む原料分散液を加熱して融合させ、第1の融合粒子(感光・感熱カプセル)を得る第1の融合工程とを経ることにより、互いに異なる色に発色可能な1種類以上の感光・感熱カプセル分散液を調製する。
なお、第2の凝集工程で用いる感光・感熱カプセル分散液の種類は2種類以上が好ましい。また、(a1)〜(c1)工程を経て得られた感光・感熱カプセルをそのままトナー(すなわち1つの発色部のみを含むトナー)として利用してもよい。
以下、上述した凝集合一法を利用したトナー製造方法に用いられる各種分散液の調製方法について説明する。
樹脂粒子分散液は、乳化重合などによって作製した樹脂粒子をイオン性界面活性剤を用いて溶媒中に分散させることにより調製する。或いは樹脂を溶解可能な溶媒に溶かして転相乳化によって調製する。なお、樹脂粒子分散液における分散媒としては、例えば水系媒体や有機溶剤などが挙げられる。
上記機械的手段により微分散させるための装置としては、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)、連続式超音波ホモジナイザー(日本精機株式会社)、ナノマイザー(ナノマイザー社)、マイクロフルイダイザー(みずほ工業株式会社)、ハレル型ホモジナイザー、スラッシャ(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)などが挙げられる。
また、光硬化性組成物分散液は、光硬化性組成物を構成する各種成分に、水溶性バインダー等の樹脂成分、水等の溶媒成分に界面活性剤等を加えて混合した後、強い剪断をかけられる装置により微粒子化することにより得られる。
第1の凝集工程では、第1成分を含むマイクロカプセルを分散させたマイクロカプセル分散液と、第2成分を含む光硬化性組成物を分散させた光硬化性組成物分散液とを含む原料分散液中にて第1の凝集粒子を形成する。
第1の凝集工程では、原料分散液に凝集剤を加えた後、必要に応じて加熱することにより、原料分散液中の微粒子を凝集させ、第1の凝集粒子を形成する。
なお、加熱の温度は、室温から40℃、さらに必要であれば60℃近辺まで上げてもよい。
第1の凝集工程に用いられる凝集剤は、原料分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、すなわち無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
付着工程では、第1の凝集粒子が形成された原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、凝集粒子表面に樹脂粒子を付着させる。これにより、感光・感熱カプセルの外殻部分に相当する被覆層を形成することができる。
第1の融合工程では、樹脂粒子をその表面に付着させた凝集粒子を含む原料分散液を加熱して融合させ、第1の融合粒子(感光・感熱カプセル)を得る。
第1の融合工程は、第1の凝集工程と付着工程とを経て得られた凝集粒子を含む懸濁液のpHを6.5〜8.5程度の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
加熱は、被覆層の形成に用いた結着樹脂(および/または離型剤)のガラス転移温度または融点以上の温度で行う。
加熱温度が90℃を超えると、マイクロカプセルの外殻が消失して発色してしまう場合がある。また、加熱温度が40℃未満の場合には、十分な融合が行われず、後工程において、感光・感熱カプセル粒子が分解してしまう場合がある。
以上の(a1)〜(c1)の工程を、トナー中に分散させる感光・感熱カプセルの種類(発色可能な色)毎に実施し、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の感光・感熱カプセル分散液を準備する。
続いて、第2の凝集工程では、2種類以上の感光・感熱カプセル分散液と、樹脂粒子を分散させた第2の樹脂粒子分散液とを混合した混合溶液中にて、第2の凝集粒子を形成する。なお、上記の混合溶液には、必要に応じて離型剤分散液等、その他の成分の分散液も添加することができる。
第2の凝集工程も、凝集に用いる液の組成が異なる以外は、基本的に第1の凝集工程と同様に行われる。すなわち、混合分散液に凝集剤を加えた後、加熱することにより、混合中の感光・感熱カプセル粒子や樹脂粒子を凝集させ、第2の凝集粒子を形成する。なお、第2の凝集粒子を形成する過程や、形成し終えた後に、非晶質樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液を追添加し、第2の凝集粒子表面を非晶質樹脂粒子で被覆することが好ましい。
なお、加熱の温度は、非晶質樹脂粒子が加熱によって非晶質樹脂粒子同士、または他の材料に対して融合が可能な温度が好ましく、具体的には非晶質樹脂粒子のガラス転移温度より数℃から数十℃高い温度が好ましい。
第2の融合工程では、第2の凝集粒子を含む混合溶液を加熱して、第2の融合粒子(潤湿状態のトナー)を得る。
第2の融合工程は、第2の凝集工程を経て得られた凝集粒子を含む懸濁液のpHを6.5〜8.5程度の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
加熱は、第2の凝集粒子の形成に用いた結着樹脂のガラス転移温度または融点以上の温度で行う。
加熱温度が90℃を超えると、マイクロカプセルの外殻が消失して発色してしまったり、一の色に発色可能な感光・感熱カプセル中に分散する第2成分が、感光・感熱カプセル外に拡散したり、更には他の色に発色可能な感光・感熱カプセル中に拡散してしまい、画像形成時に十分な発色が得られなくなる場合がある。
また、加熱温度が40℃未満の場合には、十分な融合が行われず、洗浄・乾燥等の後工程において、トナー粒子が分解してしまう場合がある。
第2の融合工程を経た後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で十分に置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。また、乾燥後のトナー粒子には、既述したような種々の外添剤を必要に応じて添加することができる。
次に、同心円構造を有するトナーの凝集合一法を利用した製造方法について説明する。
この場合、まず、(a2)第1成分を含むマイクロカプセルを分散させた第1のマイクロカプセル分散液と、第2成分を含む光硬化性組成物を分散させた第1の光硬化性組成物分散液とを含む原料分散液中にて第1の凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、(b2)前記凝集粒子が形成された原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、前記凝集粒子表面に前記樹脂粒子を付着させる付着工程と、(c2)前記樹脂粒子をその表面に付着させた凝集粒子を含む原料分散液を加熱して融合させ、感光・感熱カプセルを得る第1の融合工程とを経ることにより、感光・感熱カプセル分散液を調製する。
また、各工程では必要に応じてその他の成分を含む分散液を併用することもでき、例えば、第1の凝集工程や、付着工程、感光・感熱層形成工程、被覆層形成工程では離型剤分散液を利用してもよい。
また、(a2)〜(c2)工程についても、基本的に上述した(a1)〜(c1)工程と同様に行うことができる。但し、(a2)〜(c2)工程を経て調製する感光・感熱カプセル分散液は1種類のみである。
なお、(e2)被覆層形成工程で形成される被覆層は、最終的にトナーとした場合のトナー表面を被覆する表面層、あるいは、互いに隣接する2つの感光・感熱層の間に設けられる中間層を構成するものである。ここで、この被覆層が、トナーとした際に表面層を構成する場合には、(e2)被覆層形成工程では、非晶質樹脂を用いた樹脂粒子分散液が用いられることが特に好ましい。
加熱温度が90℃を超えると、マイクロカプセルの外殻が消失して発色してしまったり、一の色に発色可能な発色部(感光・感熱カプセルおよび/または感光・感熱層)中に分散する第2成分が、発色部(感光・感熱カプセルおよび/または感光・感熱層)外に拡散したり、更には他の色に発色可能な発色部(感光・感熱カプセルおよび/または感光・感熱層)中に拡散してしまい、画像形成時に十分な発色が得られなくなる場合がある。
また、加熱温度が40℃未満の場合には、十分な融合が行われず、洗浄・乾燥等の後工程において、トナー粒子が分解してしまう場合がある。
しかしながら、トナー中に含まれる互いに異なる色に発色可能な発色部の種類が2〜4種類前後(例えば、トナーがイエロー、シアン、マゼンタの各々に発色可能な3種類の発色部を含むような場合)であれば、各々のトナー構造に応じた体積平均粒径は以下の範囲内であることが好ましい。
更に好ましくは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.25以下であり、且つ、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が、0.97以上であることが更に好ましい。
まず、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積および数について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を、体積平均粒子径D16v、および、数平均粒子径D16pと定義し、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径D50v、および、数平均粒子径D50pと定義する。同様に、累積84%となる粒径を、体積平均粒子径D84v、および、数平均粒子径D84pと定義する。この際、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、(D84v/D16v)1/2として定義され、数平均粒度指標(GSDp)は、(D84p/D16p)1/2として定義されるこれらの関係式を用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)および数平均粒度指標(GSDp)を算出できる。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(2)
〔但し、上記式(2)において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm2)を表す。〕
一方、形状係数SF1が130を超える場合には、トナーを現像剤として使用する場合に、現像器内でのキャリアとの衝突によりトナーが破壊される場合がある。この際、結果として微粉が増加したり、これによってトナー表面に露出した離型剤成分により像担持体表面等が汚染され帯電特性を損なうことがあるばかりでなく、微粉に起因するかぶりの発生等の問題を起こすことがある。
本発明に用いられるトナーは、そのまま一成分現像剤として用いてもよいが、本発明では、キャリアとトナーとからなる二成分現像剤におけるトナーとして使用することが好ましい。
ここで、1種類の現像剤でカラー画像が形成できるという点からは、現像剤は、(1)前記光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を2種類以上有するトナーを1種類有し、且つ、前記トナー中に含まれる2種類以上の発色部が互いに異なる色に発色可能であるタイプの現像剤、あるいは、(2)前記光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を1つ有するトナーを2種類以上混合した状態で有し、且つ、前記2種類以上のトナーの発色部が互いに異なる色に発色可能であるタイプの現像剤であることが好ましい。
また、 芯材表面を被覆する樹脂としては、マトリックス樹脂として使用できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
まず、下記実施例に用いたトナーについて説明する。なお、以下のトナーの作製において、光硬化性組成物分散液の調整およびこれを用いた一連のトナーの作製は全て暗所で実施した。
(マイクロカプセル分散液の調製)
−マイクロカプセル分散液(1)−
酢酸エチル16.9部に、イエローに発色可能な電子供与性無色染料(1)8.9部を溶解し、さらに、カプセル壁材(商品名:タケネートD−110N,武田薬品工業(株)製)20部とカプセル壁材(商品名:ミリオネートMR200,日本ポリウレタン工業(株)製)2部とを添加した。
得られた溶液を、8%フタル化ゼラチン42部と、水14部と、10%ドデシルベンゼンルスルホン酸ナトリウム溶液1.4部との混合液中に添加した後、温度20℃で乳化分散し、乳化液を得た。次いで、得られた乳化液に2.9%テトラエチレンペンタミン水溶液72部とを加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間経過後、電子供与性無色染料(1)を芯部に含む、平均粒径0.5μmのマイクロカプセル分散液(1)を得た。
なお、このマイクロカプセル分散液(1)に含まれるマイクロカプセルの外殻を構成する材料(上記とほぼ同様の条件でタケネートD−110NおよびミリオネートMR200を反応させて得られた材料)のガラス転移温度は100℃であった。
電子供与性無色染料(1)を電子供与性無色染料(2)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(2)を得た。この分散液中のマイクロカプセルの平均粒径は0.5μmであった。
電子供与性無色染料(1)を電子供与性無色染料(3)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(3)を得た。この分散液中のマイクロカプセルの平均粒径は0.5μmであった。
なお、マイクロカプセル分散液の調製に用いた電子供与性無色染料(1)〜(3)の化学構造式を以下に示す。
−光硬化性組成物分散液(1)−
重合性基を有する電子受容性化合物(1)および(2)の混合物100.0部(混合比率50:50)と熱重合禁止剤(ALI)0.1部とを酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)125.0部中で42℃にて溶解し混合溶液Iとした。
この混合溶液I中に、ヘキサアリールビイミダゾール(1)〔2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール〕18.0部と、ノニオン性有機色素0.5部と、有機ホウ素化合物6.0部とを添加し42℃にて溶解し、混合溶液IIとした。
上記混合溶液IIを、8%ゼラチン水溶液300.1部と、10%界面活性剤(1)水溶液17.4部との混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000回転で5分間乳化し、その後、40℃で3時間脱溶媒処理を行った後、固形分が30%の光硬化性組成物分散液(1)を得た。
なお、光硬化性組成物分散液(1)の調製に用いた重合性基を有する電子受容性化合物(1)、重合性基を有する電子受容性化合物(2)、熱重合禁止剤(ALI)、ヘキサアリールビイミダゾール(1)、界面活性剤(1)、ノニオン性有機色素、および、有機ホウ素化合物の構造式を以下に示す。
下記有機ボレート化合物(I)(ボレート化合物II)0.6部と、下記分光増感色素系ボレート化合物(I)(ボレート化合物II)0.1部と、高感度化を目的とした下記助剤(1)0.1部と、酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)3部と、の混合溶液中に、重合性基を有する下記電子受容性化合物(3)5部を添加した。
なお、光硬化性組成物分散液(2)の調製に用いた重合性基を有する電子受容性化合物(3)、助剤(1)、界面活性剤(2)、および界面活性剤(3)の構造式を以下に示す。
分光増感色素系ボレート化合物(I)に代えて、前記に示した分光増感色素系ボレート化合物(II)(ボレート化合物II)0.1部を用いた以外は、光硬化性組成物分散液(2)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(3)を得た。
・スチレン:460部
・nブチルアクリレート:140部
・アクリル酸:12部
・ドデカンチオール:9部
以上の成分を混合溶解して溶液を調製した。続いて、アニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)12部をイオン交換水250部に溶解したものに、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化した乳化液(単量体乳化液A)を調製した。
また、アニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)1部を555部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと攪拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウオーターバスで加熱し、保持した。
その後、ゆっくりと攪拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して重合を終了した。
これにより粒子のメジアン径が210nm、ガラス転移点が51.5℃、重量平均分子量が31000、固形分量が42%の樹脂粒子分散液を得た。
−感光・感熱カプセル分散液(1)の調製−
・マイクロカプセル分散液(1):150部
・光硬化性組成物分散液(1):300部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20部
・イオン交換水:300部
以上の成分を混合した原料溶液に硝酸を加えてpHを3.5に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、フラスコに移し加熱用オイルバスでスリーワンモーターで攪拌しながら40℃まで加熱し、40℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を300部追加して60℃にて2時間緩やかに攪拌した。これにより感光・感熱カプセル分散液(1)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.53μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
・マイクロカプセル分散液(2):150部
・光硬化性組成物分散液(2):300部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20部
・イオン交換水:300部
原料溶液として以上の成分を用いた以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)を調製する場合と同様にして感光・感熱カプセル分散液(2)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.52μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
・マイクロカプセル分散液(3):150部
・光硬化性組成物分散液(3):300部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20部
・イオン交換水:300部
原料溶液として以上の成分を用いた以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)を調製する場合と同様にして感光・感熱カプセル分散液(3)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.47μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
・感光・感熱カプセル分散液(1):750部
・感光・感熱カプセル分散液(2):750部
・感光・感熱カプセル分散液(3):750部
以上の成分を混合した溶液をフラスコに移し、フラスコ内を攪拌しながら加熱用オイルバス42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を100部追加して緩やかに攪拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液でフラスコ内のpHを5.0に調整した後、攪拌を継続しながら55℃まで加熱した。55℃までの昇温の間、通常の場合、フラスコ内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが4.5以下とならない様に保持した。この状態で55℃で3時間保持した。
続いて、上記トナー粒子50部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.0部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナー1を得た。
−トナーの作製−
・マイクロカプセル分散液(1):150部
・光硬化性組成物分散液(1):300部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20部
・イオン交換水:300部
以上の成分を混合した溶液を硝酸でpHを3.5に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、フラスコに移し加熱用オイルバスでスリーワンモーターで攪拌しながら40℃まで加熱し、40℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を300部追加して緩やかに攪拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液でフラスコ内のpHを7.5に調整した後、攪拌を継続しながら60℃まで加熱し、60℃にて2時間緩やかに攪拌し、これをフラスコから一旦取り出して放置冷却し、感光・感熱カプセル分散液を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は4.50μmであった。また、この分散液の調整時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
・マイクロカプセル分散液(2):150部
・光硬化性組成物分散液(2):300部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20部
・イオン交換水:300部
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液でフラスコ内のpHを7.5に調整した後、攪拌を継続しながら60℃まで加熱し、60℃にて2時間緩やかに攪拌し、これをフラスコから一旦取り出して放置冷却し、感光・感熱カプセル分散液を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は6.0μmであった。また、この分散液の調整時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
・マイクロカプセル分散液(3):150部
・光硬化性組成物分散液(3):300部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20部
・イオン交換水:300部
次に、上記の混合・分散した後の溶液を、再びフラスコに移し加熱用オイルバスでスリーワンモーターで攪拌しながら40℃まで加熱し、40℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を100質量部追加して60℃にて2時間緩やかに攪拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液でフラスコ内のpHを5.0に調整した後、攪拌を継続しながら55℃まで加熱した。55℃までの昇温の間、通常の場合、フラスコ内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが4.5以下とならない様に保持した。この状態で55℃で3時間保持した。なお、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径D50vが7.5μmであった。上記トナー粒子50質量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.0質量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナー2を得た。
(マイクロカプセル分散液の調製)
−マイクロカプセル分散液(1)−
前記電子供与性無色染料(1)12.1部を酢酸エチル10.2部に溶解し、ジシクロヘキシルフタレート12.1部とタケネートD−110N(武田薬品工業株式会社製)26部とミリオネートMR200(日本ポリウレタン工業株式会社製)2.9部とを添加した溶液を準備した。
続いて、この溶液を、ポリビニルアルコール5.5部および水73部の混合液に添加し、20℃で乳化分散し、平均粒径0.5μmの乳化液を得た。得られた乳化液に水80部を加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間後に電子供与性無色染料(1)を芯材とするマイクロカプセルを分散させたマイクロカプセル分散液(1)を得た。
なお、このマイクロカプセル分散液(1)に含まれるマイクロカプセルの外殻を構成する材料(上記とほぼ同様の条件でジシクロヘキシルフタレート、タケネートD−110NおよびミリオネートMR200を反応させて得られた材料)のガラス転移温度は約130℃であった。
電子供与性無色染料(1)を前記電子供与性無色染料(2)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(2)を得た。
電子供与性無色染料(1)を前記電子供与性無色染料(3)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(3)を得た。
−光硬化性組成物分散液(1)−
光重合開始剤(1−a)1.62部と、(1−b)0.54部とを、酢酸エチル4部に溶解させた溶液に、電子受容性化合物(1)9部およびトリメチロールプロパントリアクリレートモノマー(3官能アクリレート、分子量約300)7.5部を添加した。
このようにして得られた溶液を、15%PVA(ポリビニルアルコール)水溶液19部と水5部と2%界面活性剤(1)水溶液0.8部と2%界面活性剤(2)水溶液0.8部とを混合した混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機株式会社製)にて8000rmpで7分間乳化して、乳化液とした光硬化性組成物分散液(1)を得た。
光重合開始剤(1−a)及び(1−b)を、光重合開始剤(2−a)0.08部、(2−b)0.18部、(2−c)0.18部に変更した以外は、光硬化性組成物分散液(1)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(2)を得た。
前記光硬化性組成物分散液(2)で用いた光重合開始剤(2−b)を、光重合開始剤(3−b)に変更した以外は、光硬化性組成物分散液(1)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(3)を得た。
なお、光硬化性組成物分散液の調整に用いた光重合開始剤(1−a)、(1−b)、(2−a)、(2−b)、(2−c)、(3−b)、電子受容性化合物(1)、及び、界面活性剤(1)〜(2)の化学構造式を以下に示す。
・スチレン:360部
・nブチルアクリレート:40部
・アクリル酸:4部
・ドデカンチオール:24部
・四臭化炭素:4部
以上を混合し、溶解した溶液を、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)10部をイオン交換水560部に溶解した溶液に、フラスコ中で分散・乳化し、10分ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。
続いて、フラスコ内の窒素置換を行った後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。こうして、体積平均粒径が200nm、ガラス転移温度が50℃、重量平均分子量(Mw)が16200、比重が1.2である樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液(1)(樹脂粒子濃度:30%)を得た。
・マイクロカプセル分散液(1)24部
・光硬化性組成物分散液(1)232部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてIKA製ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した。
そして、硝酸でpH3に調整し、次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.20部を加え、ウルトラタラックスで回転数6000rpmで10分間の分散操作を継続した。 加熱用オイルバスでフラスコをゆっくり攪拌しながら40℃まで加熱した。
ここで、樹脂粒子分散液(1)を緩やかに60部を追加した。
これにより、感光・感熱カプセル分散液(1)を得た。なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒経は約2μmであった。また、得られた分散液の自発的な発色は確認されなかった。
マイクロカプセル分散液(1)をマイクロカプセル分散液(2)に、光硬化性組成物分散液(1)を光硬化性組成物分散液(2)に変更した以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)と同様に作製し、感光・感熱カプセル分散液(2)を得た。なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒経は約2μmであった。また、得られた分散液の自発的な発色は確認されなかった。
マイクロカプセル分散液(1)をマイクロカプセル分散液(3)に、光硬化性組成物分散液(1)を光硬化性組成物分散液(3)に変更した以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)と同様に作製し、感光・感熱カプセル分散液(3)を得た。なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒経は約2μmであった。また、得られた分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−トナーの作製−
・感光・感熱カプセル分散液(1):80部
・感光・感熱カプセル分散液(2):80部
・感光・感熱カプセル分散液(3):80部
・樹脂粒子分散液(1):80部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてIKA製ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した。
その後、0.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを8.5にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら55℃まで加熱し、10時間保持した。
これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.5、電気伝導度7.0μS/cmtとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで12時間の真空乾燥を行うことにより、母材中に3種類の感光・感熱カプセルが分散した構造を有するトナー粒子を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均粒径D50vは約15μmであった。また、得られたトナーの自発的な発色は確認されなかった。
次に、キャリア芯材の表面を、ポリメチルメタアクリレート(総研化学社製)で被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリア(キャリア全質量に対するポリメチルメタアクリレートの使用量:1質量%)を用い、トナー濃度が5質量%になるように前記の外添トナー1〜3を秤量し、両者をボールミルで5分間攪拌・混合して現像剤(1)〜(3)を調製した。
(画像形成)
図1に示したような画像形成装置を用意し、現像剤として現像剤1を用いた。
感光体10としては、アルミドラムの周りに、電荷発生層が塩化ガリウムフタロシアニン、電荷輸送層がN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミンを含む膜厚25μmの多層有機感光層を塗布形成したものを用いた。また、帯電装置12としてはスコロトロンを用いた。
・感光体線速:10mm/秒。
・帯電条件:スコロトロンのスクリーンに−400V、ワイヤーには直流−6kVを印加。このとき感光体の表面電位は−400Vとなった。
・露光:Y、M、C、黒の4色分の画像情報の論理和で露光し、露光後の電位は約−50Vであった。
・現像バイアス:直流−330Vに交流Vpp1.2kV(3kHz)の矩形波を重畳。
・現像剤接触条件:周速比(現像ロール/感光体)2.0、現像ギャップ0.5mmとし、現像ロール上の現像剤重量は400g/m2とし、感光体上のトナー現像量がべた画像で5g/m2となるようにした。
・転写バイアス:直流+800V印加。
・定着温度:定着ロール表面温度を180℃に設定。
・光照射装置照度:130000lux。
上記条件で得られたプリントサンプルについて、以下の評価を行った。
−発色濃度−
Y、M、Cの各色についてべた画像部分の画像濃度を濃度測定器X−Rite938(X−Rite社製)で調べたところ、いずれの色においても画像濃度が1.5以上と十分な発色が確認された。
R、G、B、Y、M、Cの各色について、5%から100%の5%刻みの階調チャートにより色再現性を調べたが、いずれの色においてもカラーバランスがよく色再現性に優れていた。
−ハイライト画像部再現性−
ハイライト画像部の再現性を、プリント全面15%ハーフトーン画像により調べたが、ハイライト部の飛びがない良好なプリントであることが確認された。
実施例1の画像形成において、感光体の線速を300mm/秒とした以外は、同様にして画像形成を行い、同様の画像評価を行った。また、この条件で定着装置、光照射装置を外して未定着像を出力し、そのまま10分間暗所で放置した後、同一速度、温度で定着、光照射を行い画像形成を行った。
その結果、放置の有無にかかわりなく、発色濃度、色再現性、ハイライト画像部再現性ともに実施例1におけるプリントと遜色ないものが得られた。
実施例1の画像形成において、現像剤1の代わりに現像剤2を用いた以外は同様にして画像形成を行い、同様の画像評価を行った。
その結果、少なくとも初期の画像においては、発色濃度は実施例1と同等の濃度が得られ、さらに色再現性、ハイライト部再現性に関しては、目視レベルで実施例1よりもさらに良好な評価結果となった。
実施例1の画像形成において、現像剤1の代わりに現像剤3を用い、トナーへの発色情報付与を、下記表2に示す組み合わせに変更した以外は同様にして画像形成を行い、同様の画像評価を行った。
その結果、発色濃度は1.5以上であり、色再現性、ハイライト再現性も目視レベルで実施例1と同等の結果であり、光発色型トナーを用いた場合でも、実施例1の光非発色型トナーの場合と同様に、発色濃度、色再現性、ハイライト部再現性に優れた特性が得られた。
(トナーの作製)
まず、特許第2979158号明細書に記載のマイクロカプセル含有シートを作製した。具体的には、マイクロカプセルの壁材としてはポリウレタンを用い、この壁材の微細孔に光異性化物質としてアゾベンゼンを会合させたリン脂質2分子膜を埋め込んだ。そして、このマイクロカプセル内部にロイコ染料を含有させ、これを顕色剤としてα−ナフトールを含むメチルセルロース中に分散させてシートとした。
なお、これらの工程はすべて暗所にて行った。
実施例4において、現像剤3の代わりに現像剤4を用いた以外は同様にして画像形成を行い、同様の画像評価を行った。また、上記画像形成において、感光体の線速を300mm/秒として同様の画像形成、さらに未定着画像として10分間暗所に放置した後に定着、光照射を行う画像形成を行った。
4 反射手段
10 感光体
12 帯電装置
14 露光装置
16 現像装置
18 転写装置
20 クリーナ
22 定着装置
24 光照射装置
26 記録媒体
28 発色情報付与装置
32 光書込みヘッド
34 発色情報付与露光ヘッド
36 プリンタコントローラ
38 印字部
40 論理和回路
42 発振回路
44 発色制御回路
50 マイクロカプセル
52 発色剤
54 顕色剤モノマー
56 光重合開始剤
60、80、82、84 発色部(感光・感熱カプセル)
70、72、74、76 トナー
86 母材
90、92、94 感光・感熱層
Claims (10)
- 互いに隔壁で隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第2成分を含み該第1成分を含まない光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化または未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナーを用いる画像形成装置であって、
像担持体と、該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記像担持体表面に形成されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、前記トナー像に光による発色情報を付与して、前記第2成分が拡散する領域と拡散しない領域とを形成する発色情報付与手段と、該記録媒体表面に転写されたトナー像を熱及び/または圧力により定着する定着手段と、加熱により前記隔壁の物質透過性を増大させて、前記発色情報を付与されたトナー像のうち、前記第2成分が拡散する領域において、前記第1成分と前記第2成分を反応させて発色させる発色手段と、を含むことを特徴とする画像形成装置。 - 前記定着手段が、前記発色手段を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体が感光体であり、前記トナー像形成手段が、前記感光体表面を帯電する帯電手段と、該感光体表面に露光により静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像を前記トナーを含む現像剤によりトナー像とする現像手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- さらに、定着後の記録媒体表面に前記第1成分及び前記第2成分を分解又は失活させるための光を照射する光照射手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体に、該像担持体表面に形成されたトナー像に発色情報を付与する光を、再び前記トナー像に向けて反射する反射手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記トナーが、前記隔壁として、前記光硬化性組成物中に分散されるマイクロカプセルを含み、前記第1成分が該マイクロカプセル内に含まれ、前記第2成分が前記光硬化性組成物中に含まれる構成からなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記光硬化性組成物中に、前記第2成分と光重合性化合物とが含まれることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
- 前記第2成分が光重合性基を有することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
- 互いに隔壁で隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1の反応性成分及び第2の反応性成分と、該第2成分を含み該第1成分を含まない光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化または未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナーを用いる画像形成方法であって、
像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、該発色情報を付与されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記トナー像に光による発色情報を付与して、前記第2成分が拡散する領域と拡散しない領域とを形成する発色情報付与工程と、記録媒体表面に転写されたトナー像を熱及び/または圧力により定着する定着工程と、加熱により前記隔壁の物質透過性を増大させて、前記発色情報を付与されたトナー像のうち、前記第2成分が拡散する領域において、前記第1成分と前記第2成分を反応させて発色させる発色工程と、を含むことを特徴とする画像形成方法。 - 前記発色情報付与工程が、前記トナー像形成工程と前記転写工程との間に設けられることを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
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