JP2009075163A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】形成されたトナー像に対して発色情報の付与を行うことにより該トナー像を発色させ、1つの現像器でフルカラー画像形成を行う際において、トナー像に発色情報を付与する露光を行っても感光体の光劣化が生じさせず、さらに耐刷性にも優れ、安定した画像形成が維持される画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
【解決手段】感光体と、潜像形成手段と、現像手段と、発色情報付与手段と、転写手段と、定着手段と、発色手段と、を含み、前記トナーが、光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーであり、前記感光体が、シリコン原子を含む結晶粒子、アモルファスシリコン粒子、セレン粒子及びセレン化合物粒子から選択される1種以上を含有し、前記発色情報付与手段による発色情報付与光を散乱もしくは吸収し、かつ、前記潜像形成手段による潜像形成光を透過する表面層を有する画像形成装置である。
【選択図】なし

Description

本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
従来より電子写真方式でカラー画像を得る記録装置においては、基本三原色をそれぞれの画像情報に応じて現像し、これらのトナー像を順次重ね合わせることでカラー画像を得ている。具体的な装置構成としては、画像形成の方法によって潜像形成された一つの感光体ドラムに各色ごとに現像し、それらを転写部材に転写することを繰り返してカラー画像を得る所謂4サイクル機、あるいは各色の画像形成手段ごとに感光体ドラム、現像装置を具備して転写部材が移動することにより順次連続してトナー像を転写してカラー画像を得るタンデム機などが知られている。
これらは少なくとも、各色ごとに複数の現像装置を持つことで共通している。そのため、通常のカラー画像形成では三原色に黒色を加えた4つの現像装置が必要であり、さらにタンデム機ではそれぞれの4つの現像装置に応じて4つの感光体ドラムが必要であり、それら4つの画像形成手段の同期を整合する手段が必要になるなど、装置の大型化やコストの増大は避けられないものとなっている。
これに対し、単一の現像装置でカラー画像を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、1つの現像器でカラー画像を得るプロセスとして、トナーの発色メカニズムを開示した方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。ここで開示されているプロセスで使用しているトナーは、外部刺激を受けて物質透過性が変化するカプセル壁を有する複数のマイクロカプセルをトナー樹脂中に分散混合して成る粒子であり、この粒子中に互いに混合されて発色反応を起こす2種類の反応性物質のうちの一方(各色染料前駆体)が、マイクロカプセル内に、他方(顕色剤)がマイクロカプセル外のトナー樹脂中に含まれるものである。そして、カプセル壁として特定波長の光を照射した際に物質透過性が増大する光異性化物質を用い、シス−トランス遷移を利用して光の照射や超音波を印加した際に、カプセル内外に存在する2種類の反応性物質が反応して発色する構成となっている。
特開昭63−311364号公報 特開2003−330228号公報
しかしながら、光照射により自身が発色するトナーを用いる方式による画像形成では、顕色化工程(発色情報付与工程)において、トナーの発色潜像を形成するためにトナー像に照射される光の露光量は、通常の感光体が電子写真プロセスを行うのに必要な光量の約1000倍にも及ぶ光量を必要とするため、発色情報付与工程におけるトナー像への光照射を感光層が受けた場合、感光体が光劣化し、安定した感光体特性を維持できないという課題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、形成されたトナー像に対して発色情報の付与を行うことにより該トナー像を発色させ、1つの現像器でフルカラー画像形成を行う際において、トナー像に発色情報を付与する露光を行っても感光体の光劣化が生じさせず、さらに耐刷性にも優れ、安定した画像形成が維持される画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の本発明により達成される。
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、感光体と、該感光体表面に光により静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを含む現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、該感光体表面に形成されたトナー像に光による発色情報を付与する発色情報付与手段と、該発色情報を付与されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、該記録媒体表面に転写されたトナー像を熱及び圧力の少なくとも一方により定着する定着手段と、加熱により前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色手段と、を含み、
前記トナーが、光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーであり、
前記感光体が、シリコン原子を含む結晶粒子、アモルファスシリコン粒子、セレン粒子及びセレン化合物粒子から選択される1種以上を含有し、前記発色情報付与手段による発色情報付与光を散乱もしくは吸収し、かつ、前記潜像形成手段による潜像形成光を透過する表面層を有する画像形成装置である。
請求項2に係る発明は、前記発色情報付与光が可視光であり、前記潜像形成光が近赤外光である請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に係る発明は、前記トナーが、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれかを含む光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化または未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナーである請求項1または2に記載の画像形成装置である。
請求項4に係る発明は、感光体表面に光により静電潜像を形成する潜像形成工程と、該静電潜像をトナーを含む現像剤によりトナー像として現像する現像工程と、該感光体表面に形成されたトナー像に光による発色情報を付与する発色情報付与工程と、該発色情報を付与されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、該記録媒体表面に転写されたトナー像を熱及び圧力の少なくとも一方により定着する定着工程と、加熱により前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色工程と、を含み、
前記トナーとして、光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用い、前記感光体として、シリコン原子を含む結晶粒子、アモルファスシリコン粒子、セレン粒子及びセレン化合物粒子から選択される1種以上を含有する表面層を有する感光体を用い、
前記潜像形成工程において、前記感光体が感度を有する波長域の潜像形成光を照射し、前記発色情報付与工程において、前記感光体表面で散乱もしくは吸収される波長域の発色情報付与光を照射する画像形成方法である。
請求項5に係る発明は、前記発色情報付与光が可視光であり、前記潜像形成光が近赤外光である請求項4に記載の画像形成方法である。
本発明の請求項1に係る発明によれば、形成されたトナー像に対して発色情報の付与を行うことにより該トナー像を発色させ、1つの現像器でフルカラー画像形成を行う際において、トナー像に発色情報を付与する露光を行っても感光体の光劣化が生じさせず、さらに耐刷性にも優れ、安定した画像形成が維持される画像形成装置が得られる。
請求項2に係る発明によれば、トナーや感光体の材料設計にも対応させつつ、プロセス設計的にも有利な構成の画像形成装置が得られる。
請求項3に係る発明によれば、広いスピードレンジに対応可能であり、加えて、加熱による発色が行なわれる定着器等の配置場所についても自由度が高い画像形成装置が得られる。
請求項4に係る発明によれば、形成されたトナー像に対して発色情報の付与を行うことにより該トナー像を発色させ、1つの現像器でフルカラー画像形成を行う際において、トナー像に発色情報を付与する露光を行っても感光体の光劣化が生じさせず、さらに耐刷性にも優れ、安定した画像形成が維持される。
請求項5に係る発明によれば、トナーや感光体の材料設計にも対応させつつ、プロセス設計的にも有利となる画像形成方法が提供される。
以下、本発明を実施形態により詳細に説明する。
本実施形態の画像形成装置は、光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いる画像形成装置であって、感光体と、該感光体表面に光により静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを含む現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、該感光体表面に形成されたトナー像に光による発色情報を付与する発色情報付与手段と、該発色情報を付与されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、該記録媒体表面に転写されたトナー像を熱及び圧力の少なくとも一方により定着する定着手段と、加熱により前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色手段と、を含み、前記感光体が、シリコン原子を含む結晶粒子、アモルファスシリコン粒子、セレン粒子及びセレン化合物粒子から選択される1種以上を含有し、前記発色情報付与手段による発色情報付与光を散乱もしくは吸収し、かつ、前記潜像形成手段による潜像形成光を透過する表面層を有することを特徴とする。
また、本実施形態の画像形成方法は、上記と同様のトナー及び感光体を用い、同様のプロセスにより画像形成を行う画像形成方法であって、潜像形成工程において、前記感光体が感度を有する波長域の潜像形成光を照射し、前記発色情報付与工程において、前記感光体表面で散乱もしくは吸収される波長域の発色情報付与光を照射することを特徴とする。
本実施形態に用いられるトナーは、例えばトナーの1粒1粒が異なる波長の光で露光されると、該波長に応じた色に発色する、あるいは発色しない(非発色)状態を維持する機能を有している。すなわち、トナーがその内部に光による発色情報の付与により発色可能な発色性物質(さらにはこれを含む発色部)を有しており、前記光による発色情報の付与により、トナーが発色または非発色の状態を維持するように制御されるものである。
ここで、前記「光による発色情報の付与」とは、トナー像を構成する個々のトナー粒子単位で発色/非発色状態や発色した際の色調を制御するために、トナー像の所望の領域に対して選択的に1種類以上の特定波長の光を付与する、あるいは、何らの光を付与しないことを意味する。
このようなトナーとしては、前記機能を発揮できるものであれば特に制限されず、例えば前記特許文献1、2に記載のトナーや、後述する本実施形態に好ましく用いられるトナーなどを挙げることができる。
上記トナーを用いた画像形成装置(画像形成方法)では、このようなトナーを1つの現像器に搭載し、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び黒(K)の4つの色の画像形成情報の論理和で像保持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を該トナーで現像してトナー像とし、例えばしかる後、色情報に応じた波長の光で該トナー像を露光して該トナー像に発色情報を付与する。その後、発色情報を付与された前記トナー像が記録媒体に転写され、その後熱と圧力により記録媒体に定着される。この時、前記熱によりトナーの発色反応が行なわれ、カラー画像が得られる。
従って、1つの像保持体と1つの現像器とでフルカラー画像を得ることができるので、画像形成装置本体の大きさは限りなくモノクロプリンタ並みの大きさに近づくこととなり、装置の小型化が可能となる。これに加えて、トナー像の形成に際して色毎にトナーを積層する必要がないために画像表面の凸凹が抑制でき、画像表面の光沢を均一にすることができ、更に、トナーに顔料等の着色剤を使わないため、銀塩ライクな画像を得ることも可能である。
前述のように、前記と同様のトナーを使用する場合、従来の電子写真方式の画像形成方法では、発色情報付与のための露光がトナー像が形成された像保持体である感光体表面で行われるが、該露光の強度はかなり大きいため、感光体における感光層が光劣化してしまう場合があった。
上記問題に対しては、潜像形成工程において、前記感光体が感度を有する波長域の潜像形成光を照射し、前記発色情報付与工程において、前記感光体表面で散乱もしくは吸収される波長域の発色情報付与光を照射すれば、前記感光層の光劣化を回避することが可能となる。そして、上記のような方法を実行するためには、前記発色情報付与手段による発色情報付与光を散乱もしくは吸収し、かつ、前記潜像形成手段による潜像形成光を透過する表面層を有する感光体を備えた本実施形態の画像形成装置を用いることが最も有効であることが見出された。
より具体的には、感光体の表面層として、発色情報付与に用いられる発色情報付与光の波長域の光をカットし、潜像形成時の潜像形成光の波長域の光のみを透過させる(当然にその波長域で感光体は感度を有する)光選択機能を有するものを用いることにより、例えば、感光体に潜像を形成するための近赤外光は感光体表面を十分に透過し僅かの光量でも感光体には前記近赤外光に感度を有して潜像形成がなされ、かつ、トナー像に発色情報を付与する可視光は表面で散乱若しくは吸収され感光層中に可視光が透過することがなくなり、その結果、発色情報付与光により感光体の光劣化がなく繰り返しトナー像形成、発色情報付与が行えることがわかった。
ここで、前記「発色情報付与光を散乱もしくは吸収」とは、前記表面層に照射された光の透過率が1%以下であることをいう。また、「潜像形成光を透過」とは、表面層に照射された光の透過率が50%以上であることをいう。なお前記「感光体が感度を有する」とは、適用された画像形成プロセスにおいて潜像形成光により最終的な画像として問題がないレベルの潜像が形成できることを意味する。
以下、本実施形態の、光による発色情報に応じて発色または非発色の状態を制御することが可能なトナーを用いた電子写真プロセスによるカラー画像を形成する画像形成装置(画像形成方法)を、詳細に説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、通常の電子写真プロセスに用いる感光体10、帯電装置(帯電手段)12、露光装置(潜像形成手段)14、現像装置(現像手段)16、転写装置(転写手段)18、定着装置(定着手段)22を有している。また、本装置においては、現像後のトナー像に感光体10に発色情報を付与する発色情報付与装置28が設けられており、定着装置22はトナー像を発色させる発色装置(発色手段)を兼ねている。さらに、定着装置22の下流側には、トナーの発色を固定化あるいは残色を消去させるための記録媒体26への光照射を行う光照射装置24(光照射手段)が設けられている。なお、符号20はクリーナである。
以下、本実施形態の画像形成装置の構成を、画像形成プロセスにおける各工程に沿って説明する。
<潜像形成工程>
本工程においては、まず、帯電装置12により感光体10の表面全面を帯電させ、次いで、潜像形成のための露光が行われる。
(感光体)
本実施形態における感光体10は、基材上に感光層及び表面層を有してなる。感光体10における表面層以外の構成としては、公知のいかなるものも用いることができるが、後述するように、本実施形態では感光体10に照射される発色情報付与光を表面でカットする必要があることから、潜像形成のための露光装置14からの露光波長域が制限される。このため、感光体10における感光層もその露光光の波長域に感度を有するように設計されることが好ましい。
図2は、本実施形態における感光体の特性と発色情報付与光及び潜像形成光の波長との関係をモデルとして示す説明図である。
図において、曲線(a)は電荷発生材料としてフタロシアニンを用いた感光層の分光感度スペクトル、曲線(b)は表面層の光透過率スペクトル、曲線(c)は表面層形成後の感光体の分光感度スペクトルを各々示す。また、3つの矢印62は発色情報付与光の波長(B(青)、G(緑)、R(赤))、矢印64は潜像形成光の波長を示すものである。
ここでは、照射光源の例として、感光体への潜像形成光用の光源として780nmの半導体レーザーを用い、トナー像への発色情報付与光用の光源として405nm(B)、532nm(G)、657nm(R)の3種の光源を用いている。もちろん、これらの光源の波長が異なっていても、感光体の分光感度特性と露光源の波長の関係が満たされるものであれば構わない。
図2に示すように、表面層の光透過率は発色情報付与光62の波長域(約400nm以上700nm以下)ではほぼ0%であるため、これを表面層として設けた感光体でもこの波長域の感度はほぼ0となっている。一方、約700nm以降で表面層の光透過率が急激に上昇するため、これに対応してこの波長域ではもともとの感光層の感度が回復して、曲線(b)・(c)で形成される有効感度領域が狭い分光感度となる。
そして、このような分光感度を有する感光体を用いれば、発色情報付与光62はほとんど吸収せず、潜像形成光64のみを吸収するため、前記のように感光層の光劣化を防止することができる。
前記潜像形成光64の波長としては、例えば、トナー像に発色情報を付与するための露光62の波長(トナー像が吸収する光の波長)が405nm、532nm、657nmである場合には、照射光のピーク波長を680nm以上900nm以下の範囲とすることが好ましく、750nm以上850nm以下の範囲とすることがより好ましい。
この場合、表面層形成後の感光体の分光感度の立ち上がり点Pの波長と発色情報付与光の最大波長との差(絶対値)は30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。また、上記分光感度におけるピーク波長と発色情報付与光の最大波長との差(絶対値)は50nm以上であることが好ましく、80nm以上であることがより好ましい。
上記のような感光体を得るために、表面層の点P以下の波長域での光透過率は1%以下とすることが好ましく、0.1%以下がより好ましい。また、光吸収率の飽和点Qでの光透過率は50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
さらに、点Pと点Qとの波長差(絶対値)は200nm以下であることが好ましい。
また、上記のような感光体を得るために、感光層の分光感度は少なくとも点P以上(より長波長)の波長域において感度を有する必要があることがもちろんであるが、できる限り高感度の感光体として使用できるように、曲線(a)で示される分光感度全体に対して、曲線(c)で示される分光感度が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。
以上のような、感光体表面で光の散乱もしくは吸収を行わせて、分光感度を調整する方法としては、感光層上に特定領域の波長の光の吸収もしくは散乱を生じさせる物質を含有した新たな表面層を形成するか、例えば積層感光体の表面層となる電荷輸送層中に特定領域の波長の光の吸収もしくは散乱を生じさせる物質を含有させる方法が好ましく用いられる。すなわち、本実施形態における表面層とは、前記新たな表面層を形成しない場合には感光層の最表面の層を意味する。
上記特定領域の波長の光を吸収させる方法としては、当該波長域に吸収を有する物質を表面層などに溶解もしくは分散させる方法が好ましい。また、特定領域の光を散乱させる方法としては、当該波長域に散乱を有するように光散乱性の物質を表面層などに分散させることにより好ましく実現することができる。
そして本実施形態では、上記物質として可視光領域では光を吸収または散乱し、近赤外光領域では光を透過するシリコン原子を含む結晶粒子、アモルファスシリコン粒子、セレン粒子及びセレン化合物粒子から選択される1種以上を用いる。これにより、発色情報付与光による感光体の劣化が防止されると共に、さらに感光体の表面強度が高められ耐刷性が向上する。
以下、上記特性を満足させる感光体の構成について、具体的に説明する。
(感光体)
本実施形態における感光体10は、基体上に形成された感光層と、その上に形成された後述する表面層とを有してなるものであってもよいし、感光層における最表面の層が前記本実施形態における表面層の役割を有していれば、感光層のみを有してなるものであってもよい。
本実施形態における感光層は、例えば、導電性基体上に形成されたSe、a−Si、Se−Te合金、AsSe合金等の無機の感光層、あるいは単層若しくは多層の有機感光層である。ベルト状感光体の場合は、基体としてPET、PC等の透明樹脂が使用でき、その厚みはベルト状感光体を張架するロールの径、張力等の設計事項から決められ、おおよそ10μm以上500μm以下程度の範囲である。その他の層構成等はドラムの場合と同様である。
前記有機感光層としては、電荷発生層と電荷輸送層とを少なくとも有する構成の積層感光体が一般的であるが、該積層型有機感光体における電荷発生層、電荷輸送層としては、それぞれ公知の以下の材料及び構成のものが用いられる。
−電荷発生層−
電荷発生材料としては、非晶質セレン、結晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他のセレン化合物及びセレン合金、アモルファスシリコン、硫化カドミウム等の無機系光導電体及びこれらを色素増感したもの、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、錫フタロシアニン、ガリウムフタロシアニンなどの各種フタロシアニン顔料、ナフタロシアニン顔料、スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、トリスアゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料及び染料が用いられる。また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン顔料ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることが可能である。
感光層としては、550nm以上1000nm以下の範囲に分光感度のピークを有するものを用いることが好ましく、その観点からは、電荷発生材料としてはヒドロキガリウムフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料などを用いることが好ましい。
電荷発生層における結着樹脂としては、以下のものを例示することができる。具体的には、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールCタイプ、さらにはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネート樹脂およびその共重合体、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどである。上記結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることが可能である。
前記電荷発生材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1乃至1:10の範囲が望ましい。前記電荷発生材料を樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法を用いることができる。
また、電荷発生層の厚みは、一般には0.01μm以上5μm以下の範囲、好ましくは0.05μm以上2.0μm以下の範囲に設定される。
なお、後述する発色情報付与のための露光が通常の潜像形成のための露光よりかなり強い強度で行われるため(発色情報付与に供する光のエネルギー量は、通常の電子写真プロセスに使用される感光体への露光量(2mJ/m)の約1000倍程度必要)、通常、感光体へのダメージを避けるため、例えば、電荷発生層の光感度を従来の1/1000としたりする必要があったが、本実施形態においてはそのような必要がなく、従来の感光層の構成をそのまま使用することができる。
−電荷輸送層−
電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体;1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体;トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物;N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物;3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体;4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン、1−ピレンジフェニルヒドラゾン、9−エチル−3−[(2メチル−1−インドリニルイミノ)メチル]カルバゾール、4−(2−メチル−1−インドリニルイミノメチル)トリフェニルアミン、9−メチル−3−カルバゾールジフェニルヒドラゾン、1,1−ジ−(4,4’−メトキシフェニル)アクリルアルデヒドジフェニルヒドラゾン、β,β−ビス(メトキシフェニル)ビニルジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体;2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体;6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体;p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体;エナミン誘導体;N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体;ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体;などの正孔輸送物質、
クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン、3,5−ジメチル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;などの電子輸送物質、あるいは以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。
これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
積層型感光体では電荷輸送材料の電荷輸送極性により感光体の帯電極性が異なる。正孔輸送物質を用いた場合には感光体は負帯電で用いられ、電子輸送物質を用いた場合には正帯電で用いられる。両者を混合した場合には両帯電極性の感光体が可能である。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂には任意のものを用いることができるが、特に電荷輸送材料と相溶性を有し適当な強度を有することが望ましい。
バインダー樹脂の例として、ビスフェノールAやビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールTPなどからなる各種のポリカーボネート樹脂やその共重合体、ポリアリレート樹脂やその共重合体、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、アチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
本実施形態で用いられる重合体の分子量は、感光層の膜厚や溶剤などの成膜条件によって適宜選択されるが、通常は粘度平均分子量で3000以上30万以下、より好ましくは2万以上20万以下の範囲が適当である。
前述のように、本実施形態においては、後述する表面層の機能を電荷輸送層が担うように感光体を設計することができる。この場合、電荷輸送層中に添加される物質は後述する表面層に添加される物質と同様のものであるが、特に電荷輸送性等の電気特性に影響を及ぼさないものが選択される。具体的には、シリコン原子を含む結晶粒子のうちでも、電荷輸送層中で電荷トラップとなりにくいp型半導体特性を有するものが望ましい。シリコン原子を含む結晶粒子の他にアモルファスシリコン粒子、セレン粒子、セレン化合物粒子を用いることができる。これらの物質と前記結着樹脂との配合比(質量比)は、0.1:99.9乃至20:80の範囲が望ましく、1:99乃至15:85の範囲が好ましい。
なお前記のように、感光体をこのように設計する場合には表面層を別途設ける必要がないため、電荷輸送層が本実施形態における表面層となる。
電荷輸送層は、上記電荷輸送物質、さらに必要に応じて添加される物質及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し乾燥することによって形成することができる。電荷輸送層の形成に使用される溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル、あるいはこれらの混合溶剤などを用いることができる。
電荷輸送材料と前記結着樹脂との配合比(質量比)は10:1乃至1:5の範囲が好ましい。また電荷輸送層の膜厚は、5μm以上50μm以下の範囲が望ましく、より望ましく10μm以上40μm以下の範囲に設定される。
さらに、装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光・熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤・光安定剤・熱安定剤などの添加剤を添加することができる。
電荷輸送層が最表面層となる場合には、表面の潤滑性向上のために電荷輸送層中にポリテトラフルオロエチレンのような離型性固体粒子を含有することも可能である。
−表面層−
本実施形態における感光体では、最表面に前述の機能を有する表面層が設けられる。以下、前記感光層上に新たに表面層を設ける場合を例に挙げて説明する。
表面層としては、バインダー樹脂中に、前記特定領域の波長の光の吸収もしくは散乱を生じさせるシリコン原子を含む結晶粒子、アモルファスシリコン粒子、セレン粒子及びセレン化合物粒子から選択される1種以上を分散させたものを使用することができる。例えば、可視光領域において光を吸収させたければ、400nm以上700nm以下近傍の波長領域に吸収を有する、1種若しくは複数種のシリコン原子を含む結晶粒子、アモルファスシリコン粒子、セレン粒子及びセレン化合物粒子から選択される1種以上を用いることができる。
具体的には、例えばシリコン単独の場合には、単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、アモルファス(非晶質)シリコンなどを挙げることができる。また、シリコン原子を含む化合物としては、SiO、SiN、SiC、SiGe、NiSi、MgSi、CaSi、BaSi、LaSi、CrSi、MoSi、WSi、MnSi、ReSi1.75、FeSi、RuSi、OsSi、OsSi、OsSi、IrSiなどを挙げることができる。
Seを含む物質の場合には、Se単独、SeTe合金、AsSe合金などを例示する事ができる。
これらの中では、発色情報付与を可視光で行い潜像形成を近赤外光で行うプロセスに適するという点で、可視光領域に吸収を有し近赤外光領域でほとんど吸収のない物質を用いることが望ましく、具体的には、単結晶シリコンを用いることがさらに好適である。
バインダー樹脂としては、フッ素樹脂、シリコーンやアクリルなどのハードコート剤、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シロキサン系樹脂などが好ましく、シロキサン系樹脂からなるものがより好ましい。特に、強度、電気特性、画質維持性などの観点から、架橋構造を有するものが好ましく、さらに電荷輸送性材料を含むものがより好ましい。
前記シリコン原子を含む結晶粒子、アモルファスシリコン粒子、セレン粒子及びセレン化合物粒子から選択される1種以上とバインダー樹脂との配合比(質量比)は、0.1:99.9乃至20:80の範囲が望ましく、1:99乃至15:85の範囲がより望ましい。シリコン原子を含む結晶粒子、アモルファスシリコン粒子、セレン粒子及びセレン化合物粒子から選択される1種以上の比率が0.1質量%に満たないと、表面層中での結晶粒子量が少なすぎ前記発色情報付与光の吸収、散乱を有効に行うことができないだけでなく、耐刷性を向上させることができない場合がある。20質量%を超えると、感光体の表面性(抵抗、表面粗さ、電荷移動性等)が変化し画質に支障を来たす場合がある。
配合した前記シリコン原子を含む結晶粒子、アモルファスシリコン粒子、セレン粒子及びセレン化合物粒子から選択される1種以上を樹脂中に分散させるには、必要に応じて溶剤を加えて、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法を用いることができる。
分散後の前記結晶粒子の体積平均1次粒径は4μm以上15μm以下とすることが望ましく、6μm以上12μm以下とすることがより好適であり、7μm以上9μm以下とすることがさらに好適である。体積平均1次粒径が15μmを超えると、塗工液とする場合に粒子が沈降しやすくなるだけでなく、表面層の抵抗が低下して画像流れ等が発生する場合がある。また、体積平均1次粒径を4μm未満とすることは実際上困難である。
なお、上記体積平均1次粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、BECKMAN COULTER社製)を用いて測定する。
表面層の形成は、塗工液を用いて行う場合は、塗工液をブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の塗布形成方法を用いることにより塗布膜を形成し、乾燥、加熱処理を経て行うことができる。
表面層の厚みは、0.1μm以上10μm以下の範囲とすることが好ましく、1μm以上5μm以下の範囲とすることがより好ましい。厚みが0.1μmに満たないと、前記発色情報付与光の吸収、散乱を有効に行うことができないだけでなく、耐刷性を向上させることができない場合がある。10μmを超えると、感光体における電荷移動性等が変化し画質に支障を来たす場合がある。
なお、前記電荷輸送層等の感光層の最表面層にシリコン原子を含む結晶粒子、アモルファスシリコン粒子、セレン粒子及びセレン化合物粒子から選択される1種以上を含有させる場合には、例えば、上記と同様にして分散を行った分散液を、電荷輸送材料等を含む電荷輸送層形成用塗布液に加えて最終塗工液を調製し、これを用いて電荷発生層上に塗布を行い電荷輸送層を形成する。
以上のようにして得られた感光体10の帯電には公知の帯電手段が使用できる。接触方式である場合は、ロール、ブラシ、磁気ブラシ、ブレード等が使用でき、非接触の場合は、コロトロン、スコロトロン等が使用できる。帯電手段としてはこれらに限られるものではない。
これらの中でも、帯電補償能力に優れる点で接触型帯電器が好ましく用いられる。接触帯電方式は、感光体表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより感光体表面を帯電させるものである。導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、あるいはロール状等何れでもよいが、特にロール状部材が好ましい。通常、ロール状部材は外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層と芯材から構成される。さらに必要に応じて、抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
前記ロール状部材は、感光体10に接触させることにより特に駆動手段を有しなくとも感光体10と同じ周速度で回転し、帯電手段として機能する。しかし、ロール状部材に何らかの駆動手段を取り付け、感光体10とは異なる周速度で回転させ、帯電させても良い。前記芯材の材質としては、導電性を有するもので、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。また、その他導電性粒子等を分散した樹脂成形品等を用いることができる。
前記弾性層の材質としては、導電性あるいは半導電性を有するもので、一般にはゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものを用いることができる。ゴム材としてはEPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等が用いられる。
弾性層の抵抗調節に用いられる導電性粒子あるいは半導電性粒子としては、カーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属;ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、Sb、In、ZnO、MgO等の金属酸化物;などを用いることができ、これらの材料は単独あるいは2種以上混合して用いても良い。
前記抵抗層および保護層の材質としては、結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したものが好ましい。抵抗率としては10Ωcm以上1014Ωcm以下、好ましくは10Ωcm以上1012Ωcm以下、さらに好ましくは10Ωcm以上1012Ωcm以下がよい。また、膜厚としては0.01μm以上1000μm以下、好ましくは0.1μm以上500μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上100μm以下がよい。
結着樹脂としてはアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PETFE等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン 樹脂等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としては弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物が用いられる。また必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。
これらの層を形成する手段としてはブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
これらの導電性部材を用いて感光体10を帯電させる方法としては、導電性部材に電圧を印加するが、印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好ましい。電圧の範囲としては、直流電圧は要求される感光体帯電電位に応じて正または負の50V以上2000V以下が好ましく、100V以上1500V以下がより好ましく、100V以上400V以下がさらに好ましい。交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧(Vpp)が400V以上1800V以下、好ましくは800V以上1600V以下、交流電圧の周波数は50Hz以上20000Hz以下、好ましくは100Hz以上5000Hz以下であり、サイン波、方形波、三角波がいずれも使用可能である。
帯電電位は、電位の絶対値で100V以上1000V以下の範囲に設定することが好ましい。
静電潜像の形成には公知の露光装置14が使用できる。露光装置14としては、例えばレーザスキャニングシステム、LEDイメージバーシステム、アナログ露光手段、液晶シャッター光、さらにはイオン流制御ヘッド等などを用いることができ、図1における矢印Aのように感光体10表面に露光を行うことが可能である。これ以外にも今後開発される新規な露光手段が本実施形態の効果を達成する限り使用できる。
光源としては、波長(潜像付与光の波長)が感光体10が感度を有する波長域にあるものが使用される。具体的には、前記表面層等が形成された感光体において、分光感度が100V・m/mJ以上となる波長域の光を潜像形成光とすることが好ましい。
これまで、半導体レーザの波長として780nmm付近に発振波長を有する近赤外が主流であるが、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400〜450nm近傍に発振波長を有するレーザも、感光体が感度を有する波長域や前記感光体の表面層に含有される結晶粒子の吸収波長域によっては利用が可能である。また、カラー画像形成のためにはマルチビーム出力が可能なタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
感光体10に対する露光は、反転現像の場合は後述するトナーを現像する位置に、正規現像の場合はトナーを現像する以外に位置に、前記4つの色の画像形成情報の論理和として行なわれる。露光スポット径は、解像度が100dpi以上2400dpi以下の範囲となるように、10μm以上240μm以下の範囲となるようにすることが好ましい。露光量としては、露光後電位が前記帯電電位の0%以上30%以下程度の範囲となるようにすることが好ましいが、画像の階調に応じてトナーの現像量を変化させる場合には、露光位置ごとに現像量に応じて露光量を変化させてもよい。
<現像工程>
前記静電潜像に対する現像には、公知の現像装置16が使用できる。現像法としては、キャリアと呼ばれるトナーを担持するための微小粒子とトナーからなる二成分現像法、またはトナーのみからなる一成分現像法、またこれらの現像法においてさらに現像その他の特性改善のために別の構成物質が添加される場合もある全ての現像方法が使用できる。
また、現像方法によっては感光体10へ現像剤が接触または非接触で現像を行なうもの、あるいはそれらの組み合わせのいずれもが使用可能である。さらに、前記一成分現像法と二成分現像法とを組み合わせたハイブリッド現像方法も使用可能である。これ以外にも、今後開発される新規な現像手段が本実施形態の効果を達成する限り使用できる。
本工程では、例えば前記3つの波長の光源に対してそれぞれ光吸収し、発色情報が付与される3種のトナーが同時に現像される。なお、前記現像剤に含まれるトナーとしては、例えばY色に発色可能な発色部(Y発色部)、M色に発色可能な発色部(M発色部)及びC色に発色可能な発色部(C発色部)を1つのトナー粒子中に含むものであってもよいし、前記Y発色部、M発色部、C発色部を各々トナーごとに別々に含むものであってもよい。
トナー現像量(感光体に付着させるトナー付着量)としては、形成する画像によっても異なるが、べた画像において3g/m以上15g/m以下の範囲とすることが好ましく、5g/m以上12g/m以下の範囲とすることがより好ましい。
また、形成されたトナー像Tにおいて、後述する発色情報付与のための光が、当該照射された部分全体に行き渡らなければならないため、トナー層厚は一定以下に抑えることが好ましい。具体的には、例えばべた画像においてトナー層は3層以下であることが好ましく、2層以下であることがより好ましい。なお、上記トナー層厚は、実際の感光体10表面に形成されたトナー層の厚さを測定し、これをトナーの個数平均粒径で除した値である。
<発色情報付与工程>
次に、こうして得たトナー像Tに対して、図1に示すように発色情報付与装置28により、感光体表面のトナー像に矢印Bのような光による発色情報が付与される。なお、図1に示す発色情報付与工程の位置は1つの例であり、後述するように、発色情報付与工程は現像工程と同時であってもよい。
発色情報付与装置28としては、そのとき発色させるトナー粒子が特定色に発色するための波長の光を所定の解像度と強度とで照射することができるものであれば何でもよい。例えば、LEDイメージバー、レーザROS等を使用することが可能である。なお、トナー像Tに照射される光の照射スポット径は、形成される画像の解像度が100dpi以上2400dpi以下の範囲となるよう、10μm以上240μm以下の範囲となるように調整されることが好ましく、10μm以上80μm以下の範囲とすることがより好ましい。
発色あるいは非発色状態維持のために供される光の波長は、使用されるトナーの材料設計により決まるが、例えば、特定波長の光照射により発色するトナー(光発色型トナー)を用いる場合、イエロー(Y色)に発色させるときは405nmの光(λ光とする)を、マゼンタ(M色)に発色させるときは535nmの光(λ光とする)を、シアン(C色)に発色させるときは657nmの光(λ光とする)を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。
本実施形態においては、前記のように上記トナーに発色情報を付与する波長域の光が、感光体表面で散乱もしくは吸収されるように発色情報付与手段の光源が選択される。具体的には、前記表面層等が形成された感光体において、透過率が0.1%以下となる波長域の光を発色情報付与光とすることが好ましい。
また、二次色に発色させる時には、前記光の組み合わせになり、レッド(R色)に発色させる時はλ光及びλ光を、グリーン(G色)に発色させる時はλ光及びλ光を、ブルー(B色)に発色させる時はλ光及びλ光を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。さらに、三次色であるブラック(K色)に発色させるときは上記λ光、λ光及びλ光をその発色させる所望の位置に重ねて照射する。
以上の結果をまとめると、トナーへの発色情報付与光と発色色との関係は、下記表1のようになる(○印をつけたLEDが発光すると所望の色にトナーが発色することを示す)。
Figure 2009075163
一方、特定波長の光照射により非発色状態を維持するトナー(光非発色型トナー)の場合には、例えば、イエロー(Y色)を発色させないようにするときは405nmの光(λ光)を、マゼンタ(M色)に発色させないようにするときは535nmの光(λ光)を、シアン(C色)に発色させないようにするときは657nmの光(λ光)を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。したがって、Y色に発色させる時はλ光及びλ光を、M色に発色させる時はλ光及びλ光を、C色に発色させる時はλ光及びλ光を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射することとなる。
また、二次色に発色させる時には、前記光の組み合わせになり、レッド(R色)に発色させる時はλ光を、グリーン(G色)に発色させる時はλ光を、ブルー(B色)に発色させる時はλ光を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。さらに、三次色であるブラック(K色)に発色させるときはその発色させる所望の位置には露光しないようにする。
以上の結果をまとめると、トナーへの発色情報付与光と発色色との関係は、下記表2のようになる(○印をつけたLEDが発光すると所望の色にトナーが発色することを示す)。
Figure 2009075163
さらに、トナーに用いる色素材料の選択により、前記λ光、λ光及びλ光に対してトナーが各々B色、G色及びR色に発色(非発色)する場合には、表1、表2と同様にしてB色、G色及びR色、さらにこれらの二次色を発色させることができる。
発色情報付与装置28からの光は、必要に応じてパルス巾変調、強度変調、左記2つを組み合わせたものなど、公知の画像変調方法が使用可能である。また、光の露光量は0.1mJ/cm以上5mJ/cm以下の範囲とすることが好ましく、0.5mJ/cm以上5mJ/cm以下の範囲とすることがより好ましい。特にこの露光量に関しては、必要露光量は現像されたトナーの量と相関があり、例えば、トナー現像量(べた)が約5g/mに対し0.6mJ/cm以上4mJ/cm以下の範囲の露光を行うことが好ましい。
なお、この時の露光光がレーザ光である場合、レーザビームの感光体入射に関しては、レーザにおけるモニター(Photo Detector)への戻り光防止のために、通常数度(4度乃至13度)傾ける必要があるが、本発明における発色情報付与露光の際は、戻り光がトナーにより吸収されるので、戻り光が極端に少なくなり、0度を含む任意の角度に入射させることができる。
以下に、上記発色情報付与のための露光がどのようなタイミングで、どのような位置制御により行われるかを簡単に説明する。
図3は、本実施形態の画像形成装置における印字制御部の具体的な回路ブロック図を示す。同図において、プリンタコントローラ36は、論理和回路40、発振回路42、マゼンタ発色制御回路44M、シアン発色制御回路44C、イエロー発色制御回路44Y、ブラック発色制御回路44Kで構成されている。一方、露光部38は、光書込ヘッド32及び発色情報付与露光ヘッド34で構成されている。
図示しないインターフェース(I/F)によって、入力されたRGB信号がCMYK値に変換された画像データは、更にインターフェース(I/F)からマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の画素データとして論理和回路40に出力される。ここで、論理和回路40はCMYKの論理和を計算し、光書込ヘッド32に出力する。
すなわち、CMYKの全ての画素データを含む論理和のデータを光書込ヘッド32に出力し、前記のように感光体10に光書込みを行う。したがって、感光体10の周面にはCMYKの全ての画素データを含む論理和データに基づく静電潜像が形成される。
また、CMYKの画素データは対応するマゼンタ発色制御回路44M乃至ブラック発色制御回路44Kにも供給され、発振回路42から出力される発振信号fm、fc、fy、fkに同期して発色情報付与露光ヘッド34に出力される。すなわち、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のそれぞれに対応する発色データが発色情報付与露光ヘッド34に供給され、感光体10上に現像されたトナー像Tに対応して発色または非発色状態を維持するための特定波長の光が照射される。したがって、照射される光を受けたトナー内で、後述する光硬化反応等が起こり、発色情報が付与される。
例えば、マゼンタ発色制御回路44Mから出力された発色信号fmはトナー内の発色部に前記λ光を照射し、該トナーをマゼンタ(M)色の発色が可能な状態とする。また、シアン発色制御回路44Cから出力された発色信号fcはトナー内の発色部に前記λ光を照射し、該トナーをシアン(C)色の発色が可能な状態とする。さらに、イエロー(Y)及びブラック(K)についても同様であり、イエロー発色制御回路44Y、ブラック発色制御回路44Kから出力される発色信号fy、fkは、トナー内の発色部に前記λ光またはλ光、λ光及びλ光を照射し、イエロー(Y)またはブラック(K)の発色が可能な状態とする。
以上、本実施形態における発色情報付与工程(手段)について、フルカラー画像形成を行う場合の機構について説明したが、本実施形態における発色情報付与工程は、イエロー、マゼンタ及びシアンのうちのいずれかを発色させるモノカラー画像形成のための発色情報付与工程であってもよい。この場合は、発色情報付与露光ヘッド34からは、前記イエロー、マゼンタ及びシアンのうちの所望の発色に対応する特定波長の光のみを照射する。その他の好ましい条件等については、フルカラー画像形成時における条件等と同様である。
<転写工程>
発色情報を与えられたトナーは、その後一括して記録媒体26に転写される。転写には公知の転写装置18が使用できる。例えば、接触方式である場合は、ロール、ブラシ、ブレード等が使用でき、非接触方式の場合は、コロトロン、スコロトロン、ピンコロトロン等が使用できる。また、圧力、若しくは圧力及び熱による転写も可能である。
転写バイアスは300V以上1000V以下(絶対値)の範囲とすることが好ましく、さらに交流(Vpp:400V以上4kV以下、400Hz以上3kHz以下)を重畳してもよい。
<定着工程及び発色工程>
こうして発色(あるいは非発色状態維持)可能な状態におかれた前記トナー像は、記録媒体26が定着装置22によって加熱されることで前述のように発色がなされる(定着工程、発色工程)。具体的には、定着装置22は前記発色情報が付与されたトナーを熱溶融し、記録媒体26にトナー粒子を定着する従来の電子写真方式のトナーを定着する機能の他に、該トナーに熱を加えてトナー中で発色のための反応を進行させ、トナーを発色させる機能を有する。
定着装置22としては公知の定着手段が使用できる。例えば、加熱部材及び加圧部材としてロール、ベルトのそれぞれが選択可能であり、またオーブン定着器のような非接触の定着装置の適用可能である。熱源としては、ハロゲンランプ、IH等が使用可能である。その配置も、種々の紙パス、例えばストレートパス、リアCパス、フロントCパス、Sパス、サイドCパス等に対応可能である。
なお、上記のように、図1に示す画像形成装置では、定着装置22が発色手段と定着手段とを兼ねているが、発色手段は定着手段と別に設けられていてもよい。この場合、発色工程を実施するための発色装置を配置する位置は特に制限されない。
発色の方法についてはトナー粒子の発色メカニズムに応じて様々の方法が考えられため、発色装置(発色手段)としては、例えばさらに異なる波長の光を用いてトナー中に発色関与物質を硬化させ、あるいは光分解させるなどの方法で発色をさせ、または制限する方法では特定光の発光装置、加圧してカプセル化した発色粒子を破壊するなどの方法で発色をさせ、または制限する方法では加圧装置、などを用いることができる。
しかしながら、発色をさせるこうした化学的な反応は、一般的に泳動、拡散による反応速度が遅いため、上記いずれの方法をとるにしても充分な拡散エネルギーを与える必要があり、そういった点で加熱して反応を促す方法が最も優れているといえる。このため、前記発色手段と定着手段とを兼ねる定着装置22を用いることが好ましい。
<その他の工程>
本実施形態では、定着、発色工程を経て得られた画像に光を照射する光照射工程を含むことが好ましい。これにより発色不可能な状態に制御された発色部中に残存する反応性物質を分解又は失活させることができるため、画像形成後のカラーバランスの変動をより確実に抑制したり、バックグランド色の除去・漂白を行ったりすることができる。
なお、本実施形態においては、上記光照射工程は定着工程の後に設けられているが、加熱溶融しない定着方法、例えば圧力を用いて定着させる圧力定着などの場合は、光照射工程後、定着工程を行うこともできる。
光照射装置24としては、トナーの発色をこれ以上進めないようにし、また発色情報付与光が照射されていないトナーを消色させることができれば特に制限されず、公知のランプ、例えば、蛍光灯、LED、EL等が使用できる。また、その波長は前記トナーを発色させるための光の三波長を含み、照度は2000lux以上200000lux以下の範囲程度とすることが好ましく、露光時間は0.5sec以上60sec以下の範囲とすることが好ましい。
これらに加えて、上述の画像形成方法では、従来の顔料等の着色剤を用いて実施される電子写真プロセスに利用される公知の工程が含まれていてもよく、例えば、トナー像を転写後の像保持体表面をクリーニングするクリーニング工程が含まれていてもよい。クリーナ20としては公知のものが使用でき、ブレード、ブラシ等が使用可能である。また、クリーナ20を除去したいわゆるクリーナレスプロセスも適用可能である。
また、この他にも、転写工程が、トナー像を像保持体から中間転写ベルト等の中間転写体へ転写する第1の転写工程と、中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体に転写する第2の転写工程とからなる中間転写方式であってもよい。
<使用するトナー>
次に、本実施形態に使用するトナーについて説明する。
本実施形態に使用するトナーは、前述のように、光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持することができるように制御されるトナーであり、「光による発色情報の付与」「発色または非発色の状態を維持する」についても前記の通りである。
上記のような機能を有するトナーとしては、種々のタイプがあるが、例えば前記特許文献2に開示されているトナーは、外部刺激を受けて物質透過性が変化するカプセル壁を有する複数のマイクロカプセルをトナー樹脂中に分散混合して成る粒子であり、この粒子中に互いに混合されて発色反応を起こす2種類の反応性物質のうちの一方(各色染料前駆体)が、マイクロカプセル内に、他方(顕色剤)がマイクロカプセル外のトナー樹脂中に含まれるものである。
このトナーでは、カプセル壁として特定波長の光を照射した際に物質透過性が増大する光異性化物質を用い、このシス−トランス遷移を利用して光の照射や超音波を印加した際に、カプセル内外に存在する2種類の反応性物質が反応して発色する。
したがってこの構成のトナーの場合、前記シス−トランス遷移は可逆反応であるため、光刺激によりトランス状態からシス状態への遷移が起こり、顕色剤がカプセル壁をわずかに透過したとしても、プリントプロセス中にトランス状態に戻った場合には加熱による発色時に十分な発色反応(濃度)が得られない場合がある。
本実施形態においては、前記のように感光体表面に特定の表面層を設けたこと等により、結果的には感光体の感度が低下することが多いため、その感度で十分な潜像形成を行うためにプロセススピードを遅くせざるを得ない場合がある。そして、前記特許文献2に開示されているトナーを用いた場合の可逆反応に伴う発色性低下の傾向は、特にこのプロセススピードが遅くなったときに顕著となる。
このため、本実施形態では、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれかを含む光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化または未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナー(以下、「Fトナー」という場合がある)を用いることが好ましい。
後述するように、上記Fトナーにおいては、トナーに対する発色情報付与メカニズムは可逆反応ではないので、加熱による発色までに時間的制約がないというメリットを有する結果、低速域までのプリントも可能、すなわち、広いスピードレンジに対応可能となり、加えて、加熱による発色が行なわれる定着器等の配置場所についても自由度が高いというメリットを有している。
上記Fトナーの発色メカニズムと簡単な構成について、以下に説明する。
前記Fトナーは、後述するように、バインダー樹脂中に発色部と呼ばれる光による発色情報が付与された際に、特定のひとつの色に発色可能な(または非発色状態を維持することが可能な)連続した領域を1つ以上有する。
図4は、Fトナー中の前記発色部の一例を示す模式図であり、(A)は1つの発色部の断面図であり、(B)はさらにその発色部を拡大したものである。
図4(A)に示すように、発色部60中には、各色の発色剤を含有する発色性マイクロカプセル50とそれを取り巻く組成物58とから構成され、図4(B)に示すように、組成物58は、マイクロカプセル50に含有される発色剤(第1成分)52と近接または接触することで発色させる重合性官能基を有した顕色剤モノマー(第2成分)54と光重合開始剤56とを含んでいる。
トナー粒子を構成する発色部60において、発色性マイクロカプセル50に封入する発色剤52としては、発色色相の鮮やかさに優れたトリアリール系ロイコ化合物などが好適である。このロイコ化合物(電子供与性)を発色させる顕色剤モノマー54としては電子受容性化合物が好ましい。特にフェノール系化合物が一般的であり、感熱、感圧紙などに利用されている顕色剤から適宜選択できる。このような電子供与性の発色剤52と電子受容性の顕色剤モノマー54とが酸塩基反応することで発色剤が発色することになる。
光重合開始剤56としては、可視光により感光し顕色剤モノマー54を重合させるためのトリガーとなる重合性ラジカルを発生する分光増感色素が用いられる。例えば、R色、G色、B色の如き三原色露光に対して、顕色性モノマー54が十分な重合反応を進行させることができるように光重合開始剤56の反応促進剤が用いられる。例えば、露光光を吸収する分光増感色素(カチオン)とホウ素化合物(アニオン)からなるイオンコンプレックスを用いることにより、露光により分光増感色素が光励起されホウ素化合物に電子移動することで重合性ラジカルが生成し重合を開始する。
これらの材料を組み合わせることにより、感光性の発色部60として、0.1乃至0.2mJ/cm程度の発色記録感度を得ることができる。
上記構成の発色部60に対する発色情報のための光照射の有無により、発色部60によっては重合された顕色剤化合物と重合されなかった顕色剤モノマー54とを有するものが存在することになる。その後の加熱などの発色装置によって、重合されなかった顕色剤モノマー54を有する発色部60では、この顕色剤モノマー54が熱などによって泳動し、発色剤マイクロカプセル50の隔壁の空孔を泳動通過して発色剤マイクロカプセル中に拡散する。マイクロカプセル50中に拡散された顕色剤モノマー54と発色剤52とは、前述のように発色剤52が塩基性であり、顕色剤モノマー54が酸性であることにより発色剤52を酸塩基反応によって発色させることになる。
一方、重合反応を生じた顕色剤化合物は、この後の加熱などによる発色工程では重合による嵩高さによりマイクロカプセル50の隔壁の空孔を拡散通過できず、発色性マイクロカプセル中の発色剤52と反応ができないため発色することができない。したがって、発色性マイクロカプセル50は無色のままで残ることとなる。すなわち、特定波長光を照射された発色部60は発色されずに存在することになる。
発色後、適当な段階で再度全面を白色光源で露光することにより、残留している重合未了の顕色性モノマー54を全て重合させて安定した画像定着がなされるとともに、残留分光増感色素を分解することで地色の消色が行われる。なお、可視光域に対応する光重合開始剤56の分光増感色素はその色調が最後まで地色として残留してしまうが、この分光増感色素の消色には色/ホウ素化合物の光消色現象を利用することができる。すなわち、光励起された分光増感色素からホウ素化合物に電子移動することで重合性ラジカルが生成するが、このラジカルはモノマーの重合を引き起こす一方で、励起された色素ラジカルと反応して色素の色分解を起し、結果的に色素を消色させることができる。
前記Fトナーでは、このような異なる発色を行なう発色部60(例えば、Y色、M色、C色に発色する)を、それぞれの顕色剤モノマー54が目的とする発色剤52以外の発色剤と干渉し合わない状態(互いに隔離された状態)にして一つのマイクロカプセルとして構成し用いることができる。そしてこのFトナーでは、電子供与性発色剤を含むマイクロカプセル以外の空間を電子受容性顕色剤及び光硬化性組成物が埋め、かつこれにより構成される発色部が受光するため、一粒のトナー粒子における受光効率のよさは、前記特許文献2に開示されたトナーに比べ圧倒的に高い。したがって、他のトナーと比較して、背面露光の効果を十分に活用できるものである。
さらに、前記のように発色情報付与メカニズムが可逆反応ではないことより、加熱による発色までに時間的制約がないというメリットを有する結果、低速域までのプリントも可能、すなわち、広いスピードレンジに対応可能となり、加えて、加熱による発色が行なわれる定着器等の配置場所についても自由度が高いというメリットも有している。
Fトナーの構成について、さらに詳述する。
Fトナーは、発色可能な物質(発色性物質)として、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分と第2成分とを含む。このように、2種類の反応性成分の反応を利用して発色させることにより、発色の制御が容易になる。なお、前記第1成分、第2成分は、発色する前の状態において予め着色していてもよいが、実質的に無色の物質であることが特に好ましい。
前記発色制御を容易とするために、発色性物質として互いに反応した際に発色する2種類の反応性成分を用いるが、これらの反応性成分が、光による発色情報が付与されない状態でも物質拡散が容易な同一のマトリックス内に存在すると、トナーの保管時や製造時において、自発的な発色が進行してしまう場合がある。
このため、前記反応性成分は、その種類毎に、発色情報が付与されない限り互いの領域への物質拡散が困難な異なるマトリックス内に含まれていること(互いに隔離されていること)が必要である。
このように光による発色情報が付与されない状態での物質拡散を阻害して、トナーの保管時や製造時における自発的な発色を防止するためには、2種類の反応性成分の第1成分が第1のマトリックスに含まれ、第2成分が第1のマトリックス外(第2のマトリックス)に含まれ、第1のマトリックスと第2のマトリックスとの間には、両マトリックス間の物質の拡散が阻害されると共に、熱等の外部刺激が付与された際には、刺激の種類、強度や、組み合わせに応じて両マトリックス間の物質の拡散を可能とするような機能を持つ隔壁が設けられることが好ましい。
なお、このような隔壁を利用して2種類の反応性成分をトナー中に配置するには、マイクロカプセルを利用することが好適である。
この場合、Fトナーには、2種類の反応性成分のうち、例えば第1成分がマイクロカプセル内に含まれ、第2成分がマイクロカプセル外に含まれることが好ましい。またこの場合、マイクロカプセル内部が前記第1のマトリックス、マイクロカプセル外が前記第2のマトリックスに相当する。
このマイクロカプセルは、芯部と、該芯部を被覆する外殻とを有するものであり、熱等の外部刺激が付与されない限りマイクロカプセル内外の物質の拡散を阻害すると共に、外部刺激が付与された際には、刺激の種類、強度や、組み合わせに応じてマイクロカプセル内外の物質の拡散を可能とする機能を有するものであれば特に限定されない。なお芯部には、前記反応性成分の一方が少なくとも含まれる。
また、マイクロカプセルは、光の照射や圧力などの刺激の付与によってマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とするものでもよいが、加熱処理によりマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とする(外殻の物質透過性が増大する)熱応答性マイクロカプセルであることが特に好ましい。
なお、刺激が付与された際のマイクロカプセル内外の物質拡散は、画像形成時の発色濃度の低下を抑制したり、高温環境下に放置された画像のカラーバランスの変化を抑制する観点からは、不可逆的なものであることが好ましい。それゆえ、マイクロカプセルを構成する外殻は、加熱処理や光照射等の刺激の付与による軟化、分解、溶解(周囲の部材への相溶)、変形等により、物質透過性が不可逆的に増大する機能を有することが好ましい。
次に、前記Fトナーが上記マイクロカプセルを含む場合の好ましい構成について説明する。
このようなトナーとしては、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、マイクロカプセルと、第2成分を分散させた光硬化性組成物とを含むものであることが好ましく、このようなトナーとしては、以下の3つの態様が挙げられる。
すなわち、前記Fトナーは、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含み、第1成分がマイクロカプセルに含まれ、第2成分が光硬化性組成物中に含まれる態様(第1の態様)、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、光硬化性組成物を含むマイクロカプセルとを含み、第1成分がマイクロカプセル外に含まれ、第2成分が光硬化性組成物内に含まれる態様(第2の態様)、あるいは、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、第1成分を含む一のマイクロカプセルと、第2成分を分散させた光硬化性組成物を含む他のマイクロカプセルとを含む態様(第3の態様)のいずれかであることが好ましい。
これら3つの態様の中では、特に第1の態様が、光による発色情報付与前の安定性、発色の制御等の観点から好ましい。なお、以下のトナーの説明においては、基本的に第1の態様のトナーを前提としてより詳細に説明するが、以下に説明する第1の態様のトナーの構成、材料、製法等は、第2の態様や第3の態様のトナーにおいても、勿論、利用/転用可能である。
なお、上述した熱応答性マイクロカプセルと光硬化性組成物とを組み合わせて用いたFトナーは、以下の2つのタイプのいずれかであることが特に好ましい。
(1)光硬化性組成物が未硬化の状態で加熱処理しても、未硬化の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が抑制され、発色情報付与光の照射によって光硬化性組成物が硬化した後に加熱処理すると、硬化後の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が促進されるタイプのトナー(以下、「光発色型トナー」と称す場合がある)。
(2)光硬化性組成物が未硬化の状態(第2成分が重合していない状態)で加熱処理すると、未硬化の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が促進され、発色情報付与光の照射によって光硬化性組成物が硬化した後(第2成分が重合した後)に加熱処理すると、硬化後の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が抑制されるタイプのトナー(以下、「光非発色型トナー」と称す場合がある)。
前記光発色型トナーと光非発色型トナーとの主たる違いは、光硬化性組成物を構成する材料にあり、光発色型トナーでは、光硬化性組成物中に(光重合性を有さない)第2成分と光重合性化合物とが少なくとも含まれるのに対して、光非発色型トナーは、光硬化性組成物中に、分子中に光重合性基を有する第2成分が少なくとも含まれる。
なお、光発色型トナーおよび光非発色型トナーに用いられる光硬化性組成物中には、光重合開始剤が含まれていることが特に好ましく、必要に応じてその他種々の材料が含まれていてもよい。
上記光発色型トナーに用いられる光重合性化合物および第2成分としては、光硬化組成物が未硬化の状態で両者の間に相互作用が働き、光硬化性組成物中での第2成分の物質拡散が抑制され、発色情報付与光の照射による光硬化性組成物の硬化(光重合性化合物の重合)後の状態で両者の間の相互作用が減少して、光硬化性組成物中での第2成分の拡散が容易となる材料が用いられる。
従って、光発色型トナーにおいては、加熱処理(発色工程)前に予め光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射しておくことによって、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が容易な状態となる。このため、加熱処理された際に、マイクロカプセルの外殻の溶解等によって、マイクロカプセル内の第1成分と光硬化性組成物中の第2成分との反応(発色反応)が起こる。
逆に、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射せずに、そのまま加熱処理しても第2成分は光重合性化合物にトラップされ、マイクロカプセル中の第1成分と接触することができず、第1成分と第2成分との反応(発色反応)が起こらない。
以上説明したように、光発色型トナーでは、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光の照射の有無と、加熱処理とを組み合わせて付与することによって、第1成分と第2成分との反応(発色反応)を制御できるため、トナーの発色を制御できる。
また、光非発色型トナーにおいては、第2成分自体が光重合性を有するため、発色情報付与光を照射したとしても、この光の波長が光硬化性組成物を硬化させる波長でなければ、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が容易な状態を保てるため、この状態で加熱処理するとマイクロカプセルの外殻の溶解等によって、マイクロカプセル内の第1成分と光硬化性組成物中の第2成分との反応(発色反応)が起こる。
逆に、加熱処理前に光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光が照射されると、光硬化性組成物中に含まれる第2成分同士が重合してしまうため、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が困難となる。それゆえ、加熱処理しても第2成分は、マイクロカプセル中の第1成分と接触することができず、第1成分と第2成分との反応(発色反応)が起こらない。
以上説明したように、光非発色型トナーでは、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光の照射の有無と、加熱処理とを組み合わせて付与することによって、第1成分と第2成分との反応(発色反応)を制御できるため、トナーの発色を制御できる。
次に、前記Fトナーの好適な構造について、トナーが、前記光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む場合についてより詳細に説明する。
この場合、トナーは光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を1つのみ有するものであってもよいが、2つ以上有することが好ましい。ここで、上記「発色部」とは、前述のように外部刺激が付与された際に、特定のひとつの色に発色可能な連続した領域を意味する。
なお、トナーに2以上の発色部が含まれる場合、同じ色に発色可能な1種類の発色部のみがトナー中に含まれていてもよいが、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部がトナー中に含まれることが特に好ましい。その理由は、ひとつのトナー粒子の発色可能な色が、前者の場合は1種類のみに限定されるが、後者の場合は2種類以上とすることができるからである。
例えば、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部としては、イエロー色に発色可能なイエロー発色部と、マゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色部と、シアン色に発色可能なシアン発色部とを含むような組み合わせが挙げられる。
この場合、例えば、外部刺激の付与によりいずれか1種類の発色部のみが発色した場合には、トナーは、イエロー、マゼンタ、あるいは、シアンのいずれかの色に発色することができ、いずれか2種類の発色部が発色した場合には、これら2種類の発色部の発色した色を組み合わせた色に発色することができ、ひとつのトナー粒子で、多様な色を表現することが可能となる。
なお、トナー中に互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部が含まれる場合の発色する色の制御は、各々の種類の発色部に含まれる第1成分および第2成分の種類や組み合わせを異なるものとすることの他に、各々の種類の発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に用いる光の波長を異なるものとすることにより実現できる。
すなわち、この場合、発色部の種類毎に発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に必要な光の波長が異なるため、制御刺激として、発色部の種類に応じた波長の異なる複数種の発色情報付与光を用いればよい。なお、発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に必要な光の波長を異なるものとするには、発色部の種類毎に異なる波長の光に感応する光重合開始剤を光硬化性組成物中に含有させることが好適である。
例えば、イエロー、マゼンタ、および、シアンに発色可能な3種類の発色部がトナー中に含まれる場合、各々の種類の発色部に含まれる光硬化性組成物として、光の波長が405nm、532nmおよび657nmのいずれかに応答して硬化する材料を用いれば、これら3つの異なる波長の発色情報付与光(特定波長を有する光)を使い分けることによって、トナーを所望の色に発色させることができる。
なお、発色情報付与光の波長としては、可視域の波長から選択することもできるが、紫外域の波長から選択してもよい。
本実施形態に用いるトナーは、従来の顔料等の着色剤を用いたトナーに用いられるのと同様な結着樹脂を主成分とする母材を含むものであってもよい。この場合、母材中に、前記2以上の発色部の各々が粒子状のカプセルとして分散していることが好ましい(以下、カプセル状のひとつの発色部を「感光・感熱カプセル」と称する場合がある)。また、母材中には、従来の顔料等の着色剤を用いたトナーと同様に離型剤や、種々の添加剤が含まれていてもよい。
感光・感熱カプセルは、マイクロカプセルや光硬化性組成物を含む芯部と、該芯部を被覆する外殻とを有し、この外殻は、後述するトナーの製造過程や、トナーの保管時において、感光・感熱カプセル内のマイクロカプセルや光硬化性組成物を感光・感熱カプセル外に漏れないように安定して保持できるものであれば特に限定されない。
しかしながら、本実施形態においては、後述するトナーの製造過程において、第2成分が外殻を透過して感光・感熱カプセル外のマトリックスへ流出したり、他の色に発色可能な感光・感熱カプセル中の第2成分が外殻を透過して流入したりするのを防ぐために、非水溶性樹脂からなる結着樹脂や離型材等の非水溶性材料を主成分として含むものであることが好ましい。
次に、前記Fトナーに用いられるトナー構成材料や、各トナー構成材料を調製する際に用いる材料・方法等について以下により詳細に説明する。
この場合、トナーには、第1成分、第2成分、第1成分を含むマイクロカプセル、第2成分を含む光硬化性組成物が少なくとも用いられ、光硬化性組成物中には光重合開始剤が含まれることが特に好ましく、種々の助剤等が含まれていてもよい。また、マイクロカプセル内(芯部)には第1成分が固体状態で存在していてもよいが、溶媒と共に存在していてもよい。
なお、前記光非発色型トナーにおいては、第1成分として電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物等が用いられ、第2成分として光重合性基を有する電子受容性化合物又は光重合性基を有するカプラー化合物等が用いられる。また、前記光発色型トナーにおいては、第1成分としては、電子供与性無色染料が用いられ、第2成分としては電子受容性化合物(「電子受容性顕色剤」あるいは「顕色剤」と称す場合がある)が用いられ、光重合性化合物としてはエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物が用いられる。
以上に列挙した材料に加えて、更に、従来の着色剤を用いたトナーを構成する材料と同様の各種材料;結着樹脂、離型剤、内添剤、外添剤等を必要に応じて適宜利用することができる。以下、各材料等についてより詳細に説明する。
−第1成分および第2成分−
第1成分および第2成分の組合せとしては、下記(ア)〜(ツ)の組合せを好適に挙げることができる(下記例において、それぞれ前者が第1成分、後者が第2成分を表す。)。
(ア)電子供与性無色染料と電子受容性化合物との組合せ。
(イ)ジアゾニウム塩化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組合せ。
(ウ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(エ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(オ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
(カ)銀、鉛、水銀、ナトリウム等の硫酸塩等の重金属硫酸塩と、ナトリウムテトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。
(キ)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ク)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ケ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(コ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
(サ)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪族重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(シ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成するもの。
(ス)ホルマザン化合物と還元剤および/又は金属塩との組合せ。
(セ)保護された色素(又はロイコ色素)プレカーサーと脱保護剤との組合せ。
(ソ)酸化型発色剤と酸化剤との組合せ。
(タ)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組合せ。(フタロシアニンが生成する組合せ。)
(チ)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組合せ(着色顔料が生成する組合せ)。
(ツ)顔料プレカーサーと酸または塩基との組合せ(顔料が形成する組合せ)。
上記に列挙した第1成分としては、実質的に無色の電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物が好ましい。
前記電子供与性無色染料としては、従来より公知のものを使用することができ、前記第2成分と反応して発色するものであれば全て使用することができる。具体的には、フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物等の各種化合物を挙げることができる。
前記第2成分としては、前記光非発色型トナーの場合は同一分子内に光重合性基および第1成分と反応して発色する部位とを有する実質的に無色化合物であり、光重合性基を有する電子受容性化合物又は光重合性基を有するカプラー化合物等の第1成分と反応して発色し、かつ光に反応して重合し、硬化するという両機能を有するものであれば全て使用することができる。
前記光重合性基を有する電子受容性化合物、即ち、同一分子中に電子受容性基と光重合性基とを有する化合物としては、光重合性基を有し、かつ第1成分の一つである電子供与性無色染料と反応して発色し、かつ光重合して硬化しうるものであれば全て使用することができる。
また、光発色型トナーの場合の第2成分である電子受容性顕色剤としては、フェノール誘導体、含硫フェノール誘導体、有機のカルボン酸誘導体(例えば、サリチル酸、ステアリン酸、レゾルシン酸等)、及びそれらの金属塩等、スルホン酸誘導体、尿素もしくはチオ尿素誘導体等、酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等が挙げられる。
さらに、光発色型トナーには、光重合性化合物としてエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物が用いられ、これはアクリル酸及びその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類などの分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物である。
次に、前記光重合開始剤について説明する。前記光重合開始剤は、発色情報付与光を照射することによりラジカルを発生して光硬化性組成物内で重合反応を起こし、かつその反応を促進させることができる。この重合反応により光硬化性組成物が硬化する。
前記光重合開始剤は、公知のものの中から適宜選択することができ、中でも、300nm以上1000nm以下に最大吸収波長を有する分光増感化合物と、該分光増感化合物と相互作用する化合物と、を含有するものであることが好ましい。
但し、前記分光増感化合物と相互作用する化合物が、その構造内に300nm以上1000nm以下に最大吸収波長を有する色素部とボレート部との両構造を併せ持つ化合物であれば、前記分光増感色素を用いなくてもよい。
前記分光増感化合物と相互作用する化合物としては、前記第2成分中の光重合性基と光重合反応を開始しうる公知の化合物の中から、1種又は2種以上の化合物を適宜選択して使用することができる。
この化合物を前記の分光増感化合物と共存させることにより、その分光吸収波長領域の照射光に敏感に感応し、高効率にラジカルを発生させうることから、高感度化が図れ、かつ紫外〜赤外領域にある任意の光源を用いてラジカルの発生を制御することができる。
前記「分光増感化合物と相互作用する化合物」としては、有機系ボレート塩化合物、ベンゾインエーテル類、トリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体、有機過酸化物又はアジニウム塩化合物が好ましく、有機系ボレート塩化合物がより好ましい。この「分光増感化合物と相互作用する化合物」を前記分光増感化合物と併用して用いることにより、露光した露光部分に局所的に、かつ効果的にラジカルを発生させることができ、高感度化を達成することができる。
また、光硬化性組成物には重合反応を促進する目的で、さらに助剤として、酸素除去剤(oxygen scavenger)又は活性水素ドナーの連鎖移動剤等の還元剤や連鎖移動的に重合を促進するその他の化合物を添加することもできる。
前記酸素除去剤としては、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト、第1銀塩又は酸素により容易に酸化されるその他の化合物が挙げられる。具体的には、N−フエニルグリシン、トリメチルパルビツール酸、N,N−ジメチル−2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン酸が挙げられる。さらに、チオール類、チオケトン類、トリハロメチル化合物、ロフィンダイマー化合物、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類、アジニウム塩類、有機過酸化物、アジド類等も重合促進剤として有用である。
Fトナーでは、電子供与性無色染料やジアゾニウム塩化合物のような第1成分をマイクロカプセルに内包して使用する。
マイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、米国特許第2800457号、同28000458号に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号、英国特許第990443号、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報、同42−771号公報等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号、同3660304号に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同4087376号、同4089802号に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号公報、特開昭51−9079号に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号、同965074号に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号、英国特許第930422号に記載のスプレードライング法、特公平7−73069号公報、特開平4−101885号公報、特開平9−263057号公報に記載の方法等が挙げられる。
使用しうるマイクロカプセル壁の材料は、油滴内部及び油滴外部の少なくとも一方に添加される。前記マイクロカプセル壁の材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアがより好ましい。前記高分子物質は、2種以上併用して用いることもできる。
マイクロカプセルの体積平均粒径は0.1μm以上3μm以下の範囲内となるように調整することが好ましく、0.3μm以上1.0μm以下の範囲内となるように調整することが更に好ましい。
前記感光・感熱カプセルにはバインダーが含まれていてもよく、これは、1つの発色部を有するトナーにおいても同様である。
バインダーとしては、前記光硬化性組成物の乳化分散に用いるバインダーと同様のもの、第1の反応性物質をカプセル化する際に用いる水溶性高分子のほか、ポリスチレン、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリメチルアクリレート,ポリブチルアクリレート,ポリメチルメタクリレート,ポリブチルメタクリレートやそれらの共重合体等のアクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エチルセルロース、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の溶剤可溶性高分子、或いは、これらの高分子ラテックスを用いることもできる。中でも、ゼラチン及びポリビニルアルコールが好ましい。また、バインダーとして後述する結着樹脂を用いてもよい。
また、Fトナーには、従来のトナーに用いられている結着樹脂を用いることができる。結着樹脂は、例えば、母材中に感光・感熱カプセルが分散した構造を有するトナーでは、母材を構成する主成分や感光・感熱カプセルの外殻を構成する材料として利用することができるがこれに限定されるものではない。
結着樹脂としては特に限定されず、公知の結晶性や非晶性の樹脂材料を用いることができる。特に低温定着性を付与するには、シャープメルト性がある結晶性ポリエステル樹脂が有用である。また、無定形高分子(非晶質樹脂)としては、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂など公知の樹脂材料を用いることができるが、非結晶性ポリエステル樹脂が特に好ましい。
その他、Fトナーは、上記に列挙した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、離型剤、無機微粒子、有機微粒子、帯電制御剤等の従来のトナーに用いられている公知の各種添加剤等が挙げられる
次に、Fトナーの製造方法について簡単に説明する。
Fトナーは、凝集合一法等の公知の湿式製法を利用して作製されることが好ましい。特に、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含み、前記第1成分が前記マイクロカプセルに含まれ、前記第2成分が前記光硬化性組成物中に含まれる構造を有するトナーの作製に湿式製法は好適である。
なお、上記構造を有するトナーに用いられるマイクロカプセルは熱応答性マイクロカプセルであることが特に好ましいが、光等、その他の刺激に応答するマイクロカプセルであってもよい。
トナーの製造には、公知の湿式製法が利用できるが、湿式製法の中でも最高プロセス温度を低く抑えることができると共に、様々な構造を有するトナーの作製が容易であることから凝集合一法を利用することが特に好ましい。
また、従来の顔料や結着樹脂を主成分とするトナーと比べると、上記構造を有するトナーは、低分子成分を主成分として含む光硬化性組成物が多く含まれるため、トナーの造粒過程で得られる粒子の強度は不十分となりやすいが、凝集合一法では、高いせん断力を必要としないため、この点でも凝集合一法を利用することは好適である。
一般的に、凝集合一法は、トナーを構成する各種材料の分散液を調製した後、2種類以上の分散液を混合した原料分散液中で凝集粒子を形成する凝集工程と、原料分散液に形成された凝集粒子を融合する融合工程とを含むものであり、必要に応じて凝集工程と融合工程との間に、凝集粒子の表面に被覆層を形成する成分を付着させて被覆層を形成する付着工程(被覆層形成工程)とが実施されるものである。
Fトナーの製造においても、原料として使用する各種分散液の種類や組み合わせは異なるものの、凝集工程、融合工程の他に、必要に応じて付着工程を適宜組み合わせることによりトナーを作製することができる。
例えば、樹脂中に感光・感熱カプセル分散構造を有するトナーの場合には、まず、(a1)第1成分を含むマイクロカプセルを分散させたマイクロカプセル分散液と、第2成分を含む光硬化性組成物を分散させた光硬化性組成物分散液とを含む原料分散液中にて第1の凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、(b1)前記第1の凝集粒子が形成された原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、前記凝集粒子表面に前記樹脂粒子を付着させる付着工程と、(c1)前記樹脂粒子をその表面に付着させた凝集粒子を含む原料分散液を加熱して融合させ、第1の融合粒子(感光・感熱カプセル)を得る第1の融合工程とを経ることにより、互いに異なる色に発色可能な1種類以上の感光・感熱カプセル分散液を調製する。
続いて、(d1)前記1種類以上の感光・感熱カプセル分散液と、樹脂粒子を分散させた第2の樹脂粒子分散液とを混合した混合溶液中にて、第2の凝集粒子を形成する第2の凝集工程と、(e1)前記第2の凝集粒子を含む混合溶液を加熱して、第2の融合粒子を得る第2の融合工程とを経ることにより、感光・感熱カプセル分散構造を有するトナーを得ることができる。
なお、第2の凝集工程で用いる感光・感熱カプセル分散液の種類は2種類以上が好ましい。また、(a1)〜(c1)工程を経て得られた感光・感熱カプセルをそのままトナー(すなわち1つの発色部のみを含むトナー)として利用してもよい。
また、1つの発色部のみを含むトナーを作製する場合、上述した付着工程の代わりに、前記第1の凝集粒子が形成された原料分散液に、離型剤を分散させた離型剤分散液を添加して、凝集粒子表面に離型剤を付着させる第1の付着工程と、第1の付着工程を経た後の原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、この離型剤を表面に付着させた凝集粒子表面に樹脂粒子を付着させる第2の付着工程とを実施してもよい。
本実施形態に用いるFトナーの体積平均粒径は、特に限定されず、トナーの構造や、トナー中に含まれる発色部の種類・数に応じて適宜調整される。
しかしながら、トナー中に含まれる互いに異なる色に発色可能な発色部の種類が2乃至4種類前後(例えば、トナーがイエロー、シアン、マゼンタの各々に発色可能な3種類の発色部を含むような場合)であれば、各々のトナー構造に応じた体積平均粒径は以下の範囲内であることが好ましい。
すなわち、例えばトナーの構造が樹脂中に感光・感熱カプセル(発色部)分散構造の場合には、トナーの体積平均粒径は5μm以上40μm以下の範囲内が好ましく、10μm以上20μm以下の範囲内がより好ましい。また、このような粒径を有する感光・感熱カプセル分散構造型のトナー中に含まれる感光・感熱カプセルの体積平均粒径は1μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましく、1μm以上3μm以下の範囲内であることが好ましい。
トナーの体積平均粒径が5μm未満では、トナー中に含まれる発色成分量が少なくなるため色再現性が悪化したり、画像濃度が低下してしまう場合がある。また、体積平均粒径が40μmを超えると、画像表面の凹凸が大きくなり、画像表面の光沢ムラが発生してしまう場合がある。
なお、その内部に複数の感光・感熱カプセルを分散させた感光・感熱カプセル分散構造型のトナーは、従来の着色剤を用いた小径トナー(体積平均粒径5〜10μm程度)と比べると粒径が大きくなる傾向にあるものの、画像の解像度は、トナーの粒径ではなく感光・感熱カプセルの粒径により決定されるため、より高精細な画像を得ることができる。加えて、粉体流動性にも優れるため、外添剤の量が少なくても十分な流動性が確保できると共に、現像性やクリーニング性も向上させることができる。
一方、1つの発色部のみを有するトナーの場合には、上述した場合と比べると小径化がより容易であり、その体積平均粒径は3μm以上8μm以下の範囲内が好ましく、4μm以上7μm以下の範囲内が好ましい。体積平均粒径が3μm未満であると粒径が小さすぎるために粉体流動性が十分に得られなくなったり、十分な耐久性が得られない場合がある。また、体積平均粒径が8μmを超えると、高精細な画像が得られなくなる場合がある。
本実施形態には、以上説明したFトナーをはじめ、光照射により(あるいは光が照射されないことにより)発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーであれば、用いる構成材料、トナーの構造、発色機構等によらず用いることができる。
本実施形態に用いることができるトナーでは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下であり、且つ、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が、0.95以上であることが好ましい。
更に好ましくは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.25以下であり、且つ、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が、0.97以上であることが更に好ましい。
体積分布指標GSDvが1.30を超えると、画像の解像性が低下する場合があり、また、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpの比(GSDv/GSDp)が0.95未満であると、トナーの帯電性低下やトナーの飛散、カブリ等が発生し画像欠陥を招く場合がある。
なお、本実施形態において、トナーの体積平均粒径や、上記した体積平均粒度分布指標GSDv、及び数平均粒度分布指標GSDpの値は、次のようにして測定し算出した。
まず、コールターカウンターTAII型、マルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積および数について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を、体積平均粒子径D16v、および、数平均粒子径D16pと定義し、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径D50v、および、数平均粒子径D50pと定義する。同様に、累積84%となる粒径を、体積平均粒子径D84v、および、数平均粒子径D84pと定義する。この際、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、(D84v/D16v)1/2として定義され、数平均粒度指標(GSDp)は、(D84p/D16p)1/2として定義されるこれらの関係式を用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)および数平均粒度指標(GSDp)を算出できる。
また、前記マイクロカプセルや感光・感熱カプセルの体積平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)を用いて測定することができる。
また、本実施形態におけるトナーは、下式(1)で表される形状係数SF1が、110以上130以下の範囲内であることが好ましい。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
〔但し、上記式(1)において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm)を表す。〕
形状係数SF1が上記範囲であれば、高転写効率(≧90%)となり、像保持体表面の未転写残留トナーに起因するクリーニング不良が発生しにくくなる。
形状係数SF1が130を超える場合には、トナーを現像剤として使用する場合に、現像器内でのキャリアとの衝突によりトナーが破壊される場合がある。この際、結果として微粉が増加したり、これによってトナー表面に露出した離型剤成分により像保持体表面等が汚染され帯電特性を損なうことがあるばかりでなく、微粉に起因するかぶりの発生等の問題を起こすことがある。
形状係数SF1はルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて以下のように測定した。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、個々のトナーについて、最大長の2乗、投影面積を算出し、上記式(1)により形状係数SF1を求めた。
<現像剤>
本実施形態に用いられるトナーは、そのまま一成分現像剤として用いてもよいが、本発明では、キャリアとトナーとからなる二成分現像剤におけるトナーとして使用することが好ましい。
ここで、1種類の現像剤でカラー画像が形成できるという点からは、現像剤は、(1)前記光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を2種類以上有するトナーを1種類有し、且つ、前記トナー中に含まれる2種類以上の発色部が互いに異なる色に発色可能であるタイプの現像剤、あるいは、(2)前記光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を1つ有するトナーを2種類以上混合した状態で有し、且つ、前記2種類以上のトナーの発色部が互いに異なる色に発色可能であるタイプの現像剤であることが好ましい。
例えば、前者のタイプの現像剤では、トナー中に3種類の発色部が含まれ、且つ、3種類の発色部が、イエロー色に発色可能なイエロー発色部、マゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色部及びシアン色に発色可能なシアン発色部からなることが好ましく、後者のタイプの現像剤では、発色部がイエロー色に発色可能なイエロー発色性トナーと、発色部がマゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色性トナーと、発色部がシアン色に発色可能なシアン発色性トナーとが混合した状態で現像剤中に含まれることが好ましい。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、芯材表面に樹脂を被覆してなることが好ましい。キャリアの芯材としては、上記条件を満たしていれば特に規定されないが、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類等との合金、及びフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられるが、芯材表面性、芯材抵抗の観点から、好ましくはフェライト、特にマンガン、リチウム、ストロンチウム、マグネシウム等との合金が挙げられる。
また、 芯材表面を被覆する樹脂としては、マトリックス樹脂として使用できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上記二成分現像剤における、本実施形態におけるトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリアが1:100乃至30:100程度の範囲が好ましく、3:100乃至20:100程度の範囲がより好ましい。
以下、本発明を実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
<感光体の作製>
まず、下記実施例、比較例に用いた感光体について、製造法と共に説明する。
(感光体A)
−下引層−
酸化亜鉛(体積平均粒子径:70nm、テイカ社製)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603、信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤による表面処理酸化亜鉛顔料を得た。
・表面処理酸化亜鉛顔料:23質量部
・ブチラール樹脂 (BM−1、積水化学社製):9質量部
・ブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製):12質量部
・シリコーン樹脂粒子(トスパール120、東芝シリコーン社製):3質量部
・シリコーンオイル(SH29PA、東レダウコーニングシリコーン社製):0.01質量部
・n−ブタノール:80質量部
以上を混合して、サンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材を支持体とし、これに上記分散液を浸漬塗布法にて塗布し、150℃、30分の乾燥硬化を行い、膜厚20μmの塗膜(下引層)を形成した。
この下引層のビッカース硬度をビッカース硬度計ASAHI VL101を用いて50gの荷重を加え測定したところ、硬度は40であった。
−電荷発生層−
次に、電荷発生物質としてのCuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)で7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に少なくとも回折ピークを有する結晶型に代表されるヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、n−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、サンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を電荷発生層用の塗布液として、これを下引層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を形成した。
−電荷輸送層−
さらに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン 4質量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:4万)6質量部とをクロルベンゼン80質量部に加えて溶解した塗布液を作製し、これを電荷発生層上に浸漬塗布し、130℃で40分の乾燥を行うことにより、膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。これを感光体Aとした。
(感光体B)
下記化合物(I)2質量部及び化合物(II)2質量部とを、イソプロピルアルコール5質量部、テトラヒドロフラン3質量及び蒸留水3質量部に溶解させ、イオン交換樹脂0.5質量部を加え室温で24時間加水分解させてから、イオン交換樹脂をろ過分離後、アルミニウムトリスアセチルアセトナート0.1質量部、3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.4質量部を加えた。
これに、図5に示した吸収スペクトルを有するシリコン単結晶粒子(東芝セラミック製高抵抗Siウェハーをジェットミルで粉砕したもの、体積平均1次粒径:6.8μm)0.1質量部を加え、ボールミルにより分散を行い(分散後の体積平均1次粒径:8.6μm)塗布液を作製した。なお、化合物(I)において「i−Pr」はイソプロピル基、化合物(II)における「Me」はメチル基を各々表す。
Figure 2009075163
Figure 2009075163
この塗布液を、前記感光体Aの感光層上にスプレーコートにより塗布し、150℃で1時間の乾燥を行うことにより、膜厚が3μmの表面層を得た。これを感光体Bとした。
得られた感光体A、感光体Bの分光感度を図6に示す。また、上記塗布液を用いて作製した表面層単独の405nm、535nm、657nmにおける透過率は各々0%、15%、25%であり、780nmにおける透過率は80%であった。
<実施例1>
(トナー)
まず、以下のようにして、結着樹脂中に発光部(感光・感熱カプセル)が分散した前記光非発色型のFトナーを得た。
−マイクロカプセル分散液(1)の調製−
酢酸エチル16.9質量部に、イエローに発色可能な電子供与性無色染料(1)8.9部を溶解し、さらに、カプセル壁材(商品名:タケネートD−110N,武田薬品工業(株)製)20質量部とカプセル壁材(商品名:ミリオネートMR200,日本ポリウレタン工業(株)製)2質量部とを添加した。
得られた溶液を、8質量%フタル化ゼラチン42質量部と、水14質量部と、10質量%ドデシルベンゼンルスルホン酸ナトリウム溶液1.4質量部との混合液中に添加した後、温度20℃で乳化分散し、乳化液を得た。次いで、得られた乳化液に2.9%テトラエチレンペンタミン水溶液72質量部とを加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間経過後、電子供与性無色染料(1)を芯部に含む、体積平均粒径0.5μmのマイクロカプセル分散液(1)を得た。
なお、このマイクロカプセル分散液(1)に含まれるマイクロカプセルの外殻を構成する材料(上記とほぼ同様の条件でタケネートD−110NおよびミリオネートMR200を反応させて得られた材料)のガラス転移温度は100℃であった。
−マイクロカプセル分散液(2)の調製−
電子供与性無色染料(1)を電子供与性無色染料(2)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(2)を得た。この分散液中のマイクロカプセルの体積平均粒径は0.5μmであった。
−マイクロカプセル分散液(3)の調製−
電子供与性無色染料(1)を電子供与性無色染料(3)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(3)を得た。この分散液中のマイクロカプセルの体積平均粒径は0.5μmであった。
なお、マイクロカプセル分散液の調製に用いた電子供与性無色染料(1)〜(3)の化学構造式を以下に示す。
Figure 2009075163
−光硬化性組成物分散液(1)−
重合性基を有する電子受容性化合物(1)および(2)の混合物100.0質量部(混合比率50:50)と熱重合禁止剤(ALI)0.1質量部とを酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)125.0質量部中で42℃にて溶解し混合溶液Iとした。
この混合溶液I中に、ヘキサアリールビイミダゾール(1)〔2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’テトラフェニルー1,2’−ビイミダゾール〕18.0質量部と、ノニオン性有機色素0.5質量部と、有機ホウ素化合物6.0質量部とを添加し42℃にて溶解し、混合溶液IIとした。
上記混合溶液IIを、8質量%ゼラチン水溶液300.1質量部と、10質量%界面活性剤(1)水溶液17.4質量部との混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000回転で5分間乳化し、その後、40℃で3時間脱溶媒処理を行った後、固形分が30質量%の光硬化性組成物分散液(1)を得た。
なお、光硬化性組成物分散液(1)の調製に用いた重合性基を有する電子受容性化合物(1)、重合性基を有する電子受容性化合物(2)、熱重合禁止剤(ALI)、ヘキサアリールビイミダゾール(1)、界面活性剤(1)、ノニオン性有機色素、および、有機ホウ素化合物の構造式を以下に示す。
Figure 2009075163
Figure 2009075163
−光硬化性組成物分散液(2)−
下記有機ボレート化合物(I)0.6質量部と、下記に示した分光増感色素系ボレート化合物(I)0.1質量部と、高感度化を目的とした下記助剤(1)0.1質量部と、酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)3質量部と、の混合溶液中に、重合性基を有する下記電子受容性化合物(3)5質量部を添加した。
Figure 2009075163
Figure 2009075163
得られた溶液を、13質量%ゼラチン水溶液13質量部と、下記2質量%界面活性剤(2)水溶液0.8質量部と、下記2質量%界面活性剤(3)水溶液0.8質量部と、の混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000回転で5分間乳化し、光硬化性組成物分散液(2)を得た。
Figure 2009075163
−光硬化性組成物分散液(3)−
分光増感色素系ボレート化合物(I)に代えて、前記に示した分光増感色素系ボレート化合物(II)0.1質量部を用いた以外は、光硬化性組成物分散液(2)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(3)を得た。
−樹脂粒子分散液の調製−
・スチレン:460質量部
・nブチルアクリレート:140質量部
・アクリル酸:12質量部
・ドデカンチオール:9質量部
以上の成分を混合溶解して溶液を調製した。続いて、アニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)12質量部をイオン交換水250質量部に溶解したものに、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化した乳化液(単量体乳化液A)を調製した。
また、アニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)1部を555質量部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと攪拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウオーターバスで加熱し、保持した。
次に、過硫酸アンモニウム9部をイオン交換水43質量部に溶解した溶液を、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、単量体乳化液Aをやはり定量ポンプを介して200分かけて滴下した。
その後、ゆっくりと攪拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して重合を終了した。
これにより粒子のメジアン径が210nm、ガラス転移点が51.5℃、重量平均分子量が31000、固形分量が42質量%の樹脂粒子分散液を得た。
−感光・感熱カプセル分散液(1)の調製−
・マイクロカプセル分散液(1):150質量部
・光硬化性組成物分散液(1):300質量部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20質量部
・イオン交換水:300質量部
以上の成分を混合した原料溶液に硝酸を加えてpHを3.5に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、フラスコに移し加熱用オイルバスでスリーワンモーターで攪拌しながら40℃まで加熱し、40℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を300質量部追加して60℃にて2時間緩やかに攪拌した。これにより感光・感熱カプセル分散液(1)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.53μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−感光・感熱カプセル分散液(2)の調製−
・マイクロカプセル分散液(2):150質量部
・光硬化性組成物分散液(2):300質量部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20質量部
・イオン交換水:300質量部
原料溶液として以上の成分を用いた以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)を調製する場合と同様にして感光・感熱カプセル分散液(2)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.52μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−感光・感熱カプセル分散液(3)の調製−
・マイクロカプセル分散液(3):150質量部
・光硬化性組成物分散液(3):300質量部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20質量部
・イオン交換水:300質量部
原料溶液として以上の成分を用いた以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)を調製する場合と同様にして感光・感熱カプセル分散液(3)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.47μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
・感光・感熱カプセル分散液(1):750質量部
・感光・感熱カプセル分散液(2):750質量部
・感光・感熱カプセル分散液(3):750質量部
以上の成分を混合した溶液をフラスコに移し、フラスコ内を攪拌しながら加熱用オイルバス42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を100質量部追加して緩やかに攪拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液でフラスコ内のpHを5.0に調整した後、攪拌を継続しながら55℃まで加熱した。55℃までの昇温の間、通常の場合、フラスコ内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが4.5以下とならない様に保持した。この状態で55℃で3時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、5リットルビーカー中で40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分間、300rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、凍結真空乾燥を12時間行い、スチレン系樹脂中に感光・感熱カプセルが分散したトナー粒子を得た。このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径D50vは15.2μmであった。
続いて、上記トナー粒子50質量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.0質量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナーを得た。
(現像剤)
キャリアとして、スチレン・アクリル酸メチル共重合体(数平均分子量:23000、重量平均分子量:98000、Tg:78℃)30質量%と、粒状マグネタイト(最大磁化:80emu/g、体積平均粒径:0.5μm)70質量%とを混練、粉砕、分級して、体積平均粒径が100μmとしたものを用い、前記トナーとトナー濃度が5質量%となるように秤量し、ボールミルで5分間混合して現像剤1を得た。
(画像形成)
図1に示したような画像形成装置を用意した。
感光体10としては、前記感光体Bを用いた。また、帯電装置12としてはスコロトロンを用いた。露光装置14としては、解像度600dpiで潜像形成が行える波長780nmのLEDイメージバーを用いた。現像装置72は、二成分磁気ブラシ現像用の金属スリーブを備え反転現像を行うことが可能なものである。なお、この現像器に前記現像剤1を装填したときのトナー帯電量は、−5〜−30μC/g程度であった。
発色情報付与装置28としては、ピーク波長405nm(露光量:0.2mJ/cm)、532nm(露光量:0.2mJ/cm)、657nm(露光量:0.4mJ/cm)の光を照射可能な解像度600dpiのLEDイメージバーである。
転写装置18は、導電性芯材の外周に導電性弾性体を被覆してなる半導電性ロールを転写ロールとして有する。導電性弾性体は、NBRとEPDMを混合してなる非相溶性のブレンド物に、ケッチェンブラックとサーマルブラックからなる2種類のカーボンブラックを分散させてなり、ロール抵抗が108.5Ωcm、アスカーC硬度が35度のものである。
定着装置22は、富士ゼロックス社製DPC1616に使用されている定着器を使用し、発色情報付与のポイントから30cmの位置に配置した。また、光照射手段24としては、前記発色情報付与装置の三波長を含む高輝度シャーカステンを用い、照射幅を5mmとした。
以上の構成の画像形成装置により印字条件を下記のように設定した。
・感光体線速:10mm/秒。
・帯電条件:スコロトロンのスクリーンに−800V、ワイヤーには直流−500Vを印加。このとき感光体の表面電位は−600Vとなった。
・露光:Y、M、C、黒の4色分の画像情報の論理和で露光し、露光後の電位は約−50Vであった。
・現像バイアス:直流−330Vに交流Vpp1.2kV(3kHz)の矩形波を重畳。
・現像剤接触条件:周速比(現像ロール/感光体)2.0、現像ギャップ0.5mmとし、現像ロール上の現像剤重量は400g/mとし、感光体上のトナー現像量がべた画像で5g/mとなるようにした。
・転写バイアス:直流+800V印加。
・光照射装置照度:12000lux。
以上の条件により、Y、M、C、R、G、B、Kの各色について階調画像部を有するチャートを印字した。なお、トナーへの発色情報付与は、前記表2に示す組み合わせで行なった。また、発光強度もしくは発光時間で発色濃度を制御するため、1ドットの時間内を8分割した時間幅変調を採用した。
(評価)
上記条件により、画像出力を行い、以下の評価を行った。
−発色濃度−
Y、M、Cの各色についてべた画像部分の画像濃度を濃度測定器X−Rite938(X−Rite社製)で調べたところ、いずれの色においても画像濃度が1.0以上と十分な発色が確認された。
−感光体耐久性、耐刷性−
上記条件により、A4サイズの記録用紙を用いて約20000枚の画像出力を繰り返し、初期と約20000枚後の感光体帯電電位を測定し、感光体の耐久特性を調べた。その結果、初期の帯電電位−450Vに対し、約20000枚後でも−445Vとほとんど変化はなく、画像も初期に対して変化が見られなかった。
また、画像出力後の感光体表面を目視により観察したところ、顕著な傷の発生はなく、画像出力実施の感光体と全く画像形成を行っていない参照用の感光体の感光層とを、SEM断面測定した結果を比較することによる摩耗量は1.2μmであった。さらに、放電生成物の付着も確認されなかった。
<比較例1>
実施例1において、感光体Bの代わりに感光体Aを用いた以外は、同様にして印字を行い同様の評価を行った。
その結果、初期の発色濃度は同様に十分であったが、感光体帯電電位が印字20枚目で初期の−450Vから−200Vに低下し、潜像形成が不十分となり良好な画像を得ることができなくなった。また、その後現像ブラシとクリーニング装置とを感光体に接触させたまま、前記実施例で行った約20000枚相当まで感光体の回転を繰り返し、その後同様にSEMにより断面を観察したところ、参照用の感光体と比較して摩耗量は5.2μmであった。
以上のように、感光体に表面層がなく発色情報付与光がそのまま露光される感光体を用いた比較例では、20枚程度の印字で明らかに感光体の光劣化を生じた。一方、表面層により発色情報付与光をカットした感光体を用いた実施例の画像形成装置では、感光体劣化もなく、さらに耐刷性にも優れ、安定した画像形成が継続できた。
実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 感光体特性と露光光の波長との関係を示す説明図である。 印字制御部の回路ブロック図である。 トナーの発色機構を説明するための模式図であり、(A)は発色部、(B)はその拡大状態を示す。 感光体の表面層に用いたシリコン単結晶粒子の吸収スペクトルを示す図である。 感光体の分光感度を示す図である。
符号の説明
10 感光体
12 帯電装置
14 露光装置
16 現像装置
18 転写装置
20 クリーナ
22 定着装置
24 光照射装置
26 記録媒体
28 発色情報付与装置
34 発色情報付与露光ヘッド
36 プリンタコントローラ
38 露光部
40 論理和回路
42 発振回路
44 発色制御回路
50 マイクロカプセル
52 発色剤
54 顕色剤モノマー
56 光重合開始剤
60 発色部(感光・感熱カプセル)
62 発色情報付与光
64 潜像形成光

Claims (5)

  1. 感光体と、該感光体表面に光により静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを含む現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、該感光体表面に形成されたトナー像に光による発色情報を付与する発色情報付与手段と、該発色情報を付与されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、該記録媒体表面に転写されたトナー像を熱及び圧力の少なくとも一方により定着する定着手段と、加熱により前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色手段と、を含み、
    前記トナーが、光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーであり、
    前記感光体が、シリコン原子を含む結晶粒子、アモルファスシリコン粒子、セレン粒子及びセレン化合物粒子から選択される1種以上を含有し、前記発色情報付与手段による発色情報付与光を散乱もしくは吸収し、かつ、前記潜像形成手段による潜像形成光を透過する表面層を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記発色情報付与光が可視光であり、前記潜像形成光が近赤外光であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記トナーが、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれかを含む光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化または未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナーであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 感光体表面に光により静電潜像を形成する潜像形成工程と、該静電潜像をトナーを含む現像剤によりトナー像として現像する現像工程と、該感光体表面に形成されたトナー像に光による発色情報を付与する発色情報付与工程と、該発色情報を付与されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、該記録媒体表面に転写されたトナー像を熱及び圧力の少なくとも一方により定着する定着工程と、加熱により前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色工程と、を含み、
    前記トナーとして、光による発色情報の付与により、発色または非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用い、前記感光体として、シリコン原子を含む結晶粒子、アモルファスシリコン粒子、セレン粒子及びセレン化合物粒子から選択される1種以上を含有する表面層を有する感光体を用い、
    前記潜像形成工程において、前記感光体が感度を有する波長域の潜像形成光を照射し、前記発色情報付与工程において、前記感光体表面で散乱もしくは吸収される波長域の発色情報付与光を照射することを特徴とする画像形成方法。
  5. 前記発色情報付与光が可視光であり、前記潜像形成光が近赤外光であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
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