JP5161906B2 - ガス化設備におけるガス処理方法及びガス化設備 - Google Patents

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Description

本発明は、石炭ガス化発電設備等のガス化設備に係わり、特にこの種の設備におけるガスの精製処理又は浄化処理が、全体として簡素で経済的な構成で可能となる技術に関する。
近年、石油資源の枯渇、価格の高騰から、燃料の多様化が叫ばれ、石炭や重質油の利用技術開発が進められており、その一つとして、石炭や重質油などの炭素含有燃料をガス化して発電等のための燃料とする技術が注目されている。また、ガス化ガスによる発電は、石炭や石油による従来の火力発電に比較して効率が良いので、有限な資源の有効利用の点からも注目されている。
しかし、このガス化による生成ガスには、例えば数100〜数1000ppmの硫黄化合物(主に硫化水素)が含まれ、このような有害成分は公害防止のため、或いは機器の腐食防止等のため、なるべく前流で除去する必要が有ると従来考えられていた。
そしてこの除去方法としては、熱経済的に有利なものとして、例えば特開昭63−123801号公報や特開平1−254226号公報に示された乾式のガス精製方法が従来知られている。
これは、Fe等の金属酸化物を吸着剤として使用し、ガス中に含まれる硫黄化合物を吸着剤で硫化物として吸着除去し、吸着能の低下した吸着剤を酸素含有ガスで焙焼して吸着剤を再生し、この焙焼反応により生成した亜硫酸ガスを含む再生ガスを反応器に導き、この反応器内においてカルシウム化合物含有スラリと気液接触させることにより、前記反応器内において、亜硫酸ガスの吸収と副生品である石膏の析出とを行わせるものである。
また、浄化性能の点で有利な精製方法としては、例えば特開平6−293888号公報に示されるような湿式の精製方法が知られている。
これは、生成ガスを硫黄化合物の吸収液(例えば、アミン吸収液)に気液接触させてガス中の硫黄化合物を除去するとともに、硫黄化合物を吸収した吸収液に熱を加えて硫黄化合物を含む再生ガスを排出する。そして、この再生ガスを燃焼させて亜硫酸ガスを含む排煙に転換させ、この排煙中の亜硫酸ガスをやはり湿式石灰石膏法により吸収して石膏を副生するものである。
特開昭63−123801号公報 特開平1−254226号公報 特開平6−293888号公報
上記従来のガス精製技術を採用したガス化発電であれば、発電設備から排出される排ガスのクリーン化(主に硫黄分の除去)が可能であるとともに、有用な石膏が得られるという利点がある。しかしながら、ガス精製のための設備構成が非常に複雑になるため、発電プラントの小スペース化及びコスト低減に限界があり、ガス化発電をより経済的に実施するという点ではさらなる改善が強く望まれていた。
また、乾式のガス精製を採用した場合には、脱硫率などの浄化性能を高く実現できず、一方湿式のガス精製を採用した場合には、ガス精製での吸収液との接触によるガスの冷却、及び吸収液の再生のための熱エネルギの消費によって、熱効率が落ちてしまうという短所があった。
また、上記従来のガス精製方法では、生成ガスに含まれる塩素化合物(HCl)や窒素化合物(NH3)、或いはヒューム状物質(サブミクロン粒子)、さらにはナトリウム(Na),カリウム(K),バナジウム(V),フッ化水素(HF)などの微量有害成分については特に考慮されておらず、改善が望まれていた。
すなわち、一般に石炭ガス化プロセス等の生成ガスには、100〜1500ppm程度のNH3と、例えば100ppm程度のHClが含有されるとともに、ナトリウム等の不純物が微量に含有され、さらに、生成ガスから熱回収する熱交換器における温度条件によっては、主に塩化アンモニウムよりなるヒューム状物質が発生しガス中に含有されるので、さらなるクリーン化、及びガスタービン等の材料保護のためにはこれらを除去する必要がある。
なお、このうち塩素化合物であるHClは、強酸であってステンレス材に対しても腐食性があり、ガスタービン等の設備材料を保護する観点から特になるべく前流側で除去する必要があるとともに、生成ガスがガスタービン等で燃焼してなる排煙中に含有されるかたちで大気中に排出される塩素化合物の量を低減するためにも除去する必要がある。
また、窒素化合物であるアンモニアは、一般にアミン化合物よりなる吸収液(アルカリ性)を用いたアミン吸収塔(脱硫塔)における気液接触処理ではほとんど除去されず、ガスタービン等で燃焼して有害な窒素酸化物となり、ガスタービン等の後流側に一般的に設けられる脱硝装置の負荷を増大させるので問題であった。
またヒューム状物質は、脱硫塔で除去が困難であり、ガスタービン等の材料腐食トラブルを引き起こしたり、燃焼によって熱分解して有害物(窒素化合物や塩素化合物等)として大気中に排出されるため、やはりなるべく前流側で除去する必要がある。
また、Na,K,V,HFなどの微量成分も、ガスタービン等の腐食の原因となる可能性があり、ガスタービン等の材料表面に、より高価な耐食コーティングを施す必要が生じるなどの問題があるため、やはりなるべく前流側で除去するのが好ましい。
なお、生成ガス中に含まれる硫化水素等の硫黄分は、上記微量成分や塩素分に比較してガスタービンなどの機器腐食の原因となる可能性は低く、むしろ硫黄酸化物(主に亜硫酸ガス)として大気放出されて大気汚染を引き起こす点で有害であり、必ずしもガスタービンの前流側で除去する必要はない。
そこで本発明は、排ガスのクリーン化及び熱効率の向上が高度に実現でき、しかもガスタービン等の腐食の問題が容易に解決できるとともに、ガス精製又はガス浄化を行うための設備構成が簡素になって、経済的な面でもより実用的なガス化設備におけるガス処理方法又はガス化設備を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、請求項記載のガス化設備は、炭素含有燃料のガス化を行うガス化炉と、このガス化炉から導出される生成ガスが燃料として導入されるガスタービンと、このガスタービンから排出された排ガスに対して、少なくとも脱硫処理を含むガス浄化処理を行うガス浄化手段とを備えたガス化設備において、
前記ガス化炉から導出されるガスを選択的に前記ガス浄化手段に直接導入可能なバイパスラインを設けたことを特徴とする。
また、請求項記載のガス化設備は、炭素含有燃料のガス化を行うガス化炉と、このガス化炉から導出される生成ガスに対して、少なくとも硫黄分の除去を含むガス精製処理を行うガス精製手段と、このガス精製手段によるガス精製処理後の生成ガスが燃料として導入されるガスタービンとを備えるとともに、
除去した硫黄分を亜硫酸ガスとして吸収する脱硫処理を少なくとも行うガス浄化手段を、前記ガス精製手段の付帯設備として有するガス化設備において、
前記ガス化炉から導出されるガスを選択的に前記ガス浄化手段に直接導入可能なバイパスラインを設けたことを特徴とする。
請求項1乃至2に記載した発明では、ガス化炉から導出されるガスを選択的にガス浄化手段(少なくとも亜硫酸ガスを吸収除去する脱硫処理を行うもの)に直接導入することができる。
このため、ガス化炉の運転初期などの非定常運転時に発生する異常な生成ガス(亜硫酸ガスを含む排ガス)を、一時的にガス浄化手段に直接導入して処理することが可能となり、このような異常な生成ガスを通常のライン(ガスタービンやその前流に必要に応じて設けられるガス精製装置)に流すことによる不具合を回避できるとともに、このような異常な生成ガスを大気放出した場合の大気汚染の問題も解消できる。
本発明の第1例であるガス化設備(ガス化発電設備)を示す図である。 本発明の簡易なガス精製手段の第1例を示す図である。 本発明の簡易なガス精製手段の第2例を示す図である。 本発明の簡易なガス精製手段の第3例を示す図である。 塩化アンモニウムの分解圧特性を示す図である。
以下、本発明の実施の形態の各例を図面に基づいて説明する。
第1例
図1は、本発明の第1例に係わるガス化発電設備(ガス化設備)を示す図である。なお、本発明はガス精製処理又はガス浄化処理の構成に特徴を有するものであるので、発電システム自体の詳細構成(例えば蒸気サイクルの構成等)は図示省略している。
ガス化炉1では、例えば石炭が空気をガス化剤としてガス化され、一酸化炭素及び水素を主成分とした生成ガスA1が発生する。
このように石炭を原料とし空気をガス化剤としてなる生成ガスA1には、通常、1000〜1500ppm程度のH2S(硫化水素)と、100ppm程度のCOS(硫化カルボニル)とが含有されるとともに、1000〜1500ppm程度のNH3(アンモニア)と、100ppm程度のHCl(塩化水素)が含有されており、さらに、Na,K,V,HFなどの有害な不純物も微量に含有されている。
また生成ガスA1は、炉出口直後においては通常1000℃〜2000℃であるが、通常炉出口側に設けられたスチームヒータ(図示省略)により熱回収されて例えば420℃程度に冷却され、その圧力は例えば26ata程度である。
この場合生成ガスA1は、まずサイクロン2やポーラスフィルタ3よりなる除塵手段によって除塵処理され、生成ガスA2として排出される。次いで、生成ガスA2は、後述するガス精製手段40により硫黄化合物を除く有害成分を主に除去されて、生成ガスA3として排出される。そして、生成ガスA3は、ガスタービン4にその燃料として導入される。
ガスタービン4では、生成ガスA3が燃焼し、そのエネルギーにより発電機5が駆動されて発電が行われる。
なお本例の発電システムは、ガスタービン4と蒸気タービン6とを備えたいわゆる複合発電システムであり、図1の場合にはガスタービン4の出力と蒸気タービン6の出力により発電機5が駆動される。また、蒸気タービン6を駆動する高温高圧蒸気は、前述のスチームヒータや後述する廃熱ボイラ7により加熱生成されたものが使用される。
また、ガスタービン4のタービンブレード等には、耐熱性とともに耐食性を向上させるためのコーティングが施され、硫化水素などの前述の有害物が燃料(生成ガスA3)中に残留していても問題なく稼働できるようになっている。なお、コーティング材料としては、例えばジルコニアや、その他のセラミックス材料が使用できる。またコーティング方法としては、溶射によるセラミックスコーティング、CVD(Chemical Vapor Deposition;化学的気相成長)法、スパッタリング法などがあり、また、コーティング材料を保護しようとする表面に塗布した後乾燥させることにより例えばジルコニア被膜を形成する方法もある。但し本例では、硫黄化合物を除く生成ガス中の有害物の多くが、ガス精製手段40により事前に除去されるので、ガスタービン4の耐食性はそれ程高く確保する必要はなく、コーティングの膜厚を低減できたり、より安価で簡易なコーティング材料やコーティング方法が採用できる余地がある。
次に、ガスタービン4で生成ガスA3が燃焼してなる排ガスA4は、廃熱ボイラ7及び脱硝装置8(ガス浄化手段)に導入される構成となっている。なお、排ガスA4は、生成ガスA3中の硫黄化合物が燃焼してなる硫黄酸化物(主に亜硫酸ガス)と、生成ガスA3中の窒素(N2)等が燃焼してなる窒素酸化物とを、有害物として主に含有する。
ここで脱硝装置8は、排ガスA4中の窒素酸化物を分解処理するために設けられたものであり、触媒を用いてアンモニア接触還元法により窒素酸化物を分解する。また廃熱ボイラ7は、この脱硝装置8の前後に配設されて排ガスA4から熱回収し、複合発電のための蒸気タービン6に供給される蒸気を生成又は加熱するためのボイラである。なお、脱硝装置8におけるガスの温度を最適化するために、脱硝装置8の前後に廃熱ボイラ7の熱回収部が設けられている。
次に、排ガスA4が脱硝処理された後の排ガスA5は、湿式石灰石膏法の排ガス処理装置9(ガス浄化手段)に導入され、主に脱硫処理(亜硫酸ガスの吸収)がなされる。そして、排ガスA5が排煙処理装置9で浄化された後の排ガスA6は、例えば煙突10に導かれて大気放出される。
ここで排ガス処理装置9は、通常の火力発電設備用の排煙脱硫装置と同構成のもので、図1に示す如く、例えば以下のような構成となっている。
すなわちこの装置9は、亜硫酸ガスを高濃度に含む排ガスA5を、カルシウム化合物を吸収剤として含有するスラリ状の吸収液B1と気液接触させて浄化後の排ガスA6として排出するとともに、亜硫酸ガスを吸収した吸収液中に酸化用空気Cを多数の微細気泡として吹込み、吸収液中の亜硫酸を酸化して石膏化させる吸収塔21と、この吸収塔21から抜き出されたスラリB2(石膏スラリ)を固液分離する遠心分離機等の固液分離手段22と、この固液分離手段22で生じるろ液B3を貯留するろ液ピット23と、吸収液B1を調製するための吸収液ピット24とを備える。
なお、固液分離手段22で分離された固形分D(二水石膏の石膏ケーキ)を120℃〜150℃程度まで加熱して半水石膏とする燃焼炉等の石膏加熱装置を備えていてもよい。
ここで吸収塔21は、塔底部に吸収液B1が供給されるタンク25を有し、この一つのタンク25の上方に、この場合二つの塔本体26a,26bが並べて設置されたものである。そして、タンク25内の吸収液が循環ポンプ27により吸上げられ、各塔本体内に設置されたスプレーパイプから液注状に上向きに噴射され、効率良く排ガスA5と気液接触する構成となっている。
なお、二つの塔本体のうち、塔本体26aはいわゆる並流式の気液接触塔であり、塔本体26bはいわゆる向流式の気液接触塔である。また、処理される排ガスA5は、この場合塔本体26aの塔頂部から導入され、次いでタンク25の上部を経由して塔本体26bの下部に導入され、最終的に塔本体26bの塔頂部から排出される構成となっている。
またなお、吸収塔21の構成はこのようなものに限られず、例えば塔本体が単一であるものや塔本体がさらに複数設けられたものでもよい。
また、処理後の排ガスA6の出口ダクト28には、通常ミストエリミネータ(図示省略)が設けられ、排ガスA6から同伴ミストが除去されてタンク25内に戻される構成となっている。
タンク25には、空気Cを微細気泡として拭き込むとともに、タンク内のスラリ全体を撹拌するアーム回転式エアスパージャ29が設けられ、亜硫酸ガスを吸収して各塔本体から流下する吸収液が、吹き込まれた空気と効率良く接触して、吸収された亜硫酸が略全量酸化され、さらにはカルシウム化合物と中和反応を起こして高純度の石膏が生成するようになっている。なお、空気Cを吹込む手段としては、例えば固定式エアスパージャやロータリーアトマイザなどを撹拌手段とは別個にタンク25内に設けてもよい。
そして定常状態においては、石膏を高濃度に含む吸収液がタンク25内からポンプ30により抜出され、スラリB2として固液分離機22に送られ、固液分離されて固形分である石膏Dが採取される。なお、上記固液分離により生じてろ液ピット23に一時的に貯留されるろ液B3は、ポンプ31により適宜吸上げられて、タンク25又は吸収液ピット24に送られ、いずれにしろ最終的にはタンク25に戻されて循環使用される。
また吸収液ピット24では、図示省略したサイロより供給されるカルシウム化合物E(例えば、石灰石)と、これに応じた量のろ液B3とが混合撹拌され、所定濃度の吸収液B1が調製される。そして、この吸収液ピット24内の吸収液B1は、例えば処理ガスである排ガスA5中の亜硫酸ガス量の検出値などに応じて、その供給流量が制御され、ポンプ32によりタンク25に送られる。
また、吸収塔21において蒸発して排ガスA6中の蒸気として持去られる水分や、石膏Dの含有水或いは付着水として系外に排出される水分を補うべく、工業用水等の補給水Fが、例えばタンク25内の液面高さを一定範囲に維持するように、タンク25内に供給される。
なお、一般的な火力発電設備等に付設される一般の排煙脱硫装置では、亜硫酸ガスとともに吸収液中に吸収される塩素等の不純物が、循環する吸収液の液分の中に蓄積することを防止するため、例えばろ液ピットのろ液の一部を系外に排出し、排水処理を行ったのち放水或いは再使用するなどの措置をとっているが、本例でも同様の構成としてもよい。但し、本例の場合には、ガス精製手段40によって生成ガス中の塩素分(主に塩化水素)等の不純物の多くがガスタービン4の前流で除去されるため、脱硫装置9で処理される排ガスA5中には、塩素等の不純物はほとんど存在しておらず、このような排水処理を行う必要性は少なく、排水処理装置を設ける場合でもその容量は格段に小さくて済む。
次に図2は、本例のガス精製手段40(一塔式の洗浄塔で構成したもの)を示す図である。
この場合のガス精製手段40は、熱交換器41と洗浄塔42とを備える。熱交換器41では、ポーラスフィルタ3から導出された生成ガスA2の熱により精製後の生成ガスA3が加熱される。なお、生成ガスA2は熱交換器41において逆に熱を奪われて、例えば230℃程度まで冷却される。
洗浄塔42は、この場合いわゆる充填式の気液接触塔であり、塔底部に貯留された水を主成分とする洗浄液Gが循環ポンプ43により吸上げられて、塔上部のスプレーパイプ44から噴射され、生成ガスA2と気液接触しつつ充填材45を経由して流下して再び塔底部に戻って循環する構成となっている。
また洗浄塔42は、この場合いわゆる向流式のものであり、塔下部から導入された生成ガスA2が、流下する洗浄液Gに対向して塔内を上昇し、後述する如く有害成分を除去された後、塔頂部から除去処理後の生成ガスA3として排出される。
ここで、洗浄液Gの一部は、この場合循環ポンプ43の吐出側から分岐する流路により抜き出され、排水Hとして系外に排出されるようになっている。また、洗浄液Gの循環経路のいずれかには、排水Hとして或いはガス中に含まれて持去られる分を補う量の補給水Iと、洗浄液GのpHを後述する如く調整するための酸J(例えば、H2SO4)が適宜供給可能となっている。
また、洗浄塔42の塔上部には、ガス中のミストを分離除去するミストエリミネータ46が設けられ、後流側に流出するいわゆる同伴ミストの量が低く抑えられる構成となっている。
この洗浄塔42では、ガスタービン4に導入される前の生成ガスであるガスA2が、水を主成分とする洗浄液Gに気液接触させられるため、生成ガスA2中に含有される溶解度の高いNH3(窒素化合物)やHCl(塩素化合物)は、特にpH調整等を行わなくても相当量が洗浄液G中に吸収され、最終的には排水Hとして系外に排出される。また、生成ガスA2中に微量に含有されているNa,K,V,HFなどの有害成分も、相当量が洗浄液G中に捕集され、やはり排水Hとして系外に排出される。このため、ガスタービン4に導入される生成ガスA3は、H2S等の硫黄化合物を除く有害成分の多くが除去されたクリーンなものとなる。
なお、生成ガスA2中には通常HClよりもNH3が多量に含まれているため、なんらpH調整をしなければ、洗浄液Gはアルカリ性を示す。洗浄液Gがアルカリ性になると、NH3の吸収性能が低下するばかりか、生成ガスA2中に含有される弱酸性のH2Sも相当量が洗浄液G中に吸収され、排水Hに含有されることになる。硫黄化合物は処理が困難であるため、この場合には、排水Hの排水処理が大掛かりで高コストなものとなる問題が生じる。
この問題を解決するため本例では、洗浄塔42の洗浄液G中に硫酸等の酸Jを適宜供給してpH調整する構成としており、洗浄液GのpHを例えば弱酸性以下に保持する。これにより、排水Hに含有されるH2Sの量を抑制して、面倒な排水処理を回避できる。なおこの場合でも、HClは強酸であるため、弱酸性領域であれば十分吸収可能である。
但し、NH3をより完全に吸収除去するためには、pHを例えば強酸領域まで大きく低下させるのが好ましく、この場合にはHClの吸収性能が低下するため、HClとNH3の両者をより完全に除去するためには、後述する第2例のような2塔式のガス精製手段40aとするのが好ましい。
なおこの場合、洗浄塔42における運転温度(ガス及び液の温度)は、例えば50℃程度と比較的高温に設定できる。その結果、気液接触により失われる生成ガスの熱エネルギが削減でき、ガスタービン4に導入される除去処理後の生成ガスA3の温度を比較的高温(例えば熱交換器41の後流側で240℃程度)とすることができて、熱効率の向上に貢献できる。ちなみに、従来の湿式ガス精製方法のように、ガスタービンの前流(熱交換器の前流)に設けたアミン吸収塔(脱硫塔)で生成ガスをアミン吸収液に気液接触させて硫黄化合物を吸収除去する構成であると、アミン吸収液の能力を十分発揮させるべくアミン吸収塔の前流の洗浄塔の運転温度を40℃程度の比較的低温に設定する必要がある。このため従来では、結果としてガスタービンに導入される精製処理後のガスの温度を、熱交換器の後流側で例えば230℃程度とするのが限界であった。
次に、以上のようなガス化発電設備において実施される本発明のガス処理方法の特徴部分について説明する。
本例では、ガス化炉1を出た生成ガスA1が、サイクロン2やポーラスフィルタ3によって除塵処理され、次いで、上述した洗浄塔42よりなるガス精製手段40により硫黄化合物を除く有害成分を主に除去された後、生成ガスA3としてガスタービン4に導入され、ガスタービン4の燃料として使用される。
このため、ガスタービン4に導入される生成ガスA3中の有害成分のほとんどは、腐食性が低くコーティング等の保護対策の容易な硫化水素や硫化カルボニル(即ち、硫黄化合物)、或いは少量のアンモニアのみとなり、ガスタービン4のタービンブレード等に必要となるコーティング等の保護対策が安価なものですむようになる。
また、生成ガスA3中に含有されていた硫化水素や硫化カルボニルのほとんどは、ガスタービン4において例えば下記式(1),(2)の燃焼反応により亜硫酸ガスとなり、ガスタービン4から導出される排ガスA4中に含まれて排出される。さらに、生成ガスA3中に残留したアンモニアのほとんどは、例えば下記式(3)の反応により、NO2などの窒素酸化物となり、やはり排ガスA4中に含まれて排出される。つまり、ガスタービン4から導出される排ガスA4中に含まれる有害物のほとんどは、窒素酸化物と亜硫酸ガス(硫黄酸化物)のみとなり、前述したClやNaなどの他の有害物は、極めて微量に残留するだけとなる。
2S + 3/2O2 → SO2 +H2O (1)
COS + 3/2O2 → SO2 +CO2 (2)
2NH3 + 7/2O2 → 2NO2 +3H2O (3)
そして、排ガスA4中に含まれるこれら有害物のうち、まず窒素酸化物は脱硝装置8において分解除去される。また、亜硫酸ガスと残りの微量の有害物は、排ガス処理装置9(排煙脱硫装置)において吸収液中に吸収され、吸収された硫黄分より石膏Dが副生されるとともに、吸収された塩素等の微量有害物は排ガス処理装置9の石膏Dや排水等に含まれる形で系外に排出される。
このように本例では、除塵処理と、硫黄化合物を除く有害成分の簡易な除去処理とをガスタービンの前流側において行い、その他のガス浄化処理をガスタービンの後流側において行うようにしており、また湿式石灰石膏法の排ガス処理により脱硫等の浄化処理を行う構成としているので、以下のような実用上優れた効果が得られる。
(1)硫化水素の吸着塔(又はアミン吸収塔)や再生塔などの設備構成が全く不要となるとともに、ガスタービン4が硫化水素や硫化カルボニルを亜硫酸ガスに転換する燃焼炉としても機能するので、設備構成が著しく簡素になる。
すなわち、例えば従来の湿式ガス精製技術を採用したガス化発電設備では、ガスタービンの前流における生成ガス中から硫化水素を吸収するためのアミン吸収塔(脱硫塔)、アミン吸収液にスチームによって熱を加えて吸収したガスを放出するための再生塔、脱硫塔を出たガスを脱硫塔に入るガスで再加熱するための熱交換器(前述の熱交換器41に相当するもの)、再生塔を出たガスを燃焼させてガス中の硫化水素を亜硫酸ガスに転換する燃焼炉、といった多数の機器が必要になる。また、硫化カルボニルも除去しようとすれば、脱硫塔の前流側に硫化カルボニルを硫化水素に変換する変換器を設ける必要もあった。さらに、生成ガスから塩素化合物やアンモニア等を除去すべく、例えば上記脱硫塔の前流側に生成ガスの洗浄塔(前述の洗浄塔42に相当するもの)を設ける必要性もあった。
しかし本例の場合には、これらの構成設備のうち、熱交換器と洗浄塔を除く設備が全て不要であり、除塵処理と洗浄塔による簡易なガス精製処理以外のガス精製(或いはガス浄化)を行うための構成としては、従来でも設けられていた一般的な排ガス処理装置9を、やはり従来でも必要に応じて設けられていた脱硝装置8の後流側に配置しただけの極めて簡素な構成となる。しかもこのような簡素な構成でありながら、ガスタービンに導入される生成ガス中からは硫黄化合物を除く有害物がほとんど除去されて、ガスタービンの信頼性向上が容易に可能になるとともに、硫黄化合物及び窒素化合物を含むほとんど全ての有害物が排ガス中から効果的に除去され、最終的に大気放出される排ガスA6も極めてクリーンなものとなるとともに、有用な石膏Dが副生できる。
(2)ガスタービン4に導入される前の生成ガスを低温条件でアミン吸収液に接触させる硫化水素の吸収工程がないため、気液接触により失われる生成ガスA2の熱エネルギが削減できるとともに、ガスタービン4に導入される生成ガスA3の温度を比較的高温にすることができる。また、例えばアミン吸収液を加熱して吸収した硫化水素を再生させる必要がないので、この再生工程での加熱用のスチームヒータ等において消費される多量の熱エネルギが不要となる。このため、熱効率をより向上することができ、貴重な資源からより効率良く発電を行える。
(3)少なくともガス中から硫黄分や窒素酸化物の除去を行う設備が、ガス化を行わない一般的な既存の火力発電設備で十分実績のある装置(脱硝装置8や排ガス処理装置9など)のみで構成できるので、設備の信頼性が高くなる。
第2例
次に、本発明の第2例を説明する。図3は、本例のガス精製手段40aを示す図である。なお本例は、第1例のガス精製手段40の代りに、このガス精製手段40aを設けたものであり、他の構成は第1例と同様でよいので、ガス精製手段40a以外の構成については説明を省略する。また以下では、第1例と同様の要素には同符号を付して、重複する説明を省略する。
本例のガス精製手段40aは、洗浄塔42(第1洗浄塔)の後流側に洗浄塔42と同様構成の洗浄塔42a(第2洗浄塔)を設置し、これら洗浄塔42,42aに生成ガスA2を順次導入してガス洗浄によるガス精製処理を2段階で行うものである。
なお本例では、洗浄塔42における洗浄液GのpHを、H2Sを過度に吸収しない範囲でHClの吸収に最適な値(例えば弱酸性領域又は中性領域)に維持するとともに、洗浄塔42aにおける洗浄液G1のpHを、NH3の吸収に最適な比較的低い値(例えば強酸性領域又は弱酸性領域)に維持する。
なお図3では、第2の洗浄塔42aのみに酸Jを添加しているが、洗浄塔42にも必要に応じて酸Jを添加し、H2Sの吸収抑制をここでも完全に行うようにしてもよい。また図3では、洗浄塔42aからの排水H1を洗浄塔42に導入して、全体的な排水の量の低減を図っているが、この排水H1を洗浄塔42とは別個に排出して、洗浄塔42と洗浄塔42aの洗浄液のpH等を全く独立に制御するようにしてもよい。
いずれにしろ本例によれば、洗浄塔42でHClのほとんどが吸収され、洗浄塔42で吸収されずに残留したNH3は、洗浄塔42aでほぼ完全に吸収除去できる。
また、HClやNH3の含有量が別個に変化したときでも、それに応じて各洗浄塔のpHを最適値に調整し、さらに洗浄液の循環量を各洗浄塔において必要最低限に調整することで、運転コストを必要最小限に維持しつつこれら有害物をいずれもほぼ完全に吸収除去できるという優れた効果が奏される。
また、洗浄液との気液接触が2段階で行われるため、前述したNa等の微量有害成分の除去性能も高まる。
このため、ガスタービン4の腐食に対する信頼性がより向上できるとともに、NH3の残留量が僅かなものとなって脱硝装置8の負荷も格段に低減できる。
また、本例のガス精製手段40aは、図3に示す如く冷却器51と除塵手段52とを備えている。この場合冷却器51は、洗浄液G1の循環流路の途上に設けられ、例えば工業用水等が通水されて洗浄液G1を冷却するものである。また除塵手段52は、洗浄塔42aから導出された生成ガスからヒューム状のサブミクロン粒子を除去する捕集手段で、具体的には例えばセラミックス製エレメントよりなるポーラスフィルタや、慣性衝突型の集塵機(インピンジャー)である。
そして本例では、このような装置構成により、第1の洗浄塔42から導出されたガスの温度が第2の洗浄塔42aにおいて低下するように、洗浄塔42の運転温度に対して洗浄塔42aの運転温度を低く調整する。
このようにすると、熱交換器41や洗浄塔42による生成ガスA2の冷却で析出した塩化アンモニウムや、Na等の微量有害成分よりなるヒューム状のサブミクロン粒子が、洗浄塔42aにおいて凝縮水により積極的に捕集される。
すなわち、洗浄塔42から導出されたガスは含有する水蒸気が飽和した状態にあるため、洗浄塔42aにおいてこのガスの温度が低下すると、必ず凝縮水が発生し、これはガス中の前記サブミクロン粒子を核として凝結するので、前記サブミクロン粒子のほとんどはこの凝縮水とともに、洗浄塔42a内の洗浄液中に捕集される。
なお本例の場合には、上記洗浄塔42aにおける捕集作用によっても捕集されなかった僅かなヒューム状物質があった場合でも、洗浄塔42aの後流に設置された除塵手段52によりこれが捕集され、より高度なクリーン化が達成される。但し、要求されているヒューム状物質の除去率等によっては、除塵手段52(さらには冷却器51)を設けなくてもよいのはいうまでもない。
第3例
次に、本発明の第3例を説明する。図4は、本例のガス精製手段40bを示す図である。本例は、第1例のガス精製手段40の代りに、このガス精製手段40bを設けたものである。本例でも、このガス精製手段40b以外の構成については、第1例と同様であり、その説明を省略する。
本例のガス精製手段40bは、冷却手段としての熱交換器61,62と、ヒューム状物質の捕集手段としてのポーラスフィルタ63とを備える。
熱交換器61は、生成ガスA2の熱によりポーラスフィルタ63から導出された精製後の生成ガスA3を加熱するものである。なお、生成ガスA2はこの熱交換器61において逆に熱を奪われて、例えば230℃程度まで冷却される。
熱交換器62は、ガスA2を塩化アンモニウムが十分に析出する温度まで冷却するものである。また、ポーラスフィルタ63は、析出した塩化アンモニウム等(ヒューム状の粒子)を捕集除去するものである。
ここで熱交換器62は、例えば工業用水等よりなる冷媒Kが通水されるシェルアンドチューブ構造の熱交換器で、冷媒Kの流量を調整する流量調整弁64の開度が温度コントローラ65によって制御されることで、その冷却能力が調整される。なお、温度コントローラ65は、熱交換器62の出口側のガス温度を検出する温度センサ66の検出出力をフィードバック値として、流量調整弁64を介して冷媒Kの流量を調整し、熱交換器62の出口側のガス温度を所定の制御目標値に制御するものである。
そして、この温度コントローラ65の制御目標値は、塩化アンモニウムの分解圧特性(図5に示す)に基づいて、ガス中に含まれる塩化水素及びアンモニアのほとんどが塩化アンモニウムとして析出するのに十分な温度(例えば120〜130℃)に予め設定しておけばよい。
なお、この温度コントローラ65の制御目標値は、例えばポーラスフィルタ63の出口側における生成ガスA3中の塩化水素濃度又はアンモニア濃度の実測値に基づいて、このガスA3中の塩化水素濃度又はアンモニア濃度が目標値以下に維持されるように、適宜必要最低限の値に変更するようにしてもよい。
またポーラスフィルタ63は、例えばセラミックス製のエレメントよりなり、サブミクロンの粒子を捕集可能なもので、この場合、熱交換器62を経由したガスA2中に存在する粒子(主に塩化アンモニウムのヒューム)を捕集除去し、この粒子を除いたガスA3を上部から排出する。なお、捕集された粒子Lは、適宜エレメントを振動させる、或いは定期的にパージガスを逆方向に吹き込むといった手法により、エレメントより振るい落とされて下部ホッパから排出されるようになっている。
本例のガス精製手段40bでは、サイクロン2やポーラスフィルタ3(図1に示す)によって除塵処理された生成ガスA2が、まず熱交換器61,62に順次導入され、温度コントローラ65の制御により、ガス中の塩化水素及びアンモニアが塩化アンモニウム(NH4Cl)として十分に析出する温度まで冷却される。これにより、生成ガスA2中にHClとして存在していた塩素分は、ほとんどが塩化アンモニウムの固体(即ち、ヒューム状物質)としてガス中に存在するようになる。また、Na,K,Vなどの微量有害成分も、塩化アンモニウムが析出するような温度条件では、ほとんどが固体粒子(即ち、ヒューム状物質)としてガス中に存在するようになる。
次いで、ポーラスフィルタ63では、上述の如く冷却された後の生成ガスA2がろ過処理されることにより、生成ガスA2中に存在する塩化アンモニウムや上記微量有害成分の粒子が捕集される。このため、このような粒子として存在する分だけ、生成ガスA2中の塩化水素及びアンモニア、或いは上記微量有害成分が除去され、生成ガスA2は、これら有害物の濃度が格段に低減された生成ガスA3として排出されることになる。
そして、ポーラスフィルタ63の出口における生成ガスA3の温度は、前述の制御目標温度(例えば120〜130℃)まで低くなっているが、この場合生成ガスA3は最終的に熱交換器61で再加熱され、例えば320℃程度まで昇温された状態でガスタービン4に送られるため、高い熱効率が実現される。
なお、前述の制御目標温度(この場合、温度コントローラ65の制御目標値)は、例えば、処理後の生成ガスA3中の塩化水素及びアンモニアの目標濃度から、塩化アンモニウムの分解圧特性に基づいて設定すればよい。例えば、ガスの圧力が25ata程度の場合、塩化アンモニウムの分解圧特性は図5に示すようになる。このため、例えばガスの温度を120〜130℃程度まで冷却すれば、ガス中の塩化水素及びアンモニアの濃度は、平方根(ルート)で5ppm程度と極めて僅かとなる。
したがって本例によれば、極めて簡素な構成で腐食の原因物質をガスタービンの前流で有効かつ容易に除去し、またガスタービン後流に設けた前述の脱硝装置8や排ガス処理装置9によって窒素酸化物や硫黄酸化物を排ガス中から有効かつ容易に除去して、ガスタービン等の機器の信頼性を高く確保できるとともに、排ガスの高度クリーン化が実現できるのであって、第1例と同様の効果を奏することができる。
しかも本例の場合には、ガスタービン前流において生成ガスを液体に接触させる処理をなんら行っていないので、ガスタービン前流でのガス精製における排水処理が不要になって、そのための設備コストやメンテナンスコストなどが低減できるとともに、熱効率の点でも有利になるという固有の効果も得られる。
なお、本発明は上記形態例に限られず各種の態様がありうる。
例えば脱硫処理等を行う排ガス処理は、上述したような石灰石膏法によるものに限られず、例えば亜硫酸ガスの吸収剤としてマグネシウム化合物を使用するいわゆる水マグ法を採用してもよいことはいうまでもない。また、石灰石膏法による脱硫処理を採用せず、排ガスから吸収した硫黄分(主に亜硫酸ガス)から硫黄単体を回収する態様でもよいことはいうまでもない。
また排ガス処理装置の吸収塔形式についても、液柱式吸収塔に限られず、スプレー塔、グリッド充填塔、ガス分散式吸収塔といった各種形式が採用可能であることはいうまでもない。
またガス化の方式も、例えば酸素をガス化剤とするものでもよい。また、ガスタービンからの排ガスの脱硝処理やそのための脱硝装置は、必ずしも必要ではない。例えば石炭等の性状、或いはガス化炉やガスタービンの方式などによって、排ガスに含有される窒素化合物の濃度が極めて低い場合には、上記脱硝処理は当然に必要でない。
また、上述の第2例(図3)のように、生成ガスの洗浄を第1洗浄塔と第2洗浄塔で2段階に行う場合、例えば第1洗浄塔の洗浄液を冷却する冷却器を設けて、その運転温度を例えばHClの吸収に好ましい値に積極的に管理するようにしてもよい。
また、ガスA2中には通常塩化水素よりもアンモニアが多量に含まれているため、上記第3例(図4)のガス精製手段40bでは、塩化水素濃度はほぼ0まで低減できるものの、通常ではアンモニアの濃度を低減するのには限界がある。
すなわち、塩化アンモニウムは、塩化水素1モルに対してアンモニア1モルが結合して析出する。このため、例えば塩化水素濃度が100ppmでアンモニア濃度が1000ppmの場合、他の要因(アンモニアガスの凝縮等)でアンモニアガスが除去される分を無視すれば、冷却工程の温度を十分下げたとしても、理論的にはアンモニア濃度は900ppm以下には下がらない。
そこで、ガスタービン前流において塩化水素濃度とともにアンモニア濃度を極端に低減することが要求される場合には、塩化水素の不足分を生成ガス2中に積極的に注入するようにしてもよい。すなわち、例えば図4における熱交換器61の前流に、生成ガスA2中の塩化水素とアンモニアの濃度を検出する濃度センサと、生成ガスA2中に塩化水素を注入する注入手段とを順に設けて、前記濃度センサにより検知された塩化水素とアンモニアの濃度の実測値に基づいて、これらのモル濃度の比率が1対1の関係に近づくように、前記注入手段から塩化水素を注入するようにしてもよい。
このようにすれば、生成ガスA2中の塩化水素とアンモニアの量がバランスするように修正され、熱交換器62で十分にガス温度を下げれば、ほとんどすべての塩化水素とアンモニアが塩化アンモニウムとして析出し、ポーラスフィルタ63で捕集除去される。したがって、生成ガスの性状にかかわらず、塩化水素濃度もアンモニア濃度も著しく低減させることができ、脱硝装置8の負荷を極端に削減できるなどの利点が得られる。
また、ガス化する原料(炭素含有燃料)は、石炭や石油に限られず、例えば木材や有機系(バイオ)燃料、或いは廃棄物プラスチックなどでもよい。また、本発明のガス化設備は、ガスタービンを発電用に利用するもの(即ち、ガス化発電設備)に限られず、ガスタービンを例えば駆動用、或いはコンプレッサーなどの用途に利用する設備であってもよい。
また、ガス化炉1の運転初期などの非定常運転時には、ガス化炉1から亜硫酸ガスを含む一般的な排ガス(一般的な火力発電設備から排出されるものと同様の性状のもの)が排出される。そこで、図1において点線で示すように、ガス化炉1から排出される排ガスを選択的にバイパスさせるバイパスライン35を設けて、上記非定常運転時において、この排ガスをガス浄化手段(脱硝装置8や排ガス処理装置9)に直接導入して浄化処理するようにしてもよい。
なお、従来のガス精製装置を備えたガス化発電設備においては、上述したような非定常運転時にガス化炉からでるガス(亜硫酸ガスを含む排ガス)の処理については、特に考慮されておらず問題であった。すなわち、このような異常な生成ガスを定常運転時と同様に通常のラインに(即ち、ガス精製装置に)流せば、ガス精製装置におけるアミン吸収液が亜硫酸ガスによって劣化するなどの不具合が生じるし、かといってそのまま大気放出すれば、亜硫酸ガスによる大気汚染の問題が生じる。
しかし、上述したようにガス化炉から出るガスの流路を選択的に切換えてガス浄化手段(一般的な火力発電設備に設けられるものと同様な排煙処理装置)に直接導入できるようにすれば、上述したような非定常運転時に一時的にガス化炉から出るガスを直接上記ガス浄化手段に導いて浄化処理することができる。このため、上述したような非定常運転時にガス化炉から出る異常なガスを通常のラインに流すことによる不具合を回避できるとともに、大気汚染の問題も解消できる効果が得られる。
なお、このように非定常運転時にガス化炉から出る異常なガスをパイパスさせて処理する思想は、前述した形態例の態様(硫黄分の除去をガスタービンの後流で行うタイプ)に限られず、例えば前述した従来のガス精製装置を備えたガス化発電設備等(硫黄分の除去をガスタービンの前流で行うタイプ)に対しても適用できる。すなわち従来の場合には、ガス精製装置の付帯設備として、例えば湿式石灰石膏法による排煙処理装置(及び必要に応じて脱硝装置)よりなるガス浄化手段が設けられていた。そして、生成ガス中から除去した硫黄分(主に硫化水素)が最終的には亜硫酸ガスとして排ガス中に含まれて導出され、この排ガスが上記ガス浄化手段によって浄化処理(少なくとも、亜硫酸ガスを吸収する脱硫処理)された後に大気放出される構成となっていた。したがって、この場合でも、ガス化炉から出る異常な生成ガス(即ち、亜硫酸ガスを含む排ガス)を一時的に上記ガス浄化手段に直接導入するバイパスラインを設ければ、このような異常な生成ガスによる前述の問題点が解消できる。
1 ガス化炉
2 サイクロン(除塵手段)
3 ポーラスフィルタ(除塵手段)
4 ガスタービン
8 脱硝装置(ガス浄化手段)
9 排ガス処理装置(ガス浄化手段)
35 バイパスライン
40,40a,40b ガス精製手段
42,42a 洗浄塔
61 熱交換器(冷却手段)
62 熱交換器(冷却手段)
63 ポーラスフィルタ(捕集手段)
A1〜A3 生成ガス
A4〜A6 排ガス
B1 吸収液
D 石膏
E 吸収剤(カルシウム化合物)
G,G1 洗浄液

Claims (2)

  1. 炭素含有燃料のガス化を行うガス化炉と、このガス化炉から導出される生成ガスが燃料として導入されるガスタービンと、このガスタービンから排出された排ガスに対して、少なくとも脱硫処理を含むガス浄化処理を行うガス浄化手段とを備えたガス化設備において、
    前記ガス化炉から導出されるガスを選択的に前記ガス浄化手段に直接導入可能なバイパスラインを設けたことを特徴とするガス化設備。
  2. 炭素含有燃料のガス化を行うガス化炉と、このガス化炉から導出される生成ガスに対して、少なくとも硫黄分の除去を含むガス精製処理を行うガス精製手段と、このガス精製手段によるガス精製処理後の生成ガスが燃料として導入されるガスタービンとを備えるとともに、
    除去した硫黄分を亜硫酸ガスとして吸収する脱硫処理を少なくとも行うガス浄化手段を、前記ガス精製手段の付帯設備として有するガス化設備において、
    前記ガス化炉から導出されるガスを選択的に前記ガス浄化手段に直接導入可能なバイパスラインを設けたことを特徴とするガス化設備。
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