JP2001123184A - ガス精製方法 - Google Patents

ガス精製方法

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JP2001123184A
JP2001123184A JP30859299A JP30859299A JP2001123184A JP 2001123184 A JP2001123184 A JP 2001123184A JP 30859299 A JP30859299 A JP 30859299A JP 30859299 A JP30859299 A JP 30859299A JP 2001123184 A JP2001123184 A JP 2001123184A
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tower
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cleaning
absorption
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Makoto Suzaki
洲崎  誠
Yoshiaki Kakiuchi
良商 垣内
Tatsuto Nagayasu
立人 長安
Susumu Okino
沖野  進
Shintaro Honjo
新太郎 本城
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガス化による生成ガスの熱経済的に有利な精
製方法であって、ガス中の硫黄化合物の除去とともに、
塩素化合物や窒素化合物の除去処理が容易に可能なガス
精製方法を提供する。 【解決手段】 生成ガスA中に含まれる硫黄化合物を吸
収剤2が装填された吸収塔1において吸収除去する乾式
の吸収工程と、この吸収工程後の生成ガスA1を洗浄塔
32a,32bに導入し洗浄液C1,C2に気液接触さ
せて、生成ガスA1中に含まれる少なくとも塩素化合物
及び窒素化合物を吸収除去する洗浄工程とよりなる構成
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭ガス化プロセ
ス等における生成ガスの精製方法に係わり、特に、ガス
中の硫黄化合物の除去とともに、塩素化合物や窒素化合
物、さらにはヒューム状物質(サブミクロン粒子)の除
去処理が容易に可能なガス精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、石油資源の枯渇、価格の高騰か
ら、燃料(又は原料)の多様化が叫ばれ、石炭や重質油
(タールサンド油、オイルシエール油、大慶重油、マヤ
原油、或いは減圧残油など)の利用技術開発が進められ
ており、その一つとして、石炭や重質油をガス化して発
電や燃料及び合成原料とする技術が注目されている。し
かし、このガス化による生成ガスには、数10〜数10
00ppmの硫黄化合物(主に硫化水素)が含まれ、こ
れは公害防止のため、或いは後流機器(例えばガスター
ビン等)の腐食防止等のため、除去する必要が有る。こ
の除去方法としては、例えば特開平1−254226号
公報に示された乾式のガス精製方法と、例えば特開平6
−293888号公報に示された湿式のガス精製方法と
が従来知られている。
【0003】このうち、湿式のガス精製方法は、例えば
アミンを吸収剤として含有する吸収液(アミン吸収液)
に生成ガスを接触させて、アミン吸収液中に硫黄化合物
(主に硫化水素)を吸収するものであるが、アミン吸収
液を加熱して再生するために比較的多量の熱エネルギを
必要とする。これに対して、乾式のガス精製方法は、F
e等の金属酸化物を吸収剤として使用し、ガス中に含ま
れる硫黄化合物を吸収剤で硫化物として吸収除去し、吸
収能の低下した吸収剤を酸素含有ガスで焙焼して吸収剤
を再生するもので、熱経済的に有利となる。なぜなら、
吸収剤を再生させるための焙焼反応には、外部から熱エ
ネルギを加える必要がほとんどないからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
ガス精製方法(少なくとも乾式のガス精製方法)では、
生成ガスに含まれる塩素化合物(HCl)や窒素化合物
(NH3)、さらにはヒューム状物質(サブミクロン粒
子)等の有害物については特に考慮されておらず、改善
が望まれていた。すなわち、一般に石炭ガス化プロセス
等の生成ガスには、例えば100〜1500ppm程度
のNH3と、例えば100ppm程度のHClが含有さ
れ、また生成ガスから熱回収する熱交換器等では塩化エ
ンモニウム等よりなるヒューム状物質が発生しガス中に
含有されるので、さらなるクリーン化のためにはこれら
を除去する必要がある。
【0005】なお、このうち塩素化合物であるHCl
は、強酸であってステンレス材に対しても腐食性があ
り、設備材料を保護する観点からなるべく前流側で除去
する必要があるとともに、生成ガスがガスタービン等で
燃焼してなる排煙中に含有されるかたちで大気中に排出
される塩素化合物の量を低減するためにも除去する必要
がある。また、窒素化合物であるアンモニアは、前述の
吸収剤を用いた吸収処理ではほとんど除去されず、ガス
タービン等で燃焼して有害な窒素酸化物となり、ガスタ
ービン等の後流側に一般的に設けられる脱硝装置の負荷
を増大させるので問題であった。
【0006】またヒューム状物質は、やはり前述の吸収
剤では除去が不可能であり、ガス精製装置をヒューム状
で通過するとガスタービンの材料腐食トラブルを引き起
こしたり、燃焼によって熱分解して有害物(窒素化合物
や塩素化合物等)として大気中に排出されるため、やは
りなるべく前流側で除去する必要がある。そこで本発明
は、熱経済的に有利なガス精製方法であって、ガス中の
硫黄化合物の除去とともに、塩素化合物や窒素化合物、
さらにはヒューム状物質の除去処理が容易に可能なガス
精製方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載のガス精製方法は、炭素含有燃料のガ
ス化によって得られる生成ガス中に含まれる硫黄化合物
を吸収剤で吸収除去する乾式の吸収工程と、前記生成ガ
スを洗浄液に気液接触させて、前記生成ガス中に含まれ
る少なくとも塩素化合物又は/及び窒素化合物を吸収除
去する洗浄工程とを有することを特徴とする。さらに、
請求項2記載のガス精製方法は、前記洗浄工程を前記吸
収工程の後に行うことを特徴とする。
【0008】また、請求項3記載のガス精製方法は、前
記洗浄工程を、前記生成ガスが順次導入される二つの洗
浄塔において2段階に行い、一方の洗浄塔における洗浄
液のpHを塩素化合物の吸収に好ましい値に維持すると
ともに、他方の洗浄塔における洗浄液のpHを窒素化合
物の吸収に好ましい値に維持することを特徴とする。ま
た、請求項4記載のガス精製方法は、前記洗浄工程を、
前記生成ガスが順次導入される第1洗浄塔と第2洗浄塔
において2段階に行い、前記第1洗浄塔から導出された
ガスの温度が前記第2洗浄塔において低下するように各
洗浄塔の運転温度を設定することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。 (第1形態例)まず、第1形態例について説明する。図
1は第1形態例のガス精製方法を実施するガス精製装置
の精製部の構成を示す図であり、図2は同装置の石膏回
収部の構成を示す図である。まず、精製部の構成につい
て説明する。図1に示すように、本形態例の精製部は、
固定床式の吸収塔1を三つ有している。各吸収塔内部に
は、Fe,Zn,Mo,Mn,Cu,W等の金属酸化物
からなるハニカム状の吸収剤2が装填され、後述の吸収
工程,再生工程及び還元工程が順次実施される。なお、
図1では、左側の吸収塔1において吸収工程が、中央の
吸収塔1において還元工程が、右側の吸収塔1において
再生工程が行われている状態を示している。
【0010】この精製部には、ガス配管ラインとして、
精製しようとする生成ガスAを後述の吸収工程のために
導入する第1ガス導入ライン11と、生成ガスAを後述
の還元工程のために導入する第2ガス導入ライン12
と、硫黄分除去後の生成ガスA1を導出するガス導出ラ
イン13と、後述の再生工程において吸収塔1から排出
されるガスB(以下、再生ガスBという。)を導出する
ための再生ガス導出ライン14と、後述の再生工程にお
いて吸収塔1に供給されるガスB1(以下、再生循環ガ
スB1という。)を導入するための再生循環ガス導入ラ
イン15と、還元工程を行っている吸収塔1から出たガ
スを吸収工程を行っている吸収塔1に導入するための還
元ガス戻しライン16とが設けられている。
【0011】また、各吸収塔1の生成ガスAの入口と、
上記第1ガス導入ライン11,第2ガス導入ライン12
又は再生ガス導出ライン14とを、開閉自在に接続する
バルブとして、それぞれバルブ21,22,23が設け
られ、また、各吸収塔1の生成ガスA1の出口と、精製
ガス導出ライン13,再生循環ガス導入ライン15又は
還元ガス戻しライン16とを、開閉自在に接続するバル
ブとして、それぞれバルブ24,25,26が各吸収塔
毎に設けられている。また、各吸収塔1の中段位置のガ
ス入口と、還元ガス戻しライン16とを、開閉自在に接
続するバルブとして、バルブ27がそれぞれ設けられて
いる。これらバルブは、図示省略した制御装置によりそ
の作動が制御され、各吸収塔で行われる工程の種類に応
じて切換えられるように構成されている。なお、図1で
は、黒く塗り潰して図示したバルブは閉じた状態となっ
ており、そうでないバルブは開状態にあることを示して
いる。
【0012】なお、生成ガスAは、図示省略したガス化
炉1で、例えば石炭が空気をガス化剤としてガス化され
てなるガス(主成分;一酸化炭素及び水素)である。こ
のように石炭を原料とし空気をガス化剤としてなる生成
ガスAには、通常、1000〜1500ppm程度のH
2S(硫黄化合物)と、100ppm程度のCOS(硫黄
化合物)とが含有され、さらに、100〜1500pp
m程度のNH 3(窒素化合物)と、100ppm程度の
HCl(塩素化合物)が含有されている。また生成ガス
Aは、炉出口直後においては通常1000℃〜2000
℃であるが、通常炉出口側に設けられたスチームヒータ
(図示省略)により熱回収されて例えば350℃程度に
冷却され、その圧力は例えば25〜30kg/cm2程度であ
る。また生成ガスAは、吸収塔1に導入される前に、図
示省略した例えばサイクロンやポーラスフィルタなどの
除塵装置に導入されて、予め粉塵が分離除去される構成
となっている。
【0013】そしてこの精製部には、上記三つの吸収塔
1の後流側に、熱交換器31と、二つの洗浄塔32a,
32bと、場合によりスチームヒータ37が設置されて
いる。熱交換器31では、吸収塔1から導出された生成
ガスA1(温度;例えば400〜430℃程度)の熱に
より、洗浄後のガスA3が例えば300℃〜350℃程
度まで加熱される構成となっている。なお、ガスA1は
この熱交換器31において逆に熱を奪われて、例えば2
30℃程度まで冷却される。スチームヒータ37は、例
えば発電システムの蒸気サイクルから抽気した蒸気の熱
により、熱交換器31の前流で洗浄後のガスA3を若干
加熱する加熱器であり、必要に応じて設けられて、熱交
換器31の負担を軽減するものである。
【0014】洗浄塔32a,32bは、熱交換器31で
冷却された生成ガスA1を、洗浄液C1,C2に順次気
液接触させるものである。これら洗浄塔は、この場合い
わゆる充填式の気液接触塔であり、塔底部に貯留された
水を主成分とする洗浄液C1,C2が循環ポンプ33に
より吸上げられて、塔上部のスプレーパイプ34から噴
射され、ガスA1と気液接触しつつ充填材35を経由し
て流下して再び塔底部に戻って循環する構成となってい
る。また各洗浄塔は、この場合いわゆる向流式のもので
あり、塔下部から導入されたガスA1又はA2が、流下
する洗浄液C1,C2に対向して塔内を上昇し、後述す
る如くNH3等を除去された後、塔頂部から洗浄後のガ
スA2又はA3として排出されるようになっている。
【0015】ここで、前流側の洗浄塔32a(第1洗浄
塔)の洗浄液C1の一部は、この場合循環ポンプ33の
吐出側から分岐する流路により抜き出され、排水C3と
して系外に排出されるようになっている。また、洗浄液
C1,C2の各循環経路のいずれかの位置には、排水C
3として或いはガス中に含まれて持去られる分を補う量
の補給水Dと、洗浄液C1,C2のpHを後述する如く
調整するための酸E(例えば、硫酸)が適宜供給可能と
なっている。また、各洗浄塔32a,32bの塔上部に
は、ガス中のミストを分離除去するミストエリミネータ
36が設けられ、後流側に流出するいわゆる同伴ミスト
の量が低く抑えられる構成となっている。なお図1で
は、後流側の洗浄塔32b(第2洗浄塔)のみに酸Eを
添加しているが、洗浄塔32aにも必要に応じて酸Eを
添加してもよい。また図1では、洗浄塔32bからの排
水C4を洗浄塔32aに導入して、全体的な排水の量の
低減を図っているが、この排水C4を洗浄塔32aとは
別個に排出して、洗浄塔32aと洗浄塔32bの洗浄液
のpH等を全く独立に制御するようにしてもよい。
【0016】次に、石膏回収部の構成について説明す
る。本形態例の石膏回収部は、図2に示すように、カル
シウム化合物含有スラリ(この場合石灰石スラリK)が
供給される反応器50を備えるものである。反応器50
の底部には、反応器50内のスラリを撹拌するととも
に、供給されたガス(再生ガスBと後述する空気Fの混
合ガス)をスラリ中に微細な気泡として効率良く吹込む
ロータリーアトマイザ51が設けられている。なお、こ
のロータリーアトマイザ51の代わりに、いわゆるアー
ム回転式のエアスパージャを設けてもよい。また、例え
ば反応器50の外周に水冷用ジャケットを設け、この水
冷用ジャケットの通水流量を調節することで、反応器5
0内のスラリの温度を任意の範囲(例えば、α型半水石
膏が析出する第1の温度範囲(120℃〜160℃)、
或いは、二水石膏が析出する第2の温度範囲(120℃
以下、好ましくは100℃以下))に制御可能としても
よい。
【0017】ロータリーアトマイザ51には、前述の再
生ガス導出ライン14(図1)に接続された再生ガス導
入ライン61を介して、再生ガスBが供給されるように
なっている。この再生ガス導入ライン61におけるロー
タリーアトマイザ51の前流位置には、図示省略したコ
ンプレッサーから空気Fが供給されるようになってい
る。そして、反応器50の上部には、再生循環ガス導出
ライン62が接続されており、反応器50に再生ガスB
と空気Fとが混合されて吹き込まれて発生するガス(即
ち、再生循環ガスB1)が、この再生循環ガス導出ライ
ン62を経由して、前述の再生循環ガス導入ライン15
(図1)に供給されるようになっている。なお、この再
生循環ガス導出ライン62(或いは反応器50の上部)
には、ミストエリミネータを設けて、反応器50から導
出されるガス中のミスト(反応器50内のスラリがミス
ト化したもの)が除去され、反応器50内に戻されるよ
うにしてもよい。
【0018】また、反応器50には、スラリ抜出しライ
ン63が接続され、反応器50内のスラリがこのライン
63から抜出されて固液分離機64に送られるようにな
っている。このスラリ抜出しライン63には、流量調整
弁65が設けられ、例えば反応器50の液面高さを検出
するレベルセンサ(図示省略)の出力値に基づくレベル
コントローラ(図示省略)の制御により、反応器50の
液面高さを所定値(例えば一定範囲)に制御するように
流量調整弁65の開度が調整されるようになっている。
そして、固液分離機64では、反応器50から抜き出さ
れたスラリが固液分離されて、その固形分(石膏H)が
採取され、ろ液Jはろ液タンク66に取込まれて、ポン
プ67により石灰石スラリタンク68に供給されるよう
になっている。ここで、固液分離機64としては、例え
ばベルトフィルタや遠心式のものが使用できる。
【0019】また、反応器50には、石灰石スラリKが
供給される石灰石スラリ供給ライン69が接続され、石
灰石スラリタンク68内の石灰石スラリKが、ポンプ7
0により供給されるようになっている。ここで、石灰石
スラリタンク68は、図示省略したレベルコントローラ
等の機能により、その液面レベルを略一定に保持するよ
うに、ろ液タンク66からのろ液Jや補給水Lが供給さ
れるとともに、図示省略したサイロから、これら水分の
供給量に応じた量の石灰石M(CaCO3)の粉体が適
宜供給されるもので、石灰石と水分とを混合する撹拌機
(図示省略)を有する。また、ポンプ70は、例えばプ
ランジャ式のポンプで、石灰石スラリKを昇圧して反応
器50内に圧入するものである。なお図示省略している
が、前述のろ液タンク66にも、固形分の沈積を防止す
るための攪拌機が通常設けられることはいうまでもな
い。
【0020】また、石灰石スラリ供給ライン69には、
流量調整弁(図示省略)が設けられ、流量センサ(図示
省略)の出力値に基づく流量コントローラ(図示省略)
の制御により、石灰石スラリKの供給量を所定値に制御
するように上記流量調整弁の開度が調整されるようにな
っている。なおこの場合、上記流量コントローラの制御
目標値は、例えば、反応器50内のスラリのペーハー値
を検出するペーハーセンサ(図示省略)の出力値に基づ
くペーハーコントローラ(図示省略)の出力信号により
適宜変更されるようになっており、これにより、反応器
50内のpH値が、後述する反応器50内における吸収
反応や酸化反応が効率良く進行する最適なpH値(例え
ば、pH=5〜6)に維持されるように、石灰石スラリ
Kの供給量が制御されるようになっている。なお、この
石灰石スラリKの供給量制御は、このようなpH値に基
づく制御に限られないことはいうまでもなく、他のパラ
メータ(例えば、再生ガスB中の亜硫酸ガス量、反応器
50内のスラリ中の炭酸カルシウム濃度など)に基づく
制御であってもよいし、これら複数のパラメータに基づ
く複合制御であってもよい。
【0021】またこの場合、石膏回収部における再生ガ
ス導入ライン61と再生循環ガス導出ライン62には、
図2に示すように、四つの熱交換器41,42,43,
44が設けられている。熱交換器41,43は、再生ガ
スBの熱により再生循環ガスB1を加熱し、同時に再生
ガスBを冷却するものである。また、熱交換器42は、
例えば生成ガスAの熱により再生循環ガスB1をさらに
加熱するものである。なおこの場合、ガス化炉において
発生した生成ガスA(又は生成ガスAの一部)が、第1
ガス導入ライン11等に導入される前に、熱交換器42
を経由するように構成すればよい。また熱交換器44
は、反応器50の前流において、例えば工業用水などの
冷却水Gにより再生ガスBをさらに冷却するものであ
る。また、再生循環ガス導出ライン62(この場合、熱
交換器41,43の間)には、再生循環ガスB1を圧送
するための送風機45(ブロワ等)が設けられている。
【0022】次に、以上のように構成されたガス精製装
置において実施されるガス精製及び石膏回収の動作につ
いて説明する。発電システム等において、ガス化炉(図
示省略)で生成されるガス化ガスは、炉出口直後におい
て、通常1000℃〜2000℃であるが、前述したよ
うに、通常炉出口側に設けられたスチームヒータ(図示
省略)により熱回収されて例えば350℃程度に冷却さ
れ、さらに除塵装置(図示省略)によりダストを除去さ
れた後、生成ガスAとして、図1に示す精製部に導入さ
れる。
【0023】精製部に導入された生成ガスAは、主に第
1ガス導入ライン11からバルブ21を通って、吸収工
程の状態にある吸収塔1(図1では左側の吸収塔1)に
導入され、ハニカム状の吸収剤2(例えばFe34)と
効果的に接触し、例えば下記式(1),(2)の吸収反
応により硫化水素(H2S)及び硫化カルボニル(CO
S)等が硫化物として吸収除去される。そして、この吸
収工程後の生成ガスは、バルブ24及び精製ガス導出ラ
イン13を経由して硫黄分除去後の生成ガスA1として
排出され、熱交換器31を経由して洗浄塔32aに送ら
れる。 3H2S + Fe34 + H2 → 3FeS + 4H2O (1) 3COS + Fe34 + CO → 3FeS + 4CO2 (2)
【0024】また、精製部に導入された生成ガスAの一
部は、第2ガス導入ライン12及びバルブ22を通っ
て、還元工程の状態にある吸収塔1(図1では中央の吸
収塔1)に導入され、再生後の吸収剤2(例えばFe2
3)と効果的に接触し、例えば下記式(3),(4)
の還元反応により、吸収剤を吸収能力のある状態(例え
ばFe34)に変える。なお、この生成ガスAの一部
は、還元工程の状態にある吸収塔1を出ると、バルブ2
6及び還元ガス戻しライン16、さらにはバルブ27を
通って吸収工程の状態にある吸収塔1の中間部に導入さ
れ、前記吸収反応により硫化水素(H2S)及び硫化カ
ルボニル(COS)等が吸収除去され、バルブ24及び
精製ガス導出ライン13を経由して硫黄分除去後の生成
ガスA1の一部として排出される。ここで、この生成ガ
スAの一部(還元工程の状態にある吸収塔1を出たも
の)は、吸収工程の状態にある吸収塔1の例えば入口に
戻すようにしてもよい。 3Fe23 + H2 → 2Fe34 + H2O (3) 3Fe23 + CO → 2Fe34 + CO2 (4)
【0025】また、上記吸収工程や還元工程と同時に、
残りの吸収塔1(図1では右側の吸収塔1)では、硫化
物となった吸収剤を焙焼する再生工程が行われる。すな
わち、再生循環ガス導入ライン15及びバルブ25を通
して残りの吸収塔1内に、再生循環ガスB1が導入さ
れ、この再生循環ガスB1中の酸素と吸収剤とが下記式
(5)の焙焼反応を起こして、吸収剤が再生される。 4FeS + 7O2 → 2Fe23 + 4SO2 (5) そうして、この再生工程において発生した再生ガスB
は、亜硫酸ガス(SO2)を高濃度(例えば0.5〜1
0%程度)に含むガスとなり、バルブ23及び再生ガス
導出ライン14を通って図2に示す石膏回収部に送られ
る。ここで、再生ガスBは、窒素(N2)を主成分(例
えば85〜95%程度)として、亜硫酸ガス(SO2
の他に、微量の二酸化炭素,水分及び酸素を含むガスで
あり、通常、圧力は例えば10〜25kg/cm2程度であ
り、また、吸収塔1の出口では通常600℃程度とな
り、熱交換器41,43,44(図2)などにより冷却
された後でも、熱交換器44での冷却の程度によって
は、数100℃程度の高温高圧ガスとして石膏回収部の
反応器50に送られる。
【0026】そしてこの場合、洗浄塔32a,32bで
は、本発明の洗浄工程が実行される。すなわち洗浄塔3
2a,32bでは、後流機器(例えば、ガス化ガス発電
設備におけるガスタービン)に導入される前の生成ガス
であるガスA1が、水を主成分とする洗浄液C1,C2
に順次気液接触させられるため、ガスA1中に含有され
る溶解度の高いNH3(窒素化合物)やHCl(塩素化
合物)は、特にpH調整等を行わなくても相当量がこれ
ら洗浄液中に吸収され、最終的には排水C3として系外
に排出される。このため、最終的に得られるガスA3
は、H2Sとともに相当量のNH3やHClが吸収除去さ
れた従来にないクリーンなものとなる。また、この洗浄
工程によれば、ガス中の重金属などの不純物も相当量が
洗浄液中に吸収除去される。
【0027】なお、例えば石炭を原料として空気をガス
化剤とするガス化の場合には、生成ガスA1中には通常
HClよりもNH3が多量に含まれているため、なんら
pH調整をしなければ、洗浄液はアルカリ性を示す。洗
浄液がアルカリ性になると、NH3の吸収性能が低下す
る問題が生じる。この問題を解決するため本例では、各
洗浄塔の洗浄液C1,C2中に硫酸等の酸Eを適宜供給
してpH調整する構成としている。
【0028】但し、NH3をより完全に吸収除去するた
めには、pHを例えば強酸領域まで大きく低下させるの
が好ましく、この場合にはHClの吸収性能が低下す
る。このため、本形態例では、HClとNH3の両者を
より完全に除去すべく、2塔式の洗浄工程を採用してい
る。すなわち、本形態例では、洗浄塔32a(第1洗浄
塔)の後流側に洗浄塔32aと同様構成の洗浄塔32b
(第2洗浄塔)を設置し、これら洗浄塔に生成ガスA1
を順次導入して洗浄工程を2段階で行う。
【0029】そして、洗浄塔32aにおける洗浄液C1
のpHを、HClの吸収に好ましい値(例えば弱酸性領
域又は中性領域)に維持するとともに、洗浄塔32bに
おける洗浄液C2のpHを、NH3の吸収に好ましい比
較的低い値(例えば強酸性領域又は弱酸性領域)に維持
する。なお図1では、第2の洗浄塔32bのみに酸Eを
添加しているが、前述したように洗浄塔32aにも必要
に応じて酸Eを添加してもよい。また図1では、洗浄塔
32bからの排水C4を洗浄塔32aに導入して、全体
的な排水の量の低減を図っているが、前述したように、
この排水C4を洗浄塔32aとは別個に排出して、洗浄
塔32aと洗浄塔32bの洗浄液のpH等を全く独立に
制御するようにしてもよい。
【0030】いずれにしろ本形態例によれば、洗浄塔3
2aでHClのほとんどが吸収され、洗浄塔32aで吸
収されずに残留したNH3は、洗浄塔32bでほぼ完全
に吸収除去できる。また、HClやNH3の含有量が別
個に変化したときでも、それに応じて各洗浄塔のpHを
最適値に調整し、さらに洗浄液の循環量を各洗浄塔にお
いて必要最低限に調整することで、運転コストを必要最
小限に維持しつつこれら有害物をいずれもほぼ完全に吸
収除去できる。なお本例の場合、発明者らの計算によれ
ば、最終的に得られる精製後のガスA3のH2S,HC
l,NH3の濃度は、例えばそれぞれ5ppm程度,1
ppm以下,10ppm以下となる。また、精製後のガ
スA3の温度は、熱交換器31での加熱により、例えば
前述したように300℃〜350℃程度の十分な高温と
なる。
【0031】なお、石膏回収部に送られた再生ガスB
は、再生ガス導入ライン61を経由して、供給された空
気Fと混合されて、ロータリーアトマイザ51により、
反応器50のスラリ中に微細な気泡として吹込まれる。
このため、吹込まれた再生ガスBは、含有していたほと
んどの亜硫酸ガスを、反応器50内のスラリ中に吸収さ
れ、最終的には、亜硫酸ガスを除去された清浄なガスと
なって、未反応の空気とともに、再生循環ガス導出ライ
ン62から導出され、再生循環ガスB1として精製部に
送られる。一方、再生ガスB中の亜硫酸ガスを吸収した
スラリは、吹込まれた空気中の酸素と接触して酸化さ
れ、さらには周知の中和反応を起こして石膏となる。こ
の際、反応器50内の圧力は、再生ガスBの高圧を利用
して、例えば5〜25kg/cm2程度の高圧に維持して、上
記吸収及び酸化反応等を少ない気体ボリュームで効率良
く行うことができる。
【0032】また、反応器50内のスラリの温度は、再
生ガスBの温度、及び上記吸収及び酸化反応による発熱
により、そのまま放置すれば極めて高温となるので、前
述したようなジャケットへの冷却水の通水流量や、熱交
換器44での熱回収量を調整することにより、少なくと
も160℃以下の所望温度に制御可能となる。したがっ
て、この温度制御の制御目標値が、二水石膏が析出する
第2の温度範囲(120℃以下、好ましくは100℃以
下)に設定されている場合には、上記中和反応で析出す
る石膏は二水石膏となる。また、前記温度制御の制御目
標値が、α型半水石膏が析出する第1の温度範囲(12
0℃〜160℃)に設定されている場合には、析出する
石膏はα型半水石膏となる。
【0033】なおこの際、再生ガス導入ライン61に供
給される空気Fの流量は、反応器50内のスラリに溶け
込んだ亜硫酸が酸化されて消失するのに必要な酸素量
と、精製部の再生工程において必要な酸素量とを考慮し
た値に連続的に制御される。すなわち、本実施例の場合
には、再生ガス導入ライン61に供給される空気F中の
酸素は、再生循環ガスB1中に含有されて精製部に送ら
れ、精製部の再生工程においても使用される必要がある
ので、例えば図示省略した精製部の制御装置から指令が
送られ、再生工程に必要な酸素量に応じた空気量が上記
空気Fの流量制御の制御目標値に加えられるようになっ
ている。なお、反応器50内のスラリに溶け込んだ亜硫
酸が酸化されて消失するのに必要な酸素量は、例えば反
応器50内のスラリの酸化還元電位を検出することによ
り、亜硫酸濃度と酸化還元電位の相関関係に基づいて判
定することができる。
【0034】また、上記中和反応により、反応器50内
には、石膏(二水石膏又はα型半水石膏)と吸収剤であ
る少量の石灰石(CaCO3)が定常的に懸濁し、これ
らがスラリ抜出しライン63から抜き出される。そし
て、抜き出されたスラリは、固液分離機64に導入され
て固液分離されて、その固形分(石膏H)が採取され、
ろ液Jはろ液タンク66に取込まれて、ポンプ67によ
り石灰石スラリタンク68に供給されて循環使用され
る。
【0035】以上説明したように、本形態例のガス精製
方法によれば、精製後のガスA3は、硫黄化合物ととも
に塩素化合物や窒素化合物などが除去された従来にない
クリーンなものとなる。また、硫黄分の除去工程として
乾式の吸収工程を採用しているため、前述した湿式法の
ような多量な熱エネルギを必要としない。このため、高
い熱効率を確保しつつ、塩素化合物や窒素化合物などの
微量な有害物までもが予め除去された従来にないクリー
ンなガス化ガスが得られる。したがって、このガス精製
方法が、例えばガス化ガス複合発電設備に適用されれ
ば、高い発電効率を実現しつつ、ガス化ガスのガスター
ビン前流でのクリーン化による様々な効果(ガスタービ
ンの信頼性向上、ガスタービンの耐腐食性などの軽減、
ガスタービン後流側での脱硝負荷の軽減、ガスタービン
後流側で大気放出される排ガスの浄化による環境汚染防
止)が奏される。
【0036】なお本形態例では、洗浄塔を吸収塔の後流
側に配置して、吸収工程の後で洗浄工程を行うようにし
ているため、熱効率をより高く維持でき、装置を比較的
簡素な構成に維持できる。というのは、吸収工程におけ
る硫黄化合物の吸収は、通常350℃以上の高温条件で
なければ十分に実現できない。一方、洗浄工程前後のガ
ス間で行う熱交換(上記形態例では、熱交換器31で行
う熱交換)では、洗浄工程前の高温側のガス(上記形態
例では、生成ガスA1)からの熱回収には限界がある。
なぜなら、例えば石炭を原料とし空気をガス化剤とする
ガス化の場合、生成ガスの温度が200℃程度以下にな
ると、ガス中の塩化水素とアンモニアが反応して塩化ア
ンモニウム(固体)が析出し、これが熱交換器内などに
付着しスケールを形成してトラブルの原因となるからで
ある。したがって、仮に吸収工程の前に洗浄工程を行う
構成であると、洗浄工程後のガス(吸収工程に導入され
るガス)の温度が上記熱交換を行ったとしても吸収工程
に適した高温条件に到達困難であるため、別途加熱器を
設けて外部から相当量の熱エネルギを供給して洗浄工程
後のガスを吸収工程の前に加熱する必要が生じ、結局、
その分熱効率が落ちるとともに、装置が複雑になる。し
かし本形態例のように、吸収工程の後に洗浄工程を行う
構成であると、このような問題が生じないので、その分
熱効率をより高く維持できるとともに、装置を比較的簡
素な構成に維持できる。
【0037】(第2形態例)次に、第2形態例を説明す
る。図3は、本発明のガス精製方法の第2形態例を実施
するための装置における精製部の構成を示す図である。
この例は、図1に示した第1形態例の装置構成に対し
て、図3に示す如く冷却器81と除塵手段82とを設置
したものである。この場合冷却器81は、洗浄液C2の
循環流路の途上に設けられ、例えば工業用水等が通水さ
れて洗浄液C2を冷却するものである。また除塵手段8
2は、洗浄塔32bから導出されたガスA3から熱交換
器31の前流においてヒューム状のサブミクロン粒子を
除去する手段で、具体的には例えばセラミックス製エレ
メントよりなるポーラスフィルタや、慣性衝突型の集塵
機(インピンジャー)である。
【0038】そして本例では、このような装置構成によ
り、第1の洗浄塔32aから導出されたガスA2の温度
が第2の洗浄塔32bにおいて低下するように、洗浄塔
32aの運転温度に対して洗浄塔32bの運転温度を低
く調整する。このようにすると、熱交換器31や洗浄塔
32aによるガスA1の冷却で析出した塩化アンモニウ
ム等よりなるヒューム状のサブミクロン粒子が、洗浄塔
32bにおいて凝縮水により積極的に捕集される。すな
わち、洗浄塔32aから導出されたガスA2は含有する
水蒸気が飽和した状態にあるため、洗浄塔32bにおい
てこのガスの温度が低下すると、必ず凝縮水が発生し、
これはガス中の前記サブミクロン粒子を核として凝結す
るので、前記サブミクロン粒子のほとんどはこの凝縮水
とともに、洗浄塔32b内の洗浄液中に捕集される。
【0039】なお本例の場合には、上記洗浄塔32bに
おける捕集作用によっても捕集されなかった僅かなヒュ
ーム状物質があった場合でも、洗浄塔32bの後流に設
置された除塵手段82によりこれが捕集され、より高度
なクリーン化が達成される。但し、要求されているヒュ
ーム状物質の除去率等によっては、除塵手段82を設け
なくてもよいのはいうまでもない。
【0040】なお、本発明は上記形態例に限られず各種
の態様がありうる。例えば、本発明の洗浄工程は、一塔
のみの洗浄塔で行うこともできる。この場合、洗浄塔の
洗浄液のpHを例えば弱酸性程度に保持すればよい。こ
れにより、相当量のNH3及びHClの吸収除去が可能
となる。というのは、HClは強酸であるため、弱酸性
領域であれば十分吸収可能であるからである。但し、N
3をより完全に吸収除去するためには、pHを例えば
強酸領域まで大きく低下させるのが好ましく、この場合
にはHClの吸収性能が低下するため、HClとNH3
の両者をより完全に除去するためには、上記形態例のよ
うな2塔式の洗浄工程とするのが好ましい。
【0041】また、洗浄工程を第1洗浄塔と第2洗浄塔
で2段階に行う場合、第1洗浄塔の洗浄液(例えば、図
3における洗浄液C1)を冷却する冷却器を設けて、そ
の運転温度を例えばHClの吸収に好ましい値に積極的
に管理するようにしてもよい。また、吸収剤を再生する
ための酸素含有ガス(例えば、空気)は、上記形態例の
ように石膏を副生するための酸素含有ガスとともに一カ
所で投入する必要は必ずしもなく、石膏の副生のための
ものとは別個に、或いは複数箇所で投入することもでき
る。また、再生ガスの処理方法として石灰石膏法による
脱硫処理を採用せず、吸収塔において除去した硫黄分か
ら硫黄単体を回収する態様もあり得ることはいうまでも
ない。また、精製部における吸収塔として、固定床式以
外のタイプ(例えば、流動床式や移動床式)を使用して
もよいことはいうまでもない。また、上記形態例におけ
るスチームヒータ37のように、外部からの熱エネルギ
の供給により、例えば熱交換器31の前流で生成ガスA
3を若干加熱する加熱器を設け、熱交換器31の負担を
軽減する(即ち、熱回収後の生成ガスA1の温度を高め
て、熱交換器31内での塩化アンモニウム析出を信頼性
高く防止する)ようにしてもよい。なおこの場合でも、
洗浄塔を吸収塔の前流に配置して洗浄工程を吸収工程よ
りも先に行う場合に比較して、この加熱器において供給
すべき熱エネルギは少なくてすむ。
【0042】
【発明の効果】請求項1記載のガス精製方法は、生成ガ
ス中に含まれる硫黄化合物を吸収剤で吸収除去する乾式
の吸収工程と、生成ガスを洗浄液に気液接触させて、生
成ガス中に含まれる少なくとも塩素化合物又は/及び窒
素化合物を吸収除去する洗浄工程とを有する。このた
め、精製後の生成ガスは、硫黄化合物とともに塩素化合
物や窒素化合物などが除去された従来にないクリーンな
ものとなる。また、硫黄分の除去工程として乾式の吸収
工程を採用しているため、前述した湿式法のような多量
な熱エネルギを必要としない。このため、高い熱効率を
確保しつつ、塩素化合物や窒素化合物などの微量な有害
物までもが予め除去された従来にないクリーンなガス化
ガスが得られる。したがって、このガス精製方法が、例
えばガス化ガス複合発電設備に適用されれば、高い発電
効率を実現しつつ、ガス化ガスのガスタービン前流での
クリーン化による様々な効果(ガスタービンの信頼性向
上、ガスタービンの耐腐食性などの軽減、ガスタービン
後流側での脱硝負荷の軽減、ガスタービン後流側で大気
放出される排ガスの浄化による環境汚染防止)が奏され
る。
【0043】なお出願人は、アミン吸収液を使用した湿
式の硫黄化合物吸収工程に、洗浄液による洗浄工程を組
み合わせたガス精製方法を以前に提案しているが、本発
明によれば、この方法と同程度の生成ガスのクリーン化
が可能となり、しかも熱効率の点では、この方法を上回
る高い性能が得られる。また、アミン吸収液を使用した
湿式の硫黄化合物吸収工程では、生成ガス中に含まれる
硫化カルボニル(COS)がそのまま除去できないた
め、予めCOS変換触媒が装填された反応器(COSコ
ンバータ)に導入して、このCOSを硫化水素に変換す
る必要がある。しかし、本発明の方法では、このCOS
もそのまま除去できる乾式の吸収工程を採用しているた
め、このようなCOSコンバータが不要であるという利
点もある。
【0044】さらに、請求項2記載のガス精製方法で
は、前記洗浄工程を前記吸収工程の後に行う構成として
いるため、熱効率をより高く維持でき、装置を比較的簡
素な構成に維持できる。というのは、吸収工程における
硫黄化合物の吸収は、通常350℃以上の高温条件でな
ければ十分に実現できない。一方、洗浄工程前後のガス
間で行う熱交換(上記形態例では、熱交換器31で行う
熱交換)では、洗浄工程前の高温側のガス(上記形態例
では、生成ガスA1)からの熱回収には限界がある。な
ぜなら、例えば石炭を原料とし空気をガス化剤とするガ
ス化の場合、生成ガスの温度が200℃程度以下になる
と、ガス中の塩化水素とアンモニアが反応して塩化アン
モニウム(固体)が析出し、これが熱交換器内などに付
着しスケールを形成してトラブルの原因となるからであ
る。したがって、仮に吸収工程の前に洗浄工程を行う構
成であると、洗浄工程後のガス(吸収工程に導入される
ガス)の温度が上記熱交換を行ったとしても吸収工程に
適した高温条件に到達困難であるため、別途加熱器を設
けて外部から比較的多くの熱エネルギを供給して洗浄工
程後のガスを吸収工程の前に加熱する必要が生じ、結
局、その分熱効率が落ちるとともに、装置が複雑にな
る。しかし本形態例のように、吸収工程の後に洗浄工程
を行う構成であると、このような問題が生じない(又
は、その程度が少ない)ので、その分熱効率をより高く
維持できるとともに、装置を比較的簡素な構成に維持で
きる。
【0045】また、請求項3記載のガス精製方法は、前
記洗浄工程を、生成ガスが順次導入される二つの洗浄塔
において2段階に行い、一方の洗浄塔における洗浄液の
pHを塩素化合物の吸収に好ましい値に維持するととも
に、他方の洗浄塔における洗浄液のpHを窒素化合物の
吸収に好ましい値に維持する。このため、一方の洗浄塔
で塩素化合物のほとんどが吸収され、一方の洗浄塔で吸
収されずに残留した窒素化合物は、他方の洗浄塔でほぼ
完全に吸収除去できる。また、塩素化合物や窒素化合物
の含有量が別個に変化したときでも、それに応じて各洗
浄塔のpHを最適値に調整し、さらに洗浄液の循環量を
各洗浄塔において必要最低限に調整することで、運転コ
ストを必要最小限に維持しつつこれら有害物をいずれも
ほぼ完全に吸収除去できるという優れた効果が奏され
る。
【0046】また、請求項4記載のガス精製方法は、前
記洗浄工程を、生成ガスが順次導入される第1洗浄塔と
第2洗浄塔において2段階に行い、前記第1洗浄塔から
導出されたガスの温度が前記第2洗浄塔において低下す
るように各洗浄塔の運転温度を設定する。これにより、
生成ガス中のヒューム状のサブミクロン粒子が、第2洗
浄塔において凝縮水により積極的に捕集される。すなわ
ち、第1洗浄塔から導出されたガスは含有する水蒸気が
飽和した状態にあるため、第2洗浄塔においてこのガス
の温度が低下すると、必ず凝縮水が発生し、これはガス
中の前記サブミクロン粒子を核として凝結するので、前
記サブミクロン粒子のほとんどはこの凝縮水とともに、
第2洗浄塔で洗浄液中に捕集される。したがって、生成
ガス中のヒューム状物質の濃度を従来よりも格段に低下
させることができ、ヒューム状物質による前述の問題点
が解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス精製方法(第1形態例)を実施す
る装置構成(精製部)を示す図である。
【図2】本発明のガス精製方法(第1形態例)を実施す
る装置構成(石膏回収部)を示す図である。
【図3】本発明のガス精製方法(第2形態例)を実施す
る装置構成(精製部)を示す図である。
【符号の説明】
1 吸収塔 2 吸収剤 31 熱交換器 32a 洗浄塔(第1洗浄塔) 32b 洗浄塔(第2洗浄塔) 81 冷却器 82 除塵手段 A,A1〜A3 生成ガス B 再生ガス B1 再生循環ガス(酸素含有ガス) C1,C2 洗浄液 C3 排水 D 補給水 E 酸 F 空気(酸素含有ガス)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長安 立人 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三 菱重工業株式会社内 (72)発明者 沖野 進 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 本城 新太郎 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 Fターム(参考) 4H060 AA01 BB01 BB22 BB23 CC15 DD12 DD13 DD21 DD24 FF03 FF04 GG01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素含有燃料のガス化によって得られる
    生成ガス中に含まれる硫黄化合物を吸収剤で吸収除去す
    る乾式の吸収工程と、 前記生成ガスを洗浄液に気液接触させて、前記生成ガス
    中に含まれる少なくとも塩素化合物又は/及び窒素化合
    物を吸収除去する洗浄工程とを有することを特徴とする
    ガス精製方法。
  2. 【請求項2】 前記洗浄工程を前記吸収工程の後に行う
    ことを特徴とする請求項1記載のガス精製方法。
  3. 【請求項3】 前記洗浄工程は、前記生成ガスが順次導
    入される二つの洗浄塔において2段階に行い、一方の洗
    浄塔における洗浄液のpHを塩素化合物の吸収に好まし
    い値に維持するとともに、他方の洗浄塔における洗浄液
    のpHを窒素化合物の吸収に好ましい値に維持すること
    を特徴とする請求項1又は2記載のガス精製方法。
  4. 【請求項4】 前記洗浄工程は、前記生成ガスが順次導
    入される第1洗浄塔と第2洗浄塔において2段階に行
    い、前記第1洗浄塔から導出されたガスの温度が前記第
    2洗浄塔において低下するように各洗浄塔の運転温度を
    設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに
    記載のガス精製方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004016717A1 (ja) * 2002-08-06 2004-02-26 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. 湿式ガス精製方法およびそのシステム
US7312171B2 (en) * 2002-12-30 2007-12-25 Uchicago Argonne, Llc Method of binding structural material
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CN104569092A (zh) * 2015-01-22 2015-04-29 首钢总公司 一种用于检测高炉煤气含氯量的方法及其装置

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