JP2000053980A - ガス精製方法 - Google Patents

ガス精製方法

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JP2000053980A
JP2000053980A JP10239466A JP23946698A JP2000053980A JP 2000053980 A JP2000053980 A JP 2000053980A JP 10239466 A JP10239466 A JP 10239466A JP 23946698 A JP23946698 A JP 23946698A JP 2000053980 A JP2000053980 A JP 2000053980A
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liquid
sulfuric acid
sulfur
absorption
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Atsushi Tatani
淳 多谷
Makoto Suzaki
洲崎  誠
Susumu Okino
沖野  進
Shintaro Honjo
新太郎 本城
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 石炭ガス化プロセスの生成ガス中から吸収除
去した硫黄化合物から硫酸が容易に回収でき、この硫酸
を利用して生成ガス中のアンモニア等の除去処理が低コ
ストで可能なガス精製方法を提供する。 【解決手段】 生成ガスA2を洗浄塔5,6で洗浄液
B,B1に接触させてアンモニア等を吸収除去する洗浄
工程と、その後の生成ガスA4を脱硫塔21で硫黄化合
物の吸収液Fに接触させて硫化水素等を吸収除去する硫
黄化合物除去工程と、吸収液Fに再生塔22で熱を加え
て硫化水素を含む再生ガスH1に再生する再生工程と、
再生ガスH1を二酸化硫黄と三酸化硫黄を含む排ガスH
5に転換させる転換工程と、排ガスH5を硫酸吸収塔4
3で硫酸水溶液Eに接触させて三酸化硫黄を硫酸として
吸収する硫酸吸収工程と、この硫酸吸収工程で吸収した
硫酸E1を必要に応じて洗浄液B,B1に添加してその
pH調整を実行する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭ガス化プロセ
ス等の生成ガスの精製方法に係わり、特に、生成ガス中
から吸収除去した硫黄化合物から有用な石膏や硫酸が容
易に回収でき、生成ガス中の不純物(アンモニア等)の
除去処理が低コストで可能なガス精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、石油資源の枯渇、価格の高騰か
ら、燃料の多様化が叫ばれ、石炭や重質油の利用技術開
発が進められており、その一つとして、石炭や重質油を
ガス化して発電燃料や合成原料とする技術が注目されて
いる。また、ガス化ガスによる発電は、石炭や石油によ
る従来の火力発電に比較して効率が良いので、有限な資
源の有効利用の点からも注目されている。しかし、この
ガス化による生成ガスには、数100〜数1000pp
mの硫黄化合物(硫化水素等)が含まれ、これは公害防
止のため、或いは後流機器(例えばガスタービン等)の
腐食防止等のため、除去する必要が有る。この除去方法
としては、例えば特開平7−48584号公報に示され
るように、ガスを吸収液に気液接触させる湿式のガス精
製方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
ガス精製方法では、生成ガスに含まれる塩化水素(HC
l)やアンモニア(NH3)、さらにはヒューム状物質
(サブミクロン粒子)等の有害な不純物については特に
考慮されておらず、改善が望まれていた。すなわち、一
般に石炭ガス化プロセス等の生成ガスには、例えば10
0〜1500ppm程度のアンモニアと、例えば100
ppm程度の塩化水素が含有され、また生成ガスから熱
回収する熱交換器等では塩化エンモニウム等よりなるヒ
ューム状物質が発生しガス中に含有されるので、さらな
るクリーン化のためにはこれらを除去する必要がある。
【0004】なお、このうち塩化水素は、強酸であって
ステンレス材に対しても腐食性があり、設備材料を保護
する観点から特になるべく前流側で除去する必要がある
とともに、生成ガスがガスタービン等で燃焼してなる排
ガス中に含有されるかたちで大気中に排出される塩素化
合物の量を低減するためにも除去する必要がある。また
アンモニアは、一般にアミンを吸収剤として含む吸収液
(アルカリ性)を用いた脱硫塔における気液接触処理で
はほとんど除去されず、ガスタービン等で燃焼して有害
な窒素酸化物となり、ガスタービン等の後流側に一般的
に設けられる脱硝装置の負荷を増大させるので問題であ
った。
【0005】またヒューム状物質は、やはり脱硫塔で除
去が困難であり、ヒューム状で通過するとガスタービン
の材料腐食トラブルを引き起こしたり、燃焼によって熱
分解して有害物(窒素化合物や塩素化合物等)として大
気中に排出されるため、やはりなるべく前流側で除去す
る必要がある。そこで出願人は、これら不純物を除去す
る方法として、脱硫塔とは別個の洗浄塔において生成ガ
スを洗浄液に気液接触させて洗浄し、洗浄液中にこれら
有害物を吸収させて除去する方法や、この洗浄塔におい
て水分凝縮を起こさせてヒューム状物質を水分凝縮の核
として捕集する方法を提案している。
【0006】しかしこの場合には、上記洗浄液に硫化水
素等の硫黄化合物が吸収されないように、またアンモニ
アや塩化水素が効果的に吸収できるように、上記洗浄液
のpHを調整する必要があり、通常は硫酸等の酸を別途
入手して添加する必要が生じる。というのは、前述した
ように生成ガス中の不純物(硫黄化合物以外の不純物)
としては塩化水素よりもアンモニアが多量に含まれるの
で、なんらpH調整を行わなければ、アンモニアの溶解
により洗浄液は相当のアルカリ性を呈するようになる。
そして、洗浄液がこのようにアルカリ性を呈するように
なると、アンモニアが吸収されないでスリップするよう
になるとともに、硫化水素等の硫黄化合物も相当量吸収
されるようになり、洗浄液の排水処理がより困難になる
という不具合が生じる。このため、上記洗浄液にはアン
モニアの量に見合った量の硫酸等を継続的に添加して、
そのpHを例えば中性から酸性側に調整維持する必要が
ある。ところが、このpH調整のための硫酸等を別途購
入して添加するのでは、運転コストが嵩む。また、上述
した洗浄塔での気液接触により前述の不純物を除去する
方法を採用した場合には、洗浄液中への不純物の蓄積を
防止するために、上記洗浄液の一部を排水する必要があ
り、その後処理(排水処理)が問題となる。
【0007】そこで本発明は、生成ガス中から吸収除去
した硫黄化合物から硫酸が容易に回収でき、この硫酸を
利用して生成ガス中の不純物(アンモニア等)の除去処
理が低コストで可能なガス精製方法を提供することを主
目的としている。また本発明は、前記不純物の除去処理
のための独立しためんどうな排水処理が不要なガス精製
方法を提供することを目的としている。また、除去した
不純物中のアンモニアの有効利用が図れるガス精製方法
を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明によるガス精製方法は、炭化水
素系燃料のガス化によって得られる生成ガスの精製方法
であって、前記生成ガスを洗浄塔に導入して洗浄液に気
液接触させることにより、前記生成ガス中の少なくとも
アンモニアを含む不純物を吸収除去する洗浄工程と、こ
の洗浄工程を経た前記生成ガスを硫黄化合物の吸収液に
気液接触させることにより、前記生成ガス中の少なくと
も硫化水素を含む硫黄化合物を吸収除去する硫黄化合物
除去工程と、この硫黄化合物除去工程で前記硫黄化合物
を吸収した吸収液に熱を加えて少なくとも硫化水素を含
む再生ガスに再生する再生工程と、前記再生ガスを二酸
化硫黄と三酸化硫黄を含む排ガスに転換させる転換工程
と、この転換工程を経た排ガスを硫酸の水溶液に気液接
触させて、前記排ガス中の三酸化硫黄を硫酸として吸収
除去する硫酸吸収工程と、カルシウム化合物を含有する
二酸化硫黄の吸収液に、前記排ガスを気液接触させるこ
とにより、前記排ガス中の二酸化硫黄を吸収して石膏を
副生する亜硫酸ガス吸収工程とを備え、前記硫酸吸収工
程で吸収除去した硫酸を必要に応じて前記洗浄工程の洗
浄液に添加することにより、前記洗浄液のpH調整を実
行することを特徴とする。
【0009】また、請求項2記載のガス精製方法は、前
記転換工程が、前記再生ガスを燃焼させて少なくとも二
酸化硫黄を含む排ガスに転換させる燃焼工程と、この燃
焼工程で生じた排ガス中の二酸化硫黄の一部を触媒反応
により三酸化硫黄に転換する触媒反応工程とよりなるこ
とを特徴とする。
【0010】また、請求項3記載のガス精製方法は、前
記硫酸吸収工程を経た排ガスの一部を、前記燃焼工程又
は触媒反応工程に戻して再処理することを特徴とする。
【0011】また、請求項4記載のガス精製方法は、前
記燃焼工程に導入される再生ガス、又は前記触媒反応工
程に導入される排ガスに、酸素又は酸素富化空気を注入
して酸素分圧を高めることを特徴とする。
【0012】また、請求項5記載のガス精製方法は、前
記洗浄液の一部を前記洗浄塔から抜き出してなる抜出し
液に必要に応じてアルカリ性のカルシウム化合物を添加
することにより、前記抜出し液のpHを中性付近に調整
するpH調整工程と、このpH調整工程を経た前記抜出
し液を蒸発缶で蒸発させ、この蒸発缶から出た蒸発ガス
を凝縮させることにより、前記洗浄液に吸収された前記
生成ガス中のアンモニアをアンモニア水として回収する
アンモニア回収工程とを、さらに備えたことを特徴とす
る。
【0013】また、請求項6記載のガス精製方法は、前
記アンモニア回収工程の蒸発缶に残留した濃縮液を抜出
して固液分離処理する固液分離工程をさらに備え、この
固液分離工程で分離された前記濃縮液の液分を前記亜硫
酸ガス吸収工程の吸収液中に導入して処理することを特
徴とする。
【0014】また、請求項7記載のガス精製方法は、前
記アンモニア回収工程の蒸発缶に残留した濃縮液を抜出
して固液分離処理する固液分離工程をさらに備え、この
固液分離工程で分離された前記濃縮液の固形分を前記亜
硫酸ガス吸収工程の吸収液中に導入して処理することを
特徴とする。
【0015】また、請求項8記載のガス精製方法は、前
記アンモニア回収工程の蒸発缶に残留した濃縮液を、前
記亜硫酸ガス吸収工程の吸収液中に導入して処理するこ
とを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のガス精製
方法の一例を実施する設備における主にガス洗浄部及び
脱硫部の構成を示す図であり、図2は同設備における硫
酸回収部及び石膏回収部の構成を示す図であり、図3は
同設備におけるアンモニア回収部の構成を示す図であ
る。
【0017】まず、図1によりガス洗浄部の構成及び基
本動作について説明する。図示省略したガス化炉では、
例えば石炭が空気をガス化剤としてガス化され、一酸化
炭素及び水素を主成分とした生成ガスAが発生する。こ
のように石炭を原料とし空気をガス化剤としてなる生成
ガスAには、通常、1000〜1500ppm程度の硫
化水素(H2S)と、100ppm程度の硫化カルボニル
(COS)とが含有され、さらに、100〜1500p
pm程度のアンモニアと、100ppm程度の塩化水素
が含有されている。また生成ガスAは、炉出口直後にお
いては通常1000℃〜2000℃であるが、通常炉出
口側に設けられたスチームヒータ(図示省略)により熱
回収されて例えば350℃程度に冷却され、その圧力は
例えば26ata程度である。
【0018】この生成ガスAは、まずサイクロンやポー
ラスフィルタよりなる除塵手段1に導入され、大径な粉
塵と微細な粉塵とが分離除去される構成となっている。
除塵手段1の後流には、熱交換器2が設けられ、除塵手
段1から導出されたガスA1の熱により浄化された後の
ガスA5が加熱される。なお、ガスA1はこの熱交換器
2において逆に熱を奪われて、例えば230℃程度まで
冷却される。この熱交換器2の後流には、COSを硫化
水素に変換する触媒が装填された変換器3が設けられ、
生成ガスA1中のCOSのほとんどがここで硫化水素に
変換される。またこの変換器3の後流には、熱交換器4
が設けられ、変換器3から導出されたガスA2の熱によ
っても浄化された後のガスA5が加熱される構成となっ
ている。なお、変換器3の触媒の不純物に対する耐性や
温度特性によっては、変換器3を後述する洗浄塔5,6
の後流側に配置する態様や、熱交換器2を設けないで変
換器3の後流側でのみ熱回収する態様や、熱交換器4を
設けないで変換器3の前流側でのみ熱回収する態様など
があり得る。
【0019】そして、熱交換器4の後流には、ガスA2
を後述の脱硫塔21に導入する前に、洗浄液B,B1に
順次気液接触させる洗浄塔5,6が順次設置されてい
る。洗浄塔5は、この場合いわゆる充填式の気液接触塔
であり、塔底部に貯留された水を主成分とする洗浄液B
が循環ポンプ7により吸上げられて、塔上部のスプレー
パイプ8から噴射され、ガスA2と気液接触しつつ充填
材9を経由して流下して再び塔底部に戻って循環する構
成となっている。また洗浄塔5は、この場合いわゆる向
流式のものであり、塔下部から導入されたガスA2が、
流下する洗浄液Bに対向して塔内を上昇し、後述する如
く主にアンモニアを除去された後、塔頂部から洗浄後の
ガスA3として排出される。洗浄塔5の塔上部には、ガ
ス中のミストを分離除去するミストエリミネータ10
と、このミストエリミネータ10の上方からミストエリ
ミネータの洗浄水D(例えば、工業用水)を適宜噴射す
るためのスプレーパイプ11が設けられ、洗浄液Bを構
成する水分が補給されるとともに、後流側に流出するい
わゆる同伴ミストの量が低く抑えられる構成となってい
る。またここで、洗浄塔5の洗浄液Bには、後述する硫
酸吸収塔43(図2に示す)で回収された硫酸を高濃度
に含む水溶液E1が注入可能とされ、この注入量等を操
作することによって洗浄液Bの後述するpH調整が可能
となっている。
【0020】また洗浄塔6は、やはり充填式の気液接触
塔であり、塔底部に貯留された水を主成分とする洗浄液
B1が循環ポンプ12により吸上げられて、塔上部のス
プレーパイプ13から噴射され、ガスA3と気液接触し
つつ充填材14を経由して流下して再び塔底部に戻って
循環する構成となっている。この洗浄塔6は、この場合
いわゆる並流式のものであり、塔上部から導入されたガ
スA3が、流下する洗浄液B1と並行して塔内を下降
し、後述する如く主に塩化水素を除去された後、塔下部
から洗浄後のガスA4として排出される。
【0021】この場合、洗浄塔6の洗浄液B1の循環流
路の途上には、冷却器15が設置されている。この冷却
器15は、例えば工業用水等が通水されて洗浄液B1を
冷却するものである。このような装置構成であると、洗
浄塔5から導出されたガスA3の温度が洗浄塔6におい
て低下するように、洗浄塔5の運転温度に対して洗浄塔
6の運転温度を低く調整することが可能になる。このよ
うにすると、熱交換器4や洗浄塔5によるガスA2の冷
却で析出した塩化アンモニウム等よりなるヒューム状の
サブミクロン粒子が、洗浄塔6において凝縮水により積
極的に捕集される。
【0022】すなわち、洗浄塔5から導出されたガスA
3は含有する水蒸気が飽和した状態にあるため、洗浄塔
6においてこのガスの温度が低下すると、必ず凝縮水が
発生し、これはガス中の前記サブミクロン粒子を核とし
て凝結するので、前記サブミクロン粒子のほとんどはこ
の凝縮水とともに、洗浄塔6内の洗浄液中に捕集され
る。なお、洗浄塔6から導出されたガスA4からヒュー
ム状のサブミクロン粒子を除去する除塵手段(例えばポ
ーラスフィルタ)を別途設置してもよい。この場合、上
記洗浄塔6における捕集作用によっても捕集されなかっ
た僅かなヒューム状物質があった場合でも、これが洗浄
塔6の後流で捕集されるので、より高度なクリーン化を
達成することができる。
【0023】ところで、洗浄塔6の洗浄液B1の一部
は、この場合洗浄塔6の塔底部から伸びる流路により、
例えば洗浄塔6の洗浄液B1の保有レベルが一定範囲に
維持されるように適宜抜き出され、排水B2として洗浄
塔5の塔底部(洗浄液B)に送られるようになってい
る。また、洗浄塔5の洗浄液Bの一部も、この場合洗浄
塔5の塔底部から伸びる流路により、例えば洗浄塔5の
洗浄液Bの保有レベルが一定範囲に維持されるように適
宜抜き出され、排水Cとして系外に排出されるようにな
っている。また、洗浄塔6の洗浄液B1の循環経路のい
ずれかには、洗浄液B1を構成する補給水D1(例え
ば、工業用水)が適宜供給される構成となっている。な
おこの場合、洗浄塔5の洗浄液Bは、前述のミストエリ
ミネータ10の洗浄水Dや、洗浄塔6から送られてくる
排水B2、或いはpH調整用に導入される硫酸の水溶液
E1によって構成される。
【0024】そして、洗浄塔5における洗浄液BのpH
は、硫酸の水溶液E1の注入量を調整することで、アン
モニアの吸収に最適な比較的低い値(例えば強酸性領域
又は弱酸性領域)に維持される構成となっている。な
お、硫酸の水溶液E1の注入量を増やせば、洗浄液B1
のpHを酸性側に操作することが可能であり、硫酸の水
溶液E1の注入量を減らせば、アンモニアの吸収により
洗浄液BのpHはアルカリ性側に変化するので、洗浄液
BのpHを検出して監視しつつ硫酸の水溶液E1の注入
量を調整すれば、洗浄液BのpH調整が可能である。ま
た、洗浄塔6における洗浄液B1のpHは、硫化水素を
過度に吸収しない範囲で最適な値(例えば弱酸性領域又
は中性領域)に維持される構成となっている。なお、補
給水D1はほぼ中性であるので、洗浄液B1のpHを酸
性側に変化させる操作が十分にできない可能性があり、
このような場合には、硫酸の水溶液E1を必要に応じて
洗浄塔6にも注入するようにしてもよい。
【0025】次に、脱硫部の構成及び動作を図1により
説明する。脱硫部は、主に脱硫塔21と再生塔22とよ
りなる。脱硫塔21は、前述の洗浄塔5,6と同様な気
液接触塔であり、再生塔22の塔底部に貯留された硫黄
化合物(主に硫化水素)の吸収液Fが循環ポンプ23に
より吸上げられて、吸収液熱交換器24で冷却された
後、塔上部のスプレーパイプ25から噴射され、ガスA
4と気液接触しつつ充填材26を経由して流下する構成
となっている。また、吸収液Fと気液接触して主に硫化
水素を除去されたガスA4は、ミストエリミネータ27
により同伴ミストを除去された後、精製後のガスA5と
してこの脱硫塔21の塔頂部から排出され、前述の熱交
換器4及び熱交換器2により順次加熱されて、ガス化発
電のガスタービン等に高温高圧燃料として送られるガス
A6となる。なお通常は、例えば、ガスA6の圧力は例
えば25.5ata程度、その温度は300℃程度とな
り、またその硫黄分(H2S及びCOSの濃度)は10p
pm以下となる。また本例の場合、発明者らの計算によ
れば、最終的に得られる精製後のガスA6の塩化水素及
びアンモニア濃度は、例えばそれぞれ1ppm以下,1
0ppm以下となる。
【0026】一方、再生塔22は、脱硫塔21の塔底部
に貯留された吸収液Fが循環ポンプ28により吸上げら
れて、吸収液熱交換器24で加熱された後、塔上部のス
プレーパイプ29から噴射され、塔内を上昇する吸収液
Fの蒸気や吸収成分(オフガス)と接触しつつ充填材3
0を経由して流下する構成となっている。この再生塔2
2の塔底部の吸収液Fは、リボイラ31において水蒸気
Gにより加熱され、これにより、吸収成分である主に硫
化水素がこの再生塔22においてガス側に放散されるよ
うになっている。そして、この硫化水素を含むオフガス
Hは、ミストエリミネータ32においてミストを除去さ
れた後、再生塔22の頂部に設けられた還流部を経てよ
り高濃度に硫化水素を含む再生ガスH1として、後述の
石膏回収部に送られる。
【0027】なおここで、再生塔22の頂部に設けられ
た還流部は、オフガスHが冷却器33により冷却される
ことにより生成され、タンク34に貯留されたオフガス
Hの凝縮液Iが、ポンプ35によりスプレーパイプ36
から噴射されるもので、これによりオフガスH中の蒸気
がより多く液化し、液中の吸収成分である硫化水素がよ
り多く放散して、例えば体積パーセントで20%程度の
高濃度の硫化水素を含む再生ガスH1が得られる。
【0028】次に、硫酸回収部及び石膏回収部の構成及
び動作について、図2により説明する。本例の硫酸回収
部及び石膏回収部は、再生ガスH1を酸素含有ガスJと
反応させて含有される硫化水素を燃焼させる燃焼炉41
と、この燃焼炉41で再生ガスH1が燃焼してなる排ガ
スH2中の二酸化硫黄(SO2)を三酸化硫黄(SO3)に
転換する触媒反応器42と、この触媒反応器42を経た
排ガスH3から主に三酸化硫黄(SO3)を硫酸として吸
収除去する硫酸吸収塔43と、この硫酸吸収塔43に導
入される前の排ガスH3の熱で硫酸吸収塔43から排出
された排ガスの一部H4を加熱する熱交換器44と、硫
酸吸収塔43から排出された残りの排ガスH5から主に
亜硫酸ガス(二酸化硫黄)よりなる硫黄酸化物を吸収除
去して無害な排ガスH6として排出する湿式石灰石膏法
の脱硫装置50(亜硫酸ガス除去装置)とを備えるもの
である。
【0029】ここで、触媒反応器42は、二酸化硫黄を
三酸化硫黄に転換する酸化反応を促進する一般的な周知
の触媒(例えば、五酸化バナジウムを触媒主成分とする
もの)が内部に装填されたものである。この場合の触媒
反応器42に導入される排ガスH2の温度は400℃程
度であり、一般的な触媒を使用した構成でも、高い転換
率が容易に実現可能である。ちなみに、このような触媒
による二酸化硫黄の酸化反応は、化学プラント等におけ
る硫酸製造工程において広く利用されている反応であ
り、高い転換率が実現可能である。なお、燃焼炉41に
導入される酸素含有ガスJとして酸素や酸素富化空気を
注入するか、或いは、触媒反応器42に導入される排ガ
スH2中に酸素や酸素富化空気を注入することによっ
て、排ガスH2中の酸素分圧を高めれば、上記酸化反応
をより促進することができる。
【0030】次に、硫酸吸収塔43は、前述の洗浄塔
5,6と同様な気液接触塔であり、塔底部に貯留された
吸収液(硫酸の水溶液)Eが循環ポンプ45により吸上
げられて、塔上部のスプレーパイプ46から噴射され、
排ガスH3と気液接触しつつ充填材47を経由して流下
する構成となっている。なお、この硫酸吸収塔43で三
酸化硫黄の吸収剤として機能する水溶液E中の硫酸は、
初期運転開始時等にのみ系外から供給すればよく、通常
運転中は三酸化硫黄として絶え間なく吸収されるため外
部から供給する必要は特にない。また、吸収液Eと気液
接触して主に三酸化硫黄を除去された排ガスH3は、ミ
ストエリミネータ48により同伴ミストを除去された
後、この硫酸吸収塔43の塔頂部から排出され、その一
部が排ガスH4として燃焼炉41の前流に戻され、残り
が排ガスH5として脱硫装置50に送られる構成となっ
ている。なおここで、排ガスH4は触媒反応器42の前
流に戻してもよい。即ち排ガスH4は、熱交換器44で
加熱した後、例えば排ガスH2に混入させてもよいし、
排ガスH2とともに触媒反応器42に導入する態様でも
よい。
【0031】また、吸収液Eの一部は、この場合循環ポ
ンプ45の吐出側から分岐する流路により適宜抜き出さ
れ、硫酸の水溶液E1として前述の洗浄塔5の洗浄液B
に導入可能な構成となっている。なお、この硫酸吸収塔
43の吸収液Eは、排水しないで単に循環させているだ
けでは、排ガスH3中の三酸化硫黄の吸収により硫酸濃
度が過度に高まり、ついには三酸化硫黄が効果的に吸収
できなくなってしまう。このため、前述の洗浄液Bのp
H調整に必要な分以上に、水溶液E1として多量に抜き
出す必要が生じる可能性があるが、この場合には、図2
に点線で示すように水溶液E1の残りを脱硫装置50の
後述の吸収塔51内の吸収液K中に導入する構成とすれ
ばよい。また、硫酸吸収塔43の吸収液Eの循環経路の
いずれかには、水溶液E1として或いは排ガスH4,H
5中に含まれて持去られる分を補う量の補給水(図示
略)が供給される構成となっている。またなお、この硫
酸吸収塔43に導入される排ガスH3は、熱交換器44
における排ガスH4との熱交換で冷却され、硫酸吸収塔
43における三酸化硫黄の吸収に好ましい温度範囲(7
0℃〜85℃程度)に調整される。また、硫酸吸収塔4
3から排出される排ガスH4,H5の温度は、70℃〜
85℃程度となる。
【0032】次に、脱硫装置50は、硫酸吸収塔43か
ら排出された排ガスH5をスラリ状の吸収液Kと気液接
触させて、この排ガスH5中に残留する亜硫酸ガス(触
媒反応器42で転換されずに残った二酸化硫黄)を主に
吸収除去する吸収塔51と、この吸収塔51内の吸収液
中に酸化用空気(図示略)を必要に応じて吹込む空気供
給手段(図示略)と、吸収塔51から抜き出されたスラ
リM(石膏スラリ)を固液分離する遠心分離機等の固液
分離手段52と、吸収液Kのもととなるスラリ状の吸収
剤K0を調製するためのスラリ調製槽53とを主に備え
る構成となっている。なおこの場合、固液分離手段52
における固液分離により生成した分離水M2は、吸収塔
51内の吸収液Kを構成する水分として、この場合吸収
塔51の底部のタンク内に直接戻されている。
【0033】ここで吸収塔51は、いわゆる液柱式の気
液接触塔であり、酸化用空気が吹込まれるスラリタンク
54と、スラリタンク54内の吸収液Kを吸上げて循環
させる循環ポンプ55と、循環ポンプ55により吸上げ
られた吸収液Kを排ガスH5が流通する塔内に液柱状に
噴射するスプレーノズル56とを有する。排ガスH5
は、この場合吸収塔51の下部から流入し、液柱状に吹
き上げられて流下する吸収液Kと効果的に気液接触しつ
つ塔内を上昇し、塔上部に設けられたミストエリミネー
タ57で同伴ミストを除去された後、無害かつクリーン
な排ガスH6として塔頂部から排出され、図示省略した
煙突から大気放出される構成となっている。なお、この
ような吸収塔51の代りに、例えば充填式、スプレー式
等の気液接触部を備えた吸収塔を使用してもよいし、或
いは、タンク内のスラリ中に酸化用空気と排ガスH5の
両者が吹込まれ、亜硫酸ガスの吸収と酸化が全てタンク
内で行われるいわゆるガス分散方式の脱硫装置を使用し
てもよい。また排ガスH6は、場合によってはそのまま
大気放出せず、例えば湿式電気集塵機などで除塵処理し
て微細な粉塵などを除去するようにしてもよい。また排
ガスH6を、例えば排ガスH3又はH5の熱で加熱する
熱交換器を設けて、大気放出により好ましい温度に調節
するようにしてもよい。いずれにしろ吸収塔51では、
例えば以下の反応式(1)乃至(3)で示されるような
反応が進行して、主にSO2が吸収され、二水石膏が生
成される。
【0034】 SO2 +H2O → H+ +HSO3 - (1) H+ +HSO3 - +1/2O2 → 2H+ +SO4 2- (2) 2H+ +SO4 2- +CaCO3 +H2O → CaSO4・2H2O +CO2 (3)
【0035】なお、吸収塔51のタンク54に供給され
る吸収剤K0は、石灰石(CaCO3)或いは水酸化カル
シウム(Ca(OH)2)等のカルシウム化合物K1が、
この場合スラリ調製槽53で液分K2と攪拌混合され、
スラリポンプ58により圧送されるスラリ状のものであ
るが、カルシウム化合物は、例えば微細化した固形状態
のまま直接吸収塔51のタンク54に供給するようにし
てもよいことはいうまでもない。また、固液分離手段5
2で得られた二水石膏の固形分M1を120℃〜150
℃程度まで加熱して半水石膏とする燃焼炉等の石膏加熱
装置を設けてもよい。また、排ガスH5中に僅かに残留
した三酸化硫黄が問題となる場合には、吸収塔51の前
流で排ガスH5中にアンモニアを散布する手段を設置
し、いわゆるアンモニア注入による中和処理を行う構成
としてもよい。このようにすれば、残留した三酸化硫黄
を硫安として析出させ吸収塔51で吸収液K中に捕集で
きる。
【0036】また、カルシウム化合物の供給量は、吸収
すべき亜硫酸ガスの量に応じて基本的に決定されるが、
実際の運転では例えば吸収液KのpHや未反応石灰石濃
度等を検知して、この値が吸収反応等に最適な値に保持
されるように供給量を微調整するような制御をすればよ
い。また酸化用空気は、例えば吸収液Kの酸化還元電位
等を検知して、必要最小限な量だけ供給するようにする
のが好ましい。また、固形分M1として排出されない塩
素などの有害な不純物が吸収液K中に蓄積する場合に
は、分離水M2の一部を系外に排出し適応な排水処理を
行って放流するなどの構成とすればよい。
【0037】次に、アンモニア回収部(洗浄液排水処理
部)の構成及び動作について、図3により説明する。洗
浄塔5より排出された前述の排水Cは、まずpH処理槽
61でカルシウム化合物Nを添加されてpHを中性付近
(例えば、弱アルカリ性)に調整された後、排水C1と
してポンプ62により蒸発缶63の循環系に導入される
構成となっている。蒸発缶63は、排水C1を蒸発処理
して濃縮液C2とアンモニアを含む蒸気C3とに分離す
るもので、この場合、底部の液溜まりの濃縮液C2が循
環ポンプ64により吸上げられ、加熱器65により加熱
された後、上部のスプレーパイプ66から噴射されるも
のである。なお加熱器65は、例えば発電システムにお
ける蒸気サイクルの一部から抽気された高温高圧蒸気に
より、循環液をアンモニアがガスとして放散される温度
に加熱する熱交換器である。
【0038】そして、蒸発缶63の循環系から抜き出さ
れた濃縮液C2は、例えば真空式ベルトフィルタなどの
よりなる固液分離機67に導入され、液分C4と固形分
C5とに分離される構成となっている。また、蒸発缶6
3の頂部から導出されたアンモニアを含む蒸気C3は、
冷却器69によりアンモニアの凝縮温度まで冷却された
後に、凝縮液タンク70に導入され、アンモニアを含む
凝縮水(即ち、アンモニア水C6)とオフガスC7とに
分離される。
【0039】ここで、凝縮液タンク70の底部に溜まっ
たアンモニア水C6は、ポンプ71により抜き出され
て、有効利用される。すなわち、例えば亜硫酸ガスの除
去率向上のために前述の脱硫装置50の吸収液K中に導
入したり、ガス化発電のガスタービン後流や前述の燃焼
炉41の後流などで行う必要のある脱硝処理(図示省
略)に利用したり、或いは脱硫装置50の吸収塔51の
前流で必要に応じて行う三酸化硫黄の中和処理などに有
効利用することができる。また、利用しきれない過剰の
アンモニア水C6が生じた場合には、ガス化炉に戻して
もよい。ガス化炉においては、平衡反応によりアンモニ
アが生成しているので、アンモニアをガス化炉に戻して
ガス化炉におけるアンモニアの分圧を上げることで、ガ
ス化炉におけるアンモニアの生成(燃料としての有効成
分である水素の消費)を抑制し、生成ガス中のアンモニ
ア濃度を高めることなく、余分なアンモニアを処理でき
る。また、上記オフガスC7は、例えば空気Jとともに
燃焼炉41に導入し、再生ガスH1を燃焼させる際の空
気の一部として供給して処理すればよい。このようにす
れば、オフガスC7中に有害成分が含まれる場合でも、
これが燃焼炉41以降の工程(例えば、燃焼炉41の後
流に設けられる脱硝装置(図示省略)での脱硝処理や吸
収塔51における気液接触処理)において除去処理され
て、別個の無害化処理設備を設ける必要がなくなる。
【0040】次に、以上のように構成されたガス精製装
置において実施される本発明のガス精製方法及びその作
用効果について説明する。本例では、本発明の洗浄工程
は、前述した洗浄塔5,6により実行される。すなわち
洗浄塔5,6では、脱硫塔21に導入される前の生成ガ
スであるガスA2が、水を主成分とする洗浄液B,B1
に気液接触させられるため、ガスA2中に含有される溶
解度の高いアンモニアや塩化水素は、相当量が洗浄液
B,B1中に吸収される。このため、精製後の生成ガス
(この場合ガスA5,A6)は、硫化水素とともに相当
量のアンモニアや塩化水素が吸収除去された従来にない
クリーンなものとなる。
【0041】特に本例では、上記洗浄工程を、生成ガス
が順次導入される二つの洗浄塔5と洗浄塔6において2
段階に行い、洗浄塔5における洗浄液のpHをアンモニ
アの吸収に最適な値に維持するとともに、洗浄塔6にお
ける洗浄液の温度をヒューム状物質の除去に最適な値に
維持する。このため、洗浄塔5でアンモニアと塩化水素
のほとんどがほぼ完全に吸収され、洗浄塔5で吸収され
ずに残留したヒューム状の塩化アンモニウムは、洗浄塔
6でほぼ完全に除去できる。なお、洗浄液中に吸収され
たアンモニウムイオンや塩素イオンのほとんどは、塩化
アンモニウム(NH4Cl)或いは硫安((NH4)2
4)として液中に存在し、最終的には排水Cとして後
述するアンモニア回収工程に送られて処理される。
【0042】また本例において、本発明の硫黄化合物除
去工程及び再生工程は、それぞれ脱硫塔21及び再生塔
22により実行される。即ち、上記洗浄工程を経た生成
ガスA4は、脱硫塔21において硫黄化合物の吸収液F
に気液接触し、少なくとも硫化水素を含む硫黄化合物を
吸収除去され、精製後の生成ガス(この場合ガスA5,
A6)として排出される。また、前記硫黄化合物除去工
程(脱硫塔21)で主に硫化水素を吸収した吸収液F
は、再生塔22において加熱され少なくとも硫化水素を
含む再生ガスH1が排出される。
【0043】また本例において、本発明の転換工程は、
燃焼炉41により実行される燃焼工程と、触媒反応器4
2により実行される触媒反応工程とよりなる。即ち、燃
焼炉41では、前記再生ガスH1が燃焼し二酸化硫黄及
び僅かな三酸化硫黄を含む排ガスH2となる。また触媒
反応器42では、排ガスH2中の二酸化硫黄の一部が触
媒反応により三酸化硫黄となる。また本例において、本
発明の硫酸吸収工程及び亜硫酸ガス吸収工程は、それぞ
れ硫酸吸収塔43及び脱硫装置50(吸収塔51)によ
り実行される。即ち、硫酸吸収塔43では、前記転換工
程を経た排ガスH3が硫酸の水溶液Eに気液接触し、こ
の排ガスH3中に含まれる三酸化硫黄が硫酸として吸収
除去される。また、脱硫装置50の吸収塔51では、カ
ルシウム化合物を含有する吸収液Kに、前記硫酸吸収工
程を経た排ガスH5が気液接触させられ、前述の式
(1)〜(3)の反応により、この排ガスH5中に残留
した少なくとも二酸化硫黄が吸収液Kに吸収されて石膏
M1が副生される。
【0044】そして、上記硫酸吸収工程で吸収除去した
硫酸は、この場合水溶液E1として必要に応じて前記洗
浄工程の洗浄液Bに添加され、洗浄液BのpH調整に使
用される。つまり、生成ガスに含有されていた除去すべ
き硫黄分から系内で生成された硫酸により、洗浄工程の
洗浄液のpH調整が実行される。このため、硫酸の回収
を行わないで洗浄液BのpH調整用の硫酸を別途購入す
る場合に比較して、運転コストを格段に低減することが
できる。ちなみに、燃焼工程後の排ガス中の二酸化硫黄
を全てそのまま脱硫装置で吸収除去する構成(硫酸回収
しない構成)の場合には、洗浄液のpH調整用の硫酸を
別途購入する必要があるとともに、全ての二酸化硫黄を
中和して石膏とするために脱硫装置において相当量のカ
ルシウム化合物が必要となる。しかし、本例の場合に
は、硫酸として回収する分だけ脱硫装置で吸収すべき二
酸化硫黄の量が減量されるので、その分だけ脱硫装置で
使用するカルシウム化合物K1の量が格段に少なくな
り、この点でも運転コストが低減できることになる。
【0045】また本例では、上記亜硫酸ガス吸収工程に
より、排ガスH5中の二酸化硫黄が湿式石灰石膏法によ
り吸収されて石膏として回収されるため、排ガスH2中
の二酸化硫黄の多くを三酸化硫黄に転換する必要はな
く、前述の洗浄液のpH調整に必要な硫酸が硫酸吸収工
程で得られるだけの三酸化硫黄が、転換工程後の排ガス
H3中に含有されていればよい。このため、上記触媒反
応工程で達成すべき転換率は、例えば60%程度の低い
転換率で十分であり、その分触媒反応器42は小型なも
のでよい。
【0046】つまり、例えば生成ガスA中のアンモニア
濃度が1000ppmの場合には、洗浄液中に吸収され
たこのアンモニアを中和して硫安とするための硫酸の量
に相当する三酸化硫黄の濃度はその半分の約500pp
mである。これに対し、例えばIGCC(石炭ガス化複
合発電)等のガス化炉で生成される生成ガス中の硫化水
素の濃度は1000ppm程度であり、燃焼工程後の排
ガス中の二酸化硫黄濃度も生成ガス中の濃度に換算して
同量の1000ppm程度となる。このため、この場合
には、燃焼工程後の排ガス中の二酸化硫黄の約半分を三
酸化硫黄に転換して硫酸として回収すれば、生成ガス中
から吸収したアンモニアを十分に中和できるのである。
したがって、例えば特開平7−48584号公報の図1
の構成のように燃焼工程後の排ガス中の硫黄酸化物(二
酸化硫黄又は三酸化硫黄)を全て三酸化硫黄として吸収
除去する場合に比べて、二酸化硫黄を三酸化硫黄に転換
する触媒反応器42が格段に小型なものでよい。
【0047】特に、本例の場合には、前記硫酸吸収工程
を経た排ガスの一部(排ガスH4)を、前記転換工程
(燃焼工程又は触媒反応工程)に戻して再処理するよう
にしている。このため、排ガス中の二酸化硫黄を三酸化
硫黄に転換する処理(触媒反応工程)が部分的に繰り返
し実行されることになり、より小型な触媒反応器42で
所望の転換率を達成できる。さらに、前記燃焼工程に導
入される再生ガスH1、又は前記触媒反応工程に導入さ
れる排ガスH2に、酸素又は酸素富化空気を注入して酸
素分圧を高める態様とすれば、二酸化硫黄の酸化反応が
より促進され、さらに小型な触媒反応器42で所望の転
換率が達成できるようになる。
【0048】なお、前記硫酸吸収工程で吸収した三酸化
硫黄(即ち、硫酸)を含む水溶液E1が余った場合に
は、前述したように亜硫酸ガス吸収工程における吸収塔
51の吸収液K中に導入すればよい。このようにすれ
ば、導入された水溶液E1中の硫酸は、前述の式(2)
のような酸化反応を経ることなく吸収液K中のカルシウ
ム化合物と即座に反応して石膏となり、吸収塔51にお
いて酸化のための動力を必要とせずに石膏が得られる。
【0049】また本例において、本発明のpH調整工
程、アンモニア回収工程、及び固液分離工程は、図3に
示したpH処理槽61、蒸発缶63、固液分離機67、
冷却器69、或いは凝縮液タンク70等により実行され
る。即ち、pH処理槽61において、洗浄液Bの一部を
洗浄塔5から抜き出してなる排水C(抜出し液)に、必
要に応じてアルカリ性のカルシウム化合物N(例えば、
水酸化カルシウム)が添加され、排水CのpHが中性付
近(例えば、中性又は弱アルカリ性)に調整される(p
H調整工程)。そして、蒸発缶63において上記pH調
整工程を経た排水C1がアンモニアの放散温度まで加熱
され、この蒸発缶63から出た蒸発ガス(オフガスC
3)が冷却器69で冷却されて凝縮することにより、凝
縮液タンク70にアンモニア水C6が回収される(アン
モニア回収工程)。一方、蒸発缶63に残留した濃縮液
C2は、適宜抜き出されて固液分離機67で固液分離処
理され、固形分C5と液分C4とに分離される(固液分
離工程)。
【0050】上記pH調整工程によれば、排水Cが中性
付近に調整されるため、後工程における機器の腐食が防
止されるとともに、固形分C5や液分C4のpHも中性
付近となり、その扱いが容易になる。なお、このpH調
整工程により、排水C中に残留した硫酸が添加されたカ
ルシウム化合物Nと反応して中和され、石膏となる。ま
た、排水C中に塩化アンモニウム或いは硫安として存在
していたアンモニウムイオンのほとんどは、上記アンモ
ニア回収工程においてアンモニアガスとして放散され分
離回収される。このため、濃縮液C2中には、上記硫安
の硫酸イオンと添加されたカルシウムイオンが結合して
なる石膏が含有されるとともに、上記塩化アンモニウム
の塩素イオンと添加されたカルシウムイオンが結合して
なる塩化カルシウムが含有される。そして、このうち塩
化カルシウムは溶解度が高いため、濃縮液C2が固液分
離されてなる液分C4中に主に存在し、結局、固形分C
5の主成分は石膏となる。
【0051】つまり、前述の硫酸吸収工程で排ガスH3
中から回収された三酸化硫黄よりなり洗浄工程の洗浄液
Bに注入された硫酸イオン(水溶液E1中の硫酸イオ
ン)と、上記pH調整工程で添加されたカルシウム化合
物Nのカルシウムイオンとが、最終的に結合してなる石
膏が固形分C5として副生される。したがって、本例の
ガス精製方法によれば、精製設備全体として得られる石
膏固形分(図2のM1と図3のC5)の全体量は、生成
ガス中に含有されていた硫黄分に対応する量のみとな
り、硫酸を定常的に購入する必要やカルシウム化合物を
余分に入手する必要がないとともに、過剰に石膏が副生
されることもない。即ち、例えば洗浄液のpH調整のた
めの硫酸を系外から供給する場合には、その硫酸を入手
する費用や、その硫酸を最終的に中和するカルシウム化
合物を余分に入手する費用が必要になり、しかもその中
和の結果生成される石膏が余分に副生されるという問題
があるが、本例の場合にはそのような問題がない。
【0052】なお、上記固液分離工程で生じた液分C4
は、例えば放流して処理すればよい。但し、排水C中に
は、アンモニアや塩化水素以外の有害成分(例えば、重
金属や硫化水素等)が生成ガス中から微量に吸収されて
いるため、上記液分C4中にも、これら不純物が微量で
はあるが含まれる。そこで場合によっては、この液分C
4を放流するに際しては、適応な排水処理を事前に行う
必要がある。そのため、別の態様としては、上記液分C
4は、例えばスラリ調製槽53に投入される液分K2と
して使用することにより、脱硫装置50の吸収液K中に
導入してもよい。このようにすれば、液分K2として補
給すべき用水量が節約できるとともに、洗浄液の排水C
のための別個独立の排水処理設備が不要になる利点があ
る。
【0053】また、上記固液分離工程で生じた固形分C
5は、石膏を高濃度に含むため、例えば建材等として有
効利用することができる。但し、固形分C5中には、未
反応のカルシウム化合物が僅かに残留し、pHが高過ぎ
る場合があり、このような場合には石膏としての品質が
悪く、そのまま石膏ボードなどの材料として使用するこ
とはできない。そこで場合によっては、適応な洗浄処理
などを事前に行う必要がある。そのため、別の態様とし
ては、上記固形分C5を例えば吸収塔51のタンク54
内に投入して脱硫装置50の吸収液K中に導入し、全て
の石膏固形分を最終的に脱硫装置50で分離回収される
固形分M1として得るようにしてもよい。脱硫装置50
では、吸収液KのpHや未反応のカルシウム化合物濃度
などを適正に管理しつつ、固形分M1を分離排出するの
で、この場合に得られる石膏は、全てが良質な石膏とな
る。
【0054】なお、本発明は上記形態例に限られず各種
の態様がありうる。例えば、洗浄工程は、必ずしも二つ
の洗浄塔で2段階に行う必要はなく、一つの洗浄塔でも
有る程度のアンモニアと塩化水素を除去することは可能
である。また、燃焼工程を実行する燃焼炉41と、触媒
反応工程を実行する触媒反応器42は、必ずしも別体と
して設ける必要はなく、一体化することもできる。例え
ば、燃焼炉内に触媒を装填して、燃焼炉において燃焼工
程と触媒反応工程とが行われる構成とすることもでき
る。
【0055】また、再生ガスの燃焼方式や燃焼条件によ
っては、燃焼工程において三酸化硫黄が相当量発生する
ので、この燃焼のみによって必要な量の三酸化硫黄が得
られる可能性があり、このような場合には、触媒反応工
程(即ち、図2における触媒反応器42)を削除するこ
ともできる。但し、燃焼工程によってのみ本発明の転換
工程を実行するとなると、三酸化硫黄の生成量を制御す
ることが困難になるので、制御性の点では、触媒反応工
程においてできるだけ支配的に三酸化硫黄を生成する態
様が好ましい。というのは、触媒反応工程の場合には、
バイパス流路を設けて排ガスをバイパスさせることが可
能であり、例えばこのバイパスさせる排ガスの流量を調
整することで、三酸化硫黄の生成量をほぼ任意に調整可
能だからである。
【0056】また、図3の固液分離機67により行われ
る固液分離工程を削除し、アンモニア回収工程後に残留
した濃縮液(蒸発缶63に残留した濃縮液C2)を、例
えばそのまま吸収塔51のタンク54内に投入し、脱硫
装置50の吸収液K中に導入して処理してもよい。この
ようにすれば、得られる石膏は、全てが良質な石膏とな
り、別個独立の排水処理が不要になるとともに、固液分
離工程のための設備が不要になって、さらなる設備の簡
素化が図れる。
【0057】また、脱硫装置50の吸収塔51の入口ガ
ス温度(図2ではガスH5の温度)を調節して、脱硫装
置50で循環する吸収液Kに流入する水分と、吸収塔5
1でのガス中への蒸発等により持去られる水分とがバラ
ンスするように制御することによって、脱硫装置50に
おいて生じる排水をなくし、脱硫装置50の排水処理を
不要にすることもできる。なおこの場合、吸収液K中に
混入した不純物は、石膏固形分M1に微量に含有されて
徐々に系外に排出される。但し、特にアンモニア回収工
程で発生した液分C4や固形分C5などの有害な不純物
を含む物質を、吸収塔51の吸収液K中に導入する場合
には、これら不純物(例えば、塩素分)が吸収液Kにい
つまでも溶解した形で蓄積してゆく場合があるので、こ
のような場合には、このような有害な不純物の蓄積を防
止すべく、例えば図2のろ液M2の一部を系外に排出し
てなんらかの排水処理や不純物除去処理を行うことが必
要となる。
【0058】
【発明の効果】請求項1記載の発明によるガス精製方法
では、生成ガスを硫黄化合物除去工程に導入する前に、
洗浄液に気液接触させて生成ガス中に含まれる少なくと
もアンモニアよりなる不純物を吸収除去する洗浄工程を
設けた。このため、最終的に得られるガスは、硫黄化合
物とともに相当量の不純物(少なくともアンモニア)が
除去された従来にないクリーンなものとなり、アンモニ
ア等による前述の問題点が解消される。
【0059】また、硫化水素を含む再生ガスを二酸化硫
黄と三酸化硫黄を含む排ガスに転換させる転換工程と、
この転換工程を経た排ガスを硫酸の水溶液に気液接触さ
せて、排ガス中の三酸化硫黄を硫酸として吸収除去する
硫酸吸収工程とを設けるとともに、この硫酸吸収工程で
吸収除去した硫酸を必要に応じて前記洗浄工程の洗浄液
に添加することにより、前記洗浄液のpH調整を実行す
る構成とした。このため、前記洗浄工程を実施する上で
実用的に不可欠なpH調整剤として、生成ガス中の除去
すべき有害な硫黄分から設備内で生成された硫酸が使用
されることになり、硫酸回収を行わないで上記pH調整
剤を別途購入する場合に比較して、運転コストを格段に
低減することができる。ちなみに、ガス中の硫黄分を全
て二酸化硫黄として脱硫装置(亜硫酸ガス吸収工程)で
吸収除去する構成(硫酸回収しない構成)の場合には、
洗浄液のpH調整剤を別途購入する必要があるととも
に、全ての二酸化硫黄を中和して石膏とするために脱硫
装置において相当量のカルシウム化合物が必要となる。
しかし、本例の場合には、硫酸回収する分だけ脱硫装置
で吸収すべき二酸化硫黄の量が減量されるので、その分
だけ脱硫装置で使用するカルシウム化合物の量が格段に
少なくなり、この点でも運転コストが低減できることに
なる。
【0060】また本発明では、亜硫酸ガス吸収工程によ
り、排ガス中の二酸化硫黄が湿式石灰石膏法により吸収
されて石膏として回収されるため、ガス中の硫黄分の多
くを三酸化硫黄に転換する必要はなく、前述の洗浄液の
pH調整に必要な硫酸が硫酸吸収工程で得られるだけの
三酸化硫黄が、転換工程後の排ガス中に含有されていれ
ばよい。このため、上記転換工程で達成すべき三酸化硫
黄への転換率は、比較的低い転換率で十分であり、その
転換工程に必要な設備(例えば触媒反応器)の小型化等
が図れる効果がある。ちなみに、例えば特開平7−48
584号公報の図1の構成のように燃焼工程後の排ガス
中の硫黄酸化物(二酸化硫黄又は三酸化硫黄)を全て三
酸化硫黄として吸収除去する場合に比べて、硫黄分を三
酸化硫黄に転換する設備(例えば触媒反応器)が格段に
小型なものでよい。
【0061】また、二酸化硫黄と三酸化硫黄をそれぞれ
吸収除去しているために、最終的に大気放出される排ガ
ス中の硫黄酸化物濃度を極端に低減でき、極めてクリー
ンな排ガスとすることができる。というのは、二酸化硫
黄を全て完全に三酸化硫黄に転換することは極めて困難
であるため、例えば特開平7−48584号公報の図1
の構成のように燃焼工程後の排ガス中の硫黄酸化物(二
酸化硫黄又は三酸化硫黄)を全て三酸化硫黄として吸収
除去する場合には、転換されずに排ガス中に残留した相
当量の二酸化硫黄が吸収塔をスリップしてそのまま大気
放出されてしまう。これに対し、本発明の場合には、硫
黄分の転換率(例えば図2の触媒反応器42の転換率)
に無関係に、硫酸吸収工程(図2の硫酸吸収塔43)と
亜硫酸ガス吸収工程(図2の吸収塔51)において硫黄
分(三酸化硫黄と二酸化硫黄)の除去回収がそれぞれな
され、最終的な硫黄酸化物の除去率は、上記硫酸吸収工
程と亜硫酸ガス吸収工程の除去率によって決る高い値と
なる。
【0062】また、請求項2記載のガス精製方法では、
再生ガスを燃焼させて少なくとも二酸化硫黄を含む排ガ
スに転換させる燃焼工程と、この燃焼工程で生じた排ガ
ス中の二酸化硫黄の一部を触媒反応により三酸化硫黄に
転換する触媒反応工程とにより、前記転換工程を構成し
た。このため、三酸化硫黄の生成量の制御が容易とな
る。
【0063】また、請求項3記載のガス精製方法では、
前記硫酸吸収工程を経た排ガスの一部を、前記燃焼工程
又は前記触媒反応工程に戻して再処理する。このため、
排ガス中の二酸化硫黄を三酸化硫黄に転換する処理(触
媒反応工程)が部分的に繰り返し実行されることにな
り、より小型な触媒反応器で所望の転換率を達成でき
る。
【0064】また、請求項4記載のガス精製方法では、
前記燃焼工程に導入される再生ガス、又は前記触媒反応
工程に導入される排ガスに、酸素又は酸素富化空気を注
入して酸素分圧を高める。このため、二酸化硫黄の酸化
反応(触媒反応工程)がより促進され、さらに小型な触
媒反応器で所望の転換率が達成できるようになる。
【0065】また、請求項5記載のガス精製方法では、
前記洗浄液の一部を前記洗浄塔から抜き出してなる抜出
し液に必要に応じてアルカリ性のカルシウム化合物を添
加することにより、前記抜出し液のpHを中性付近に調
整するpH調整工程と、このpH調整工程を経た前記抜
出し液を蒸発缶で蒸発させ、この蒸発缶から出た蒸発ガ
スを凝縮させることにより、前記洗浄液に吸収された前
記生成ガス中のアンモニアをアンモニア水として回収す
るアンモニア回収工程とを、さらに備えた。このため、
生成ガス中の有害成分であるアンモニアを除去し、さら
にこのアンモニアを分離回収して有効利用することがで
きる。例えば亜硫酸ガスの除去率向上のために亜硫酸ガ
ス吸収工程(脱硫装置)の吸収液中に導入したり、ガス
化発電のガスタービン後流や前述の燃焼工程の後流など
で行う必要のある脱硝処理(図示省略)に利用したり、
或いは亜硫酸ガス吸収工程(脱硫装置)の前流で必要に
応じて行う三酸化硫黄の中和処理などに有効利用するこ
とができる。
【0066】また、上記pH調整工程によれば、抜出し
液(洗浄液の排水)が中性付近に調整されるため、後工
程における機器の腐食が防止されるとともに、蒸発缶に
残留した濃縮液(或いは、後述する固形分や液分)のp
Hも中性付近となり、その扱いが容易になる。なお、こ
のpH調整工程により、抜出し液中に残留した硫酸が添
加されたカルシウム化合物と反応して中和され、石膏と
なる。また、抜出し液中に塩化アンモニウム或いは硫安
として存在していたアンモニウムイオンのほとんどは、
上記アンモニア回収工程においてアンモニアガスとして
放散され分離回収される。このため、蒸発缶に残留した
濃縮液中には、上記硫安の硫酸イオンと添加されたカル
シウムイオンが結合してなる石膏が含有されるととも
に、上記塩化アンモニウムの塩素イオンと添加されたカ
ルシウムイオンが結合してなる塩化カルシウムが含有さ
れる。そして、このうち塩化カルシウムは溶解度が高い
ため、上記濃縮液を固液分離すれば、得られた固形分は
石膏を高濃度に含むものとなる。
【0067】つまり、本発明のアンモニア回収工程等に
よれば、有用なアンモニアが回収されるとともに、前記
硫酸吸収工程で排ガス中から回収された三酸化硫黄より
なり洗浄工程の洗浄液に注入された硫酸イオンと、前記
pH調整工程で添加されたカルシウム化合物のカルシウ
ムイオンとが、最終的に結合してなる石膏が副生され
る。したがって、本発明によれば、精製設備全体として
得られる石膏固形分(例えば図2のM1と図3のC5)
の全体量は、生成ガス中に含有されていた硫黄分に対応
する量のみとなり、硫酸を定常的に購入する必要やカル
シウム化合物を余分に入手する必要がないとともに、過
剰に石膏が副生されることもない。即ち、例えば洗浄液
のpH調整のための硫酸を系外から供給する場合には、
その硫酸を入手する費用や、その硫酸を最終的に中和す
るカルシウム化合物を余分に入手する費用が必要にな
り、しかもその中和の結果生成される石膏が余分に副生
されるという問題があるが、本発明の場合にはそのよう
な問題がない。
【0068】また、請求項6記載のガス精製方法では、
前記アンモニア回収工程の蒸発缶に残留した濃縮液を抜
出して固液分離処理する固液分離工程をさらに備え、こ
の固液分離工程で分離された前記濃縮液の液分を前記亜
硫酸ガス吸収工程の吸収液中に導入して処理する。この
ため、上記亜硫酸ガス吸収工程の吸収液中に補給すべき
用水量が節約できるとともに、洗浄液のための別個独立
の排水処理設備が不要になる利点がある。
【0069】また、請求項7記載のガス精製方法では、
前記アンモニア回収工程の蒸発缶に残留した濃縮液を抜
出して固液分離処理する固液分離工程をさらに備え、こ
の固液分離工程で分離された前記濃縮液の固形分を前記
亜硫酸ガス吸収工程の吸収液中に導入して処理する。こ
のため、得られる石膏は、全てが良質な石膏となるとい
う利点がある。即ち、上記固液分離工程で生じた固形分
は、石膏を高濃度に含むため、例えば建材等として有効
利用することができるが、この固形分中には、未反応の
カルシウム化合物が僅かに残留し、pHが高過ぎる場合
があり、このような場合には石膏としての品質が悪く、
そのまま石膏ボードなどの材料として使用することはで
きない。ところが、上記固形分を例えば亜硫酸ガス吸収
工程の吸収液中に導入し、全ての石膏固形分を最終的に
亜硫酸ガス吸収工程で分離回収される固形分(例えば、
図2のM1)として得るようにすれば、この問題が解決
される。というのは、亜硫酸ガス吸収工程を実行する脱
硫装置では、通常吸収液のpHや未反応のカルシウム化
合物濃度などを適正に管理しつつ、吸収液中の固形分
(即ち、石膏)を分離排出するので、得られる石膏は、
全てが良質な石膏となる。
【0070】また、請求項8記載のガス精製方法では、
前記アンモニア回収工程の蒸発缶に残留した濃縮液を、
前記亜硫酸ガス吸収工程の吸収液中に導入して処理す
る。このため、請求項6又は7の発明と同様の効果が得
られるとともに、固液分離工程が不要となる分だけ設備
の簡素化や運転コストのさらなる低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を実施する精製装置の主に洗浄部
及び脱硫部を示す図である。
【図2】同精製装置における硫酸回収部及び石膏回収部
の構成を示す図である。
【図3】同精製装置におけるアンモニア回収部の構成を
示す図である。
【符号の説明】
5,6 洗浄塔 21 脱硫塔 22 再生塔 41 燃焼炉 42 触媒反応器 43 硫酸吸収塔 50 脱硫装置 51 吸収塔 52 固液分離手段 53 スラリ調製槽 61 pH処理槽 63 蒸発缶 67 固液分離機 69 冷却器 70 凝縮液タンク A,A1〜A6 生成ガス B,B1 洗浄液 C 排水(抜出し液) C2 濃縮液 C3 蒸発ガス C4 液分 C5 固形分(石膏) C6 アンモニア水 D,D1 補給水 E,E1 硫酸の水溶液 F 吸収液(硫黄化合物吸収用) H1 再生ガス H2〜H6 排ガス K 吸収液(亜硫酸ガス吸収用) K1,N カルシウム化合物 K2 液分 M1 固形分(石膏)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沖野 進 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 本城 新太郎 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 Fターム(参考) 4D002 AA02 AA03 AA04 AA13 AA19 AC10 BA02 BA05 BA14 BA16 CA01 CA07 DA05 DA07 DA12 DA16 DA70 EA01 EA02 FA03 GA02 GA03 GB09 HA01 HA04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化水素系燃料のガス化によって得られ
    る生成ガスの精製方法であって、 前記生成ガスを洗浄塔に導入して洗浄液に気液接触させ
    ることにより、前記生成ガス中の少なくともアンモニア
    を含む不純物を吸収除去する洗浄工程と、 この洗浄工程を経た前記生成ガスを硫黄化合物の吸収液
    に気液接触させることにより、前記生成ガス中の少なく
    とも硫化水素を含む硫黄化合物を吸収除去する硫黄化合
    物除去工程と、 この硫黄化合物除去工程で前記硫黄化合物を吸収した吸
    収液に熱を加えて少なくとも硫化水素を含む再生ガスに
    再生する再生工程と、 前記再生ガスを二酸化硫黄と三酸化硫黄を含む排ガスに
    転換させる転換工程と、 この転換工程を経た排ガスを硫酸の水溶液に気液接触さ
    せて、前記排ガス中の三酸化硫黄を硫酸として吸収除去
    する硫酸吸収工程と、 カルシウム化合物を含有する二酸化硫黄の吸収液に、前
    記排ガスを気液接触させることにより、前記排ガス中の
    二酸化硫黄を吸収して石膏を副生する亜硫酸ガス吸収工
    程とを備え、 前記硫酸吸収工程で吸収除去した硫酸を必要に応じて前
    記洗浄工程の洗浄液に添加することにより、前記洗浄液
    のpH調整を実行することを特徴とするガス精製方法。
  2. 【請求項2】 前記転換工程は、前記再生ガスを燃焼さ
    せて少なくとも二酸化硫黄を含む排ガスに転換させる燃
    焼工程と、この燃焼工程で生じた排ガス中の二酸化硫黄
    の一部を触媒反応により三酸化硫黄に転換する触媒反応
    工程とよりなることを特徴とする請求項1記載のガス精
    製方法。
  3. 【請求項3】 前記硫酸吸収工程を経た排ガスの一部
    を、前記燃焼工程又は前記触媒反応工程に戻して再処理
    することを特徴とする請求項2記載のガス精製方法。
  4. 【請求項4】 前記燃焼工程に導入される再生ガス、又
    は前記触媒反応工程に導入される排ガスに、酸素又は酸
    素富化空気を注入して酸素分圧を高めることを特徴とす
    る請求項2記載のガス精製方法。
  5. 【請求項5】 前記洗浄液の一部を前記洗浄塔から抜き
    出してなる抜出し液に必要に応じてアルカリ性のカルシ
    ウム化合物を添加することにより、前記抜出し液のpH
    を中性付近に調整するpH調整工程と、 このpH調整工程を経た前記抜出し液を蒸発缶で蒸発さ
    せ、この蒸発缶から出た蒸発ガスを凝縮させることによ
    り、前記洗浄液に吸収された前記生成ガス中のアンモニ
    アをアンモニア水として回収するアンモニア回収工程と
    を、 さらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか
    に記載のガス精製方法。
  6. 【請求項6】 前記アンモニア回収工程の蒸発缶に残留
    した濃縮液を抜出して固液分離処理する固液分離工程を
    さらに備え、 この固液分離工程で分離された前記濃縮液の液分を前記
    亜硫酸ガス吸収工程の吸収液中に導入して処理すること
    を特徴とする請求項5記載のガス精製方法。
  7. 【請求項7】 前記アンモニア回収工程の蒸発缶に残留
    した濃縮液を抜出して固液分離処理する固液分離工程を
    さらに備え、 この固液分離工程で分離された前記濃縮液の固形分を前
    記亜硫酸ガス吸収工程の吸収液中に導入して処理するこ
    とを特徴とする請求項5記載のガス精製方法。
  8. 【請求項8】 前記アンモニア回収工程の蒸発缶に残留
    した濃縮液を、前記亜硫酸ガス吸収工程の吸収液中に導
    入して処理することを特徴とする請求項5記載のガス精
    製方法。
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