JPH1176751A - 排煙処理設備 - Google Patents

排煙処理設備

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JPH1176751A
JPH1176751A JP9259327A JP25932797A JPH1176751A JP H1176751 A JPH1176751 A JP H1176751A JP 9259327 A JP9259327 A JP 9259327A JP 25932797 A JP25932797 A JP 25932797A JP H1176751 A JPH1176751 A JP H1176751A
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Japan
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dust
slurry
tank
flue gas
reduction
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Withdrawn
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JP9259327A
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English (en)
Inventor
Toshihiro Hashizaki
年浩 端崎
Takeo Shinoda
岳男 篠田
Atsushi Yoshioka
篤 吉岡
Yoshiyuki Takeuchi
竹内  善幸
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バナジウム等の重金属を含む粉塵と亜硫酸ガ
スとを含有する排煙から粉塵を除去し、次いで脱硫装置
で湿式石灰石膏法により亜硫酸ガスを除去するととも
に、除去した粉塵と脱硫排水を混合処理して重金属を固
形分として分離する排煙処理設備において、設備の簡素
化や運転コストの低減を実現する。 【解決手段】 脱硫装置10の前流に除塵還元塔50を
設置し、この除塵還元塔の塔底部に脱硫排水が供給され
るスラリタンク51を形成し、またこの除塵還元塔の塔
頂部には、スラリタンク内のスラリが脱硫装置導入前の
排煙に接触して粉塵を捕集しかつ亜硫酸ガスを吸収する
接触部を形成し、スラリタンクにおけるスラリの滞留時
間が、スラリ中に捕集された粉塵中の重金属が十分に溶
解し吸収された亜硫酸により還元されて重金属の還元処
理が十分進行するよう設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バナジウム等の重
金属を含む粉塵と亜硫酸ガスとを少なくとも含有する排
煙(例えば、重質油焚きボイラの排煙)の浄化を行うと
ともに、この浄化に伴い分離され或いは生成される有害
物や副生物の後処理を行う排煙処理設備に係り、特に湿
式石灰石膏法により脱硫処理を行うとともに、この脱硫
処理により生成する脱硫排水と排煙から除去された粉塵
とを混合して前記後処理を行う排煙処理設備に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、火力発電プラント等における重
質油焚きボイラの排煙には、亜硫酸ガスを代表とする硫
黄酸化物とともに、有毒な重金属(以下、重金属の例と
してバナジウムをとりあげて説明する。)を含む粉塵
(即ち、重質油灰)が含まれるため、これら有害物を除
去した後に大気中に放出する必要がある。そして従来、
そのための除塵装置としては、乾式の電気集塵機が普及
しており、また脱硫装置としては、石灰石等のカルシウ
ム化合物を吸収剤として亜硫酸ガスを吸収し、工業的に
有用な石膏を副生する石灰石膏法による湿式の脱硫装置
が広く普及している。
【0003】ところで、これら除塵装置や脱硫装置を含
む排煙処理設備では、除去された粉塵の後処理や、脱硫
装置から排出されるいわゆる脱硫排水の後処理に相当の
設備と運転コストを要しており、その設備の簡素化や経
済性の向上が重要な課題となっている。例えば、脱硫排
水を単に放流する場合には、放流基準を満足すべく、有
害物を除去するとともに、COD調整や全窒素調整を含
む高度な排水処理が必要となって問題であった。またバ
ナジウムは、毒性の高い有毒物であり、粉塵中の他の成
分や石膏等の有価な副生物となるべく別個に分離するこ
とが望ましいという課題もあった。
【0004】そこで近年では、図3に示すように、脱硫
処理により生成する脱硫排水と除去した粉塵とを混合し
て処理することでハンドリング性を向上させ、この混合
スラリ中のバナジウムの還元及び析出処理さらには固液
分離処理を経てバナジウムを汚泥として排出するととも
に、さらにこの混合スラリを濃縮してスラリ中の石膏分
や水分を最終的には排煙中或いは脱硫装置の吸収塔など
の前流側に返送することで、放流される排水がでないい
わゆる無排水クローズド化システムを実現して排水処理
装置を不要としたものを出願人が実用化している。以
下、この設備を図3により説明する。
【0005】この排煙処理設備では、ボイラから排出さ
れ図示省略したエアヒータを経て導入された未処理排煙
A1は、まず導入ダクト1において、スプレーノズル2
から吹込まれるアンモニアB1や水蒸気C1と接触し、
排煙中の三酸化硫黄(SO3)がこのアンモニア(N
3)や水分と反応して硫安((NH4)2SO4)となる。
次に排煙A1は、熱媒循環式のノンリーク型のガスガス
ヒータ(GGH)の熱回収部3に導入されて熱回収さ
れ、その後の除塵や脱硫に好ましい温度まで冷却された
後、乾式の電気集塵機4に導入されて粉塵Dを除去され
る。この粉塵Dは、未燃カーボンを主体とするもので、
重質油焚きボイラの場合にはバナジウムの他にマグネシ
ウム等の不純物も含有される。
【0006】次いで排煙A1は、脱硫装置10の後述の
吸収塔12,13において、少なくとも亜硫酸ガス(S
2)と僅かに残留した粉塵の一部が除去された後、ガ
スガスヒータ(GGH)の再加熱部5でより大気放出に
好ましい温度となるように加熱されて、処理後排煙A2
として図示省略した煙突から大気中に放出される。な
お、循環ポンプ6により循環するガスガスヒータの熱媒
は、この場合熱媒ヒータ7においても蒸気C2の熱で加
熱され、処理後排煙A2を十分に加熱するようになって
いる。
【0007】脱硫装置10は、この場合、吸収剤スラリ
Eが供給される一つのタンク11の上部に、二つの液柱
式吸収塔12,13(並流式と向流式)を並べて設置
し、排煙が順次各吸収塔に導かれてそれぞれの吸収塔で
排煙とタンク11内のスラリとの気液接触が行われる構
成としたものである。各吸収塔12,13には、スプレ
ーパイプ15,16がそれぞれ複数設けられ、これらス
プレーパイプ15,16から、循環ポンプ17,18が
吸上げたスラリが上方に向って液柱状に噴射される。ま
たこの場合、各吸収塔の前流側又は後流側には、同伴ミ
ストを捕集除去するためのミストエリミネータ19,2
0が設けられている。なお、これらミストエリミネータ
19,20で捕集されたミストは、図示省略した下部ホ
ッパへ集められホッパ低部のドレン抜き配管を介してタ
ンク11内に戻る構成となっている。
【0008】そしてこの装置は、タンク11内のスラリ
を攪拌しつつ酸化用の空気を微細な気泡として吹込むい
わゆるアーム回転式のエアスパージャ21を備え、タン
ク11内で亜硫酸ガスを吸収した吸収剤スラリと空気と
を効率良く接触させて全量酸化し石膏を得る構成となっ
ている。すなわちこの装置では、吸収搭12又は13で
ヘッダーパイプ15又は16から噴射され排煙と気液接
触して亜硫酸ガス及び粉塵を吸収しつつ流下するスラリ
は、いずれもタンク11内においてエアスパージャ21
により攪拌されつつ吹込まれた多数の気泡と接触して酸
化され、さらには中和反応を起こして石膏となる。な
お、これらの処理中に起きる主な反応は以下の反応式
(1)乃至(3)となる。
【0009】
【化1】(吸収搭排煙導入部) SO2 +H2O → H+ +HSO3 - (1) (タンク) H+ +HSO3 - +1/2O2 → 2H+ +SO4 2- (2) 2H+ +SO4 2- +CaCO3 +H2O → CaSO4・2H2O +CO2 (3)
【0010】こうしてタンク11内には、定常的には石
膏と吸収剤である少量の石灰石と微量の粉塵が懸濁する
ようになっており、このタンク11内のスラリがこの場
合スラリポンプ22により固液分離機23に供給され、
ろ過されて水分の少ない石膏Fとして採り出される。一
方、固液分離機23からのろ液の一部G1は、ろ液タン
ク24及びろ液ポンプ25を経由して、吸収剤スラリE
を構成する水分としてスラリ調整槽26に供給され、循
環使用される。
【0011】スラリ調整槽26は、攪拌機を有し、図示
省略した石灰石サイロから投入される石灰石H(カルシ
ウム化合物)と、ろ液タンク24より送られる水とを攪
拌混合して吸収剤スラリEを生成するもので、内部の吸
収剤スラリEがスラリポンプ27によりタンク11に適
宜供給されるようになっている。なお、例えばタンク1
1には、適宜補給水(工業用水等)が供給され、吸収塔
12,13における蒸発等により漸次減少する水分が補
われる。
【0012】また、ろ液タンク24のろ液の他の一部
は、脱硫装置10における循環水中の不純物の蓄積を防
止すべく、いわゆる脱硫排水G2として以下の後処理工
程に送られる。即ちこの脱硫排水G2は、スラリポンプ
25の吐出側から分岐するラインを経由して、まず混合
槽31に送られ、電気集塵機4から送られた粉塵Dと混
合攪拌され、pHが3〜4の混合スラリS1となる。
【0013】なお、従来の混合槽31は、滞留時間が例
えば数時間程度とされているため、混合スラリS1が濃
度の割に高粘度のスラリとなる。このため、スラリポン
プによる搬送等のためのスラリ粘度の制限(10cP以
下)から、高くとも30%程度までに濃度を制限するの
が好ましく、その分過剰にろ液タンク24のろ液を脱硫
排水G2として導出するか、或いは補給水を投入する等
していた。
【0014】次に混合スラリS1は、pH調整還元槽3
2に送られ、ここで硫酸(H2SO4)等の酸Iを加えられ
て、バナジウムの還元反応が可能なpH値(約2以下)
に調整されるとともに、例えば亜硫酸ナトリウム(Na
2SO3)等の還元剤Jが添加混合されて、以下の反応式
(4)で示すようなスラリ内のバナジウムの5価から4
価への還元が進行し、バナジウムが液中に溶解する。
【0015】
【化2】 2VO2 + + SO3 2- + 2H+ → 2VO2+ + SO4 2- +H2O (4)
【0016】次いで、バナジウムの還元が行われた混合
スラリS2は、析出槽33に送られて、アンモニアB2
が添加混合される。ここでは、スラリ中の4価のバナジ
ウムがアンモニアと以下の反応式(5)の反応を起こし
て析出する。
【0017】
【化3】 VO2+ + 2NH4OH → VO(OH)2 + 2NH4 + (5)
【0018】次に、バナジウムの析出処理がなされ析出
槽33から導出された混合スラリS3は、スラリポンプ
34により凝集沈殿装置及び/又は真空式ベルトフィル
タ等よりなる固液分離機35に送られて、その固形分L
が汚泥又はケーキとして分離される。なお、分離された
固形分Lは、粉塵D中に含まれていた未燃カーボンを主
体とし、析出したバナジウムを含有するものとなる。な
お、固液分離機35には、ろ布や固形分のケーキの洗浄
水として工業用水W1が供給されるが、この水分は従来
排液S4中に混入させていた。
【0019】次いで、バナジウムを含む固形分を除去さ
れた排液S4は、中和槽36に送られ、ここで消石灰
(Ca(OH)2)等の薬剤M及び後述の返送排液Kを添
加攪拌されて、液中の硫酸イオンやアンモニウムイオン
が、石膏又は水酸化アンモニウムとなる。そして、石膏
の固形分と水酸化アンモニウムを含むスラリS5は、次
に一次濃縮器37に送られて、アンモニアBが蒸発気化
により分離され、スラリポンプ38により石膏と他の固
形物を高濃度に含むスラリS6として排出される。
【0020】なお、一次濃縮器37は、蒸発缶37aと
加熱器37bと循環ポンプ37cとよりなり、発電設備
のボイラ等において発生した高温蒸気C3によりスラリ
を加熱しアンモニアを含む水分Bを蒸発気化させるもの
である。この一次濃縮器37では、設備全体の排水量を
ゼロとするために、脱硫排水G2の水分量に加えて、中
間工程で加えられる水分(前述の洗浄水W1等)も含め
た全水分量に応じた量の蒸発気化が行われる。また、ス
ラリS6中に含まれる石膏以外の固形物としては、水酸
化マグネシウム(Mg(OH)2)が主に存在する。この
水酸化マグネシウムは、粉塵D中に不純物として含まれ
ていたマグネシウムとスラリ中の水酸化物イオンが結合
したものである。
【0021】次にこのスラリS6は、サイクロン又は沈
降遠心機等の固体分離機39に導入されて、主に石膏
(粗粒固形物)を含有するスラリS7と、他の微細な固
形物(主に前述の水酸化マグネシウム)を含有するスラ
リS7aとに分離され、このうちスラリS7は脱硫装置
10の吸収塔タンク11内に返送され、一方スラリS7
aの一部は脱水器40(二次濃縮器)により脱水され
て、主に水酸化マグネシウムを含有する固形分が汚泥N
として排出される。なお、スラリS7aのうち脱水器4
0に供給されない残りの液は、返送排液Kとして中和槽
36に返送される。
【0022】また、一次濃縮機37における蒸発気化に
より発生したアンモニア水Bは、冷媒として冷却水W2
が供給される冷却器41により冷却されて凝縮し、貯留
タンク42に溜められる。そして、貯留タンク42内の
アンモニア水Bは、通常3〜6%程度の低濃度であるた
め、ポンプ43を介してアンモニア濃縮装置44に送ら
れ、ここで10〜20%濃度のアンモニア水に濃縮され
た後に、その一部がアンモニアB1として気化器45に
よりガス化されて前述のスプレーノズル2より導入ダク
ト1内に噴射され、また他の一部がアンモニアB2とし
て前述の析出槽33に供給される。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
排煙処理設備は、前述したように脱硫排水と粉塵を混合
して処理することでハンドリング性を向上させた等の点
において優れたものであるが、さらなる設備の簡素化や
経済性の向上を図る観点等においては、以下のような各
種の改善すべき問題があった。
【0024】(1)高価で大掛かりな電気集塵機4に加
えて、バナジウムを固形分として排出するまでの工程
に、多数の処理槽(混合槽31,pH調整還元槽32,
析出槽33)が必要となる。 (2)pH調整還元槽32において、硫酸(H2SO4
等の酸Iや、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)等の還元
剤Jの供給が必要となる。
【0025】(3)混合スラリS1の濃度が、前述した
ようにスラリ粘度の制限から30%程度に制限されると
ともに、固液分離機35において使用された洗浄水W1
がスラリの液中に加えられるため、その分だけ一次濃縮
器37で蒸発処理すべき液量が増えてその負荷が高くな
っており、高温蒸気C3を多量に消費する。 (4)ボイラの助燃剤等として再利用できる粉塵中の未
燃カーボンが、バナジウム含有汚泥に含まれて有害なバ
ナジウムとともに排出されるので、この未燃カーボンも
含んだ状態で廃棄することになり、廃棄処理にその分よ
けいにコストがかかるとともに、資源の有効利用が図れ
ない。
【0026】そこで本発明は、粉塵と脱硫排水を混合処
理して粉塵中のバナジウムなどの重金属を固形分として
分離する排煙処理設備であって、上記従来の問題点が解
消又は軽減されて、さらなる設備の簡素化や運転コスト
の低減等が実現された排煙処理設備を提供することを目
的としている。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の排煙処理設備は、脱硫装置の前流側
に除塵還元塔を設置し、この除塵還元塔の塔底部には脱
硫排水が液分として供給されるスラリタンクを形成し、
またこの除塵還元塔の塔頂部には前記スラリタンク内の
スラリが前記脱硫装置に導入される前の排煙に接触して
排煙中の粉塵を捕集するとともに排煙中の亜硫酸ガスの
一部を吸収する接触部を形成し、さらに前記スラリタン
クにおけるスラリの滞留時間が、前記スラリ中に捕集さ
れた粉塵中の重金属が十分に溶解し吸収された亜硫酸に
より還元されて重金属の還元処理が十分に進行するよう
設定して、この除塵還元塔が、除塵装置として機能する
とともに、粉塵と脱硫排水の混合処理及び重金属の還元
処理を行う反応器としても機能する構成としたことを特
徴とする。
【0028】また、請求項2記載の排煙処理設備は、前
記スラリタンクから導出された粉塵と脱硫排水からなる
混合スラリを、重金属の析出処理を行う前に固液分離し
て、重金属を含有しない粉塵成分を分離する粉塵分離手
段を設けたことを特徴とする。
【0029】また、請求項3記載の排煙処理設備は、粉
塵と脱硫排水よりなる混合スラリの固液分離における洗
浄水よりなる排液を前記除塵還元塔のスラリタンク内に
導入する構成としたことを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図面に基づいて説明する。図1は、本例の排煙処理設
備の全体構成を示す図である。なお、図3に示す従来の
構成と同様の要素には、同符号を付してその説明を省略
する。本例の特徴は、脱硫装置10の前流側に除塵還元
塔50を設置するとともに、排煙中の粉塵と脱硫排水か
らなる混合スラリS2をバナジウムの析出処理を行う前
に固液分離する粉塵分離手段60を設けて、図3におけ
る電気集塵機4,混合槽31,pH調整還元槽32及び
アンモニア濃縮装置44を削除した点にある。
【0031】除塵還元塔50は、塔底部に、脱硫排水G
2が液分として供給されるスラリタンク51が形成さ
れ、一方塔頂部には、スラリタンク51内のスラリが脱
硫装置10に導入される前の排煙に接触して排煙中の粉
塵を捕集するとともに亜硫酸ガスの一部を吸収する気液
接触部52が形成され、除塵装置として機能するととも
に、図3における前述の混合槽31や還元槽32で行わ
れていた混合処理及び還元処理を行う反応器としても機
能する構成となっている。
【0032】即ち、気液接触部52には、スプレーパイ
プ53が複数設けられ、このスプレーパイプ53から、
循環ポンプ54が吸上げたスラリが噴射される。また、
スラリタンク51には、スラリの混合攪拌を行う攪拌機
55が設置され、さらにスラリタンク51におけるスラ
リの滞留時間が、スラリ中に捕集された粉塵中のバナジ
ウムが十分に溶解し排煙から吸収された亜硫酸により還
元されて前記反応式(4)の還元処理が十分に進行する
よう設定してある。この場合具体的には、滞留時間が2
〜3日程度の長時間となるように、従来脱硫装置の吸収
塔の前流に設けられることのあるいわゆる冷却除塵塔に
比較してスラリタンク51のタンク容量を大型化すれば
よい。
【0033】なお、スラリタンク51内のスラリは、所
定の滞留時間を経て前記還元処理と混合攪拌が十分にな
された後に、スラリポンプ56により順次抜き出され、
混合スラリS2として粉塵分離手段60に送られる。
【0034】粉塵分離手段60は、例えば真空式ベルト
フィルタ等の固液分離機よりなり、詳細には例えば図2
に示すように構成されている。即ち、混合スラリS2
は、無端ベルト状に周回するろ布61の一端部に供給さ
れ、脱水用真空パン62が設けられた脱水範囲において
まずスラリの真空ろ過が行なわれる構成となっている。
脱水用真空パン62は、真空ポンプ63により真空引き
される脱水用真空タンク64に接続されており、この脱
水範囲において真空ろ過により分離されたろ液は、脱水
用真空タンク64に導入され、その底部からろ液タンク
65に排出され、さらにこのろ液タンク65を経由して
最終的に排液S8として図1に示す析出槽33に送られ
る。
【0035】そして、混合スラリS2が脱水されてなる
固形分(ケーキ)は、次に洗浄用真空パン66が設けら
れた洗浄範囲において、ノズル67から噴射される洗浄
水W1によりケーキの真空洗浄が行なわれた後、ろ布6
1の他端部から粉塵ケーキL1として排出される。この
粉塵ケーキL1は、バナジウムをほとんど含まない未燃
カーボンのみを主成分とするものとなり、例えばGGH
の熱媒の熱を利用した乾燥器(図示省略)により乾燥処
理して、付着水20%程度の未燃カーボンとして回収で
きる。
【0036】なお、洗浄用真空パン66は、真空ポンプ
63により真空引きされる洗浄用真空タンク68に接続
されており、前記ケーキ洗浄に使用された洗浄水W1の
排液は、洗浄用真空タンク68に導入され、その底部か
ら排液タンク69に排出される。
【0037】また、ろ布61は、洗浄用常圧パン70が
設けられた洗浄範囲において、ノズル71,72から噴
射される洗浄水W1により順次洗浄されるよう構成され
ており、この洗浄後の排液も前記排液タンク69に排出
される。そして、排液タンク69の排液Pは、図1に示
すように除塵還元塔50のスラリタンク51に返送され
る構成となっている。
【0038】なお、本例の設備で固液分離機35は、前
記排液S8が析出槽33において析出処理されてなるバ
ナジウムの固形分を含むスラリS9を固液分離すること
になり、この固液分離機35で分離される固形分は、未
燃カーボンをほとんど含まないバナジウムを主体とする
汚泥又はケーキL2となる。なお、この固液分離機35
において洗浄水W1が使用される場合には、この洗浄水
W1による排液を上述の粉塵分離手段60と同様に除塵
還元塔50のスラリタンク51に返送するようにするの
が好ましい。
【0039】以上のように構成された本例の排煙脱硫設
備では、排煙中の粉塵を除去する手段として従来の電気
集塵機の代りに設置された除塵還元塔50が、除塵装置
として機能するとともに、図3における前述の混合槽3
1や還元槽32で行われていた混合処理及び還元処理を
行う反応器としても機能する。
【0040】しかも、ここでの還元処理は、排煙中から
吸収された亜硫酸が還元剤として作用し、またこの除塵
還元塔50のスラリタンク51内のpHは、この亜硫酸
の影響で自動的にバナジウムの還元に好ましいpH2程
度に容易に維持される。また、この除塵還元塔50での
粉塵と脱硫排水の混合処理は、2〜3日という長い時間
をかけてゆっくり行われることになるため、発明者らの
研究によれば、同じ濃度でも粘度が低くなり、結果とし
て従来よりも高濃度化が実現できる。具体的には、この
場合混合スラリS2の濃度を35〜40%程度として
も、スラリ粘度の制限(10cP以下)が維持できる。
【0041】さらに本例では、粉塵分離手段60を設け
ているので、バナジウム析出前にスラリを固液分離して
未燃カーボンを主成分とする粉塵ケーキL1が分離でき
る。
【0042】したがって、本例の排煙処理設備によれ
ば、以下の様な各種の効果が奏される。 (1)単なる湿式の気液接触塔(除塵還元塔50)を設
けるだけで、高価で大掛かりな電気集塵機が不要となる
とともに、バナジウムを固形分として排出するまでの工
程に従来必須であった処理槽(図3における混合槽3
1,pH調整還元槽32)も不要となる。これにより、
設備全体としての小型化,低コスト化が実現できる。
【0043】(2)従来のpH調整還元槽32において
添加していた、硫酸(H2SO4)等の酸Iや、亜硫酸ナ
トリウム(Na2SO3)等の還元剤Jの供給が不要とな
る。これにより、運転コストが低減できる。
【0044】(3)混合スラリの濃度が、除塵還元塔5
0でゆっくり混合することにより35〜40%程度に高
濃度化できる(即ち、水分率を低減できる)とともに、
固液分離機において使用する洗浄水W1がスラリの液中
に加えられなくなるため、一次濃縮器37で蒸発処理す
べき液量が大幅に減少してその負荷が少なくなり、高温
蒸気C3の消費量を格段に低減できる。ちなみに発明者
らの試算によれば、従来1000MWクラスの発電設備
において蒸発処理量が10t/h程度であったものを、
本例のような構成を採用することにより8t/h程度に
減らすことができる。
【0045】(4)また、同様の理由から一次濃縮器3
7で蒸発処理する水分量が減るために、アンモニア水B
の濃度が従来よりも格段に高くなり、従来のような高性
能なアンモニア濃縮装置44を設ける必要がなくなっ
て、この点でも設備全体としての小型化,低コスト化が
実現できる。
【0046】(5)ボイラの助燃剤等として再利用でき
る粉塵中の未燃カーボンが、粉塵ケーキL1として、有
害なバナジウムとは別個に排出されるので、廃棄処理コ
ストが低減できるとともに、資源の有効利用が図れる。
即ち、重量当りの廃棄コストの高いバナジウム汚泥或い
はケーキは、未燃カーボンを含まない必要最小限の量に
減溶化できるとともに、一方未燃カーボンは、バナジウ
ムを含まない状態で別個に回収できる。
【0047】なお、本発明は上記形態例に限られず、各
種の態様がありうる。例えば、バナジウムを含む固形分
を分離した後の混合スラリの排液(図1で符号S4で示
すもの)の後処理は、必ずしも上記例のように濃縮して
無排水化する構成に限られず、例えば放流基準を満足さ
せるための無害化処理をした後に放流する構成でもよ
い。このような場合でも、電気集塵機が不要となるとと
もに、粉塵と脱硫排水の混合処理やバナジウムの還元処
理を行う別個の処理槽が不要となる利点や、還元剤や硫
酸等の薬剤が不要となる利点、さらには混合スラリの高
濃度化等によって排液処理量が格段に低減されるといっ
た各種の優れた利点は、有効である。
【0048】また、粉塵分離手段60を設けないで、従
来どおり未燃カーボンをバナジウムとともに分離しても
よい。この場合には、未燃カーボンのみの回収が実用的
には不可能になるが、その他の利点は有効であり、設備
がさらに簡素化される。また、粉塵分離手段60等の固
液分離手段における洗浄水の排液も、従来同様に濃縮処
理する排液中に混入させてもよい。ただしこの場合に
は、その分だけ排液処理量の減量効果が少なくなる。
【0049】また、本発明における重金属には、上記形
態例において例示したバナジウムの他に、マグネシウム
やニッケルなど排煙中に含有され得る他の重金属類も含
まれ、これらに対しても本発明が有効であることはいう
までもない。
【0050】
【発明の効果】本発明の排煙処理設備によれば、排煙中
の粉塵を除去する手段として従来の電気集塵機の代りに
設置された除塵還元塔が、除塵装置として機能するとと
もに、図3における前述の混合槽31や還元槽32で従
来行われていた混合処理及び還元処理を行う反応器とし
ても機能する。しかも、ここでの還元処理は、排煙中か
ら吸収された亜硫酸が還元剤として作用し、またこの除
塵還元塔のスラリタンク内のpHは、この亜硫酸の影響
で自動的に重金属の還元に好ましいpH2程度に容易に
維持される。また、この除塵還元塔での粉塵と脱硫排水
の混合処理は、長い時間をかけてゆっくり行われること
になるため、同じ濃度でも粘土が低くなり、結果として
従来よりも高濃度化が実現できる。
【0051】したがって、本発明の排煙処理設備によれ
ば、以下の様な各種の効果が奏される。 (1)単なる湿式の気液接触塔(除塵還元塔)を設ける
だけで、高価で大掛かりな電気集塵機が不要となるとと
もに、重金属を汚泥として排出するまでの工程に従来必
須であった処理槽(図3における混合槽31,pH調整
還元槽32)も不要となる。これにより、設備全体とし
ての小型化,低コスト化が実現できる。
【0052】(2)従来のpH調整還元槽32において
添加していた、硫酸(H2SO4)等の酸Iや、亜硫酸ナ
トリウム(Na2SO3)等の還元剤Jの供給が不要とな
る。これにより、運転コストが低減できる。
【0053】(3)混合スラリの濃度が、除塵還元塔で
ゆっくり混合することにより35〜40%程度に高濃度
化できる(即ち、水分率を低減できる)ため、混合スラ
リを固液分離して重金属を含む固形分を分離した後の排
液の処理量が低減でき、この点でも運転コストが低減で
きる。
【0054】しかも、請求項2記載の排煙処理設備で
は、除塵還元塔のスラリタンクから導出された粉塵と脱
硫排水からなる混合スラリを、重金属の析出処理を行う
前に固液分離して、重金属を含有しない粉塵成分を分離
する粉塵分離手段を設けた。このため、ボイラの助燃剤
等として再利用できる粉塵中の未燃カーボンが、上記粉
塵分離手段により分離される固形分として、有害な重金
属とは別個に排出されるので、廃棄処理コストが低減で
きるとともに、資源の有効利用が図れる。即ち、重量当
りの廃棄コストの高い重金属汚泥或いはケーキは、未燃
カーボンを含まない必要最小限の量に減溶化できるとと
もに、一方未燃カーボンは、重金属を含まない状態で別
個に回収できる。
【0055】また、請求項3記載の排煙処理設備では、
前記混合スラリの固液分離における洗浄水よりなる排液
を前記除塵還元塔のスラリタンク内に導入する構成とし
た。このため、固液分離機において使用する洗浄水がス
ラリの液中に加えられなくなるため、前述の混合スラリ
の高濃度化の作用とあいまって、重金属を含む固形分を
分離した後の排液の処理量が大幅に低減でき、さらなる
運転コスト低減が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例である排煙処理設備の全体構成を
示す図である。
【図2】同排煙処理設備における粉塵分離手段の詳細構
成を示す図である。
【図3】従来の排煙処理設備の全体構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
10 脱硫装置 50 除塵還元塔 51 スラリタンク 52 気液接触部 60 粉塵分離手段
フロントページの続き (72)発明者 竹内 善幸 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重金属を含む粉塵と亜硫酸ガスとを少な
    くとも含有する排煙から少なくとも前記粉塵を除去する
    除塵装置と、 この除塵装置により粉塵を除去された前記排煙をカルシ
    ウム化合物を含有する吸収剤スラリと気液接触させて、
    排煙中の少なくとも亜硫酸ガスを吸収し、この気液接触
    後の吸収剤スラリを酸化して固液分離することにより、
    吸収した亜硫酸ガスから石膏を副生する脱硫装置とを有
    し、 前記脱硫装置における固液分離で生じたろ液の一部より
    なる脱硫排水と前記排煙より捕集された粉塵とを混合
    し、この混合処理により生成された混合スラリ中の重金
    属の還元処理及び析出処理を行い、さらに前記混合スラ
    リの固液分離を行うことにより、前記粉塵中の重金属を
    固形分として排出する排煙処理設備において、 前記脱硫装置の前流側に除塵還元塔を設置し、この除塵
    還元塔の塔底部には前記脱硫排水が液分として供給され
    るスラリタンクを形成し、またこの除塵還元塔の塔頂部
    には前記スラリタンク内のスラリが前記脱硫装置に導入
    される前の排煙に接触して前記粉塵を捕集するとともに
    前記亜硫酸ガスの一部を吸収する接触部を形成し、さら
    に前記スラリタンクにおけるスラリの滞留時間が、前記
    スラリ中に捕集された粉塵中の重金属が十分に溶解し吸
    収された亜硫酸により還元されて前記還元処理が十分に
    進行するよう設定して、 この除塵還元塔が、前記除塵装置として機能するととも
    に、前記混合処理及び還元処理を行う反応器としても機
    能する構成としたことを特徴とする排煙処理設備。
  2. 【請求項2】 前記スラリタンクから導出された粉塵と
    脱硫排水からなる混合スラリを、前記析出処理を行う前
    に固液分離して、前記重金属を含有しない粉塵成分を分
    離する粉塵分離手段を設けたことを特徴とする請求項1
    記載の排煙処理設備。
  3. 【請求項3】 前記混合スラリの固液分離における洗浄
    水よりなる排液を前記除塵還元塔のスラリタンク内に導
    入する構成としたことを特徴とする請求項1又は2記載
    の排煙処理設備。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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