JP3519555B2 - 重質油燃料焚きボイラの排ガス処理方法 - Google Patents
重質油燃料焚きボイラの排ガス処理方法Info
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Description
るボイラの排ガスの処理方法に関し、特にこれらの燃料
を使用する火力発電所から排出される排ガスの処理に有
利に適用される処理方法に関する。
の化石燃料を燃焼させるボイラ施設から排出される燃焼
排ガスの処理プロセスにおいては、ボイラからの排ガス
煙道に設けられた集塵装置から排出される灰(集塵灰)
と湿式排煙脱硫装置からの排水(排脱排水)とはそれぞ
れ別々に処理されており、集塵灰は加湿処理され、排脱
排水は環境規制値を満足する水質まで処理されてそれぞ
れ別の場所から系外に排出されていた。一方、近年火力
発電所などでは燃料の多様化に積極的に取り組んでお
り、高硫黄分含有の重油、天然オリノコタール、又は天
然オリノコタールに水を添加、混合してエマルジョン化
し、常温でのハンドリングを可能としたエマルジョン燃
料(例えば天然オリノコタール70重量%に清水30重
量%と微量の界面活性剤を混合しエマルジョン化したも
の)などが新しい燃料として注目されている(以下、こ
れらの燃料を総称して重質油という)。しかしながら、
これらの重質油の燃焼排ガスから出る集塵灰の処理方法
として確立された技術の蓄積は少ない。
窒素分、硫黄分及び重金属類の含有量が高いため、重質
油焚き火力発電所からの集塵灰及び排脱排水の性状は従
来の重油焚き火力発電所からの集塵灰及び排脱排水の性
状とは著しく異なり新たな対応が必要となっている。特
にその集塵灰は吸湿性・噴流性をもつためハンドリング
が困難であり、しかも従来の重油焚きボイラに比べ集塵
灰の量は多く、集塵灰の嵩密度が小さいため集塵灰の体
積が大きくなり、貯蔵設備の容量は大きくなるという問
題がある。また、集塵灰中及び排脱排水中にはアンモニ
ウム分(NH4 + )が多く含まれるため、排脱排水及び
集塵灰処理の環境対策上アンモニウム分を除去する必要
がある。
塵灰の処理方法として、本発明者らはボイラ排ガスの集
塵灰と排脱排水とを混合し、還元剤を添加して5価のバ
ナジウムを4価のバナジウムに還元し、水酸化マグネシ
ウム及び/又はアンモニア水を添加してpHを3〜9と
して生成した高濃度バナジウム(V)含有沈殿物を分離
し、分離液はさらに消石灰(水酸化カルシウム)又は生
石灰(酸化カルシウム)を添加してpHを9〜12とし
て蒸留しアンモニアを回収する各工程より構成される重
質油燃料焚きボイラの集塵灰と排脱排水の混合処理方法
を提案した(特開平8−117552号公報)。この方
法の概要を図4に示し、pH調整用に水酸化マグネシウ
ムを使用する場合を例にとって説明する。
としての第1鉄塩c1を混合工程41で混合して、集塵
灰b1をスラリ化(一部溶解)させる。集塵灰b1には
ボイラの運転状況によって異なるが、未燃炭素(C)、
バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)及び固定アン
モニア(NH4 + )がそれぞれ5〜10重量%、2〜5
重量%、5〜10重量%及び5〜10重量%含まれてい
る。集塵灰b1の混合率は排脱排水a1に対して5〜4
0重量%とし、第1鉄塩c1の注入率は共存イオンの影
響を考慮して等モル比以上を添加することが好ましい。
なお排脱排水a1は弱酸性の石膏飽和液であるが、混合
液d1のpHは2〜3となる。この工程で5価のVが4
価に還元されるが、pHが低いため4価Vは溶解してい
る。
分離工程42に送られ、水酸化マグネシウム{Mg(O
H)2 }e1が添加、混合される。このときのpHは3
〜9、好ましくは4〜8とする。この工程において高分
子凝集剤f1を添加するのが好ましい。高分子凝集剤と
しては通常の排水処理で使用される高分子凝集剤などが
使用できる。この操作で生じた沈殿物を沈降分離して、
沈殿物g1と上澄液h1(分離液)を得る。固液分離工
程42で得られる沈殿物g1には8重量%以上のVが含
まれており、その他の成分は未燃炭素(C)、Fe、A
lなどである。この沈殿物g1は別途V回収用の原料と
して使用できる。なお、上澄液h1にはVはほとんど含
まれていない(上澄液h1の全V分は1mg/リットル
以下である)。
次のpH調整工程44に送られる。pH調整工程44で
は消石灰{Ca(OH)2 }n1の添加によりpHを9
〜12に調整した後、蒸留工程45に送る。なおこの液
のpHは、石膏(硫酸カルシウム)及び水酸化マグネシ
ウムの生成のためと次の操作の効率を上げるために9〜
12に保つ。蒸留工程45はスチームストリッピングの
他、真空蒸留等の通常の蒸留操作が適用できる。この操
作により液中からアンモニアガスk1が分離され、凝縮
工程46でアンモニア水k2として回収される。蒸留工
程45と凝縮工程46によるアンモニアの回収率は、混
合液d1に含まれる固定アンモニア量の95%以上とな
る。回収されたアンモニア水k2は系外に搬出して、煙
道ガスの中和等に利用できる。蒸留工程45で蒸留後残
留した処理液はpH調整工程44で析出した石膏と水酸
化マグネシウムのスラリとなっており、分離工程47に
よって石膏を主成分とする石膏スラリp1と水酸化マグ
ネシウムを主成分とする水酸化マグネシウムスラリq1
とに分離され、各々系外に搬出され別途処理される。な
お、水酸化マグネシウムスラリq1を固液分離工程42
において添加するアルカリ剤として使用する場合には、
さらに濃縮して高濃度水酸化マグネシウムスラリとして
添加する。
として水酸化マグネシウムを使用することによって、沈
殿物g1中のV含有率は8重量%以上に高められる。さ
らにpH調整工程44で消石灰{Ca(OH)2 }を使
用するため、pH調整工程44及び蒸留工程45におけ
る石膏の過飽和度が低減できるため、石膏スケールの発
生を抑えることができる。
油燃料焚きボイラの集塵灰と排脱排水を安定して処理す
ることができ、廃棄物の減容化及び有価物の回収も可能
となる。しかしながらこの方法では、なお次のような問
題点がある。 (1)ボイラ排ガス煙道に集塵装置を設けて排ガス中の
ダストを捕集した後で、排脱排水と混合して処理するた
め、集塵装置を必要とする。 (2)集塵灰と排脱排水の混合スラリ中からVを回収す
るための混合工程では、第1鉄塩や亜硫酸ナトリウムな
どの還元剤を添加する。また、pHを2程度に低下させ
るために硫酸を添加する場合もある。すなわち、これら
の薬品を必要とし、高コストになる。 (3)固液分離工程で回収される沈殿物中にはV、鉄、
アルミニウムの他多量の未燃炭素を含有しており、これ
を産業廃棄物として処理するために膨大な処理コストを
必要とする。 (4)水酸化マグネシウム分離工程で回収される石膏ス
ラリ中には水酸化マグネシウムが含まれており、低品質
のため用途先が大幅に限定される。 (5)水酸化マグネシウム分離工程で回収される水酸化
マグネシウムスラリは固液混合流体であり、後処理での
装置容量増大、ハンドリング性が悪い。
を燃料とするボイラの排ガスを、少ない薬品使用量で効
率よく処理することができ、高い純度でVなどの有価物
を回収するとともに蒸留後に残留する石膏も高純度の石
膏として回収して有効利用できる処理方法を提供しよう
とするものである。
決する手段として次の(1)〜(7)の態様を採るもの
である。 (1)重質油を燃料とするボイラの排ガスを冷却・除塵
塔及び吸収塔を分離して有する湿式排煙脱硫装置に通し
て処理する方法であって、前記湿式排煙脱硫装置の冷却
・除塵塔から排出される灰・排水スラリ中の未燃炭素を
分離する未燃炭素分離工程と、該未燃炭素分離工程から
の未燃炭素を分離した後の分離液に水酸化マグネシウム
及び/又はアンモニア水を添加してpHを3〜9とする
第1pH調整工程と、該第1pH調整工程で析出した4
価Vの水酸化物を高濃度V含有沈殿物として分離する固
液分離工程と、前記固液分離工程から出る分離液に消石
灰又は生石灰を添加してpHを9〜12とする第2pH
調整工程と、該第2pH調整工程においてpH調整後の
液を蒸留して濃縮する蒸留工程と、該蒸留工程で発生す
る蒸気を凝縮させアンモニア水を回収する凝縮工程とか
ら構成されてなることを特徴とする重質油燃料焚きボイ
ラの排ガス処理方法。
留残液中の石膏と水酸化マグネシウムとを分離する水酸
化マグネシウム分離工程を設け、該水酸化マグネシウム
分離工程で得られる水酸化マグネシウムを主成分とする
スラリと石膏を主成分とするスラリを別個に処理するこ
とを特徴とする前記(1)の重質油燃料焚きボイラの排
ガス処理方法。 (3)前記水酸化マグネシウム分離工程で得られる水酸
化マグネシウムを主成分とするスラリを前記第1pH調
整工程で添加する水酸化マグネシウムの一部又は全部と
して使用することを特徴とする前記(2)の重質油燃料
焚きボイラの排ガス処理方法。
得られる石膏を主成分とするスラリを前記湿式排煙脱硫
装置の吸収塔へ送って処理することを特徴とする前記
(2)の重質油燃料焚きボイラの排ガス処理方法。 (5)前記水酸化マグネシウム分離工程で得られる水酸
化マグネシウムを主成分とするスラリを前記第1pH調
整工程で添加する水酸化マグネシウムの一部又は全部と
して使用するとともに、石膏を主成分とするスラリを前
記湿式排煙脱硫装置の吸収塔へ送って処理することを特
徴とする請求項2に記載の重質油燃料焚きボイラの排ガ
ス処理方法。
ンモニア水を前記第1pH調整工程で添加するアンモニ
ア水の一部又は全部として使用することを特徴とする前
記(1)、(2)又は(4)の重質油燃料焚きボイラの
排ガス処理方法。 (7)前記水酸化マグネシウム分離工程で得られる水酸
化マグネシウムを主成分とするスラリのうち、前記第1
pH調整工程で添加する水酸化マグネシウムの一部又は
全部として使用しなかった分を乾燥処理することを特徴
とする前記(2)〜(6)のいずれかの重質油燃料焚き
ボイラの排ガス処理方法。
重油、天然オリノコタール及び天然オリノコタールに水
を添加、混合してエマルジョン化したエマルジョン燃
料、石油精製工程から出る残留油などを含むものであ
る。
するボイラの排ガスを、冷却・除塵塔及び吸収塔を分離
して有する湿式排煙脱硫装置の冷却・除塵塔に通し、循
環する冷却水と接触させて冷却するとともに排ガス中の
ダストを捕集した後、吸収塔に送り脱硫処理を行う。排
ガス中のダストを捕集した冷却・除塵塔の循環水一部は
灰・排水スラリとして排出される。この灰・排水スラリ
に適宜pH調整、固液分離などの処理を施してスラリ中
のVなどの有価物を回収する。なお、冷却・除塵塔は後
流の吸収塔での吸収率を向上させるために本来必要とさ
れている冷却塔を、冷却・除塵塔として兼用するもの
で、新規に設けるものではない。この灰・排水スラリの
pHは通常3以下であり、4価のVは溶解している。こ
の段階で固液分離することにより先ず未燃炭素を分離す
る。次に未燃炭素を分離した液にアルカリ剤として水酸
化マグネシウム及び/又はアンモニア水を添加してpH
を3〜9に調整して4価Vを4価水酸化バナジウムとし
て析出させる。析出した水酸化バナジウムを高濃度で含
有する沈殿物を分離し、Vを回収する。
らに消石灰又は生石灰を添加してpHを9〜12とし、
液中の硫酸イオン及びマグネシウムイオンと反応せしめ
て硫酸カルシウム、水酸化マグネシムを生成させ、次い
で蒸留することにより水分を蒸発させて濃縮する。消石
灰又は生石灰を添加した際、液中のアンモニウムイオン
は水酸化アンモニウムとなり、蒸留工程にて液から脱離
して気相に一旦移行したのち、さらに蒸留工程にて発生
した蒸気の凝縮水へ再移行し、アンモニア水として回収
される。ここで回収したアンモニア水を前記のV析出用
アルカリ剤の一部又は全部として使用することができ
る。
離工程を設け、蒸留工程において濃縮された蒸留残液中
の石膏と水酸化マグネシウムを分離し、分離した石膏を
主成分とするスラリを前記湿式排煙脱硫装置の吸収塔に
送り、該排煙脱硫装置で回収される石膏とともに処理し
て回収することを特徴とする。前記第1pH調整工程に
おいてV析出用アルカリ剤として水酸化マグネシウムを
使用する場合には、ここで分離した水酸化マグネシウム
をその一部又は全部として再利用するのが好ましい。石
膏及び水酸化マグネシウムを分離したのちの固形分を含
有しない液は系外に取り出され処理される。
トが捕集されると同時に、排ガス中の二酸化硫黄ガスも
一部吸収され、結果的に以下に述べる現象により灰中の
5価Vが4価に還元される。二酸化硫黄ガスの冷却・除
塵塔循環液への溶解は(1)式で示され、また(1)式
で生成したHSO3 - が(2)式によって酸化される際
にH+ 及び電子e-が生成する。このH+ 及びe- によ
って(3)式に従いVO2 + (5価V)がVO2+(4価
V)に還元される。
るHSO3 - の酸化の際に生成するH+ の一部によって
pHは3以下に維持することができるので、系外から硫
酸、塩酸などの酸を添加する必要はない。
灰・排水スラリは未燃炭素分離工程に供給され固液分離
される。このpH範囲では灰中の鉄、アルミニウムなど
の金属類は溶解しているので未燃炭素を主成分とするケ
ーキと分離液が得られる。分離方法としてはろ過法、遠
心分離法などが用いられる。
工程に送られ水酸化マグネシウム及び/又はアンモニア
水によってpHを3〜9とし、4価VをV2 O4 ・2H
2 Oとして析出させる。その反応式は(4)式のように
なる。(4)式中の水酸基(OH- )は水酸化マグネシ
ウム又はアンモニア水の解離によって生成したものであ
る。ここで使用する水酸化マグネシウム又はアンモニア
水として、後述の工程にて回収されるものの一部又は全
部を使用することができる。4価Vを析出させた液は固
液分離工程において固液分離され高濃度のVを含むケー
キが回収される。なお、この段階で必要により通常の排
水処理で使用される高分子凝集剤を添加してもよい。
(4)式の反応により水酸基(OH- )を失ったマグネ
シウムイオン(Mg2+)、アンモニウムイオン(NH4
+ )は4価のVの解離により生じた硫酸イオン(SO4
2- )と反応して(5)又は(6)式により硫酸マグネ
シウム(MgSO 4 )あるいは硫酸アンモニウム{(N
H4 )2 SO4 }を生成するが、これらは溶解度が高い
ためケーキ中に移行せず、次の第2pH調整工程に供給
される。
石灰{Ca(OH)2 }又は生石灰(CaO)を添加し
てpHを9〜12に調整し、次式(式は消石灰を使用し
た場合について記載)により石膏、水酸化マグネシウム
及びアンモニア水を生成させる。生成した水酸化マグネ
シウム及び石膏は溶解度が低いため析出する。なお、前
記固液分離工程においてアルカリ剤としてアンモニア水
のみを使用する場合でも、灰中にはMg分が含まれてい
るので水酸化マグネシウムが析出する。
ウム及びアンモニア水を含むスラリは蒸留工程に供給さ
れる。蒸留工程では減圧下に加熱することによって水蒸
気が発生する。また、前記(8)式により生成したアン
モニア水も(9)式により液体から気体になるが、凝縮
工程において水蒸気が凝縮した凝縮水に溶解し、(1
0)式によりアンモニア水となって回収される。回収し
たアンモニア水の一部又は全部を前記第1pH調整工程
におけるアルカリ剤の一部又は全部として再利用するこ
とができる。
液の一部)には石膏及び水酸化マグネシウムが濃縮され
て含まれており、このまま系外に排出して別途処理して
もよいが、本発明の好ましい態様として水酸化マグネシ
ウム分離工程に供給して処理する方法がある。水酸化マ
グネシウム分離工程では蒸留工程の残留液は液体サイク
ロンや遠心分離機などを用いて石膏を主成分とするスラ
リと水酸化マグネシウムを主成分とするスラリとに分離
される。
外に排出するか、石膏を回収することができる。なお、
水酸化マグネシウム分離工程では石膏と水酸化マグネシ
ウムとを完全に分離することはできず、水酸化マグネシ
ウムを含む石膏が回収される。そのため、高純度の石膏
を回収するためには石膏を主成分とするスラリを湿式排
煙脱硫装置の吸収塔へ供給して処理するのが好ましい。
湿式排煙脱硫装置は排ガス中の二酸化硫黄ガスを炭酸カ
ルシウム、消石灰などのアルカリ性のカルシウム塩と反
応させて石膏を生成させて回収する石膏回収工程を有し
ており、前記水酸化マグネシウム分離工程で得られる石
膏主成分のスラリも、このスラリを前記石膏回収工程に
供給することにより湿式排煙脱硫装置で生成した石膏と
ともに回収される。
水酸化マグネシウムを主成分とするスラリは必要により
水酸化マグネシウムの濃度を高めた後、その一部又は全
部を前記第1pH調整工程に返送することによって、V
回収用のアルカリ剤の一部又は全部として再利用するこ
とができる。第1pH調整工程で使用しない場合の水酸
化マグネシウムスラリあるいは第1pH調整工程に返送
した残りの水酸化マグネシウムスラリは系外に排出され
るが、円筒式乾燥器などの乾燥器により水分を蒸発させ
て減容化を行うのが望ましい。
明する。この例は第1pH調整工程におけるアルカリ剤
として水酸化マグネシウム分離工程で回収された水酸化
マグネシウムスラリを使用するものである。まず、煙道
排ガスaを冷却・除塵塔1に導入し、煙道排ガスa中の
ダストを捕集するとともに二酸化硫黄ガスの一部を吸収
させる。ここで吸収された二酸化硫黄ガスの一部により
ダスト中の5価のVが4価のVに還元される。なお、ダ
ストの成分はボイラの運転状況によって異なるがバナジ
ウム(V)、マグネシウム(Mg)、アンモニア(NH
3 )及び未燃炭素(C)を主成分とし、それぞれ2〜5
重量%、5〜10重量%、5〜10重量%及び5〜10
重量%を含有している。
のpHは通常1.5〜3の範囲であり、5価から4価に
還元されたVを含む4価のV、Mg、NH3 などの主成
分は溶解しており、その他の鉄、アルミニウムなどの金
属成分も溶解している。この灰・排水スラリcを未燃炭
素分離機3により未燃炭素ケーキdと分離液eとに分離
する。この実施例ではろ過方式の分離機を使用した。未
燃炭素ケーキdは未燃炭素を主成分とし、Siなどの不
溶解分を微量含有しており、含水率は40〜50重量%
程度である。
c中の溶解成分を含む分離液eは、第1pH調整槽4に
供給される。第1pH調整槽4には、後流の石膏・水酸
化マグネシウム分離機9で分離、回収された水酸化マグ
ネシウムスラリkの一部を供給し、pHを3〜9、好ま
しくは6〜8に上昇させる。pH上昇に伴い溶解してい
た4価Vが固体として析出し、液中のVの濃度は1.5
(ミリモル/リットル)以下となる。第1pH調整槽4
でVを析出させた液をVケーキ分離機5に供給し析出し
たVを分離する。本実施例ではVケーキ分離機5として
遠心分離機を用いた。回収されるVケーキfは固形分4
5重量%(ダスト成分によって変化するがVとして7〜
15重量%)程度である。このVケーキfは別途バナジ
ウム回収用の原料として使用できる。
後の上澄液gは第2pH調整槽6に供給される。第2p
H調整槽6では消石灰rを添加してpHを9〜12に調
整する。消石灰rを添加することにより上澄液g中の硫
酸マグネシウム及び硫酸アンモニウムが消石灰と反応し
て水酸化マグネシウム、石膏及びアンモニア水が生成す
る。この反応はpH9〜12でほぼ100%進行する。
pH調整後のpH調整液hは蒸発装置7に供給される。
蒸発装置7としては真空蒸留装置等の通常の蒸留装置が
適用でき、本実施例では蒸発装置7の圧力を85(mm
Hg.abs.)、液温度を53℃に制御した。
な水蒸気分圧となるまで蒸発する。また、液中のアンモ
ニアについても同様で前記圧力・温度に平衡な分圧まで
液相中から気相中へ放散する。両者は蒸発アンモニア水
nとして凝縮器11冷却されて再びアンモニア水qとし
て回収され、アンモニア水タンク12を介して系外へ排
出される。アンモニア水qは別途蒸留装置により処理し
て濃縮アンモニア水とし煙道ガス中和用のアルカリ剤と
して再利用することも可能である。蒸発装置7で失った
熱は加熱器8により補給される。本実施例では加熱器8
はシェルアンドチューブ型の熱交換器を用い、系外から
の蒸気wにより循環液iを加熱した。蒸気wの流量は加
熱器8の出口液温度が一定となるように制御した。な
お、加熱器8の出口温度は蒸発装置7内の温度よりも
1.5〜2.0℃高い温度に設定した。
化マグネシウム分離機9に供給して水酸化マグネシウム
スラリkと石膏スラリjとに分離した。石膏・水酸化マ
グネシウム分離機9としては液体サイクロン、遠心分離
機などが使用できる。この例の場合、石膏スラリjは系
外に排出され、別途処理される。
は第1pH調整槽4に送液されて中和用アルカリ剤とし
て利用し、残分は乾燥装置10に供給して処理した。本
実施例では乾燥装置10として円筒式乾燥機を用い、そ
の熱源の蒸気圧力を3kg/cm2 G、円筒回転速度は
毎分2回とした。乾燥装置10からの乾燥残渣lは含水
率30重量%以下の残渣であり、主成分は水酸化マグネ
シウム及び塩化ナトリウムである。乾燥装置10から発
生する蒸発水分mは系外に排出されるが、水再利用のた
めに凝縮して回収してもよい。
硫黄ガスの一部を除去された煙道排ガスaは併設されて
いる吸収塔2で脱硫処理され、処理排ガスbとして排出
される。吸収塔2は排ガスを消石灰などのアルカリ剤を
含む吸収液と接触させて二酸化硫黄ガスを除去するもの
で、副生する石膏を回収する付帯設備を有しており、高
純度の回収石膏sが回収される。
2に示す。この例は第1pH調整工程におけるアルカリ
剤として蒸留工程及び凝縮工程で回収されたアンモニア
水を使用するものである。図2の図1との相違点は、第
1pH調整槽4で使用するアルカリ剤として石膏・水酸
化マグネシウム分離機9で回収される水酸化マグネシウ
ムスラリkの一部を使用する代わりに凝縮器11で回収
されるアンモニア水qの一部を使用した点のみであり、
その他は図1(実施例1)と同一なので説明は省略す
る。なお、図2では凝縮器11からのアンモニア水qを
そのまま第1pH調整槽4に送液しているが、槽の容量
低減のためにアンモニア水qを蒸留装置(図示せず)な
どで濃縮したのち供給するようにしてもよい。
3に示す。この例は水酸化マグネシウム分離工程におい
て水酸化マグネシウムを主成分とするスラリと分離した
石膏を主成分とするスラリを湿式排煙脱硫装置の吸収塔
へ送液し、この吸収塔で生成する石膏とともに回収する
ようにしたものである。図3の図1との相違点は石膏・
水酸化マグネシウム分離機9で分離される石膏スラリj
を吸収塔2へ送り、同吸収塔2で生成回収される石膏と
合わせて処理し回収石膏sとして回収するようにした点
のみであり、その他は図1(実施例1)と同一なので説
明は省略する。このようにすることにより石膏スラリj
中に含まれる水酸化マグネシウムが除去され、高純度の
回収石膏sとして回収することができる。
る。 (1)従来の重油焚きボイラの排ガス処理設備において
は、煙道中にダストを捕集するための集塵装置を設けて
いたが、本発明の方法によれば吸収塔前流の冷却・除塵
塔でダスト捕集も兼用するため、集塵装置が不要にな
り、設備費の低減が可能となる。 (2)集塵灰を取り出す工程がないので、ハンドリング
性の悪い集塵灰を取り扱う必要がない。 (3)バナジウム(V)、アンモニア(NH3 )及び硫
酸(SO4 )を分別回収し、再利用することができる。 (4)未燃炭素分を分別して回収し、有害成分を発生し
ない処理又は再利用ができ、さらに排水も蒸気として蒸
発するので、廃棄物量の大幅な低減が可能である。
Claims (7)
- 【請求項1】 重質油を燃料とするボイラの排ガスを冷
却・除塵塔及び吸収塔を分離して有する湿式排煙脱硫装
置に通して処理する方法であって、前記湿式排煙脱硫装
置の冷却・除塵塔から排出される灰・排水スラリ中の未
燃炭素を分離する未燃炭素分離工程と、該未燃炭素分離
工程からの未燃炭素を分離した後の分離液に水酸化マグ
ネシウム及び/又はアンモニア水を添加してpHを3〜
9とする第1pH調整工程と、該第1pH調整工程で析
出した4価バナジウムの水酸化物を高濃度バナジウム含
有沈殿物として分離する固液分離工程と、前記固液分離
工程から出る分離液に消石灰又は生石灰を添加してpH
を9〜12とする第2pH調整工程と、該第2pH調整
工程においてpH調整後の液を蒸留して濃縮する蒸留工
程と、該蒸留工程で発生する蒸気を凝縮させアンモニア
水を回収する凝縮工程とから構成されてなることを特徴
とする重質油燃料焚きボイラの排ガス処理方法。 - 【請求項2】 前記蒸留工程において濃縮された蒸留残
液中の石膏と水酸化マグネシウムとを分離する水酸化マ
グネシウム分離工程を設け、該水酸化マグネシウム分離
工程で得られる水酸化マグネシウムを主成分とするスラ
リと石膏を主成分とするスラリを別個に処理することを
特徴とする請求項1に記載の重質油燃料焚きボイラの排
ガス処理方法。 - 【請求項3】 前記水酸化マグネシウム分離工程で得ら
れる水酸化マグネシウムを主成分とするスラリを前記第
1pH調整工程で添加する水酸化マグネシウムの一部又
は全部として使用することを特徴とする請求項2に記載
の重質油燃料焚きボイラの排ガス処理方法。 - 【請求項4】 前記水酸化マグネシウム分離工程で得ら
れる石膏を主成分とするスラリを前記湿式排煙脱硫装置
の吸収塔へ送って処理することを特徴とする請求項2に
記載の重質油燃料焚きボイラの排ガス処理方法。 - 【請求項5】 前記水酸化マグネシウム分離工程で得ら
れる水酸化マグネシウムを主成分とするスラリを前記第
1pH調整工程で添加する水酸化マグネシウムの一部又
は全部として使用するとともに、石膏を主成分とするス
ラリを前記湿式排煙脱硫装置の吸収塔へ送って処理する
ことを特徴とする請求項2に記載の重質油燃料焚きボイ
ラの排ガス処理方法。 - 【請求項6】 前記凝縮工程において回収されたアンモ
ニア水を前記第1pH調整工程で添加するアンモニア水
の一部又は全部として使用することを特徴とする請求項
1、2又は4に記載の重質油燃料焚きボイラの排ガス処
理方法。 - 【請求項7】 前記水酸化マグネシウム分離工程で得ら
れる水酸化マグネシウムを主成分とするスラリのうち、
前記第1pH調整工程で添加する水酸化マグネシウムの
一部又は全部として使用しなかった分を乾燥処理するこ
とを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の重質油
燃料焚きボイラの排ガス処理方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26068896A JP3519555B2 (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 重質油燃料焚きボイラの排ガス処理方法 |
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JP26068896A JP3519555B2 (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 重質油燃料焚きボイラの排ガス処理方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH1099640A JPH1099640A (ja) | 1998-04-21 |
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JP2007292447A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-11-08 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 炭素繊維強化フェノール樹脂複合材料製の構造体 |
-
1996
- 1996-10-01 JP JP26068896A patent/JP3519555B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH1099640A (ja) | 1998-04-21 |
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