JP3322586B2 - 重質油燃料焚きボイラの集塵灰と排脱排水の混合処理方法 - Google Patents

重質油燃料焚きボイラの集塵灰と排脱排水の混合処理方法

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JP3322586B2
JP3322586B2 JP33806396A JP33806396A JP3322586B2 JP 3322586 B2 JP3322586 B2 JP 3322586B2 JP 33806396 A JP33806396 A JP 33806396A JP 33806396 A JP33806396 A JP 33806396A JP 3322586 B2 JP3322586 B2 JP 3322586B2
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liquid
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drainage
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鋼造 伴
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幸三 田尾
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重質油を燃料とす
るボイラの集塵灰と排脱排水の処理方法に関し、特にこ
れらの燃料を使用する火力発電所から排出される集塵灰
と排脱排水の処理に有利に適用される処理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の火力発電所など、石炭や重油など
の化石燃料を燃焼させるボイラ施設から排出される燃焼
排ガスの処理プロセスにおいては、ボイラからの排ガス
煙道に設けられた集塵装置から排出される灰(集塵灰)
と湿式排煙脱硫装置からの排水(排脱排水)とはそれぞ
れ別々に処理されており、集塵灰は加湿処理され、排脱
排水は環境規制値を満足する水質まで処理されてそれぞ
れ別の場所から系外に排出されていた。一方、近年火力
発電所などでは燃料の多様化に積極的に取り組んでお
り、高硫黄分含有の重油、天然オリノコタール、又は天
然オリノコタールに水を添加、混合してエマルジョン化
し、常温でのハンドリングを可能としたエマルジョン燃
料(例えば天然オリノコタール70重量%に清水30重
量%と微量の界面活性剤を混合しエマルジョン化したも
の)などが新しい燃料として注目されている(以下、こ
れらの燃料を総称して重質油という)。しかしながら、
これらの重質油の燃焼排ガスから出る集塵灰の処理方法
として確立された技術の蓄積は少ない。
【0003】前記重質油は、従来の重油に比べて灰分、
窒素分、硫黄分及び重金属類の含有量が高いため、重質
油焚き火力発電所からの集塵灰及び排脱排水の性状は従
来の重油焚き火力発電所からの集塵灰及び排脱排水の性
状とは著しく異なり新たな対応が必要となっている。特
にその集塵灰は吸湿性・噴流性をもつためハンドリング
が困難であり、しかも従来の重油焚きボイラに比べ集塵
灰の量は多く、集塵灰の嵩密度が小さいため集塵灰の体
積が大きくなり、貯蔵設備の容量は大きくなるという問
題がある。また、集塵灰中及び排脱排水中にはアンモニ
ウム(NH4 +)が多く含まれるため、排脱排水及び集
塵灰処理の環境対策上アンモニウム分を除去する必要が
ある。
【0004】このような重質油の燃焼排ガスから出る集
塵灰の処理方法として、本発明者らはボイラ排ガスの集
塵灰と排脱排水とを混合し、還元剤を添加して5価のバ
ナジウムを4価のバナジウムに還元し、水酸化マグネシ
ウム及び/又はアンモニア水を添加してpHを3〜9と
して生成した高濃度バナジウム含有沈殿物を分離し、分
離液はさらに水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを添
加してpHを9〜12として蒸留しアンモニアを回収す
る各工程より構成される重質油燃料焚きボイラの集塵灰
と排脱排水の混合処理方法を提案した(特開平8−11
7552号公報)。この方法の概要を図5に示し、pH
調整用に水酸化マグネシウムを使用する場合を例にとっ
て説明する。
【0005】まず排脱排水a、集塵灰b及び還元剤とし
ての第1鉄塩cを混合工程1で混合して、集塵灰bをス
ラリ化(一部溶解)させる。集塵灰bにはボイラの運転
状況によって異なるが、未燃炭素(C)、バナジウム
(V)、マグネシウム(Mg)及び固定アンモニア(N
4 + )がそれぞれ5〜10重量%、2〜5重量%、5
〜10重量%及び5〜10重量%含まれている。集塵灰
bの混合率は排脱排水aに対して5〜40重量%で、次
工程以降の処理効率を上げるには30重量%以下である
ことが好ましい。また第1鉄塩cとしては、塩化第1鉄
又は硫酸第1鉄などが使用でき、混合液d中の5価のバ
ナジウム(V)に対して等モル比以上を添加する。なお
排脱排水aは弱酸性の石膏飽和液であるが、混合液dの
pHは通常2〜3となる。この工程で5価のバナジウム
(V)が4価に還元されるが、pHが低いため4価バナ
ジウム(V)は溶解している。
【0006】混合工程1で得られる混合液dは固液分離
工程2に送られ、水酸化マグネシウム{Mg(O
H)2 }eが添加、混合される。このときのpHは3〜
9、好ましくは4〜8とする。この工程において通常の
排水処理で使用される高分子凝集剤fを添加するのが好
ましい。この操作で生じた沈殿物を沈降分離して、沈殿
物gと上澄液h(分離液)を得る。固液分離工程2で得
られる沈殿物gには8重量%以上のバナジウム(V)が
含まれており、その他の成分は未燃炭素(C)、Fe、
Alなどである。この沈殿物gは別途バナジウム回収用
の原料として使用できる。なお、上澄液hにはバナジウ
ム(V)はほとんど含まれていない(上澄液hの全バナ
ジウム(V)は1mg/リットル以下である)。
【0007】沈殿物gは系外に排出し、上澄液hは次の
pH調整工程4に送られる。pH調整工程4では水酸化
カルシウム{Ca(OH)2 }nの添加によりpHを9
〜12に調整した後、蒸留工程5に送る。なおこの液の
pHは、石膏及び水酸化マグネシウムの生成のためと次
の操作の効率を上げるために9〜12に保つ。蒸留工程
5はスチームストリッピングの他、真空蒸留等の通常の
蒸留操作が適用できる。この操作により液中からアンモ
ニアガスkが分離され、凝縮工程6でアンモニア水k′
として回収される。蒸留工程5と凝縮工程6によるアン
モニアの回収率は、混合液dに含まれる固定アンモニア
量の95%以上となる。回収されたアンモニア水k′は
系外に搬出して、煙道ガスの中和等に利用できる。蒸留
工程5で蒸留後残留した処理液lはpH調整工程4で析
出した石膏と水酸化マグネシウムのスラリとなってお
り、系外に搬出され別途処理される。
【0008】このように固液分離工程2でアルカリ剤と
して水酸化マグネシウムを使用することによって、沈殿
物g中のバナジウム(V)含有率は8重量%以上に高め
られる。さらにpH調整工程4で水酸化カルシウム{C
a(OH)2 }を使用するため、pH調整工程4及び蒸
留工程5における石膏の過飽和度が低減できるため、石
膏スケールの発生を抑えることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この方法によれば重質
油燃料焚きボイラの集塵灰と排脱排水を安定して処理す
ることができ、廃棄物の減容化及び有価物の回収も可能
となる。しかしながら、重質油をボイラで燃焼した排ガ
スから得られる集塵灰中のバナジウムは酸化バナジウム
で形態はV2 4 (4価)及びV2 5 (5価)が主体
である。このため、前記方法では混合工程1で第1鉄塩
cを添加し、5価バナジウムを4価に還元したのち、固
液分離工程2でアルカリ剤を添加してバナジウムを沈殿
させるプロセスとなっている。この固液分離工程2では
pHを3〜9、好ましくは4〜8とするため、還元剤と
して添加した第1鉄塩cも水酸化鉄として析出し水酸化
バナジウムと共に沈殿物となる。そのため、有価成分と
して回収するバナジウムの純度が低下するという問題が
ある。本発明は上記技術水準に鑑み、前記重質油を燃料
とするボイラの排ガス煙道に設けた集塵装置から発生す
る集塵灰と排煙脱硫装置から発生する排水を混合して減
容化するとともに、高い純度でバナジウムを回収でき、
しかも生成する汚泥も減容化し、安定に運転できる方法
を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
する手段として次の(1)〜(4)の態様を採るもので
ある。 (1)重質油を燃料とするボイラの排ガス煙道に設けら
れた集塵装置にて回収した集塵灰と湿式排煙脱硫装置か
ら発生する排水とを混合し、pH4以下で集塵灰中の
価のバナジウムをほとんど溶解させることなく4価のバ
ナジウムを溶出させる混合工程と、該混合工程で得られ
る混合液に水酸化マグネシウム及び/又はアンモニア水
を添加してpHを4〜9とし、生成した高濃度バナジウ
ム含有沈殿物を分離する固液分離工程と、該固液分離工
程から出る分離液にさらに水酸化カルシウム又は酸化カ
ルシウムを添加してpHを9〜12とするpH調整工程
と、前記pH調整後の液を蒸留して濃縮する蒸留工程
と、該蒸留工程で発生する蒸気を凝縮させアンモニア水
を回収する凝縮工程とから構成されてなることを特徴と
する重質油燃料焚きボイラの集塵灰と排脱排水の混合処
理方法。 (2)前記固液分離工程における滞留時間を5時間以内
とし、5価バナジウムの溶出を抑制することを特徴とす
る前記(1)の重質油燃料焚きボイラの集塵灰と排脱排
水の混合処理方法。
【0011】(3)前記蒸留工程において濃縮された蒸
留残液中の硫酸カルシウムと水酸化マグネシウムとを分
離する水酸化マグネシウム分離工程を設け、該水酸化マ
グネシウム分離工程で得られる水酸化マグネシウムを前
記固液分離工程で混合液に添加する水酸化マグネシウム
の一部又は全部として使用することを特徴とする前記
(1)又は(2)の重質油燃料焚きボイラの集塵灰と排
脱排水の混合処理方法。 (4)前記凝縮工程において回収されたアンモニア水を
前記固液分離工程で混合液に添加するアンモニア水の一
部又は全部として使用することを特徴とする前記(1)
又は(2)の重質油燃料焚きボイラの集塵灰と排脱排水
の混合処理方法。
【0012】本発明において重質油とは、硫黄分含有の
重油、天然オリノコタール及び天然オリノコタールに水
を添加、混合してエマルジョン化したエマルジョン燃
料、石油精製工程から出る残留油などを含むものであ
る。
【0013】本発明の方法においては、集塵灰と排脱排
水を混合、スラリ化(一部溶解)して減容しかつ流動性
などの操作性を向上させた後、スラリ中のバナジウムを
回収するためpHを4以下、好ましくは2〜4に調整し
4価バナジウムを溶解させる。本発明はこの段階でpH
の調整により5価のバナジウムはほとんど溶解させない
ようにするのが一つの特徴である。次いでpH調整後の
混合液にアルカリ剤(水酸化マグネシウム及び/又はア
ンモニア水)を添加してpHを4〜9に調整して4価バ
ナジウムを4価水酸化バナジウムとして析出させる。ア
ルカリ剤の使用で固体状態の5価バナジウムは溶出傾向
となるが、滞留時間を約5時間以内、好ましくは2時間
以内と短くすることにより固体の5価バナジウムはほと
んど溶解することなくそのまま保たれる。
【0014】固体の5価バナジウムと析出した水酸化バ
ナジウムを高濃度で含有する沈殿物を分離し、バナジウ
ムを含有しない分離液にさらに水酸化カルシウム又は酸
化カルシウムを添加してpHを9〜12とし、液中の硫
酸イオン及びマグネシウムイオンと反応せしめて硫酸カ
ルシウム、水酸化マグネシムを生成させ、次いで蒸留す
ることにより水分を蒸発させて濃縮する。水酸化カルシ
ウム又は酸化カルシウムを添加した際、液中のアンモニ
ウムイオンは水酸化アンモニウムとなり、蒸留工程にて
液から脱離して気相に一旦移行したのち、さらに蒸留工
程にて発生した蒸気の凝縮水へ再移行し、アンモニア水
として回収される。ここで回収したアンモニア水を前記
のバナジウム析出用アルカリ剤の一部又は全部として使
用することができる。
【0015】蒸留残液は系外へ搬出し、別途処理すれば
よいが、蒸留工程の後に水酸化マグネシウム分離工程を
設け、硫酸カルシウムと水酸化マグネシウムを分離、回
収するのが望ましい。前記固液分離工程においてバナジ
ウム析出用アルカリ剤として水酸化マグネシウムを使用
する場合には、ここで分離した水酸化マグネシウムをそ
の一部又は全部として再利用するのが好ましい。硫酸カ
ルシウム及び水酸化マグネシウムを分離したのちの固形
分を含有しない液は系外に取り出され処理される。
【0016】
【発明の実施の形態】 1.混合工程及び固液分離工程におけるバナジウムの溶
解、析出は次の作用により行われる。 (1)集塵灰と排脱排水を混合した混合液の固相中のV
(4価)は、pH4以下、好ましくは2〜4の状態で溶
解して液相中へ移行し4価のバナジウムイオンとなる。
この反応は次式で示される。
【化1】 V2 4 (4価)→ VO2+(溶解状態) (1)
【0017】(2)上記(1)項の混合液に、アルカリ
剤として水酸化マグネシウム{Mg(OH)2 }又はア
ンモニア水(NH4 OH)を添加し、pH4〜9として
凝集沈殿処理すると次式によりVO(OH)2 (4価)
が沈殿する。
【化2】 VO2+(4価)+Mg(OH)2 →VO(OH)2 ↓+Mg2+ (2) VO2+(4価)+2NH4 OH →VO(OH)2 ↓+2NH4 + (3)
【0018】(3)上記(2)項でアルカリ剤として水
酸化マグネシウム{Mg(OH)2 }又はアンモニア水
(NH4 OH)を使用しているので、水酸化物イオン
(OH-)は溶存したCaイオンとは反応せず、酸性成
分(H+ など)の中和に使用されるのみである。これと
並行してマグネシウムイオン(Mg2+)又はアンモニウ
ムイオン(NH4 + )は硫酸イオン(SO4 2- )と反応
して硫酸マグネシウム(MgSO4 )あるいは硫酸アン
モニウム{(NH4 2 SO4 }となるが、この物質は
溶解度が高いため液中に溶解しており、VO(OH)2
固液分離後も液中に存在し、次のpH調整工程に供給さ
れる。ここでの反応は次式のとおりである。
【化3】H+ +OH- →H2 O (4) Mg2++SO4 2- →MgSO4 (5) 2NH4 + +SO4 2- →(NH4 2 SO4 (6)
【0019】2.pH調整工程、蒸留工程、凝縮工程及
び水酸化マグネシウム分離工程における作用。pH調整
工程ではアルカリ剤として酸化カルシウム(CaO)又
は水酸化カルシウム{Ca(OH)2 }を使用するので
次の作用がある。
【0020】(1)pH調整工程において凝集沈殿工程
の上澄液に酸化カルシウム(CaO)又は水酸化カルシ
ウム{Ca(OH)2 }を添加してpHを9〜12に調
整することにより、石膏(硫酸カルシウム)が析出して
液の石膏過飽和度が減少する。これと並行して溶解して
いるマグネシウムイオン(Mg2+)が水酸化マグネシウ
ム{Mg(OH)2 }として析出・沈殿する。なお、前
記固液分離工程においてアルカリ剤としてアンモニア水
のみを使用する場合でも、集塵灰中にはMg分が含まれ
ているので水酸化マグネシウムが析出する。
【0021】(2)この液を蒸留すると、上澄液中のア
ンモニアは(7)、(8)式に示す反応により液体から
気体になり、冷却すると(9)式に示す反応によってア
ンモニアガスが凝縮して液体(アンモニア水)となり、
アンモニア水が回収される。回収したアンモニア水の一
部又は全部を前記固液分離工程におけるバナジウム回収
用のアルカリ剤の一部又は全部として再利用することが
できる。
【化4】 NH4 + +OH- →NH4 OH(液体) (7) (OH- は水酸化カルシウムより供給される) NH4 OH(液体)→NH3 (気体)↑+H2 O (8) NH3 (気体)+H2 O→NH4 OH(液体) (9)
【0022】(3)蒸留工程では、液の濃縮が起きる。
それに伴って溶解した石膏が新たに析出して石膏スケー
ルとなり蒸留器での伝熱速度の低下が懸念されるが前記
(1)項に記載したように蒸留器の供給液には析出した
固形石膏が存在しており、同石膏が種晶となるために石
膏スケールによる問題は生じない。
【0023】(4)蒸留工程の残留液にはpH調整工程
で析出した石膏及び蒸留工程での液の濃縮に伴い析出し
た石膏とpH調整工程で析出した水酸化マグネシウム
{Mg(OH)2 }が含まれている。この残留液は系外
に搬出し、別途処理すればよいが、水酸化マグネシウム
分離工程を設けて析出した石膏と水酸化マグネシウムを
上澄液と分離し、再利用するのが好ましい。なお、分離
工程は石膏と水酸化マグネシウムを分離する工程と、水
酸化マグネシウムを液より分離する工程の2つから成り
立っている。いずれの分離も液体サイクロンや沈降遠心
機などを用いて遠心力を利用して分離するものであり、
結晶の大きさの差、分離機での印加遠心力を調節するこ
とにより分離される。なお、液の状態などに応じて重量
分級や浮遊分級等の通常の固液分離法も適用できる。
【0024】(5)分離された水酸化マグネシウムの一
部又は全部を前記固液分離工程に返送することによっ
て、バナジウム回収用のアルカリ剤の一部又は全部とし
て再利用することができる。
【0025】
【実施例】
(実施例1)本発明の一実施態様を図1によって説明す
る。この例は固液分離工程において、アルカリ剤として
水酸化マグネシウムを使用したものである。まず混合工
程1で排脱排水aと集塵灰bを混合して、集塵灰bをス
ラリ化(一部溶解)させる。混合液dのpHは通常2〜
3程度となるが、この段階でpHが高い場合にはpH調
整剤としての硫酸cを添加してpHを4以下、好ましく
は2〜3に調整する。集塵灰bにはボイラの運転状況に
よって異なるが、未燃炭素(C)、バナジウム(V)、
マグネシウム(Mg)及び固定アンモニア(NH4 +
がそれぞれ5〜10重量%、2〜5重量%、5〜10重
量%及び5〜10重量%含まれている。 集塵灰bの混
合率は排脱排水aに対して5〜40重量%で、次工程以
降の処理効率を上げるには30重量%以下であることが
好ましい。
【0026】なお排脱排水aは脱硫装置の運転状況によ
って異なるがアンモニア(NH3 )、マグネシウム(M
g)及び硫酸(SO4 )をそれぞれ4500〜5500
mg/リットル、1350〜1450mg/リットル及
び14000〜15500mg/リットル程度含んだ石
膏飽和液であるが、混合液dのpHは通常2〜3とな
る。この段階ではpHが低いため4価バナジウム(V)
は溶解しているが5価バナジウム(V)はほとんど溶解
しない。
【0027】なお、集塵灰と排脱排水を混合した際の5
価バナジウム(V)の溶解率とpHとの関係を調べた結
果を図4に示す。図4から集塵灰中の5価バナジウム
(V25 )は混合工程のpHを5以下、好ましくは4
以下、さらに好ましくは2〜4の範囲に調整することに
より溶解率が著しく減少し、大部分が固体として存在す
ることがわかる。
【0028】混合工程1で得られる混合液dは固液分離
工程2に送られ、水酸化マグネシウム{Mg(O
H)2 }eが添加、混合される。このときのpHは4〜
9とする。この工程において高分子凝集剤fを添加する
のが好ましい。高分子凝集剤としては通常の排水処理で
使用される高分子凝集剤が使用できる。この操作で生じ
た沈殿物を沈降分離して、沈殿物gと上澄液h(分離
液)を得る。固液分離工程2で得られる沈殿物gには固
体の五酸化バナジウム(V2 5 )と水酸化バナジウム
(4価)に由来する8.5重量%以上のバナジウム
(V)が含まれており、その他の成分はFe、Ca、M
gなどである。この沈殿物gは別途バナジウム回収用の
原料として使用できる。
【0029】なお、図4に示すように固体状態の5価バ
ナジウムはpHの上昇により溶出傾向となるが、滞留時
間を約5時間以内、好ましくは2時間以内と短くするこ
とにより固体の5価バナジウムはほとんど溶解すること
なく沈殿物g中に含まれて分離される。なお、上澄液h
にはバナジウム(V)はほとんど含まれていない(上澄
液hの全バナジウム(V)は1mg/リットル以下であ
る)。
【0030】沈殿物gは系外に排出し、上澄液hは次の
pH調整工程4に送られる。pH調整工程4では水酸化
カルシウム{Ca(OH)2 }nの添加によりpHを9
〜12に調整した後、蒸留工程5に送る。なおこの液の
pHは、石膏及び水酸化マグネシウムの生成のためと次
の操作の効率を上げるために9〜12に保つ。蒸留工程
5はスチームストリッピングの他、真空蒸留等の通常の
蒸留操作が適用できる。この操作により液中からアンモ
ニアガスkが分離され、凝縮工程6でアンモニア水k′
として回収される。蒸留工程5と凝縮工程6によるアン
モニアの回収率は、混合液dに含まれる固定アンモニア
量の95%以上となる。回収されたアンモニア水k′は
系外に搬出して、煙道ガスの中和等に利用できる。蒸留
工程5で蒸留後残留した処理液lはpH調整工程4で析
出した石膏と水酸化マグネシウムのスラリとなってお
り、系外に搬出され別途処理される。
【0031】このように固液分離工程2でアルカリ剤と
して水酸化マグネシウムを使用することによって、沈殿
物g中のバナジウム(V)含有率は8.5重量%以上に
高められる。さらにpH調整工程4で水酸化カルシウム
{Ca(OH)2 }を使用するため、pH調整工程4及
び蒸留工程5における石膏の過飽和度が低減できるた
め、石膏スケールの発生を抑えることができる。
【0032】(実施例2)本発明の第2の実施態様を図
2によりに説明する。この例は、実施例1のプロセスに
加えて水酸化マグネシウム分離工程を設け、回収した水
酸化マグネシウムを固液分離工程において再利用するよ
うにしている。まず実施例1と同様の方法により、排脱
排水a及び集塵灰bを混合工程1から凝縮工程6までの
各工程により処理する。その際固液分離工程2で使用す
る水酸化マグネシウム{Mg(OH)2 }eとして後記
する水酸化マグネシウム分離工程7で分離した水酸化マ
グネシウムeを使用するが他は実施例1と同じである。
次に蒸留工程5の蒸留残液oは水酸化マグネシウム分離
工程7で石膏スラリpと水酸化マグネシウムeとに分離
される。水酸化マグネシウム分離工程7では液体サイク
ロン、沈降遠心機などの分離手段が使用できる。分離さ
れた水酸化マグネシウムeは前工程の固液分離工程2に
返送される。水酸化マグネシウム分離工程7で分離した
処理液lは適当な固化処理を施したのち、系外に排出さ
れる。なお、反応初期あるいは反応途中で、固液分離工
程2で使用する水酸化マグネシウムが回収品のみでは不
足する場合には適宜系外より補給すればよい。
【0033】(実施例3)本発明の第3の実施態様を図
3によって説明する。この例は固液分離工程2におい
て、アルカリ剤としてアンモニア水を使用したものであ
る。実施例1と同様の方法により、排脱排水a及び集塵
灰bを混合工程1から凝縮工程6までの各工程により処
理する。その際、固液分離工程2で使用するアルカリ剤
を凝縮工程6で回収したアンモニア水k′を使用する
が、他は実施例1と同じである。残分のアンモニア水は
系外へ排出される。蒸留工程5の蒸留残液oは水酸化マ
グネシウム分離7で石膏水スラリpと水酸化マグネシウ
ムeとに分離される。水酸化マグネシウムは系外へ搬出
され再利用されるか、又は水酸化マグネシウム分離工程
7で石膏及び水酸化マグネシウムを分離した後の処理液
lとともに適当な固化処理を施した後、系外へ排出され
る。なお、反応初期あるいは反応途中で、固液分離工程
2で使用するアンモニア水が回収品のみでは不足する場
合には適宜系外より補給すればよい。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、図5に示した従来技術
における効果に加えて次のような効果がある。 (1)集塵灰及び排脱排水から、バナジウム(V)及び
アンモニア(NH3 )などの有価物を高純度で回収する
ことができ、資源の再利用ができる。 (2)第1鉄塩などの還元剤が不要であり、薬品の削
減、それに伴う付帯設備の簡略化が可能である。 (3)混合工程で還元剤を添加しないので、固液分離工
程で得られる沈殿物中のバナジウム(V)含有量が図4
の従来技術に比較して0.5重量%以上増加する。これ
によって、有価物として利用するためにさらに純度を高
める操作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示すフロー図。
【図2】本発明の第2の実施態様を示すフロー図。
【図3】本発明の第3の実施態様を示すフロー図。
【図4】5価バナジウムの溶解率とpHとの関係を示す
図。
【図5】従来技術の1例を示すフロー図。
フロントページの続き (72)発明者 矢ケ崎 毅 愛知県名古屋市東区東新町1番地 中部 電力株式会社内 (72)発明者 田尾 幸三 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島研究所内 (72)発明者 沖野 進 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島研究所内 (72)発明者 大石 剛司 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三菱重工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−117552(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09B 3/00 - 5/00 B01D 53/50 B01D 53/96

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重質油を燃料とするボイラの排ガス煙道
    に設けられた集塵装置にて回収した集塵灰と湿式排煙脱
    硫装置から発生する排水とを混合し、pH4以下で集塵
    灰中の5価のバナジウムをほとんど溶解させることなく
    4価のバナジウムを溶出させる混合工程と、該混合工程
    で得られる混合液に水酸化マグネシウム及び/又はアン
    モニア水を添加してpHを4〜9とし、生成した高濃度
    バナジウム含有沈殿物を分離する固液分離工程と、該固
    液分離工程から出る分離液にさらに水酸化カルシウム又
    は酸化カルシウムを添加してpHを9〜12とするpH
    調整工程と、前記pH調整後の液を蒸留して濃縮する蒸
    留工程と、該蒸留工程で発生する蒸気を凝縮させアンモ
    ニア水を回収する凝縮工程とから構成されてなることを
    特徴とする重質油燃料焚きボイラの集塵灰と排脱排水の
    混合処理方法。
  2. 【請求項2】 前記固液分離工程における滞留時間を5
    時間以内とし、5価バナジウムの溶出を抑制することを
    特徴とする請求項1に記載の重質油燃料焚きボイラの集
    塵灰と排脱排水の混合処理方法。
  3. 【請求項3】 前記蒸留工程において濃縮された蒸留残
    液中の硫酸カルシウムと水酸化マグネシウムとを分離す
    る水酸化マグネシウム分離工程を設け、該水酸化マグネ
    シウム分離工程で得られる水酸化マグネシウムを前記固
    液分離工程で混合液に添加する水酸化マグネシウムの一
    部又は全部として使用することを特徴とする請求項1又
    は2に記載の重質油燃料焚きボイラの集塵灰と排脱排水
    の混合処理方法。
  4. 【請求項4】 前記凝縮工程において回収されたアンモ
    ニア水を前記固液分離工程で混合液に添加するアンモニ
    ア水の一部又は全部として使用することを特徴とする請
    求項1又は2に記載の重質油燃料焚きボイラの集塵灰と
    排脱排水の混合処理方法。
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