JP4491612B2 - 畜糞系焼却灰からのリン含有水溶液の調製と重金属除去、並びにヒドロキシアパタイト及び/又はリン酸水素カルシウムの回収方法 - Google Patents

畜糞系焼却灰からのリン含有水溶液の調製と重金属除去、並びにヒドロキシアパタイト及び/又はリン酸水素カルシウムの回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、リン資源をリサイクリングするための技術分野に属し、特に平成16年度10月より施行された「家畜ふん尿の適正処理に関する法律」が適用される農畜産産業から廃棄される家畜ふん尿を有用なリン回収資源と考えて、その焼却灰からリン成分を分離・回収するのに有用な技術に関する。さらに、資源としてのリンの貯蔵手段としての回収技術の提供に関する。
将来稀少性が高まると予想されるリンを、効率的に利用するためにはそのリサイクルが不可欠である。リンの回収方法には、下水汚泥焼却灰からのリン化合物の回収が試みられている。これは下水汚泥焼却灰中にはP換算でリンがおよそ18%含有されており、低品位のリン鉱石並みの含有量に相当するからである。しかしながら下水汚泥焼却灰中にはリン化合物以外に多数の金属塩類が含まれており、埋立処分や海洋投棄による処分は、重金属溶出による汚染、あるいはリン溶出によって惹起される海水富栄養化のような環境汚染の可能性が懸念される。よってリン資源枯渇問題解決の観点から焼却灰中からリンを回収すること、及び環境汚染の観点から焼却灰を適切に処理することは重要である。
汚泥などからリンを分離・回収してリサイクルを図るために多用されている従来技術としては、溶剤抽出法、MAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)法等を挙げることが出来る。
溶剤を用いる湿式リン酸回収法は数多く提案されている。例えば、特許文献1及び2には、溶剤抽出によるリン回収法としてノルマルブタノールやイソブタノール、シクロヘキサノールなどの有機溶剤、TBP(トリブチルリン酸)による抽出やD2EHPA(ビス2−エチルヘキシルリン酸)による抽出が報告されている。また、特許文献3には下水汚泥焼却灰からのリンの回収方法も提唱されている。これらの溶剤抽出法は、リン鉱石からのリン酸の回収精製方法として工業的に確立されている。工業的にリン鉱石から利用する点で好ましいが、抽出に有機溶剤の使用が必須であり、設備コストの上昇及び溶剤の再使用などランニングコスト及び安全上の対策が課題として残されている。
特開昭53−55495号公報 特開昭58−217413号公報 特開平11−278814号公報 特開2003−211190号公報 L. Bernard他、POWDER TECHNOLOGY 103, 19−25(1999)
本発明の目的は、従来提案されているような有機溶剤を使用せずにリン資源をリサイクル可能な形で回収する方法を提供することを目的とする。この目的を達成する為に、回収するリン資源としては家畜系の糞、とくに鶏糞、豚糞に着目し、これを効率よく燃焼させて焼却灰と為し、ついで鉱酸によってリン成分を溶出させたリン含有水溶液を調製する。この溶液中に一定量以上の鉄分を含む場合には、これを効果的に除去する方法の提供も主要な目的の一つである。
加えて、上記の鉱酸で溶出させたリン含有水溶液、あるいは必要に応じて鉄分を一定レベル以下になるよう除去したリン含有水溶液から、ヒドロキシアパタイトやリン酸水素カルシウムのような無機リン化合物を回収することを目的としている。有機溶剤を使用せず水系のみの操作を実施することが出来、また抽出分離といった煩雑な作業工程もなく、かつ環境負荷を低減させた新しい技術の提供を目的とする。
本発明者は検討を重ねた結果、上述の如く、有用なリン回収資源として、高濃度にリン成分を含有する畜糞の燃焼灰を選定した。本発明において好ましい畜糞燃焼灰は、鶏糞燃焼灰、豚糞燃焼灰、若しくはこれらの混合物である。更に、これらの畜糞を堆肥化した後に燃焼させて得られる燃焼灰の内、畜糞含量の多い堆肥由来の燃焼灰も本発明に使用することが可能である。これらの燃焼灰に鉱酸を作用させた後、濾過あるいは上澄み液の傾斜法によって高濃度にリン成分を含有する液を調製する方法を提供する。なお、豚糞のように高含水率の畜糞から燃焼灰を効率的に得る為に、必要に応じて燃焼を容易にする助燃剤として、例えば木炭や木材チップ、樹皮などの木質系バイオマス、籾殻あるいはその燻炭、稲藁等の草本系バイオマスを助燃剤として混合燃焼した畜糞由来の燃焼灰も選択することが出来る。
特に助燃剤として木質系廃棄物として処理されている樹皮もしくは樹皮由来の炭化物,半炭化物を混合することは、糞尿の水分を吸収する機能と同時に、樹皮そのものに樹木より多くカルシウム成分が含まれるため、カルシウム添加と同じ効果が期待でき反応性の高いリン含有水溶液を得ることができるので好ましい助燃剤である。なお、このような助燃剤は、燃焼速度を上げるために一定以上のサイズ以下に破砕しておくことが好ましい。
畜糞の燃焼灰の中には、畜糞そのものに由来する鉄分、及び/又は途中工程から混入する鉄分を含む場合がある。それ故、上記の調製液に、本発明に従ってアルカリ金属炭酸塩を反応させることにより鉄分を除去することが出来る。このようにして鉄分が除去されたリン含有水溶液は、そのままでも液肥などに利用できるが、以下に述べるように更に有用なリン化合物、即ち、ヒドロキシアパタイト及び/又はリン酸水素カルシウムの製造に供することが出来る。
本発明によれば、以下の処方でヒドロキシアパタイトとして沈殿・回収させることが出来る。即ち、本発明に従って調製される種々のリン含有水溶液に、アルカリ金属水酸化物を作用させることを特徴とするヒドロキシアパタイトを沈殿結晶として得る方法である。周知の如くヒドロキシアパタイトは、[化1]Ca10(PO(OH)で表わされる白色の結晶から成る化合物である。このヒドロキシアパタイトは、有機溶剤や水に不溶である。ヒドロキシアパタイトを製造するためのリン含有水溶液としては、以下のリン含有水溶液のいずれか一つ、あるいは二つ以上の混合液である。即ち、畜糞あるいは畜糞と木質系及び/又は草本系バイオマス等の燃焼を容易にする助燃剤との混合物を燃焼させて得られる焼却灰から出発し、▲1▼鉱酸によって溶出させて調製したリン含有水溶液、▲2▼この溶出液に炭酸水素ナトリウムの添加により鉄分を除去したリン含有水溶液、更に、▲3▼後述する方法でリン酸水素カルシウムを沈殿結晶として分離した残液からなるリン含有水溶液である。これら3種のリン含有水溶液の群から選択される一つ以上のリン含有水溶液をヒドロキシアパタイトの製造に供することが出来る。
本発明に従い鉱酸によって溶出した溶液中からヒドロキシアパタイトを製造するに際して、本発明の特徴は溶液中にリン酸イオンは勿論のこと、カルシウムイオンをも多く含むことに起因すると云える。即ち、カルシウムイオン、リン酸イオンを含むような溶液に水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウムを加えることにより下記の反応が容易に起こる。
Figure 0004491612
上記反応によって、ヒドロキシアパタイトが凝集・沈澱を起こす。このような反応をもとにヒドロキシアパタイトを形成することに関しては、L.Bernard等の学術的な報告には認められる。しかしながら、畜産系焼却灰からの鉱酸水溶液中に水酸化物及び/又は炭酸塩を加えることでヒドロキシアパタイトが凝集・沈澱を起こすこと、及びこれを利用してリン成分を分離・回収することは全く想到されていなかった。ヒドロキシアパタイトを沈殿させる為には、水酸化アルカリの添加量は溶液のpHが6.0以上であり、好ましくは7.5以上になるような添加量である。
次いで、上記の如く本発明によって調製されるリン含有水溶液、もしくはヒドロキシアパタイトを沈殿結晶として分離した残液に、水酸化カルシウムを添加することによって、リン酸水素カルシウムとして選択的に凝集・沈澱させてリンの分離・回収する方法も本発明の実施態様の一つである。更には、ヒドロキシアパタイトを中間で沈殿させることなく、直接的に鉱酸によって溶出させて調製したリン含有水溶液、あるいはこの溶出液に炭酸水素ナトリウムの添加により鉄分を除去したリン含有水溶液に水酸化カルシウムを添加することによってもリン酸水素カルシウムを製造することも本発明の実施態様の一つである。
本発明においては、さらに水酸化ナトリウム等の水溶液によるpH調整により、鉄イオンを水酸化鉄の沈殿物として除去した後選択的にリン酸水素カルシウムをpH調整のみで生成させることが可能であり、好ましい実施態様の一つである。リン含有水溶液に多く存在していた鉄イオンを除去しているため純度のよいリン酸水素カルシウムとして回収できる。また、その他重金属は金属の種類によって除去率が低いものもあるが、ヒドロキシアパタイトに比べ、リン酸水素カルシウム沈殿法の場合にはそのような重金属はほとんど取り込まれないか大幅にその含有量を低減可能である。なお、水酸化鉄の沈殿物を出来るだけ多く生成させる目的で、一定時間保持した後に、沈殿物の除去をすることが好ましい。本発明においても好ましくはカルシウム源を加えることも出来る。但し、水酸化カルシウムや塩化カルシウム等のカルシウム源を加えなくとも、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムによるpH調整のみで生成できることに特徴がある。
Figure 0004491612
pH調整により水酸化物イオンが増加するとリン酸の化学種が変化し上記反応式(1)によって二価のリン酸陰イオンを生成する。生成した二価のリン酸陰イオンは(2)式によって二価のカルシウムイオンと反応しリン酸水素カルシウムを生成、沈殿し回収できる。
以上の説明から理解されるように、本発明に従えば、畜産系焼却灰を鉱酸、好ましくは塩酸で処理し、必要に応じて不溶残渣などを除去して得られるリン含有鉱酸水溶液からは、種々の有用なリン含有水溶液及びリン化合物を製造することが出来る。また、最初に鉱酸溶出によって調製される水溶液中に規制レベル以上の鉄分を含む場合には、アルカリ金属炭酸塩を使用して鉄分を除去し更に有用なリン含有鉱酸水溶液と為すことが出来る。更に、この水溶液に水酸化ナトリウムあるいは水酸化カルシウムを混合してリンをヒドロキシアパタイトあるいはリン酸水素カルシウムとして凝集・沈澱するというきわめて簡単な操作により、分離・回収することができる。ヒドロキシアパタイトやリン酸水素カルシウムとしてリンを回収することで、リン鉱石の代替資源としての期待がもてる。なお、助燃剤として、樹皮もしくは樹皮由来の炭化物半炭化物を使用すれば、カルシウム成分が増えるので、リン酸水素カルシウムとして沈殿させる場合には有利である。
本発明によれば、リンを含有する畜糞系焼却灰に鉱酸を混合し得られるリン含有水溶液からのリン化合物の分離・回収方法を簡単な操作で資源的に回収できる。更に本発明の効果を詳述すると、この顕著な効果を奏する理由の一つは、該水溶液中にヒドロキシアパタイトやリン酸水素カルシウムを生成させるに充分なカルシウムを既に含有している為と考えられる。これによって、塩化カルシウムなどのような沈殿を促進させるための物質を添加する必要がないことが特徴である。産地の違いや動物の種類の違い等による焼却灰成分の違いにより沈殿生成物の精度が異なる場合は、塩化カルシウムや樹皮焼却灰のようなカルシウム源を溶液に補完的に添加することで良好な沈殿生成物が得られその問題を容易に解決できる。
汚泥からのリン回収としての特許文献4の方法によるとカルシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩を加えリンを凝集させている。本発明によれば、特許文献4の方法のように錯体を形成させるような凝集剤を新たに加えることなく、単なる中和反応によってリンをヒドロキシアパタイトとして凝集・沈澱することが特徴である。添加する薬剤は水酸化ナトリウムのように汎く用いられている水酸化アルカリである。特許文献3の発明は、下水汚泥焼却灰をターゲットにリン成分を抽出させるものであるのに対して、本発明が畜産系焼却灰をリン化合物の原料にしており、且つ、リン成分を抽出した後に沈澱に依り無機リン化合物としてリンを取り出す点において両発明は全く別異の技術思想に基づくものである。
本発明において、畜産系焼却灰そのもの、あるいは低品位木炭などの木質系バイオマス及び/又は籾殻・その燻炭,樹皮又はその半炭化物,炭化物、更には稲藁等の草本系バイオマスを助燃剤として燃焼させて得られる焼却灰が原料として使用される。先ず、畜産系焼却灰は粉末等の状態で鉱酸あるいはその水溶液と混合する。例えば、リンを含有する畜産系焼却灰に水溶液を加え、あるいは水溶液中に畜産系焼却灰を投入・混合するいずれの手法でもリンを含む水溶液を調製できる。さらに、一旦水と混合した畜産系焼却灰に鉱酸、好ましくは濃塩酸あるいは塩化水素ガスを加え水溶液のpHを調節しながら調製することも可能である。
本発明のリン含有水溶液は、元来はアルカリ性である畜産系焼却灰に鉱酸を加え、中和状態を経由して更に酸性水溶液にしたものである。焼却灰溶解後のpHを酸性側に移行させる必要がある。本発明においては、燃焼灰からリン及びカルシウム成分の溶出をより多くなるように調製後の水溶液のpHの範囲は4以下であり、好ましくは2以下である。操作を簡便にする意味から、一般的には、畜産系焼却灰に直接鉱酸、好ましくは塩酸水溶液を加える方法が選択される。酸の使用量は特に限定されるものではなく、畜産系焼却灰に含まれる酸化カルシウム等のアルカリ成分の量に応じて、最適量および濃度を調整することが出来る。
畜産系焼却灰からのリン含有水溶液からリン化合物を分離・回収するに当っては、当該焼却灰は、先ず、鉱酸を作用させてリン成分を溶出させる。本発明においては、塩酸、硝酸および硫酸のような鉱酸を用いることが出来る。但し、硫酸を用いた場合、焼却灰の種類によっては、焼却灰中のカルシウムと硫酸イオンが反応し硫酸カルシウムのケーキが生じることもあり、この為溶液以外に、また、上記のケーキ生成に伴って溶液中のカルシウムの濃度も低下するので好ましくない。このような場合には、不溶物が多く発生するので後処理に必要になる。従って、濃度の濃い硫酸を用いることは好ましくない。本発明で用いる鉱酸は、好ましくは硝酸、塩酸、特に好ましくは塩酸である。このような好ましい鉱酸を使用することにより硫酸カルシウム塩の析出を殆ど伴わずに、リンを含有する酸性水溶液を調製することができる。なお、鉱酸は水溶液の状態の他、揮発性酸の場合には、ガス状でも必要に応じて選択可能である。
畜糞の燃焼灰の中には、畜糞そのものに由来する鉄分、及び/又は途中工程から混入する鉄分を含む場合がある。それ故本発明においては、必要に応じて上記の調製液に炭酸カルシウム又はアルカリ金属炭酸塩を反応させることにより鉄分を除去することが出来る。好ましいアルカリ金属炭酸塩の添加量は、溶液のpHが中性付近になるような量である。なお、アルカリ金属炭酸塩は固体あるいは水溶液の形などで添加・反応させることが出来る。
さらにアルカリ金属炭酸塩を用いなくともpHを2付近に調製することより鉄イオンを水酸化鉄の沈殿として除去できる。好ましいpH域は3.5〜1であり、特に好ましくは水酸化鉄錯体が生成するpH範囲である。pH調整による鉄イオンの除去の効果を図1に示した。
これらのリン含有水溶液は、そのまま、あるいは他の操作を加えることにより、液肥などに利用できるが、以下に述べるように更に有用なリン化合物であるヒドロキシアパタイトの製造に供することも可能である。ヒドロキシアパタイトとして凝集・沈澱させるに好ましい水酸基を有するアルカリは、水酸化ナトリウム水酸化カリウムであり、特に好ましくは水酸化ナトリウムである。好ましい水酸化アルカリの添加量は溶液のpHが7.5以上になるような添加量である。
本発明に従えば、上記のように得られたヒドロキシアパタイトを次いで焼成することにより結晶性の良いヒドロキシアパタイトを得ることができる。また、リン溶出液に水酸化ナトリウムを加える際の温度を50℃以上の室温より高い温度で反応させることによって結晶性の良いヒドロキシアパタイトを生成させることが可能である。
凝集・沈澱させ回収することができる無機リン化合物は、ヒドロキシアパタイトのみでなくリン酸水素カルシウムを得る事が出来るのも本発明の特徴の一つである。即ち、リン含有水溶液に、水酸化カルシウムを添加することにより、既にカルシウムイオンが過剰に存在していることから優先的にリン酸水素カルシウムを溶液中に沈殿させることが出来る。なお、水酸化カルシウムは、固体、懸濁液、あるいは水溶液として作用させることが出来るが、好ましくは飽和水溶液である。また、添加する水酸化カルシウムの溶液は滴下するように徐々に添加するのが好ましい。
リン酸水素カルシウムを得るために水酸化カルシウムを用いなくとも水酸化ナトリウムのみでのpH調整により、pH4前後、特に好ましくはリン酸HPO 2−イオンを生成し始めるpHで選択的に精度のよいリン酸水素カルシウムを回収することができる。
また、リン酸水素カルシウム沈殿除去後の水溶液に水酸化ナトリウムを添加させることで水溶液中に残存するリン酸イオンとカルシウムイオンによりヒドロキシアパタイトを生成させることも可能である。よって、畜産系焼却灰から得られたリン溶出水溶液に、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムを適宜加えることにより、生成される無機リン化合物をそれぞれヒドロキシアパタイトあるいはリン酸水素カルシウム、もしくはその双方として選択的に回収することが可能である。
本発明の特徴を更に具体的に明らかにするため以下に参考例及び実施例を示す。実施例1及び2は、モデル系として鶏糞焼却灰を適用して、リン含有水溶液の調製方法、次いでそのリン含有水溶液から無機リン化合物の凝集・沈澱挙動における各種因子を調べ、リン化合物を分離・回収する方法を更に詳述するものである。
(参考例)
リン溶出に関わる鶏糞焼却灰と塩酸濃度との関係
畜産系廃棄物焼却灰として鶏糞焼却灰を試料として、50℃乾燥機で乾燥した後、分析ふるいを用いて840μm以下の粒径のものを試料として用いた。試料のL/S(鉱酸/焼却灰の重量比)は10に設定し、塩酸濃度変化がおよぼす焼却灰からのリン、重金属イオンの溶出挙動を示す。溶出後の溶液をろ過し、全リン量と重金属イオン量の定性と定量を行った。塩酸水溶液の濃度は0.5から2.0moldm−3に変化させ実験はすべてバッチ法により行った。鶏糞焼却灰1gに濃度の異なる塩酸10cmを加えリン溶出を行った。塩酸の初濃度は0.5、0.6、0.7、0.8、0.9.1.0、2.0moldm−3の濃度範囲で行った。焼却灰と塩酸水溶液を30分混合し、その後ろ紙(ADVANTEC社製、No2)によりろ過を行いリン溶出液を得た。ろ過後のpHはそれぞれ4.7、3.6、3.1、2.4、2.1、1.9、0.1となった。これらリン溶出液に1.0moldm−3水酸化ナトリウム水溶液10cmを加えヒドロキシアパタイトの沈殿物を得た。
2.0moldm−3の濃度の塩酸によって溶出させた溶出液から得られたヒドロキシアパタイトと試薬のヒドロキシアパタイトのX線回折装置による分析結果を図2に示す。図2に示されるように、試薬のヒドロキシアパタイトと同じ回折角に回折ピークがあることがわかった。焼却灰1gに塩酸水溶液10cmからのヒドロキシアパタイト回収量はそれぞれ0.09、0.13、0.18、0.23、0.28、0.31、0.51gであり塩酸濃度が高くなるにつれ回収量も増大した。
鉄イオン等の除去及びヒドロキシアパタイトの沈殿・回収
鶏糞焼却灰から生成させたヒドロキシアパタイト(HAp)には鉄、銅、亜鉛が微量に不純物として含まれることから、これらの除去の検討を行った。除去方法としてリン溶出液に、前処理として炭酸カルシウムを加え、その後水酸化ナトリウムを添加してHApを生成させた。炭酸カルシウム処理後に生成させたHApから鉄をほぼ100%除去できることがわかった。他の金属においては、回収したHApの利用用途に応じて溶剤抽出により別途作業を行うことで除去が必要となるが、重金属イオンの量は他の下水汚泥焼却灰や一般焼却灰に比べ微量であり、例えば回収HApをリン肥料として利用する場合には、こうした操作は不用になることも多いと考えられる。
沈殿生成のためのアルカリの種類の影響
鶏糞焼却灰1gに濃度の1.0 mol dm−3塩酸10 cmを加えリン溶出を行った。焼却灰と塩酸水溶液を30分混合し、その後ろ紙によりろ過を行いリン溶出液を得た。その溶出液に水酸化カルシウム飽和水溶液を滴下するように加えていくと白色の粉体を得た。その白色粉体をろ過後、乾燥したものをX線回折装置により分析したところリン酸水素カルシウムであることがわかった(図3)。
本発明のリン含有水溶液は、これから簡単な操作で肥料あるいは工業薬品として有用なヒドロキシアパタイト及び/又はリン酸水素カルシウムの無機リン化合物を製造することが出来る有利な方法である。また、最初に鉱酸で溶出して得た水溶液に必要に応じて炭酸水素ナトリウムで処理して鉄分を除去することにより液肥として使用できる。精製の純度によっては歯磨き用研磨剤、蛍光灯用(工業用)、医薬用賦形剤(サプリメントも含む)、食品添加物等への応用が期待される。また、リン資源を有しない我が国のリン資源貯蔵・備蓄手段としても発展が可能である。
pH調整による鉄イオンの除去の図である。 参考例で得られたヒドロキシアパタイトのX線回折チャートである。(参考例 本発明で得られたリン酸水素カルシウムのX線回折チャートである。(実施例
縦軸はピーク強度、横軸は2θ(回折角)であり、同じ物質であれば物質固有の回折角にピークが現れるため、その回折パターンにより物質を同定できる。図面の上ピークは試薬のヒドロキシアパタイトの回折パターン。下ピークは鶏糞焼却灰を試料として得られたヒドロキシアパタイトの回折パターンであり、どちらも同じ回折角にピークが見られることからヒドロキシアパタイトであることを確認した。

Claims (4)

  1. 畜糞あるいは畜糞と燃焼を容易にする助燃剤との混合物を燃焼させて得られる焼却灰に鉱酸を加えてリン含有水溶液を調製し、該リン含有水溶液に、炭酸カルシウム、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリを加えて、水酸化鉄錯体が生成するpHに調整することにより鉄イオンを除去し、次いで水酸化カルシウム又はアルカリ金属水酸化物を加えてpH 5〜3の範囲に調整することによりリン酸水素カルシウムを得る、リン酸水素カルシウムの回収方法。
  2. 畜糞あるいは畜糞と燃焼を容易にする助燃剤との混合物を燃焼させて得られる焼却灰に鉱酸を加えてリン含有水溶液を調製し、該リン含有水溶液に、炭酸カルシウム、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリを加えて、水酸化鉄錯体が生成するpHに調整することにより鉄イオンを除去し、次いで水酸化カルシウム又はアルカリ金属水酸化物を加えてpH 6.0以上の範囲に調整することによりヒドロキシアパタイトを得る、ヒドロキシアパタイトの回収方法。
  3. 鉄イオンを水酸化鉄の沈殿として除去する、請求項1又は2の回収方法。
  4. 助燃剤が木質系バイオマスであることを特徴とする、請求項1又は2の回収方法。
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