JP2010132465A - 有機物焼却灰からのリン回収方法及び肥料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】家畜糞等、リンを含有する有機物の焼却灰からリンを効率よく回収する。
【解決手段】クエン酸等の弱酸溶液に家畜糞等の焼却灰を加えて混合し、固形分を除去した後、NaOH等のアルカリ溶液を加えてリン含有化合物を析出させる。または、弱酸あるいは強酸の酸溶液に焼却灰を加えて混合し、固形部分を除去した後、ジルコニウム化合物等を担持させた担体に接触させてリン成分を吸着させ、担体からリン成分を溶出させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、家畜糞等、リンを含有する有機物の焼却灰からリンを効率よく回収する方法及び肥料の製造方法に関する。
リン(P)は、肥料などの原料に多用されている重要な元素である。しかし、その天然資源であるリン鉱石は枯渇の危機に瀕しており、リン資源の確保は重要な課題となっている。その一方で、汚水処理で生じる活性汚泥や家畜糞など、日々多量に排出されている有機系の廃棄物にはリンが比較的多く含まれている。そこで、そのような有機系の廃棄物からリンを回収する方法が検討されている。
例えば、家畜糞の焼却灰に着目して、その焼却灰からリン成分を分離・回収する方法が提案されている(特許文献1)。
詳しくは、塩酸などの鉱酸を用いて鶏糞の焼却灰からリン成分を溶出させる。そして、水酸化ナトリウムなどの強アルカリ溶液を用いてその溶出液のPHをアルカリ性に調整し、溶出液からリン含有化合物(ハイドロキシアパタイト)を凝集させ、分離している。
また、本発明に関し、ジルコリウム担体やチタン担体を用いてリン含有排水からリンを選択的に回収する方法が開示されている(特許文献2)。
特開2007−070217号公報 特開2007−216214号公報
しかしながら、上記特許文献1の方法では、焼却灰からリン成分を溶出させるのに酸性の強い鉱酸を用いているため、リン成分を効率よく溶出することはできるものの、鶏糞の焼却灰には多種多様な成分が含まれているため、リン以外の成分も多量に溶出してしまうという問題があった。
また、その溶出液からリン含有化合物を凝集させる際にも、それだけ多くのアルカリ溶液が必要となり、そこから得られるリン含有化合物もまたリン以外の成分が多く含まれるため、リンを効率的に回収するという点では改良の余地があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、有機物の焼却灰から効率よくリンを回収して、より高純度なリン含有化合物を得ることにある。また、有機物の焼却灰から簡単に優れた肥料を得ることにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の方法では、鉱酸のような強酸ではなく、弱酸を用いて比較的穏和に焼却灰からリン成分を溶出させるようにした。
すなわち、本発明の第1の方法は、リンを含有する有機物を焼却して得られる焼却灰からリンを回収する方法であって、弱酸溶液に前記焼却灰を加えて混合し、焼却灰混合溶液を形成させる工程と、前記焼却灰混合溶液から固形分を除去して焼却灰溶出溶液を得る工程と、前記焼却灰溶出溶液にアルカリ溶液を加えてリン含有化合物を析出させる工程と、を含むことを特徴とするものである。
具体的には、前記弱酸としてクエン酸を用い、その濃度は、1.5〜10w/v%に設定するのが好ましい。
更に具体的には、前記焼却灰として家畜糞の焼却灰を用いるのが好ましい。
また、本発明の第2の方法では、鉱酸のような強酸を用いた場合でも高純度なリン含有化合物が得られるように工夫した。
すなわち、本発明の第2の方法は、リンを含有する有機物を焼却して得られる焼却灰からリンを回収する方法であって、酸溶液に前記焼却灰を加えて混合し、焼却灰混合溶液を形成させる工程と、前記焼却灰混合溶液から固形部分を除去して焼却灰溶出溶液を得る工程と、ジルコニウム化合物又はチタン化合物を担持させた担体に前記焼却灰溶出溶液を接触させ、この担体に前記焼却灰溶出溶液中のリン成分を吸着させる工程と、前記担体からリン成分を溶出させる工程と、を含むことを特徴とするものである。
具体的には、前記焼却灰として活性汚泥の焼却灰を用いれば、重金属等の不要な成分を取り除くことができるので、よりいっそう効果的である。
更に本発明を肥料の製造方法に応用すれば、直ぐに実用化することも可能である。具体的には、リンを含有する有機物を焼却して得られる焼却灰からの肥料の製造方法であって、弱酸溶液に前記焼却灰を加えて混合し、焼却灰混合溶液を形成させる工程と、前記焼却灰混合溶液から固形分を除去する工程と、を含むものとすればよい。
特に、前記弱酸としてクエン酸を用い、その濃度を、1.5〜10w/v%に設定するのが好ましい。
更には、前記焼却灰混合溶液から固形分を除去する工程の後に、窒素成分を添加する工程を含むようにしておくとよい。
本発明によれば、家畜糞等、リンを含有する有機物の焼却灰から効率よくリンを回収することができ、肥料等のリン資源として効果的にリサイクルできるようになる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(第1実施形態)
この第1実施形態では、鉱酸のような強酸ではなく、弱酸を用いて比較的穏和に焼却灰からリン成分を溶出させるようにした。
図1に、その処理の概要を表したフロー図を示す。図1に示すように、本実施形態の処理には、リンを含有する有機物を焼却して得られる焼却灰からリン含有化合物を回収するために、弱酸溶液に焼却灰を加えて混合し、焼却灰混合溶液を形成させる工程と、焼却灰混合溶液から固形分を除去して焼却灰溶出溶液を得る工程と、焼却灰溶出溶液にアルカリ溶液を加えてリン含有化合物を析出させる工程とが含まれている。
すなわち、本実施形態では、リンを含有する有機物、例えば、鶏糞や牛糞、豚糞等の家畜糞や、汚水処理の過程で生じる活性汚泥などの焼却灰を処理対象としている。このような有機物の焼却灰は、そのまま廃棄処理されている場合が多いが、リンが比較的多く含まれているため、リン資源として有効利用することができる。
その中でも特に家畜糞の焼却灰が好ましい。活性汚泥の焼却灰には重金属などが含まれているため、それらを除去する必要があるが、家畜糞の焼却灰であればそのような有害成分を含むおそれが少ないからである。
このような焼却灰からリン成分を溶出させるために、本実施形態では弱酸溶液を使用する。塩酸や硫酸などの酸性の強い強酸溶液を使用すれば、焼却灰からリン成分を効果的に溶出させることができるが、焼却灰にはリン成分以外にも多種多様な成分が含まれているため、そのような成分もリン成分と同様に溶出してしまい、リンを純度高く回収するには好ましくない。また、強酸溶液は取り扱いに注意を要するし、激しく反応して熱やガスが比較的多く発生するため、作業性にも欠ける。
そこで、酸性の弱い弱酸溶液を用いて比較的穏やかに溶出させることで、リン成分以外の不要な成分の溶出量を抑制するようにした。弱酸溶液であれば取り扱いが容易になる利点もある。
弱酸の種類としては、例えばクエン酸や酢酸などの有機酸が挙げられるが、特には限定はされない。酸性の強さも焼却灰との間で比較的穏やかに反応するものであればよい。
例えば、クエン酸であれば、得られたリン含有化合物をそのまま肥料に用いることができるため効果的である。クエン酸は生体にとって有効な有機酸であるためそのまま肥料に安心して使用できる。
しかも、クエン酸に溶解するリン酸(ク溶性リン酸)は、土壌に固定されにくく、植物の根から分泌される有機酸(根酸)で溶解されて吸収されることから持続性のある肥効が得られることが知られている。従って、クエン酸で溶出すればク溶性リン酸を効率よく得ることができるため、肥料にとって有効な形態のリンを選択的に回収することができる。
また、家畜糞には、そのような「ク溶性」のリン酸が比較的多く含まれていることがわかっていることから、処理対象に家畜糞を用いればより効果的にリンを回収することができる。
クエン酸の濃度としては、1.5〜10w/v%に設定しておくとよい。この濃度範囲であれば、後述するようにリン酸を効率よく溶出させることができる。中でも2〜5w/v%であれば、比較的高純度なリンが得られるため、より好ましい。また、2w/v%のクエン酸の濃度は、肥料に含まれるリン酸の「ク溶性」を評価する基準ともなっていることから、肥料として使用する場合に特に効果的である。尚、一般のクエン酸は粉末状であるため、ここではその濃度を重量%(w/v%)で表している。
次に、濃度調整した弱酸溶液に適量の焼却灰を加えて混合し、焼却灰混合溶液を形成させる。ここでの焼却灰に対する弱酸溶液の混合比率は、焼却灰に含まれる成分を弱酸溶液に支障なく溶出させることができる程度であればよい。例えば、焼却灰1kgに対し、弱酸溶液30L〜100Lの比率で混合すれば、バランスよく混合でき、効率よく溶出させることができる。混合方法は、例えば、ミキサーや攪拌器による攪拌、振とう器による振とう等、必要に応じて適宜選択することができる。混合時間や温度も特には限定されないが、常温下で30分程度行えば十分である。
続いて、形成された焼却灰混合溶液から固形分を除去して焼却灰溶出溶液を得る。例えば、そのまま静置して固形分を沈殿させ、その上清を取り出してもよいが、遠心分離機や濾過等によって強制的に固形分を除去してもよい。そうすれば、短時間で処理することができるため、生産効率が向上する。
そうして得られた焼却灰溶出溶液にアルカリ溶液を加えてリン含有化合物を析出させる。焼却灰溶出溶液には焼却灰に含まれていたリン成分(リン酸)を含む「ク溶性」の成分が溶出しているため、アルカリ溶液を加えてPHをアルカリ性に調整することでその成分が析出する。
アルカリ溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)などの強アルカリ溶液が好適に使用できる。
強酸で溶出させた場合には、それだけアルカリ溶液も高濃度のものが必要になるが、本実施形態では弱酸で溶出させているため、アルカリ溶液の濃度も比較的低くて済む。従って、取り扱いも容易であるし、不要な成分の析出を抑制して比較的純度の高いリン含有化合物を析出させることができる。
特に、水酸化カリウムを用いれば、植物にとって重要な成分であるカリウム(K)がリン含有化合物に比較的多く含まれることとなるため、肥料としての利用に好適である。クエン酸と組み合わせれば、「ク溶性」のリン酸とカリウム(K)とが豊富に含まれたリン含有化合物を得ることができるので、簡単に肥効に優れた肥料として利用することができる。
図2に、その肥料として利用する場合の製造フローを示す。この製造方法によれば、極めて簡単にそのまま活用できる液肥を得ることができる。すなわち、先に説明した焼却灰溶出溶液をそのまま液肥として使用すればよい。上述したように焼却灰溶出溶液には、肥料として有効なリンが比較的豊富に含まれている一方で、有害な成分を含む心配がないからである。
更には、その焼却灰溶出液に所定量の窒素成分を添加すれば、所謂3大養素をバランスよく含ませることができ、より肥効に優れた肥料を得ることができる。また、窒素成分と併せてその他の栄養成分を添加すれば、より効果的である。
得られた液肥を加熱処理や逆浸透処理などによって濃縮すれば、よりいっそう使い易くなり実用的になる。もちろん、水分を除去して粉体やブロック状に加工してもよい。
(第2実施形態)
この第2実施形態では、リンを選択的に吸着する担体を利用することによって、不純物を除去してリンをよりいっそう純度高く回収できるようにした。
図3に、その処理の概略を表したフロー図を示す。同図に示すように、本実施形態の処理には、酸溶液に焼却灰を加えて混合し、焼却灰混合溶液を形成させる工程と、焼却灰混合溶液から固形部分を除去して焼却灰溶出溶液を得る工程と、ジルコニウム化合物又はチタン化合物を担持した担体に焼却灰溶出溶液を接触させ、この担体に焼却灰溶出溶液中のリン成分を吸着させる工程と、担体からリン成分を溶出させる工程と、が含まれている。
本実施形態では、リン以外の不純物は除去できるので、特に重金属等を含む活性汚泥の焼却灰を処理対象とする場合に適している。
使用する酸溶液は、弱酸であっても強酸であってもかまわない。溶出時にリン成分以外の成分が多量に溶出しても後工程でリンを選択的に回収することができるからである。但し、後述するように溶出効率に優れる点で強酸の方が好ましく、例えば、1N程度の濃度の塩酸を好適に用いることができる。
そして、その酸溶液に適量の焼却灰を加えて混合し、焼却灰混合溶液を形成させる。酸溶液と焼却灰とを混合して焼却灰混合溶液を得る工程や、焼却灰混合溶液から固形部分を除去して焼却灰溶出溶液を得る工程は第1実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
本実施形態では、得られた焼却灰溶出溶液を、ジルコニウム化合物又はチタン化合物が担持されている担体に接触させ、この担体に焼却灰溶出溶液中のリン成分を選択的に吸着させる。
この担体は公知のものであり、例えば、塩化ジルコニルや硝酸ジルコニル等のジルコニウム化合物、あるいは三塩化チタンや硫酸チタン等のチタン化合物を、ポリビニルアルコール(PVA)等の高分子化合物に加えて加熱し、架橋させることによって得ることができる。
担体の形態は適宜選択できるが、焼却灰溶出溶液に対して効率よく接触するように、単位体積当たりの表面積を大きくできる繊維状やペレット状に形成するのが好ましい。
接触時間は、その方法にもよるが、例えば、ペレット状の担体を焼却灰溶出溶液に適量加えて混合する場合であれば、常温で1〜3時間程度で処理できる。担体はリン成分のみを選択的に吸着するため、重金属等の不要成分の多くは焼却灰溶出溶液中にそのまま残ることとなる。
そうして、焼却灰溶出溶液に十分に接触させた担体を取り出し、例えば、アルカリ溶液に浸漬するなどして、担体に吸着されているリン成分を溶出させる。そうすれば、担体からリン成分が溶出し、リン成分のみを高純度に回収することができる。
(実施例)
処理対象に鶏糞の焼却灰(以下、単に焼却灰という)を用いて各実験を行った。
焼却灰からリン成分を溶出させる酸溶液として、1N濃度の塩酸溶液(S1)と、2w/v%濃度(以下、単にw/v%を%で表す)のクエン酸溶液(S2)と、10%濃度のクエン酸溶液(S3)とを用いた。
50mlの各酸溶液S1〜S3に、それぞれ1.0gの焼却灰を室温下で30分間同じ条件で混合し、各酸溶液ごとに焼却灰混合溶液を得た。各焼却灰混合溶液は、それぞれ12時間、室温下で静置して固形分を沈殿させ、その上清を回収して各酸溶液ごとに焼却灰溶出溶液を得た。
得られた各焼却灰溶出溶液に対し、それぞれ5N濃度の水酸化ナトリウム溶液を加えてPHを同じようにアルカリ性に調整した。そして、生成された沈殿物を回収し、各酸溶液S1〜S3ごとにリン含有化合物を得た。
各焼却灰溶出溶液に対する水酸化ナトリウム溶液の添加量は、S1では0.3ml/mlであり、S2では0.02ml/ml、S3では0.15ml/mlであった。
すなわち、塩酸では酸性が強いため、PHを調整するのにそれだけアルカリ溶液が必要となるが、クエン酸の場合、酸性が弱いためアルカリ溶液も比較的少なくて済む。特に2%濃度のクエン酸(S2)の場合、1N濃度の塩酸(S1)に比べて10分の1以下の量で済むことから、コストや作業性の面で有利となる。
図4に、各酸溶液における焼却灰混合溶液中のリン(抽出リン)量と、リン含有化合物中のリン(回収リン)量とを測定した結果を示す。尚、リン含有化合物中のリン量は、リン含有化合物を取り出した後の上清のリン酸濃度を測定し、その値を焼却灰混合溶液中のリン酸濃度から減算して算出した。数値は、処理対象とした焼却灰中の無水リン酸(P)量に対する百分率(%)で表してある。
同図に示すように、S1では、焼却灰混合溶液及びリン含有化合物のいずれのリン量も焼却灰のリン量とほぼ同じ値であった。一方、S2では、焼却灰混合溶液中のリン量は焼却灰の約57%であり、リン含有化合物中のリン量は焼却灰の約50%であった。S3では、焼却灰混合溶液中のリン量は焼却灰の約83%であり、リン含有化合物中のリン量は焼却灰の約82%であった。
すなわち、塩酸の場合、焼却灰中のリンのほぼ全量を焼却灰混合溶液に溶出させることができ、リン含有化合物として回収できることがわかった。一方、クエン酸は、濃度が高いほど溶出率が高くなるが、酸性が塩酸に比べて弱い分、リンの溶出率は低くなることが確認された。
図5に、リン含有化合物の量を比較した結果を示す。
同図に示すように、S2やS3に比べてS1はリン含有化合物(沈殿物)が非常に多く析出することが確認された。すなわち、塩酸は酸性が強いために、焼却灰に含まれる多種多様な成分の多くがその作用で析出するが、比較的穏和に作用するクエン酸の場合、析出する成分が限られて析出量が少なくなったものと思われる。
次に、そのリン含有化合物に含まれる元素の組成をEDX(エネルギー分散型X線分析装置)を用いて調べた。その分析結果を図6に示す。同図の円グラフは、S1〜S3の各リン含有化合物、及び焼却灰(比較対照)のそれぞれに含まれる元素の割合を表している。各グラフに示されているように、S1のリンの割合は5%であるのに対し、S2では16%、S3では4%であり、2%濃度のクエン酸(S2)でリンの含有割合の増加する傾向が認められた。
これらの結果から、濃度の低いクエン酸、具体的には10%濃度より低い濃度のクエン酸を酸溶液に用いた場合には、塩酸と比べて焼却灰中のリン回収量は少なくなるものの、リンを比較的多く含む高純度なリン含有化合物を得ることができることがわかった。
特に、元素組成を比較した場合、S1では、Na成分やCl成分が多く含まれるため、肥料としては好ましくない不利がある。
次に、クエン酸濃度(0.5、1.0、2.0、5.0.10.0:%)の違いによる焼却灰混合溶液中のリン酸濃度(mM)への影響について調べた。その結果を図7に示す。
同図に示すように、1%濃度以下のリン酸濃度は極めて低い値(1mM程度)であったが、2%では約20mMまで急増し、その後5%で約24mM、10%で約30mMとなり、逓増する傾向が認められた。
この結果から、クエン酸溶液の濃度は1.5〜10%に設定すれば、リン酸を効率よく溶出させることができ、その中でも2〜5%であれば、比較的高純度なリンが得られるため、より好ましいことがわかった。特に、2%は肥料に含まれるリン酸の「ク溶性」を評価する基準ともなっていることから、その基準に合ったリン酸を効率よく溶出させることができ、肥料として使用する場合に効果的である。
更に、弱酸の種類の違いによる焼却灰混合溶液中のリン酸濃度(mM)への影響について調べた。その結果を図8に示す。同図は、酢酸溶液(1M)とクエン酸溶液(2%)と蒸留水(比較対照)とを酸溶液としてそれぞれ溶出処理したときの焼却灰混合溶液中のリン酸濃度(mM)を表している。
同図に示すように、クエン酸溶液と酢酸溶液とでは、溶出されるリン酸濃度に違いは認められなかった。従って、弱酸を用いて穏和な条件で溶出させるのであれば、クエン酸以外の弱酸でもクエン酸と同様の作用効果が得られることがわかった。
続いて、担体を用いて焼却灰からリンを効率よく回収できるかどうかを確認するために、次の実験を行った。
S1の焼却灰溶出溶液とS2の焼却灰溶出溶液とを希釈して100μMに調整し、それぞれを試料とした(処理前試料)。担体には、ジルコニアをPVAに担持させて粒子状に形成したジルコニア担体を使用した。このジルコニア担体を各試料にそれぞれ1ml当たり50mg添加して、同じ条件下で混合し、室温で2時間静置した後、それぞれの上清を取り出して試料とし(処理後試料)、それらに含まれるリン酸濃度(μM)を測定した。
その測定結果を図9に示す。同図に示すように、S1では処理前試料のリン酸濃度が約100μMであったものが処理後試料では10.3μMになっており、約90%のリン酸がジルコニア担体に吸着されていることがわかる。また、S2では処理前試料のリン酸濃度が約100μMであったものが処理後試料では7.6μMになっており、約92%のリン酸がジルコニア担体に吸着されていることがわかる。
従って、ジルコニア担体を焼却灰溶出溶液に接触させることにより、リンを効率よく回収できることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、家畜糞等、リンを含有する有機物の焼却灰から効率よくリンを回収することができ、肥料等のリン資源として効果的にリサイクルできるようになる。
家畜糞や活性汚泥等の産業廃棄物をリン資源としてリサイクルすることが可能になり、肥料や工業原料として再利用できる。
第1実施形態の工程の概略を表したフロー図である。 肥料の製造方法の工程の概略を表したフロー図である。 第2実施形態の工程の概略を表したフロー図である。 リンの回収率に関する比較実験結果を表した図である。 リン含有化合物の量に関する比較実験結果を表した図である。 リン含有化合物の元素組成に関する比較実験結果を表した図である。 クエン酸濃度に関する実験結果を表した図である。 弱酸の種類に関する実験結果を表した図である。 担体によるリン回収に関する実験結果を表した図である。

Claims (8)

  1. リンを含有する有機物を焼却して得られる焼却灰からリンを回収する方法であって、
    弱酸溶液に前記焼却灰を加えて混合し、焼却灰混合溶液を形成させる工程と、前記焼却灰混合溶液から固形分を除去して焼却灰溶出溶液を得る工程と、前記焼却灰溶出溶液にアルカリ溶液を加えてリン含有化合物を析出させる工程と、を含むことを特徴とする有機物焼却灰からのリン回収方法。
  2. 請求項1に記載の有機物焼却灰からのリン回収方法であって、
    前記弱酸としてクエン酸が用いられ、その濃度が、1.5〜10w/v%に設定されていることを特徴とする有機物焼却灰からのリン回収方法。
  3. 請求項2に記載の有機物焼却灰からのリン回収方法であって、
    前記焼却灰として家畜糞の焼却灰が用いられていることを特徴とする有機物焼却灰からのリン回収方法。
  4. リンを含有する有機物を焼却して得られる焼却灰からリンを回収する方法であって、
    酸溶液に前記焼却灰を加えて混合し、焼却灰混合溶液を形成させる工程と、前記焼却灰混合溶液から固形部分を除去して焼却灰溶出溶液を得る工程と、ジルコニウム化合物又はチタン化合物を担持させた担体に前記焼却灰溶出溶液を接触させ、この担体に前記焼却灰溶出溶液中のリン成分を吸着させる工程と、前記担体からリン成分を溶出させる工程と、を含むことを特徴とする有機物焼却灰からのリン回収方法。
  5. 請求項4に記載の有機物焼却灰からのリン回収方法であって、
    前記焼却灰として活性汚泥の焼却灰が用いられていることを特徴とする有機物焼却灰からのリン回収方法。
  6. リンを含有する有機物を焼却して得られる焼却灰からの肥料の製造方法であって、
    弱酸溶液に前記焼却灰を加えて混合し、焼却灰混合溶液を形成させる工程と、前記焼却灰混合溶液から固形分を除去する工程と、を含むことを特徴とする有機物焼却灰からの肥料の製造方法。
  7. 請求項6に記載の有機物焼却灰からの肥料の製造方法であって、
    前記弱酸としてクエン酸が用いられ、その濃度が、1.5〜10w/v%に設定されていることを特徴とする有機物焼却灰からの肥料の製造方法。
  8. 請求項7に記載の有機物焼却灰からの肥料の製造方法であって、
    前記焼却灰混合溶液から固形分を除去する工程の後に、窒素成分を添加する工程を含むことを特徴とする有機物焼却灰からの肥料の製造方法。
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