JP2010163621A - ガス化設備におけるガス処理方法及びガス化設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石炭や石油などのガス化によって得られる生成ガスA1を発電用のガスタービン4の燃料として使用するガス化発電方法において、生成ガスA1を除塵処理し、硫黄化合物を除く微量有害成分の除去処理を行った後に、ガスA3としてガスタービン4に導入して発電を行い、ガスタービン4から排出された排ガスA4に対して少なくとも脱硫処理を含むガス浄化処理を行う。
【選択図】図1
Description
しかし、このガス化による生成ガスには、例えば数100〜数1000ppmの硫黄化合物(主に硫化水素)が含まれ、このような有害成分は公害防止のため、或いは機器の腐食防止等のため、なるべく前流で除去する必要が有ると従来考えられていた。
これは、Fe等の金属酸化物を吸着剤として使用し、ガス中に含まれる硫黄化合物を吸着剤で硫化物として吸着除去し、吸着能の低下した吸着剤を酸素含有ガスで焙焼して吸着剤を再生し、この焙焼反応により生成した亜硫酸ガスを含む再生ガスを反応器に導き、この反応器内においてカルシウム化合物含有スラリと気液接触させることにより、前記反応器内において、亜硫酸ガスの吸収と副生品である石膏の析出とを行わせるものである。
これは、生成ガスを硫黄化合物の吸収液(例えば、アミン吸収液)に気液接触させてガス中の硫黄化合物を除去するとともに、硫黄化合物を吸収した吸収液に熱を加えて硫黄化合物を含む再生ガスを排出する。そして、この再生ガスを燃焼させて亜硫酸ガスを含む排煙に転換させ、この排煙中の亜硫酸ガスをやはり湿式石灰石膏法により吸収して石膏を副生するものである。
また、乾式のガス精製を採用した場合には、脱硫率などの浄化性能を高く実現できず、一方湿式のガス精製を採用した場合には、ガス精製での吸収液との接触によるガスの冷却、及び吸収液の再生のための熱エネルギの消費によって、熱効率が落ちてしまうという短所があった。
すなわち、一般に石炭ガス化プロセス等の生成ガスには、100〜1500ppm程度のNH3と、例えば100ppm程度のHClが含有されるとともに、ナトリウム等の不純物が微量に含有され、さらに、生成ガスから熱回収する熱交換器における温度条件によっては、主に塩化アンモニウムよりなるヒューム状物質が発生しガス中に含有されるので、さらなるクリーン化、及びガスタービン等の材料保護のためにはこれらを除去する必要がある。
また、窒素化合物であるアンモニアは、一般にアミン化合物よりなる吸収液(アルカリ性)を用いたアミン吸収塔(脱硫塔)における気液接触処理ではほとんど除去されず、ガスタービン等で燃焼して有害な窒素酸化物となり、ガスタービン等の後流側に一般的に設けられる脱硝装置の負荷を増大させるので問題であった。
また、Na,K,V,HFなどの微量成分も、ガスタービン等の腐食の原因となる可能性があり、ガスタービン等の材料表面に、より高価な耐食コーティングを施す必要が生じるなどの問題があるため、やはりなるべく前流側で除去するのが好ましい。
なお、生成ガス中に含まれる硫化水素等の硫黄分は、上記微量成分や塩素分に比較してガスタービンなどの機器腐食の原因となる可能性は低く、むしろ硫黄酸化物(主に亜硫酸ガス)として大気放出されて大気汚染を引き起こす点で有害であり、必ずしもガスタービンの前流側で除去する必要はない。
前記生成ガスを除塵処理し、次いで、硫黄分の除去を目的とせず、少なくとも塩素分を含む有害成分の除去を目的とする簡易なガス精製処理を行った後に、前記生成ガスをガスタービンの燃料として導入し、ガスタービンから排出される排ガスに対して少なくとも脱硫処理を含むガス浄化処理を行うことを特徴とする。
前記ガス精製手段は、硫黄分の除去を目的とせず、少なくとも塩素分を含む有害成分の除去を目的とする簡易なものであることを特徴とする。
前記ガス化炉から導出されるガスを選択的に前記ガス浄化手段に直接導入可能なバイパスラインを設けたことを特徴とする。
除去した硫黄分を亜硫酸ガスとして吸収する脱硫処理を少なくとも行うガス浄化手段を、前記ガス精製手段の付帯設備として有するガス化設備において、
前記ガス化炉から導出されるガスを選択的に前記ガス浄化手段に直接導入可能なバイパスラインを設けたことを特徴とする。
このため、生成ガス中の硫化水素の吸着塔(又はアミン吸収塔)や再生塔などの設備構成が全く不要となるとともに、ガスタービンが生成ガス中の硫化水素や硫化カルボニルを亜硫酸ガスに転換する燃焼炉としても機能するので、設備構成が著しく簡素になる。
さらに本発明では、ガス中から硫黄分を除去する設備が、ガス化を行わない一般的な既存の火力発電設備で十分実績のある硫黄酸化物の除去装置(通常の脱硫装置など)のみで構成できる。いいかえると、実績の乏しい硫化水素の除去装置(アミン吸収塔や乾式の吸着塔よりなるもの)を全く使用しないで、発電設備全体が構成できる。このため、設備の信頼性が特に高くなるという利点もある。
このため、ガス化炉の運転初期などの非定常運転時に発生する異常な生成ガス(亜硫酸ガスを含む排ガス)を、一時的にガス浄化手段に直接導入して処理することが可能となり、このような異常な生成ガスを通常のライン(ガスタービンやその前流に必要に応じて設けられるガス精製装置)に流すことによる不具合を回避できるとともに、このような異常な生成ガスを大気放出した場合の大気汚染の問題も解消できる。
第1例
図1は、本発明の第1例に係わるガス化発電設備(ガス化設備)を示す図である。なお、本発明はガス精製処理又はガス浄化処理の構成に特徴を有するものであるので、発電システム自体の詳細構成(例えば蒸気サイクルの構成等)は図示省略している。
このように石炭を原料とし空気をガス化剤としてなる生成ガスA1には、通常、1000〜1500ppm程度のH2S(硫化水素)と、100ppm程度のCOS(硫化カルボニル)とが含有されるとともに、1000〜1500ppm程度のNH3(アンモニア)と、100ppm程度のHCl(塩化水素)が含有されており、さらに、Na,K,V,HFなどの有害な不純物も微量に含有されている。
この場合生成ガスA1は、まずサイクロン2やポーラスフィルタ3よりなる除塵手段によって除塵処理され、生成ガスA2として排出される。次いで、生成ガスA2は、後述するガス精製手段40により硫黄化合物を除く有害成分を主に除去されて、生成ガスA3として排出される。そして、生成ガスA3は、ガスタービン4にその燃料として導入される。
ガスタービン4では、生成ガスA3が燃焼し、そのエネルギーにより発電機5が駆動されて発電が行われる。
また、ガスタービン4のタービンブレード等には、耐熱性とともに耐食性を向上させるためのコーティングが施され、硫化水素などの前述の有害物が燃料(生成ガスA3)中に残留していても問題なく稼働できるようになっている。なお、コーティング材料としては、例えばジルコニアや、その他のセラミックス材料が使用できる。またコーティング方法としては、溶射によるセラミックスコーティング、CVD(Chemical Vapor Deposition;化学的気相成長)法、スパッタリング法などがあり、また、コーティング材料を保護しようとする表面に塗布した後乾燥させることにより例えばジルコニア被膜を形成する方法もある。但し本例では、硫黄化合物を除く生成ガス中の有害物の多くが、ガス精製手段40により事前に除去されるので、ガスタービン4の耐食性はそれ程高く確保する必要はなく、コーティングの膜厚を低減できたり、より安価で簡易なコーティング材料やコーティング方法が採用できる余地がある。
ここで脱硝装置8は、排ガスA4中の窒素酸化物を分解処理するために設けられたものであり、触媒を用いてアンモニア接触還元法により窒素酸化物を分解する。また廃熱ボイラ7は、この脱硝装置8の前後に配設されて排ガスA4から熱回収し、複合発電のための蒸気タービン6に供給される蒸気を生成又は加熱するためのボイラである。なお、脱硝装置8におけるガスの温度を最適化するために、脱硝装置8の前後に廃熱ボイラ7の熱回収部が設けられている。
次に、排ガスA4が脱硝処理された後の排ガスA5は、湿式石灰石膏法の排ガス処理装置9(ガス浄化手段)に導入され、主に脱硫処理(亜硫酸ガスの吸収)がなされる。そして、排ガスA5が排煙処理装置9で浄化された後の排ガスA6は、例えば煙突10に導かれて大気放出される。
すなわちこの装置9は、亜硫酸ガスを高濃度に含む排ガスA5を、カルシウム化合物を吸収剤として含有するスラリ状の吸収液B1と気液接触させて浄化後の排ガスA6として排出するとともに、亜硫酸ガスを吸収した吸収液中に酸化用空気Cを多数の微細気泡として吹込み、吸収液中の亜硫酸を酸化して石膏化させる吸収塔21と、この吸収塔21から抜き出されたスラリB2(石膏スラリ)を固液分離する遠心分離機等の固液分離手段22と、この固液分離手段22で生じるろ液B3を貯留するろ液ピット23と、吸収液B1を調製するための吸収液ピット24とを備える。
なお、固液分離手段22で分離された固形分D(二水石膏の石膏ケーキ)を120℃〜150℃程度まで加熱して半水石膏とする燃焼炉等の石膏加熱装置を備えていてもよい。
なお、二つの塔本体のうち、塔本体26aはいわゆる並流式の気液接触塔であり、塔本体26bはいわゆる向流式の気液接触塔である。また、処理される排ガスA5は、この場合塔本体26aの塔頂部から導入され、次いでタンク25の上部を経由して塔本体26bの下部に導入され、最終的に塔本体26bの塔頂部から排出される構成となっている。
また、処理後の排ガスA6の出口ダクト28には、通常ミストエリミネータ(図示省略)が設けられ、排ガスA6から同伴ミストが除去されてタンク25内に戻される構成となっている。
タンク25には、空気Cを微細気泡として拭き込むとともに、タンク内のスラリ全体を撹拌するアーム回転式エアスパージャ29が設けられ、亜硫酸ガスを吸収して各塔本体から流下する吸収液が、吹き込まれた空気と効率良く接触して、吸収された亜硫酸が略全量酸化され、さらにはカルシウム化合物と中和反応を起こして高純度の石膏が生成するようになっている。なお、空気Cを吹込む手段としては、例えば固定式エアスパージャやロータリーアトマイザなどを撹拌手段とは別個にタンク25内に設けてもよい。
また吸収液ピット24では、図示省略したサイロより供給されるカルシウム化合物E(例えば、石灰石)と、これに応じた量のろ液B3とが混合撹拌され、所定濃度の吸収液B1が調製される。そして、この吸収液ピット24内の吸収液B1は、例えば処理ガスである排ガスA5中の亜硫酸ガス量の検出値などに応じて、その供給流量が制御され、ポンプ32によりタンク25に送られる。
また、吸収塔21において蒸発して排ガスA6中の蒸気として持去られる水分や、石膏Dの含有水或いは付着水として系外に排出される水分を補うべく、工業用水等の補給水Fが、例えばタンク25内の液面高さを一定範囲に維持するように、タンク25内に供給される。
この場合のガス精製手段40は、熱交換器41と洗浄塔42とを備える。熱交換器41では、ポーラスフィルタ3から導出された生成ガスA2の熱により精製後の生成ガスA3が加熱される。なお、生成ガスA2は熱交換器41において逆に熱を奪われて、例えば230℃程度まで冷却される。
また洗浄塔42は、この場合いわゆる向流式のものであり、塔下部から導入された生成ガスA2が、流下する洗浄液Gに対向して塔内を上昇し、後述する如く有害成分を除去された後、塔頂部から除去処理後の生成ガスA3として排出される。
また、洗浄塔42の塔上部には、ガス中のミストを分離除去するミストエリミネータ46が設けられ、後流側に流出するいわゆる同伴ミストの量が低く抑えられる構成となっている。
この問題を解決するため本例では、洗浄塔42の洗浄液G中に硫酸等の酸Jを適宜供給してpH調整する構成としており、洗浄液GのpHを例えば弱酸性以下に保持する。これにより、排水Hに含有されるH2Sの量を抑制して、面倒な排水処理を回避できる。なおこの場合でも、HClは強酸であるため、弱酸性領域であれば十分吸収可能である。
但し、NH3をより完全に吸収除去するためには、pHを例えば強酸領域まで大きく低下させるのが好ましく、この場合にはHClの吸収性能が低下するため、HClとNH3の両者をより完全に除去するためには、後述する第2例のような2塔式のガス精製手段40aとするのが好ましい。
本例では、ガス化炉1を出た生成ガスA1が、サイクロン2やポーラスフィルタ3によって除塵処理され、次いで、上述した洗浄塔42よりなるガス精製手段40により硫黄化合物を除く有害成分を主に除去された後、生成ガスA3としてガスタービン4に導入され、ガスタービン4の燃料として使用される。
このため、ガスタービン4に導入される生成ガスA3中の有害成分のほとんどは、腐食性が低くコーティング等の保護対策の容易な硫化水素や硫化カルボニル(即ち、硫黄化合物)、或いは少量のアンモニアのみとなり、ガスタービン4のタービンブレード等に必要となるコーティング等の保護対策が安価なものですむようになる。
COS + 3/2O2 → SO2 +CO2 (2)
2NH3 + 7/2O2 → 2NO2 +3H2O (3)
(1)硫化水素の吸着塔(又はアミン吸収塔)や再生塔などの設備構成が全く不要となるとともに、ガスタービン4が硫化水素や硫化カルボニルを亜硫酸ガスに転換する燃焼炉としても機能するので、設備構成が著しく簡素になる。
(3)少なくともガス中から硫黄分や窒素酸化物の除去を行う設備が、ガス化を行わない一般的な既存の火力発電設備で十分実績のある装置(脱硝装置8や排ガス処理装置9など)のみで構成できるので、設備の信頼性が高くなる。
次に、本発明の第2例を説明する。図3は、本例のガス精製手段40aを示す図である。なお本例は、第1例のガス精製手段40の代りに、このガス精製手段40aを設けたものであり、他の構成は第1例と同様でよいので、ガス精製手段40a以外の構成については説明を省略する。また以下では、第1例と同様の要素には同符号を付して、重複する説明を省略する。
なお本例では、洗浄塔42における洗浄液GのpHを、H2Sを過度に吸収しない範囲でHClの吸収に最適な値(例えば弱酸性領域又は中性領域)に維持するとともに、洗浄塔42aにおける洗浄液G1のpHを、NH3の吸収に最適な比較的低い値(例えば強酸性領域又は弱酸性領域)に維持する。
なお図3では、第2の洗浄塔42aのみに酸Jを添加しているが、洗浄塔42にも必要に応じて酸Jを添加し、H2Sの吸収抑制をここでも完全に行うようにしてもよい。また図3では、洗浄塔42aからの排水H1を洗浄塔42に導入して、全体的な排水の量の低減を図っているが、この排水H1を洗浄塔42とは別個に排出して、洗浄塔42と洗浄塔42aの洗浄液のpH等を全く独立に制御するようにしてもよい。
また、HClやNH3の含有量が別個に変化したときでも、それに応じて各洗浄塔のpHを最適値に調整し、さらに洗浄液の循環量を各洗浄塔において必要最低限に調整することで、運転コストを必要最小限に維持しつつこれら有害物をいずれもほぼ完全に吸収除去できるという優れた効果が奏される。
また、洗浄液との気液接触が2段階で行われるため、前述したNa等の微量有害成分の除去性能も高まる。
このため、ガスタービン4の腐食に対する信頼性がより向上できるとともに、NH3の残留量が僅かなものとなって脱硝装置8の負荷も格段に低減できる。
このようにすると、熱交換器41や洗浄塔42による生成ガスA2の冷却で析出した塩化アンモニウムや、Na等の微量有害成分よりなるヒューム状のサブミクロン粒子が、洗浄塔42aにおいて凝縮水により積極的に捕集される。
なお本例の場合には、上記洗浄塔42aにおける捕集作用によっても捕集されなかった僅かなヒューム状物質があった場合でも、洗浄塔42aの後流に設置された除塵手段52によりこれが捕集され、より高度なクリーン化が達成される。但し、要求されているヒューム状物質の除去率等によっては、除塵手段52(さらには冷却器51)を設けなくてもよいのはいうまでもない。
次に、本発明の第3例を説明する。図4は、本例のガス精製手段40bを示す図である。本例は、第1例のガス精製手段40の代りに、このガス精製手段40bを設けたものである。本例でも、このガス精製手段40b以外の構成については、第1例と同様であり、その説明を省略する。
熱交換器61は、生成ガスA2の熱によりポーラスフィルタ63から導出された精製後の生成ガスA3を加熱するものである。なお、生成ガスA2はこの熱交換器61において逆に熱を奪われて、例えば230℃程度まで冷却される。
熱交換器62は、ガスA2を塩化アンモニウムが十分に析出する温度まで冷却するものである。また、ポーラスフィルタ63は、析出した塩化アンモニウム等(ヒューム状の粒子)を捕集除去するものである。
なお、この温度コントローラ65の制御目標値は、例えばポーラスフィルタ63の出口側における生成ガスA3中の塩化水素濃度又はアンモニア濃度の実測値に基づいて、このガスA3中の塩化水素濃度又はアンモニア濃度が目標値以下に維持されるように、適宜必要最低限の値に変更するようにしてもよい。
そして、ポーラスフィルタ63の出口における生成ガスA3の温度は、前述の制御目標温度(例えば120〜130℃)まで低くなっているが、この場合生成ガスA3は最終的に熱交換器61で再加熱され、例えば320℃程度まで昇温された状態でガスタービン4に送られるため、高い熱効率が実現される。
しかも本例の場合には、ガスタービン前流において生成ガスを液体に接触させる処理をなんら行っていないので、ガスタービン前流でのガス精製における排水処理が不要になって、そのための設備コストやメンテナンスコストなどが低減できるとともに、熱効率の点でも有利になるという固有の効果も得られる。
例えば脱硫処理等を行う排ガス処理は、上述したような石灰石膏法によるものに限られず、例えば亜硫酸ガスの吸収剤としてマグネシウム化合物を使用するいわゆる水マグ法を採用してもよいことはいうまでもない。また、石灰石膏法による脱硫処理を採用せず、排ガスから吸収した硫黄分(主に亜硫酸ガス)から硫黄単体を回収する態様でもよいことはいうまでもない。
また排ガス処理装置の吸収塔形式についても、液柱式吸収塔に限られず、スプレー塔、グリッド充填塔、ガス分散式吸収塔といった各種形式が採用可能であることはいうまでもない。
また、上述の第2例(図3)のように、生成ガスの洗浄を第1洗浄塔と第2洗浄塔で2段階に行う場合、例えば第1洗浄塔の洗浄液を冷却する冷却器を設けて、その運転温度を例えばHClの吸収に好ましい値に積極的に管理するようにしてもよい。
すなわち、塩化アンモニウムは、塩化水素1モルに対してアンモニア1モルが結合して析出する。このため、例えば塩化水素濃度が100ppmでアンモニア濃度が1000ppmの場合、他の要因(アンモニアガスの凝縮等)でアンモニアガスが除去される分を無視すれば、冷却工程の温度を十分下げたとしても、理論的にはアンモニア濃度は900ppm以下には下がらない。
このようにすれば、生成ガスA2中の塩化水素とアンモニアの量がバランスするように修正され、熱交換器62で十分にガス温度を下げれば、ほとんどすべての塩化水素とアンモニアが塩化アンモニウムとして析出し、ポーラスフィルタ63で捕集除去される。したがって、生成ガスの性状にかかわらず、塩化水素濃度もアンモニア濃度も著しく低減させることができ、脱硝装置8の負荷を極端に削減できるなどの利点が得られる。
なお、従来のガス精製装置を備えたガス化発電設備においては、上述したような非定常運転時にガス化炉からでるガス(亜硫酸ガスを含む排ガス)の処理については、特に考慮されておらず問題であった。すなわち、このような異常な生成ガスを定常運転時と同様に通常のラインに(即ち、ガス精製装置に)流せば、ガス精製装置におけるアミン吸収液が亜硫酸ガスによって劣化するなどの不具合が生じるし、かといってそのまま大気放出すれば、亜硫酸ガスによる大気汚染の問題が生じる。
しかし、上述したようにガス化炉から出るガスの流路を選択的に切換えてガス浄化手段(一般的な火力発電設備に設けられるものと同様な排煙処理装置)に直接導入できるようにすれば、上述したような非定常運転時に一時的にガス化炉から出るガスを直接上記ガス浄化手段に導いて浄化処理することができる。このため、上述したような非定常運転時にガス化炉から出る異常なガスを通常のラインに流すことによる不具合を回避できるとともに、大気汚染の問題も解消できる効果が得られる。
2 サイクロン(除塵手段)
3 ポーラスフィルタ(除塵手段)
4 ガスタービン
8 脱硝装置(ガス浄化手段)
9 排ガス処理装置(ガス浄化手段)
35 バイパスライン
40,40a,40b ガス精製手段
42,42a 洗浄塔
61 熱交換器(冷却手段)
62 熱交換器(冷却手段)
63 ポーラスフィルタ(捕集手段)
A1〜A3 生成ガス
A4〜A6 排ガス
B1 吸収液
D 石膏
E 吸収剤(カルシウム化合物)
G,G1 洗浄液
Claims (9)
- 炭素含有燃料のガス化によって得られる生成ガスをガスタービンの燃料として使用するガス化設備において、前記生成ガスの精製、及びガスタービンから排出される排ガスの浄化を行うガス処理方法であって、
前記生成ガスを除塵処理し、次いで、硫黄分の除去を目的とせず、少なくとも塩素分を含む有害成分の除去を目的とする簡易なガス精製処理を行った後に、前記生成ガスをガスタービンの燃料として導入し、ガスタービンから排出される排ガスに対して少なくとも脱硫処理を含むガス浄化処理を行うことを特徴とするガス化設備におけるガス処理方法。 - 前記ガス浄化処理が、湿式石灰石膏法による排ガス処理であることを特徴とする請求項1記載のガス化設備におけるガス処理方法。
- 前記簡易なガス精製処理は、前記生成ガスを洗浄液に気液接触させるガス洗浄処理であることを特徴とする請求項1又は2記載のガス化設備におけるガス処理方法。
- 前記簡易なガス精製処理は、前記生成ガス中の塩化水素及びアンモニアが塩化アンモニウムとして析出する温度まで前記生成ガスを冷却する冷却工程と、この冷却工程の後に前記生成ガス中の少なくとも塩化アンモニウムを含む粒子を捕集する捕集工程とよりなることを特徴とする請求項1又は2記載のガス化設備におけるガス処理方法。
- 炭素含有燃料のガス化を行うガス化炉と、このガス化炉から導出される生成ガスを除塵処理する除塵手段と、この除塵手段から導出された生成ガス中から有害成分を除去するガス精製手段と、このガス精製手段から導出された生成ガスが燃料として導入されるガスタービンと、このガスタービンから排出された排ガスに対して少なくとも脱硫処理を含むガス浄化処理を行うガス浄化手段とを備え、
前記ガス精製手段は、硫黄分の除去を目的とせず、少なくとも塩素分を含む有害成分の除去を目的とする簡易なものであることを特徴とするガス化設備。 - 前記ガス精製手段は、前記生成ガスを洗浄液に気液接触させて洗浄する洗浄塔よりなることを特徴とする請求項5記載のガス化設備。
- 前記ガス精製手段は、前記生成ガス中の塩化水素及びアンモニアが塩化アンモニウムとして析出する温度まで前記生成ガスを冷却する冷却手段と、この冷却手段によって冷却された後の生成ガス中の少なくとも塩化アンモニウムを含む粒子を捕集する捕集手段とよりなることを特徴とする請求項5記載のガス化設備。
- 炭素含有燃料のガス化を行うガス化炉と、このガス化炉から導出される生成ガスが燃料として導入されるガスタービンと、このガスタービンから排出された排ガスに対して、少なくとも脱硫処理を含むガス浄化処理を行うガス浄化手段とを備えたガス化設備において、
前記ガス化炉から導出されるガスを選択的に前記ガス浄化手段に直接導入可能なバイパスラインを設けたことを特徴とするガス化設備。 - 炭素含有燃料のガス化を行うガス化炉と、このガス化炉から導出される生成ガスに対して、少なくとも硫黄分の除去を含むガス精製処理を行うガス精製手段と、このガス精製手段によるガス精製処理後の生成ガスが燃料として導入されるガスタービンとを備えるとともに、
除去した硫黄分を亜硫酸ガスとして吸収する脱硫処理を少なくとも行うガス浄化手段を、前記ガス精製手段の付帯設備として有するガス化設備において、
前記ガス化炉から導出されるガスを選択的に前記ガス浄化手段に直接導入可能なバイパスラインを設けたことを特徴とするガス化設備。
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