JP5158444B2 - 防眩フィルムの製造方法および防眩フィルム作製のための金型の製造方法 - Google Patents
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Description
また、特開2004−29240号公報(特許文献5)には、ビーズショット法によってエンボスロールを作製する方法が開示されており、特開2004−90187号公報(特許文献6)には、エンボスロールの表面に金属めっき層を形成する工程、金属めっき層の表面を鏡面研磨する工程、さらに必要に応じてピーニング処理をする工程を経て、エンボスロールを作製する方法が開示されている。
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。本発明の防眩フィルムの製造方法は、特定の空間周波数分布を持つ微細な凹凸表面形状(微細凹凸表面)を精度よく形成するために、平均のドット径が6〜30μmであり、ドット径の変動係数が0.1〜0.5である複数種類のドット径を有するドットを、エネルギースペクトルが0μm-1より大きく0.04μm-1以下に極大値を持たないように多数ランダムに配置したパターンを用いて、透明支持体上に微細凹凸表面を形成することを特徴とする。ここで、「パターン」とは、防眩フィルムの微細凹凸表面を形成するための画像データや透光部と遮光部を有するマスクのことなどを意味する。
以下では、本発明の防眩フィルムの製造に用いる金型を製造する方法について説明する。本発明の防眩フィルムの製造に用いる金型の製造方法については、上述したパターンを用いた所定の表面形状が得られる方法であれば、特に制限されないが、微細凹凸表面を精度よく、かつ、再現性よく製造するために、〔1〕第1めっき工程と、〔2〕研磨工程と、〔3〕感光性樹脂膜塗布工程と、〔4〕露光工程と、〔5〕現像工程と、〔6〕第1エッチング工程と、〔7〕感光性樹脂膜剥離工程と、〔8〕第2めっき工程とを基本的に含むことが好ましい。図7は、本発明の金型の製造方法の前半部分の好ましい一例を模式的に示す図である。図7には各工程での金型の断面を模式的に示している。本発明の金型の製造方法は以下、図7を参照しながら、本発明の金型の製造方法の各工程について詳細に説明する。
本発明の金型の製造方法ではまず、金型に用いる基材の表面に、銅めっきまたはニッケルめっきを施す。このように、金型用基材の表面に銅めっきまたはニッケルめっきを施すことにより、後の第2めっき工程におけるクロムめっきの密着性や光沢性を向上させることができる。すなわち、背景技術として上述したように、鉄などの表面にクロムめっきを施した場合、あるいはクロムめっき表面にサンドブラスト法やビーズショット法などで凹凸を形成してから再度クロムめっきを施した場合には、表面が荒れやすく、細かいクラックが生じて、金型の表面の凹凸形状が制御しにくくなる。これに対して、まず、基材表面に銅めっきまたはニッケルめっきを施しておくことにより、このような不都合をなくすことができる。これは、銅めっきまたはニッケルめっきは、被覆性が高く、また平滑化作用が強いことから、金型用基材の微小な凹凸や巣などを埋めて平坦で光沢のある表面を形成するためである。これらの銅めっきまたはニッケルめっきの特性によって、後述する第2めっき工程においてクロムめっきを施したとしても、基材に存在していた微小な凹凸や巣に起因すると思われるクロムめっき表面の荒れが解消され、また、銅めっきまたはニッケルめっきの被覆性の高さから、細かいクラックの発生が低減される。
続く研磨工程では、上述した第1めっき工程にて銅めっきまたはニッケルめっきが施された基材表面を研磨する。当該工程を経て、基材表面は、鏡面に近い状態に研磨されることが好ましい。これは、基材となる金属板や金属ロールは、所望の精度にするために、切削や研削などの機械加工が施されていることが多く、それにより基材表面に加工目が残っており、銅めっきまたはニッケルめっきが施された状態でも、それらの加工目が残ることがあるし、また、めっきした状態で、表面が完全に平滑になるとは限らないためである。
すなわち、このような深い加工目などが残った表面に後述する工程を施したとしても、各工程を施した後に形成される凹凸よりも加工目などの凹凸の方が深いことがあり、加工目などの影響が残る可能性があり、そのような金型を用いて防眩フィルムを製造した場合には、光学特性に予期できない影響を及ぼすことがある。図7(a)には、平板状の金型用基材7が、第1めっき工程において銅めっきまたはニッケルめっきをその表面に施され(当該工程で形成した銅めっきまたはニッケルめっきの層については図示せず)、さらに研磨工程によって鏡面研磨された表面8を有するようにされた状態を模式的に示している。
続く感光性樹脂膜塗布工程では、上述した研磨工程によって鏡面研磨を施した基材7の表面8に、感光性樹脂を溶媒に溶解した溶液として塗布し、加熱・乾燥することにより、感光性樹脂膜を形成する。図7(b)には、基材7の表面8に感光性樹脂膜9が形成された状態を模式的に示している。
続く露光工程では、前記したエネルギースペクトルが0μm-1より大きく0.04μm-1以下には極大値を持たないパターンを上述した感光性樹脂膜塗布工程で形成された感光性樹脂膜9上に露光する。露光工程に用いる光源は塗布された感光性樹脂の感光波長や感度等に合わせて適宜選択すればよく、たとえば、高圧水銀灯のg線(波長:436nm)、高圧水銀灯のh線(波長:405nm)、高圧水銀灯のi線(波長:365nm)、半導体レーザ(波長:830nm、532nm、488nm、405nmなど)、YAGレーザ(波長:1064nm)、KrFエキシマーレーザ(波長:248nm)、ArFエキシマーレーザ(波長:193nm)、F2エキシマーレーザ(波長:157nm)等を用いることができる。
続く現像工程においては、感光性樹脂膜9にネガ型の感光性樹脂を用いた場合には、露光されていない領域11は現像液によって溶解され、露光された領域10のみ金型用基材上に残存し、続く第1エッチング工程においてマスクとして作用する。一方、感光性樹脂膜9にポジ型の感光性樹脂を用いた場合には、露光された領域10のみ現像液によって溶解され、露光されていない領域11が金型用基材上に残存して、続く第1エッチング工程におけるマスクとして作用する。
続く第1エッチング工程では、上述した現像工程後に金型用基材表面上に残存した感光性樹脂膜をマスクとして用いて、主にマスクの無い箇所の金型用基材をエッチングする。図8は、本発明の金型の製造方法の後半部分の好ましい一例を模式的に示す図である。図8(a)には第1エッチング工程によって、主にマスクの無い箇所13の金型用基材7がエッチングされる状態を模式的に示している。マスク12の下部の金型用基材7は金型用基材表面からはエッチングされないが、エッチングの進行とともにマスクの無い領域13からのエッチングが進行する。よって、マスク12とマスクの無い領域13の境界付近では、マスク12の下部の金型用基材7もエッチングされる。このようなマスク12とマスクの無い領域13の境界付近において、マスク12の下部の金型用基材7もエッチングされることを、以下ではサイドエッチングと呼ぶ。図9にはサイドエッチングの進行を模式的に示した。図9の点線14はエッチングの進行とともに変化する金型用基材の表面を段階に示している。
続く感光性樹脂膜剥離工程では、第1エッチング工程でマスクとして使用した残存する感光性樹脂膜を完全に溶解し除去する。感光性樹脂膜剥離工程では剥離液を用いて感光性樹脂膜を溶解する。剥離液としては、上述した現像液と同様のものを用いることができて、pH、温度、濃度および浸漬時間などを変化させることによって、ネガ型の感光性樹脂膜を用いた場合には露光部の、ポジ型の感光性樹脂膜を用いた場合には非露光部の感光性樹脂膜を完全に溶解して除去する。感光性樹脂膜剥離工程における剥離方法についても特に制限されず、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像などの方法を用いることができる。
続いて、クロムめっきを施すことによって、表面の凹凸形状を鈍らせる。図8(c)には、上述したように第1エッチング工程のエッチング処理によって形成された表面凹凸形状にクロムめっき層16を形成し、表面17を鈍らせた状態が示されている。
作成したパターンデータを12800dpiで256階調のグレースケールの画像データとし、階調を二次元の離散関数g(x,y)で表した。得られた二次元離散関数g(x,y)を離散フーリエ変換して、二次元関数G(fx,fy)を求めた。二次元関数G(fx,fy)を二乗してエネルギースペクトルの二次元関数G2(fx,fy)を計算し、fx=0の断面曲線であるG2(0,fy)より、空間周波数が0μm-1より大きく、かつ、絶対値が最も小さい空間周波数の極大値を求めた。計算に用いたパターンの水平分解能はΔxおよびΔyともに2μmとした。また、計算範囲は1000μm×1000μmとした。
(ヘイズ)
防眩フィルムのヘイズは、JIS K 7136に規定される方法で測定した。具体的には、この規格に準拠したヘイズメータHM−150型(村上色彩技術研究所製)を用いてヘイズを測定した。防眩フィルムの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。一般的にヘイズが大きくなると、画像表示装置に適用したときに画像が暗くなり、その結果、正面コントラストが低下しやすくなる。それ故に、ヘイズは低い方が好ましい。
(映り込み、白ちゃけの目視評価)
防眩フィルムの裏面からの反射を防止するために、凹凸面が表面となるように黒色アクリル樹脂板に防眩フィルムを貼合し、蛍光灯のついた明るい室内で凹凸面側から目視で観察し、蛍光灯の映り込みの有無、白ちゃけの程度を目視で評価した。映り込み、白ちゃけおよび質感は、それぞれ1から3の3段階で次の基準により評価した。
2:映り込みが少し観察される。
3:映り込みが明瞭に観察される。
2:白ちゃけが少し観察される。
3:白ちゃけが明瞭に観察される。
ギラツキは、以下の方法で評価した。すなわち、市販の液晶テレビ(LC−32GH3(シャープ(株)製)から表裏両面の偏光板を剥離した。それらオリジナル偏光板の代わりに、背面側および表示面側とも、偏光板スミカラン SRDB31E(住友化学(株)製)を、それぞれの吸収軸がオリジナルの偏光板の吸収軸と一致するように粘着剤を介して貼合し、さらに表示面側偏光板の上には、以下の各例に示す防眩フィルムを凹凸面が表面となるように粘着剤を介して貼合した。この状態で、サンプルから約30cm離れた位置から、目視観察することにより、ギラツキの程度を7段階で官能評価した。レベル1はギラツキが全く認められない状態、レベル7はひどくギラツキが観察される状態に該当し、レベル3はごくわずかにギラツキが観察される状態である。
直径200mmのアルミロール(JISによるA5056)の表面に銅バラードめっきが施されたものを用意した。銅バラードめっきは、銅めっき層/薄い銀めっき層/表面銅めっき層からなるものであり、めっき層全体の厚みは、約200μmとなるように設定した。その銅めっき表面を鏡面研磨し、研磨された銅めっき表面に感光性樹脂を塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成した。ついで、図4に示すパターンを繰り返し並べたパターンを感光性樹脂膜上にレーザ光によって露光し、現像した。レーザ光による露光、および現像はLaser Stream FX((株)シンク・ラボラトリー製)を用いて行った。感光性樹脂膜にはポジ型の感光性樹脂を使用した。
レーザ光によって露光するパターンとして図11に示すパターン(平均のドット径:22μm、ドット径の変動係数:0、エネルギースペクトル:0.037μm-1に極大値を有する。)を用いたこと以外は実施例1と同様にして金型Bを得た。得られた金型Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムBを作製した。
レーザ光によって露光するパターンとして図12に示すパターン(平均のドット径:36μm、ドット径の変動係数:0、エネルギースペクトル:0.019μm-1に極大値を有する。)を用い、第1のエッチング処理のエッチング量は10μmとなるように設定し、第2のエッチング処理のエッチング量は30μmとなるように設定したこと以外は実施例1と同様にして金型Cを得た。得られた金型Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムCを作製した。
直径200mmのアルミロール(JISによるA5056)の表面に銅バラードめっきが施されたものを用意した。銅バラードめっきは、銅めっき層/薄い銀めっき層/表面銅めっき層からなるものであり、めっき層全体の厚みは、約200μmとなるように設定した。その銅めっき表面を鏡面研磨し、研磨された銅めっき面に、ブラスト装置((株)不二製作所製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−SX−17(東ソー(株)製、平均粒径:20μm)を、ブラスト圧力0.05MPa(ゲージ圧、以下同じ)、ビーズ使用量8g/cm2(ロールの表面積1cm2あたりの使用量、以下同じ)でブラストし、表面に凹凸をつけた。得られた凹凸つき銅めっきアルミニウムロールにクロムめっき加工を行い、金属金型Dを作製した。このとき、クロムめっき厚みが6μmとなるように設定した。得られた金型Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムEを作製した。
直径300mmのアルミロール(JISによるA5056)の表面を鏡面研磨し、研磨されたアルミ面に、ブラスト装置((株)不二製作所製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−SX−17(東ソー(株)製、平均粒径:20μm)を、ブラスト圧力0.1MPa(ゲージ圧、以下同じ)、ビーズ使用量8g/cm2(ロールの表面積1cm2あたりの使用量、以下同じ)でブラストし、表面に凹凸をつけた。得られた凹凸つきアルミロールに対し、無電解ニッケルめっき加工を行い、金型Fを作製した。このとき、無電解ニッケルめっき厚みが15μmとなるように設定した。得られた金型Eを用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムEを作製した。
Claims (6)
- ドット径の異なる複数種類のドットを多数ランダムに配置したパターンを用いた、透明支持体上に微細凹凸表面が形成されている防眩フィルムの製造方法であって、
平均のドット径が6〜30μmであり、ドット径の変動係数が0.1〜0.5であり、かつ、パターンのエネルギースペクトルが0μm-1より大きく0.04μm-1以下に極大値を持たないことを特徴とする防眩フィルムの製造方法。 - 前記パターンを用いて金型を作製し、前記金型の凹凸面を透明支持体上に転写し、次いで凹凸面が転写された透明支持体を金型から剥がすことを特徴とする請求項1に記載の防眩フィルムの製造方法。
- 請求項2に記載の金型を製造する方法であって、
金型用基材の表面に銅めっきまたはニッケルめっきを施す第1めっき工程と、
第1めっき工程によってめっきが施された表面を研磨する研磨工程と、
研磨された面に感光性樹脂膜を塗布形成する感光性樹脂膜塗布工程と、
感光性樹脂膜上に前記パターンを露光する露光工程と、
前記パターンが露光された感光性樹脂膜を現像する現像工程と、
現像された感光性樹脂膜をマスクとして用いてエッチング処理を行い、研磨されためっき面に凹凸を形成するエッチング工程と、
感光性樹脂膜を剥離する感光性樹脂膜剥離工程と、
形成された凹凸面にクロムめっきを施す第2めっき工程とを含むことを特徴とする金型の製造方法。 - 前記感光性樹脂膜剥離工程と前記第2めっき工程の間に、形成された凹凸面をエッチング処理によって鈍らせる第2エッチング工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の金型の製造方法。
- クロムめっきを施した後、表面を研磨せず、そのままクロムめっき面を金型の凹凸面として用いる、請求項3または4に記載の金型の製造方法。
- クロムめっきにより形成されたクロムめっき層が1〜10μmの厚みを有する、請求項3〜5のいずれかに記載の金型の製造方法。
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