JP5158412B2 - ビニル変性ポリエステル樹脂水性物、その製造方法および水性塗料組成物 - Google Patents

ビニル変性ポリエステル樹脂水性物、その製造方法および水性塗料組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ビニル変性ポリエステル樹脂水性物、その製造方法および水性塗料組成物に関する。なお、水性物は、水溶性のものであってもよく、水分散物であってもよい。
近年、環境にやさしい材料を用いるという観点から、従来使用されてきた有機溶剤を、より環境負荷の低い溶剤に変更したり、溶媒として水を用いたりするという取り組みが行われており、塗料分野においても同様の取り組みが行われている。
しかし、水に可溶な樹脂を用いて得られる塗料は、その樹脂に使用できる成分が限定されることから、耐水性に劣り、また、各種基材に対する密着性も十分とはいえなかった。
そこで、耐水性を向上させるために特定の不飽和ポリエステルと水酸基を有する不飽和カルボン酸のヒドロキシエステル、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド等を重合し、水に分散させた水性塗料用樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。また、エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを、開始剤を用いて重合してなるポリエステル変性樹脂も提案されている(特許文献2参照)が、当該組成物は、水分散体としたときの貯蔵安定性の点で更なる改良が必要とされるものであった。
特開平5−279621号公報 特開2000−327727号公報
本発明は、貯蔵安定性、加工性に優れ、さらには得られる塗膜の硬度、耐水性が良好でかつ基材への密着性に優れたビニル変性ポリエステル樹脂水性物を提供することを目的とする。
本発明者は前記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定のポリエステル樹脂をビニル単量体と特定の割合で共重合させることにより、前記課題を解決しうるビニル変性ポリエステル樹脂が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、グリコール成分(a1)および重合性不飽和基含有ジカルボン酸を0.5〜1.5モル%含有するポリカルボン酸成分(a2)を反応させて得られるポリエステル樹脂(a)、カルボキシル基含有ビニル単量体(b)ならびにスチレンを10〜45重量%、(メタ)アクリル酸メチルを5〜30重量%および(メタ)アクリル酸アルキルエステルであってアルキル基の炭素数が4〜8のモノマーを10〜55重量%含有するビニル単量体(c)を、使用重量比((a)/〔(b)+(c)〕)が90/10〜60/40の範囲であってかつ(a)成分の使用量が70〜80重量%、(b)成分の使用量が3〜6重量%、および(c)成分の使用量が14〜37重量%となるように用いて共重合させて得られる固形分酸価が25〜50mgKOH/gの共重合体(A)を、中和して水系溶媒に分散または溶解させたことを特徴とするビニル変性ポリエステル樹脂水性物;グリコール成分(a1)、重合性不飽和基含有ジカルボン酸0.5〜1.5モル%を含有するポリカルボン酸成分(a2)を反応させて得られたポリエステル樹脂(a)と、カルボキシル基含有ビニル単量体(b)ならびにスチレンを10〜45重量%、(メタ)アクリル酸メチルを5〜30重量%および(メタ)アクリル酸アルキルエステルであってアルキル基の炭素数が4〜8のモノマーを10〜55重量%含有するビニル単量体(c)とを、使用重量比((a)/〔(b)+(c)〕)が90/10〜60/40の範囲であってかつ(a)成分の使用量が70〜80重量%、(b)成分の使用量が3〜6重量%、および(c)成分の使用量が14〜37重量%となるように用いて共重合させて得られる固形分酸価が25〜50mgKOH/gの共重合体(A)を、塩基性化合物により中和して水系に分散または溶解させたことを特徴とするビニル変性ポリエステル樹脂水性物の製造方法;当該ビニル変性ポリエステル樹脂水性物に、硬化剤(B)を配合してなる水性塗料組成物に関する。
本発明によれば、貯蔵安定性、加工性に優れ、さらには得られる塗膜の硬度、耐水性が良好でかつ基材への密着性に優れたビニル変性ポリエステル樹脂水性物を提供することができる。また、当該ビニル変性ポリエステル樹脂水性物は、前記性質を有するため、水性塗料組成物としても有用である。
本発明で用いられるビニル変性ポリエステル樹脂水性物は、グリコール成分(a1)(以下、(a1)成分という)、重合性不飽和基含有ジカルボン酸0.5〜1.5モル%を含有するポリカルボン酸成分(a2)(以下、(a2)成分という)を反応させて得られたポリエステル樹脂(a)(以下、(a)成分という)と、カルボキシル基含有ビニル単量体(b)(以下、(b)成分という)ならびにスチレンを10〜45重量%、(メタ)アクリル酸メチルを5〜30重量%および(メタ)アクリル酸アルキルエステルであってアルキル基の炭素数が4〜8のモノマーを10〜55重量%含有するビニル単量体(c)(以下、(c)成分という)とを、使用重量比((a)/〔(b)+(c)〕)が90/10〜60/40の範囲であってかつ(a)成分の使用量が70〜80重量%、(b)成分の使用量が3〜6重量%、および(c)成分の使用量が14〜37重量%となるように用いて共重合させて得られる固形分酸価が25〜50mgKOH/gの共重合体(A)(以下、(A)成分という)を、塩基性化合物により中和して水系溶媒に分散または溶解させることにより得られる。
(a)成分の調製のために用いられる(a1)成分としては、ポリエステル樹脂の製造に用いられるグリコール類を特に限定されず用いることができる。具体的には、例えば、エチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類(例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。これらのなかでは、炭素数が4以上のグリコールを(a1)成分中80モル%程度以上使用することがポリエステル樹脂の耐加水分解性の点から好ましく、特に、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
(a2)成分としては、重合性不飽和基含有ジカルボン酸を、0.5〜1.5モル%程度含有しさえすれば、重合性不飽和基含有ジカルボン酸以外の成分として、通常、ポリエステル樹脂の製造に用いられる公知のポリカルボン酸類を特に限定されず、用いることができる。重合性不飽和基含有ジカルボン酸の使用量が0.5モル%未満となる場合には、ビニル単量体のグラフト化反応が十分行われず、樹脂が濁る、または、分散安定性が低下する傾向があるため好ましくなく、また、1.5モル%を超えて用いると、グラフト化反応が進みすぎ、粘度が上昇し、またはゲル化してしまい、水分散体が得られなくなるため好ましくない。
重合性不飽和基含有ジカルボン酸としては、重合性不飽和基を少なくとも1つ有し、カルボキシル基を2つ有するものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸(無水物)、テトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。これらのなかでは、フマル酸、(無水)マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸(無水物)が高温安定性に比較的優れる点で好ましい。(a2)成分の重合性不飽和基含有ジカルボン酸以外の成分としては、例えば、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸などが挙げられる。これらジカルボン酸類は、無水物であってもよく、また、低級(炭素数が1〜4程度)アルコールによりエステル化されたものであってもよい。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。これらのなかでは、炭素数8以上の脂環族ジカルボン酸を(a2)成分中50モル%〜98.5モル%程度用いることが、ポリエステル樹脂の耐加水分解性の点で好ましく、特に60〜80モル%程度用いることが好ましい。
なお、本発明の(a)成分の製造においては、必要に応じて(a1)成分として3官能以上のポリオ−ルおよび/または(a2)成分として3官能以上のポリカルボン酸を共重合することができる。3官能以上のポリオールとしてはグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が使用される。一方、3官能以上のポリカルボン酸としては(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングルコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等が使用される。これら3官能以上の成分を用いる場合には、それぞれの成分中3モル%以下、または合計で3モル%以下とすることが好ましい。
(a)成分は、(a1)成分と(a2)成分を、公知のポリエステルの製造方法を採用することにより製造することができる。具体的には、例えば、前記(a1)成分と(a2)成分とを180〜250℃程度の温度で重縮合させればよい。(a)成分の数平均分子量(ゲルパーメーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値)は、特に限定されないが、通常、5,000〜30,000程度であり、好ましくは8,000〜20,000である。数平均分子量を5,000以上とすることで、塗膜に十分な加工性を付与できるため好ましく、30,000以下とすることで、グラフト化の際に反応液の増粘を抑制でき、水分散化が容易となるため好ましい。
本発明の(A)成分の製造に用いられる(b)成分としては、分子中に少なくとも1つのカルボキシル基および少なくとも1つのビニル基を有する化合物であって、(a)成分以外のものであれば、特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、メタクリル酸無水物などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の(A)成分の調製に用いられる(c)成分は、耐水性の点からスチレンを10〜45重量%(メタ)アクリル酸メチルを5〜30重量%(メタ)アクリル酸アルキルエステルであってアルキル基の炭素数が4〜8のモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシルおよび(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群より選ばれる少なくとも1種)を10〜55重量%用いたものである
本発明の(A)成分は、(a)成分〜(c)成分を共重合させることにより得られる。共重合は、特に限定されず、公知のラジカル重合法を採用することができる。開始剤としては、ベンゾイルパ−オキサイド、t−ブチルパ−オキシピバレ−ト等の有機過酸化物類や2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル)バレロニトリルなどの有機アゾ化合物類など公知のものを用いることができる。開始剤の使用量は、(a)〜(c)成分の合計量に対して少なくとも0.2重量%程度以上とすることが好ましく、特に0.5重量%以上使用することが好ましい。また、必要に応じて、連鎖移動剤(例えばオクチルメルカプタン、メルカプトエタノール)を添加してもよい。連鎖移動剤は、通常、(a)〜(c)成分の合計量に対して0〜5重量%程度の範囲で添加することが好ましい。また、必要に応じて反応溶媒を用いても良い。反応溶媒は、(a)〜(c)成分を溶解または分散させることができるものであれば、特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコ−ルブチルエーテル等のグリコールエーテル類、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、エチレングリコ−ルジアセテ−ト、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコ−ル類若しくはグリコ−ルエ−テルの低級エステル類、ダイアセトンアルコール等のケトンアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のN−置換アミド類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の(A)成分は、(a)成分および(b)成分以外の(c)成分とを、使用重量比((a)/〔(b)+(c)〕)が90/10〜60/40程度の範囲となるように用いて製造される。((a)/〔(b)+(c)〕)が90/10〜60/40の範囲外にある場合には、塗膜の加工性、硬度、透明性の点で問題があるため好ましくない。なお、(a)成分の使用量は、通常70〜80重量%であり、(b)成分は、3〜6重量%程度であり、(c)成分は、14〜37重量%である
このようにして得られた(A)成分の数平均分子量(ゲルパーメーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算値)は、特に限定されないが、10,000〜30,000程度とすることが、ビニル変性ポリエステル樹脂水性物から得られる樹脂皮膜の加工性の点から好ましい。また、水分散体の安定性および、水分散体から得られる塗膜の密着性が増し、耐食性が向上するため、得られる(A)成分の固形分換算酸価25〜50mgKOH/gである
こうして得られる(A)成分は、塩基性化合物等で中和され、水系溶媒に溶解ないし分散させることにより、目的とするビニル変性ポリエステル樹脂水性物とされる。すなわち、(A)成分中のカルボキシル基を全部または部分中和して、当該pHを7〜10程度にすることが好ましい。なお、本発明において、水系溶媒とは、水または、水および水と混合できる有機溶媒の混合物をいう。水系溶媒に用いることのできる有機溶媒としては、水と混合できるものであれば特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ダイアセトンアルコールなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。これらのなかでは、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等の水混和性2級アルコールおよびダイアセトンアルコール等の水混和性3級アルコールを用いることが、(A)成分の溶解性および、耐アルコール分解性の点から好ましい。また、水混和性2級アルコールおよび水混和性3級アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を15〜20重量%含有する水溶液として用いることにより、水分散体の安定性が向上するため好ましい。中和剤として用いることができる塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を用いることができるが、塗膜からの揮散性を考慮すれば、アンモニアやアミン類を用いることが好ましい。
水分散化に際しては(A)成分製造時に用いた溶媒をあらかじめ減圧下のエクストルーダーなどにより除去してメルト状、若しくは固体状(ペレット、粉末など)とし、塩基性化合物を含有する水系溶媒中へ投じて加熱下攪拌して水性物を調製することもできるが、重合反応を終了した時点で、塩基性化合物及び水系溶媒を投入し、さらに加熱攪拌を継続して水性物を得る方法が好ましい。後者の場合、必要に応じて重合反応に用いた有機溶媒を蒸留若しくは水との共沸蒸留によって一部または全部を取り除くことができる。なお、(A)成分の製造を水系溶媒として用いる有機溶媒を用いて行った場合には、水および塩基性化合物、必要に応じて追加の有機溶媒を加えることにより容易に水性物を得ることができる。
本発明の水性塗料組成物は、前記(A)成分の水性物および硬化剤(B)(以下、(B)成分という。)を配合することにより、硬度、耐水性および、耐溶剤性を向上させることができる。(B)成分としては、水系の硬化剤であれば特に限定されず公知のものを使用することができる。(B)成分としては、具体的には、水系アミノ樹脂、水系カルボジイミド化合物、水系フェノール樹脂、水系ポリイソシアネート化合物、水系エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、水系硬化剤とは、水に溶解する硬化剤または、必要に応じて乳化剤等を用いて水に分散させることができる硬化剤の意味である。
水系アミノ樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどのホルムアルデヒド付加物、さらにこれらの炭素原子数が1〜6のアルコールによるアルキルエーテル化合物を挙げることができる。具体的にはメトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロールN,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメチロール化ベンゾグアナミンなどを用いることができ、それぞれ単独または混合して使用することができる。
水系カルボジイミド化合物としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、N,N´−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジイソプロピルカルボジイミド、N,N´−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N−エチル−N´−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・塩酸塩などが挙げられる。これらは市販のもの(例えば、日清紡績(株)製、カルボジライトシリーズ)をそのまま使用してもよい。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
水系フェノール樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、アルキル化フェノール類のホルムアルデヒド縮合物を挙げることができる。具体的にはクレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、イソブチルフェノール、t−ブチルフェノール、p−tert−ミルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンフェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−クレゾール,m−クレゾール,p−クレゾール、p−シクロヘキシルフェノール、4,4’− イソプロピリデンフェノール、p−ノニルフェノール、p−オクチルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、フェノール、フェニル−o−クレゾール、p−フェニルフェノール、キシレノールなどのアルキル化フェノール類のホルムアルデヒド縮合物などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
水系ポリイソシアネート化合物としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。ポリイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。具体的には、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などとを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物などが挙げられる。また、イソシアネート化合物としては、ブロック化イソシアネートも使用できる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて得られる。イソシアネートブロック化剤としては、例えば、フェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
水系エポキシ樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
(A)成分、(B)成分の使用量としては、(B)成分/(A)成分の固形重量比で、通常、10/90〜40/60程度であり、特に20/80〜30/70とすることが、硬度や耐水性等を向上させることができるため好ましい。
本発明の水性塗料組成物には、必要に応じて、顔料、可塑剤、溶剤、着色剤、消泡剤等の各種公知の添加剤を添加してもよく、他の水溶性樹脂または水分散性樹脂を配合してもよい。
以下、合成例、実施例および比較例をあげて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら各例に限定されるものではない。なお、各例中、部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
製造例1(重合性不飽和基を含有するポリエステル樹脂の合成例)
攪拌機、温度計および窒素ガス導入管、還流脱水装置を備えたフラスコに、テレフタル酸ジメチル510.4部、エチレングリコール63.6部、2−メチル−1,3−プロパンジオール307.8部、ネオペンチルグリコール249.0部酸化ジブチルすず0.16部を仕込んだ。加熱溶融して留出するメタノールを系外に除きながら160℃から210℃まで徐々に昇温し、210℃で1時間保温した。一旦170℃まで冷却し、イソフタル酸262.0部、セバシン酸202.0部、無水マレイン酸5.2部を加え、留出する水を系外に除きながら250℃まで徐々に昇温し、さらに3時間保持した。次に、装置を真空減圧装置に替え、さらに酸化ジブチルすず0.16部を加え30分保温後、1.3hPaで2時間減圧重縮合反応を行い、淡黄色透明のポリエステル樹脂a−1を得た。得られたポリエステル樹脂a−1の数平均分子量を表1に示す。なお、数平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー法(測定装置:東ソー(株)製HLC-8120(カラム:TSKgelG2000H、TSKgelG4000H))によるポリスチレン換算値による。
製造例2〜6
グリコール成分およびポリカルボン酸成分を表1に示したように変更した他は、製造例1と同様にしてポリエステル樹脂(a−2)〜(a−6)を得た。
表中、TPA:テレフタル酸、IPA:イソフタル酸、SE:セバシン酸、CHDA:シクロヘキサンジカルボン酸、MAn:無水マレイン酸、EG:エチレングリコール、2MPD:2−メチル−1,3−プロパンジオール、NPG:ネオペンチルグリコール、BEPD:ブチルエチルプロパンジオールを表す。
参照例1 (ビニル変性ポリエステル樹脂水分散体の合成)
攪拌機、冷却管、温度計および窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ポリエステル樹脂溶(a−1)306.4部、プロピレングリコールモノメチルエーテル165.0部を加え窒素気流下95℃で溶解させた。ついで、該当反応系内に、アクリル酸20.4部、スチレン34.7部、メタクリル酸-2-エチルヘキシル91.9部、メタクリル酸メチル57.2部、プロピレングリコールモノメチルエーテル26.5部およびtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部からなる混合物を1時間かけて滴下し3時間保温した。70℃に冷却後、トリエチルアミン30.1部および水544.4部を順に添加混合することにより、不揮発分39.4%、粘度880mPa・s、pH9.3、固形分酸価32の水分散体を得た。
参照例2、実施例1参照例3〜5実施例2〜5、比較例1〜6
表2〜4に示したビニル単量体組成にした他は実施例1と同様にして、参照例2、実施例1参照例3〜5実施例2〜5、比較例1〜6を得た。
*1:PET/M:(ポリエステルの重量)/(ビニル単量体のトータルの重量)の比
表2〜表4中、AA:アクリル酸、St:スチレン、MMA:メタクリル酸メチル、2EHMA:メタクリル酸-2-エチルヘキシル、2HEMA:メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、BMA:メタクリル酸-n-ブチル、PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル、DAA:ダイアセトンアルコール、TEA:トリエチルアミンを表す。
参照評価例1〜評価例1〜5および比較評価例1〜3
参照例、実施例および比較例で得られたビニル変性ポリエステル樹脂水性物を表5〜7に表した配合にて水性塗料を調した。得られ水性塗料を、厚さ0.8mmのアルミ板上に乾燥後の膜厚が5μmとなるように、バーコーターにより塗布し、200℃、90秒乾燥した。得られた塗膜につき以下の方法で性能評価した。評価結果を表5〜7に示す。
(塗膜の評価試験)
塗膜硬度:JIS K5400に準拠。
加工性:エリクセン試験(塗膜が割れあるいは剥がれが生じる迄の押し出し量(mm))を行った。
耐溶剤性:メチルエチルケトンを含ませたガーゼで試験片を擦り、塗膜が溶解剥離し鋼板素地が露出するまでの試験片を擦った回数で表した。(往復を1回とする)
◎:100回以上 ○:99〜60回 △:59〜20回 ×:20回未満
密着性:碁盤目テープ剥離(1mm間隔)試験を行った。
◎:100/100〜95/100
○:94/100〜80/100
△:79/100〜60/100
×:59/100〜0/100
耐水性:試験片を沸騰水中で60分煮沸処理し、塗膜の状態を目視評価した。
○:全く異常なし
△:白化又はブリスターが僅かに発生
×:白化又はブリスターが著しく発生
表5〜表7中、アミノ樹脂:サイメル303(日本サイテック インダストリーズ(株)製)、カルボジイミド化合物:カルボジライトE−01(日清紡績(株)製)、触媒:Nacure5225(KING
INDUSTRIES(製))を表す。

Claims (10)

  1. グリコール成分(a1)および重合性不飽和基含有ジカルボン酸を0.5〜1.5モル%含有するポリカルボン酸成分(a2)を反応させて得られるポリエステル樹脂(a)、カルボキシル基含有ビニル単量体(b)ならびにスチレンを10〜45重量%、(メタ)アクリル酸メチルを5〜30重量%および(メタ)アクリル酸アルキルエステルであってアルキル基の炭素数が4〜8のモノマーを10〜55重量%含有するビニル単量体(c)を、使用重量比((a)/〔(b)+(c)〕)が90/10〜60/40の範囲であってかつ(a)成分の使用量が70〜80重量%、(b)成分の使用量が3〜6重量%、および(c)成分の使用量が14〜37重量%となるように用いて共重合させて得られる固形分酸価が25〜50mgKOH/gの共重合体(A)を、中和して水系溶媒に分散または溶解させたことを特徴とするビニル変性ポリエステル樹脂水性物。
  2. 前記グリコール成分(a1)が、炭素数が4以上のグリコールをグリコール成分(a1)中80モル%以上含有することを特徴とする請求項1記載のビニル変性ポリエステル樹脂水性物。
  3. 炭素数が4以上のグリコール類が、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載のビニル変性ポリエステル樹脂水性物。
  4. 前記ポリカルボン酸成分(a2)が、炭素数8以上の脂環族ジカルボン酸をポリカルボン酸(a2)成分中、50モル%〜98.5モル%含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のビニル変性ポリエステル樹脂水性物。
  5. 前記ポリエステル樹脂(a)の数平均分子量が5,000〜30,000であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のビニル変性ポリエステル樹脂水性物。
  6. 水系溶媒が、水混和性2級アルコールおよび水混和性3級アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を15〜20重量%含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のビニル変性ポリエステル樹脂水性物。
  7. グリコール成分(a1)、重合性不飽和基含有ジカルボン酸0.5〜1.5モル%を含有するポリカルボン酸成分(a2)を反応させて得られたポリエステル樹脂(a)と、カルボキシル基含有ビニル単量体(b)ならびにスチレンを10〜45重量%、(メタ)アクリル酸メチルを5〜30重量%および(メタ)アクリル酸アルキルエステルであってアルキル基の炭素数が4〜8のモノマーを10〜55重量%含有するビニル単量体(c)とを、使用重量比((a)/〔(b)+(c)〕)が90/10〜60/40の範囲であってかつ(a)成分の使用量が70〜80重量%、(b)成分の使用量が3〜6重量%、および(c)成分の使用量が14〜37重量%となるように用いて共重合させて得られる固形分酸価が25〜50mgKOH/gの共重合体(A)を、塩基性化合物により中和して水系に分散または溶解させたことを特徴とするビニル変性ポリエステル樹脂水性物の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のビニル変性ポリエステル樹脂水性物に、硬化剤(B)を配合してなることを特徴とする水性塗料組成物。
  9. 硬化剤(B)の使用量が、(B)成分/(A)成分の固形重量比で、10/90〜40/60である請求項に記載の水性塗料組成物。
  10. 硬化剤(B)が、として水系アミノ樹脂、水系カルボジイミド化合物、水系フェノール樹脂、水系ポリイソシアネート化合物および水系エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項または9に記載の水性塗料組成物。
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