JP5157493B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ等およびこれら少なくとも2つの機能を有する複合機等の画像形成装置に関する。
複写機、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ等およびこれら少なくとも2つの機能を有する複合機等の画像形成装置において、装置本体上面を画像形成されたシートを載置・積載するシート積載部として設定するとともに、シート積載部の上方に空間を隔てて画像読取部を配置した胴内排出型(以下、「胴内排紙型」ともいう)の画像形成装置がよく知られている(例えば、特許文献1および2参照)。この種の装置は、設置した際の占有面積を小さくすることができる等の利点を有しているが、シート積載部に排出されるシート(以下、「排紙」ともいう)の視認性および排紙性(ジャム防止、スタック量確保)が悪化するという問題を内包している。以下、排紙視認性、排紙性および装置の小型化という観点から従来技術について述べる。
特許文献1(特開2005−167801号公報)に記載の胴内排紙型かつ前面排紙型の画像形成装置では、次のような問題点がある。すなわち、第1に、画像形成部のプロセスカートリッジや転写ユニットなど消耗品を交換するための画像形成装置上部のユニットを回動式に開く方法が取られているが、上部ユニットの画像読取部(以下、「スキャナ」ともいう)が排紙部出口まで覆い被さるため視認性が悪化してしまう。第2に、画像形成部のプロセスカートリッジや転写ユニットなど消耗品を交換するための排紙構造体部を回動させ、上部ユニットと個別に回動構造があり、複雑かつ大掛かりな装置になっている。このため、回動単位に画像形成部の転写ユニットも回動・開放しているので、かなりの角度を開かないと画像形成部のプロセスカートリッジや転写ユニットなど消耗品を交換するのは難しい。第3に、排紙出口位置が高くそして排紙平坦面が低いのと、上部ユニットのスキャナが排紙部出口より前に位置しているため排紙部の視認性が良くない。
第4に、排紙部の両サイドに配置したトナーボトルの交換のため、上部ユニットのスキャナを排紙とともに回動する回動部単位で構成が複雑になる。排紙スタック量に関し、排紙のスロープが少ない上、排紙上面と排紙出口に高さのギャップが少ないので、排紙のスタック量確保という点では構成上不利であり、かつ、マシン前面からの排紙視認性も良くないと言える。第5に、上部ユニットのスキャナを摺動(以下、「スライド」ともいう)することでトナーボトルを交換することが記載されているが、排紙視認性には全く寄与しないものとなっている。
特許文献2(特許第3176411号公報)に記載の胴内排紙型かつ前面排紙型の画像形成装置においては、一部上述したように、シート積載部の上方にスキャナを配置するため、スキャナのないものと比べてストックされたシートの視認性やシート取り出し性が悪化してしまうことが避けられない。そこで、悪化したシート視認性やシート取り出し性を改善させるべくスキャナを奥側へスライド可能にすることでシート排出部とスキャナとの間隔である作業空間を広げられるように構成している
特許文献2には操作部の配置に関する記載がないが、操作部を含めた装置からすると、図示されたスキャナのスライドストロークでは不十分である。また、スキャナの下に大掛かりなスライド機構を配置しているので、排紙スタック性が損なわれ、排紙性が劣ってしまう。そして、スライド機構の配置位置がスキャナの真下かつシート積載部の真上であること等から、結果的に、装置が高さ方向に大型化してしまう問題点もある。
特許文献3(特開2006−119474号公報)に記載の胴内排紙型の画像形成装置では、スキャナ回動部材が具備され、かつ、排紙が後ろから前に排紙される、いわゆる後面排紙型の構成であり、小サイズの転写紙が排紙されると全く視認できないという問題点がある。これは、マシン後方から排紙されるにも拘わらず、排紙出口より排紙トレイ面上面の方が高いため、小サイズの排紙では全く見えないものとなってしまう。また、転写紙の搬送が装置の下〜後ろ〜装置の上へと行われるので、転写紙のジャム発生時などの転写紙除去性を含めてみた場合、作業性が良くないといえる。特に小サイズの転写紙では、スキャナ回動をその都度開閉させねば、実質、転写紙にアクセスできないという問題点もある。
特許文献4(特開2005−182032号公報)に記載の胴内排紙型かつ後面排紙型の画像形成装置によると、特許文献3に記載の画像形成装置と同じくスキャナを回動させないと、小サイズの転写紙を取り出すことができないばかりか、見ることもできないという問題点がある。ユーザがかろうじてスキャナを持ち上げると、排紙を視認し取り出せるというレベルのものであり、煩わしさがある。特許文献3と同様の後面排紙型であり、小サイズの転写紙の視認性を向上させようとすると、装置高さが高くなるというジレンマがある。
特許文献5(特開2004−264500号公報)に記載の胴内排紙型かつ側面排紙型の画像形成装置では、画像読取器が本体筺体の前後方向にスライド可能に支持されていて、画像形成部の上部支持面に開口窓口を設け視認性を向上させているが、転写紙を排紙部から取り出す際は手を回さねばならず煩わしい。そもそも、排紙口が画像読取器を構成しているスキャナ部の下にあり、かつ操作部が突出しているので、胴内排紙で省スペース化を図っているものの使い勝手(視認性、取り出し性)が良くないという問題点もある。
特許文献6(特許第3477026号公報)には、胴内排紙型の画像形成装置ではないが、スキャナ部がプリンタ部の上部に、プリンタ部に対して図中左右の横方向にスライドして開閉するスライド式開閉装置が示されている。
特開2005−167801号公報 特許第3176411号公報 特開2006−119474号公報 特開2005−182032号公報 特開2004−264500号公報 特許第3477026号公報
しかしながら、特許文献1〜6には、共通して、スキャナがスライドする際の指挟みの虞などに関する安全性に関する言及および配慮がなされていないという問題点がある。特にスライド機構を具備するもののうち、特許文献1では、この種のマシン寿命からみて、スライドや回動機構の使用頻度は僅かな回数にもかかわらず構成が複雑であり、しかも指はさみの虞があるなどユーザに対する安全上の配慮がなされていないと言える。
特許文献5では、排紙部から転写紙をあせって取り出そうとすると突き指や、スライドしてくる画像読取器によって開口窓に手を挟む虞もあり、ユーザに対する安全上の配慮がなされていないと言える。
特許文献6では、スライド機構部へのユーザのアクセスを防止する手段については記載がなく、スライド部が露出しているためユーザがアクセスしてしまい、矢張りユーザに対する安全上の配慮がなされていないと言える。
上述したように従来の画像形成装置、すなわち上部ユニットとしての画像読取部等を装置本体の前後方向にスライド可能に支持する支持部にスライド機構を配置した胴内排紙型の画像形成装置においては、排紙の視認性を向上させた場合に、支持部における前後方向の摺動支持部(スライド機構部)の端部近傍に開口を形成されるが、画像読取部のスライド時にその片側が退避していくことにより、スライド機構が暴露することが往々にして起こるため、ユーザがスライド機構部にアクセスできてしまい、気づかずに画像読取部等をスライドさせると開口に指を挟んでしまう虞や、クリップ等の物体が開口に落ち込むことなどによってスライド機構等が破損し、機器・装置を使用不能にしてしまうことなどが問題となってしまう。
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、上部ユニットを装置本体の前後方向にスライドさせるスライド機構を用いた胴内排紙型の画像形成装置において、排紙の視認性を向上させるとともに、上部ユニットと開口との間に指を挟む虞などや、物体が開口に落ち込むことなどによって機器・装置を使用不能にしてしまうことのない、安全に対して十分配慮された信頼性の高い画像形成装置を実現し提供することを主な目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するとともに上述の目的を達成するために、請求項毎の発明では、以下のような特徴ある手段・構成を採っている。
すなわち、請求項1記載の発明は、シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部の上方に空間を隔てて配置された上部ユニットと、前記画像形成部と前記上部ユニットとの間に前記空間を形成するように配置され、前記上部ユニットを装置本体の前後方向に摺動可能に支持する摺動支持部を備え、前記前後方向における前記摺動支持部の端部近傍に開口を形成する支持部と、前記上部ユニットの摺動と連動して、前記開口を塞ぐ第1の位置と、第1の位置から退避した第2の位置との間で変位可能な変位部材とを有し、前記変位部材は、前記画像形成部側に揺動変位可能に支持されており、前記変位部材における前記開口を塞ぐ遮蔽面の形状が、揺動の中心軸とほぼ同一の軸をもつ球面または円筒面であり、前記変位部材は、第1の位置を占めたとき、前記遮蔽面が押されても自身を変位させない押込み防止部を備えていることを特徴とする画像形成装置である
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記画像形成部にて画像形成されたシートを前記装置本体の手前から奥側に排出するシート排出部と、前記画像形成部の上部に配置され、前記シート排出部からシート排出方向に排出されるシートを積載するシート積載部とを有し、前記支持部は、前記シート積載部における前記シート排出方向の両外側に該シート排出方向に沿って配置されており、前記開口は、少なくとも一方の前記支持部における前記摺動支持部の前端部近傍に形成されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記開口は、前記前端部近傍の前記支持部における前記シート排出方向に沿って形成された一対の側壁と、前記前端部近傍の前記支持部における前記シート排出方向と直交するシート幅方向に沿って形成された前面壁との3つの壁面に囲まれて形成されることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記変位部材は、前記上部ユニットに設けられた係合部と選択的に係合することによって前記変位を規制されることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記変位部材は、その変位方向に対して垂直な面を備えており、該垂直な面を前記開口に露出しないことを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載の画像形成装置において、前記変位部材を、第1の位置に変位する向きに弾性力によって付勢する弾性部材を有することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載の画像形成装置において、前記上部ユニットの一部が、前記開口上面より下方に突出していることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項記載の画像形成装置において、前記上部ユニットは、駆動手段を備えた画像読取装置からなり、前記開口上面より下方に突出した前記上部ユニットの一部に、前記駆動手段が配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、上記課題を解決して新規な画像形成装置を実現し提供することができる。本発明の主たる効果を挙げれば、以下のとおりである。
本発明によれば、上部ユニットを装置本体の前後方向に摺動(スライド)可能に支持する摺動支持部(例えばスライド機構部)を備え、前後方向における摺動支持部の端部近傍に開口を形成する支持部を有する胴内排紙型の画像形成装置において、変位部材がユニットの摺動と連動して第1の位置を占めたとき、開口を塞ぐことにより、上部ユニットと開口との間に指を挟む虞などや、物体が開口に落ち込むことなどによって機器・装置を使用不能にしてしまうことのない、安全に対して十分配慮された信頼性の高い画像形成装置を実現し提供することができる。また、変位部材は、画像形成部側に揺動変位可能に支持されていることにより、揺動変位方向に対し略垂直へ移動させたい部材を、スムーズに揺動変位させることができるとともに、変位部材における開口を塞ぐ遮蔽面の形状が、揺動の中心軸とほぼ同一の軸をもつ球面または円筒面であることにより、変位中も変位後も揺動面に隙間をできにくくし、クリップ落ち込みなどを防止することができ、さらに変位部材は、第1の位置を占めたとき、遮蔽面が押されても自身を変位させない押込み防止部を備えていることにより、揺動変位方向に押し込まれ、開口してしまうことを確実に防げるため、さらに安全性を高めることができる(請求項1)
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成とともに動作を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観斜視図、図2は、その画像形成装置の内部構成の一例を示す概略的な縦断面図である。
図1および図2に示した画像形成装置は、装置本体1のほぼ中央に配置され、シートに画像を形成する後述の画像形成手段等を備えた画像形成部2と、この画像形成部2の下方に配置され、画像形成部2にシートSを給送する給紙部20と、画像形成部2の上方に空間を隔てて配置された上部ユニットとしての後述の画像読取手段等を備えた画像読取部(以下、「スキャナ」ともいう)30と、画像形成部2にて画像形成されたシートを装置本体1の手前(両図の右側・前方)から奥側(両図の左側・後方)に排出するシート排出部としてのシート排紙部25と、画像形成部2の上部に配置され、シート排紙部25からシート排出方向(排紙方向)Xaに排出されるシートを積載するシート積載部40と、スキャナ30を装置本体1の前後方向(シート排出方向Xaおよびこれと反対の方向Xb)に摺動可能に支持する支持部50とを有する。
両図に示した画像形成装置は、スキャナ付きのタンデムタイプのカラー画像形成装置であって、またシート積載部40とスキャナ30との間にシート排出のための所定の空間が形成される胴内排紙型の画像形成装置でもある。
図1等において、Yは、シート排出方向Xaと直交するシート幅方向を示しており、シート排出方向Xaは、スキャナ30のスライド方向でもあり、Xbは、スライド方向Xaと反対方向のスライド方向である。
なお、画像形成部2はシートSに画像を記録する画像記録部2とも呼ばれ、シート積載部40は排出されたシートを載置・積載するシート載置部40とも呼ばれる。
画像形成部2には、図2に示すように、像担持体として構成された複数のドラム状の感光体3a,3b,3c,3dを有し、その各感光体3a〜3dには、互いに異なった色のトナー像がそれぞれ形成される。図示した例では、感光体3a〜3dの表面に、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像およびブラックトナー像がそれぞれ形成される。各感光体3a〜3dは、所定の間隔をあけて互いに平行に配置され、これらの感光体3a〜3dの下部に対向して中間転写体として構成された中間転写ベルト4が配置されている。この中間転写体としては、ドラムを用いることもできるが、図示した例では複数の支持ローラ5,6に巻き掛けられて矢印方向(図2中反時計方向)に駆動される無端ベルトからなる中間転写ベルト4が用いられている。
各感光体3a〜3dの周囲の構成は、同様であるため、図2において一番右側に配置されたイエロートナー像が形成される感光体3aを代表して説明する。すなわち、感光体3aには、感光体3aの表面に一様な帯電処理を行う帯電装置7と、画像情報を感光体3aの表面にレーザ光で照射する光走査装置(LSU)8の露光と、露光により感光体3aの表面に形成された静電潜像を可視像化する現像装置9と、中間転写ベルト4を介して感光体3aと対向配置された転写装置10と、中間転写ベルト4に転写後の感光体3aの表面に残留するトナーを除去回収するクリーニング装置11とがこの順に設けられている。
かかる画像形成装置において画像形成が開始されると、感光体3aが図2における時計方向に回転駆動され、このとき帯電装置7によって感光体3の表面が所定の極性に一様に帯電される。次いで、その帯電面に、光走査装置8から画像情報に基づくレーザ光が照射され、これによって感光体3aに静電潜像が形成される。そして、感光体3aの表面に形成された静電潜像は、現像装置9によってイエロートナー像として可視像化され、そのイエロートナー像は転写装置10によって中間転写ベルト4上に転写される。
フルカラー画像形成時は上記した画像形成動作が残りの全ての感光体3b〜3dで同様に行われ、これによって各感光体3a〜3dにそれぞれ形成されたイエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像およびブラックトナー像が中間転写ベルト4上に順次重ねて転写される。また、画像形成装置には、中間転写ベルト4を挟んで、支持ローラ6に対向して2次転写ローラ12が配置されている。
一方、画像形成部2の下方に配置された給紙部20には、転写紙または樹脂フィルムなどから成るシートSを積載するシート収容部としての給紙トレイ21と、該給紙トレイ21に積載されたシートSを送り出す給紙コロ22と、重送されたシートを1枚に分離する分離手段としてのフリクションパッド23と、両面画像形成時に用いる再搬送路24等とが設けられている。
給紙部20から給送されたシートSは、レジストローラ13に向けて送り出され、その先端が停止しているレジストローラ13に一旦突き当てられる。これによってシートS先端の斜めずれなどが修正・整合された後、レジストローラ13は、上記中間転写ベルト4上に形成されたカラートナー像が2次転写ローラ12を設けた2次転写部でシートSの先端部と合致するような所定のタイミングで回転を再開し、2次転写部に向けてシートSを送り出す。
2次転写部で未定着のカラートナー像が転写されたシートSは、定着装置からなる定着部14に送られ、定着部14による加熱・加圧によって未定着のカラートナー像が定着された後、シート排紙部25を介して装置本体1の上面に設けられたシート積載部40に排出される。なお、カラートナー像転写後の中間転写ベルト4の表面に付着する転写残トナーは、ベルト用のクリーナー15によって除去される。
スキャナ30は、一般的な画像読み取り装置の場合と同様に、装置本体の上部に原稿をセットして、原稿の画像を走査する機構が配設されており、その原稿を押圧保持させるための原稿押え部材としてのプラテンカバー31が設けられている。プラテンカバー31は、スキャナ30の筐体に対してヒンジ38を中心として揺動・開閉可能に構成されている。プラテンカバー31は、自動原稿送り装置(ADF)32を具備しており、前記スキャナ30は、マニュアルでセットした原稿と自動原稿送り装置32により送られる原稿との双方の読み取りを行うことができる。また、スキャナ30は、下部に配置される装置本体1に対して後で詳述する支持部50を介して支持されている。
図1および図2において、符号16は、スキャナ30と画像形成部2との操作の制御を行うコントロールパネルであってこのコントロールパネル16を配した側が本画像形成装置の正面になっている。したがって、この画像形成装置ではシート排紙部25が装置本体1の正面である前面側に配置され、シート積載部40に排出されるシートが装置本体1の正面・手前側から奥・後側に向かって排紙される前面排紙型の装置構成となっている。
装置本体1の上部には、画像形成部2を覆う上カバー部材もしくはフレーム部材としての上カバー18が設けられ、この上カバー18の上面部分をシート積載部40のシート積載面41として用いている。上カバー18には、スキャナ30を支持する支持部50が設けられている。本実施形態の支持部50は、上カバー18の左右両側縁に沿って配置されており、換言すればシート積載部40とスキャナ30との間に空間を形成するように、かつ、シート積載部40におけるシート排出方向Xaの両外側にシート排出方向Xaに沿って配置され、スキャナ30をスライド(摺動)可能に支持するように配置されている。支持部50は、2つの第1の支持部51(以下、単に「支持部51」ともいう)と、第2の支持部52(以下、単に「支持部52」ともいう)とを有するが、上カバー18の後端側の辺には支持部を設けていない。この構成によって、上カバー18のシート積載面41の前後方向幅より長い長尺シートであってもその一部がシート積載面41を越えて後側へ垂らすことで支障なくその長尺シートをストックすることができる。さらに、シート積載部40の上方にスキャナ30があると、そのシート積載面41が暗くなることは避けられないが、後端側の支持部を設けないことで後側からの採光が得られるので、その問題を軽減できる。
また、上カバー18は、図1〜図3等に示すように、その下部に画像形成部(画像形成手段)2の一部である光走査装置8を支持しており、装置の後端側に設けたヒンジ17を中心に上方へ開放可能に構成されている。この上カバー18は、後述するロック手段としてのロックレバー60によって装置本体1にロックされ、このロックを解除すると揺動・開閉可能な状態になる。そして、図3に示すように、上カバー18を反時計方向へ揺動・開放すると、上部の支持部51,52を介してスキャナ30と下部の光走査装置8とが一緒に揺動上昇され、画像形成ユニットにアクセスすることが可能となり、メンテナンス等を容易に行うことができる。さらに、本実施形態では上カバー18を開放した部分から画像形成部2の感光体3a〜3d、これらの周囲にそれぞれ配置された帯電装置7、現像装置9およびクリーニング装置11が一体化された4つのプロセスカートリッジを交換等のため取り出し・装着可能である。
上記した上カバー18を揺動・開放するとき、シート積載面41の後端側が下となるように揺動上昇されるが、シート積載面41上にシートがストックされているときに誤って揺動・開放してしまうと、ストックしていたシートが装置の後側に落下するという問題が生じる。すなわち、ストックしたシートSを取り忘れて上カバー18を回動してしまうと、シート積載面41にストックしたシートSが装置本体1の裏側に落ちてしまうという問題が発生する。この問題は、支持部50を上カバー18の後端側にも設けることによって解決できるが、長尺シートの場合その後端支持部に当たりストックに支障がでてしまう。
そこで、本実施形態では、ロックレバー60のロックを解除して上カバー18を揺動・開放可能状態にする操作部61をシート積載面41上で、しかもストックされたシートSで隠れる位置に設けている。このロックレバー60には、一端側にユーザが操作する操作部61が、他端側に装置本体1に固着された突起64に係合するロック爪62がそれぞれ一体的に設けられている。ロックレバー60は、上カバー18に固着されたピン63を中心に回転可能に支持されており、またピン63の回りに装着された図示しないねじりコイルばねによって、ロック爪62が常に突起64に係合する向きの揺動付勢力が付与されている。ロックレバー60の操作部61は、シート積載面41と同一面上に沿うような面を備えた板材で形成されていて、シート積載面41にはその操作部61に手を掛けられるようにするための扇状の図1に示す凹部44が形成されている。
前記構成のとおり、上カバー18を開放するときには凹部44から手を差し込み、図示しないねじりコイルばねの前記付勢力に抗してロックレバー60の操作部61を上に持ち上げることにより、ロックレバー60がピン63を中心に時計方向に回転し、ロック爪62が突起64から外れる。そして、そのまま操作部61を持ち上げることで、上カバー18は自動原稿送り装置32の揺動・開放方向と同じ方向にヒンジ17を中心として揺動される。
このように、上カバー18を揺動・開閉可能にするロックレバー60の操作部61をシートSのストックされるシート積載面41に配置しているので、シート積載面41上にシートSがある状態で上カバー18を揺動・開放してしまうことが確実に防止される。
一部上述したように、シート載置部40の上方にスキャナ30を配置した画像形成装置では、スキャナ30のないものと比べてストックされたシートの視認性やシート取り出し性が悪化してしまうことが避けられない。そこで、本実施形態の画像形成装置では、悪化したシート視認性やシート取り出し性を改善させるべく、図1および図2に示すように、シート積載部40にアクセスするスキャナ30と装置本体1との間の空間が前面に向いて大きく開口され、その前面開口部42の幅は排出されるシート幅以上に大きく開口しているので、シート積載面41に排出されたシートの取り出し性がよい。加えて、2つの支持部51、52によって図2のシート排出方向Xaと平行な矢印B方向にスキャナ30をスライド可能に支持し、スキャナ30を奥側へスライド移動することでシート排紙部25とスキャナ30との間隔に形成された作業空間を広げられるように構成している。
さらに、前面開口部42からのシート視認性やシート取り出し性を良好にするため、スキャナ30の前面下の角に第1テーパ部37を形成しており、同様に、装置本体1のコントロールパネル16の上方にも第2テーパ部19を形成して前面開口部42の開口面積を広げている。特に、本実施形態における第2テーパ部19は開口部の外側に向かって開口面積が広がるようにテーパ形状を形成しており、排出されたシートの取り出しにおける開口部への手の挿入がし易くなっている。この構成は第1テーパ部37に設けてもよいし、テーパ形状でなくても前面開口部42の開口面積が広がる形状ならどのような形状でもよい。
排紙されたシートSの取り出し性について説明する。
図4および図5において、シート積載部40の上部右側部には、シート積載面41へのアクセスをし易すくするために、シート積載面41よりも低い切り欠き部43が形成され、右側部はシート排出方向Xaの上流に向かって上方へ傾斜する面を有している。これにより、手の大きなユーザの場合、前面開口部42のみならず、側面からの取り出しに対しても良好な取り出し性が確保できる。また、本実施形態では切り欠き部43を上部右側に形成しているが、切り欠き部43は上部左側に設けても同じ効果が得られることは言うまでもない。
また、スキャナ30の支持部50である左右の支持部材51、52(以下、本実施形態では一体形成されているため支持部「51,52」ともいう)は、図1、図4〜図6に明示するように、左右対称ではなく、正面から見て右側の支持部51は上記切り欠き部43に対応して奥行き方向の長さが左側の支持部52の奥行き方向の長さより短く構成されている。すなわち、右側の支持部51の奥行き方向の長さを図4および図6に示すようにL1とし、左側の支持部52の奥行き方向の長さを図1および図6に示すようにL2とすると、L1<L2に構成されている。これによって、切り欠き部43側からの排紙シートSの取り出し性も良好となり、さらに切り欠き部43側からの採光も取りやすく、排出シートの視認性も良好となる。この場合の支持部50の強度に関しては、自動原稿送り装置32の重量の大きい側を配置してある左側の支持部52が奥行き方向に対して支持幅を長くしてあるので問題はない。
シート積載面41のロックレバー60の操作部61近傍には、一部上述したように操作部61を握る易くするための凹部44が設けられており、該凹部44はその幅を広げることで排出されたシートをすくい取るための指入れスペースも兼ねた形状になっている。図1および図4の場合は、中央基準でシートが排出されることから、中央基準を境に左右対称となるように凹部44を形成しており、かつ、凹部44の両端は、本装置で取り扱うシートの所定幅より大きくなるように位置しているので、例えばはがきサイズの用紙をつまみ取ることができるような指入れスペースとなっている。
さらに、上記ロックレバー60についての説明を補足する。ロックレバー60の操作部61は、シート積載面41のシートを受けるように傾斜した傾斜面に設けられており、操作部61の上面がシート積載面41よりも上方へ突出しないように設けられている。この構成により排出されたシートの後端が傾斜面を滑り落ちる際に、ロックレバー60の操作部61に突き当てられ、シート位置がバラバラにスタックされることを防止できる。このような効果を得るためには、上記構成のほかには、シート後端が排紙トレイ面に着地する位置よりもシート排出方向下流側に位置するか、排紙口からシートが自重落下するような場合は、排出口側近傍にロックレバー60の操作部61を設けてもよい。
ロックレバー60の操作部61は、図1および図4から明らかなように排紙トレイでもあるシート積載面41の傾斜面に設けられていることから、装置正面からの視認性がよく、装置前方の前面開口部42からシートを取り出すと、ロックレバー60の操作部61を視認可能になる。さらに、操作部61は、スキャナ30の前端よりも前方に位置している。このことにより装置正面からの視認性がよく、装置前方の前面開口部42からシートを取り出すと、ロックレバー60の操作部61を視認可能になる。
画像形成部2のシート排出方向Xa(装置正面から奥側)とスキャナ30(自動原稿送り装置32)の副走査方向(原稿送り方向)とが直交するように、画像形成部2とスキャナ30(自動原稿送り装置32)とが配置されている。装置本体1の前面は、図2に示すように、スキャナ30および支持部50よりも前面に突出しており、該装置本体1の前面上部にコントロールパネル16を配置した構成にしている。これにより前面開口部42を十分確保することが可能となり、上方からの短いシートの排出やロックレバー60の操作部61の視認性や操作性が良くなる。
支持部50およびスキャナ30の内部構成に関して、シート取り出し性やスキャナ30を支持する強度や緩衝性の確保という点から、さらに詳細に説明する。図6〜図9において、自動原稿送り装置32を付設したスキャナ30は、スキャナ内部の光学移動モジュール130を正面から見て左側の支持部52に対向して配置され、自動原稿送り装置32も原稿搬送ターン部を装置正面から見て左側とし原稿載置トレイおよび原稿排出トレイが右開放となるよう配置している。
装置前面から見て右側の支持部51は、左側の支持部52より小さい。その理由としては、スキャナ30を構成する走査ユニットおよびキャリッジを具備してなる光学移動モジュール130が左側へ配置されていることにより、スキャナ30の荷重が左に大きく偏っていることに加えて、右側面からのユーザの排紙ハンドリングを考慮しているためである。すなわち、スキャナ30から受ける荷重が小さい装置前面から見て、右側の支持部51は小さく形成して支持部51の根元部を低く設けている。
かかる構成は、右利きのユーザを考慮したものであり、多くのユーザへの利便性を提供している。さらに、図8および図9に示すように、スキャナ30の駆動系として、駆動手段としての駆動モータ131、およびギヤ列等からなる駆動伝達系などを配置しているのも装置正面から見て左側に配置している。スキャナ30内には、一部上述したように、セットされた原稿を読み取る走査ユニット(図示せず)と、この走査ユニットを駆動する駆動モータ131が存在する。駆動モータ131は、タイミングベルト等を使って駆動を伝達し、走査ユニットを動かす。
図8および図9において、符号132は、スキャナ30の上部開閉カバーを、符号133は、スキャナ30の筐体としての下ケースを、一点鎖線で示す符号134は、駆動モータ131が配置された下突出部以外のスキャナ30の下ケース133の下部外形線を、それぞれ示している。
このように、スキャナ30における両図に示す左前端部の一部が、後述する開口59の上面より下方に突出している。そして、開口59の上面より下方に突出したスキャナ30の左前端部に駆動手段としての駆動モータ131が配置されていることとなる。
上述したように、自動原稿送り装置32を付設したスキャナ30は、装置正面から見て左右が均等でなく、支持部50としては左側の支持部52が右側の支持部51よりも大きな荷重に耐えられる強度の大きいものに設定し、バランスを図っている。このため、左側の支持部52は上記したように、奥行き方向の長さがL2>L1に設定されているだけでなく、幅も左側の支持部52の幅W2が右側の支持部51の幅W1より大きく(W2>W1)設定されている。
これにより、ユーザの排出されたシート取り出し性が格段に良くなる。このように構成される支持部50は、またシート載置部40にはシート取り出し性を考慮した溝46を設け、さらなるハンドリング向上を図っている。また、溝46の部分に突起などの排紙部カバーにリブなど設けることでさらなる向上も可能である。
装置本体1は、図10に示すように、フロントカバー27がヒンジ28を介して開閉可能に装着され、該フロントカバー27を開くことにより、内部の中間転写ベルト4のユニットや廃トナーボトル65および定着装置14に対する交換メンテナンスや、装置本体1内のシート搬送路内でのジャム紙の処理を行うことができる。
また、装置本体1は、図11に示すように、フロントカバー27に給紙トレイ21を挿入するための開口29を形成し、その開口29から給紙トレイ21を図の左右方向に(本体正面から)着脱できるように構成される。図11は給紙トレイ21、フリクションパッド23および再搬送路24ごと、装置本体1からP方向に取り出し、離脱している状態を表している。これらにより、メンテナンスや消耗品交換、ジャム処理等を装置本体1前面から行えるフルフロント操作が可能となり、背面から上記した作業を行うスペースを必要とせず、設置面積の低減を図れると共に使い勝手が良く、低コストな画像形成装置の提供が行える。
以下、スキャナ30と支持部50とのスライド機構、ロック機構について説明する。
上述したように図1および図2において、スキャナ30と装置本体1の間の排紙空間が前面に向いて大きく開口されているので、シート積載面41に排出されたシートの取り出し性および視認性に優れている。
しかし、装置の奥行き方向の大きさを小さくし、かつ高さを小さくしようとすると、前面開口部42の大きさも小さくなり、手を排紙空間に挿入しにくくなったり、また、シートがスキャナ30やシート排紙部25に当ったりしてシートの取り出し易さを犠牲にすることになる。例えば図2において、スキャナ30は画像形成部2および装置本体1の後部より後側に突出しているが、装置を小型化するために、スキャナ30と装置本体1の後部を合わせると前面開口部42が小さくなる。しかしながら、ユーザの設置環境によっては装置の大きさよりシートの取り出し易さの方が重要であったり、また取り出し易さについてもユーザによって感じ方が異なるので、前面開口部42の大きさを調整可能であることが望ましく、その移動位置も複数選択できれば様々なユーザに対して適した使用条件を提供できる。
次に図12〜図14を参照して、スキャナ30を装置本体1の前後方向、すなわちシート排出方向もしくはスライド方向Xa、Xbにスライド可能に支持する摺動支持部としてのスライド機構を備えた左右の支持部51,52周りについて、詳述する。
図13および図14に示すように、スキャナ30の左右両側には、摺接部としてのレール部33,34が一体形成されており、各レール部33,34には、摺接面としての下面33a,34aと、突起部33b,34bとが一体形成されている。そして、図において左側のレール部33には、シート排出方向Xaの前後に長く延びた溝33cが形成されている。
図12〜図14に示すように、スキャナ30は、各レール部33,34の下面33a,34aが各支持部51,52に形成された被摺接面としての上面51a,52aにスライド可能に支持されている。スキャナ30の水平方向ガタは、支持部52から上向きに突出した2つのピン55とスキャナ30のレール部33に形成された溝33cとの所定の隙間をもっての嵌合によって規制している。
支持部51,52には、図12〜図14に示すように、レール部33,34の両側方を挟むようにして支持部上面51a,52aより上方へ起立した起立部がシート積載部40側と装置本体外側とにそれぞれ設けられている。支持部51,52には、それぞれの外側(上記装置本体外側の起立部)に他方の起立部(シート積載部40側の起立部)に向けた突状の抜け防止部53,54と、上記した上面51a,52aとがそれぞれ一体形成されている。各支持部51,52に形成された抜け防止部53,54がスキャナ30のレール部33,34に形成されるとともに抜け防止部と装置本体上下方向に対してオーバーラップするように設けられた突状の突起部33b,34bと所定の隙間をもってそれぞれ嵌合することにより、スキャナ30の上方への抜けおよび浮き上がり・ガタを規制し防止している。図14には、装置前面から見て左側の支持部52とスキャナ30の左側のレール部33との嵌合・断面形状(シート幅方向と平行な切断面形状)を示したが、装置前面から見て右側の支持部51とスキャナ30の右側のレール部34との嵌合・断面形状も、左右勝手違いで左側とほぼ同様の嵌合・断面形状となっている。
なお、上記とは逆に、支持部51,52のそれぞれの内側(上記シート積載部40側の起立部)に他方の起立部(上記装置本体外側の起立部)に向けた突状の抜け防止部を形成するとともに、スキャナ30のレール部33,34に抜け防止部と装置本体上下方向に対してオーバーラップする突状の突起部を形成し、支持部51,52の各内側の抜け防止部とスキャナ30のレール部33,34の突起部とを所定の隙間をもって嵌合することにより、スキャナ30の上方への抜けおよび浮き上がり・ガタを規制し防止してもよい。
このように、本実施形態の例によれば、スキャナ30の筐体(ケース)にはレール部33,34が一体形成されており、各レール部33,34の下面33a,34aが各支持部51,52の上面51a,52aに対してスライドするため、部品を追加することなく安価なスライド機構を達成することができる。また、各レール部33,34の断面形状から十分な強度を、レール部33,34およびスキャナ30自体に付与することもできる。
抜け防止部53,54は、支持部50を構成する支持部51,52にそれぞれ一体形成されているので、スキャナ30の上方への抜け防止を部品を増やすことなく安価に行うことができる。
また、抜け防止部53,54は、支持部51,52の左右両側で負荷を受けるため強度を強くすることができるとともに、スキャナ30の左右どちらに力が加わった場合においても上方への浮き上がりを防止することができる。
上述した程の利点・効果を望まなくてもよいのであれば、上記と同様の抜け防止部53,54を画像読取部(スキャナ30)側に配設するとともに、支持部51,52側にスキャナ30のレール部33,34と同様の摺接面を上面に備えた摺接部を一体形成してもよい。
それぞれの支持部に対して抜け防止部を外側内側両側に設けてしまうと、レール部33,34の内部にその他の部品を配置するスペースが少なくなるか、支持部内部に配置された部品への作業性が悪くなってしまう。例えば、レール部33,34の内部には、スキャナ30の画像信号を装置本体1側のコントローラボード(電装基板:図示せず)に伝達するケーブル(信号線)や、上部構造体26を開いたときに自動原稿送り装置32およびプラテンカバー31が開かないようにするロック機構が配置されている。また、支持部51,52の内部に上カバーの開閉緩衝機構等の部品を配置している。そのため、極力スペースをとらない抜け防止部にすることが望ましい。
そこで、本実施形態の例によれば、抜け防止部53,54は、第1の支持部51および第2の支持部52のそれぞれの外側または内側の何れか一方に配設されているので、スペースをとらずに強度も確保した抜け防止部を達成することができる。
抜け防止部53,54は、支持部51,52の前方に設けられた抜け防止部53a,54aと、支持部51,52の後方に設けられた抜け防止部53b,54bとに分割して配置されている。これにより、スキャナ30の前方に力が加わった場合には前方の抜け防止部53a,54aで力を受け、スキャナ30の後方に力が加わった場合には後方の抜け防止部53b,54bで力を受けることができるため、上方への浮き上がりを確実に抑えることができる。また、分割して配置された抜け防止部の間のスペースに、他の部品を配置することができる。
本実施形態の例ではスペース上もしくは金型構成(例えば射出成形用のスライドコアなど)の都合で支持部の前方と後方で抜け防止部を分割しているが、支持部全域に抜け防止部を設けてもよい。また、抜け防止部53,54は、箱形状に形成して強度を強くし、さらにリブ等で補強している。これにより、抜け防止部53,54の強度を強くすることができ、ユーザによってスキャナ30に対して上方の力が加えられたときに、抜け防止部53,54に破損・変形等が全く発生しなくなる。
さらに、分割された抜け防止部53a,54a、53b,54bのスライド方向Xbのそれぞれの端部には、図15に示すように、テーパ53cが形成されており、スキャナ30をスライド方向Xbにスライドをしたときにレール部33,34の先端と引っかからないようになっている。図20に示すように、スキャナ30のレール部33,34の先端にもテーパ33dが形成されている。これにより、抜け防止部53a,54a、53b,54bの端部とスキャナのレール部33,34の先端とがすれ違うときに、両者の引っかかりによりスライドが妨げられるのを防止することができる。
図15に示すように、スキャナ30をスライド方向Xaの後方にスライドした場合でも、スキャナ30のスライド可能な範囲内において、スキャナ30のレール部33,34が支持部51前方の抜け防止部53a,54aおよび後方の抜け防止部53b,54bに係合するように抜け防止部53aの長さLを設定している。これにより、スキャナ30の位置が、スライド可能な範囲内のどの位置にあっても、レール部33,34が支持部51前方の抜け防止部53a,54aおよび後方の抜け防止部53b,54bに係合しているため、スキャナ30の上方への浮き上がりを確実に防止することができる。
スキャナ30を支持部51,52に組み付ける際には、図12〜図14および図16において、支持部51,52の後方に設けた入り口51b,52bからスキャナ30のレール部33,34を差し込みながら前方(スライド方向Xb)にスライドさせてセットする。右側の支持部51には、図12および図16に示すように、スキャナ30のスライドの最大ストロークと同じ長さの切り欠き溝51cが形成されており、スキャナ30を差込んだ後に、上部構造体26に含まれる上カバー18を開けて裏側から段ネジピン56を切り欠き溝51cに嵌合させながらスキャナ30のレール部34に螺合させて取り付ける。この段ネジピン56によって、スキャナ30が後方(スライド方向Xa)にスライドした際に抜け落ちないようになる。図16において、図16(a)は、スキャナ30が支持部51に対してスライドしていない初期状態を、図16(b)は、スキャナ30が支持部51に対してスライド方向Xaに最大ストローク分スライドした状態をそれぞれ表している。スキャナ30を支持部51,52から取り外し・離脱する際には、上述したと逆の操作順序、すなわち、始めに段ネジピン56を切り欠き溝51cから取り外すことで行われる。段ネジピン56は、これに限らず、リベットや段付きネジ等でもよい。
スキャナ30は、抜け防止部53,54による上方への抜け外れ(以下、単に「抜け」ともいう)防止が図られているとともに、支持部51,52に対してシート排出方向でもあるスライド方向Xaに着脱可能に、かつ、装置本体1の後方から着脱可能に構成されていて、段ネジピン56によってスキャナ30の着脱方向である後方からも抜け防止が図られている。
したがって、本実施形態の例によれば、ユーザによりスキャナ30に対して上方やスライド方向への力が加えられた場合にも、スキャナ30が支持部51,52から抜け外れることがなくなり、強度的に信頼性の高い画像形成装置を実現し提供することができる。また、スキャナ30がスライド方向Xaから容易に着脱可能であるため、スキャナ30の組付性もよい。
図3に示したように、安全性に配慮して、自動原稿送り装置32、プラテンカバー31を開いたときは上部構造体26が開かないようにするロック機構、上部構造体26を開いたときには自動原稿送り装置32およびプラテンカバー31が開かないようにするロック機構という、2つのロック機構が右側の支持部51後方に配置されている。反対側の右側の支持部52にはスキャナ30の画像信号を装置本体1側のコントローラボード(電装基板:図示せず)に伝達するケーブル(信号線)がスキャナ30のスライドに合わせて移動可能なように一定の弛みをもって配置されている。
また、右側の支持部52の後方、上述の2つのロック機構の横にも自動原稿送り装置32の駆動制御信号を伝達するケーブルが一定の弛みをもって配置されている。これは、スキャナ30の画像信号を送信するケーブルと自動原稿送り装置32の駆動制御信号とを左右の支持部51,52で分割することで、画像信号がノイズの影響を受けないようにするためである。そして本実施形態の例によれば、装置後方の支持部51,52からスキャナ30を着脱することができるため、スキャナ30をセットする時に両ケーブル挟む懸念等がなくなる。
上述したように、スキャナ30をスライド可能に構成した場合、複数箇所でスキャナ30が動かないようにロックする必要があり、このためスキャナ30のロック機構を設けている。
スキャナ30をスライド可能に支持する支持部50は、上述したとおり2つの支持部51,52を備えており、左の支持部52側にスキャナロック機構が設けられている。支持部52の側面には、図1および図12に示すように、操作ボタン70が設けられている。図12、図17および図19は、その操作ボタン70が設けられている支持部52の内部を示している。
図12、図17〜図19に示すように、操作ボタン70の軸部71には、図18および図19に示すねじりコイルばね72が取り付けられていて、操作ボタン70を装置外側に向かって常に突出するよう付勢している。操作ボタン70には、フック形状70aが一体的に形成されていて、ねじりコイルばね72によって付勢されている状態では、スキャナ30のレール部33に形成された切り欠き部35と係合してスキャナ30のスライドをロックしている。一方、ねじりコイルばね72の付勢力に抗して、支持部52の側面に露出している操作ボタン70を押すと、前記係合が解除されることにより、スキャナ30のスライドが可能になる。スキャナ30のレール部33の切り欠き35は複数(本例では3個)であり、それぞれの位置においてスキャナ30はロック可能である。
上述のようにスキャナ30の水平方向ガタは、支持部52から突出した図12に示す2つのピン55とスキャナ30に形成された図13に示す溝33cとの嵌合によって規制しているが、このようにスキャナ30の支持部52には様々な機能部材が配置されているため、2つのピン55の間の距離を大きくするには限度がある。また、製造コストを安くするために、ピン55はシート積載部40および支持部51,52と一体形成されたプラスチック部材で、溝33cはスキャナ30の筐体と一体形成されたプラスチック部材でできているため、その嵌合精度には限度があり金属に比べて変形しやすい。このため、スキャナ30のスライドをロックした状態でも、スキャナ30は支持部51,52に対して水平方向にガタがあり、左右のバランスが悪い。なお、前記各プラスチック部材としては、例えばポリカーボネート(PC)とポリスチレン(PS)との混合材等が挙げられ、使用する地域・国によって法規に適合するように難燃剤処理等が適宜施される。
本実施形態の例では、右側の支持部51にも、もう1つのスライドロック機構を設けることで、水平方向のガタを軽減している。このように、左右の支持部51,52に設けたロック機構は、後述するように、その距離を装置本体の大きさに対して十分長く取れるので、ガタの影響を最小限にすることができる。
右側の支持部51には、図20に示すように、円錐形状の頭部をもつ円筒形のロック部材80が圧縮スプリング81によって常に上向きに突出するよう付勢されていて、スキャナ30のレール部34に形成された溝36と係合している。圧縮スプリング81の一端(上端)は、ロック部材80の下端部のばね係止部に、他端(下端)は、支持部51のばね係止部51dにそれぞれ係止されている。左側の支持部52の操作ボタン70と円筒形のロック部材80とは、図19に示す可撓性のワイヤー82によって連結されている。図19に示すワイヤー82の右端部(支持部51側)は、同図において紙面の奥側から手前側の向きに90度(直角)に曲げられており、また図20では紙面の手前側から奥側の向きに90度に曲げられていて、ワイヤー82は同図において下から上向きに延びてフック係止部(図19では右端部)に連結されている。したがって、操作ボタン70の押圧操作によって2つのロック機構を連動して動作させることができる。また、ワイヤー82は、図19に示すように、支持部50およびそれと一体になったシート積載部40における上カバー18の裏面リブに設けられた溝(図示せず)および上カバー18の裏面に取り付けられたワイヤ押さえ部材57のガイド57a等によって弛まないように案内されている。左右のロックの連結にワイヤー82を用いることによって、複雑な経路でも簡単かつ部品点数も少なくロック機構を連動することが可能である。
本実施形態の例のようにシート積載部40を挟んで左右から突出した支持部51,52にロック機構が配置されている場合は、U字経路で動作を伝達する必要があるので有効である。
ねじりコイルばね72および圧縮スプリング81の各付勢力に抗して、操作ボタン70を押すと、ロック部材80がワイヤー82に引っ張られることにより、円筒形のロック部材80が下降し、スキャナ30の溝36との係合が解除される。このときロック部材80は図21(b)に示すように、完全に溝36から抜けないで、円錐形状の頭部はまだ溝36にかかった状態になっている。この状態でスキャナ30をスライドさせると、溝36がロック部材80をさらに下方に押し下げるのでクリック感が発生する。また、押し下げられたロック部材80が溝36に係合するときもクリック感が発生するので、ユーザに対してロック位置を感覚的に認知させることができる。
図3を参照して上述したようにスキャナ30とシート積載部40と上カバー18とで構成された上部構造体26は、装置後方の回転軸であるヒンジ17を中心にして前方が開口するように揺動・開放し、トナーカートリッジなどの消耗品や転写ベルトなどの定期交換部品が交換できるようになっている。図示する例の4連タンデムのカラー画像形成装置において、水平方向にプロセスカートリッジを並べて配置した場合などは、プロセスカートリッジを上方から着脱するために上部構造体26は90°前後揺動・開放させる必要がある。この状態でスライドロックの操作ボタン70を誤って押してロックを解除してしまうと、スキャナ30が自重で落下してしまう。これを防止するため、図12および図16に示した抜け止めが設けてあることにより、スキャナ30が装置本体1の支持部50から脱落・落下せずにスキャナ30を保持することができるが、スキャナ30がユーザに当って怪我をするなどの虞があるため、以下の方法で誤操作による落下を防止する必要がある。
すなわち、図19に示すように、操作ボタン70の近傍には、水平方向に回動自在に支持部52に取り付けられた振り子部材75がある。上カバー18とともに上部構造体26を開くと、振り子部材75はその自重によって回動し、操作ボタン70の移動経路上に移動するようになっている。したがって、上カバー18とともに上部構造体26を開いた状態では操作ボタン70は振り子部材75に当って、ロックを解除する位置まで移動することができないので、ユーザの誤操作によってスキャナ30が自重で落下することを防止することができる。
次に、図12、図17、図22〜図29を参照して、本発明の要部の構成に係る、スライド機構部の端部近傍に形成される開口およびこれを遮蔽する遮蔽部材周りを説明する。
上述したとおり、スキャナ30の上方への抜け止めは、図12〜図14等に示したようにスキャナ30の左右のレール部33,34と左右の支持部51,52における抜け防止部53,54との嵌合によって行っているが、支持部51,52の上部に配置されてスライドするスキャナ30は、ユーザが手を置くなどして上からの荷重がかかることが懸念されるため、支持部(以下、「台座」ともいう)51,52は前後方向に長くとる必要がある。特に右利きのユーザ側である支持部52前方は、できる限り前まで上面52aおよび抜け防止部54を作って支えてやるようにしている。
これにより、シートの視認性のためスキャナ30を後方へスライドすると、台座(支持部)52の前方上面側である上面52aおよび抜け防止部54aは露出してしまうこととなる。この上面がただの平面であれば問題はないが、摺動支持部(以下、「スライダ機構」ともいう)として抜け止めの嵌合形状を形成していると、その上面52aおよび抜け防止部54aが暴露してしまい、安全上問題となる。
台座(支持部)52の前方だけは抜け止めの嵌合形状を作らず、スキャナ30を載せるだけの平面とすることも考えられるが、そのとき、その平面は図14に示す上面52aとスキャナ30の下面33aとの摺接面(以下、「境界面」ともいう)以上とする必要がある。そうしなければ、スライド時に摺り動く摺接面が側面、もしくは前面に出てきてしまうためである。こういったスライド方向への隙間が外装として出てしまうと、スライド時に巻き込みが起こってしまうため、矢張り安全上問題となる。
ここで、スキャナ30の小型化を目指すことを考える。図7〜図9を参照して説明したとおり、スキャナ30内には、セットされた原稿を読み取る走査ユニット(図示せず)と、この走査ユニットを駆動する駆動モータ131とが存在し、駆動モータ131はタイミングベルト135等を介してその駆動力を伝達し、前記走査ユニットを動かす。
前記走査ユニットの厚みは、その移動部の範囲、つまり、スキャナ30内のほぼ全域において必要であるが、駆動モータ131は固定なので、駆動モータ131を設置する部分だけは高さが必要となる。よって、スキャナ30の一部を下方に突き出せばよいことになるが、その位置がシート積載面41の上方であると、排紙時に排出されるシートあるいは積載されたシートに引っ掛かったり、シート積載面41との距離の低下によってシートスタック容量の低下につながってしまう。この問題は、シートの排出範囲(通紙範囲)外にある台座(支持部)52内を突き出すこととすることで解決できる。
上述のようにスキャナ30の小型化を考えたとき、スキャナ30の一部が下方に突き出している。前記境界面を維持したままで、台座(支持部)52内にこの突き出しを内包しようとした場合、境界を維持する外装と、内部の突き出し収容部のための空洞とで、図12および図17等に示す開口・段差59(以下、単に「開口59」という)ができてしまう。開口59は、本実施形態例ではスライド方向(シート排出方向)Xbにおける摺動支持部(スライド機構)の上面52aと抜け防止部54aとの前端部近傍に形成される。さらに具体的には、開口59は、前端部近傍の支持部52におけるスライド方向Xa,Xbに沿って形成された左右一対の側壁52c,52dと、前端部近傍の支持部52におけるシート幅方向Yに沿って形成された前面壁52eとの3つの壁面に囲まれて形成される。このように支持部52の前端部近傍を、一対の側壁52c,52dと前面壁52eとで連続して一体形成したのは、支持部52の強度アップ、取り分け抜け防止部54aの強度アップの必要からである。
この開口59は、スキャナ30を前方にスライドさせた際に、スキャナ30の前面壁との間で指を挟み込む虞が高くなり、安全上重大問題となってしまう。それ故に、ユーザがスライド機構部にはアクセスできないよう、スキャナ30のスライドに連動して開口59を選択的に遮蔽する部材および機構が必要となる。
図22〜図29に、スキャナ30のスライドと連動して、左右一対の側壁52c,52dと前面壁52eとの3つの壁面に囲まれて前端部近傍の支持部52に形成された開口59を塞ぐ第1の位置(以下、「遮蔽位置」ともいう)と、第1の位置(遮蔽位置)から退避した第2の位置(以下、「待機位置」ともいう)との間で変位可能な変位部材としての遮蔽部材90を示す。
遮蔽部材90は、主として揺動変位する中心となる軸部91a,91bと、図23〜図26等に示す弾性部材としてのトーションばね98を保持する第1保持部93aと、第2保持部93bと、自身の揺動変位を規制する揺動規制部94a,94b,94cと、トーションばね巻き付け部95と、ストッパ部96と、開口59を遮蔽するための遮蔽面92,97とを備えており、これらが上述した材質と同様のプラスチックで一体的に形成されている。
遮蔽部材90の軸部91a,91bの間には、図23〜図26等に示すトーションばね98を巻着するトーションばね巻き付け部95が形成されている。遮蔽部材90を支持部52の前端部へ組み付ける際に、トーションばね98の一端側は、遮蔽部材90の第1保持部93aとカギ形状になっている第2保持部93bとにより挟み込まれるように保持・係止されて、抜け止めがされるとともに、トーションばね98の他端側は、図25に一点鎖線で示す支持部52の底壁に形成されたばね係止部58aに係止されることにより、トーションばね98のネジリモーメントを遮蔽部材90に伝達するようになっている。
軸部91a,91bには、その直径より小さな幅に形成された小判形のカット部が設けられており、支持部52側に一体形成された軸受部58b,58cの一部が前記小判部の幅より僅かに大きな開放部を装置上向きに形成している。これにより、遮蔽部材90の軸部91a,91bを対向する軸受部58b,58cに対して円周方向から簡単に挿入するができる。このとき、トーションばね98の他端側98bが支持部52の底壁に形成されたばね係止部58aに当接して係止される。
遮蔽部材90は、軸受部58b,58cへの挿入後に、軸部91a,91bを揺動中心として装置前方方向へと揺動させて行き使用範囲へと揺動変位させるが、このとき、トーションばね98の弾性力・付勢力によって、遮蔽部材90には遮蔽位置(第1の位置)を常に占める向きの力が働いている。ここで、遮蔽部材90が組付け開始位置まで戻り、軸部91a,91bに形成された小判形のカット部が軸受部58b,58cから抜けてしまわないようにするために、ストッパ部96を設けている。ストッパ部96は、回転軸線方向に撓む構成となっており、遮蔽部材90を軸部91a,91bを揺動中心として揺動変位させていくと、支持部52に設けられた揺動規制係合部58dと当接してたわみ、揺動規制係合部58dを乗り越えたところで戻ってこなくなる。これにより、軸部91a,91bにおける小判形のカット部が、軸受部58b,58cの開放部に戻ってくることがなく、遮蔽部材90が軸受部58b,58cから外れて開口59から離脱することがない。この時、遮蔽部材90の待機角度は、実使用角度以上、かつ、取付け角度以下となっていることが使用に不具合のない条件となる。
また、遮蔽部材90には、開口59を選択的に遮蔽するための遮蔽面92,97と、その揺動を規制する揺動規制部94a,94b,94cを有するが、詳細は下記動作説明にて行う。
スキャナ30のスライドに伴う遮蔽部材90の動作は、以下のようである。スキャナ30の駆動モータ131の真下近傍に位置する底壁には、下方に突出した板状の係合部39が一体的に形成されている。係合部39は、一種のカムであり、スキャナ30のスライド範囲内において、遮蔽部材90の揺動規制部94a,94cとそれぞれ選択的に摺接・係合する輪郭形状に設定されている。
遮蔽部材90には、対向部材、つまりスキャナ30に設けられた係合部39と突き当たり、自身の揺動変位を規制する揺動規制面94aが形成されている。スキャナ30は、上述したとおり装置後方側からスライド方向Xbにスライドして組みつけられるようになっており、スキャナ30をトーションばね98の付勢力に抗してスライド方向Xbにスライドさせていくと、図27(b)および図28(a)に示す状態となるスライドの途中において、スキャナ30の係合部39の前端側が遮蔽部材90の揺動規制部94aに当接し、これにより軸部91a,91bを中心として遮蔽部材90を時計方向に揺動変位させていく。そして、スキャナ30の係合部39の先端部(前端部)が遮蔽部材90の揺動規制部94aに当接した後は、スキャナ30の係合部39の後端が遮蔽部材90の揺動規制部94aと接触しながら、遮蔽部材90を時計方向に揺動変位させていく。スキャナ30が支持部52の最前端面までスライドしたときには、スキャナ30の係合部39の後端部が遮蔽部材90の揺動規制部94aと係合・押圧することとなり、遮蔽部材90は図8、図27(b)および図28(a)に示すように待機位置を占めることとなる。
このとき、スキャナ30の背面は、画像形成部2の背面と同等となり、マシンサイズは最小となる。このように遮蔽部材90が待機位置を占めた状態で梱包を行うと、凹凸が少ないため、梱包材を大量に使うことなく、また梱包体積も小さいため、トラックで一度に輸送できる量も増えることから、環境にも優しいといえる。スキャナ30は挿入方向・着脱方向に抜けないように、段ネジピン56(図16参照)にて取り付けられるため、スキャナ30が支持部51,52から抜けることはない。
次に、スキャナ30が後方にスライドした位置になったときの動作を説明する。排紙の取り出し性を上げるため、スキャナ30をスライド方向Xaへスライドさせると、スキャナ30が最後端に位置することとなる図28(b)に示す位置にスライド・移動し、遮蔽部材90は図中の遮蔽位置に揺動変位する。このとき、図28(b)および図29に拡大して示すように、スキャナ30の係合部39における図において後端の下部突出面と遮蔽部材90の揺動規制部94cとのみ係合・摺接するように各輪郭形状が設定されていて、係合部39における図において右側の前端突出面と遮蔽部材90の揺動規制部94aとは非接触状態となっている。またこの際、外装として現れるのは同図および図22等に示した遮蔽面92のみであり、開口59は遮蔽面92によってほぼ完全に塞がれる。
換言すれば、遮蔽部材90は、その揺動変位方向に対して垂直な面である遮蔽面97を備えているが、その遮蔽面97を開口59に露出しないように構成されていると言える。これにより、ユーザが遮蔽面97に触れて揺動変位方向に押し込まれる虞がないため、遮蔽部材90による遮蔽効果を維持することができるとともに遮蔽部材90の破損を防ぐことができる。
すなわち、遮蔽部材90における開口59を塞ぐ遮蔽面92の形状が、揺動の中心軸と同一軸である軸部91a,91bをもつ円筒面を主とする面となっている。これにより、遮蔽部材90を収容している、支持部52の前端部近傍に形成される開口59との隙間を大きく開けることなく、また、揺動途中も隙間が大きくならない。遮蔽面92は、クリップなどの落ち込みを防止するためにも、各スライド位置にて、開口59との隙間を1mm以下に保った円周の連続からなる曲面にて構成することが望ましい。
なお、遮蔽面92の形状は、円筒面に限らず、揺動の中心軸と同一軸である軸部91a,91bをもつ球面で形成するようにしてもよい。
また、遮蔽面97は、スキャナ30の前面壁と同形状をしており、後方のスライド方向Xaにスライドした位置では、トーションばね98の付勢力により軸部91a,91bを中心として反時計方向に揺動・押し上げられ、スキャナ30の前面壁に突き当たる。これにより、支持部52の前端部近傍における一対の側壁52c,52dと前面壁52eと開口59との隙間は極小なものになり、ユーザが指などを挟み込む虞が完全になくなり、安全性の確保とともにクリップの落ち込みなども防止することができる。
トーションばね98の押し上げ・付勢力のみにて遮蔽部材90の遮蔽面92が揺動・上昇されている場合では、ユーザが遮蔽部材90を押し込むことで中に指が入ってしまったり、隙間ができて機器内への物の落ち込みがありえてしまう。そこで、本実施形態では図22および図28(b)に示す揺動規制部94cがスキャナ30の係合部39の後端面に突き当たることによって、ユーザによって遮蔽面92が押されてしまっても開口されない構成としている。この際、揺動規制部94cは、遮蔽部材90が遮蔽位置を占めたとき、遮蔽面92が押されても自身を変位させない押込み防止部として機能する。押込み防止部としての揺動規制部94cは、スキャナ30に設けられた係合部39と選択的に係合することによって自身の揺動変位を規制される変位規制部も兼ねているとも言える。
ここでは、遮蔽部材90における遮蔽面92,97の形状を詳細に記載したが、形状はこれに限定されるものではない。例えば、強度的に許容されるレベルであれば、支持部52の前面壁52eを除去して、これに相当する形状を遮蔽部材側に形成してもよい。上記構成では、スライド固定位置が決まっている場合の使用に適しているが、例えばスライド面と同面となる平面形状でも同様の効果は得られ、スライド位置によらず開口を遮蔽することができる。
また、スライド構成の上下ガタツキが少なければ、スキャナ30の係合部39と、遮蔽部材90の揺動規制部94cの精度を向上することで、トーションばね98はなくても、図28(b)の遮蔽位置にて隙間を抑えて保持可能である。
以上説明したとおり、本実施形態によれば、以下の諸利点・効果を奏する。
第1に、スキャナ30を装置本体1の前後方向にスライド可能に支持する摺動支持部(スライド機構部)を備え、スライド方向Xa,Xbにおける支持部52の前端部近傍に開口59を形成する胴内排紙型の画像形成装置において、遮蔽部材90がスキャナ30のスライドと連動して遮蔽位置(第1の位置)を占めたとき、開口59を塞ぐことにより、スライドしているスキャナ30と開口59との間に指を挟む虞などや、物体が開口59に落ち込むことなどによって機器・装置を使用不能にしてしまうことのない、安全に対して十分配慮された信頼性の高い画像形成装置を実現し提供することができる。
第2に、画像形成されたシートを装置本体1の手前(前方)から奥側(後方)に排出する胴内排紙型の画像形成装置において、前記効果に加えて、上述のレイアウト構成によって排紙の視認性を向上させることができる。
第3に、遮蔽部材90は、スキャナ30に設けられた係合部39と選択的に係合することによって揺動変位を規制されることにより、スムーズに移動することができることで、外装のこすれなどが起こらないようにできた。
第4に、遮蔽部材90は、その揺動変位方向に対して垂直な遮蔽面97を備えており、該垂直な遮蔽面97を開口59に露出しないことにより、揺動変位方向に押し込まれ、開口してしまうことを防げるため、さらに安全性を高めることができる。
第5に、遮蔽部材90は、画像形成部2側に揺動変位可能に支持されていることにより、揺動変位方向に対し略垂直へ移動させたい部材を、スムーズに揺動変位させることができる。
第6に、遮蔽部材90における開口59を塞ぐ遮蔽面92の形状が、揺動の中心軸とほぼ同一の軸をもつ球面または円筒面であることにより、第4および第5と同様の効果を得られ、かつ、変位中も変位後も揺動面に隙間をできにくくし、クリップ落ち込みなどを防止することができる。
第7に、遮蔽部材90は、遮蔽位置(第1の位置)を占めたとき、遮蔽面92が押されても自身を変位させない揺動規制部94c(押込み防止部)を備えていることにより、揺動変位方向に押し込まれ、開口してしまうことを確実に防げるため、さらに安全性を高めることができる。
第8に、揺動規制部94c(押込み防止部)は、スキャナ30に設けられた形状によって揺動変位を規制される揺動規制部も兼ねていることにより、構造を簡易化し、低コスト、小型の画像形成装置を提供することができる。
第9に、遮蔽部材90を、遮蔽位置(第1の位置)に変位する向きに弾性力によって付勢するトーションばね98(弾性部材)を有することにより、遮蔽部材90を確実に開口59を遮蔽する位置にもっていくことができる。
第10に、スキャナ30の一部が、開口59上面より下方に突出していることにより、より小型な機器・装置を実現し提供することができる。
また、上部ユニットがスキャナ30を含むことで、安全性の高いスキャナ付き複合機を実現し提供することができる。
また上部ユニットが自動原稿送り装置32を含むことで、安全性の高い自動原稿送り装置付き複合機を実現し提供することができる。
また、画像形成部2は、ベース筐体と上部カバー18とからなり、上部ユニットが取り付くのは上部カバー18であることにより、スライド位置によらず上部カバーを開閉でき、消耗品交換やジャム処理のしやすい機器を実現し提供することができる。
また、上部カバー18は、シート積載面41を有することにより、設置面積の小さい小型の画像形成装置を実現し提供することができる。
本発明は、上述した実施形態の画像形成装置に限らず、胴内排紙型の画像形成装置であればよく、例えば、モノクロの複写機や、モノクロのレーザプリンタやインクジェットプリンタ、あるいは転写体でシートを搬送しながら順次転写して重ね合わせる直接転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置においても同様に適用し実施することができる。無論、無端ベルト状の感光体が単一の画像形成装置においても同様に適用し実施することができる。また、排紙方向が前から後ろの画像形成装置に限らず、後ろから前方向への排紙、または左右方向へ排紙する画像形成装置であっても有効である。また、上部ユニットしてスキャナの代わりに、テーブル状の板状部材(例えば天板)を設けるか、該天板の上にスキャナを載置する構成においても有効である。特に小型かつ軽量化された胴内排紙型の画像形成装置において、上述したような顕著な効果を奏するものである。
以上、本発明を特定の実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術内容は、上述した実施形態等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
本発明の一実施形態を示す画像形成装置を左斜め上方から見た外観斜視図である。 図1の画像形成装置の装置本体側の内部構成例を示す概略的な縦断面図である。 図1の画像形成装置の上カバーを含む上部構造体を開放した状態を示す外観斜視図である。 図1の画像形成装置を右斜め上方から見た外観斜視図である。 図1の画像形成装置を右横から見た外観斜視図である。 図1の画像形成装置における左右の支持部を示す簡略的な平面図である。 図1の画像形成装置のスキャナの内部構成を示す斜視図である。 スキャナが支持部の最前端に位置したときのスキャナの係合部と遮蔽部材の揺動規制部との係合状態を示す要部の断面図である。 スキャナが支持部の最前端に位置したときのスキャナ内の駆動モータの配置状態を示す要部の平面図である。 装置本体からフロントカバーを開閉可能に構成した例を示す簡略的な正面図である。 装置本体からフロントカバーを着脱可能に構成した例を示す簡略的な正面図である。 左右の支持部、抜け防止部周りの外観斜視図である。 スキャナを前面側から見た正面図である。 スキャナのレール部と左側の抜け防止部とのスライド嵌合状態を示す要部の断面図である。 右側の支持部における抜け防止部の断面図である。 (a)は、スキャナが支持部に対してスライドしていない初期状態を、(b)は、スキャナが支持部に対してスライド方向に最大ストローク分スライドした状態をそれぞれ表す断面図であって、スキャナの着脱方向の抜け防止部を説明する断面図である。 一方の支持部のスキャナロック機構を示す斜視図である。 図17のロック機構の主要部を示す斜視図である。 左右の支持部のロック連動機構を一部破断して示す平面図である。 他方の支持部のスキャナロック機構を示す要部の断面図である。 (a),(b),(c)は、ロック部材と溝との係合・推移状態を示す断面図である。 遮蔽部材の外観形状を示す斜視図である。 遮蔽部材を左の支持部の左の軸受部に取り付ける状態を説明する簡略的な分解斜視図である。 遮蔽部材を左の支持部の右の軸受部に取り付ける状態を説明する簡略的な分解斜視図である。 遮蔽部材を左の支持部の左右の軸受部に取り付ける状態を説明する簡略的な分解斜視図である。 遮蔽部材を左の支持部に取り付けた状態を説明する平面図である。 (a)は、スキャナが最後方にスライドしたときの、(b)は、スキャナが最前方にスライドしたときの支持部の前端部近傍と遮蔽部材の揺動変位状態を説明する正面図である。 (a)は、スキャナが最前方にスライドしたときの、(b)は、スキャナが最後方にスライドしたときの、スキャナの係合部と遮蔽部材の揺動規制部との係合状態を説明する要部の断面図である。 図28(b)におけるC部の拡大断面図である。
符号の説明
1 装置本体
2 画像形成部
18 上カバー(上カバー部材)
25 シート排紙部(シート排出部)
30 画像読取部、スキャナ(上部ユニット)
33,34 レール部(摺接部)
33a,34a 下面(摺接面)
39 係合部
40 シート積載部
50 支持部
51 第1の支持部
52 第2の支持部
53、54 抜け防止部(摺動支持部)
53a,54a 前方の抜け防止部(摺動支持部)
53b、54b 後方の抜け防止部(摺動支持部)
59 開口
70 操作ボタン
80 ロック部材
82 ワイヤー
90 遮蔽部材(変位部材)
94c 揺動規制部(押込み防止部)
92 遮蔽面
98 トーションばね(弾性部材・付勢部材)
131 駆動モータ(駆動手段)
S シート(シート状記録媒体)
Xa シート排出方向(排紙方向)、スライド方向
Y シート幅方向

Claims (8)

  1. シートに画像を形成する画像形成部と、
    前記画像形成部の上方に空間を隔てて配置された上部ユニットと、
    前記画像形成部と前記上部ユニットとの間に前記空間を形成するように配置され、前記上部ユニットを装置本体の前後方向に摺動可能に支持する摺動支持部を備え、前記前後方向における前記摺動支持部の端部近傍に開口を形成する支持部と、
    前記上部ユニットの摺動と連動して、前記開口を塞ぐ第1の位置と、第1の位置から退避した第2の位置との間で変位可能な変位部材と、
    を有し、
    前記変位部材は、前記画像形成部側に揺動変位可能に支持されており、
    前記変位部材における前記開口を塞ぐ遮蔽面の形状が、揺動の中心軸とほぼ同一の軸をもつ球面または円筒面であり、
    前記変位部材は、第1の位置を占めたとき、前記遮蔽面が押されても自身を変位させない押込み防止部を備えていることを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1記載の画像形成装置において、
    前記画像形成部にて画像形成されたシートを前記装置本体の手前から奥側に排出するシート排出部と、
    前記画像形成部の上部に配置され、前記シート排出部からシート排出方向に排出されるシートを積載するシート積載部とを有し、
    前記支持部は、前記シート積載部における前記シート排出方向の両外側に該シート排出方向に沿って配置されており、
    前記開口は、少なくとも一方の前記支持部における前記摺動支持部の前端部近傍に形成されることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項2記載の画像形成装置において、
    前記開口は、前記前端部近傍の前記支持部における前記シート排出方向に沿って形成された一対の側壁と、前記前端部近傍の前記支持部における前記シート排出方向と直交するシート幅方向に沿って形成された前面壁との3つの壁面に囲まれて形成されることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1ないし3の何れか一つに記載の画像形成装置において、
    前記変位部材は、前記上部ユニットに設けられた係合部と選択的に係合することによって前記変位を規制されることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、
    前記変位部材は、その変位方向に対して垂直な面を備えており、該垂直な面を前記開口に露出しないことを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1ないし5の何れか一つに記載の画像形成装置において、
    前記変位部材を、第1の位置に変位する向きに弾性力によって付勢する弾性部材を有することを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1ないし6の何れか一つに記載の画像形成装置において、
    前記上部ユニットの一部が、前記開口上面より下方に突出していることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項7記載の画像形成装置において、
    前記上部ユニットは、駆動手段を備えた画像読取装置からなり、
    前記開口上面より下方に突出した前記上部ユニットの一部に、前記駆動手段が配置されていることを特徴とする画像形成装置。
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