以下、本発明の実施の形態を図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観斜視図、図2はその画像形成装置の内部構成の一例を示す概略的な縦断面図である。
図1および図2に示した画像形成装置は、装置本体1のほぼ中央に配置され、シートに画像を形成する画像記録部2と、この画像記録部2の下方に配置され、画像記録部2にシートSを給送する給紙部20と、画像記録部2の上方に空間を隔てて配置された上部ユニットとしての後述の画像読み取り手段等を備えた画像読み取り部(以下、「スキャナ」ともいう)100と、画像記録部2にて画像形成されたシートを装置本体1の手前(両図の右側・前方)から奥側(両図の左側・後方)に排出するシート排出部としてのシート排紙部25と、画像記録部2の上部に配置され、シート排紙部25からシート排出方向(排紙方向)Xaに排出されるシートを積載するシート積載部40と、スキャナ100を装置本体1の前後方向(シート排出方向Xaおよびこれと反対の方向Xb)にスライド可能に支持する支持部51,52とを有する。
本実施形態の画像形成装置は、スキャナ付きのタンデムタイプのカラー画像形成装置であって、またシート積載部40とスキャナ100との間にシート排出のための所定の空間が形成される胴内排紙型の画像形成装置でもある。
図1等において、Yは、シート排出方向Xaと直交するシート幅方向を示しており、シート排出方向Xaは、スキャナ100のスライド方向でもあり、Xbは、スライド方向Xaと反対方向のスライド方向である。
画像記録部2には、図2に示すように、像担持体として構成された複数のドラム状の感光体3a,3b,3c,3dを有し、その各感光体3a〜3dには、互いに異なった色のトナー像がそれぞれ形成される。図示した例では、感光体3a〜3dの表面に、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像およびブラックトナー像がそれぞれ形成される。各感光体3a〜3dは、所定の間隔をあけて互いに平行に配置され、これらの感光体3a〜3dの下部に対向して中間転写体として構成された中間転写ベルト4が配置されている。この中間転写体としては、ドラムを用いることもできるが、図示した例では複数の支持ローラ5,6に巻き掛けられて矢印方向(図2中反時計方向)に駆動される無端ベルトからなる中間転写ベルト4が用いられている。
各感光体3a〜3dの周囲の構成は、同様であるため、図2において一番右側に配置されたイエロートナー像が形成される感光体3aを代表して説明する。すなわち、感光体3aには、感光体3aの表面に一様な帯電処理を行う帯電装置7と、画像情報を感光体3aの表面にレーザ光で照射する光走査装置(LSU)8で構成される露光装置と、露光により感光体3aの表面に形成された静電潜像を可視像化する現像装置9と、中間転写ベルト4を介して感光体3aと対向配置された転写装置10と、中間転写ベルト4に転写後の感光体3aの表面に残留するトナーを除去回収するクリーニング装置11とがこの順に設けられている。
かかる画像形成装置において画像形成が開始されると、感光体3aが図2における時計方向に回転駆動され、このとき帯電装置7によって感光体3の表面が所定の極性に一様に帯電される。次いで、その帯電面に、光走査装置8から画像情報に基づくレーザ光が照射され、これによって感光体3aに静電潜像が形成される。そして、感光体3aの表面に形成された静電潜像は、現像装置9によってイエロートナー像として可視像化され、そのイエロートナー像は転写装置10によって中間転写ベルト4上に転写される。
フルカラー画像形成時は上記した画像形成動作が残りの全ての感光体3b〜3dで同様に行われ、これによって各感光体3a〜3dにそれぞれ形成されたイエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像およびブラックトナー像が中間転写ベルト4上に順次重ねて転写される。また、画像形成装置には、中間転写ベルト4を挟んで、支持ローラ6に対向して2次転写ローラ12が配置されている。
一方、画像記録部2の下方に配置された給紙部20には、転写紙または樹脂フィルムなどから成るシートSを積載するシート収容部としての給紙トレイ21と、該給紙トレイ21に積載されたシートSを送り出す給紙コロ22と、重送されたシートを1枚に分離する分離手段としてのフリクションパッド23と、両面画像形成時に用いる再搬送路24等とが設けられている。
給紙部20から給送されたシートSは、レジストローラ13に向けて送り出され、その先端が停止しているレジストローラ13に一旦突き当てられる。これによってシートS先端の斜めずれなどが修正・整合された後、レジストローラ13は、上記中間転写ベルト4上に形成されたカラートナー像が2次転写ローラ12を設けた2次転写部でシートSの先端部と合致するような所定のタイミングで回転を再開し、2次転写部に向けてシートSを送り出す。
2次転写部で未定着のカラートナー像が転写されたシートSは、定着装置からなる定着部14に送られ、定着部14による加熱・加圧によって未定着のカラートナー像が定着された後、シート排紙部25を介して装置本体1の上面に設けられたシート積載部40に排出される。なお、カラートナー像転写後の中間転写ベルト4の表面に付着する転写残トナーは、ベルト用のクリーナー15によって除去される。
スキャナ100は、一般的な画像読み取り装置の場合と同様に、装置本体の上部に原稿をセットして、原稿の画像を走査する機構が配設されており、その原稿を押圧保持させるための原稿押え部材としてのプラテンカバー110が設けられている。プラテンカバー110は、スキャナ100の筐体に対してヒンジ111を中心として回動・開閉可能に構成されている。プラテンカバー110は、自動原稿送り装置(ADF)120が一体的に設けられており、前記スキャナ100は、マニュアルでセットした原稿と自動原稿送り装置120により送られる原稿との双方の読み取りを行うことができる。また、スキャナ100は、下部に配置される装置本体1に対して後で詳述する支持部51,52を介して支持されている。
図1および図2において、符号16は、スキャナ100と画像記録部2との操作の制御を行うコントロールパネルであってこのコントロールパネル16を配した側が本画像形成装置の正面になっている。したがって、この画像形成装置ではシート排紙部25が装置本体1の前面側に配置され、シート積載部40に排出されるシートが装置本体1の手前側から後側に向かって排紙される前面排紙型の装置構成となっている。
装置本体1の上部には、画像記録部2を覆う上カバー部材もしくはフレーム部材としての上カバー18が設けられ、この上カバー18の上面部分をシート積載部40のシート積載面41として用いている。上カバー18には、スキャナ100を支持する支持部51,52が設けられている。本実施形態の支持部51,52は、上カバー18の左右両側縁に沿って配置されており、上カバー18上にシート積載部40を確保するとともに、そのシート載置部とスキャナ100との間に空間を形成している。なお、支持部51,52はシート積載部40の左右両側だけで上カバー18の後端側の辺には支持部を設けていない。この構成によって、上カバー18のシート積載面41の前後方向幅より長い長尺シートであってもその一部がシート積載面41を越えて後側へ垂らすことで支障なくその長尺シートをストックすることができる。さらに、シート積載部40の上方にスキャナ100があると、そのシート積載面41が暗くなることは避けられないが、後端側の支持部を設けないことで後側からの採光が得られるので、その問題を軽減できる。
また、上カバー18は、図2及び図3に示すように、その下部に画像記録部2の一部である光走査装置8を支持しており、装置の後端側に設けた回動支点17を中心に上方へ開放可能に構成されている。この上カバー18は、後述するカバーロック手段60によって装置本体1にロックされ、このロックを解除すると回動・開閉可能な状態になる。そして、図3に示すように、上カバー18は回動支点17を中心に反時計方向へ回動して開放すると、上部の支持部51,52を介してスキャナ100と下部の光走査装置8とが一緒に回動され、画像記録部2へのアクセスが可能となり、メンテナンス等を容易に行うことができる。
なお、本実施形態では各感光体3において、これらの周囲にそれぞれ配置された帯電装置7、現像装置9およびクリーニング装置11が一体化されたプロセスカートリッジとして構成されており、このように構成される4つのプロセスカートリッジは上カバー18を開放した部分から交換等のため取り出し・装着可能である。
次に、図4を用いて上記スキャナ100について説明する。
図4において、スキャナ100の上面にはスリットガラス(第1読み取り位置)101とコンタクトガラス(第2読み取り位置)102が設けられている。このスリットガラス101とコンタクトガラス102の下方には画像読み取り手段としての露光ランプ103と第1ミラー104等が図9に示す光学移動モジュール130に搭載されて設けられており、この露光ランプ103と第1ミラー104は、コンタクトガラス102に載置された原稿を読み取る際、コンタクトガラス102の下方で図4中、左右方向に移動し(第1読み取りモード)、また、スリットガラス101上で原稿を読み取る際には、スリットガラス101の下方で停止し、露光ランプ103によって原稿面を読み取った後(第2読み取りモード)、この反射光を公知のように第1ミラー104および図示しないレンズを介してCCD等の結像素子に結像するようになっている。
また、スキャナ100上部のプラテンカバー110にはその下面にコンタクトガラス102に載置された原稿を当該コンタクトガラス102に押圧するとともに原稿の読み取り時の白基準となる反射板112が設けられている。そして、プラテンカバー110は、図4に示すようにヒンジ111を介してスキャナ100に連結されており、スキャナ100に対して開閉自在となっている。
また、プラテンカバー110上の自動原稿送り装置120にはその上部に原稿載置台121が設けられており、この原稿載置台121には複数の原稿からなる原稿束Oが載置されるようになっている。この原稿載置台121に載置された原稿束Oはこの原稿束Oに当接・離隔可能な呼出しコロ122によって給紙された後、分離ベルト123および分離阻止コロ124によって分離されるようになっており、分離ベルト123は分離阻止コロ124に任意の角度θで加圧・接触している。
また、分離ベルト123は駆動コロ125と従動コロ126に橋架されている。また、従動コロ126はスプリング127によって付勢されており、このスプリング127によって分離ベルト123には一定の張力が付与されている。また、駆動コロ125と軸の125aの間にはワンウェイクラッチ128が設けられており、駆動コロ125はこのクラッチ128によって図4中、時計方向に回転駆動する。また、分離阻止コロ124は図4中、時計方向に回転するようになっており、分離ベルト123と分離阻止コロ124の間に給紙された原稿束Oから最上位に位置する原稿が分離される。
この分離ベルト123および分離阻止コロ124によって分離された原稿は駆動側である第1搬送コロ141および従動コロ142によって反転経路143に沿って反転されてスリットガラス101に向かって搬送されるようになっている。
この第1搬送コロ141および従動コロ142は分離された原稿を挟持して反転ガイド144を通してスリットガラス101に搬送した後、反転排紙ガイド145によって排紙経路146にすくい上げるようにして搬送するようになっている。また、スリットガラス101上には反射ガイド板147が設けられており、この反射ガイド板147は読み取り時の白基準を構成している。
そして、排紙経路146に搬送された原稿は駆動側である第2搬送コロ(駆動部材)148および従動コロ(搬送部材)149に挟持されて搬送された後、駆動側である排紙コロ150および従動コロ151に挟持されて排紙経路146から外部に排紙され、プラテンカバー110上に排紙される。一方、コンタクトガラス102上を覆うプラテンカバー110の反射板112は加圧板113の下面に設けられており、この加圧板113はコンタクトガラス102上に載置された原稿をこのガラス102に加圧するようになっている。
次に、作用を説明する。原稿載置台121に原稿面が上面になるように原稿束Oを載置して図示していないスタートスイッチを押下すると、加圧板152が呼出しコロ122に原稿束Oを押圧することにより、呼出しコロ80によって原稿束が分離ベルト123に向かって搬送される。この原稿束Oは分離ベルト123および分離阻止コロ124によって最上位に位置する原稿が分離された後、第1搬送コロ141および従動コロ142によって反転経路143に沿ってスリットガラス101上に搬送された後、スリットガラス101で露光ランプ103および第1ミラー104等によって原稿面が読み取られる。読み取りりが終了した原稿は第2搬送コロ148および従動コロ149によって搬送経路146上を搬送された後、排紙コロ150および従動コロ151によってプラテンカバー110上に排紙される。
また、自動原稿送り装置120を用いずに画像読み取りを行う場合は、プラテンカバー110を開放して原稿をコンタクトガラス102上に載置し、スタートボタン(図示せず)をオンすることにより光学移動モジュール130が作動して露光ランプ103と第1ミラー104等が走査移動する。
上記した上カバー18の回動・開放は、カバーロック手段60のロックを解除して上カバー18を回動・開放可能状態にするシート積載面41の後端側が下となるように揺動上昇されるが、シート積載面41上にシートがストックされているときに誤って回動・開放してしまうと、ストックしていたシートが装置の後側に落下するという問題が生じる。すなわち、ストックしたシートSを取り忘れて上カバー18を回動してしまうと、シート積載面41にストックしたシートSが装置本体1の裏側に落ちてしまうという問題が発生する。この問題は、支持部51,52を上カバー18の後端側にも設けることによって解決できるが、長尺シートの場合その後端支持部に当たりストックに支障がでてしまう。
そこで、本実施形態では、カバーロック手段60のロックを解除して上カバー18を回動・開放可能状態にする操作部61をシート積載面41上で、しかもストックされたシートSで隠れる位置に設けている。このカバーロック手段60は、支軸62のほぼ中央にユーザが操作する操作部61が、両端側に装置本体1に固着された突起1aに係合するロック爪63がそれぞれ一体的に設けられている。支軸62は上カバー18に回転可能に支持されており、また支軸62の回りに装着されたねじりコイルばね64(図40に参照)によって、ロック爪63が常に突起1aに係合する向きの回動力が付勢されている。カバーロック手段60の操作部61は、シート積載面41と同一面上に沿うような面を備えた板材で形成されていて、シート積載面41にはその操作部61に手を掛けられるようにするための扇状の図1に示す凹部44が形成されている。
前記構成のとおり、上カバー18を開放するときには凹部44から手を差し込み、ねじりコイルばね64の前記付勢力に抗してカバーロック手段60の操作部61を上に持ち上げることにより、カバーロック手段60が支軸62を中心に時計方向に回転し、ロック爪63が突起1aから外れる。そして、そのまま操作部61を持ち上げることで、上カバー18は図3に示すように反時計方向に開放される。この上カバー18の開放する方向は上記した自動原稿送り装置120付きプラテンカバー110の回動・開放方向と同じ方向、すなわち、装置の奥側の支点を中心に、手前側が情報へ開放される方向である。
このように、上カバー18を揺動・開閉可能にするカバーロック手段60の操作部61をシートSのストックされるシート積載面41に配置しているので、シート積載面41上にシートSがある状態では操作部61がシートによって隠されるので、上カバー18を回動・開放してしまうことが確実に防止される。
シート載置部40の上方にスキャナ100を配置した画像形成装置では、スキャナ100のないものと比べてストックされたシートの視認性やシート取り出し性が悪化してしまうことが避けられない。そこで、本実施形態の画像形成装置では、悪化したシート視認性やシート取り出し性を改善させるべく、図1および図2に示すように、シート積載部40にアクセスするスキャナ100と装置本体1の間の空間である前面開口部42が前面に向いて大きく開口されいるので、シート積載面41に排出されたシートSの取り出し性が悪化することを抑えている。加えて、2つの支持部51,52によって図2のシート排出方向Xaと平行な矢印B方向にスキャナ100をスライド可能に支持し、スキャナ100を奥側へスライド移動することでシート排紙部25とスキャナ100との間隔に形成された前面開口部42を広げられるように構成している。
さらに、前面開口部42からのシート視認性やシート取り出し性を良好にするため、スキャナ100の前面下の角に第1テーパ部137を形成しており、同様に、装置本体1のコントロールパネル16の上方にも第2テーパ部19を形成して前面開口部42の開口面積を広げている。特に、本実施形態における第2テーパ部19は開口部の外側に向かって開口面積が広がるようにテーパ形状を形成しており、排出されたシートの取り出しにおける開口部への手の挿入がし易くなっている。この構成は第1テーパ部137に設けてもよいし、テーパ形状でなくても前面開口部42の開口面積が広がる形状ならどのような形状でもよい。
排紙されたシートSの取り出し性について説明する。
図6および図7において、シート積載部40の上部右側部には、シート積載面41へのアクセスをし易すくするために、シート積載面41よりも低い切り欠き部43が形成さ、右側部はシート排出方向Xaの上流に向かって上方へ傾斜する面を有している。これにより、手の大きなユーザの場合、前面開口部42のみならず、側面からの取り出しに対しても良好な取り出し性が確保できる。また、本実施形態では切り欠き部43を上部右側に形成しているが、切り欠き部43は上部左側に設けても同じ効果が得られることは言うまでもない。
また、スキャナ100を支持する左右の支持部51,52は、図7に明示するように、左右対称ではなく、正面から見て右側の支持部51は上記切り欠き部43に対応して奥行き方向の長さが左側の支持部52の奥行き方向の長さより短く構成されている。すなわち、右側の支持部51の奥行き方向の長さを図8に示すようにL1とし、左側の支持部52の奥行き方向の長さを図1に示すようにL2とすると、L1<L2に構成されている。これによって、切り欠き部43側からの排紙シートSの取り出し性も良好となり、さらに切り欠き部43側からの採光も取りやすく、排出シートの視認性も良好となる。この場合の支持部51,52の強度に関しては、自動原稿送り装置120の重量の大きい側を配置してある左側の支持部52が奥行き方向に対して支持幅を長くしてあるので問題はない。
シート積載面41のカバーロック手段60の操作部61近傍には、一部上述したように操作部61を握る易くするための凹部44が設けられており、該凹部44はその幅を広げることで排出されたシートをすくい取るための指入れスペースも兼ねた形状になっている。図1および図6の場合は、中央基準でシートが排出されることから、中央基準を境に左右対称となるように凹部44を形成しており、かつ、凹部44の両端は、本装置で取り扱うシートの所定幅より大きくなるように位置しているので、例えばはがきサイズの用紙をつまみ取ることができるような指入れスペースとなっている。
さらに、上記カバーロック手段60についての説明を補足する。カバーロック手段60の操作部61は、シート積載面41のシートを受けるように傾斜した傾斜面に設けられており、操作部61の上面がシート積載面41よりも上方へ突出しないように設けられている。この構成により排出されたシートの後端が傾斜面を滑り落ちる際に、カバーロック手段60の操作部61に突き当てられ、シート位置がバラバラにスタックされることを防止できる。このような効果を得るためには、上記構成のほかには、シート後端が排紙トレイ面に着地する位置よりもシート排出方向下流側に位置するか、排紙口からシートが自重落下するような場合は、排出口側近傍にカバーロック手段60の操作部61を設けてもよい。
カバーロック手段60の操作部61は、図1および図6から明らかなように排紙トレイでもあるシート積載面41の傾斜面に設けられていることから、装置正面からの視認性がよく、装置前方の前面開口部42からシートを取り出すと、カバーロック手段60の操作部61を視認可能になる。さらに、操作部61は、スキャナ100の前端よりも前方に位置している。このことにより装置正面からの視認性がよく、装置前方の前面開口部42からシートを取り出すと、カバーロック手段60の操作部61を視認可能になる。
画像記録部2のシート排出方向Xa(装置正面から奥側)とスキャナ100(自動原稿送り装置120)の副走査方向(原稿送り方向)とが直交するように、画像記録部2とスキャナ100(自動原稿送り装置120)とが配置されている。装置本体1の前面は、図2に示すように、スキャナ100および支持部51,52よりも前面に突出しており、該装置本体1の前面上部にコントロールパネル16を配置した構成にしている。これにより前面開口部42を十分確保することが可能となり、上方からの短いシートの排出やカバーロック手段60の操作部61の視認性や操作性が良くなる。
支持部51,52およびスキャナ100の内部構成に関して、シート取り出し性やスキャナ100を支持する強度や緩衝性の確保という点から、さらに詳細に説明する。図8〜図11において、自動原稿送り装置120を付設したスキャナ100は、スキャナ内部の光学移動モジュール130を正面から見て左側の支持部52に対向して配置され、自動原稿送り装置120も原稿搬送ターン部を装置正面から見て左側とし原稿載置トレイおよび原稿排出トレイが右開放となるよう配置している。
装置前面から見て右側の支持部51は、左側の支持部52より小さい。その理由としては、スキャナ100を構成する走査ユニットおよびキャリッジを具備してなる光学移動モジュール130が左側へ配置されていることにより、スキャナ100の荷重が左に大きく偏っていることに加えて、右側面からのユーザの排紙ハンドリングを考慮しているためである。すなわち、スキャナ100から受ける荷重が小さい装置前面から見て、右側の支持部51は小さく形成して支持部51の根元部を低く設けている。
かかる構成は、右利きのユーザを考慮したものであり、多くのユーザへの利便性を提供している。さらに、図10および図11に示すように、スキャナ100の駆動系として、駆動手段としての駆動モータ131、およびギヤ列等からなる駆動伝達系などを配置しているのも装置正面から見て左側に配置している。スキャナ100内には、一部上述したように、セットされた原稿を読み取る走査ユニット(図示せず)と、この走査ユニットを駆動する駆動モータ131が存在する。駆動モータ131は、タイミングベルト等を使って駆動を伝達し、走査ユニットを動かす。
図10および図11において、符号105は、スキャナ100の筐体としての下ケースを、一点鎖線で示す符号106は駆動モータ131が配置された下突出部以外のスキャナ100の下ケース105の下部外形線を、それぞれ示している。
このように、スキャナ100における両図に示す左前端部の一部が、後述する開口59(図14参照)の上面より下方に突出している。そして、開口59の上面より下方に突出したスキャナ100の左前端部に駆動手段としての駆動モータ131が配置されていることとなる。
上述したように、自動原稿送り装置120を付設したスキャナ100は、装置正面から見て左右が均等でなく、支持部51,52としては左側の支持部52が右側の支持部51よりも大きな荷重に耐えられる強度の大きいものに設定し、バランスを図っている。このため、左側の支持部52は図8に明示するように、奥行き方向の長さがL2>L1に設定されているだけでなく、幅も左側の支持部52の幅W2が右側の支持部51の幅W1より大きく(W2>W1)設定されている。
これにより、ユーザの排出されたシート取り出し性が格段に良くなる。このように構成される支持部51,52は、またシート載置部40にはシート取り出し性を考慮した溝46を設け、さらなるハンドリング向上を図っている。また、溝46の部分に突起などの排紙部カバーにリブなど設けることでさらなる向上も可能である。
装置本体1は、図12に示すように、フロントカバー27がヒンジ28を介して開閉可能に装着され、該フロントカバー27を開くことにより、内部の中間転写ベルト4のユニットや廃トナーボトルTBおよび定着装置14に対する交換メンテナンスや、装置本体1内のシート搬送路内でのジャム紙の処理を行うことができる。
また、装置本体1は、図13に示すように、フロントカバー27に給紙トレイ21を挿入するための開口29を形成し、その開口29から給紙トレイ21を図の左右方向に(本体正面から)着脱できるように構成される。図13は給紙トレイ21、フリクションパッド23および再搬送路24ごと、装置本体1からP方向に取り出し、離脱している状態を表している。これらにより、メンテナンスや消耗品交換、ジャム処理等を装置本体1前面から行えるフルフロント操作が可能となり、背面から上記した作業を行うスペースを必要とせず、設置面積の低減を図れると共に使い勝手が良く、低コストな画像形成装置の提供が行える。
以下、スキャナ100と支持部51,52とのスライド機構、ロック機構について説明する。
上述したように図1および図2において、スキャナ100と装置本体1の間の排紙空間が前面に向いて大きく開口されているので、シート積載面41に排出されたシートの取り出し性および視認性に優れている。
しかし、装置の奥行き方向の大きさを小さくし、かつ高さを小さくしようとすると、前面開口部42の大きさも小さくなり、手を排紙空間に挿入しにくくなったり、また、シートがスキャナ100やシート排紙部25に当ったりしてシートの取り出し易さを犠牲にすることになる。例えば図2において、スキャナ100は画像記録部2および装置本体1の後部より後側に突出しているが、装置を小型化するために、スキャナ100と装置本体1の後部を合わせると前面開口部42が小さくなる。しかしながら、ユーザの設置環境によっては装置の大きさよりシートの取り出し易さの方が重要であったり、また取り出し易さについてもユーザによって感じ方が異なるので、前面開口部42の大きさを調整可能であることが望ましく、その移動位置も複数選択できれば様々なユーザに対して適した使用条件を提供できる。
次に図14〜図16を参照して、スキャナ100を装置本体1の前後方向、すなわちシート排出方向もしくはスライド方向Xa、Xbにスライド可能に支持するスライド支持部としてのスライド機構を備えた左右の支持部51,52周りについて詳述する。
図15および図16に示すように、スキャナ100の左右両側には、摺接部としてのレール部133,134が一体形成されており、各レール部133,134には、摺接面としての下面133a,134aと、突起部133b,134bとが一体形成されている。そして、図において左側のレール部133には、シート排出方向Xaの前後に長く延びた溝133cが形成されている。
図14〜図16に示すように、スキャナ100は、各レール部133,134の下面133a,134aが各支持部51,52に形成された被摺接面としての上面51a,52aにスライド可能に支持されている。スキャナ100の水平方向ガタは、支持部51から上向きに突出した2つのピン55とスキャナ100のレール部133に形成された溝133cとの所定の隙間をもっての嵌合によって規制している。
支持部51,52には、それぞれの外側にコの字形状の抜け防止部53,54と、上記した上面51a,52aとがそれぞれ一体形成されている。各支持部51,52に形成された抜け防止部53,54がスキャナ100のレール133,134に形成された突条の突起部133b,134bと所定の隙間をもってそれぞれ嵌合することにより、スキャナ100の上方への抜けおよび浮き上がり・ガタを規制し防止している。
なお、支持部51,52のそれぞれの内側に抜け防止部を形成するとともに、スキャナ100のレール133,134の内側に突条の突起部を形成し、支持部51,52の各内側の抜け防止部とスキャナ100のレール133,134の内側の突起部とを所定の隙間をもって嵌合することにより、スキャナ100の上方への抜けおよび浮き上がり・ガタを規制し防止してもよい。
このように、本実施形態の例によれば、スキャナ100の筐体(ケース)にはレール部133,134が一体形成されており、各レール部133,134の下面133a,134aが各支持部51,52の上面51a,52aに対してスライドするため、部品を追加することなく安価なスライド機構を達成することができる。また、各レール部133,134の断面形状から十分な強度を、レール部133,134およびスキャナ100自体に付与することもできる。
抜け防止部53,54は、支持部51,52にそれぞれ一体形成されているので、スキャナ100の上方への抜け防止を部品を増やすことなく安価に行うことができる。
また、抜け防止部53,54は、支持部51,52の左右両側で負荷を受けるため強度を強くすることができるとともに、スキャナ100の左右どちらに力が加わった場合においても上方への浮き上がりを防止することができる。
上述した程の利点・効果を望まなくてもよいのであれば、上記と同様の抜け防止部53,54をスキャナ(スキャナ100)側に配設するとともに、支持部51,52側にスキャナ100のレール部133,134と同様の摺接面を上面に備えた摺接部を一体形成してもよい。
それぞれの支持部に対して抜け防止部を外側内側両側に設けてしまうと、その他の部品を配置するスペースが少なくなってしまう。支持部には上カバーの開閉緩衝機構等の部品を配置する必要もあるため、極力スペースをとらない抜け防止部にすることが望ましい。
そこで、本実施形態の例によれば、抜け防止部53,54は、右側の支持部51および左側の支持部52のそれぞれの外側または内側の何れか一方に配設されているので、スペースをとらずに強度も確保した抜け防止部を達成することができる。
抜け防止部53,54は、支持部51,52の前方に設けられた抜け防止部53a,54aと、支持部51,52の後方に設けられた抜け防止部53b,54bとに分割して配置されている。これにより、スキャナ100の前方に力が加わった場合には前方の抜け防止部53a,54aで力を受け、スキャナ100の後方に力が加わった場合には後方の抜け防止部53b,54bで力を受けることができるため、上方への浮き上がりを確実に抑えることができる。また、分割して配置された抜け防止部の間のスペースに、他の部品を配置することができる。
本実施形態の例ではスペース上もしくは金型構成(例えば射出成形用のスライドコアなど)の都合で支持部の前方と後方で抜け防止部を分割しているが、支持部全域に抜け防止部を設けてもよい。また、抜け防止部53,54は、箱形状に形成して強度を強くし、さらにリブ等で補強している。これにより、抜け防止部53,54の強度を強くすることができ、ユーザによってスキャナ100に対して上方の力が加えられたときに、抜け防止部53,54に破損・変形等が全く発生しなくなる。
さらに、分割された抜け防止部53a,54a、53b,54bのスライド方向Xbのそれぞれの端部には、図17に示すように、テーパ53cが形成されており、スキャナ100をスライド方向Xbにスライドをしたときにレール部133,134の先端と引っかからないようになっている。図14に示すように、スキャナ100のレール部133,134の先端にもテーパ133dが形成されている。これにより、抜け防止部53a,54a、53b,54bの端部とスキャナのレール部133,134の先端とがすれ違うときに、両者の引っかかりによりスライドが妨げられるのを防止することができる。
図17に示すように、スキャナ100をスライド方向Xaの後方にスライドした場合でも、スキャナ100のスライド可能な範囲内において、スキャナ100のレール部133,134が支持部51,52前方の抜け防止部53a,54aおよび後方の抜け防止部53b,54bに係合するように抜け防止部53aの長さLを設定している。これにより、スキャナ100の位置が、スライド可能な範囲内のどの位置にあっても、レール部133,134が支持部51,52前方の抜け防止部53a,54aおよび後方の抜け防止部53b,54bに係合しているため、スキャナ100の上方への浮き上がりを確実に防止することができる。
スキャナ100を支持部51,52に組み付ける際には、図14〜図16および図18において、支持部51,52の後方に設けた入り口51b,52bからスキャナ100のレール部133,134を差し込みながら前方(スライド方向Xb)にスライドさせてセットする。右側の持部51には、図14および図18に示すように、スキャナ100のスライドの最大ストロークと同じ長さの切り欠き溝51cが形成されており、スキャナ100を差込んだ後に、上部構造体26に含まれる上カバー18を開けて裏側から段ネジピン56を切り欠き溝51cに嵌合させながらスキャナ100のレール部134に螺合させて取り付ける。この段ネジピン56によって、スキャナ100が後方(スライド方向Xa)にスライドした際に抜け落ちないようになる。図18において、図18(a)は、スキャナ100が支持部51,52に対してスライドしていない初期状態を、図18(b)は、スキャナ100が支持部51に対してスライド方向Xaに最大ストローク分スライドした状態をそれぞれ表している。スキャナ100を支持部51,52から取り外し・離脱する際には、上述したと逆の操作順序、すなわち、始めに段ネジピン56を切り欠き溝51cから取り外すことで行われる。段ネジピン56は、これに限らず、リベットや段付きネジ等でもよい。
スキャナ100は、抜け防止部53,54による上方への抜け外れ(以下、単に「抜け」ともいう)防止が図られているとともに、支持部51,52に対してシート排出方向でもあるスライド方向Xaに着脱可能に、かつ、装置本体1の後方から着脱可能に構成されていて、段ネジピン56によってスキャナ100の着脱方向である後方からも抜け防止が図られている。
したがって、本実施形態の例によれば、ユーザによりスキャナ100に対して上方やスライド方向への力が加えられた場合にも、スキャナ100が支持部51,52から抜け外れることがなくなり、強度的に信頼性の高い画像形成装置を実現し提供することができる。また、スキャナ100がスライド方向Xaから容易に着脱可能であるため、スキャナ100の組付性もよい。
図3に示したように、安全性に配慮して、自動原稿送り装置120、プラテンカバー110を開いたときは上部構造体26が開かないようにするロック機構、上部構造体26を開いたときには自動原稿送り装置120およびプラテンカバー110が開かないようにするロック機構という、2つのロック機構が左側の支持部52後方に配置されている。反対側の右側の支持部51にはスキャナ100の画像信号を装置本体1側の電装基板(図示せず)に伝達するケーブルがスキャナ100のスライドに合わせて移動可能なように一定の弛みをもって配置されている。
また、左側の支持部52の後方、上述の2つのロック機構の横にも自動原稿送り装置120の駆動制御信号を伝達するケーブルが一定の弛みをもって配置されている。これは、スキャナ100の画像信号を送信するケーブルと自動原稿送り装置120の駆動制御信号とを左右の支持部51,52で分割することで、画像信号がノイズの影響を受けないようにするためである。そして本実施形態の例によれば、装置後方の支持部51,52からスキャナ100を着脱することができるため、スキャナ100をセットする時に両ケーブル挟む懸念等がなくなる。
上述したように、スキャナ100をスライド可能に構成した場合、複数箇所でスキャナ100が動かないようにロックする必要があり、このためスキャナ100のロック機構を設けている。
スキャナ100をスライド可能に支持する支持部は、上述したとおり2つの支持部51,52を備えており、左の支持部52側にスキャナロック機構の操作部が設けられている。支持部52の側面には、図1および図14に示すように、ロック機構の解除操作部としての操作ボタン70が設けられている。図14は、その操作ボタン70が設けられている支持部52の内部を示している。
本実施形態のスキャナ100のロック機構を、図14、図19〜図21により説明する。操作ボタン70の軸部71には、図20および図21に示すねじりコイルばね72が取り付けられていて、操作ボタン70を装置外側に向かって常に付勢している。操作ボタン70には、フック形状70aが一体的に形成されていて、ねじりコイルばね72によって付勢されている状態では、スキャナ100のレール部133に形成された切り欠き135と係合してスキャナ100のスライドをロックしている。一方、ねじりコイルばね72の付勢力に抗して、支持部52の側面に露出している操作ボタン70を押すと、前記係合が解除されることにより、スキャナ100のスライドが可能になる。スキャナ100のレール部133の切り欠き135は複数(本例では3個)であり、それぞれの位置においてスキャナ100はロック可能である。
上述のようにスキャナ100の水平方向ガタは、支持部52から突出した図14に示す2つのピン55とスキャナ100に形成された図15に示す溝133cとの嵌合によって規制しているが、このようにスキャナ100の支持部52には様々な機能部材が配置されているため、2つのピン55の間の距離を大きくするには限度がある。また、製造コストを安くするために、ピン55はシート積載部40および支持部51,52と一体形成されたプラスチック部材で、溝133cはスキャナ100の筐体と一体形成されたプラスチック部材でできているため、その嵌合精度には限度があり金属に比べて変形しやすい。このため、スキャナ100のスライドをロックした状態でも、スキャナ100は支持部51,52に対して水平方向にガタがあり、左右のバランスが悪い。なお、前記各プラスチック部材としては、例えばポリカーボネート(PC)とポリスチレン(PS)との混合材等が挙げられ、使用する地域・国によって法規に適合するように難燃剤処理等が適宜施される。
本実施形態の例では、右側の支持部51にも、もう1つのスライドロック機構を設けることで、水平方向のガタを軽減している。このように、左右の支持部51,52に設けたロック機構は、後述するように、その距離を装置本体の大きさに対して十分長く取れるので、ガタの影響を最小限にすることができる。
右側の支持部51には、図22に示すように、円錐形状の頭部をもつ円筒形のロック部材80が圧縮スプリング81によって常に上向きに付勢されていて、スキャナ100のレール部134に形成された溝136と係合している。圧縮スプリング81の一端(上端)は、ロック部材80の下端部のばね係止部に、他端(下端)は、支持部51のばね係止部51dにそれぞれ係止されている。左側の支持部52の操作ボタン70と円筒形のロック部材80とは、図21に示す可撓性のワイヤー82によって連結されている。図21に示すワイヤー82の右端部(支持部51側)は、同図において紙面の奥側から手前側の向きに90度(直角)に曲げられており、また図22では紙面の手前側から奥側の向きに90度に曲げられていて、ワイヤー82は同図において下から上向きに延びてフック係止部(図21では右端部)に連結されている。したがって、操作ボタン70の押圧操作によって2つのロック機構を連動して動作させることができる。また、ワイヤー82は、図21に示すように、支持部51,52およびそれと一体になったシート積載部40における上カバー18の裏面リブに設けられた溝(図示せず)および上カバー18の裏面に取り付けられたワイヤ押さえ部材57のガイド57a等によって弛まないように案内されている。左右のロックの連結にワイヤー82を用いることによって、複雑な経路でも簡単かつ部品点数も少なくロック機構を連動することが可能である。
本実施形態の例のようにシート積載部40を挟んで左右から突出した支持部51,52にロック機構が配置されている場合は、U字経路で動作を伝達する必要があるので有効である。
ねじりコイルばね72および圧縮スプリング81の各付勢力に抗して、操作ボタン70を押すと、ロック部材80がワイヤー82に引っ張られることにより、円筒形のロック部材80が下降し、スキャナ100の溝136との係合が解除される。このときロック部材80は図23(b)に示すように、完全に溝136から抜けないで、円錐形状の頭部はまだ溝136にかかった状態になっている。この状態でスキャナ100をスライドさせると、溝136がロック部材80をさらに下方に押し下げるのでクリック感が発生する。また、押し下げられたロック部材80が溝136に係合するときもクリック感が発生するので、ユーザに対してロック位置を感覚的に認知させることができる。
上述したようにスキャナ100とシート積載部40と上カバー18とで構成された上部構造体26は、装置後方の回転軸である回動支点17を中心にして前方が開口するように回動・開放し、トナーカートリッジなどの消耗品や転写ベルトなどの定期交換部品が交換できるようになっている。図示する例の4連タンデムのカラー画像形成装置において、水平方向にプロセスカートリッジを並べて配置した場合などは、プロセスカートリッジを上方から着脱するために上部構造体26は90°前後回動・開放させる必要がある。この状態でスライドロックの操作ボタン70を誤って押してロックを解除してしまうと、スキャナ100が自重で落下してしまう。これを防止するため、図14および図18に示した抜け止めが設けてあることにより、スキャナ100が装置本体1の支持部51,52から脱落・落下せずにスキャナ100を保持することができるが、スキャナ100がユーザに当って怪我をするなどの虞があるため、以下の方法で誤操作による落下を防止する必要がある。
すなわち、図21に示すように、操作ボタン70の近傍には、垂直方向に回動自在に支持部52に取り付けられた振り子部材75がある。上カバー18とともに上部構造体26を開くと、振り子部材75はその自重によって回動し、操作ボタン70の移動経路上に移動するようになっている。したがって、上カバー18とともに上部構造体26を開いた状態では操作ボタン70は振り子部材75に当って、ロックを解除する位置まで移動することができないので、ユーザの誤操作によってスキャナ100が自重で落下することを防止することができる。
次に、図14、図19、図24〜図31を参照して、スライド機構部の端部近傍に形成される開口およびこれを遮蔽する遮蔽部材周りを説明する。
上述したとおり、スキャナ100の上方への抜け止めは、図14〜図16等に示したようにスキャナ100の左右のレール部133,134と左右の支持部51,52における抜け防止部53,54との嵌合によって行っているが、支持部51,52の上部に配置されてスライドするスキャナ100は、ユーザが手を置くなどして上からの荷重がかかることが懸念されるため、支持部(以下、「台座」ともいう)51,52は前後方向に長くとる必要がある。特に右利きのユーザ側である支持部52前方は、できる限り前まで上面52aおよび抜け防止部54を作って支えてやるようにしている。
これにより、シートの視認性のためスキャナ100を後方へスライドすると、台座(支持部)52の前方上面側である上面52aおよび抜け防止部54aは露出してしまうこととなる。この上面がただの平面であれば問題はないが、スライド支持部(以下、「スライダ機構」ともいう)として抜け止めの嵌合形状を形成していると、その上面52aおよび抜け防止部54aが暴露してしまい、安全上問題となる。
台座(支持部)52の前方だけは抜け止めの嵌合形状を作らず、スキャナ100を載せるだけの平面とすることも考えられるが、そのとき、その平面は図14に示す上面52aとスキャナ100の下面133aとの摺接面(以下、「境界面」ともいう)以上とする必要がある。そうしなければ、スライド時に摺り動く摺接面が側面、もしくは前面に出てきてしまうためである。こういったスライド方向への隙間が外装として出てしまうと、スライド時に巻き込みが起こってしまうため、やはり安全上問題となる。
ここで、スキャナ100の小型化を目指すことを考える。図9〜図11を参照して説明したとおり、スキャナ100内には、セットされた原稿を読み取る走査ユニット(図示せず)と、この走査ユニットを駆動する駆動モータ131とが存在し、駆動モータ131はタイミングベルト138等を介してその駆動力を伝達し、前記走査ユニットを動かす。
前記走査ユニットの厚みは、その移動部の範囲、つまり、スキャナ100内のほぼ全域において必要であるが、駆動モータ131は固定なので、駆動モータ131を設置する部分だけは高さが必要となる。よって、スキャナ100の一部を下方に突き出せばよいことになるが、その位置がシート積載面41の上方であると、排紙時に排出されるシートあるいは積載されたシートに引っ掛かったり、シート積載面41との距離の低下によってシートスタック容量の低下につながってしまう。この問題は、シートの排出範囲(通紙範囲)外にある台座(支持部)52内を突き出すこととすることで解決できる。
上述のようにスキャナ100の小型化を考えたとき、スキャナ100の一部が下方に突き出している。前記境界面を維持したままで、台座(支持部)52内にこの突き出しを内包しようとした場合、境界を維持する外装と、内部の突き出し収容部のための空洞とで、図14および図19等に示す開口・段差59(以下、単に「開口59」という)ができてしまう。開口59は、本実施形態例ではスライド方向(シート排出方向)Xbにおけるスライド支持部(スライド機構)の上面52aと抜け防止部54aとの前端部近傍に形成される。さらに具体的には、開口59は、前端部近傍の支持部52におけるスライド方向Xa,Xbに沿って形成された左右一対の側壁52c,52dと、前端部近傍の支持部52におけるシート幅方向Yに沿って形成された前面壁52eとの3つの壁面に囲まれて形成される。このように支持部52の前端部近傍を、一対の側壁52c,52dと前面壁52eとで連続して一体形成したのは、支持部52の強度アップ、取り分け抜け防止部54aの強度アップの必要からである。
この開口59は、スキャナ100を前方にスライドさせた際に、スキャナ100の前面壁との間で指を挟み込む虞が高くなり、安全上重大問題となってしまう。それ故に、ユーザがスライド機構部にはアクセスできないよう、スキャナ100のスライドに連動して開口59を選択的に遮蔽する部材および機構が必要となる。
図24〜図31に、スキャナ100のスライドと連動して、左右一対の側壁52c,52dと前面壁52eとの3つの壁面に囲まれて前端部近傍の支持部52に形成された開口59を塞ぐ第1の位置(以下、「遮蔽位置」ともいう)と、第1の位置(遮蔽位置)から退避した第2の位置(以下、「待機位置」ともいう)との間で変位可能な変位部材としての遮蔽部材90を示す。
遮蔽部材90は、主として揺動変位する中心となる軸部91a,91bと、図25〜図27等に示す弾性部材としてのトーションばね98を保持する第1保持部93aと、第2保持部93bと、自身の揺動変位を規制する揺動規制部94a,94b,94cと、トーションばね巻き付け部95と、ストッパ部96と、開口59を遮蔽するための遮蔽面92,97とを備えており、これらが上述した材質と同様のプラスチックで一体的に形成されている。
遮蔽部材90の軸部91a,91bの間には、図25〜図28等に示すトーションばね98を巻着するトーションばね巻き付け部95が形成されている。遮蔽部材90を支持部52の前端部へ組み付ける際に、トーションばね98の一端側は、遮蔽部材90の第1保持部93aとカギ形状になっている第2保持部93bとにより挟み込まれるように保持・係止されて、抜け止めがされるとともに、トーションばね98の他端側は、図27に一点鎖線で示す支持部52の底壁に形成されたばね係止部58aに係止されることにより、トーションばね98のネジリモーメントを遮蔽部材90に伝達するようになっている。
軸部91a,91bには、その直径より小さな幅に形成された小判形のカット部が設けられており、支持部52側に一体形成された軸受部58b,58cの一部が前記小判部の幅より僅かに大きな開放部を装置上向きに形成している。これにより、遮蔽部材90の軸部91a,91bを対向する軸受部58b,58cに対して円周方向から簡単に挿入するができる。このとき、トーションばね98の他端側98bが支持部52の底壁に形成されたばね係止部58aに当接して係止される。
遮蔽部材90は、軸受部58b,58cへの挿入後に、軸部91a,91bを揺動中心として装置前方方向へと揺動させて行き使用範囲へと揺動変位させるが、このとき、トーションばね98の弾性力・付勢力によって、遮蔽部材90には遮蔽位置(第1の位置)を常に占める向きの力が働いている。ここで、遮蔽部材90が組付け開始位置まで戻り、軸部91a,91bに形成された小判形のカット部が軸受部58b,58cから抜けてしまわないようにするために、ストッパ部96を設けている。ストッパ部96は、回転軸線方向に撓む構成となっており、遮蔽部材90を軸部91a,91bを揺動中心として揺動変位させていくと、支持部52に設けられた揺動規制係合部58dと当接してたわみ、揺動規制係合部58dを乗り越えたところで戻ってこなくなる。これにより、軸部91a,91bにおける小判形のカット部が、軸受部58b,58cの開放部に戻ってくることがなく、遮蔽部材90が軸受部58b,58cから外れて開口59から離脱することがない。この時、遮蔽部材90の待機角度は、実使用角度以上、かつ、取付け角度以下となっていることが使用に不具合のない条件となる。
また、遮蔽部材90には、開口59を選択的に遮蔽するための遮蔽面92,97と、その揺動を規制する揺動規制部94a,94b,94cを有するが、詳細は下記動作説明にて行う。
スキャナ100のスライドに伴う遮蔽部材90の動作は、以下のようである。スキャナ100の駆動モータ131の真下近傍に位置する底壁には、下方に突出した板状の係合部139が一体的に形成されている。係合部139は、一種のカムであり、スキャナ100のスライド範囲内において、遮蔽部材90の揺動規制部94a,94cとそれぞれ選択的に摺接・係合する輪郭形状に設定されている。
遮蔽部材90には、対向部材、つまりスキャナ100に設けられた係合部139と突き当たり、自身の揺動変位を規制する揺動規制面94aが形成されている。スキャナ100は、上述したとおり装置後方側からスライド方向Xbにスライドして組みつけられるようになっており、スキャナ100をトーションばね98の付勢力に抗してスライド方向Xbにスライドさせていくと、図29(b)および図30(a)に示す状態となるスライドの途中において、スキャナ100の係合部139の前端側が遮蔽部材90の揺動規制部94aに当接し、これにより軸部91a,91bを中心として遮蔽部材90を時計方向に揺動変位させていく。そして、スキャナ100の係合部139の先端部(前端部)が遮蔽部材90の揺動規制部94aに当接した後は、スキャナ100の係合部139の後端が遮蔽部材90の揺動規制部94aと接触しながら、遮蔽部材90を時計方向に揺動変位させていく。スキャナ100が支持部52の最前端面までスライドしたときには、スキャナ100の係合部139の後端部が遮蔽部材90の揺動規制部94aと係合・押圧することとなり、遮蔽部材90は図8、図29(b)および図30(a)に示すように待機位置を占めることとなる。
このとき、スキャナ100の背面は、画像記録部2の背面と同等となり、マシンサイズは最小となる。このように遮蔽部材90が待機位置を占めた状態で梱包を行うと、凹凸が少ないため、梱包材を大量に使うことなく、また梱包体積も小さいため、トラックで一度に輸送できる量も増えることから、環境にも優しいといえる。スキャナ100は挿入方向・着脱方向に抜けないように、段ネジピン56(図16参照)にて取り付けられるため、スキャナ100が支持部51,52から抜けることはない。
次に、スキャナ100が後方にスライドした位置になったときの動作を説明する。排紙の取り出し性を上げるため、スキャナ100をスライド方向Xaへスライドさせると、スキャナ100が最後端に位置することとなる図30(b)に示す位置にスライド・移動し、遮蔽部材90は図中の遮蔽位置に揺動変位する。このとき、図30(b)および図31に拡大して示すように、スキャナ100の係合部139における図において後端の下部突出面と遮蔽部材90の揺動規制部94cとのみ係合・摺接するように各輪郭形状が設定されていて、係合部139における図において右側の前端突出面と遮蔽部材90の揺動規制部94aとは非接触状態となっている。またこの際、外装として現れるのは同図および図22等に示した遮蔽面92のみであり、開口59は遮蔽面92によってほぼ完全に塞がれる。
換言すれば、遮蔽部材90は、その揺動変位方向に対して垂直な面である遮蔽面97を備えているが、その遮蔽面97を開口59に露出しないように構成されていると言える。これにより、ユーザが遮蔽面97に触れて揺動変位方向に押し込まれる虞がないため、遮蔽部材90による遮蔽効果を維持することができるとともに遮蔽部材90の破損を防ぐことができる。
すなわち、遮蔽部材90における開口59を塞ぐ遮蔽面92の形状が、揺動の中心軸と同一軸である軸部91a,91bをもつ円筒面を主とする面となっている。これにより、遮蔽部材90を収容している、支持部52の前端部近傍に形成される開口59との隙間を大きく開けることなく、また、揺動途中も隙間が大きくならない。遮蔽面92は、クリップなどの落ち込みを防止するためにも、各スライド位置にて、開口59との隙間を1mm以下に保った円周の連続からなる曲面にて構成することが望ましい。
なお、遮蔽面92の形状は、円筒面に限らず、揺動の中心軸と同一軸である軸部91a,91bをもつ球面で形成するようにしてもよい。
また、遮蔽面97は、スキャナ100の前面壁と同形状をしており、後方のスライド方向Xaにスライドした位置では、トーションばね98の付勢力により軸部91a,91bを中心として反時計方向に揺動・押し上げられ、スキャナ100の前面壁に突き当たる。これにより、支持部52の前端部近傍における一対の側壁52c,52dと前面壁52eと開口59との隙間は極小なものになり、ユーザが指などを挟み込む虞が完全になくなり、安全性の確保とともにクリップの落ち込みなども防止することができる。
トーションばね98の押し上げ・付勢力のみにて遮蔽部材90の遮蔽面92が揺動・上昇されている場合では、ユーザが遮蔽部材90を押し込むことで中に指が入ってしまったり、隙間ができて機器内への物の落ち込みがありえてしまう。そこで、本実施形態では図24および図30(b)に示す揺動規制部94cがスキャナ100の係合部139の後端面に突き当たることによって、ユーザによって遮蔽面92が押されてしまっても開口されない構成としている。この際、揺動規制部94cは、遮蔽部材90が遮蔽位置を占めたとき、遮蔽面92が押されても自身を変位させない押込み防止部として機能する。押込み防止部としての揺動規制部94cは、スキャナ100に設けられた係合部139と選択的に係合することによって自身の揺動変位を規制される変位規制部も兼ねているとも言える。
ここでは、遮蔽部材90における遮蔽面92,97の形状を詳細に記載したが、形状はこれに限定されるものではない。例えば、強度的に許容されるレベルであれば、支持部52の前面壁52eを除去して、これに相当する形状を遮蔽部材側に形成してもよい。上記構成では、スライド固定位置が決まっている場合の使用に適しているが、例えばスライド面と同面となる平面形状でも同様の効果は得られ、スライド位置によらず開口を遮蔽することができる。
また、スライド構成の上下ガタツキが少なければ、スキャナ100の係合部139と、遮蔽部材90の揺動規制部94cの精度を向上することで、トーションばね98はなくても、図30(b)の遮蔽位置にて隙間を抑えて保持可能である。
ところで、上カバー18は回動支点17を中心に上方へ開放可能に構成されている。この上カバー18は、カバーロック手段60の操作部61を操作して図3に示すように、回動支点17を中心に回動すると、支持部51,52を介したスキャナ100と下部の光走査装置8が一緒に回動される。そして、装置本体1の内部が現れ、画像形成の各ユニットに対しフロントからアクセスすることが可能となり、メンテナンス等が容易に行うことができることは先に説明した。
この上カバー18を回動するとき、上カバー18の回動支軸17とプラテンカバー110のヒンジ111との軸線が平行であるため、上カバー18の開放に伴ってプラテンカバー110も同時に回動されてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態の画像形成装置は上カバー18を開放してもプラテンカバー110を不用意に開放させないロック手段170を設けておりその説明をする。
図32〜図37において、ロック手段170はプラテンカバー110に設けられた係止部140に係止するロック部材171と、該ロック部材171を動かすロック中間部材175と、該ロック中間部材175を作動する作動部材178とを有している。
ロック部材171は、回動支点172を中心として回動可能にスキャナ100に支持され、その一端である上端には係止部140に係脱可能なロック爪173が形成されている。また、回動支点172を挟んでロック爪173の反対端には作動片174が設けられている。
ロック中間部材175は、短冊状の板材で形成され、その長手方向の一辺に沿って支持軸176が設けられ、該支持軸176を介してスキャナ100に回動可能に支持されている。また、ロック中間部材175の長手方向の他辺側でその一端には上方に突出した作動ピン177が設けられ、この作動ピン177がロック部材171の作動片174に当接されている。なお、ロック部材171には回動支点172を中心として作動片174が作動ピン177に当接する方向への回動力がバネ171aによって付勢されている。この構成によって作動ピン177の作動片174への当接が保証されている。
このロック中間部材175は、支持軸176を中心に回動するが、その回動する先端側が自重によって作動部材178に形成されたカム形状179上に着座されている。作動部材178は、図32〜図38に示すように、一端が軸180を介して上カバー18に回動可能に装着され、他端181が装置本体1に設けられたレール182に沿って移動可能に設けられている。カム形状179は軸180のほぼ同芯円上に形成されている。
図39は、図3に示した状態の装置正面からみて左側一部を拡大したものである。まず、上カバー18内には、光走査装置8の両側に、左右一対の上フレーム45が取り付けられている。それらの上フレーム45に、回動支軸17の両端部が貫通される。回動支軸17は、装置本体1の背面側上縁に沿って装置本体1で支持されている。これにより、装置本体1に対して上部構造体26(上カバー18、スキャナ100)が回動支軸17を中心として開閉自在に取り付けられ、反転角度を越えて開いたとき重力に基づき反対に開方向のモーメントを受け、上部構造体を開いて画像記録部2が外部に向けて開放されるようになっている。また、上フレーム45から左右に突出する回動支軸17の両端部分には、一端が装置本体1側に掛けられ、他端が上部構造体側に掛けられて、上部構造体を開く方向に付勢する付勢部材としてトーションスプリング等よりなる回動軸ばね47が設けられている。
上カバー18が閉じられている通常の状態は、図32〜34に示すカム形状179の突出部がロック中間部材175に当接されている状態であり、このとき、ロック中間部材175は、支持軸176を中心に斜め上方に傾き、ロック部材171はロック爪173が係止部140に脱している。したがって、プラテンカバー110を自由に開放することができる。
ここで、プロセスカートリッジの交換等で上カバー18が回動支点17を中心に上方へ開放すると、図39に示すように、作動部材178の他端がレール182に沿って移動し作動部材178が起き上がる。このとき、作動部材178は軸180を中心として図38の時計方向に回転し、カム形状179の突出部がロック中間部材175から離れて円形部分が当接する。そして、ロック中間部材175は支持軸176を中心に時計方向に回動し、それに伴ってロック部材171が回動支点172を中心に反時計方向に回動されてロック爪173が係止部140を係止し、図35〜図37に示すプラテンカバー110のロック状態になる。
かくして、上カバー18を開放すると、その開放動作に連動してスキャナ100のプラテンカバー110がロックされる。したがって、上カバー18とスキャナ100のプラテンカバー110がともにフロント側、すなわち装置の正面側から操作するように、奥側の回動支点を介して開放されるものであっても、上カバー18の開放でプラテンカバー110が開放されることが阻止される。よって、プラテンカバー110の不意な開放による上カバー18の破損等の不具合を解消することができる。
スキャナ100は、上記に説明したように、シートの視認性や手の大きいユーザーであってもシート載置部41からのシート取り出し性を良好することができるように、シート排出部25とスキャナ100との間隔を広げられるようにスライド可能になっている。したがって、上記ロック手段170もスキャナ100の全スライド位置でプラテンカバー110をロックできるように構成されている。図38(a)はスキャナ100をシート排出部25に近づけた位置で、図38(b)はスキャナ100をシート排出部25から遠ざけた位置を示し両位置において作動部材178のカム形状179がロック中間部材175に接している。すなわち、ロック中間部材175の長手方向の幅がスキャナ100のスライド幅より長く設定されているとともに、スキャナ100の全スライド領域において作動部材178がロック中間部材175から外れない位置に設けられている。したがって、ロック中間部材175と作動部材178のカム形状179とが常に当接されているため、スキャナ100の位置を問うことなくロック手段170がプラテンカバー110をロックすることができる。
なお、ロック中間部材175は支持軸176を中心に回動されるとき、その面が図32〜図34に示すように上方に傾いた位置と図35〜図37に示すほぼ水平になる位置と間だけ揺動できればよいので、図32〜図34に示す位置ではカム形状179に当接されて保持されるが、図35〜図37に示す水平になる位置ではそれ以上下方へ回動することができないようにスキャナのケースにストッパ(図示せず)を設けている。よって、ロック中間部材175は図35〜図37に示すほぼ水平になる位置では作動部材178のカム形状179に触れていてもよいし、また僅かに離れてもよい。さらに、ストッパを設けると、ロック中間部材175がスライド面であるスキャナ100の下面より下方に飛び出すことがないので、スライド面よりの飛び出しでスムーズなスライドができなくなることが防止される。
上記実施形態では、スキャナ100の位置を問うことなく、すなわちスキャナ100をどの位置にスライドさせても上カバー18の開放でプラテンカバー110が開放されることを防止できるが、プラテンカバー110が開放されているときに、誤って上カバー18を開放してしまうことが防止できない。
そこで、本画像形成装置ではプラテンカバー110が開放状態のとき、上カバー部材18の開放を阻止するロック機構を設けており、次にその説明をする。
図40ないし図42において、カバーロック手段60の支軸62の左端には中継レバー265の一端が固定され、操作部61の操作で支軸62が回転すると該中継レバー265も回転する。中継レバー265の他端には装置の前後方向にスライドするスライド部材266の一端に取り付けられたピン267が当接されている。スライド部材266にはシート載置部40の前方から後方まで達する長尺なレバー部材で、その中央よりやや後方にはその延在方向に延びる長孔268が形成され、この長孔268には上カバー部材18に設けられたブラケット42に取り付けられたガイドコロ43が嵌合され、かかる構成によってスライド部材266のスライド方向及びスライド幅が規制される。そして、ブラケット42とスライド部材266の間にスライド部材266に対して常時後方へのスライド力を付勢する引っ張りスプリング269が設けられている。このスプリング269によってスライド部材266は図43に示すように、その後端が上カバー部材18の枠体に突き当たる位置に保持されている。また、操作部61を回動させると、中継レバー265がピン267と係合してスライド部材266が装置手前側に引っ張られる。そして操作部61から手を離すと、スプリング269によりスライド部材266が図43に示す位置に戻るように作用する。なお、部品の公差や組付け誤差を考慮し、上カバー部材18が閉じた状態のときに、ピン267と中継レバー265とは若干の隙間があることが好ましい。このような構成にすることにより、スライド部材266が中継レバー265に邪魔されることなく、スライド部材266の後端を上カバー部材18の枠体に確実に突き当てることができる。
スライド部材266の後端、すなわちピン267を設けた端の反対端には後述するロック解除部材271に係合する上方へ突出した係合凸部270が形成されている。ロック解除部材271は、厚みを持った短冊状に形成され、軸線が長手方向で短方向の一辺側に設けられた回動支点273を中心に回動可能にスキャナ100に装着されている。このロック解除部材271には、上記係合凸部270が係合する断面矩形の係合凹部272が形成され、この係合凹部272は本実施形態の場合3個設けられている。
ロック解除部材271の回動幅は、図44(a)に示す係合凸部270が係合凹部272に係合するロック位置と、図44(b)に示す係合凸部270が係合凹部272から離れて係合しないロック解除位置との間を揺動できるように図示していないストッパによって規制されている。このロック解除部材271には回動支点273を中心にバネ274によって係合凸部270が係合凹部272に係合しないロック解除位置への回動力が付勢されている。そして、ロック解除部材271はその後端側に当たるプラテンカバー110の開閉によって作動する作動部材275の足276によってロック位置とロック解除位置との間を揺動される。この作動部材275は支点277を中心に回動可能にスキャナ100に装着され、図45(a)及び図42に示すように、プラテンカバー110が開いているとき、作動部材275がフリーの状態であり、図示していないバネによってその足276がロック解除部材271に当たるロック位置に保持される。すなわち、作動部材275のバネとロック解除部材271のバネ274とは互いに対抗する方向の回動力を作動部材275とロック解除部材271にそれぞれ付勢しているが、作動部材275のバネがロック解除部材271のバネ274に打ち勝つことにより、作動部材275がフリーの状態ではロック解除部材271がロック位置に保持される。そして、プラテンカバー110が閉じられると、作動部材275が図42及び図45(a)の状態から支点277を中心に反時計方向に回動する。この回動によって、作動部材275の足276がロック解除部材271から離れようとする方向に移動し、ロック解除部材271は図41及び図45(b)に示すように、バネ274のバネ力によって回動支点273を中心に時計方向に回転して係合凹部272が係合凸部270から抜ける。
かくして、プラテンカバー110が開いていると、係合凸部270が係合凹部272に嵌っているので、上カバー部材18を開放するため操作部61を、支軸62を中心に回動しようとしてもスライド部材266をスライドすることができない。したがって、プラテンカバー110が開いていると、操作部61を動かないことで上カバー部材18の開放を阻止される。また、プラテンカバー110が閉じていると、ロック解除部材271の回動で係合凹部272が係合凸部270から抜けるので、スライド部材266をスライドすることができる。操作部61は支軸62を中心として回動することができ、プラテンカバー110が閉じているときは上カバー部材18を開放できる。
図46は、プラテンカバー110の開放時に上カバー部材18の開放を阻止するロック機構とロック手段170との配置関係を示した装置正面から見た支持部52の断面図である。図47はその配置関係を示したスキャナ100の裏面図である。
上カバー部材18の幅内には、ロック解除部材271の係合凹部272に係合する係合凸部270、スライド部材266と、ロック中間部材175と係合する作動部材178、カム形状179とが左右方向に設けられている。そして、スライド部材266は上カバー部材18のシート載置部40の面に沿って装置前後方向に設けられている。
これに対し、スキャナ100には、係合凸部270と係合するロック解除部材271および係合凹部272と、作動部材178のカム形状179と係合し回動可能なロック中間部材175とが左右方向に互い干渉しないように配置されている。
ここで、ロック解除部材271は、図45で説明したように、反時計方向に回動可能であり、図41で説明した状態と同じようにロック解除部材271と係合していない状態を示している。すなわち、操作部61によりロックを解除し、上カバー部材18を開放することが可能である。
一方、ロック中間部材175は、図32で説明した状態と同じように、カム形状179と当接することにより右上の図において時計回転方向に傾いており、その結果、ロック爪173が係止部140の孔から退避した状態を示している。すなわち、自動原稿送り装置120を開放することが可能である。
図48は、上記図46の状態において第1の支持部50を装置上方から見たものを示している。
図48より明らかなとおり、中間ロック部材175とロック解除部材271とは、支持部52の幅内にスライド可能に設けられたスキャナ100の脚部の内部に、回動可能に左右方向において併設されている。また、ロック部材171と作動部材275は、装置本体1の後端よりも後方に位置し、スキャナ100の内部に設けられている。また、係止部140は、図47に示すようにプラテンカバー110に設けられており、スキャナ100に対して閉じた場合、図46に示すように、作動部材175とロック部材171をまたがるように位置する。
よって、係止部140は、ロック部材171と係合・離脱することによりプラテンカバー110の開放を禁止・許可する機能と、作動部材275と係合・離脱することにより上カバー部材18の開放を許可・禁止する機能の両方を兼ね備えていることになる。
次に、スキャナロック機構の他の実施形態について説明する。
図49は、装置正面から見た断面説明図であって、本実施形態においてもスキャナ100は支持部52,51にスライド可能に支持されている。支持部52,51に対応する位置にそれぞれ複数の切り欠き335,336が形成されている。この切り欠き335,336にはシート載置部40の下方に位置するロック棒300の先端と手前側近くにそれぞれ設けられたロックピン301,302が嵌合されることでスキャナ100をいくつかのスライドして位置でロックすることができる。このとき、ロック棒300はコイルスプリング303によってロックピン301,302が切り欠き335,336に嵌合する方向、すなわち図の左方への移動力が常時付勢されている。
このように構成されたスキャナロック機構はロック棒300の手前側である押しボタン304を右方へ押すと、コイルスプリング303の作用に抗してロックピン301,302が切り欠き335,336から抜け、スキャナ100は図1の矢印Xa,Xb方向にスライドすることができる。なお、スキャナ100は押しボタン304を押してロックピン301,302が切り欠き335,336から抜けたとき、僅かにずらせばロックピン301,302が隣の切り欠き335,336に嵌合するまで、押しボタン304を押し続けなくともスキャナ100をスライドできる。
図50は、スキャナロック機構のさらに他の実施形態を示す装置上面から見た説明図であって、スキャナ100は図の上下方向にスライド可能に支持されている。
図50において、本実施形態ではスキャナ100の側板350,351に当接するブレーキ部材361,362が支持部51,52に設けられている。このブレーキ部材361,362にはそれぞれスキャナ100の側板350,351に圧接する方向への弾性力が図示していないスプリングによって付勢されている。また、装置本体1にはブレーキ部材361,362を押すピン371,372と、押しボタン373とが形成された解除棒370が矢印方向に移動可能に設けられている。
このように構成されたスキャナロック機構は解除棒370の押しボタン37を図の右方に押すと、ブレーキ部材361,362に設けられたゴム等のブレーキ板363,364が側面から離れ、スキャナ100を矢印Xa,Xb方向へスライドすることができる。また、スキャナ100は押しボタン373を離した位置でロックが可能であるのでロック位置が無数になるという利点を有する。