以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る忘れ物通知システムの全体構成を概略的に示す。この忘れ物通知システムは、携帯通信機1、施設通信機2a、施設通信機2b、路上通信機2c、施設管理サーバ3、広域通信ネットワーク(例えばインターネット)4、忘れ物サーバ5、無線基地局6a、無線基地局6b、車両内7の車両用ナビゲーション装置8、自宅内9のパーソナルコンピュータ10等を含んでいる。
携帯通信機1は、携帯電話機、無線通信機能を有するPDA等、通常はユーザに携帯されることで当該ユーザの管理下に置かれる無線通信機である。本実施形態においては、この携帯通信機1をユーザが置き忘れた結果、携帯通信機1がユーザの管理下を離れてしまった場合について主に説明する。
なお、本実施形態の携帯通信機1は、無線基地局6bを介した広域通信(例えば、電話通信)を行うと共に、施設通信機2a、2b、路上通信機2cを相手に狭域通信(無線LAN(ワイドバンド)、Bluetooth、DSRC等)を行うことができる。
図2に、この携帯通信機1の構成を示す。携帯通信機1は、広域通信部11、狭域通信部12、表示部13、操作部14、記憶部16、および制御部17を有している。
広域通信部11は、電話通話等の広域通信のための基地局(例えば無線基地局6b)と無線接続することで、当該基地局を介して当該広域通信を実現するための無線装置(すなわち、増幅、変調、復調、周波数変換等の機能を有する装置)である。
狭域通信部12は、Bluetooth、無線LAN(ワイドバンド)、DSRC等の狭域通信のためのインフラ側通信機(例えば施設通信機2a、施設通信機2b、路上通信機2c)との通信を実現するための無線装置である。なお、狭域通信部12による通信可能範囲は、広域通信部11による通信可能範囲より狭い。
表示部13は、制御部17からの制御に基づいてユーザに画像、文字等を表示する、ディスプレイ等の装置である。操作部14は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に基づく信号を制御部17に出力する装置である。記憶部16は、プログラム、各種データ等、制御部17が利用するデータが記録された媒体である。なお、制御部17は、この記憶部16に、データを記録させることもできる。
制御部17は、記憶部16に記録されたプログラムを実行することで、携帯通信機1内の他の機器とデータをやりとりして種々の処理(例えば電話通話処理)を実行する。制御部17の処理によって携帯通信機1が実現する機能の詳細については後述する。
施設通信機2a、施設通信機2b、および路上通信機2cのそれぞれは、インフラストラクチャに敷設される通信機である。例えば、施設通信機2a、2bは、店舗内に設置され、路上通信機2cは、道路脇、駐車場等に設置される。これらインフラ側通信機の通信可能エリアは、それぞれ異なる位置に設置され、それぞれの通信可能範囲は互いに異なっている(すなわち、完全一致しない)。
図3に、これらインフラ側通信機2の構成を示す。インフラ側通信機2のそれぞれは、ネットワークインターフェース部21、狭域通信部22a〜22c、記憶部23、および制御部24を有している。
ネットワークインターフェース部21は、施設管理サーバ3と通信するためのインターフェース回路である。図1の例においては、施設通信機2a、2bのそれぞれのネットワークインターフェース部21は、施設管理サーバ3への専用回線に接続するためのものである。また、路上通信機2cのネットワークインターフェース部21は、広域通信ネットワーク(例えばインターネット)4を介した通信によって施設管理サーバ3と通信するためのものである。しかし、施設通信機2a、2bのネットワークインターフェース部21が、広域通信ネットワーク4に接続するためのものであってもよいし、あるいは、路上通信機2cのネットワークインターフェース部21が、施設管理サーバ3への専用回線(例えば専用周波数帯の無線回線)に接続するためのものであってもよい。
狭域通信部22a〜22cは、携帯通信機1および他の携帯通信機と狭域通信を行うための無線装置である。狭域通信部22a〜22cが対応する通信規格は、それぞれ異なっている。このような異なる規格の狭域通信部を複数有することで、インフラ側通信機2は、複数の狭域通信規格の通信を実現することができ、それゆえ、多数の種類の携帯通信機と通信することが可能となる。
記憶部23は、プログラム、各種データ等、制御部24が利用するデータが記録された媒体である。なお、制御部24は、この記憶部23にデータを書き込むこともできる。 制御部24は、記憶部23に記録されたプログラムを実行することで、インフラ側通信機2内の他の機器とデータをやりとりして種々の処理を実行する。制御部24の処理によってインフラ側通信機2が実現する機能の詳細については後述する。
施設管理サーバ3は、施設通信機2a、施設通信機2b、路上通信機2c等の複数のインフラ側通信機2と通信し、さらに、広域通信ネットワーク4を介して忘れ物サーバ5と通信し、また広域通信ネットワーク4に対して(例えばWebサーバとして)情報を提供する。
図4に、この施設管理サーバ3の構成を示す。施設管理サーバ3は、広域ネットワークインターフェース部31、専用ネットワークインターフェース部32、記憶部33、および制御部34を有している。
広域ネットワークインターフェース部31は、広域通信ネットワーク4に接続するためのインターフェース回路である。専用ネットワークインターフェース部32は、施設通信機2a、2b等と専用線を介して通信するためのインターフェース回路である。
記憶部33は、プログラム、各種データ等、施設管理サーバ3が利用するデータが記録された媒体である。制御部34は、記憶部33に記録されたプログラムを実行することで、施設管理サーバ3内の他の機器とデータをやりとりして種々の処理を実行する。制御部34の処理によって施設管理サーバ3が実現する機能の詳細については後述する。なお、制御部34は、記憶部33に、データを書き込むこともできる。
忘れ物サーバ5は、施設管理サーバ3と通信し、その通信によって取得した情報を、広域通信ネットワーク4を介して車両用ナビゲーション装置8、パーソナルコンピュータ10に送信する。
図5に、この忘れ物サーバ5の構成を示す。忘れ物サーバ5は、ネットワークインターフェース部51、記憶部52、および制御部53を有している。ネットワークインターフェース部51は、広域通信ネットワーク4に接続するためのインターフェース回路である。記憶部52は、プログラム、各種データ等、忘れ物サーバ5が利用するデータが記録された媒体である。制御部53は、記憶部52に記録されたプログラムを実行することで、忘れ物サーバ5内の他の機器とデータをやりとりして種々の処理を実行する。制御部53の処理によって忘れ物サーバ5が実現する機能の詳細については後述する。なお、制御部53は、記憶部52に、データを書き込むこともできる。
車両用ナビゲーション装置8は、車両内7に設置され、近傍の無線基地局(例えば無線基地局6a)と無線接続することで、施設管理サーバ3、忘れ物サーバ5と通信することができる。
図6に、この車両用ナビゲーション装置8の構成、および、車両用ナビゲーション装置8の周囲に搭載される車載装置を示す。
車両用ナビゲーション装置8は、車外通信部81、車内通信部82、表示部83、操作部84、記憶部85、および制御部86を有している。また、車両内7には、ユーザ検知装置41および電源制御器42が搭載されている。
ユーザ検知装置41は、ユーザの車両内への進入を検出し、検出時にはその旨の信号を電源制御器42および車両用ナビゲーション装置8の制御部86に出力するセンサである。ユーザ検知装置41としては、例えば、車両外側のドアノブにユーザが触れたことを検出するセンサ、ドアが開いたことを検出するセンサ、車両周囲におけるユーザの車両への接近を検出するセンサ等がある。
電源制御器42は、車両用ナビゲーション装置8への電力の供給・非供給を制御する装置である。具体的には、ユーザ検知装置41からユーザを検出した旨の信号を受けると、電源制御器42は、車両用ナビゲーション装置8への電力供給をオンとし、これによって、車両用ナビゲーション装置8が起動する。
また電源制御器42は、車外通信部81から後述する受信開始通知の信号を受けると、車両用ナビゲーション装置8への電力供給をオンとし、これによって、車両用ナビゲーション装置8が起動する。また電源制御器42は、車外通信部81から後述する受信終了通知の信号を受けると、車両用ナビゲーション装置8への電力供給をオフとし、これによって、車両用ナビゲーション装置8(ただし車外通信部81は除く)の作動が停止する。
車外通信部81は、車両内7の近傍の基地局(例えば無線基地局6a)と無線接続し、その無線接続を介して広域通信ネットワーク4上の通信機器(例えば忘れ物サーバ5)と通信するための無線装置である。
車外通信部81は、車両用ナビゲーション装置8の他の部分が電力供給を受けていない場合であっても、常に電力供給を受けて作動している。そして車外通信部81は、無線通信によってデータを受信すると、受信開始通知をユーザ検知装置41に出力し、その後車両用ナビゲーション装置8の他の部分が起動すると、受信したデータを制御部86に出力する。また車外通信部81は、制御部86に出力したデータが記憶部85に記録された後、受信終了通知を制御部86に出力する。なお、車外通信部81は、記憶部85に当該データが記録されたことについては、例えば、制御部86からの通知によって検出するようになっていてもよい。
車内通信部82は、車両内7内を通信可能エリアとする、狭域通信を行うための通信装置である。携帯通信機1が車両内7にある場合には、この車内通信部82によって携帯通信機1と車両用ナビゲーション装置8の通信が実現する。
表示部83は、制御部86からの制御に基づいてユーザに画像、文字等を表示する、ディスプレイ等の装置である。操作部84は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に基づく信号を制御部86に出力する装置である。
記憶部85は、ナビゲーション用の地図データ、プログラム、各種データ等、制御部86が利用するデータが記録された媒体である。なお、制御部86は、この記憶部16に、データを記録させることもできる。
制御部86は、記憶部85に記録されたプログラムを実行することで、車両用ナビゲーション装置8の他の機器とデータをやりとりして種々の処理を実行する。例えば、記憶部85中の地図データを利用して、現在位置から目的地までの最適経路を算出し、算出した最適経路の走行を案内する処理(すなわち、ナビゲーション処理)を実行する。制御部86の処理によって車両用ナビゲーション装置8が実現する他の機能の詳細については後述する。
パーソナルコンピュータ10は、自宅内9に設置され、広域通信ネットワーク4を介して施設管理サーバ3、忘れ物サーバ5と通信することができる。
図7に、このパーソナルコンピュータ10の構成を示す。パーソナルコンピュータ10は、ユーザ検知装置90、ネットワークインターフェース部91、操作部92、表示部93、記憶部94、制御部95を有している。
ユーザ検知装置90は、ユーザのパーソナルコンピュータ10近傍への接近を検出し、検出時にはその旨の信号を制御部95に出力するセンサである。ユーザ検知装置90としては、例えば、赤外線センサ、パーソナルコンピュータ10の前に座った人を検出するためのカメラがある。
ネットワークインターフェース部91は、広域通信ネットワーク4に接続するためのインターフェース回路である。操作部92は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に基づく信号を制御部95に出力する装置である。表示部93は、制御部95からの制御に基づいてユーザに画像、文字等を表示する、ディスプレイ等の装置である。記憶部94は、プログラム、各種データ等、制御部95が利用するデータが記録された媒体である。なお、制御部95は、この記憶部94に、データを記録させることもできる。
制御部95は、記憶部94に記録されたプログラムを実行することで、パーソナルコンピュータ10の他の機器とデータをやりとりして種々の処理を実行する。制御部95の処理によってパーソナルコンピュータ10が実現する機能の詳細については後述する。
次に、本実施形態における忘れ物通知システムの作動例について説明する。図8に、この忘れ物通知システムの作動をシーケンス図で示す。この図の例は、携帯通信機1のユーザが、携帯通信機1を施設通信機2aの通信エリア内に置き忘れた場面における作動を示している。
施設通信機2a、2b等のインフラ側通信機2の制御部24は、狭域通信部22a〜22cを用いて、定期的に呼びかけ信号(ポーリング)の送信(ステップ102)を行っている。そして携帯通信機1の制御部17は、狭域通信部12を介してこの呼びかけ信号を受信した場合、その呼びかけ信号に対する応答信号を、送信元のインフラ側通信機(図8の例では施設通信機2a)に返送する。
また、携帯通信機1は、携帯通信機1に対するユーザの操作が基準時間以上ないこと等に基づいて(ステップ108)、忘れ物モードに入る(ステップ110)。携帯通信機1のこの作動を実現するために、制御部17は図9に示すプログラム200を実行するようになっている。
このプログラム200の実行において制御部17は、まずステップ220で、自機の位置がユーザ管理エリア外にあるか否かを判定する。ユーザ管理エリアとは、ユーザの管理下となるエリアをいう。したがって、携帯通信機1が基準時間以上このユーザ管理エリア内に放置されていたとしても、携帯通信機が置き忘れられていることにはならない場合が多い。ユーザ管理エリアとしては、例えば図1の車両内7、自宅内9等がある。
自機がユーザ管理エリア外にあるか否かの判定は、例えば、制御部17が狭域通信部12を介して受信する信号中に含まれる送信機識別コードに基づいて行うようになっていてもよい。
具体的には、
(1)狭域通信部12を介して信号を受信する、
(2)当該受信した信号中に、当該信号の送信元の機器の識別コードが含まれる、
(3)当該識別コードが、予め携帯通信機1の記憶部16に記録された1つまたは複数の管理下機器識別コードのうちいずれかに合致する、
という3つの条件のすべてが満たされたときに、自機がユーザ管理エリア外にない(すなわち、自機がユーザ管理エリア内にある)と判定し、これら3つの条件のうち1つでも満たされないときに、自機がユーザ管理エリア外にあると判定する。
記憶部16に記録される管理下機器識別コードとしては、例えば、ユーザの車両に搭載される車両用ナビゲーション装置8の識別コード、および、ユーザの自宅内9に設置された無線LANルータの識別コード等がある。この場合、車両内7、自宅内9が、ユーザ管理エリアとなり、それ以外の場所がユーザ管理エリア外となる。
ステップ220の判定結果が肯定的な場合、続いてステップ230を実行し、否定的な場合、再度ステップ220の判定を実行する。ステップ230では、「操作部14に対するユーザの操作が第1基準時間(例えば2分)以上行われていない」という条件が満たされているか否かを判定し、満たされている場合続いてステップ230を実行し、満たされていない場合再度ステップ220を実行する。
ステップ240では、レベル1のロックを実行する。ここでいう「ロック」とは、携帯通信機1の機能の制限のことである。また、機能の制限とは、携帯通信機1が実行できる複数種類の機能(例えば、電話通話機能、電子メール受信閲覧機能、電子メール送信機能)のうち一部または全部を無効化することをいう。
また、ロックには、複数のレベルがある。レベルが高くなるほど、機能制限の程度が強くなる、すなわち、無効化される機能の数が多くなる。例えば、レベル1ロックでは、電子メールの送信機能のみを無効化し、より高いレベル2ロックでは、電子メールの送信機能に加え電話通話機能を無効化し、さらに高いレベル3ロックでは、電子メールの送信機能および電話通話機能に加え、電子メールの受信機能を無効化する。なお、ステップ240でかけるロックのレベルは、レベル1以外のものでもよい。
続いてステップ250では、電力消費を抑えるために、(現在スリープ状態でなければ)スリープ状態に遷移する。そして更に、スリープ状態が継続している時間(すなわち、最後にスリープ状態に遷移してからの経過時間:以下、スリープ積算時間という)を計測する。
続いてステップ260では、解除条件が満たされたか否かを判定し、満たされなければ続いてステップ280を実行し、満たされれば続いてステップ270を実行する。解除条件が満たされる場合としては、操作部14に対して所定のロック解除操作があった場合がある。ロック解除操作としては、例えば、あらかじめ決められたパスワードの入力操作がある。
ステップ270では、解除条件が満たされたことに対応して携帯通信機1のロックを解除し、その後ステップ220を再度実行する。
ステップ280では、スリープ積算時間が第2基準時間(第1基準時間より長い:例えば10分)を超えたか否かを判定し、超えない場合には再度ステップ250を実行し、超えた場合には続いてステップ290で忘れ物モードに入る。なお、忘れ物モードに入るとき、制御部17は、図10に示すような通知画面を表示部13に表示させる。
このように、携帯通信機1は、自機がユーザ管理エリア外にある場合(ステップ220参照)、第1基準時間以上自機へのユーザ操作がないことに基づいて(ステップ230参照)、レベル1のロックを実行して(ステップ240参照)さらにスリープ状態に入り(ステップ250参照)、そのスリープ状態の継続期間が第2基準時間を超えるか(ステップ280参照)、あるいは解除条件が満たされる(ステップ260参照)まで待つ。そして、スリープ状態の継続期間が第2基準時間を超えると、忘れ物モードに入る。あるいは、スリープ状態の継続期間が第2基準時間を超えるまでに解除条件が満たされれば、携帯通信機1のロックを解除する(ステップ270参照)。
なお、携帯通信機1は、ロックしていない状態においてユーザ操作を受け付けた場合は、その操作に応じた各種処理(例えば電話通話処理、電子―メール送信処理、文章編集処理)を別途行うようになっている。
忘れ物モードに入った後、携帯通信機1は、施設通信機2aからの呼びかけ信号の送信(図8のステップ112参照)があった場合等に、忘れ物状態データを施設通信機2aに送信する(ステップ114)。
このような忘れ物状態データの送信等のために、制御部17は、忘れ物モードに入った直後、図11に示すプログラム300を実行する。そしてまずステップ310で、それまでのロックレベルより高いレベルのロック(例えば、レベル2ロック)を実行する。
続いてステップ320では、狭域通信部12を用いて、忘れ物状態データを近傍のインフラ側通信機に送信する。この忘れ物状態データには、(1)携帯通信機1がユーザの管理下にない旨を示す所定の情報(以下、忘れ物フラグという)、および(2)携帯通信機1を一意に特定できる識別コード(以下、携帯IDという)を含める。
続いてステップ330では、当該忘れ物状態データの受領確認(ACK)を、近傍のインフラ側通信機から受信したか否かを判定し、受信していない場合は再度ステップ330で忘れ物状態データの送信を行い、受信した場合は続いてステップ350を実行する。
ステップ350では、近傍のインフラ側通信機から呼びかけ信号を受信したか否かを判定し、受信した場合続いてステップ375で、忘れ物状態データの送信を行い、その後再度ステップ350を実行する。
このように、携帯通信機1は、忘れ物モードに入ると、ロックレベルをそれまでよりも高くし(ステップ310参照)、忘れ物状態データを近傍の(すなわち通信エリア内に自機が属している)インフラ側通信機(図8の例では施設通信機2a)に自発的に送信し、その送信が確実にインフラ側通信機に届いたことを確認するまで送信を繰り返す(ステップ330参照)。
その後携帯通信機1は、近傍のインフラ側通信機から呼びかけ信号を受信する度に(ステップ350参照)、それに対応して忘れ物状態データを返信する(ステップ375参照)。
なお、携帯通信機1は、呼びかけ信号および後述する遠隔設定信号以外の信号を受信した場合は、その信号の内容に応じた各種処理(例えば電話着信処理、電子―メール受信処理)を別途行うようになっている。
携帯通信機1から忘れ物状態データが送信された場合、携帯通信機1の近傍のインフラ側通信機(図8の例では施設通信機2a)の制御部24は、狭域通信部22a〜22cのうちいずれかを介してその忘れ物状態データを受信し、受信した忘れ物状態データに、自機(図8の例では施設通信機2a)の識別コード(以下、インフラIDという:所在位置情報の一例に相当する)を含め、その結果の忘れ物状態データを、ネットワークインターフェース部21を介して施設管理サーバ3に送信する(ステップ118)。なお、インフラIDとしては、当該インフラ側通信機の所在位置のマップコードであってもよいし、位置座標(緯度、経度、高度)範囲であってもよい。
その後制御部24は、受信した忘れ物状態データ中の携帯IDと忘れ物フラグとを関連付けて、記憶部23に記録する(ステップ116)。このように、インフラ側通信機は、自機の通信エリア内で忘れ物モードに入っている携帯通信機を特定する情報を記憶することができる。
施設通信機2aから施設管理サーバ3に忘れ物状態データが送信された場合、施設管理サーバ3の制御部34は、専用ネットワークインターフェース部32を介して当該忘れ物状態データを受信し、さらに、広域ネットワークインターフェース部31を介して、受信した忘れ物状態データを忘れ物サーバ5に送信する(ステップ119)。
さらに制御部34は、受信した忘れ物状態データ中のインフラIDと、記憶部33にあらかじめ記録されている対応テーブルを参照して、当該忘れ物状態データの送信元のインフラ側通信機の存在エリアを特定し、さらに当該存在エリアを携帯通信機1の存在エリアとして特定する(ステップ120)。
なお、この対応テーブルは、インフラIDと、当該インフラIDに対応するインフラ側通信機の所在位置の情報(例えば、緯度・経度・高さ、施設中の特定の区画、特定の店舗名、特定の駐車場名等)との対応関係を複数組分有するデータである。
さらに制御部34は、特定した携帯通信機1の存在エリアと、当該忘れ物状態データ中の携帯IDとを関連付けた情報を、WEBデータ(例えば、HTMLデータ)として作成し、作成したWEBデータに対して他の通信機器が(広域通信ネットワーク4を介して)アクセスできるように、例えばWEBサーバとして機能する(ステップ122)。
施設管理サーバ3から忘れ物サーバ5に忘れ物状態データが送信された場合、忘れ物サーバ5の制御部53は、ネットワークインターフェース部51を介して当該忘れ物状態データを受信し、受信した忘れ物状態データ中のインフラIDと、記憶部52にあらかじめ記録されている第1対応テーブルを参照して、当該忘れ物状態データの送信元のインフラ側通信機の存在エリアを特定し、さらに当該存在エリアを携帯通信機1の存在エリアとして特定する(ステップ123)。この第1対応テーブルの内容は、施設管理サーバ3における対応テーブルと同じである。なお、制御部53は、携帯通信機1の存在エリアの情報を、施設管理サーバ3から受信するようになっていてもよい。また、インフラIDがマップコードまたは位置座標範囲である場合には、それをそのま存在エリアとして特定するようになっていてもよい。
また制御部53は、記憶部52にあらかじめ記録されている第2対応テーブルを参照して、受信した忘れ物状態データ中の携帯IDに対応する通知先のアドレス(メールアドレス、IPアドレス等)を特定し、ネットワークインターフェース部51を介して、特定した通知先に、当該忘れ物状態データを送信する(ステップ124)。なお、第2対応テーブルには、携帯IDと当該携帯IDに対応する通知先アドレスとの組が、複数組記録されている。
また、忘れ物サーバ5から、忘れ物状態データ中の携帯IDに対応する通知先として車両用ナビゲーション装置8、パーソナルコンピュータ10等の通知先通信機器に忘れ物状態データが送信された場合、当該通知先通信機器は、受信した忘れ物状態データを記録する(ステップ125)。
例えば、作動中のパーソナルコンピュータ10の制御部95がネットワークインターフェース部91を介して忘れ物状態データを受信した場合、制御部95は、当該忘れ物状態データを記憶部94に記録する。
また例えば、車両用ナビゲーション装置8の車外通信部81が忘れ物状態データを受信した場合、車外通信部81が受信開始通知を電源制御器42に出力し、それに対応して電源制御器42が車両用ナビゲーション装置8への電力供給をオンとし、それによって起動した制御部86が車外通信部81から忘れ物状態データを取得し、取得した忘れ物状態データを記憶部85に記録する。そしてその記録後、車外通信部81(または制御部86でもよい)が受信終了通知を電源制御器42に出力し、電源制御器42がそれに応じて車両用ナビゲーション装置8への電力供給をオフにする。
その後、通知先通信機器は、ユーザが自機の近傍に近づいたことを検出すると、記録した忘れ物状態データの情報を当該ユーザに報知する(ステップ126)。
例えば、パーソナルコンピュータ10にユーザが近づくと、パーソナルコンピュータ10のユーザ検知装置90がユーザの存在を検出し、その旨の信号を制御部95に出力する。すると制御部95は、その信号に基づいて、受信して記憶部94に記録した携帯通信機1の存在エリアの情報を、表示部93を用いてユーザに表示する。
また例えば、車両用ナビゲーション装置8の近傍(すなわち車両内7)にユーザが接近すると、ユーザ検知装置41がそれを検出し、その旨の信号(以下、接近信号という)を電源制御器42に出力し、電源制御器42が当該接近信号を受けたことに基づいて車両用ナビゲーション装置8への電力供給をオンとする。そして制御部86が起動すると、ユーザ検知装置41は、制御部86にも接近信号を出力する。
制御部86は、起動後に、図12に示すプログラム400を実行し、まずステップ410で、ユーザが接近したか否かを、ユーザ検知装置41からの接近信号の有無に基づいて判定し、接近したと判定した場合、続いてステップ430を実行し、接近したと判定しない場合、再度ステップ410を実行する。
ステップ430では、記憶部85に記録されている忘れ物状態データを読み出し、読み出した忘れ物状態データに基づいて、携帯通信機1の存在エリアの情報を示す画像または文字を生成し、生成した画像または文字を表示部83に表示させる。これによって、車両用ナビゲーション装置8は、携帯通信機1の存在位置を自動的に(すなわち、ユーザの特別な操作を必要とせず)ユーザに通知することができる。
表示部83に表示させる画像の例としては、図13、図14に示すような画像がある。図13、図14の画像は、商店街の店舗中のテーブル毎にインフラ側通信機が設置されている場合において、詳細度を段階的に変化させて表示を行うための画像である。
図13に示す画像は、商店街の地図71と、当該地図上の存在エリアを含む店舗72を指示するマーク73と、当該店舗72までの経路74と、当該店舗72内の詳細図がある旨を示すボタン75と、経路案内用ボタン76と、遠隔制御用ボタン77と、を有している。ボタン75、76、77は、ユーザが操作部84を用いて選択することができるようになっている。また、図13に示す画像に、当該店舗72の名称および電話番号を表示させるようになっていてもよい。
ユーザがボタン75を選択すると、制御部86は、図14に示すの画像を表示部83に表示させる。図14に示す画像は、店舗72内の地図71と、当該地図上の存在エリアを含を指示するマーク42と、当該店舗72内の受付エリア(すなわち、受付用の係員がいるエリア)を指示するマーク43と、遠隔制御用ボタン44と、を有している。
このような画像を車両用ナビゲーション装置8が表示することで、ユーザは、携帯通信機1の所在を視覚的に把握することができる。
なお、制御部86は、図13、14に示すような地図、および、当該地図中の店舗73、存在エリア42、受付エリア43の配置についての情報(以下、配置情報という)は、記憶部85中の地図データから読み出すようになっていてもよいし、忘れ物状態データと共に忘れ物サーバ5から受信するようになっていてもよいし、忘れ物サーバ5を介して施設管理サーバ3から受信するようになっていてもよい。
また、制御部86は、図13に示すような経路74を、記憶部85中の地図データに基づいて算出するようになっていてもよいし、忘れ物状態データと共に忘れ物サーバ5から受信するようになっていてもよいし、忘れ物サーバ5を介して施設管理サーバ3から受信するようになっていてもよい。経路74を制御部86が受信する場合は、その経路74の送信元の忘れ物サーバ5または施設管理サーバ3が、当該経路74の算出を行う。
また制御部86は、ステップ430に続くステップ440で、表示部83に表示させた忘れ物情報をユーザが確認したか否かを、操作部84に対する所定の操作があったか否かで判定し、確認したと判定した場合続いてステップ450を実行し、確認していないと判定した場合続いてステップ430を実行する。
続いてステップ450では、ユーザがすぐに携帯通信機1を回収に行くつもりであるか否かを、操作部84に対するユーザ操作に基づいて判定する。図13、図14に示した表示例においては、所定時間以内に図13の経路案内ボタン76の選択があった場合に、ステップ450の判定結果が肯定的となり続いてステップ460を実行し、そうでない場合、ステップ450の判定結果が否定的となり、その後プログラム400の実行が終了する。
ステップ460では、経路74に従った経路案内を、既述のナビゲーション処理によって実現する。ステップ460の後、プログラム400の実行は終了する。
なお、携帯通信機1が単に置き忘れられただけでなく、移動(図8の180参照)する場合がある。移動の原因としては、携帯通信機1の拾得者(または窃盗者)が所持して移動すること等がある。このような場合において、携帯通信機1が施設通信機2aの通信エリアから施設通信機2bの通信エリアに入ると、制御部17は、図11のステップ350において、施設通信機2bから送信された(図8のステップ127)呼びかけ信号を受信し、それに応じてステップ375で忘れ物状態データを送信する(ステップ128)。
すると施設通信機2bの制御部24は、施設通信機2aと同様に、受信した忘れ物状態データに、自機のインフラID(所在位置情報の一例に相当する)を含め、その結果の忘れ物状態データを、ネットワークインターフェース部21を介して施設管理サーバ3に送信する(ステップ130)。また施設通信機2bの制御部24は、受信した忘れ物状態データ中の携帯IDと忘れ物フラグとを関連付けて、記憶部23に記録する(ステップ132)。
施設通信機2bから施設管理サーバ3に忘れ物状態データが送信された場合、施設管理サーバ3は、ステップ119と同様の処理で、受信した忘れ物状態データを忘れ物サーバ5に送信する(ステップ138)。
さらに施設管理サーバ3は、ステップ120と同様に、受信した忘れ物状態データ中のインフラIDと、記憶部33にあらかじめ記録されている対応テーブルを参照して、当該忘れ物状態データの送信元のインフラ側通信機の存在エリアを特定する。
そして、受信した忘れ物状態データ中の携帯IDと同じ携帯IDについての存在エリアが現在記憶部33に記録されていれば、新たに受信した存在エリアを、携帯通信機1の新たな存在エリアとして、それまで記録されていた当該存在エリアに置き換える。すなわち、携帯通信機1の存在エリアをアップデートする(ステップ134)。さらに施設管理サーバ3は、新たに特定した存在エリアを用いて、ステップ122で作成したWEBデータを更新する(ステップ136)
施設管理サーバ3から忘れ物サーバ5に忘れ物状態データが送信された場合、忘れ物サーバ5は、ステップ123と同様に、当該忘れ物状態データの送信元のインフラ側通信機の存在エリアを特定する。そして、受信した忘れ物状態データ中の携帯IDと同じ携帯IDについての存在エリアが記憶部52に記録されていれば、新たに受信した存在エリアを、携帯通信機1の新たな存在エリアとして、それまで記録されていた当該存在エリアに置き換える。すなわち、携帯通信機1の存在エリアをアップデートする(ステップ140)。
また忘れ物サーバ5は、ステップ124と同様に、受信した忘れ物状態データ中の携帯IDに対応する通知先のアドレスを特定し、特定した通知先に、当該忘れ物状態データを送信する(ステップ142)。
また、忘れ物サーバ5から、忘れ物状態データ中の携帯IDに対応する通知先として車両用ナビゲーション装置8、パーソナルコンピュータ10等の通知先通信機器に忘れ物状態データが送信された場合、当該通知先通信機器は、受信した忘れ物状態データを記録する(ステップ144)。
なお、当該通知先通信機器は、受信した忘れ物状態データに基づいて、図12のステップ430以降を実行することで、ユーザに携帯通信機1の位置を通知するようになっていてもよい。
その後、ユーザは、通知先通信機器を操作して、携帯通信機1のロックレベル等の遠隔制御を行うことができる。例えば、パーソナルコンピュータ10においては、ユーザが携帯通信機1の遠隔制御を依頼する旨の操作を操作部92に対して行った場合(ステップ146)、制御部95が、遠隔設定信号を、忘れ物状態データの送信元のインフラ側通信機および携帯通信機1を最終宛先として、忘れ物サーバ5に送信する(ステップ148)。当該インフラ側通信機および携帯通信機1は、最後に受信した忘れ物状態データ中のインフラIDおよび携帯IDを用いて特定する。
また例えば車両用ナビゲーション装置8においては、制御部86は、プログラム400の実行時に、ユーザが携帯通信機1の遠隔制御を依頼する旨の操作を操作部84に対して行った場合(例えば、ユーザが図13、図14の遠隔制御ボタン77、44を選択した場合、図8のステップ146)、遠隔設定信号を、忘れ物状態データの送信元のインフラ側通信機および携帯通信機1を最終宛先として、忘れ物サーバ5に送信する(図8のステップ148)。
遠隔設定信号に含める情報は、携帯通信機1のロックレベルを指定する情報、忘れ物モードの解除の有無を示す情報等である。指定するロックレベル、および忘れ物モードの解除の有無は、操作部84に対するユーザの操作内容に基づいて決定する。
忘れ物サーバ5は、車両用ナビゲーション装置8から受信した遠隔設定信号を、宛先のインフラ側通信機(図8の例では施設通信機2b)に接続された施設管理サーバ3へ転送する(ステップ152)。また、施設管理サーバ3は、この転送された遠隔設定信号を受信すると、宛先のインフラ側通信機に送信する(ステップ154)。また、インフラ側通信機は、この遠隔設定信号を受信すると、宛先の携帯通信機1に送信する(ステップ156)
携帯通信機1の制御部17は、この遠隔設定信号を受信すると、図11のステップ350で近傍のインフラ側通信機から呼びかけ信号を受信していない場合に続くステップ360で、遠隔設定信号を受信と判定し、続いてステップ380を実行する。なお、受信していないと判定した場合は再度ステップ350を実行する。
ステップ380では、直前のステップ360で受信した遠隔設定信号の内容に基づいて、携帯通信機1のロックレベルを設定する。続いてステップ385では、直前のステップ360で受信した遠隔設定信号に、忘れ物モードの解除ありを示す情報が含まれているか否かを判定し、含まれていなければ再度ステップ350を実行し、含まれていれば続いてステップ390で忘れ物モードを解除した上で、その後プログラム300の実行を終了する。
このように、携帯通信機1は、近傍のインフラ側通信機から遠隔設定信号を受信すると(ステップ360参照)、その遠隔設定信号の内容に従ってロックレベルを設定し(ステップ380)、また、遠隔設定信号の内容に忘れ物モード解除命令が含まれていれば(ステップ385参照)、忘れ物モードを解除する(ステップ390参照)。この処理は、図8のステップ158の処理に該当する。
そして制御部17は、遠隔設定信号の内容に従った処理を行った後、処理完了通知を近傍のインフラ側通信機(図8の例では施設通信機2b)に送信する(ステップ160)。この処理完了通知を受信したインフラ側通信機は、施設管理サーバ3へ当該処理完了通知を転送し(ステップ162)、当該処理完了通知を受信した施設管理サーバ3は、当該処理完了通知を忘れ物サーバ5へ転送する(ステップ164)。
また、この処理完了通知を受信した忘れ物サーバ5は、当該処理完了通知を(遠隔設定信号の発信元の)通知先通信機器に転送する(ステップ168)と共に、遠隔制御処理完了の旨を記録する(ステップ166)。また、この処理完了通知を受けた通知先通信機器は、遠隔制御処理完了の旨を記録する(ステップ170)。
以上のような忘れ物通知システムの作動により、携帯通信機1の存在エリアのユーザへの通知、および、ユーザによる携帯通信機1の機能制限の遠隔制御が実現する。
すなわち、忘れ物通知システムにおいて、複数のインフラ側通信機2a〜2cのそれぞれは、自機の通信可能エリア内の携帯通信機1から、当該携帯通信機1が忘れ物状態データを受信したことに基づいて、受信した当該忘れ物状態データに自機の所在位置情報を含めて施設管理サーバ3、および施設管理サーバ3を介して忘れ物サーバ5に送信する。
また、施設管理サーバ3は、当該複数のインフラ側通信機のうち1つ(例えば施設通信機2a)から送信された忘れ物状態データを受信したことに基づいて、当該忘れ物状態データに含まれるインフラ側通信機の所在位置情報を、当該忘れ物状態データにおいて特定されている携帯通信機1の所在位置として、WEBデータの形式で通知する。
また、忘れ物サーバ5は、当該複数のインフラ側通信機のうち1つから送信された忘れ物状態データを受信したことに基づいて、当該忘れ物状態データに含まれるインフラ側通信機の所在位置情報を、当該忘れ物状態データにおいて特定されている携帯通信機1の所在位置として、あらかじめ携帯通信機に対応して登録されている通知先通信機器に通知する。
このように、通信可能エリアがそれぞれ異なる複数のインフラ側通信機2a〜2cのうち、携帯通信機と通信しているインフラ側通信機の所在位置を、当該携帯通信機の所在位置であるとみなすことで、当該インフラ側通信機の通信可能エリアの大きさ程度の正確さで、当該携帯通信機1の所在を特定することができる。
また、上述のような忘れ物通知システムと通信可能な携帯通信機1が、自機が基準時間以上ユーザの操作を受けていないことを検出し、当該検出に基づいて、複数のインフラ側通信機のうち、自機が通信可能エリア内にあるインフラ側通信機に対して、忘れ物状態データを送信するようになっている。
このように、基準時間以上放置されている場合に携帯通信機1が忘れ物状態データを送信するようになっていることで、正確性の高い置き忘れの検知が可能となる。
また、携帯通信機1は、あらかじめ設定された自機のユーザの管理エリア内に自機がある場合には、忘れ物状態データの送信を禁止するようになっている。
このようになっていることで、携帯通信機1が基準時間以上放置されていたとしても、必ずしも携帯通信機1が置き忘れられているとは限らないようなエリア(例えば、自宅、自車両内等)を管理エリアとして予め定めておけば、不必要な忘れ物状態データの送信を抑えることができる。
また、携帯通信機1は、忘れ物通知システムの第1の携帯通信機から遠隔設定信号を受信したことに基づいて、自機の機能の制限内容を変化させるようになっている。このようになっていることで、きめ細かな携帯通信機の遠隔操作による機能制限が実現する。
また、忘れ物サーバ5は、無線通信機と通知先通信機との第2対応テーブル(複数組の対応関係データに相当する)を記憶しており、また、インフラ側通信機から送信された忘れ物状態データを受信した場合、当該忘れ物状態データにおいて特定されている携帯通信機1を当該第2対応テーブルに適用することで、当該の忘れ物状態データに対応する通知先通信機を特定し、特定した通知先通信機に対して、当該忘れ物状態データに含まれる携帯通信機の所在位置情報を送信する。
このように、忘れ物サーバ5にあらかじめ第2対応テーブルを記憶させておくことで、その第2対応テーブルに基づいて、携帯通信機1の所在位置情報を通知する先を決定することができる。これにより、置き忘れられた携帯通信機1の所在位置の適切な通知先通信機(例えば、携帯通信機1のユーザへの連絡先としての通知先通信機)を容易に特定することができる。
また、施設管理サーバ3および忘れ物サーバ5は、通知先通信機から携帯通信機1の機能制限を制御する遠隔設定信号を受信したことに基づいて、上述の携帯通信機1を特定する忘れ物状態データの送信元であるインフラ側通信機に対して、当該遠隔設定信号を送信するようになっている。その場合、インフラ側通信機は、当該遠隔設定信号を受信したことに基づいて、当該携帯通信機1に当該遠隔設定信号を送信するようになっている。
このようになっていることで、インフラ側通信機は、忘れ物サーバ5、施設管理サーバ3を介して置き忘れた携帯通信機1の所在位置情報が適切な通知先通信機に通知されるばかりではなく、通知先通信機から忘れ物サーバ5、施設管理サーバ3、インフラ側通信機を介して、携帯通信機1の機能制限を遠隔制御することが可能となる。
また、携帯通信機1は、忘れ物通知システムのインフラ側通信機から遠隔設定信号を受信したことに基づいて、自機の機能の制限内容を変化させるようになっている。このようになっていることで、きめ細かな携帯通信機の遠隔操作による機能制限が実現する。
また、施設管理サーバ3および忘れ物サーバ5は、施設通信機2a(第1のインフラ側通信機の一例に相当する)から第1の忘れ物状態データ(図8のステップ118、119参照)を受信した後、施設通信機2b(第2のインフラ側通信機の一例に相当する)から送信された第2の忘れ物状態データ(ステップ130、138参照)を受信した場合、当該第2の忘れ物状態データにおいて特定されている携帯通信機1と、第1の忘れ物状態データにおいて特定されている携帯通信機1とが同じであることに基づいて、第1および第2の忘れ物状態データにおいて特定されている当該携帯通信機1の所在位置を、第2の忘れ物状態データに含まれるインフラ側通信機の所在位置情報に更新し、更新後の所在位置を通知するようになっている。
携帯通信機1が拾得、盗難等に遭って誰か(または何か)によって運ばれて移動している場合、その移動に応じて携帯通信機が属する通信可能エリアが変われば、それまでとは異なるインフラ側通信機から同じ携帯通信機を特定する忘れ物状態データが送信されることになる。そして、上記のような構成によれば、施設管理サーバ3、忘れ物サーバ5は、同じ携帯通信機の忘れ物状態データを異なるインフラ側通信機から受ければ、新しく受けた方の忘れ物状態データにおいて特定されている所在位置を、新しく受けた方の忘れ物状態データにおいて特定されている所在位置に置き換える。したがって、施設管理サーバ3、忘れ物サーバ5は、携帯通信機の移動に追随した所在位置通知を行うことができる。
また、通知先通信機器(ユーザ側通信端末に相当する)が、忘れ物サーバ5から、携帯通信機1の所在位置情報を受信して記録し、さらに、自機へのユーザの接近を検出し、その検出に基づいて、記録した所在位置情報をユーザに表示するようになっている。
このようになっていることで、ユーザが通知先通信機器(例えば、車両用ナビゲーション装置8、パーソナルコンピュータ10)の付近にいないときに、携帯通信機1の所在位置情報を忘れ物サーバ5から受信して記録した場合でも、ユーザが通知先通信機器に近づいたときに、自動的にその所在位置情報がユーザに通知されるので、ユーザが携帯通信機1の置き忘れに気付いていないときには、置き忘れた位置のみならず、その置き忘れ自体に気付かせることができる。
また、車両用ナビゲーション装置8は、記録した所在位置までの経路を表示および案内するようになっている。このようになっていることで、携帯通信機1を回収に行くことが、ユーザにとって容易になる。
なお、携帯通信機1において、上述のように複数の段階に分かれたロックレベル(例えばレベル1〜3のロック)があり、それらのうちの最低のレベル(すなわち最も制限が弱いレベル)以外のロックが実行されている場合、制御部17は、操作部14に対するユーザ操作に合わせて段階的にロックレベルを下げていき、最終的にロックを解除するようになっていてもよい。
例えば、制御部17は、図15に示すように、レベル3ロックがかかっている状態では、表示部13に、ロックレベルを通知すると共に所定のデータ1(具体的にはユーザ名前)の入力を促す画像61を表示させ、当該データの入力が操作部14に対して行われると、ロックレベルを1段階下げてレベル2ロックを実行する。
また、制御部17は、レベル2ロックを実行した後、表示部13に、データ1が入力されたことを通知すると共に所定のデータ2(具体的には、あらかじめユーザが設定したロックパスワードのうちいずれか)の入力を促す画像62を表示させ、当該データの入力が操作部14に対して行われると、ロックレベルを1段階下げてレベル1ロックを実行する。
そして、制御部17は、レベル1ロックを実行した後、表示部13に、データ2が入力されたことを通知すると共に所定のデータ3(具体的には、あらかじめユーザが設定したロックパスワードのうちいずれか)の入力を促す画像63を表示させ、当該データの入力が操作部14に対して行われると、ロックを解除する。その後、制御部17は、データ3の入力があった旨、およびロックを解除する旨を示す画像64を表示部13に表示させる。
なお、車両用ナビゲーション装置8の制御部86は、携帯通信機1が車両内7(すなわちユーザ管理エリア)に入ったときの時刻および自機の位置、ならびに、携帯通信機1が車両内7から外に出たときの時刻および自機の位置を、記憶部85に記録するようになっていてもよい。このような作動を実現するために、制御部86は、図16に示すプログラム500を実行する。
このプログラム500の実行において、制御部86は、まずステップ510で、車内通信部82を介して携帯通信機1と無線接続したか否かを判定し、無線接続したなら続いてステップ530を実行し、無線接続していないならステップ520で携帯通信機1の置き忘れ警告を行う。
この置き忘れ警告は、車両内7に携帯通信機1を持ち込むのを忘れていることをユーザに知らせるための通知である。なお、このステップ520は、あらかじめ決められたユーザ管理エリア(例えば、自宅駐車場、勤め先駐車場)に自機があるときにのみ実行するようになっていてもよい。なお、これらあらかじめ決められたユーザ管理エリア内に自機があるか否かは、ユーザ管理エリアに該当する位置の座標範囲(あらかじめ記憶部85に記録されている)と、図示しないGPS等の位置検出器に基づいて特定した自機の現在位置との比較に基づいて判定してもよいし、あるいは、図示しない車外近距離通信部が、ユーザ管理エリアを通信エリアとする通信機(あらかじめ記憶部85に記録されている)と通信しているか否かに基づいて判定してもよい。
ステップ530では、接続した携帯通信機1の携帯IDを記憶部85に記録する。続いてステップ540では、自機の現在位置(すなわち携帯通信機1の接続位置)および現在時刻(すなわち携帯通信機1の接続時刻)を、当該携帯IDに関連付けて、記憶部85に記録する。
続いてステップ550では、当該携帯通信機1との無線接続が切断するまで待ち、切断されると、続いてステップ560で、自機の現在位置(すなわち、携帯通信機1の切断位置)および現在時刻(すなわち、携帯通信機1の切断時刻)を、当該携帯IDに関連付けて記憶部85に記録する。
なお、ステップ560の後、記憶部85は、スリープ状態に移行するようになっていてもよいし、車両用ナビゲーション装置8自体が停止するようになっていてもよい。
このようになっていることで、ユーザは、後にこの記録を確認することで、車両用ナビゲーション装置8に無線接続されていた携帯通信機1をどの場所・時間において接続を外したかがわかり、携帯通信機1の紛失場所をある程度特定する手がかりを得ることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
例えば、上記実施形態においては、携帯通信機1とインフラ側通信機との間の通信として、狭域通信が示されているが、携帯通信機1とインフラ側通信機との間の通信としては、近接型通信(例えば、RFタグ、無線カードを用いた通信)を用いてもよい。
また、施設管理サーバ3は必ずしもなくてもよい。その場合、インフラ側通信機が直接忘れ物サーバ5に忘れ物状態データを送信するようになっていればよい。
また、忘れ物サーバ5も、施設管理サーバ3と同様に携帯通信機1の存在エリアを報知するWEBデータを作成し、そのWEBデータに広域通信ネットワーク4上の通信機器からアクセスできるようにしてもよい。
また、車両用ナビゲーション装置8は、記憶部85として、ハードディスクドライブおよびそれ以外の(ハードディスクドライブよりも起動が速い)他の書き込み可能記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ)を有している場合、受信した忘れ物状態データをハードディスクドライブ以外の書き込み可能記憶媒体に記憶するようになっていてもよい。この場合、制御部86は、ユーザ検知装置41から接近信号を受けた場合、ハードディスクドライブを作動させず、当該他の書き込み可能記憶媒体から忘れ物状態データを読み出すようになっていてもよい。このようになっていることで、ユーザを検知してから短時間で表示を行うことができる。
また、携帯通信機1がユーザ管理エリア内にある場合にも、ステップ230〜290のような処理を行ってもよい。その際には、ステップ230の設定時間およびステップ280の基準時間は、ユーザ管理エリア外にある場合に比べて長くし、かつ、ステップ240のロックのレベルは、ユーザ管理エリア外にある場合に比べて低いものにしてもよい。
このように、携帯通信機1は、自機がユーザ管理エリア内にあるような場合であっても、忘れ物状態データを送信する場合がある。したがって、例えば、車両盗難等によって携帯通信機がユーザの管理下から離れてしまうような場合に対応して、忘れ物状態データの送信、ひいては、携帯通信機の位置の特定が可能となる。
ただし、ユーザ管理エリア内における盗難の可能性は、ユーザ管理エリア外における置き忘れの可能性よりも低いので、ユーザ管理エリア内において基準時間として使用する時間は、前者の方が長くなっている。これによって、ユーザ管理エリア内においては、忘れ物状態データの送信は行いつつも、不必要な忘れ物状態データの送信をある程度抑えることができる。また、ユーザ管理エリア内においては、ロックレベルを低く設定するので、ロック解除のための操作のステップ数が少なくなる。
また、携帯通信機1は、ロックを解除しようとする操作が自機に対してあったことを検出すると、近傍のインフラ側通信機にその旨の信号(以下、操作信号という)送信するようになっていてもよい。なお、この操作信号には、ロック解除の失敗・成功の情報を含めるようになっていてもよい。
そして、当該インフラ側通信機は、受信した操作信号を施設管理サーバ3に送信し、施設管理サーバ3は受信した操作信号を忘れ物サーバ5に送信し、忘れ物サーバ5は受信した操作信号を携帯通信機1に対応する通知先通信機器に送信し、当該通知先通信機器は操作信号の受信の通知をユーザに行うようになっていてもよい。
また、電源制御器42は、車両用ナビゲーション装置8の必要な部分への電力供給のみをオンにするようになっていてもよい。その場合、忘れ物状態データの受信時は、車外通信部81から受信開始通知を受信したことに基づいて、記憶部85と制御部86への電力供給のみをオンとするようになっていてもよい。
また、上記実施形態のように、インフラIDをを具体的な所在エリアに変換する処理は、施設管理サーバ3が行ってもよいし、インフラ側通信機自体が行ってもよいし、忘れ物サーバ5、通知先通信機器において行ってもよい。
また、各施設に各種の通信機器が設置される可能性があるため、携帯通信機1においては、どの施設でどのような通信機能(通信周波数、通信方式)が使われるかという施設通信機能データ(初期通信処理に使うデータ)が記憶部16にあらかじめ記憶されていてもよい。その場合、携帯通信機1は、現在位置(例えば図示しないGPS受信機によって特定する)に対応する施設の通信機能に合わせて自機の通信機能を設定するようになっていてもよい。また、携帯通信機1は、各施設に入る前に、ユーザの操作に応じて、当該施設の施設通信機能データを、当該施設のWEBサーバ等からダウンロードするようになっていてもよい。あるいは、携帯通信機1は、当該施設の入り口で、当該入り口に設置された通信機から、近接通信により、当該施設の施設通信機能データを受信し、受信したデータに基づいて、自機の通信機能を設定できるようにしてもよい。
また、インフラ側通信機は、携帯通信機1との通信が途絶した場合に、当該途絶の時刻を記録するようになっていてもよい。
また、携帯通信機1から送信され、インフラ側通信機、施設管理サーバ3、忘れ物サーバ5、通知先通信機器において記録される忘れ物状態データには、携帯通信機1のロックレベル、携帯通信機1の電源残量を含めるようになっていてもよい。
また、携帯通信機1の通信相手のインフラ側通信機が変化する場合、すなわち、携帯通信機1が移動している場合、盗難の可能性が高い。したがって、この場合には、携帯通信機1は、忘れ物サーバ5、通知先通信機器等に対して位置情報を送信するための通信機能以外の通信機能を無効化するようになっていてもよい。あるいは、窃盗者の携帯通信機1に対する操作内容を、インフラ側通信機を介して忘れ物サーバ5、通知先通信機器等に送信するようになっていてもよい。これにより、盗難者の特定が容易になる可能性が増加する。
また、携帯通信機1の制御部17は、図9のステップ230の判定結果が肯定的であってことに基づいて、すぐにステップ290を実行するようになっていてもよい。
また、上記の実施形態において、各制御部がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
また、上記実施形態においては、ナビゲーション装置は車載タイプのものであるが、ナビゲーション装置は、船舶や飛行機に搭載されるものであってもよいし、人が持ち運びできるタイプのものであってもよい。例えば、ナビゲーション装置の機能を有する携帯電話機も、本発明のナビゲーション装置に該当する。