JP5156552B2 - ガスバリアフィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、容量結合型のプラズマCVDを利用するガスバリアフィルムの製造方法に関し、詳しくは、耐熱性の低い基板を用いて、ガスバリア性の良好なガスバリアフィルムを製造できるガスバリアフィルムの製造方法に関する。
防湿性を要求される各種の装置や光学素子などに利用されるガス(水蒸気)バリアフィルム膜として、樹脂(プラスチック)フィルムの表面に窒化珪素膜を成膜してなるガスバリアフィルムが知られている。
また、窒化珪素膜の成膜方法として、容量結合型プラズマCVD(CCP(Capacitively Coupled Plasma)−CVD)が知られている。
周知のように、CCP−CVDとは、1対の電極対を用い、両電極間に、原料ガスを供給し、かつ、電圧を印加することにより、プラズマを生成して原料ガスを解離・電離させてラジカルやイオンを生成し、電極間に配置した被処理物の表面にプラズマCVDによる成膜を行なうものである。
このCCP−CVD法は、構成が簡易である、電極から原料ガスを供給することにより、電極を大面積化しても成膜領域の全域に均一にガスを供給でき(ガスの均一化が容易である)、従って、大面積の基板に容易に対応可能である等の利点を有する。
例えば、特許文献1には、窒化珪素膜の元素比がN/Si=0.8〜1.4で、膜密度が2.1〜3g/cm2である透明なガスバリアフィルムが開示されている。
この特許文献1の実施例においては、基板としてポリエーテルスルホンフィルムを、原料ガスとしてシランガス、アンモニアガス、および水素ガスを用い、CCP−CVD法によって、基板温度150℃、シランガス流量2〜20sccm、投入電力300W、成膜圧力10Paの条件で、窒化珪素膜を形成して、ガスバリアフィルムを作製している。
特開2005−342975号公報
特許文献1に示されるように、ガスバリアフィルムの基板としては、樹脂フィルムが利用されている。
ここで、特許文献1においては、基板としてポリエーテルスルホンフィルムを用いて、基板温度を150℃として窒化珪素膜を成膜しているが、基板温度が150℃では、安価なPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなど、耐熱性が低い樹脂フィルムへの窒化珪素膜の成膜は困難である。
温度を下げて成膜を行なえば、PETフィルム等の耐熱性の低い樹脂フィルムに窒化珪素膜を成膜することは可能である。しかしながら、低温での成膜では、目的とする性能を有するガスバリアフィルムを得ることが出来ない場合が、多々、生じる。
さらに、成膜圧が10Paでは、高性能な成膜装置が必要であり、特に、生産性を向上したい場合、すなわち原料ガス流量を向上したい場合には、装置コストが非常に高くなってしまう。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、PETフィルム等の耐熱性が低い樹脂フィルム等を基板として用いて、優れたガスバリア性を長期に渡って発現する高品質なガスバリアフィルムを、安価な装置で高い生産性で製造することができる、ガスバリアフィルムの製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明のガスバリアフィルムの製造方法は、原料ガスとして、シランガスと、アンモニアガスと、窒素ガスおよび水素ガスの少なくとも一方とを用い、前記シランガスの流量をQ[sccm]、プラズマを生成するために投入する電力をP[W]とした際におけるP/Q[W/sccm]を10〜30W/sccm、成膜圧力を20〜200Pa、基板温度を70℃以下として、かつ、前記基板に−100V以下のバイアス電位を印加しつつ、容量結合型プラズマCVDによって、前記基板の表面に窒化珪素膜を成膜することを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法を提供する。
このような本発明のガスバリアフィルムの製造方法において、前記基板に印加するバイアス電位が、100kHz以上の周波数を有するのが好ましく、さらに、長尺な前記基板を巻回してなる基板ロールから、前記基板を送り出し、前記基板を長手方向に搬送しつつ前記窒化珪素膜の成膜を行い、前記窒化珪素膜を成膜した基板をロール状に巻回するのが好ましい。
上記構成を有する本発明によれば、PETフィルムなど、耐熱性が低い樹脂フィルム等を基板として用いて、パーティクルの混入に起因するガスバリア性の低下や、窒化珪素膜の経時変化に起因するガスバリア性の経時劣化を大幅に抑制した、長期に渡って優れたガスバリア性を発現する高品質なガスバリアフィルムを、安価な製造装置で、かつ、高い生産性で製造することができる。
以下、本発明のガスバリアフィルムの製造方法について、添付の図面を基に詳細に説明する。
図1に、本発明のガスバリアフィルムの製造方法を実施するプラズマCVD装置の一例を概念的に示す。
図1に示すプラズマCVD装置10(以下、CVD装置10とする)は、容量結合型プラズマCVD(CCP(Capacitively Coupled Plasma)−CVD)によって、基板Z(被処理物/基材)の表面に、ガスバリア膜として窒化珪素膜(窒化シリコン膜)を成膜(膜を形成)して、ガスバリアフィルムを製造する装置である。
このCVD装置10は、CCP−CVD(CCP−CVD法)によって、基板Zの表面に成膜を行なう、一般的な成膜装置であって、基本的に、真空チャンバ12、基板ホルダ14、シャワー電極16、高周波電源18、マッチングボックス20、バイアス電源24、真空排気手段28、および、ガス供給手段30を有して構成される。
また、図1に示されるように、基板ホルダ14およびシャワー電極16は、真空チャンバ12内に配置される。
本発明は、後に詳述する、シランガス流量とプラズマ生成のために印加する主たる電力との関係、成膜圧力、基板Zの温度、および、基板Zに印加するバイアス電位以外には、このような通常のCVD装置10を用いて、基本的に、シランガスと、アンモニアガスと、水素ガスおよび/または窒素ガスを原料ガスとして用いる、一般的なCCP−CVDによって、基板Zの表面に窒化珪素膜を成膜する。
本発明において、基板Z(被処理物)には特に限定はなく、原料ガスとしてシランガスと、アンモニアガスと、水素ガスおよび/または窒素ガスとを用いた、CCP−CVDによる窒化珪素膜の成膜が可能なものであれば、全ての物(物品)が利用可能である。
好ましくは、本発明の効果が、より好適に発現できる等の点で、耐熱性が低い各種のフィルム状物が好ましく例示され、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の、ガラス転移温度が70℃以下である耐熱性の低い樹脂フィルム(プラスチックフィルム)が好適に例示される。
また、本発明において、基板Zは、上記各種のフィルムを本体(基材)として、その表面(少なくとも成膜面)に、保護層、接着層、光反射層、遮光層、平坦化層、緩衝層、応力緩和層等の、各種の機能を得るための有機物や無機物からなる層(膜)が形成されているものであってもよい。
真空チャンバ12は、プラズマCVD装置、スパッタリング装置、真空蒸着装置等の各種の真空成膜装置で利用されている公知の真空チャンバである。
また、真空排気手段28も、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ロータリーポンプなどの真空ポンプ、さらには、クライオコイル等の補助手段、到達真空度や排気量の調整手段等を利用する、真空成膜装置に用いられている公知の(真空)排気手段が、各種、利用可能である。
基板ホルダ14は、基板Zを所定の成膜位置に保持するもので、各種の真空成膜装置で利用されている基板ホルダが、各種、利用可能である。
また、図示は省略するが、図示例のCVD装置10の基板ホルダ14は、窒化珪素膜の成膜中に、基板Zの温度を70℃以下に保つための、温度調節手段を内蔵する。
温度調節手段には、特に限定は無く、温度調節用の液体を基板ホルダ14内(基板ホルダ14内の所定流路)に流す温度調節手段、ピエゾ素子を用いる冷却手段等、成膜中に基板Zの温度を70℃以下に維持できるものであれば、公知のものが全て利用可能である。
ここで、図示例においては、基板ホルダ14は、CCP−CVDによる成膜における電極対の一方の電極(プラスマ生成のための主たる電力を供給される電極の対向電極)としても作用するものであり、バイアス電源24に接続される。すなわち、図示例においては、基板ホルダ14は、プラスマ生成のための主たる電力を供給されるシャワー電極16の対向電極としても作用する。
バイアス電源24は、この基板ホルダ14に、−100V以下の電圧を印加(成膜圧力等に応じて、基板ホルダ14の電位が−100Vとなる電力を供給)する高周波電源(RF電源)である。図示例においては、このバイアス電源24によって、基板ホルダ14に−100V以下の電圧を印加することにより、基板Zに−100V以下のバイアス電位を印加する。なお、このバイアス電源24は、周波数が100kHz以上の高周波電位を、基板Zに印加するものであるのが好ましい。この点に関しては、後に詳述する。
なお、本発明は、基板を保持する基板ホルダを電極として作用させて成膜を行なうのに限定はされず、基板ホルダには、基板保持の作用のみを持たせ、別途、基板Zに−100V以下のバイアス電位を印加するための電極(CCP−CVDを行なうための電極対を形成する電極)を設けてもよい。
なお、本発明において、基板Zにバイアス電位を印加するための電源は、図示例の高周波電源に限定はされず、DCパルス電源等、CCP−CVDにおいて、基板Zへのバイアス電位の印加に利用されている各種の電源が、各種、利用可能である。すなわち、本発明において、基板Zに印加するバイアス電位は、−100V以下であれば、高周波電位でもパルス電位でもよい。また、DCパルス電源を用いる場合にも、100kHz以上のパルス電位をバイアス電位として基板Zに印加するのが好ましい。
また、バイアス電源24として、図示例のような高周波電源を用いる場合には、必要に応じて、後述するマッチングボックス20と同様のマッチングボックスを介して、基板ホルダ14にバイアス電位を印加してもよい。
図示例において、シャワー電極16は、一例として中空の直方体であって、最大面を、基板Zを保持する、電極を兼ねる基板ホルダ14と対面して配置される。
このシャワー電極16は、プラスマ生成のための主たる電力(メインの電力)を供給される電極であり、前記基板ホルダ14と共に、CCP−CVDを行なうための電極対を形成する。シャワー電極16は、マッチングボックス20を介して、原料ガスの導入管30aに挿通された導線(図示省略)によって、後述する高周波電源18に接続される。
シャワー電極16は、導入管30aあるいはさらに図示しない支持手段によって、真空チャンバ12の天井面から垂下されて、所定の位置に支持される。
シャワー電極16の基板ホルダ14との対向面には、多数の貫通穴が全面的に形成されている。さらに、シャワー電極16内は、導入管30aによってガス供給手段30と接続され、原料ガスが供給される。
すなわち、シャワー電極16は、電極のみならず、原料ガスの導入手段としても作用するものであり、ガス導入手段30からシャワー電極16内に供給された原料ガスは、基板ホルダ14との対向面に形成された貫通穴から、電極としても作用する基板ホルダ14と、シャワー電極16との間に供給される。
ガス供給手段30は、プラズマCVD装置やスパッタリング装置等に利用されている公知のガス供給手段である。
本発明において、ガス供給手段30は、シランガスおよびアンモニアガスに加え、水素ガスおよび窒素ガスの少なくとも一方を、シャワー電極16に供給する。なお、ガス供給手段30は、必要に応じて、これらのガスに加え、アルゴンガス等の不活性ガスを、補助的なガスとしてシャワー電極16に供給してもよい。
なお、本発明は、原料ガスの導入手段として、シャワー電極を利用する構成に限定はされず、プラスマ生成のための主たる電力を供給される電極には、電極としての作用のみを持たせ、例えば、電極と基板ホルダ14との間に、ガスを供給するためのノズルやシャワーノズル等を設けて、此処から原料ガスを供給する方法等、プラズマCVD装置において利用されているガス導入手段が、各種、利用可能である。
前述のように、シャワー電極16には、マッチングボックス20を介して高周波電源18が接続される。
高周波電源18は、シャワー電極16に、CCP−CVDにおけるプラスマを生成するためのメイン電力を供給するための電源で、プラズマCVD装置に利用されている公知の高周波電源(RF電源)が、各種利用可能である。
また、マッチングボックス20は、高周波電源18からの電力のインピーダンスを整合する、高周波電源を用いる装置に用いられる、公知の整合器である。
本発明は、原料ガスとして、シランガス(SiH4)と、アンモニアガス(NH3)と、水素ガス(H2)および窒素ガス(N2)の少なくとも一方とを原料ガスとして用い、シランガスの流量をQ[sccm]、プラズマを生成するための主たる投入電力をP[W]とした際におけるP/Q[W/sccm]を10〜30W/sccm、成膜圧力を20〜200Paとし、基板温度を70℃以下に維持して、基板に−100V以下のバイアス電位を印加して、基板Zの表面にCCP−CVDによって窒化珪素膜を成膜する。
すなわち、図示例のCVD装置10においては、ガス供給手段30からシランガスと、アンモニアガスと、水素ガスおよび/または窒素ガスとを供給して、ガス供給手段30から供給するシランガスの流量Qおよび高周波電源18からシャワー電極16への投入電力PをP/Q=10〜30W/sccm、成膜圧力を20〜200Paとし、基板ホルダ14が内蔵する温度調整手段によって基板Zの温度を70℃以下に維持し、かつ、バイアス電源24から基板ホルダ14に−100V以下のバイアス電位を印加しつつ、基板Zの表面にCCP−CVDによって窒化珪素膜を成膜する。
本発明者らは、構成が簡易である、電極の大面積化が容易すなわち大型の基板(後述するロール・トゥ・ロールの装置の場合には、幅広の基板)への対応が容易である等の利点を有するCCP−CVDを用いて、安価なPETフィルムなど、耐熱性が低い樹脂フィルム等を基板として窒化珪素膜を成膜して、高品質なガスバリアフィルムを製造することを目的として、鋭意検討を重ねた。
前述の特許文献1等にも示されるように、CCP−CVDによる成膜の際には、膜質の向上等を目的として、基板の加熱を行なうことが多い。しかしながら、PETフィルムのように、耐熱性の低い基板を用いる場合には、基板Zを100℃以上の高温などに加熱することはできず、基板温度を、低温に維持したまま、成膜を行なう必要がある。
ところが、本発明者らの検討によれば、基板温度が低い状態で、原料ガスとしてシランガスと、アンモニアガスと、水素ガスおよび/または窒素ガスとを用いて、CCP−CVDによって窒化珪素膜を成膜してガスバリアフィルムを製造すると、経時とともにガスバリア性が急激に低下してしまうという問題が有る。また、成膜後に何らかの原因でガスバリアフィルムに熱が掛けられた場合にも、ガスバリア性が急激に低下する。
加えて、本発明者らの検討によれば、基板温度が低い状態で、前記原料ガスを用いて窒化珪素膜を成膜すると、成膜中に、窒化珪素膜に水素等の不純物が取り込まれて残存してしまい、これらが原因となって、経時と共に窒化珪素が酸化等の反応を起こして、他の化合物に変化してしまい、この変化によってガスバリア性が急激に低下する。
本発明者らは、このような問題点を解決するために、さらに検討を重ねた結果、CCP−CVDにおけるプラズマ生成のために投入する主たる電力、すなわち、図1に示すCVD装置10であれば、基板Zへのバイアス電位ではなく、シャワー電極16に投入する電力を大きくすることにより、このような窒化珪素膜の経時変化を抑制できること、特に、シランガスの流量Qに対して、プラズマ生成のための主たる投入電力Pを、P/Q=10〜30W/sccmとすることにより、窒化珪素膜の経時変化によるガスバリア性の低下を、安定的かつ良好に抑制できることを見出した。
ところが、プラズマ生成のための投入電力を大きくすると、成膜空間での気相反応が激しくなってしまい、この気相反応によってパーティクルが多量に生成されて、窒化珪素膜中に混入してしまう。パーティクルが窒化珪素膜に混入すると、ガスバリア性が大幅に低下して、目的とする性能のガスバリアフィルムを製造することができない。
ここで、上記原料ガスを用いて上記成膜条件で生成されるパーティクルは、一般的に、マイナスに帯電している。本発明においては、これを利用して、基板Zに−100V以下のバイアス電位を印加しつつ、窒化珪素膜を成膜する。これにより、基板Zに対して、パーティクルを浮遊させたような状態とすることができ、成膜中に窒化珪素膜にパーティクルが混入することを防止できる。
すなわち、本発明は、上記条件で基板Zに窒化珪素膜を成膜することにより、PETフィルム等の耐熱性が低い基板Zを用いて、窒化珪素膜中へのパーティクルの混入に起因するガスバリア性の低下、および、ガスバリア性の経時劣化を大幅に抑制した、長期に渡って優れたガスバリア性を発現する高品位なガスバリアフィルムを、安価な装置を用い、かつ良好な生産効率で、安定して製造することを可能にしたものである。
本発明において、シランガスの流量Q[sccm]と、プラズマ生成のために電極に供給する主たる電力P[W]との関係P/Q[W/sccm]は、15〜30W/sccmである。
P/Qが15W/sccm未満では、供給電力が不足であり、前述の経時変化によるガスバリア性の低下が大きくなってしまい、製造したガスバリアフィルムは、経時や加熱によってガスバリア性が急激に低下してしまう。逆に、P/Qが30W/sccmを超えると、経時変化の問題は生じないが、電極へのバイアス電位の印加では防ぐことができない多量のパーティクルが生成してしまい、膜中にパティクルが混入することに起因するガスバリア性および膜質の低下が生じてしまう。
なお、シランガスおよびアンモニアガスの流量には、特に限定はなく、要求される成膜レート、成膜面積等に応じて、上記条件を満たすように、適宜、決定すればよい。
水素ガスおよび窒素ガスは、いずれも、主に希釈ガスとして作用するものである。水素ガスおよび窒素ガスは、いずれか一方のみを用いてもよく、両者を用いてもよい。
水素ガスを用いることにより、窒化珪素膜内への水素の混入を抑制できる点で有利であある。また、窒素ガスを用いることにより、窒化珪素膜の窒素源としての作用も発現するので、成膜レートの点で有利である。
なお、水素ガスおよび窒素ガスの流量にも、特に限定はなく、要求される成膜レート等に応じて、適宜、決定すればよいが、水素ガスおよび窒素ガス共に、シランガス流量の5〜10倍の流量とするのが好ましい。また、水素ガスと窒素ガスとを併用する場合には、両ガスの流量は、合計で、シランガス流量の5〜10倍の流量とするのが好ましい。
また、プラズマ生成のための主となる電力P、すなわち、図示例においては、シャワー電極16に供給する電力Pの強さにも特に限定はなく、要求される成膜レート等に応じて、適宜、設定すればよく、従って、シランガスの流量に応じて、本発明の範囲となる電力を、適宜、設定すればよい。
さらに、この電力の周波数にも、特に限定はなく、CCP−CVDによる窒化珪素膜の成膜で利用されている各種の周波数の電力が、各種、利用可能である。
また、本発明において、成膜圧力は20〜200Paである。
成膜圧力が200Paを超えると、成膜中に気相反応によって、大きなパーティクルが多量に生成してしまい、基板Zへのバイアス電位の印加では膜中へのパーティクルの混入を防ぐことができず、膜中にパティクルが混入することに起因するガスバリア性および膜質の低下が生じてしまう。
逆に、成膜圧力を20Pa未満とするためには、高性能な真空排気手段や真空チャンバを備える必要があるため、装置のコストが高くなってしまう。特に、成膜レートを向上して、高い生産性でガスバリアフィルムを製造したい場合には、成膜圧力を20Pa未満では、装置コストが非常に高くなってしまう。言い換えれば、本発明によれば、長期に渡って良好なガスバリア性を発現する、高品位なガスバリアフィルムを、安価な装置で、かつ、高い生産性で製造することが可能である。
なお、窒化珪素膜へのパーティクルの混入を、より好適に抑制できる、装置コストを、好適により低減できる等の点で、成膜圧力は40〜100Paが、より好ましい。
本発明の製造方法においては、基板Zの温度を70℃以下に維持して、窒化珪素膜の成膜を行なう。
基板Zの温度が70℃を超えると、PETフィルム等の耐熱性の低い基板Zを用いたガスバリアフィルムの製造が出来ない。
なお、基板温度の下限には、特に限定はなく、成膜条件等に応じて、窒化珪素膜が成膜できる温度であればよい。
また、本発明の製造方法においては、成膜中、基板Zに−100V以下のバイアス電位を印加する。すなわち、図示例のCVD装置10においては、成膜圧力等に応じて、電極としても作用する基板ホルダ14の電位が−100V以下となるように、バイアス電源24から基板ホルダ14供給する電力(バイアス電力)を調整しつつ、基板Zに窒化珪素膜を成膜する。
なお、基板Zに印加するバイアス電位は、高周波電位である場合には、直流成分(Vdc)を−100V以下とし、DCパルス電位である場合には、最低電位を−100V以下とすればよい。
CCP−CVDによる成膜において、成膜中に基板Zにかけるバイアス電位は、膜の緻密化等を目的とするのが一般的である。これに対し、本発明においては、膜中へのパーティクルの混入防止という、通常とは、全く異なる効果を目的として、成膜中に、基板Zにバイアス電位を印加する。
前述のように、前記本発明の成膜条件で、気相反応によって生成するパーティクルは、マイナスの電荷を帯びている。従って、基板Zに−100V以下のバイアス電位を印加することにより、基板Z(成膜中の窒化珪素膜)に侵入しようとするパーティクルを、基板Zに対して浮いた状態にでき、成膜中にパーティクルが窒化珪素膜に混入することを防止できる。本発明においては、これにより、窒化珪素膜に混入するパーティクルに起因するガスバリア性の劣化を、大幅に低減している。
基板Zに印加するバイアス電位が−100V超では、窒化珪素膜へのパーティクル混入防止効果を十分に得ることができず、ガスバリアフィルムのガスバリア性が低下して、目的とするガスバリア性を有するガスバリアフィルムを、安定して製造できない。
他方、基板Zに印加するバイアス電位の下限には、特に限定はなく、プラズマ生成のために供給する主な電力(図示例においては、シャワー電極16に供給する電力)等に応じて、適宜、設定すればよいが、−700V以上とするのが好ましい。
基板Zに印加するバイアス電位の下限を−700V以上とすることにより、バイアス電位の作用が強くなり過ぎる(バイアス電位の絶対値が大きくなり過ぎる)ことに起因する、基板Zへのイオン衝撃によるガスバリア性の低減を確実に防止できる等の点で、より好ましい結果を得ることができる。
ここで、基板Zに印加するバイアス電位すなわち基板ホルダ14に供給する高周波電位(電力)の周波数には、特に限定は無いが、100kHz以上の高周波電位であるのが好ましい。また、基板Zに印加するバイアス電位として、パルス電位を印加する場合には、周波数が100kHz以上のパルス電位を印加するのが好ましい。
このような構成とすることにより、基板Zに有効なバイアスが印加されていない時間を短くして、窒化珪素膜へのパーティクル混入防止効果を、より好適に得ることができる。
なお、上記効果をより好適に得られる等の点で、基板Zに印加するバイアス電位の周波数は、より好ましくは400kHz以上である。
また、基板Zにバイアス電位を印加するための電力(すなわちバイアス電源24からの供給電力)にも、特に限定は無く、プラズマ生成のための主たる電力等に応じて、適宜、設定すればよい。
図1に示すCVD装置10は、単体の基板Zに窒化珪素膜を成膜して、ガスバリアフィルムを製造する、いわゆるバッチ式の装置である。しかしながら、本発明のガスバリアフィルムの製造方法は、これに限定はされず、長尺な基板を、基板の長手方向に搬送しつつ成膜を行なう、いわゆる、ロール・トゥ・ロール(Roll to Roll)の装置には、より好適に利用可能である。
周知のように、ロール・トゥ・ロールの装置(成膜装置)とは、長尺な基板を巻回してなる基板ロールから、基板を送り出して成膜室に搬送し、成膜室において、基板を長手方向に搬送しつつ成膜を行い、成膜済の基板を、再度、ロール状に巻回する装置である。
CVD装置10のような、バッチ式の装置では、成膜が終了した後、基板Zに印加するバイアス電位を切った後に、真空チャンバから基板Zを取り出す必要がある。
ここで、基板Zに印加するバイアス電位を切ると、その時点で、基板Zへのパーティクル侵入防止効果が無くなるので、成膜した窒化珪素膜の表面にパーティクルが付着してしまい、基板Zの表面が汚れてしまう。特に、図示例のように、成膜面を上に向けて成膜を行なう場合には、バイアス電位によって基板の上に浮遊していたパーティクルが、一斉に基板に落下してしまい、基板表面を汚してしまう。
これに対し、ロール・トゥ・ロールの装置であれば、成膜を終了した基板は、順次、成膜室(成膜が行なわれる空間)から排出されて、ロール状に巻回される。
従って、成膜(ガスバリアフィルムの製造)を終了して、成膜室において、基板Zに印加するバイアス電位を切っても、窒化珪素膜の表面にパーティクルが付着することを防止できる。また、仮に付着しても、長尺な基板の終端部などの極一部である。
本発明において、利用可能なロール・トゥ・ロールの装置には、特に限定はなく、CCP−CVDによる窒化珪素膜が成膜可能なものであれば、公知の装置が、全て利用可能である。
一例として、基板を搬送するための円筒状のドラムを利用する装置が例示される。この装置は、成膜室に基板搬送用のドラムを配置して、長尺な基板をドラム側面の所定領域に基板を巻き掛け、このドラムを回転することで基板を長手方向に搬送しつつ、ドラムに対面して配置した電極と、ドラムとで電極対を形成して、ドラムと電極との間に原料ガスを供給して、CCP−CVDによる成膜を行なう。
この場合には、ドラムに対面した配置した電極にプラズマを生成するための主な電力を供給し、−100V以下のバイアス電位を基板に印加するための電力をドラムに供給して、本発明のガスバリアフィルムの製造方法を実施すればよい。
別の一例として、成膜室に、対面して配置される1対の板状の電極対を設け、この電極対の間を、長尺な基板を長手方向に搬送すると共に、基板と電極の間に原料ガスを供給してCCP−CVDによる成膜を行なう装置も好適である。この場合には、一例として、基板の搬送経路を、一方の電極の近くとし、基板に近接する電極を、基板へのバイアス電位印加用の電極とすればよい。
以上、本発明のガスバリアフィルムの製造方法について詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を、より詳細に説明する。
[実施例1]
図1に示すCVD装置10を用いて、基板Zの表面に厚さ100nmの窒化珪素膜を成膜して、ガスバリアフィルムを製造した。
基板Zは、厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡績社製 コスモシャインA4300)を用いた。
基板Zを基板ホルダ14の所定位置に配置し、真空チャンバ12を閉塞した。なお、基板ホルダ14はアルミニウム製で、温度調整手段として冷媒の循環系を内蔵している。
基板Zの温度が70℃となるように、基板ホルダ14に内蔵した温度調整手段を駆動した。温度調整手段は、基板ホルダ14の温度を測定して、この温度が70℃一定となるようにフィードバック制御することで、基板Zの温度を制御した。基板ホルダ14は熱伝導率が高いアルミニウム製であり、また、基板Zは厚さは100μmと薄いので、基板ホルダ14の温度は、基板Zの温度と、ほぼ等しい。
基板Z(基板ホルダ14)の温度安定に必要な時間が経過した後、真空排気手段28を駆動して真空チャンバ12内を排気し、真空チャンバ12内の圧力が0.01Paとなった時点で、ガス供給手段30からシャワー電極16に、原料ガスとして、シランガス、アンモニアガスおよび窒素ガスを供給した。シランガス流量は50sccm、アンモニアガス流量は50sccm、および、窒素ガス流量は400sccmとした。
次いで、真空チャンバ12内の圧力(成膜圧力)が40Paとなるように、真空排気手段28による排気を調節した。
真空チャンバ12内の圧力が安定した後、高周波電源18を駆動して、シャワー電極16に、プラズマ生成のための主となる電力として、周波数が13.56MHzの1000Wの電力を供給し、また、バイアス電源24を駆動して、基板ホルダ14に、周波数100kHzのバイアス電位を印加して、基板Zの表面への窒化珪素膜の成膜を開始した。なお、バイアス電源24の出力(基板ホルダ14への供給電力)は、基板ホルダ14の電位が−100Vとなるように調整した。
すなわち、本例においては、シャワー電極16に供給する電力/シランガス流量=P/Q=1000W/50sccm=20W/sccmである。
基板Zの表面に厚さ100nmの窒化珪素膜を成膜したら、高周波電源18およびバイアス電源24の駆動を停止し、ガス供給手段30からの原料ガスの供給、および、真空排気手段28の駆動を停止して、次いで、真空チャンバ12を大気開放して、窒化シリコン膜を成膜した基板Zを取り出した。
なお、膜厚は、予め実験で調べておいた成膜レートを用いて知見した。
[実施例2〜6]
高周波電源18からシャワー電極16に供給する電力を750Wに変更、すなわち、P/Qを15W/sccmに変更した以外(実施例2);
高周波電源18からシャワー電極16に供給する電力を1500Wに変更、すなわち、P/Qを30W/sccmに変更した以外(実施例3);
高周波電源18からシャワー電極16に供給する電力を750Wに変更、すなわち、P/Qを15W/sccmに変更し、かつ、成膜圧力を200Paに変更した以外(実施例4);
成膜圧力を20Paに変更した以外(実施例5);
および、バイアス電源24から基板ホルダ14に印可するバイアス電位の周波数、すなわち基板Zに印加するバイアス電位の周波数を50kHzに変更した以外(実施例6)は; 全て、前記実施例1と同様にして、基板Zの表面に窒化珪素膜を成膜して、ガスバリアフィルムを製造した。
[比較例1〜2]
高周波電源18からシャワー電極16に供給する電力を1600Wに変更、すなわち、P/Qを32W/sccmに変更した以外(比較例1);
および、高周波電源18からシャワー電極16に供給する電力を700Wに変更、すなわち、P/Qを14W/sccmに変更した以外(比較例2)は; 全て、前記実施例1と同様にして、基板Zの表面に窒化珪素膜を成膜して、ガスバリアフィルムを製造した。
[比較例3〜5]
基板温度を100℃に変更した以外(比較例3);
バイアス電源24から基板ホルダ14に印可するバイアス電位、すなわち基板Zに印加するバイアス電位を−80Vに変更した以外(比較例4);
および、成膜圧力を210Paに変更した以外(比較例5)は; 全て、前記実施例2と同様にして、基板Zの表面に窒化珪素膜を成膜して、ガスバリアフィルムを製造した。
得られた各ガスバリアフィルムについて、ガスバリア性および経時安定性を調べ、その結果に応じて、総合評価を行なった。
[ガスバリア性]
MOCON社製の水蒸気透過率測定装置「AQUATRAN」を用いて、水蒸気透過率(WVTR)[g/m2/day]を測定した。
[経時安定性]
各ガスバリアフィルムの組成を島津製作所製のESCA3200で元素分析した。
次いで、各ガスバリアフィルムを、気温85℃、相対湿度85%の環境下に500時間放置(高温高湿放置)し、同様に元素分析を行なった。高温高湿放置の前後で窒化珪素膜の組成に変化が認められない物を「○」、酸化等に起因して組成の変化が認められた物を「×」と評価した。
[総合評価]
ガスバリア性が0.01g/m2/day以下で、かつ、経時安定性が「○」のものを「◎」、
ガスバリア性が0.01g/m2/day超かつ0.02g/m2/day未満で、さらに、経時安定性が「○」のものを「○」、
ガスバリア性が0.02g/m2/day以上、および、経時安定性が「×」の何れか一方でも当てはまるものを「×」、と評価した。
成膜条件、および、評価結果を、下記表1に示す。
Figure 0005156552
上記表1に示されるように、本発明の製造方法で製造したガスバリアフィルムは、ガスバリア性(WVTR)および経時安定性に優れた、高品位なガスバリアフィルムである。なお、基板Zに印加するバイアス電位の周波数が50kHzである実施例6は、他の実施例よりも窒化珪素膜へのパーティクルの混入が多いと考えられ、他の実施例に比して、若干、ガスバリア性に劣るが、多くの用途では、実用上、問題は無い。
これに対し、P/Qが大きすぎる、すなわち、プラズマ生成のための電力が大きすぎる比較例1は、パーティクルが大量に生成されてしまい、基板Zにバイアス電位を印加しても、窒化珪素膜中へのパーティクルの混入を十分に抑制できず、ガスバリア性が低くなってしまった。また、P/Qが小さすぎる、すなわち、プラズマ生成のための電力が小さすぎる比較例2は、初期のガスバリア性は良好であるものの、窒化珪素膜が経時変化を起こしてしまい、これにより経時と共にガスバリア性が急激に低下すると考えられる。
また、基板温度を100℃とした比較例3は、基板Zが変形してしまい、ガスバリア性および経時変化共に、測定できなかった。
基板Zのバイアス電位が−80Vと高すぎる比較例4は、窒化珪素膜中へのパーティクルの混入を十分に抑制できず、ガスバリア性が低くなってしまった。さらに、成膜圧力が高すぎる比較例5は、大きなパーティクルが大量に生成されてしまい、基板Zにバイアス電位を印加しても、窒化珪素膜中へのパーティクルの混入を十分に抑制できず、ガスバリア性が低くなってしまった。
以上の結果より、本発明の効果がは、明らかである。
本発明のガスバリアフィルムの製造方法を実施するプラズマCVD装置の一例の概念図である。
符号の説明
10 (プラズマ)CVD装置
12 真空チャンバ
14 基板ホルダ
16 シャワー電極
18 高周波電源
20 マッチングボックス
24 バイアス電源
28 真空排気手段
30 ガス供給手段

Claims (2)

  1. 原料ガスとして、シランガスと、アンモニアガスと、窒素ガスおよび水素ガスの少なくとも一方とを用い、
    前記シランガスの流量をQ[sccm]、プラズマを生成するために投入する電力をP[W]とした際におけるP/Q[W/sccm]を15〜30W/sccm、成膜圧力を40〜100Pa、基板温度を70℃以下として、かつ、前記基板に100kHz以上の周波数を有する−100V以下のバイアス電位を印加しつつ、容量結合型プラズマCVDによって、前記基板の表面に窒化珪素膜を成膜することを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法。
  2. 長尺な前記基板を巻回してなる基板ロールから、前記基板を送り出し、前記基板を長手方向に搬送しつつ前記窒化珪素膜の成膜を行い、前記窒化珪素膜を成膜した基板をロール状に巻回する請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
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