JP5069597B2 - ガスバリアフィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマCVDによる窒化珪素膜の成膜の技術分野に関し、特に、誘導結合プラズマCVD法によって、緻密でバリア性の高い窒化珪素膜を成膜できる窒化珪素膜の成膜に関する。
防湿性を要求される各種の装置や光学素子などのガス(水蒸気)バリア膜、半導体装置の保護膜(パッシベーション膜)や絶縁膜等に、窒化珪素膜が利用されている。
また、窒化珪素膜の形成方法として、プラズマCVDが利用されている。
プラズマCVDによる膜の形成方法の1つとして、ICP(Inductively Coupled Plasma 誘導結合プラズマ)−CVD法が知られている。
ICP−CVD法とは、(誘導)コイルに高周波電力を供給することにより、誘導磁場を形成して誘導電界を形成し、この誘導電界によってプラズマを生成して、プラズマCVDによって基板に膜を成膜する方法である。
ICP−CVD法は、コイルに高周波電力を供給することによって、誘導電界を形成してプラズマを生成する方法であるので、CCP−CVD法等で必要な対向電極が不要であり、また、容易に高密度(>1×1011/cm3以上)のプラズマが生成できるという利点を有する。さらに、低圧かつ低温でプラズマが生成できるという利点もある。
半導体装置の製造等において、ICP−CVD法によって、窒化珪素膜を形成することも知られている。
例えば、特許文献1には、原料ガスとしてシランガスと窒素ガスを用い、シランガスの供給流量に対して窒素ガスの供給流量を10倍以上とし、さらに、ガスの総供給流量と供給電力(供給パワー)とを3W/sccm以上として、ICP−CVD法によって窒化珪素膜を形成する方法が開示されている。
特開2005−79254号公報
特許文献1に開示される窒化珪素膜の成膜方法によれば、低温処理で、良好な膜質で、かつ、低ストレスな窒化珪素膜を成膜することができ、半導体装置(半導体素子)の保護膜として優れた窒化珪素膜が成膜できる。
しかしながら、コイルに供給する高周波電力を大きくしても、実際にプラズマで消費されるパワー(エネルギー)の大きさは、パワーを受け取るプラズマの状態によって様々である。すなわち、高周波電力を大きくしても、十分にプラズマで消費されなければ、より膜質の良好な窒化珪素膜を成膜することはできない。
そのため、特許文献1に開示される方法では、半導体装置の保護膜としては優れた特性を有する窒化珪素膜を成膜できるかもしれないが、ガスバリアフィルムのように、より緻密な膜が要求される用途では、必ずしも十分な特性を得ることはできない。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、シランガスを原料ガスとして用いるICP−CVD法による窒化珪素膜の成膜において、供給した高周波電力によるパワーを十分にプラズマ側で消費することができ、これにより、緻密でガスバリア性の高い窒化珪素膜を成膜する成膜方法、および、この成膜方法を利用するガスバリアフィルムの製造方法およびガスバリアフィルムを提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の窒化珪素膜の成膜方法は、原料ガスとして、シランガスと、アンモニアガスもしくは窒素ガスとを用い、誘導結合プラズマCVD法によって窒化珪素膜を成膜するに際し、下記式で示される成膜の有効パワーPeffと、シランガスの供給流量とを10〜100W/sccmとして成膜を行なうことを特徴とする窒化珪素膜の成膜方法を提供する。
eff=PRF*[1−(Vppon 2/Vppoff 2)]
上記式において、
eff ; 有効パワー[W]
RF ; 供給電力[W]
ppon : プラズマ点灯時にコイルにかかるp−p(peak to peak)電圧[V]
ppoff: プラズマ非点灯時にコイルにかかるp−p電圧[V]
このような本発明の窒化珪素膜の成膜方法において、原料ガスとしてシランガスとアンモニアガスとを用い、さらに、アンモニアガスの供給流量に対する前記有効パワーを、3〜30W/sccmとして成膜を行なうのが好ましい。
また、本発明のガスバリアフィルムの製造方法は、基板の表面に、前記本発明の成膜方法で窒化珪素膜を成膜するものであり、さらに、本発明のガスバリアフィルムは、前記本発明の製造方法で製造されたガスバリアフィルムである。
本発明は、原料ガスとして、シランガスと、アンモニアガスあるいは窒素ガスとを用いる、ICP−CVD法による窒化珪素膜の成膜において、供給したシランガスに対して、実際にプラズマで消費される有効パワー(エネルギ)を所定の適正範囲にして、窒化珪素膜の成膜を行なう。
そのため、本発明によれば、シランガスを十分に分解して窒化珪素膜を成膜することができ、Si−H結合の少ない、緻密でガスバリア性の高い窒化珪素膜を成膜することができる。また、本発明のガスバリアフィルムの製造方法およびガスバリアフィルムによれば、前記本発明の成膜方法を利用することにより、ガスバリア性の高いガスバリアフィルムを安定して得ることができる。
以下、本発明の窒化珪素膜の成膜方法、ガスバリアフィルムの製造方法、およびガスバリアフィルムについて詳細に説明する。
本発明の窒化珪素膜の成膜方法は、原料ガスとして、シランガスと、アンモニアガスもしくは窒素ガスとを用い、シランガスの供給流量[sccm]に対して、有効パワー[W]を、10〜100W/sccmとして、窒化珪素膜を成膜するものである。
本発明において、有効パワーとは、誘導電界を形成する(誘導)コイルに供給する高周波電力に対して、プラズマに消費される電力(パワー)であり、すなわち、実際にプラズマの生成に消費されて、成膜に寄与するパワーである。
この有効パワー(Peff)は、下記式によって示される。
eff=PRF*[1−(Vppon 2/Vppoff 2)]
上記式において、Peffは、前述のとおりであり、PRFは、誘導電界を形成するためのコイルに供給する高周波電力(投入電力(投入パワー))である。
また、Vpponは、プラズマ点灯時(プラズマの生成時)に、コイルにかかる、プラス−マイナスのp−p(peak to peak)電圧[V]である。
さらに、Vppoffは、プラズマ非点灯時(プラズマの非生成時)にコイルにかかるp−p電圧[V]である。
一例として、プラズマ非点灯時のp−p電圧(Vppoff)は、本発明を実施する成膜系を成膜圧力にした後、コイルに成膜に対応する高周波電力を供給して測定すればよく、また、プラズマ点灯時のp−p電圧(Vppon)は、前記プラズマ非点灯時のp−p電圧の測定状態から、成膜系に原料ガスであるシランガスと、アンモニアガスもしくは窒素ガスとを導入して、プラズマを生成した状態で、測定すればよい。
ここで、本発明においては、有効パワーを算出するためのプラズマ点灯時のp−p電圧は、プラズマの生成を開始した後、3秒以上、経過した後に、測定するのが好ましい。
図1に、原料ガスとしてシランガスおよびアンモニアガスを用いた、ICP−CVD法による窒化珪素膜の成膜における、放電開始後(プラズマ生成開始後)の経過時間と、プラズマ発光強度との関係を示す。
図1に示すように、シランガスおよびアンモニアガスによるICP−CVD法による窒化珪素膜の成膜では、殆どの場合、放電開始から、3秒以上経過すると、放電が安定し、すなわち、プラズマの状態が安定する。従って、放電開始から、3秒以上経過した後に、プラズマ点灯時のp−p電圧を測定することにより、適正かつ正確なプラズマ点灯時のp−p電圧を測定できる。
なお、この傾向は、原料ガスとして、アンモニアガスに代えて窒素ガスを用いた場合でも、同様になる。
先にも述べたが、本発明の窒化珪素膜の成膜方法は、シランガスと、アンモニアガスもしくは窒素ガスとを原料ガスとして用い、かつ、シランガスの供給流量に対する有効パワーを、10〜100W/sccmとして、成膜を行なう。
本発明者は、Si−H結合が少なく、緻密でガスバリア性(水蒸気バリア性(水蒸気非透過性))に優れる窒化珪素膜を得るために、鋭意検討を重ねた。その結果、十分にシランガスを分解して、優れた膜質の窒化珪素膜を成膜するためには、コイルに供給した高周波電力ではなく、プラズマに消費されて実際に成膜に寄与する高周波電力すなわち有効パワーが重要であることを見出し、さらに、シランガスの供給流量に対する有効パワーを10〜100W/sccmとすることにより、十分にシランガスを分解して、膜中のSi−H結合が少なく、かつ、緻密で、ガスバリア性に優れる窒化珪素膜を成膜出来ることを見出した。
ICP−CVD法による成膜において、コイルに供給する高周波電力は、全てが成膜に寄与するわけではなく、コイルで損失される分と、プラズマに消費される分、すなわち、プラズマに消費されて原料ガスの分解に消費される分とに分かれる。言い換えれば、ICP−CVD法による成膜において、コイルへの供給電力は、コイルでの損失分と、プラズマに消費されてガスを分解する有効パワーとに別れる。また、コイルに供給する高周波電力のうち、プラズマに消費される有効パワーは、プラズマの状態によって異なる。
従って、コイルに供給する高周波電力を大きくしても、この電力すなわちパワーが十分にプラズマに消費されなければ、シランガスを効率良く分解することができず、膜質が良好な窒化珪素膜を成膜することはできない。
これに対し、本発明においては、前述の式によって、コイルに供給した高周波電力のうち、プラズマに消費される分すなわちプラズマに入って原料ガスの分解に消費される、成膜に寄与する有効パワーを算出して、シランガスの供給流量に対する有効パワー(シランガスの供給流量と有効パワーとの比率)を、10〜100W/sccmとして、成膜を行なう。
これにより、シランガスの供給流量に対する供給電力を適正にして、供給した原料ガスによるプラズマに、十分にパワーを消費させることができ、シランガスのSi−H結合を好適に分解して成膜を行い、Si−H結合が少なく、緻密でガスバリア性の高い窒化珪素膜を成膜できる。
本発明において、シランガスの供給流量に対する有効パワーが10W/sccm未満では、シランガスの分解に寄与するパワーが少なく、シランガスを十分に分解できないめに膜中におけるSi−Hの量が増加してしまい、良好なガスバリア性が得られなくなってしまう等の不都合が生じる。
逆に、シランガスの供給流量と有効パワーとの関係が100W/sccmを超えると、シランガスの供給流量に対して、有効パワーが大きすぎ、窒化珪素膜を成膜する基板を損傷してしまう、良好なガスバリア性が得られなくなってしまう等の不都合が生じる。
本発明の窒化珪素膜の成膜方法において、シランガスの供給流量に対する有効パワーは20〜60W/sccmが好ましい。
シランガスの供給流量に対する有効パワーを、上記範囲とすることにより、より良好なガスバリア性を得ることができる等の点で、より好適な結果を得ることができる。
なお、本発明においては、誘導電界を形成するための(誘導)コイルは、1個に限定はされず、複数のコイルを用いてICP−CVD法による成膜を行なってもよい。
このように複数のコイルを用いる際には、個々のコイル毎に有効パワーを計算して、全コイルの有効パワーを加算した合計有効パワーが、シランガスの供給流量に対して上記範囲となるようにして、窒化珪素膜を成膜すればよい。
本発明の窒化珪素膜の成膜方法は、原料ガスとして、シランガスと、アンモニアガスもしくは窒素ガスとを用い、シランガスの供給流量に対する有効パワーを上記範囲とする以外には、成膜条件に特に限定はなく、基本的に、同様の原料ガスを用いるICP−CVD法による窒化珪素膜の成膜と同様に、成膜を行なえばよい。
本発明において、シランガスの供給流量には、特に限定はなく、真空チャンバのサイズ等に応じて、適宜、設定すればよいが、10〜500sccm、特に、30〜300sccmが好ましい。
また、原料ガスとして、アンモニアガスを用いる際における、アンモニアガスの供給流量にも、特に限定はなく、真空チャンバのサイズ等に応じて、適宜、設定すればよいが、アンモニアガスは、シランガスの3倍程度とするのが好ましく、具体的には、30〜1500sccm、特に、90〜900sccmが好ましい。
さらに、原料ガスとして、窒素ガスを用いる際における、窒素ガスの供給流量にも、特に限定はなく、真空チャンバのサイズ等に応じて、適宜、設定すればよいが、窒素ガスは、シランガスの5〜10倍程度とするのが好ましく、具体的には、50〜5000sccm、特に、150〜3000sccmが好ましい。
各原料ガスの流量を、上記範囲とすることにより、成膜速度(堆積速度)を高めつつ、成膜室内の圧力を好適な圧力に維持することができ、また、より優れたガスバリア性を有する窒化珪素膜が得られる等の点で、より好適な結果を得ることができる。
ここで、本発明の窒化珪素膜の成膜方法においては、原料ガスとしてアンモニアガスを用いる場合には、前述のシランガスの供給流量に対する有効パワーを10〜100W/sccmとするという条件に加え、さらに、アンモニアガスの供給流量に対する有効パワーを3〜30W/sccmとして、窒化珪素膜を成膜するのが好ましい。
本発明は、このような構成を有することにより、前記Si−H結合のみならず、N−H結合も少なく、より緻密でガスバリア性に優れた窒化珪素膜を成膜できる等の点で、より好適な結果を得ることができる。
なお、本発明において、成膜系に導入するガスは、原料ガスであるシランガスと、アンモニアガスもしくは窒素ガスのみに限定はされず、必要に応じて、キャリアガスとしてのアルゴンガスやヘリウムガスなど、原料ガスとして上記ガスを用いるICP−CVD法による窒化珪素膜の成膜で、原料ガス以外として用いられる各種のガスを併用してもよい。
本発明の窒化珪素膜の成膜方法において、有効パワーには、特に限定は無いが、200〜3000W、特に、500〜1500Wとするのが好ましい。従って、コイルに供給する高周波電力は、原料ガスの供給流量等に応じて、有効パワーが上記範囲となるように、適宜、調整するのが好ましい。
有効パワーを上記範囲とすることにより、より良好なガスバリア性が得られる等の点で、より好ましい結果を得ることができる。
また、本発明において、成膜圧力にも、特に限定は無いが、0.1〜50Pa、特に、1〜20Paとするのが好ましい。
成膜圧力を上記範囲とすることにより、より良好なガスバリア性を有する窒化珪素膜を成膜できる等の点で好ましい結果を得ることができる。
本発明の窒化珪素膜の成膜方法においては、必要に応じて、基板の温度を制御しつつ、成膜を行なってもよい。
基板温度を制御(コントロール)する際における、基板温度にも、特に限定は無いが、0〜150℃、特に、20〜80℃とするのが好ましい。
基板温度を上記範囲とすることにより、基板の熱損傷を押さえることができる。この効果は、特に、基板が樹脂の場合には、有効である。
なお、基板の温度制御は、ICP−CVD法によるプラズマCVD装置で行なわれている公知の方法で行なえばよい。
このような本発明の窒化珪素膜の成膜方法は、ICP−CVD法によって基板の表面に成膜を行う、通常のプラズマCVD装置によって、実施すればよい。
図2に、本発明を実施するプラズマCVD装置の一例を示す。
このプラズマCVD装置10は、シート状の基板Zに、ICP−CVD法によって薄膜を成膜する、一般的なプラズマCVD装置であり、真空チャンバ12と、渦巻き状の(誘導)コイル14と、コイル14に高周波電力を供給する高周波電源16と、コイルに供給する高周波電力のインピーダンス整合を取るための整合器(マッチングボックス)18と、ガス供給手段20および24と、真空チャンバ12内を排気する排気手段26と、基板Zを所定位置に保持する基板ホルダ28とを有して構成される。基板ホルダ28は、接地(アース)されている。
図2に示すプラズマCVD装置10において、これらの構成要素は、いずれも、ICP−CVD法によるプラズマCVD装置に用いられている、一般的なものでよい。
また、コイル14は、複数であってもよいのは、前述のとおりであり、さらに、渦巻き状以外にも、U字状(ワンターンコイル)など、ICP−CVD法で利用されているコイルが、全て利用可能である。
さらに、基板ホルダ28は、接地されずに絶縁されていてもよく、バイアス電圧を印加できるようにしてもよく、さらに、接地状態/バイアス印加状態/絶縁状態の2以上から選択できるようにしてもよい。
なお、本発明の成膜方法およびガスバリアフィルムの製造方法は、図2に示すプラズマCVD装置で実施するのに限定はされず、例えば、長尺なフィルム状の基板をドラム等に巻き掛けて長手方向に搬送しつつ、ICP−CVD法による成膜を行なうプラズマCVD装置等、ICP−CVD法によるプラズマCVD装置が、全て利用可能である。
本発明において、窒化珪素膜を成膜する基板Zには、特に限定はなく、原料ガスとして、シランガスと、アンモニアガスもしくは窒素ガスとを用いるICP−CVD法によって窒化珪素膜を成膜可能な基板が、全て、利用可能である。
ここで、本発明のガスバリアフィルムの製造方法は、このような本発明の成膜方法によって、基板の表面に窒化珪素膜を成膜するものであり、さらに、本発明のガスバリアフィルムは、この本発明の製造方法で製造したガスバリアフィルムである。
本発明のガスバリアフィルムの製造方法、すなわち、本発明のガスバリアフィルムにおいては、基板として、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンアフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等の各種の樹脂フィルム等が、好適に用いられる。
なお、本発明の製造方法においては、これらのフィルム(シート状物)の上に、密着性を向上するための膜や反射防止膜など、各種の機能を発現する膜を有する物を、基板として用いてもよい。
また、本発明のガスバリアフィルムの製造方法およびガスバリアフィルムにおいて、窒化珪素膜の膜厚にも、特に限定はないが、10〜500nm、特に、20〜200nmが好ましい。
窒化珪素膜の膜厚を上記範囲とすることにより、良好なガスバリア性を得られる等の点で好まし結果を得ることができる。
なお、本発明のガスバリアフィルムは、窒化珪素膜の下層および上層に,光反射膜や保護膜など、窒化珪素膜を用いるガスバリアフィルムに利用される、各種の機能を発現する膜(層)を有してもよい。
以上、本発明の窒化珪素膜の成膜方法、ガスバリアフィルムの製造方法、および、ガスバリアフィルムについて詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げて、本発明について、より詳細に説明する。
[実施例]
図2に示すような一般的なICP−CVD法によるCVD装置を用いて、下記表1に示す成膜条件で、基板Zに、厚さ200nmの窒化珪素膜を形成した。
原料ガスは、実施例1〜3および比較例1〜3はシランガスおよびアンモニアガスを用い、実施例4はシランガスおよび窒素ガスを用いた。また、基板Zは、厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製 ネオテックスQ65FA)を用いた。
まず、基板Zを基板ホルダ所定位置にセットして真空チャンバ12を閉塞して真空排気手段26による排気を開始した。
真空チャンバ12内の真空度が目的とする成膜圧力になった時点で、高周波電源16を駆動してコイル14への高周波電力を供給して、有効パワー(Peff)を算出するためのプラズマ非点灯時にコイルにかかるp−p電圧(Vppoff)を測定した。
その後、ガス供給手段20および24からシランガスおよびアンモニアガスを供給し、かつ、目的とする成膜圧力となるように真空チャンバ内の排気を調整して、基板Zへの成膜を開始した。なお、有効パワーを算出するためのプラズマ点灯時にコイルにかかるp−p電圧(Vppon )は、原料ガスの供給開始後(すなわち放電開始後)、5秒が経過した時点で測定した。シランガスおよびアンモニアガスを原料ガスとするICP−CVD法による窒化珪素膜の成膜では、放電開始後3秒でプラズマの状態が安定するのは、前述のとおりである。
窒化珪素膜を成膜した基板Z(ガスバリアフィルム)について、MOCON社製水蒸気透過率測定装置(PERMATRAN-W3/33 MGモジュール)を用いて、水蒸気透過性(WVTR)を測定した。
結果を、表1に併記する。
Figure 0005069597
表1に示されるように、本発明にかかる実施例1〜4、いずれも、WVTRが0.1以下の、優れたガスバリア性を示した。また、実施例1〜4における窒化珪素膜の状態をFT−IRのATR法を用いて調べたところ、Si−Hに起因するピークは、殆ど認められなかった。
また、同様にして比較例1〜3における窒化珪素膜の状態を同様に調べた。その結果、比較例1では、Si−Hに起因するピークが認められた。他方、比較例2および3における窒化珪素膜は、Si−Hに起因するピークは認められなかったが、WVTRの値は大きい。これは、プラズマによって、基板Zがダメージを受けたことが原因と推測される。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
ICP−CVD法による窒化珪素膜の成膜における放電開始からの経過時間とプラズマ発光強度との関係を示すグラフである。 本発明の窒化珪素膜の成膜方法を実施するプラズマCVD装置の一例を概念的に示す図である。
符号の説明
10 プラズマCVD装置
12 真空チャンバ
14 (誘導)コイル
16 高周波電源
18 整合器
20,24 ガス導入手段
26 排気手段
28 基板ホルダ

Claims (4)

  1. 原料ガスとして、シランガスと、アンモニアガスとを用い、誘導結合プラズマCVD法によって基板の表面に窒化珪素膜を成膜するガスバリアフィルムの製造方法であって、
    プラズマ非点灯時にコイルにかかるp−p(peak to peak)電圧V ppoff と、プラズマ点灯時にコイルにかかるp−p電圧V ppon とを測定し、下記式で示される成膜の有効パワーPeff を算出して、前記有効パワーP eff とシランガスの供給流量とが10〜100W/sccmを満たし、前記有効パワーP eff とアンモニアガスの供給流量とが3〜30W/sccmを満たす条件で、前記窒化珪素膜の成膜を行なうことを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法
    eff=PRF*[1−(Vppon 2/Vppoff 2)]
    上記式において、
    eff ; 有効パワー[W]
    RF ; 供給電力[W]
    ppon : プラズマ点灯時にコイルにかかるp−p電圧[V]
    ppoff: プラズマ非点灯時にコイルにかかるp−p電圧[V]
  2. 前記プラズマ点灯時にコイルにかかるp−p電圧V ppon を、プラズマの生成を開始して、3秒以上経過した後に測定する請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  3. 成膜系の圧力を成膜圧力とした後に、コイルに成膜に対応する高周波電力を供給して、前記プラズマ非点灯時にコイルにかかるp−p電圧V ppoff を測定し、その後、このp−p電圧V ppoff の測定状態から、成膜系に原料ガスを導入して、前記プラズマ点灯時にコイルにかかるp−p電圧V ppon を測定する請求項1または2に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  4. 前記有効パワーが200〜3000Wとなる条件で、前記窒化珪素膜の成膜を行なう請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリアフィルムの製造方法
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