JP5156295B2 - 画像表示装置及び電子放出素子 - Google Patents

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Description

本発明は、マトリクス状に配置した電子放出素子と蛍光体とを用いて画像を表示する画像表示装置に関する。
マトリクス電子源ディスプレイとは,互いに直交する電極群の交点を画素とし、各画素に電子放出素子を設け,各電子放出素子への印加電圧またはパルス幅を調整することによって放出電子量を調整し,その放出電子を真空中で加速した後,蛍光体に照射し、照射した部分の蛍光体を発光させるものである。電子放出素子として,電界放射型陰極を用いるもの,MIM(Metal-Insulator-Metal)型電子源を用いるもの,カーボンナノチューブ陰極を用いるもの,ダイヤモンド陰極を用いるもの,表面伝導電子放出素子を用いるもの,弾道型面電子源を用いるものなどがある。このように,マトリクス電子源ディスプレイとは,電子放出素子と蛍光体とを組み合わせた電子線励起型平面ディスプレイを指す。
図8に示すように,マトリクス電子源ディスプレイでは電子放出素子を配置した陰極板601と蛍光体を形成した蛍光板602とを,対向配置した構成である。電子放出素子301から放出した電子が蛍光板に到達し蛍光体を励起・発光させるために,陰極板と蛍光板と枠部材603とで囲まれた空間を真空に保つ。外部からの大気圧に耐えるために陰極板と蛍光板との間にスペーサ(支柱)60を挿入する。
蛍光板602は加速電極122を有し,加速電極122には3KV〜10KV程度の高電圧を印加する。電子放出素子301から放出された電子はこの高電圧で加速されたのち蛍光体に照射し,蛍光体を励起発光させる。
マトリクス電子源ディスプレイでは電子放出素子を配置した陰極板と蛍光体を形成した蛍光板とを,対向配置した構成である。電子放出素子から放出した電子が蛍光板に到達し蛍光体を励起・発光させるために,陰極板と蛍光板と枠部材とで囲まれた空間を真空に保つ。外部からの大気圧に耐えるために陰極板と蛍光板との間にスペーサ(支柱)を挿入する。
蛍光板は加速電極を有し,加速電極には3KV〜10KV程度の高電圧を印加する。電子放出素子から放出された電子はこの高電圧で加速されたのち蛍光体に照射し,蛍光体を励起発光させる。
マトリクス電子源ディスプレイに用いる電子放出素子として薄膜電子源がある。薄膜電子源とは,上部電極,電子加速層,下部電極を積層した構造を有するもので,MIM(Metal-Insulator-Metal)型電子源,MOS(Metal-oxide Semiconductor)型電子源,弾道型面電子源などが含まれる。MOS型電子源は,電子加速層に半導体−絶縁体積層膜を用いたもので,例えばJapanese Journal of Applied Physics、Vol.36、Part 2、No.7B、pp.L939〜L941(1997)(非特許文献1)に記載されている。弾道型面電子源は,電子加速層にポーラスシリコンなどを用いたもので,例えば、Japanese Journal of Applied Physics、Vol.34、Part 2、No.6A、pp.L705〜L707(1995)(非特許文献2)に記載されている。薄膜電子源は,電子加速層中で加速した電子を真空中に放出させる。
図2は薄膜電子源の動作原理を示すエネルギーバンド図である。下部電極13,電子加速層12,上部電極11が積層されており,上部電極11に正の電圧を印加した時の状態を図示した。MIM型電子源の場合,電子加速層12として絶縁体を用いる。上部電極−下部電極間に印加された電圧によって電子加速層12内に電界が生じる。この電界によって下部電極13中から電子がトンネル現象によって電子加速層12中に流れ込む。この電子は電子加速層12中の電界によって加速されホットエレクトロンとなる。このホットエレクトロンが上部電極11中を通過する際,一部の電子は非弾性散乱などによりエネルギーを失う。上部電極11−真空界面(すなわち上部電極の表面)に達した時点で,表面の仕事関数Φよりも大きな運動エネルギーを有する電子は真空中10に放出される。本明細書においては,このホットエレクトロンにより下部電極13−上部電極11間に流れる電流をダイオード電流Jd,真空中に放出される電流を放出電流Jeと呼ぶ。
電界放射型陰極と比べると,薄膜電子源は,表面汚染に対する耐性が強い,放出電子ビームの拡がりが小さいため高精細の表示装置が実現できる,動作電圧が小さく駆動回路ドライバが低電圧である,など表示装置に適した特徴を有する。
一方,薄膜電子源では,駆動電流のうち一部の電流のみが真空中への放出される(放出電流Je)。ここで,駆動電流とは,上部電極−下部電極間に流れる電流であり,ダイオード電流Jdとも呼ばれる。放出電流Jeとダイオード電流Jdとの比α(放出比α=Je/Jd)は,0.1%〜数10%程度である。すなわち,放出電流Jeを得るためには薄膜電子源にJd=Je/αだけの駆動電流(ダイオード電流)を駆動回路から供給しなければならない。
特開2004―363075号公報 特願2005―230504号公報 Japanese Journal of Applied Physics、Vol.36、Part 2、No.7B、pp.L939〜L941(1997) Japanese Journal of Applied Physics、Vol.34、Part 2、No.6A、pp.L705〜L707(1995) IEEE Transactions on Electron Devices, vol. 49, No.6, pp. 1059-1065 (2002).
薄膜電子源を電子放出素子として用いたマトリクス電子源ディスプレイにおいて,表示輝度を大きく変えた直後では正しい輝度(階調)が表示されず,残像として残るという問題があった。
また,薄膜電子源の絶縁層として下部電極の陽極酸化膜を用いる場合,絶縁層として好ましい組成と電極材料として好ましい組成とが異なる場合がある。この場合,下部電極として積層膜を用いることになるが,積層膜を陽極酸化した場合,陽極酸化膜に絶縁不良が発生しやすいという問題があった。
本発明は,この残像を低減した画像表示装置を提供する。また,本発明は,積層膜電極の表面に陽極酸化膜を形成する場合に,絶縁不良が発生しないような構造を提供し,薄膜電子源の絶縁層に好ましい組成の材料を適用可能にした画像表示装置を提供する。
本発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
複数の電子放出素子を有する基板と蛍光体を有する面板とを有する画像表示装置であって,前記電子放出素子は,下部電極,上部電極,および前記下部電極と前記上部電極との間に挟み込まれた第1の絶縁層を有し,前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加することで前記上部電極側より電子を放出する薄膜電子源である画像表示装置において,前記下部電極上には電子放出領域を規定する第1の絶縁層と前記第1の絶縁層より厚い,前記下部電極を酸化させた酸化膜からなる第2の絶縁層と,前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に膜厚が連続的に変化する遷移領域とが形成されており,前記下部電極は下部電極第1層と下部電極第2層の積層構造であり,前記下部電極第1層と前記下部電極第2層の積層境界が,前記第2の絶縁膜中に含まれないことを特徴とする画像表示装置。
複数の電子放出素子を有する基板と蛍光体を有する面板とを有する画像表示装置であって,前記電子放出素子は,下部電極,上部電極,および前記下部電極と前記上部電極との間に挟み込まれた第1の絶縁層を有し,前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加することで前記上部電極側より電子を放出する薄膜電子源である画像表示装置において,前記下部電極は下部電極第1層と下部電極第2層の積層構造であり, 前記下部電極上には電子放出領域を規定する第1の絶縁層と前記第1の絶縁層より厚い第2の絶縁層と,前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に膜厚が連続的に変化する遷移領域とが形成されており,前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層は前記下部電極第2層を陽極酸化して形成された陽極酸化膜であり,前記下部電極第1層と前記下部電極第2層の積層境界が,前記第2の絶縁膜中に含まれないことを特徴とする画像表示装置。
複数の電子放出素子を有する基板と蛍光体を有する面板とを有する画像表示装置であって,前記電子放出素子は,下部電極,上部電極,および前記下部電極と前記上部電極との間に挟み込まれた第1の絶縁層を有し,前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加することで前記上部電極側より電子を放出する薄膜電子源である画像表示装置において,前記第1の絶縁層は前記下部電極を陽極酸化して形成された陽極酸化膜であり,前記下部電極は単層であって,アルミニウムと添加物元素とを有する合金であり,前記添加物元素は,マグネシウム,イットリウム,スカンジウムのいずれかひとつまたは複数の組み合わせであることを特徴とする画像表示装置。
以上のように,本発明によれば,薄膜電子源を用いた画像表示装置において,表示階調(輝度)を大きく変化させた直後に発生していた残像を低減することができる。このようにして,本発明に基づく画像表示装置では,従来よりも高品質な画像表示を行う画像表示装置が実現出来た。
本発明によれば,下部電極として積層膜を用いて,その積層膜を陽極酸化することにより,陽極酸化膜として好ましい材料と電極として好ましい材料とを選択することを可能にした。
残像とは表示画像の階調(輝度)が大きく変化した後に,階調変化前の画像がわずかに残る現象である。例として,図3(a)に示すように,画像表示装置の表示画面801の一部に矩形状(ウィンドウ状)のパターン802を表示する場合を考える。
なお,本明細書においては画像信号の階調数を256階調として説明するが,これ以外の階調数の画像表示装置に対しても本発明が適用されることは自明である。以下の説明では,最も暗い階調レベルを階調0,最も明るい階調を階調255とする。
パターン802にピーク輝度(最大階調。例えば255レベル),その他の領域を平均輝度(例えば,階調64)とする。その後,画面全体に同一階調(例えば階調64レベル)を表示した場合を考える(図3(b))。階調を切り替えた後しばらくの期間,パターン802を表示していた領域が他の領域より少し暗くなる。ある時間を経過すると,領域802も他の領域と同一輝度になる。これが残像である。
残像現象をより詳しく記述するために図4を用いて説明する。図4は,領域802での入力信号(階調信号)と実際に表示される輝度の時間変化を模式的に示した図である。時刻t1において入力信号を階調レベルGS2からGS1に変化させる。時刻t2において入力信号を階調レベルGS1からGS2に変化させる。階調レベルは任意であるが,一例としてGS1がピーク輝度に対応する255階調,GS2が64階調とする。階調レベルGS1に対応する表示輝度をL1,階調レベルGS2に対応する表示輝度をL2とする。
時刻t1においては,輝度がL2からL1に上昇するが,その後一定時間後に輝度レベルL1−ΔL1に変化する。時刻t2においては,輝度がL2に変化することが期待されるが,実際には,いったんL2よりも低い輝度(L2−ΔL2)になり,その後一定時間後に輝度レベルL2になる。時刻t2での挙動のために,表示画面においては,図3(b)のような残像現象が発生する。
図4において,時刻t2で入力信号を切り替えた後,輝度が期待される値L2になるまでに要する時間を「残像時間」と呼ぶ。
表示画像の画質を向上するには,残像時間を短くすることが重要である。例えば残像時間が0.1秒以下であれば,人間の視覚特性により,残像はほとんど検知されない。しかし,残像時間が10秒の場合は,明確に視覚的に検知されるので,画質劣化となる。
一般に,画像表示装置の階調表示の代表的な方法には,(a)電圧振幅変調法(以下「PAM」と呼ぶ)と(b)パルス幅変調法(以下「PWM」と呼ぶ)とがある。PAMは印加する電圧振幅を変えることで輝度を調整するものであるのに対し,PWMは印加するパルス幅を変えることで輝度を調整するものである。
上述の残像現象はPAM,PWMいずれの階調表示方法でも現れるが,PAM(電圧振幅変調法)の方がより顕著に残像が発生する。したがって,PAMで階調表示を行う画像表示装置においては,特に残像への対策が必要になる。
従来,薄膜電子源を用いた画像表示装置では,PAM(電圧振幅変調法)で階調表示を行った場合は,残像時間が数10秒〜数100秒程度であり,表示画像の画質劣化の要因になっていた。本発明者は,薄膜電子源を用いた画像表示装置において,図3,図4で説明した残像現象が発生する原因を鋭意検討し,以下の原因であることを見出した。まず,残像現象が発生している際,薄膜電子源の電子放出比(=Je/Jd)は一定であることを見出した。すなわち,残像現象はダイオード電流が想定電流値から一時的にずれるために起こる。
そして,このダイオード電流の一時的なズレの発生原因は,薄膜電子源の電流−電圧特性が変化するためであることを発明者は見出した。図5は,薄膜電子源のダイオード電流(Jd)とダイオード電圧(Vd)との関係を模式的に示した図である。ここで,ダイオード電流Jdとは,上部電極−下部電極間に流れる電流であり,ダイオード電圧Vdとは,上部電極−下部電極間に印加する電圧で,下部電極電位を基準として上部電極電圧を測ったものである。図5では,ダイオード電流Jdは対数目盛でプロットした。
図5において,Jd-Vd特性805は,輝度レベルGS2の時の特性であり,Jd-Vd特性806は輝度レベルGS1の時の特性である。輝度レベルが高いGS1(すなわち,ダイオード電流が大きい領域)で駆動している際のJd-Vd特性806は,特性805と比べてより高電圧側にシフトしている。これは,薄膜電子源を構成する電子加速層内に蓄積する電荷量が,ダイオード電流が大きいほど(輝度レベルGS1時)多いためである。このことを図6を用いて説明する。
図6は薄膜電子源の電子エネルギーバンド図を模式的に示したものである。電子加速層内に蓄積電荷が無い場合(図6(a))は,外部印加電圧により形成される電界が内部電界となる。この内部電界が下部電極−電子加速層電界間の界面に印加されるために,下部電極から電子加速層に電子が放出され,ダイオード電流Jdになる。これに対し,図6(b)は,電子加速層に負電荷が蓄積された場合を示したものである。この場合,蓄積電荷が形成する電界は,外部電界を打ち消す方向に働くため,内部電界が減少する。このため,同一の外部電圧Vdを印加しても,内部電界は小さいため,ダイオード電流Jdは小さくなる。すなわち,Jd-Vd特性は高電圧側にシフトした形になる。
一例として,下記の実施例で述べる構成では,動作電圧が8V程度であるが,GS1=255レベルの場合のJd-Vd特性(図5の806)とGS2=64レベルの場合のJd-Vd特性(805)との閾値電圧差ΔVthは15mVであった。
図5の電流−電圧特性と図4の残像特性とを関連づけて説明する。図4において,時刻t2の直前ではJd-Vd特性は図5の806の特性である。時刻t2において入力信号はGS2に対応して小さくなるが,薄膜電子源内の蓄積電荷量は瞬時には変わらないので,Jd-Vd特性は806のままである。その後,入力信号が小さくなったのに対応してJd-Vd特性が特性805にシフトする。本来のJd-Vd特性805になると,輝度値も本来の値L2になる。
以上の説明のように,薄膜電子源の電子加速層内の蓄積電荷量の変化の過程が残像回復過程となる。したがって,蓄積電荷量を減らせば残像は低減し,表示品質が向上する。
以下、本発明に係る画像表示装置を図面に示した幾つかの実施例による発明の実施の形態を参照して更に詳細に説明する。
本発明を用いた第1の実施例を述べる。この実施例では電子放出素子301として薄膜電子源を用いる。さらに具体的にはMIM(Metal-Insulator-Metal, 金属−絶縁体−金属)電子源を用いる。
図7は,本実施例で用いる表示パネルの平面図である。図8は図7のA−B間の断面図である。図8では,陰極板601の構成物のうち走査電極310のみ取り出して記載してある。(これに対し,図2では陰極板601の構成物のうち電子放出素子301のみを記載した。)
陰極板601,蛍光板602,枠部材603とで囲まれた内部が真空になっている。真空領域には大気圧に抗するためにスペーサ60が配置されている。スペーサ60の形状,個数,配置は任意である。図7に示したとおり,スペーサ60は走査線310上に配置する。陰極板601上には走査電極310が水平方向に配置され,データ電極311がそれと直交して配置されている。走査電極310とデータ電極311との交点が画素に対応する。ここで画素とは,カラー画像表示装置の場合にはサブ画素に対応するものである。
図7では走査電極310の本数が14本しか記載していないが,実際のディスプレイでは数100本から数千本ある。データ電極311についても実際の画像表示装置では数100本から数千本ある。走査電極310とデータ電極311との交点付近には電子放出素子301が配置されている。
図9は,図7の中の陰極板601の一部(4サブ画素分)を示した平面図である。図10は図9に対応した,陰極板601の一部の断面図である。図10(a)は図9のA−B間の断面図であり,図1は図9のC−D間の断面図である。なお,見やすさの便宜を図るために,図1と同じ図を図10(b)にも記載してある。なお,図9は上部電極11を取り除いた平面図になっている。実際には,図10の断面図からわかるように上部電極11が全面に成膜されている。
各サブ画素の対応する部分には3重の長方形が配置されている。一番内側の長方形領域は,電子放出領域35を示しており,これは第1層間絶縁膜15のテーパー部(傾斜領域部)の最内周に相当する。その外側の長方形は第1層間絶縁膜15のテーパー部の再外周に相当する。その外側(再外周)は第2層間絶縁層51の開口部である。
本実施例では走査電極310はバス電極32により構成されている。また,本実施例では,走査電極310上にスペーサ60を設置している。スペーサ60は全ての走査電極上に設置する必要はなく,走査電極何本か毎に設置すればよい。
スペーサ60は走査電極310に電気的に接続されており,蛍光板602の加速電極122からスペーサ60を介して流れる電流を流す働きと,スペーサ60に帯電した電荷を流す働きをする。
陰極板601の構成は以下の通りである。ガラスなどの絶縁性の基板14上に,下部電極第1層16,下部電極第2層13,絶縁層12,上部電極11とで構成される薄膜電子源301(本実施例における電子放出素子301)が構成される。バス電極32は,コンタクト電極55を介して上部電極11に電気的に接続されている。バス電極32は上部電極11への給電線として働く。すなわち,駆動回路からこのサブ画素の位置まで電流を運ぶ働きをしている。また,本実施例ではバス電極32は走査電極310として働く。
本実施例では電子放出素子301として薄膜電子源を用いている。図10に示したように下部電極第1層16,下部電極第2層13,トンネル絶縁層12,上部電極11の3つが薄膜電子源の基本構成である。図9の電子放出領域35はトンネル絶縁層12に対応した場所である。電子放出領域35の上部電極11表面から電子が真空中に放出される。下部電極を下部電極第1層16と下部電極第2層13との積層膜で構成したことが本実施例の特徴である。
本実施例ではデータ線311の一部の領域(トンネル絶縁層12の近傍の領域)が下部電極第1層16および下部電極第2層13となっている。本明細書では,データ線311のうち,トンネル絶縁層12の近傍を下部電極13と呼ぶ。
なお,図10では高さ方向の縮尺は任意である。すなわち,下部電極13や上部電極などは数μm以下の厚さであるが,基板14と面板110との距離は1〜3mm程度の長さである。
陰極板601の作成方法を図11〜図19を用いて説明する。図11〜図19は基板14上に薄膜電子源を作製するプロセスを示したものである。これらの図には2×2個のサブ画素に対応する薄膜電子源を記載してある。各図の(a)は平面図であり,A−B間の断面図を(b)に,C−D間の断面図を(c)に示してある。
ガラスなどの絶縁性基板14上に,下部電極(データ線311)用の材料として,Al-Nd(2原子%)合金を例えば400nmの膜厚に形成する(下部電極第1層16)。その上にAl-Nd(0.6原子%)合金を200nmの膜厚に形成する(下部電極第2層13)。このAl合金膜の形成には,例えば,スパッタリング法や抵抗加熱蒸着法などを用いる。次に,このAl合金膜を,フォトリソグラフィによるレジスト形成と,それに続くエッチングとによりストライプ状に加工し下部電極第1層16および下部電極第2層13を形成する。ここで用いるレジストはエッチングに適したものであればよく,また,エッチングもウエットエッチング,ドライエッチングのいずれも可能である。なお,本明細書では濃度の単位である「原子%」を「at%」(atomic %の略)とも記す。
次に,レジストを塗布して紫外線で露光してパターニングし,図11のレジストパターン501を形成する。レジストには、例えばキノンジアザイド系のポジ型レジストを用いる。次にレジストパターン501を付けたまま,陽極酸化を行い,第1層間絶縁層15(第2の絶縁層)を形成する。この陽極酸化は,本実施例では化成電圧100Vに設定し,第1層間絶縁層15の膜厚を140nmとした。この後レジストパターン501を剥離する。これが,図12の状態である。
図12における第1層間絶縁層15は陽極酸化で行うとしたが、熱酸化によって形成することも出来る。この場合は、図11において、レジスト膜501の代わりに、耐熱性の優れたSiN膜等を形成し、カソード基板全体を加熱してSiN等に覆われた部分以外の、下部電極を構成するAl合金を熱酸化すればよい。
アルミを陽極酸化すると,酸素原子が入るため元のアルミ金属より体積が増える。元のアルミ金属面を基準にすると,陽極酸化膜の膜厚の4/10はアルミ金属面より外側に形成され,残りの6/10はアルミ金属面より内側(固体内部)に形成される。したがって,本実施例の場合第1層間絶縁膜15の膜厚は140nmなので,アルミ金属表面より84nm内側まで第1層間絶縁膜15が形成される。下部電極第2層13の膜厚は200nmなので,第1層間絶縁膜15は下部電極第2層13の内部に形成されている。すなわち,第1層間絶縁膜15を構成する陽極酸化膜は,下部電極第2層13と下部電極第1層16との積層境界を横切らないように設定している。このようにすることで,絶縁不良の発生をなくしている。この点は,後に詳述する。
次に,レジスト501で被覆されていた下部電極第2層13表面を陽極酸化して絶縁層12(第1の絶縁層)を形成する。本実施例では化成電圧を4Vに設定し,絶縁層膜厚を7.9nmとした。これが,図13の状態である。絶縁層12が形成された領域が電子放出領域35になる。すなわち,第1層間絶縁層15に囲まれた領域が電子放出領域35である。
なお,アルミニウムを陽極酸化して得た陽極酸化絶縁膜の膜厚dは,化成電圧VAO[V]との間にd(nm)=1.36×VAOなる関係があると従来報告されてきた。発明者らの最近の研究によると膜厚が20nm程度よりも薄い場合にはd(nm)=1.36×(VAO+1.8)なる関係が成立することが示されている(IEEE Transactions on Electron Devices, vol. 49, No.6, pp. 1059-1065, 2002.[非特許文献3])。上記の値(化成電圧4Vで,絶縁層膜厚7.9nm)は,この最新の関係式から求めた値である。
次に,以下の手順により第2層間絶縁層51および電子放出領域保護層52を形成する(図14)。第2層間絶縁層51のパターンは,バス電極32とデータ電極311との交差領域には形成し,電子放出領域35は露出するパターンにする。但し,図14の工程段階では,電子放出領域35は電子放出領域保護層52で覆われている。第2層間絶縁層51および電子放出領域保護層52は,窒化シリコンSiNxや酸化シリコンSiOxなどを成膜した後,エッチングによりパターン化する。本実施例では100nm膜厚の窒化シリコン膜を用いた。エッチングは,例えばCF4やSF6を主成分とするエッチング剤を用いたドライエッチングによって行う。第2層間絶縁層51は,走査電極とデータ電極との間の絶縁性を高めるために形成する。電子放出領域保護層52は電子放出領域35となる部分(すなわち絶縁層12)を,後続の工程でのプロセスダメージから保護するためのものであり,後述する通り,後の工程で取り除く。本実施例では,第2層間絶縁層51と電子放出領域保護層52は同一材料,同一工程で形成する。
次に,コンタクト電極55,バス電極32,バス電極上層34を構成する材料を、この順に成膜する(図15)。本実施例ではコンタクト電極55にはクロム(Cr)100nm厚を用い,バス電極32にはアルミニウム(Al)2μm厚を用い,バス電極上層34にはクロム(Cr)200nm厚を用いた。これらの電極はスパッタリングで成膜した。バス電極32の材料は,導電性が高い材料を用いると,配線抵抗が低くなり,電極での電圧降下を低減できるので好ましい。
次に,バス電極上層34およびバス電極32をエッチングによりパターン化し,後に上部電極11がコンタクト電極55と接続できるように露出させ、バス電極32を形成する(図16)。
次に,コンタクト電極55をエッチングによりパターン化する(図17)。ここでのコンタクト電極55のパターン化により、コンタクト電極55から電子放出領域35への給電状態が決定される。
図17(a)に示した通り,コンタクト電極55は電子放出領域35の4辺のうち3辺が沿うパターンにしてある。上述の通りこのような3辺給電構造とすることで給電能力を向上させている。
図17(b)の断面図に矢印で示した通り,コンタクト電極55の片側(図中,矢印で示した部位)は,バス電極32に対してアンダーカットを形成し,後の工程で上部電極13を電気的に分離するための庇を形成する。このアンダーカットの存在により,隣接する走査線に接続されたサブ画素の上部電極が互いに電気的に絶縁(分離)される。これを「画素分離」と呼ぶ。
コンタクト電極55のアンダーカット量は以下のようにして制御する。
アンダーカットを形成する部分は,バス電極32の辺をフォトマスクとして用いてコンタクト電極55をエッチングする。したがって,コンタクト電極55は,バス電極32に対してアンダーカットが発生する。一方,アンダーカット量が大きすぎると,バス電極32が崩落してバス電極32と第2層間絶縁層51とが接触し,庇がなくなってしまう。そこで過大なアンダーカット形成を防ぐために,コンタクト電極55の材料として,標準電極電位がバス電極32材料よりも貴な材料を用いる。すなわち,コンタクト電極55として,バス電極32材料よりも標準電極電位が高い材料を用いる。
バス電極をアルミニウムとする場合,このような材料として例えばクロム(Cr),モリブデン(Mo),あるいはCr合金など,これらを成分として含む合金,例えばモリブデン−クロム−ニッケル合金がある。このようにすると,局部電池作用によりコンタクト電極55のサイドエッチが途中で停止するためアンダーカット量が増えすぎることを防止できる。さらに,標準電極電位が卑な(低い)材料であるバス電極のエッチング液への露出面積を制御することで,局部電池作用を制御しコンタクト電極55のサイドエッチの停止位置(すなわち,アンダーカット量)を制御できる。この目的で,クロム(Cr)を材料とするバス電極上層34が形成してある。
以上の記載からわかるように,コンタクト電極55の材料は,バス電極32の材料よりも標準電極電位が貴な(高い)ものを用いることが好ましい。
次に,ドライエッチングなどにより電子放出領域保護層52を除去する(図18)。次に,上部電極11を形成して陰極板601が完成する(図19)。本実施例では,上部電極11としてイリジウム(Ir),白金(Pt),金(Au)の積層膜を用いた。上部電極11はスパッタ成膜で形成した。なお,実際には全面に上部電極11が成膜されているが,構成をわかりやすくする目的で,図19(a)では上部電極を取り除いた図を記してある。また,データ線311の位置を点線で記してある。
図19に示した通り,給電線であるバス電極32からコンタクト電極55を経由して,電子放出領域35の上部電極11に電流が供給される。一方,前述の通り,コンタクト電極55には適切な量のアンダーカットが形成されているため,隣接する走査電極310間で互いに電気的に絶縁されている。
本実施例では,バス電極32から電子放出領域35の上部電極11への給電経路として電子放出領域の3辺を用いるという特徴(特徴A)と,バス電極から電子放出領域の上部電極への給電経路から第2層間絶縁層の段差部を無くしたという特徴(特徴B)という,2つの特徴を取り入れた陰極構造を採用している。特徴Aにより給電経路の幅が広がるので給電抵抗が下がる。特徴Bにより給電経路の給電抵抗が下がる。このように給電抵抗が下がるために,上部電極を薄くすることが可能になり,その結果,電子放出効率(電子放出比)が向上できる。
第1の実施例では,電子放出領域35の4辺のうち,電気的に接続されたバス電極32と反対側の辺からは給電していない。このために,電子放出領域35を全て給電経路として使った場合と比較して,マスクの合わせマージン(裕度)が広くなっており,作りやすい構造になっている。また,全辺給電と短辺を除いた3辺給電との給電能力の差は少ないので,本項蔵は,作りやすさと給電能力とを両立させた構造である。
蛍光板602の構成は以下の通りである。図10に示した通り,ガラスなど透光性の面板110にはブラックマトリクス120が形成され,さらに各電子放出領域に対向する位置に蛍光体114が形成されている。カラー画像表示装置の場合は,蛍光体114として赤色蛍光体,緑色蛍光体,青色蛍光体を塗り分ける。さらに,加速電極122が形成されている。加速電極122は膜厚70nm〜100nm程度のアルミ膜で形成されており,薄膜電子源301から放出された電子は,加速電極122に印加された加速電圧で加速された後,加速電極122に入射すると,加速電極を透過して蛍光体114に衝突し,蛍光体を発光させる。蛍光板602の作成方法の詳細は,例えば特開2001-83907に記載されている。
陰極板601と蛍光板602との間には,スペーサ60が適当な個数配置されている。図7に示したとおり,陰極板601と蛍光板602とは枠部材603をはさんで封着される。さらに,陰極板601と蛍光板602と枠部材603とで囲まれた空間は真空に排気される。
以上の手順で表示パネルが完成する。
図20は、このようにして製作した表示パネル100の駆動回路への結線図である。走査電極310は走査電極駆動回路41へ結線し、データ電極311はデータ電極駆動回路42に結線する。加速電極122は抵抗130を経由して加速電極駆動回路43へ結線する。n番目の走査電極310Rnとm番目のデータ電極311Cmの交点のドットを(n, m)で表すことにする。
抵抗130の抵抗値は以下のように設定した。例えば,対角寸法51cm(20インチ)の表示装置では表示面積は1240cm2である。加速電極122と陰極との間の距離を2mmに設定した場合,加速電極122と陰極との間の静電容量Cgは約550pFとなる。真空放電の発生時間(20ナノ秒程度)よりも充分長い時定数,例えば500ナノ秒とするために,抵抗130の抵抗値Rsは900Ω以上に設定すればよい。本実施例では18KΩに設定した(時定数10μs)。このように時定数Rs×Cg>20nsを満足する抵抗値の抵抗を加速電極122と加速電極駆動回路43の間に挿入することにより,表示パネル内での真空放電の発生を抑制する効果がある。
図21は、各駆動回路の発生電圧の波形を示す。図21には記されていないが、加速電極122には3〜10KV程度の電圧(蛍光面電圧Va)を印加する。時刻t0ではいずれの電極も電圧ゼロであるので電子は放出されず、したがって、蛍光体114は発光しない。
時刻t1において、走査電極310R1にはVR1なる電圧の走査パルス750を、データ電極311C1、C2には−VC1なる電圧のデータパルス751を印加する。ドット(1, 1)、(1, 2)の下部電極13と上部電極との間には(VC1+VR1)なる電圧が印加されるので、(VC1+VR1)を電子放出開始電圧以上に設定しておけば、この2つのドットの薄膜電子源からは電子が真空10中に放出される。本実施例ではVR1=+5V,−VC1=−4Vとした。放出された電子は加速電極122に印加された電圧により加速された後、蛍光体114に衝突し、蛍光体114を発光させる。
時刻t2において、走査電極310R2にVR1なる電圧を印加し、データ電極311C1に−VC1なる電圧を印加すると、同様にドット(2, 1)が点灯する。このようにして、図21の電圧波形を印加すると、図20の斜線を施したドットのみが点灯する。
このようにして、データ電極311に印加する信号を変えることにより所望の画像または情報を表示することができる。また、データ電極311への印加電圧−VC1の大きさを画像信号に合わせて適宜変えることにより、階調のある画像を表示することができる。
図21に示したように,時刻t4において全ての走査電極310に−VR2なる電圧を印加する。本実施例では−VR2=−5Vとした。このとき全てのデータ電極311への印加電圧は0Vなので,薄膜電子源301には−VR2=−5Vの電圧が印加される。このように電子放出時とは逆極性の電圧(反転パルス754)を印加することにより絶縁層12内のトラップに蓄積した電荷を解放し、薄膜電子源の寿命特性を向上できる。また,反転パルスを印加する期間(図21のt4〜t5,t8〜t9)としては,映像信号の垂直帰線期間を用いると,映像信号との整合性が良い。
図20,図21での説明では,簡単のため3×3ドットの例を用いて説明したが,実際の画像表示装置では走査電極数が数100〜数千本,データ電極数も数100〜数千本ある。本実施例では下部電極を下部電極第1層16と下部電極第2層13とで構成している。この点を以下に述べる。
本実施例では下部電極を陽極酸化して絶縁層12を形成しているので,下部電極材料の一部は絶縁層12に変換され,残りの部分は下部電極を構成する。このため,下部電極材料には,(a)電極として適した特性と,(b)その陽極酸化膜が絶縁層12として適した特性を有すること,を合わせ持つことが必要である。しかし,(a)と(b)の特性を両立させることが困難な場合がある。あるいは,(a), (b)の2つの特性を両立させようとすると材料選択の余地を狭めるという問題もある。
具体的な例としては,後述の通り,絶縁層12中に含まれるNd濃度が小さいほど残像特性が優れるので,陽極酸化膜特性の観点(b)からは下部電極材料中のNd濃度を小さくすることが望まれる。一方,Al電極中のNd濃度を小さくすると,表示パネルの封着工程(430℃程度)においてヒロックが発生し絶縁不良や電子放出素子の劣化が発生する。このため,下部電極の電極としての特性(a)としては,1%以上のNd濃度が望まれる。
また,本実施例では表示パネルの構造を簡略化するために,データ線311と下部電極を同一材料で兼用している。配線部材であるデータ線311には電気抵抗が低い材料が望ましい。この要請が,陽極酸化膜の特性と相容れない場合もあり得る。
本実施例では,これら2つの要求特性(a), (b)を満たすために,下部電極を2層以上の積層構造を用いている。すなわち,下部電極第1層には電極として望まれる特性を持たせるために,高温でのヒロック防止効果がある1%以上のNd濃度のAl-Nd合金を用いている。一方,下部電極第2層にはNd濃度が0.6%のAl-Nd合金を用い,かつ絶縁層12は下部電極第2層13を陽極酸化することで形成する。これにより,絶縁層12に望まれる特性(すなわちNd濃度が低い)を得ている。
ここで,下部電極第2層13は,Nd濃度が1%以下の低濃度膜であるが,以下に述べる通りに設計してあるためヒロックの発生が抑制される。第1に,高温工程でのヒロック発生は,Al膜の膜厚が薄い場合には抑制される。したがって,下部電極第2層13の膜厚を500nm以下に薄さに設定することにより,ヒロックの発生を抑制している。第2に,高温工程でのNd原子の拡散現象が起こるために下部電極第2層13中のNd濃度が高くなり,ヒロック発生が一層抑制される。この点を図22を用いて以下に説明する。
図22は本実施例の製造プロセスから,下部電極と陽極酸化膜の部分を取り出して模式的に記載したものである。図22(a)では下部電極第1層16と下部電極第2層13を積層している。(b)では第1層間絶縁膜15を形成した後の図である。(c)は絶縁層12を陽極酸化法で形成した後の図である。本実施例に記載の通り,下部電極第1層16はAl-Nd(2at%)とし,下部電極第2層13はAl-Nd(0.6at%)とする。(本発明がこれらのNd濃度に限定されないことは言うまでもない。)すると,図22(c)の時点では下部電極第2層13中のNd濃度は0.6at%である。図22(d)は,この薄膜電子源を封着工程(最高温度430℃)を通した後の図である。表示パネル封着工程の熱工程によりNd原子の拡散が起こり,封着後は下部電極第2層13中のNd濃度が増加し,2%近くに達することをわれわれは見いだした。これが本発明の構成でヒロックを抑止できる第2の理由である。
図23は,Al-Nd(2at%)膜上に純アルミ膜(膜厚28nm)を積層した積層膜を陽極酸化した後,アニールした試料について,Nd濃度の深さ分析を行った結果である。深さ分析は2次イオン質量分析法(SIMS)で行った。アニールをしていない試料では純アルミ膜中のNd濃度はAl-Nd(2at%)膜の1/100程度と小さい。しかし,370℃でアニールした試料,430℃でアニールした試料のいずれにおいても,純アルミ膜中にNdが拡散していることがわかる。また,アニールした試料でも,陽極酸化膜中にはNd原子が検出されていないことがわかる。
このように,陽極酸化膜である絶縁層12中にはNd元素は拡散しないため,絶縁層12中のNd濃度は,パネル封着後も低いままである。すなわち,絶縁層12として要求される特性を満足している。したがって,本実施例に記載の製造方法で表示パネルを作った場合,封着後の表示パネルでは,下部電極第2層13中のNd濃度は0.6at%より高くなっており,絶縁層12中のNd濃度は0.6%程度のままである。
下部電極第1層16と下部電極第2層13との境界の位置を識別する方法を以下に述べる。なお,本明細書では,下部電極第1層16と下部電極第2層13との境界を積層境界と呼ぶ。パネル封着工程(すなわち高温処理工程)を経た後では,上述の通り添加物元素(Al−Nd合金中のNd原子)の拡散が起こるため,添加物元素の濃度分布を調べるだけでは積層境界が識別できない場合がある。
図27は,本実施例で製作した表示パネル(すなわち,封着工程を経た後)の下部電極の断面TEM像(断面透過型電子顕微鏡像)を模式的に示した図である。図27(a)のように,下部電極第1層16と下部電極第2層13のそれぞれの層の中に,結晶粒848が観察される。この結晶粒848は各層の内部で成長するため,積層境界845において結晶粒の位置が不連続になる。すなわち,結晶粒848が不連続な面が積層境界845位置であると識別できる。また,下部電極の成膜方法や材料,封着温度によっては,図27(b)のように柱状の縞模様849が見られる場合もあるが,この場合も柱状縞模様849の不連続面が積層境界845であると識別できる。
下部電極第2層13中の添加物元素(例えばAl−Nd合金の場合のNd)の濃度についても注意が必要である。すなわち,表示パネル封着工程で添加物元素が拡散するので,パネル化工程を経た後の下部電極第2層中の添加物元素の濃度は,元々の濃度とは一致しない。図23からわかるように,陽極酸化膜中へは添加物元素は拡散しないので,下部電極第2層13に形成した陽極酸化膜中の添加物元素濃度が,元々の添加物元素濃度に等しい。
より厳密には,下部電極第2層の酸化により原子数が変化するので以下のように考えればよい。下部電極第2層13の合金の主構成元素に対する添加物元素の比率を考えればよい。ここで合金の主構成元素とは,例えばAl−Nd合金ではAlであり,Ta−Nd合金ではTaを指す。例としてAl−Nd合金を陽極酸化した場合を考えると,陽極酸化膜(絶縁層12)中の添加物元素Ndの,主構成元素Alに対する比率をもって,添加物元素濃度と考えればよい。
次に,本実施例の設計上の第2のポイントである,陽極酸化膜厚と,下部電極第1層16と下部電極第2層13の積層境界位置との関係について述べる。本実施例では第1層間絶縁層15を下部電極材料の陽極酸化で形成している。図22(b),(c)や図10に記載の通り,第1層間絶縁膜15の陽極酸化膜のうち元のアルミ金属面(図22(b)の点線833よりも固体内側に入り込んでいる深さDILを,下部電極第2層13の膜厚Tb2より小さくなるように設計している。換言すれば,陽極酸化膜が,下部電極第1層16と下部電極第2層13の積層境界を横切らないように設計している。陽極酸化膜をこのように設計することで,封着工程などの高温工程を経てもデバイスの不良が起こらないようになる。この点を以下に詳述する。
下部電極第2層13として膜厚40nmの純アルミ膜を用い,下部電極第1層16としてAl-Nd(2at%)の膜を用いて表示パネルを試作した。第1層間絶縁膜15は膜厚210nmとした。すなわち,下部電極第2層13の膜厚Tb2=40nm,第1層間絶縁膜15の侵入深さDIL=126nmとなる。したがって,Tb2<DILであり,図24(a)に示したように,陽極酸化膜が,下部電極第1層16と下部電極第2層13の積層境界を横切る構造になっている。この構造の陰極を封着工程の高温工程を通すと薄膜電子源の短絡欠陥が多発することを発明者らは見いだした。また,下部電極第2層として膜厚40nmのAl-Nd(2at%)膜を用いた陰極でも短絡欠陥が多発する。すなわち,Nd濃度がヒロック防止に十分な量含まれていても短絡欠陥が起こる。この短絡欠陥は,図24(b)の矢印で示した位置,すなわち,絶縁層12と第1層間絶縁膜15との遷移領域838(Bird's beak部)にボイド(空隙部)842が生じるためであることを発明者らは見いだした。
このボイド発生のメカニズムを調べるために,発明者らは陽極酸化の過程での金属原子の原子面位置の変化の様子をシミュレーションで調べた。その結果を図25に示す。図25は,アルミ表面に第1層間絶縁膜15を陽極酸化法で形成する過程をシミュレーションしたものである。陽極化成電圧150Vとし,酸化膜厚210nmの場合をシミュレーションしている。陽極酸化では金属アルミ中に酸素が入る分,体積が増える。そのためアルミ原子の位置も変化する。その変化の様子を示したものである。(なお,図25の各線はアルミ原子の1原子層毎に対応したものではない。)また,図25で縦方向(すなわち膜厚方向)と横方向の縮尺は異なる。図では縦方向は210nm程度であるのに対し,横方向の遷移領域838(bird's beak領域)は数μm〜10数μmである。
図25からわかるように,bird's beak部では横方向の位置によりアルミ原子の移動距離が異なる。そのため,横方向の応力が発生する。したがって,下部電極第1層16と下部電極第2層13との積層境界(図25に点線で示した)が,bird's beak部にあると,この横方向の応力のために積層境界にボイド(空隙部)が発生する。これが短絡欠陥の原因である。
この考察に基づき,陽極酸化膜が,下部電極第1層16と下部電極第2層13の積層境界を横切らないように設計すればボイド発生が起こらず,したがって,短絡欠陥が防げることを発明者らは見いだした。
図26は,以上のようにして製作した画像表示装置の残像時間を測定した結果である。下部電極第2層13中のNd濃度を0.6at%,1at%,2at%と変えて残像時間を測定した。残像時間の測定は,以下のように行った。画像表示装置にピーク輝度に対応する階調255の信号に対応する電圧を1時間印加し続ける。その後,平均輝度に対応する階調100の信号に対応する電圧に切り換える。図4を用いて述べると,時刻t1からt2の期間を1時間に設定し,GS1=255,GS2=100とした。そして,時刻t2で階調をGS2=100に切り換えてから正規の階調に対応する輝度L2の98%に達するまでの回復時間を残像時間と定義した。すなわち,(L2−ΔL2)≧0.98*L2になるまでの時間である。なお,輝度値は電子放出素子からの放出電流量に比例するので,輝度値を測るかわりに放出電流を測定した。また,GS1=255に対応する期間のダイオード電流密度は2A/cm2であり,GS2=100に対応する期間のダイオード電流密度は0.5A/cm2である。
図26からわかるように,従来の表示装置(Nd濃度2at%)では残像時間が20秒であり,人間の眼にもはっきりわかった。これに対し,Ndを1%にすると1/10以下である1.2秒に低減し,あまり気にならないレベルになった。さらに,Nd濃度を0.6at%にすると残像時間はさらに1/10以下である0.1秒となり目に見えなくなった。このように,絶縁層12中のNd濃度を低減することで,残像現象による画質劣化を無くすことができた。
絶縁層12中のNd濃度が多いと残像現象が大きくなる理由は,絶縁層中のネオジム酸化物NdOyが電子トラップとして働いているためである。これは,絶縁層12の主要構成材であるAl酸化物AlOxの比誘電率(εr=9.3)と比べてNdOxの比誘電率(εr=20)が大きいためである。誘電率が高いと電子が安定して存在できるため,電子トラップとして働く。
本実施例は,第1の実施例において,下部電極第2層13として純アルミ膜を用いたものである。純アルミ膜は単一膜で用いると,パネル封着工程でヒロックが発生して短絡不良が発生してしまう。しかし,本実施例のようにAl−Nd(2at%)のような耐ヒロック性のある合金を下部電極第1層16として,その上に500nm以下の膜厚で積層して用いればよい。図23に示したように,高温工程において,下部電極第1層からNdが拡散してくるためヒロックが防止出来る。
本実施例では,絶縁層12中のNd濃度が極めて小さいため,極めて良好な残像特性が得られた。
本実施例では,下部電極第2層13の材料としてAl-Mg合金を用いる。下部電極第1層16の材料はAl-Nd合金である。Al-Mg合金を用いると,以下の理由で好ましい。
(a)マグネシウムは陽極酸化可能であり,かつマグネシウムの酸化物は絶縁性に優れる。したがって,下部電極第2層13を陽極酸化して形成される絶縁層12の絶縁性が優れる。
(b) Ndを添加物として含まないので,絶縁層12中のNd濃度が十分低くなり,残像特性が優れる。
(c) マグネシウムの酸化物(MgO)の比誘電率εrは9.65であり,アルミの酸化膜とほぼ同じため,電子トラップを形成しない。
このようにして作成した画像表示パネルの残像時間は0.15秒であった。測定条件は,実施例1と同じであり,図4を用いて述べると,時刻t1からt2の期間を1時間に設定し,GS1=255,GS2=100とした。そして,時刻t2で階調をGS2=100に切り換えてから正規の階調に対応する輝度L2の98%に達するまでの回復時間を残像時間と定義した。
図26に示した通り,Nd濃度が1at%ある場合の残像時間は1.5秒である。これに対して,Mg濃度が1at%存在する場合の残像時間はその1/10である0.15秒である。このことは,陽極酸化膜中にMg元素が存在してもNdの場合のようにトラップにはならないことを示している。その理由は上述の通りである。
本実施例では,Al−Mg合金を下部電極第2層13に用いた例を述べたが,他にも以下に述べるように好ましい合金があり,それらを用いても本発明の効果が得られることは言うまでもない。
Al−Y合金,Al−Zr合金は上記(a)〜(c)の特徴を持つものである。添加物元素の酸化物の比誘電率εrは,Y2O3がεr=14,ZrOがεr=12.5といずれもAl2O3の比誘電率に近い値をもつ。また,ScはAlと化学的性質がにた元素であるため,Al−Sc合金の陽極酸化膜も添加物元素がトラップになりにくい。
Al−Ta合金,Al−Ti合金は(a)の特性をもち,陽極酸化膜として好ましい特性を持つ。しかし,Al−Nd合金よりも配線抵抗が高いという欠点をもつ。したがって,特に下部電極をデータ電極と兼用する場合,配線抵抗が低いAl−Nd合金を下部電極第1層に用い,Al−Ta合金,Al−Ti合金を下部電極第2層に用いる,という組み合わせが好ましい。
本実施例でもちいる表示パネルの陰極板の平面図は図10と同じである。平面図(図10)のA−B間断面図を図28(a)に示し,C−D間断面図を図28(b)に示した。
本実施例と第1の実施例との違いは,本実施例では下部電極13を単一の膜で形成したことである。本実施例では,下部電極13としてAl−Mg(2at%)を用いる。その他の製造方法は第1の実施例と同じである。
Al−Mg合金は,純アルミ膜よりも耐ヒロック性があるため,単一膜で用いることができる。また,Mgは陽極酸化膜中に存在してもトラップとしては働かないため,Nd原子が存在する場合に比べて残像特性劣化の度合いは小さい。このため,Al−Mg(2at%)を用いても問題のない残像特性が得られる。
本実施例は,第1の実施例と比べて,下部電極13の成膜回数が1回ですむという点で作りやい。
本実施例では,Al−Mg合金を用いた例を述べたが,Al−Y合金,Al−Sc合金を用いても同様の効果が得られる。
本発明に係る画像表示装置の一実施例の表示パネルの一部の断面図。 薄膜電子源の電子放出機構を説明するための図。 残像現象を説明する模式図。 残像現象を説明する模式図。時系列的に説明する模式図。 薄膜電子源素子の電流−電圧特性を示し図。 残像現象のメカニズムを示す図。 本発明に係る画像表示装置の表示パネルの構造を示す平面図。 本発明に係る画像表示装置の表示パネルの構造を示す断面図。 本発明に係る画像表示装置の第1の実施例の陰極板の一部を示す平面図。 本発明に係る画像表示装置の第1の実施例の陰極板の一部を示す断面図。 本発明に係る画像表示装置の第1の実施例の陰極板の作成プロセスを説明するための図。 本発明に係る画像表示装置の第1の実施例の陰極板の作成プロセスを説明するための図。 本発明に係る画像表示装置の第1の実施例の陰極板の作成プロセスを説明するための図。 本発明に係る画像表示装置の第1の実施例の陰極板の作成プロセスを説明するための図。 本発明に係る画像表示装置の第1の実施例の陰極板の作成プロセスを説明するための図。 本発明に係る画像表示装置の第1の実施例の陰極板の作成プロセスを説明するための図。 本発明に係る画像表示装置の第1の実施例の陰極板の作成プロセスを説明するための図。 本発明に係る画像表示装置の第1の実施例の陰極板の作成プロセスを説明するための図。 本発明に係る画像表示装置の第1の実施例の陰極板の作成プロセスを説明するための図。 本発明に係わる画像表示装置の第1の実施例の表示パネルと駆動回路との結線を示した図。 本発明に係わる画像表示装置の第1の実施例の駆動波形を示した図。 下部電極の積層構成と絶縁層との関係を示す図。 絶縁層および下部電極中の添加物元素の分布を示す図。 積層した下部電極に発生した不良現象を示す図。 陽極酸化過程でのアルミニウム原子の動きを模式的に示す図。 第一の実施例での画像表示装置の残像特性を示す図。 積層した下部電極の構造を模式的に示した図。 本発明に係わる画像表示装置の第4の実施例の陰極板の一部を示す断面図。
符号の説明
11・・・上部電極,12…トンネル絶縁層、13…下部電極第2層、14…基板、15・・・第1層間絶縁層,16・・・下部電極第1層,32・・・バス電極,34・・・バス電極上層,35・・・電子放出領域,41…走査駆動回路、42…データ駆動回路、43…加速電極駆動回路、51・・・第2層間絶縁層,52・・・電子放出領域保護層,55・・・コンタクト電極,60・・・スペーサ,100・・・表示パネル,110…面板、114…蛍光体、120…ブラックマトリクス、122…加速電極、130・・・抵抗,301…電子放出素子,310・・・走査電極,311・・・データ電極,
601・・・陰極板,602・・・蛍光板,603・・・枠部材,
750・・・走査パルス,751・・・データパルス,754・・・反転パルス,
838・・・遷移領域,845・・・積層境界,848・・・結晶粒。

Claims (9)

  1. 複数の電子放出素子を有する基板と蛍光体を有する面板とを有する画像表示装置であって、
    前記電子放出素子は、下部電極、上部電極、および前記下部電極と前記上部電極との間に挟み込まれた第1の絶縁層を有し、前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加することで前記上部電極側より電子を放出する薄膜電子源である画像表示装置において、
    前記下部電極上には電子放出領域を規定する第1の絶縁層と前記第1の絶縁層より厚い、前記下部電極を酸化させた酸化膜からなる第2の絶縁層と、前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に膜厚が連続的に変化する遷移領域とが形成されており、
    前記下部電極は下部電極第1層と下部電極第2層の積層構造であり、前記下部電極第1層と前記下部電極第2層の積層境界が、前記第2の絶縁層中に含まれず、
    前記下部電極第2層は、主構成元素と添加物元素を有する合金であり、前記主構成元素
    は陽極酸化可能な元素であり、
    前記下部電極第1層および前記下部電極第2層はアルミニウムの合金であり、前記第1
    の絶縁層に含まれる元の合金の主構成元素に対するネオジム濃度は、前記下部電極第1層
    中のネオジム濃度の2分の1以下であることを特徴とする画像表示装置。
  2. 前記下部電極第1層はアルミニウムとネオジムの合金であって、ネオジムの組成が1原子%以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記第1の絶縁層中に含まれるネオジムの濃度は、元の合金の主構成元素の2原子%未満であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  4. 前記第1の絶縁層はネオジムを含まないことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  5. 前記第1の絶縁層はアルミニウムを陽極酸化した膜であることを特徴とする請求項1または請求項3に記載に画像表示装置。
  6. 電子放出素子であって、
    前記電子放出素子は、下部電極、上部電極、および前記下部電極と前記上部電極との間に挟み込まれた第1の絶縁層を有し、前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加することで前記上部電極側より電子を放出する薄膜電子源である電子放出素子において、
    前記下部電極は下部電極第1層と下部電極第2層の積層構造であり、 前記下部電極上には電子放出領域を規定する第1の絶縁層と前記第1の絶縁層より厚い第2の絶縁層と、前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に膜厚が連続的に変化する遷移領域とが形成されており、前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層は前記下部電極第2層を陽極酸化して形成された陽極酸化膜であり、
    前記下部電極第1層と前記下部電極第2層の積層境界が、前記第2の絶縁膜中に含まれず、
    前記下部電極第2層は、主構成元素と添加物元素を有する合金であり、前記主構成元素は陽極酸化可能な元素であり、
    前記下部電極第1層および前記下部電極第2層はアルミニウムの合金であり、前記第1の絶縁層に含まれる元の合金の主構成元素に対するネオジム濃度は、前記下部電極第1層
    中のネオジム濃度の2分の1以下であることを特徴とする電子放出素子。
  7. 前記下部電極第1層はアルミニウムとネオジムの合金であって、ネオジムの組成が1原子%以上であることを特徴とする請求項6に記載の電子放出素子。
  8. 前記第1の絶縁層中に含まれるネオジムの濃度は、元の合金の主構成元素の2原子%未満であることを特徴とする請求項6に記載の電子放出素子。
  9. 前記第1の絶縁層はネオジムを含まないことを特徴とする請求項6に記載の電子放出素子。
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