JP2001084891A - 薄膜型電子源およびこれを用いた表示装置 - Google Patents

薄膜型電子源およびこれを用いた表示装置

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JP2001084891A
JP2001084891A JP25988699A JP25988699A JP2001084891A JP 2001084891 A JP2001084891 A JP 2001084891A JP 25988699 A JP25988699 A JP 25988699A JP 25988699 A JP25988699 A JP 25988699A JP 2001084891 A JP2001084891 A JP 2001084891A
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film
insulating layer
alloy
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thin
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JP25988699A
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Toshiaki Kusunoki
敏明 楠
Masakazu Sagawa
雅一 佐川
Mutsumi Suzuki
睦三 鈴木
Akitoshi Ishizaka
彰利 石坂
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐熱性が高く、下部電極から絶縁層中への金属
イオンのマイグレーションを防止でき、かつ配線側面で
の絶縁性や形状安定性の高く、短絡や上部電極等の断線
等が発生しない薄膜型電子源を得、信頼性の高い表示装
置を得る 【解決手段】電子放出部の下部電極がAlより高融点の
材料からなり、絶縁層がAlもしくはAl合金の陽極酸
化膜からなり、保護絶縁層は高融点材料の陽極酸化膜と
AlもしくはAl合金の陽極酸化膜の積層膜、あるいは
AlもしくはAl合金の厚い陽極酸化膜で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属−絶縁体−金
属の3層構造を有し、真空中に電子を放出する薄膜型電
子源およびこれを用いた表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜型電子源とは、上部電極−絶縁層−
下部電極の3層薄膜構造の上部電極−下部電極の間に電
圧を印加して、上部電極の表面から真空中に電子を放出
させるものである。薄膜型電子源の動作原理を図9に示
した。上部電極13と下部電極9との間に駆動電圧Vd
を印加して、数nm〜10nm程度と薄い絶縁層12内の電
界を1MV/cm〜10MV/cm以上にすると、下部電極
9中のフェルミ準位近傍の電子はトンネル現象により障
壁を透過し、絶縁層12、上部電極13の伝導帯へ注入
されホットエレクトロンとなる。これらのホットエレク
トロンのうち、上部電極13の仕事関数φ以上のエネル
ギを有するものは、真空18中に放出される。
【0003】この薄膜電子源は複数本の上部電極13
と、複数本の下部電極9を直交させてマトリクスを形成
すると、任意の場所から電子線を発生させることができ
るので、表示装置の電子源などに用いることができる。
【0004】これまで、Al−Al23−Au構造のM
IM(Metal-Insulator-Metal)構造などから電子放出
が観測されている。特に下部電極にAl、絶縁層にその
陽極酸化膜を用いた薄膜型電子源は、陽極酸化により高
耐圧で、均一な絶縁層が形成できるため、良質の電子放
出が得られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この薄膜型電子源を用
いた表示装置を作成する場合、パネルをフリット封着す
る際の高温プロセスに対し、薄膜型電子源が十分な耐熱
性を有している必要がある。薄膜型電子源の高品質の絶
縁層12としてはAl系材料の陽極酸化膜が用いられて
いるが、そのために用いられるAl系の下部電極9の耐
熱性は十分でない場合が多い。耐熱性が不十分の時に
は、フリット封着中に薄い絶縁層12を破壊するヒロッ
クが形成され、薄膜型電子源の歩留りや信頼性を低下さ
せる。
【0006】さらに、Al系材料を下部電極材料に用い
た場合の別の問題点として、Alがマイグレーションし
やすい材料である点が挙げられる。薄膜型電子源では下
部電極9と上部電極13の間に高電界を印加するため、
下部電極9からAl原子あるいはAlイオンが絶縁層1
2中に拡散しやすい。特に絶縁層12内に蓄積した捕獲
電荷をキャンセルするため電子放出時とは極性を反転さ
せた反転電圧を印加する際は、上部電極13が負電圧の
極性となるため、陽イオンであるAlイオンが下部電極
9から上部電極13方向へと絶縁層12中を拡散しやす
い。そのため、現状では高い反転電圧を印加することが
難しい。たとえば、陽極酸化時の化成電圧以上の反転電
圧を印加した場合、絶縁層12が破壊されやすくなる。
【0007】このような問題点の対策として、下部電極
材料にAlより高融点の材料を用い、その上に成膜した
薄いAl系材料を全て陽極酸化して絶縁層12を形成す
る方法が検討されている。この場合、下部電極9は高融
点金属のみとなるためヒロックの発生はなく、また高融
点材料の昇華エンタルピーはAlより高いため絶縁層1
2中への金属イオンのマイグレーションは起きにくい。
また、絶縁層12は従来の薄膜型電子源と同様のAlの
陽極酸化膜であるため信頼性が高い。
【0008】しかしながら、このような構造を作成する
ための高融点金属とAl系材料の積層膜では、積層配線
を加工した際に露出する下部電極9の側面部と上部電極
13の間の絶縁性の確保が問題となる。この点について
は高融点金属として陽極酸化可能な材料を用い、配線側
面の陽極酸化膜を電子放出部の10倍程度と厚く形成す
ることでリーク電流の発生を抑えている。ただし、高融
点金属の陽極酸化膜は一般にAlの陽極酸化膜に比べ耐
電圧が1桁以上低い。そのため、エッジ部などで電界集
中などが生じた場合はリーク電流を発生しやすく、薄膜
型電子源の電子放出効率低下を引き起こす。配線側面部
は形状が不安定で電界集中が起きやすいため、より耐電
圧の高い絶縁膜の形成が望まれる。
【0009】また、金属の積層配線を加工する場合、そ
のエッチング形状の制御に細心の注意が必要である。す
なわち、高融点材料が、Al系材料やその陽極酸化膜よ
りエッチング速度が速いと、積層配線の側面が逆テーパ
ー状になり、上部電極13やその給電線の断線を引き起
こす。また、エッチング中の局部電池作用などが生じる
と、不動態化等によりエッチング面にバリが発生したり
して、配線形状が不安定になってしまう。
【0010】本発明の目的は、金属の積層配線を用いた
場合の上記問題点を解決し、フリット封着温度に耐える
高耐熱性と、下部電極から絶縁層中への金属イオンのマ
イグレーションを防止でき、かつ配線側面での絶縁性や
形状安定性が高く、短絡や上部電極の断線等が発生しな
い薄膜型電子源を提供することにある。また、その薄膜
型電子源を用いた表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は、電子放出部
の下部電極がAlより高融点の材料からなり、絶縁層は
AlもしくはAl合金の陽極酸化膜から形成されてお
り、電子放出部を制限する前記絶縁層より厚い保護絶縁
層はAlもしくはAl合金の陽極酸化膜で少なくとも表
面側を形成することにより実現される。具体的には保護
絶縁層を高融点材料の陽極酸化膜とAlもしくはAl合
金の陽極酸化膜の積層膜あるいは、AlもしくはAl合
金の前記絶縁層より厚い陽極酸化膜で形成することによ
って実現される。
【0012】
【発明の実施の形態】(実施例1)図1に本発明の薄膜
型電子源の第1の実施例の構造と製造方法を示す。まず
ガラス等の絶縁性の基板1上に下部電極用の金属膜を成
膜する。ここではTaを使用した。他にも例えばTi,
Zr,Hf,Nbやそれらの合金などが使用可能であ
る。これらの材料は、Alより高融点の電極材料であ
り、かつ陽極酸化により比較的耐電圧の高い絶縁層を形
成できる。またガラス等の基板1との接着性にも優れて
おり下部電極材料として最適である。成膜法としては例
えばスパッタリング法を用いる。膜厚は300nmとし
た。成膜後はエッチングにより下部電極9の配線形状に
加工する(a)。Taのエッチングは例えばアンモニア
と過酸化水素の混合水溶液や、ふっ酸と硝酸の混合液を
用いたウェットエッチング等を用いることができる。あ
るいは、CF4系のドライエッチングでもよい。
【0013】次に、陽極酸化膜の材料となるAlやAl
合金膜を成膜する。ここでは、Ndを2原子量%含むA
l−Nd合金を用いた。成膜には例えば、スパッタリン
グ法を用いる。膜厚は後の陽極酸化により形成する絶縁
層の2/3倍とする。ここでは電子放出部の絶縁層の膜
厚を約10nmとするため、Al−Nd合金膜厚を7nmと
した。成膜後は例えば、燐酸、硝酸、酢酸の混合水溶液
中でのウェットエッチングにより、下部電極9の上面、
側面を被覆する形状にAl合金膜11を形成する
(b)。このエッチングでは、下地の下部電極9は露出
しないため、局部電池作用などは起こらず、安定したエ
ッチング形状が得られる。
【0014】次に、保護絶縁層14を形成する。まず下
部電極9、Al合金膜11上の電子放出部となる部分を
レジスト20でマスクし、その他の部分を選択的に厚く
陽極酸化し、保護絶縁層14とする。化成電圧を100
Vとすれば、約10nmのAl23陽極酸化膜と約150
nmのTa25陽極酸化膜の積層絶縁膜からなる保護層1
4が形成される(c)。
【0015】本実施例では、高融点材料の下部電極9が
側面もAl合金膜11で被覆されているため、配線側面
でも耐電圧の高いAl23陽極酸化膜を保護絶縁層14
の一部として用いることができる。したがって、Ta2
5陽極酸化膜単独膜の場合よりもリーク電流は発生し
にくい。
【0016】次にレジスト20を除去し、残りのAl合
金膜11を陽極酸化し、絶縁層12を形成する(d)。
この際、Al合金膜11はすべて陽極酸化する。これに
より、絶縁層12中へマイグレーションする金属イオン
源となる金属Alはなくなる。さらに下部電極9は完全
に高融点金属のTaのみとなるため、封着時の高温プロ
セスを経てもヒロックによる絶縁層12の劣化はない。
【0017】次に上部電極13への給電線となる電極膜
をスパッタリング法で形成する。ここでは膜厚10nmの
Wを下地に、膜厚200nmのAl−Nd合金を上層にし
た積層膜を用いた。ここで、図1では簡単のため上部電
極バスライン15としてまとめて図示している(e)。
【0018】上部電極部分の拡大図を図3に示す。ここ
で、図3の9は下部電極、12は絶縁層、13は上部電
極、14は保護絶縁層、16は上部電極バスライン上
層、17は上部電極バスライン下層である。成膜後はま
ず、Al−Nd合金を燐酸、硝酸、酢酸の混合水溶液中
でのウェットエッチングにより加工し、さらにWをアン
モニアと過酸化水素の混合水溶液中でのウェットエッチ
ングにより加工する。この際、電子放出部では上部電極
バスライン下層17のW膜が上部電極バスライン上層1
6のAl−Nd膜より外側に延在するように形成するこ
とで、薄い上部電極バスライン下層17のW膜により後
で形成する上部電極13が断線しないようにして電気的
接触をとることができる。
【0019】最後に上部電極膜13を成膜、加工する
(図1(f))。上部電極13の材料としては、Ir、
Pt,Auの積層膜を用い、スパッタ法で形成した。上
部電極13の膜厚は3nmとした。
【0020】本実施例の薄膜型電子源によれば、フリッ
ト封着温度に耐える高耐熱性と、下部電極9から絶縁層
12中への金属イオンのマイグレーションを防止でき、
かつ配線側面での絶縁性や形状安定性の高く、短絡や上
部電極13等の断線等が発生しない薄膜型電子源を提供
できる。
【0021】(実施例2)図2に本発明の薄膜型電子源
の第2の実施例の構造と製造方法を示す。まず絶縁性の
基板1上に下部電極9用の金属膜を成膜する。ここでは
Taを使用した。他にも例えばTi,Zr,Hf,N
b,Ta,W,Mo,Crなどの高融点金属やそれらの
合金などが使用可能である。これらの材料は、ガラス等
の基板1との接着性にも優れており下部電極材料として
最適である。成膜法としては例えばスパッタリング法を
用いる。膜厚は300nmとした。成膜後はエッチングに
より下部電極9の配線形状に加工する(a)。エッチン
グは例えばアンモニアと過酸化水素の混合水溶液や、ふ
っ酸と硝酸の混合液を用いたウェットエッチングを用い
ることができる。あるいは、CF4系のドライエッチン
グでもよい。
【0022】次に、保護絶縁層14の元になるAl系材
料を成膜する。ここでは膜厚300nmのNdを2原子量
%含むAl−Nd合金膜を用いた。成膜法としては例え
ばスパッタリング法を用いる。成膜後はAl合金のみを
エッチングするエッチャント、例えば燐酸、酢酸、硝酸
の混合水溶液により電子放出部以外の下部電極9を被覆
する形状に、下部電極上層10を形成する(b)。
【0023】次に、電子放出部の絶縁層12の元となる
AlやAl合金膜を成膜する。ここでは、Ndを2原子
量%含むAl−Nd合金を用いた。成膜には例えば、ス
パッタリング法を用いる。膜厚は後の陽極酸化により形
成する絶縁層の2/3倍とする。ここでは電子放出部の
絶縁層12の膜厚を約10nmとするため、Al−Nd合
金膜厚を7nmとした。成膜後は例えば、燐酸、硝酸、酢
酸の混合水溶液中でのウェットエッチングにより、下部
電極9、下部電極上層10の上面、側面を被覆する形状
にAl合金膜11を形成する(c)。
【0024】次に、保護絶縁層14を形成する。まずA
l合金膜11上の電子放出部となる部分をレジスト20
でマスクし、その他の部分を選択的に厚く陽極酸化し、
保護絶縁層14とする。化成電圧を100Vとすれば、
約136nmのAl23陽極酸化膜からなる保護層14が
形成される(d)。
【0025】本発明では、従来例とは異なり、下部電極
9の側面が厚いAl合金膜の下部電極上層10で被覆さ
れているため、側面でも耐電圧の高いAl23陽極酸化
膜を保護絶縁層14として用いることができる。したが
って、従来のTa25陽極酸化膜が露出していた場合よ
りもリーク電流は発生しにくい。また、本実施例のよう
に厚いAl23陽極酸化膜を形成すれば、下地がTaよ
り耐熱性の低いAlやAl合金の場合でも高温プロセス
によるヒロックは生じない。
【0026】つぎにレジスト20を除去し、電子放出部
のAl合金膜11を陽極酸化し、絶縁層12を形成する
(e)。この際、Al合金膜11はすべて陽極酸化す
る。これにより、電子放出部では絶縁層12中へマイグ
レーションする金属イオン源となる金属Alはなくな
る。また下部電極9は完全に高融点金属のTaのみとな
るため、封着時の高温プロセスを経てもヒロックによる
絶縁層12劣化はない。
【0027】次に上部電極13への給電線となる電極膜
をスパッタリング法で形成する。ここでは膜厚10nmの
Wを下地に、膜厚200nmのAl−Nd合金を上層にし
た積層膜を用いた。成膜後はまず、Al−Nd合金を燐
酸、硝酸、酢酸の混合水溶液中でのウェットエッチング
により加工し、さらにWをアンモニアと過酸化水素の混
合水溶液中でのウェットエッチングにより加工する。こ
の際、電子放出部では上部電極バスライン下層16とな
るW膜が上部電極上層17となるAl−Nd膜より外側
に延在するように形成することで、薄い上部電極バスラ
イン下層16のW膜により後で形成する上部電極13が
断線しないようにして電気的接触をとることができる。
その部分の拡大図を図3に示す。図2では簡単のため上
部電極バスライン15としてまとめて図示している
(f)。
【0028】最後に上部電極膜を成膜、加工する
(g)。上部電極13としてIr、Pt,Auの積層膜
を用いスパッタ法で形成した。上部電極13の膜厚は3
nmとした。
【0029】このように、本実施例の薄膜型電子源は、
フリット封着温度に耐える高耐熱性と、下部電極9から
絶縁層中への金属イオンのマイグレーションを防止で
き、かつ配線側面での絶縁性や形状安定性の高く、短絡
や上部電極13等の断線等が発生しない薄膜型電子源を
提供できる。
【0030】(実施例3)本発明を用いた電子源応用機
器の一例として、上記薄膜型電子源を表示装置に用いた
実施例を図4〜8を用いて説明する。本発明の薄膜型電
子源を用いた場合、耐熱性が高く、配線側面の絶縁性の
信頼度も高いので、表示装置を作成するのに適してい
る。
【0031】まず実施例1の手法にしたがって基板1上
に薄膜型電子源マトリクスを作成する。説明のため、図
4には(3×3)ドットの薄膜型電子源マトリクスの平
面図、断面図を示した。但し、実際は表示ドット数に対
応した数の薄膜型電子源マトリクスを形成する。また、
下部電極9は実施例1記載の高融点材料のみの場合と、
実施例2記載の高融点材料と電子放出部以外に設けられ
る下部電極上層10のAl系材料の積層膜を用いた場合
の両方について、説明の簡単化のため下部電極9として
まとめて図示している。また、保護絶縁層14も、実施
例1記載のAl系材料の陽極酸化膜と高融点材料の陽極
酸化膜の積層膜の場合と、実施例2記載のAl系材料の
厚い陽極酸化膜の場合の両方について、説明の簡単化の
ため保護絶縁層14としてまとめて図示している。
【0032】表示側基板の作成は以下のように行う(図
5)。面板110には透光性のガラスなどを用いる。ま
ず、表示装置のコントラストを上げる目的でブラックマ
トリクス120を形成する。ブラックマトリクス120
は、PVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸アン
モニウムとを混合した溶液を面板110に塗布し、ブラ
ックマトリクス120を形成したい部分以外に紫外線を
照射して感光させた後、未感光部分を除去し、そこに黒
鉛粉末を溶かした溶液を塗布し、PVAをリフトオフす
ることにより形成する。
【0033】次に赤色蛍光体111を形成する。蛍光体
粒子にPVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸ア
ンモニウムとを混合した水溶液を面板110上に塗布し
た後、蛍光体を形成する部分に紫外線を照射して感光さ
せた後、未感光部分を流水で除去する。このようにして
赤色蛍光体111をパターン化する。パターンは図4に
示したようなストライプ状にパターン化する。このスト
ライプパターンは一例であって、それ以外にも、ディス
プレイの設計に応じて、たとえば、近接する4ドットで
一画素を構成させた「RGBG」パターンでももちろん
構わない。同様にして、緑色蛍光体112と青色蛍光体
113を形成する。蛍光体としては、例えば赤色にY2
2S:Eu(P22−R)、緑色にZnS:Cu,A
l(P22−G)、青色にZnS:Ag(P22−B)
を用いればよい。
【0034】次いで、ニトロセルロースなどの膜でフィ
ルミングした後、面板110全体にAlを、膜厚75nm
程度蒸着してメタルバック114とする。このメタルバ
ック114が加速電極として働く。その後、面板110
を大気中400℃程度に加熱してフィルミング膜やPV
Aなどの有機物を加熱分解する。このようにして、表示
側基板が完成する。
【0035】このようにして製作した表示側基板と基板
1とをスペーサ30を介し、周囲の枠116をフリット
ガラス115を用いて封着する(図6)。面板110−
基板1間の距離は1〜3mm程度になるようにスペーサ3
0の高さを設定する。
【0036】ここでは、R(赤)、G(緑)、B(青)
に発光するドット毎、すなわち下部電極3列づつにスペ
ーサの支柱を設けているが、機械強度が耐える範囲で、
支柱の数(密度)を減らしても構わない。スペーサ30
の製作は、厚さ1〜3mm程度のガラスやセラミックスな
どの絶縁板に例えばサンドブラスト法などで所望の形状
の穴を加工する。あるいは、板状または柱状のガラス製
またはセラミックス製の支柱を並べて配置してスペーサ
30としてもよい。
【0037】封着したパネルは、10-7Torr程度の真空
に排気して、封じきる。その後、ゲッターを活性化し、
真空度を維持する。例えば、Baを主成分とするゲッタ
ー材の場合、高周波誘導加熱によりゲッター膜を形成で
きる。このようにして、薄膜電子源を用いた表示パネル
が完成する。
【0038】このように本実施例では、面板110と基
板1間の距離は1〜3mm程度と長いので、メタルバック
114に印加する加速電圧を3〜6KVと高電圧にでき
る。したがって、上述のように、蛍光体には陰極線管
(CRT)用の蛍光体を使用できる。
【0039】図7はこのようにして製作した表示装置パ
ネルの駆動回路への結線図である。下部電極9は下部電
極駆動回路40へ結線し、上部電極バスライン15は上
部電極駆動回路50に結線する。m番目の下部電極9K
mと、n番目の上部電極バスライン15Cnの交点を
(m,n)で表すことにする。メタルバック114には
3〜6KV程度の加速電圧60を常時印加する。
【0040】図8は、各駆動回路の発生電圧の波形の一
例を示す。時刻t0ではいずれの電極も電圧ゼロである
ので電子は放出されず、したがって、蛍光体は発光しな
い。時刻t1において、下部電極9K1には−V1なる
電圧を、上部電極バスライン15C1,C2には+V2
なる電圧を印加する。交点(1,1)、(1,2)の下
部電極9−上部電極13間には(V1+V2)なる電圧
が印加されるので、(V1+V2)を電子放出開始電圧
以上に設定しておけば、この2つの交点の薄膜型電子源
からは電子が真空中に放出される。放出された電子はメ
タルバック114に印加された加速電圧60により加速
された後、蛍光体に入射し、発光させる。時刻t2にお
いて、下部電極9のK2に−V1なる電圧を印加し、上
部電極バスライン15のC1にV2なる電圧を印加する
と、同様に交点(2,1)が点灯する。
【0041】このようにして、上部電極バスライン15
に印加する信号を変えることにより所望の画像または情
報を表示することができる。また、上部電極バスライン
15への印加電圧V1の大きさを適宜変えることによ
り、階調のある画像を表示することができる。絶縁層1
2中に蓄積される電荷を開放するための反転電圧の印加
は、ここでは下部電極9の全てに−V1を印加した後、
全下部電極9にV3、全上部電極13に−V3’を印加
することにより行った。
【0042】
【発明の効果】以上のように、本発明の薄膜型電子源
は、電子放出部の下部電極がAlより高融点の材料から
なり、絶縁層がAlもしくはAl合金の陽極酸化膜から
なり、保護絶縁層は高融点材料の陽極酸化膜とAlもし
くはAl合金の陽極酸化膜の積層膜、あるいはAlもし
くはAl合金の厚い陽極酸化膜で構成されることによ
り、フリット封着温度に耐える高耐熱性と、下部電極か
ら絶縁層中への金属イオンのマイグレーションを防止で
き、かつ配線側面での絶縁性や形状安定性の高く、短絡
や上部電極等の断線等が発生しない薄膜型電子源を得る
ことができ、信頼性の高い表示装置を作成することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜型電子源の製造工程を示す断面図
および平面図。
【図2】本発明の薄膜型電子源の製造工程を示す断面図
および平面図。
【図3】本発明の薄膜型電子源の上部電極バスラインの
拡大断面図。
【図4】本発明の薄膜型電子源を用いた表示装置の製法
を示す平面図および断面図。
【図5】本発明の薄膜型電子源を用いた表示装置の製法
を示す平面図および断面図。
【図6】本発明の薄膜型電子源を用いた表示装置の製法
を示す断面図。
【図7】本発明を用いた表示装置での駆動回路への結線
を示した平面図。
【図8】本発明の表示装置での駆動電圧の波形図。
【図9】薄膜型電子源の動作原理を示すモデル図。
【符号の説明】
1…基板、9…下部電極、10…下部電極上層、11…
Al合金膜、12…絶縁層、13…上部電極、14…保
護絶縁層、15…上部電極バスライン、16…上部電極
バスライン上層、17…上部電極バスライン下層、18
…真空、20…レジスト、30…スペーサ、40…下部
電極駆動回路、50…上部電極駆動回路、60…加速電
圧、110…面板、111…赤色蛍光体、112…緑色
蛍光体、113…青色蛍光体、114…メタルバック、
115…フリットガラス、116…枠。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 睦三 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 石坂 彰利 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 5C031 DD09 DD17 5C036 EE02 EE08 EF01 EF06 EF09 EG12 EH06 EH08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に下部電極、絶縁層、上部電極をこ
    の順序に積層した構造、および電子放出部を制限する前
    記絶縁層より厚い保護絶縁層を有し、前記下部電極と前
    記上部電極の間に、前記上部電極が正電圧になる極性の
    電圧を印加した際に、前記上部電極の表面から真空中に
    電子を放出する薄膜型電子源において、電子放出部の下
    部電極がAlより高融点の材料からなり、前記絶縁層が
    AlもしくはAl合金の陽極酸化膜からなり、前記保護
    絶縁層の少なくともその表面側はAlもしくはAl合金
    の陽極酸化膜で形成されていることを特徴とする薄膜型
    電子源。
  2. 【請求項2】請求項1記載の保護絶縁層は、上記Alよ
    りも高融点の材料の陽極酸化膜と上記AlもしくはAl
    合金の陽極酸化膜の積層膜からなることを特徴とする薄
    膜型電子源。
  3. 【請求項3】請求項1記載の保護絶縁層は、Alもしく
    はAl合金の上記絶縁層より厚い陽極酸化膜からなるこ
    とを特徴とする薄膜型電子源。
  4. 【請求項4】請求項2記載のAlよりも高融点の材料
    は、陽極酸化可能な材料であることを特徴とする請求項
    1記載の薄膜型電子源。
  5. 【請求項5】請求項4記載のAlよりも高融点の材料
    は、Ti,Zr,Hf,Nb,Taの何れか、またはそ
    れらの合金のいずれかを用いることを特徴とする薄膜型
    電子源。
  6. 【請求項6】請求項1記載のAlよりも高融点の材料
    は、Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,W,Mo,Crの
    何れか、またはそれらの合金のいずれかを用いることを
    特徴とする薄膜型電子源。
  7. 【請求項7】請求項1ないし6のいずれか記載の薄膜型
    電子源からなるマトリクスと、蛍光体を塗布した面板と
    を張り合わせ、電子放射空間を真空に封じた構造を有し
    て成ることを特徴とする表示装置。
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